JP2988275B2 - 熱間圧延用ロール - Google Patents
熱間圧延用ロールInfo
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Description
する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、鋼板等の鉄
鋼材の熱間仕上圧延機のワークロールとして用いるのに
好適な、耐摩耗および耐事故性に優れた熱間圧延用ロー
ルに関する。
指向に対応するため、単位ロール当たりの圧延量の拡
大、すなわち熱間圧延製品の製造時における圧延スケジ
ュールの弾力化が可能な耐摩耗性に優れた圧延ロールの
開発・実用化が推進されている。
度のMC型炭化物を分散させることにより、従来のNi−
グレン鋳鉄材または高クロム鋳鉄材等を用いた耐摩耗鋳
鉄ロールに比較して、5〜15倍程度の極めて優れた耐摩
耗性を備えた点に特徴を有する。したがって、単位ロー
ル当たりの圧延量を、従来の圧延ロールの5倍以上に増
加できるといったように圧延スケジュールの大幅な拡大
を図ることが可能となり、直接的には圧延コストを低減
できるとともに、間接的には製鉄・製鋼工程における製
造ロットの集約化等により鉄鋼材の製造コストを大幅に
低減できる。
ロールとりわけ熱間仕上圧延用ロールは、通常は、外径
は600 mm以上であってその質量は5500kg以上の大質量製
品である。その一方で、圧延使用層は直径方向で100 mm
程度しかなく、また所定の廃却径になるまで表面損傷層
を複数回研削削除しながら繰り返し使用される工具であ
る。
び要研削量の大小の他に、圧延トラブルが発生した時の
疵発生の困難さおよび疵深さ、すなわち耐事故性が工具
としての圧延ロールの性能を最終的に評価する上では最
も重要な特性となる。一般に、このような圧延ロールの
性能はロール原単位 (圧延量1t当たりのロール消耗質
量:kg/t、あるいはロール費用:円/t) として表わされ
る。
要請は、耐摩耗圧延ロールの場合はV、Mo、Wあるいは
Co等の高価な合金元素を多量に添加しているため、総合
のロール原単位 (円/t) が常に従来の圧延ロールよりも
著しく大きいので一層顕著になる。仮に、正常圧延時の
ロール原単位が従来に比較して1/5 以下となったとして
も、事故時に深い疵が容易にロール表面に形成されてし
まうと総合のロール原単位が著しく悪化してしまうため
である。
性、特にロール原単位を著しく劣化させる板破断・絞り
込みトラブル時の耐クラック性 (耐絞りクラック性) を
改善することは急務の技術課題となっており、本発明者
は、先に特開平6−63725 号公報および特開平6−6374
3 号公報にて、耐絞りクラック性に優れた熱間圧延用ロ
ールの製造法を提案している。これらの提案において、
まず本発明者は耐絞りクラック性に関する材質評価試験
法として摩擦発熱急冷法を採用した。
定した試験片1 (大きさ:40×60×25mm、試験片面:40
×60mm) の試験片面2に高速回転させた軟鋼製円板3
(大きさ:直径 492×30mm) を15秒間押し付け、摩擦に
より急熱し直ちに水ジェット噴射4により水冷するもの
であり、押し付け荷重5すなわち熱衝撃量を変化させて
試験片面2に発生するクラックの深さを調査するもので
ある。
試験片の断面硬さ分布 (熱衝撃面に対して垂直な切断
面) を示すものであるが、熱衝撃を受けた表層部に急激
な硬さ変化を伴う組織変質層が認められる。
仕上圧延機において絞り込みに遭遇した耐摩耗ロールの
クラック発生部に生じている現象と同一であることを知
り、熱間圧延用ロールの耐事故性を評価する試験方法と
して、この方法を用い、各種溶製条件および成分の耐摩
耗ロール材の耐事故性を評価した。
特開平6−63743 号公報において提案した耐事故性に優
れた熱間圧延用ロールの製造法は、特にロールの素材と
なる鋳塊の製造法に関するものであり、鋳塊の凝固速度
を6mm/min以下とすることにより耐事故性に優れた凝固
組織を得ることに特徴があった。すなわち、絞り込み時
の熱衝撃により、容易にクラックが発生・伝播しやすい
粗大共晶炭化物の晶出量を抑制することによりクラック
深さの軽減を図ろうとするものであった。
した場合においてもクラック深さは熱衝撃量に応じて深
くなるので、更に耐絞りクラック性を改善する必要のあ
ることが判明した。ここに、本発明の目的は、上述の技
術が有する問題に鑑み、本質的に耐事故性に優れた熱間
圧延用ロールを提供することにある。
解決するため種々検討を重ねた結果、絞り込み時の熱衝
撃によって生ずるクラックの深さは組織変質層の大きさ
と強い相関があることを見出し、かつ組織変質層の大き
さはロール物性値、特に熱伝導率により影響されること
を知り、この熱伝導率を適正な範囲に限定することによ
り、熱間圧延用ロールの耐事故性を著しく改善できるこ
とを見出して本発明を完成した。
延使用層が、重量%で、C:1.5 〜2.5 %、Si:1.2 %
以下、Mn:1.2 %以下、Cr:1.5 〜6.0 %、Mo+0.5
W:1.5 〜5.0 %およびV:4.5 〜8.0 %を含有し、か
つ下記(1) 式を満足する組成を有する耐事故性に優れた
高炭素高バナジウム系耐摩耗鉄合金からなることを特徴
とする熱間圧延用ロールである。 13Si+2W+1.8Cr +Mo<14% ・・・・・(1) この本発明により、圧延使用層の熱伝導率を24kcal/m・
h・℃以上にすることができる。 後述するように、圧延
使用層の熱伝導率は、合金組成の規制、および焼入れま
たは焼もどしなどの熱処理条件の変更によって調整する
ことができる。
面の研削手入れを行いながら繰り返し使用するロールの
作業面を常に構成するある厚さのロール表層を言い、新
品時に通常40〜60mm厚さの領域として定義される。これ
は鋳造あるいは鍛造を行って得られるロール本体表層を
調質することによって硬化されて形成される。ロール自
体の構成は、単体ロールでも複合ロールでもよい。
する。本発明によれば、圧延使用層の熱伝導率を24kcal
/m・h・℃以上とするが、それは、最大クラック深さを
従来のそれと比較して25%以上減少させるためである。
以下その理由について詳述する。
付け荷重を変化させて実施した摩擦発熱急冷試験により
得られた、各試験片の組織変質層の大きさとクラック深
さとの関係を示したものである。図中、記号A、B、
C、DおよびEで示す鋼種の化学組成を表1に示す。
の大きさ、つまり硬さがロール本来の値にもどるまでの
表面からの深さとクラック深さとの間に強い相関があ
り、耐事故性を改善するためにはこの組織変質層の形成
を極力軽減するような熱間圧延用ハイスロールであれば
よい。
大きさの約1.7 乗に比例して大きくなるので、例えば同
一熱衝撃量によるクラック深さを25%以上および30%以
上減少させるためには、組織変質層の大きさをそれぞれ
15%以上および21%以上減少させれば良いことになる。
のロール表層部に、このような組織変質層が生じるの
は、絞り込みによりロール表面がAc1点以上に加熱され
てから急冷されるためであり、更に重度の場合には溶融
して板が焼付く程の非常な高温まで急速加熱後、急冷さ
れるためである。
この急熱急冷は極く短時間で行われる。このような大熱
量が短時間で入熱する場合のロール表層部の温度上昇、
すなわち組織変質層の大きさは、ロールの物性値、特に
熱伝導率に大きく依存し、熱伝導率が大であるほど表層
部の温度上昇が小さくなり、それに伴う組織変質も少な
くなると考えられる。
度と熱伝導率との関係を計算で求めた結果を示すグラフ
であり、従来の耐摩耗ロール材の熱伝導率の範囲である
16〜20kcal/m・h・℃の場合にはロール表面温度が液相
線近傍 (1200℃) に達する超急速加熱に対しても、熱伝
導率が24kcal/m・h・℃以上であれば、それよりも100
℃以上低い1100℃以下のロール表面温度となり、破断し
た板の焼付きも生じにくく、熱的のみならず機械的負荷
も小さくなる。
840 ℃とされている) になる位置 (ロール表面からの距
離) と熱伝導率との関係を計算で求めた結果を示すグラ
フであるが、組織変質は少なくともAc1 点以上になる位
置まで発生するので、熱伝導率を24kcal/m・h・℃以上
にすれば、従来の耐摩耗ロール材と比較して組織変質層
の大きさを少なくとも15%以上小さくすることができ、
その結果、クラック深さを少なくとも25%以上小さくす
ることができる。
ールの圧延使用層を構成する材料の熱伝導率を高くする
こと、具体的には24Kcal/m・h・℃以上とするのであ
る。好ましくは25kcal/m・h・℃以上である。次に、本
発明にかかる耐摩耗性熱間圧延用ロールの圧延使用層の
化学組成について説明する。
においては、粒状で高硬度のMC型炭化物を多量に分散
させて耐摩耗性を確保する。このようなMC型炭化物を
必要な量だけ形成するために、鉄合金中のC含有量およ
びV含有量を、それぞれ1.5〜2.5 %、4.5 〜8.0 %と
限定する。C含有量およびV含有量が、それぞれ1.5%
未満、4.5 %未満では生成される炭化物量が不足し、圧
延スケジュールを大幅に拡大できる程度に耐摩耗性を向
上することができず、一方C含有量およびV含有量がそ
れぞれ2.5 %超、8.0 %超であると、得られた鋳塊の凝
固組織の均質性が劣化するからである。
発明者が例えば特開平3−56642 号公報により提案した
熱間圧延用鍛造ロールの組成、すなわちSi :1.2 %以
下、 Mn:1.2 %以下、 Cr:1.5 〜6.0 %、Mo + 0.
5W:1.5 〜5.0 %、必要に応じて、Ni :3.0 %以下、
Co:5.0 %以下、Nb:2.0 %以下およびTi:2.0 %以下
からなる群から選ばれた1種または2種以上、残部Feお
よび不可避的不純物から成る組成内から適宜選択すれば
よい。
率が24kcal/m・h・℃以上の熱間圧延用ロールとするた
めには、熱伝導率を劣化させるSi量、W量、Cr量、およ
びMo量を低減する。特に、Si量の低減が有効である。換
言すれば、本発明における圧延使用層の合金組成として
は、上述の組成範囲内であって熱伝導率が24kcal/m・h
・℃以上を示すものと言うことができる。
伝導率と鋼組成 (13Si+2W+1.8Cr+Mo) との相関を示
すグラフであり、具体的には後述する実施例における従
来例に見られる組成例ではいずれも (13Si+2W+1.8Cr
+Mo) が14以上となり、その結果、熱伝導率が24kcal/m
・h・℃以上を示すものが見られない。なお、図中、符
号1、2で示すものが本発明例であり、それぞれ表3の
本発明例1、2に相当する。
製造法について述べれば、まず鋳塊の製造法としては特
開平6−63725 号公報および特開平6−63743 号公報に
提案した如く、例えば6mm/min以下と凝固速度が小さい
ほど望ましいが、本発明の場合においては熱衝撃により
発生する組織変質層の大きさを根源的に軽減しようとす
るものであるから、特にその範囲を限定しようとするも
のではない。
低いほど、また焼きもどし温度が高いほど、熱伝導率が
大となるので好ましい。前述の図6に示す結果からも分
かるように、焼戻し温度を530 ℃から570 ℃に上昇させ
ることによって同一鋼組成であっても熱伝導率は1〜3
kcal/m・h・℃増加する。次に、実施例によって本発明
の作用についてさらに具体的に説明する。
に示す焼入れ、焼戻し条件で処理し、熱伝導率を測定す
るとともに、前述のロール表面および断面温度の評価を
行った。結果は同じく表3にまとめて示す。
ものであるが、本発明によれば、表面温度は1100℃以下
となり優れた耐事故性を示すことが分かる。これに対し
て比較例ではいずれも熱伝導率が24kcal/m・h・℃未満
であり、その結果表面温度は1120℃を超えた高温になっ
ている。
定したものであるが、上述の結果からは、正常圧延時に
おいても、より以上の優れた性能が発揮できることが分
かる。すなわち、正常圧延時には、圧延材との接触弧面
内でロール表面は加工熱、伝熱、および摩耗発熱により
500 ℃以上に昇温するとされているが、この場合にも熱
伝導率が大きい本発明にかかるロールの方が最高到達温
度が低くなり耐摩耗性・耐肌荒性の観点から良好な成績
が得られることが分かる。
耗性および耐事故性に優れた熱間圧延用ロールが具現化
でき、ロール原単位の著しい向上が可能となる。
熱急冷試験要綱を示す説明図である。
に対して垂直な切断面の硬さ分布を示すグラフである。
層の大きさとクラック深さとの関係を示すグラフであ
る。
率との関係を計算で求めた結果を示すグラフである。
からの距離) と熱伝導率との関係を計算で求めた結果を
示すグラフである。
の相関を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 圧延使用層が重量%で、C:1.5 〜2.5
%、Si:1.2 %以下、Mn:1.2 %以下、Cr:1.5 〜6.0
%、Mo+0.5 W:1.5 〜5.0 %およびV:4.5 〜8.0 %
を含有し、かつ下記(1) 式を満足する組成を有する耐事
故性に優れた高炭素高バナジウム系耐摩耗鉄合金からな
ることを特徴とする熱間圧延用ロール。 13Si+2W+1.8Cr +Mo<14% ・・・・・(1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6243010A JP2988275B2 (ja) | 1994-10-06 | 1994-10-06 | 熱間圧延用ロール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6243010A JP2988275B2 (ja) | 1994-10-06 | 1994-10-06 | 熱間圧延用ロール |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08104948A JPH08104948A (ja) | 1996-04-23 |
JP2988275B2 true JP2988275B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=17097549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6243010A Expired - Lifetime JP2988275B2 (ja) | 1994-10-06 | 1994-10-06 | 熱間圧延用ロール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2988275B2 (ja) |
-
1994
- 1994-10-06 JP JP6243010A patent/JP2988275B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08104948A (ja) | 1996-04-23 |
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