JP2927068B2 - ポリプロピレン多孔膜 - Google Patents

ポリプロピレン多孔膜

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JP2927068B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリプロピレン
多孔膜に関するものであり、詳しくはポリマーブレンド
によって構成される、該熱可塑性樹脂を島とする海島構
造を有するブレンド物を延伸することによって得られる
多数の微細で均一な貫通透孔を有する新規なポリプロピ
レン多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】多数の貫通微細多孔を有する高分子多孔
膜は、空気の浄化、水処理、超純水の製造などに使用す
る濾過膜あるいは分離膜又は血漿分離膜、人工肺などの
医療材料、あるいは電池、電気分解などに使用する電池
セパレータなど各種の分野で利用され、用途の拡大も盛
んであり、今、益々需要の増大が期待されている材料で
ある。
【0003】高分子多孔膜は、基本的には、高分子材料
を塑性化せしめ、次いで多孔化することによって得られ
る。これら高分子多孔膜の外観、状態、物性などは、使
用する高分子材料及び多孔化の方法によって様々に変化
する。従来の高分子多孔膜は、この多孔化の方法によ
り、下記(1)〜(3)のものに分類される。
【0004】(1)高分子材料溶液を調製し、これを中
空糸、フィルムなど種々の形状に成形した後、良溶媒−
貧溶媒からなる混合溶液と接触することによる溶媒除去
工程で多孔化して得られる高分子多孔膜。 (2)高分子材料に、シリカ、アルミナ、無機塩類など
の無機材料あるいは他の高分子材料等の添加物を添加し
て成形した後、該添加物を溶媒抽出し、多孔化して得ら
れる高分子多孔膜。
【0005】(3)熱可塑性の結晶性高分子材料を成形
したのち熱処理し、これに続く延伸工程で多孔化して得
られる高分子多孔膜。 しかしながら、これら従来技術によって得られている高
分子多孔膜は、種々の欠点を有する。上記(1)の高分
子多孔膜は、膜の表面と内部で大きさの不整な孔を持つ
膜であることが多い。また、多孔化の方法に関しても、
溶液からの成形、貧溶媒との接触、溶媒の蒸発などの工
程が複雑であるばかりでなく、大量に使用する有機溶媒
の管理、処理などの問題も付随して発生する。
【0006】上記(2)の高分子多孔膜においては、成
形物内部に存在する添加物を溶媒抽出によって完全に除
くことは著しく困難であり、該高分子多孔膜の内部に
は、必ず添加物が含まれる。また、良好な成形物を得る
ための添加物の充填量の限界、成形物内部での添加物の
凝集などの問題もある。このため、上記(2)の高分子
多孔膜の物性は、膜素材よりむしろ添加物そのものの性
質に大きく依存する場合がある。従って、上記(2)の
高分子多孔膜は、微細で均一な貫通透孔を有する膜とは
言い難い。
【0007】上記(3)の高分子多孔膜は、延伸前の成
形物が、整然と配向したラメラ晶をもつ成形物である場
合にのみ、微細で均一な貫通透孔を有する。しかし、こ
の性質を満足する高分子材料は、アイソタクチックポリ
プロピレン、高密度ポリエチレンといった特定のポリマ
ーに限定されるので、この方法を種々の高分子材料に適
用するのは困難である。
【0008】また、最近ポリマーブレンドフィルムを延
伸してフィルム内部に空孔を発生させた多孔フィルム及
び該フィルムを得る方法が提案されており、例えば、特
開昭60−60138号公報に開示されている。上記公
報においては、変性ポリオレフィンあるいはポリスチレ
ンと、これらより実質的に高い融点を持つポリアミドと
のブレンドフィルムを、該ポリアミドの融点以上で、該
ポリアミドが海成分となるように溶融押出成形し、得ら
れたフィルムを延伸することによりポリアミド多孔フィ
ルムを得ている。しかしながら、上記公報記載の方法に
よって得られる上記多孔フィルムは、部分的には多孔構
造を持つかもしれないが、多数の貫通透孔を持つ膜であ
るとは考え難い。それは、延伸前のフィルムにおいて、
変性ポリオレフィンあるいはポリスチレンが形成すると
考えられる島の形状が、球状ではなく長円形あるいは棒
状となりやすく、また、延伸時のポリアミドの変形にと
もない、島成分も相当変形するであろうと考えられるこ
とによる。従って、上記公報記載の方法によって得られ
る高分子多孔膜は、多数の微細で均一な貫通透孔を有す
る多孔膜のみに期待できる、各種分離膜、医療材料ある
いは電池セパレータなどの用途に使用することは出来な
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
公知の多孔膜は、各種の高分子材料からなる多数の微細
で均一な貫通透孔を有する膜という観点に立ってみれ
ば、充分なものとはいえない。従って、本発明の目的
は、貫通透孔構造を利用した種々の濾過膜、分離膜、医
療材料あるいは電池セパレータなどに適用できる多数の
微細で均一な貫通透孔を有する多孔膜を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来提供
されている多孔膜の欠点について、材料、組成、成形条
件、多孔化条件など種々の角度から綿密に検討を重ねた
結果、ポリプロピレンと、特定の熱可塑性樹脂との海島
構造を有するブレンド物から得られる膜が、上記目的を
達成するものであることを知見した。
【0011】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を用いて変
性した変性ポリプロピレンと、該変性ポリプロピレンと
反応しうる官能基を有する熱可塑性樹脂とからなり、該
熱可塑性樹脂を島とする海島構造を有するブレンド物を
延伸することによって多孔化した膜であって、熱可塑性
樹脂からなる島成分間に島を中心として放射状に形成さ
れる多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成
される多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多孔
膜であることを特徴とするポリプロピレン多孔膜を提供
するものである。
【0012】以下、本発明のポリプロピレン多孔膜につ
いて詳述する。本発明における不飽和カルボン酸あるい
はその誘導体を用いて変性したポリプロピレンとは、不
飽和カルボン酸あるいはその誘導体と、ポリプロピレン
とを接触させ、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸ある
いはその誘導体を化学的に結合してなる構造を有するも
のである。
【0013】上記不飽和カルボン酸あるいはその誘導体
としては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタ
アクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸及び/又はこれらのエステル、酸無水物、金
属塩、酸クロライドなどが挙げられる。これらのうち、
ポリプロピレンとの反応の容易さ及び官能基の反応性を
勘案すると、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に
採用され、無水マレイン酸が特に好適に採用される。
【0014】本発明における、上記不飽和カルボン酸あ
るいはその誘導体を用いて変性されるポリプロピレンと
しては、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチッ
クポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン
あるいはエチレン−プロピレンブロック共重合体等のポ
リプロピレンあるいはポリプロピレン誘導体が挙げら
れ、好適にはアイソタクチックポリプロピレンが挙げら
れる。特に好適にはメルトインデックス(230℃、
2.16±0.01kgf/cm2 )が0.1〜30g/1
0min のアイソタクチックポリプロピレンが挙げられ
る。
【0015】上記不飽和カルボン酸あるいはその誘導体
による上記ポリプロピレンの変性は、基本的には両成分
が接触さえすればよく、この接触には、溶液状態、溶融
状態での接触が好適に採用されるが、大量に、しかも効
率良く変性するには、170〜300℃程度の温度での
溶融混練が特に好適である。上述のように接触を行う際
に、上記不飽和カルボン酸あるいはその誘導体は、上記
ポリプロピレンに対して0.05〜2.0重量%となる
ように添加するのが好適であり、0.1〜1.0重量%
となるように添加するのが特に好適である。
【0016】また、上記不飽和カルボン酸あるいはその
誘導体の添加と同時に、上記ポリプロピレンに対し、好
適には0.001〜0.3重量%程度となるように、有
機過酸化物を添加すれば、ポリプロピレンの変性は一層
効果的に進行する。上記有機過酸化物の種類は、溶融混
練する温度に応じて適宜選択される。本発明における、
上記変性ポリプロピレンと反応しうる官能基を有する熱
可塑性樹脂とは、カルボキシル基、カルボン酸エステル
あるいは酸無水物などと反応しうる官能基をもつ熱可塑
性樹脂である。
【0017】上記官能基としては、例えば、アミノ基、
水酸基、グリシジル基、イミノ基などが挙げられる。上
記熱可塑性樹脂としては、上記ポリプロピレンの融点以
上の融点及び/又はガラス転移点をもち、かつ350℃
以下で溶融混練できる樹脂が好適に採用される。具体的
には、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエ
ーテル、ポリアセタール、ポリ尿素及びこれらの混合物
あるいは共重合体が挙げられ、ナイロンが特に好適に採
用される。
【0018】上記熱可塑性樹脂の好適な例であるナイロ
ンとしては、上記ポリプロピレンの融点以上の融点及び
/又はガラス転移点をもち、かつ350℃以下で溶融混
練できるものが挙げられる。例えば、蓚酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、1,4シクロヘキシルジカルボン
酸のようなジカルボン酸類と、エチレンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメ
チレンジアミン、1,4シクロヘキシルジアミン、1,
3シクロヘキサンビスメチルジアミン、トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、4,4’ジアミノジシクロヘキシ
ルメタン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジ
アミンのようなジアミン類から得られるナイロン塩を重
縮合して得られるナイロン、ピロリドン、カプロラクタ
ム、ドデカラクタムなどの環状アミド化合物あるいはε
−アミノカプロン酸、ω−アミノドデカン酸などのアミ
ノ酸を重縮合して得られるナイロン、あるいはこれらの
ナイロンの混合物あるいは共重合物が挙げられる。好適
にはナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン12、ナイロンMXD6などを挙げる
ことができ、特に好適にはナイロン6、ナイロン66、
ナイロンMXD6などを挙げることができる。
【0019】上記変性ポリプロピレンに対する、上記熱
可塑性樹脂の配合割合は、変性ポリプロピレン100重
量部に対して、好適には5〜140重量部であり、特に
好適には10〜100重量部である。また、通常これら
のポリマーに使用されている酸化防止剤、熱安定剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤などの各種添加剤は、通常使用
されている量においてこれらを添加しても、本発明の効
果を何ら妨げるものではない。
【0020】本発明における、海島構造を有するブレン
ド物とは、海成分が上記変性ポリプロピレンからなり、
島成分が上記熱可塑性樹脂(好適にはナイロン)からな
るブレンド物であり、いわゆる二成分から形成される単
純ブレンド物とは異なる。上記ブレンド物は、海成分と
島成分の相互作用を意識的に高めたものであって、上記
変性ポリプロピレンの変性部位と、上記熱可塑性樹脂の
官能基部位との反応による生成物部分が、海成分と島成
分との界面の近傍に集中的に存在し、海成分と島成分と
の相互作用を高めたブレンド物である。
【0021】本発明における海成分と島成分との上記相
互作用は、上記変性部位及び官能基部位の種類及び/又
は濃度比等によって様々に変化させることが可能であ
る。従って、本発明における上記該ブレンド物は、海成
分と島成分との相互作用を制御した、言い換えれば、島
成分の大きさを制御したブレンド物である。本発明にお
ける上記ブレンド物中の島成分の形状は、ほぼ球状をな
し、該島成分は、ブレンド物中にランダムに分散してい
る。上記島成分の大きさとは、ほぼ球状をなす上記島成
分の平均的な直径をいう。上記島成分の大きさは必要に
応じて様々に変化させうるが、実質的には0.05〜1
0μmであり、好適には0.1〜5μmである。
【0022】本発明における、上記ブレンド物を多孔化
するための延伸法は、フィルムあるいは中空糸などを延
伸する際に採用されている一般的な延伸法により行うこ
とができる。フィルム状ブレンド物の延伸においては、
一軸延伸のみならず、同時及び逐次二軸延伸も適用でき
る。上記一軸延伸を適用する場合には、上記フィルム状
ブレンド物を、温度50〜130℃、速度1〜1000
00%/minで2倍〜15倍に延伸すればよい。
【0023】上記同時二軸延伸を適用する場合には、温
度50〜130℃において、上記フィルム状ブレンド物
を、一方の方向に速度1〜100000%/minで2
倍〜15倍、この方向に対して90°の方向に速度1〜
100000%/minで1.2倍〜15倍に、同時に
延伸すればよい。また、上記逐次二軸延伸を適用する場
合には、上記フィルム状ブレンド物を、温度50〜13
0℃、速度1〜100000%/minで2倍〜15倍
に延伸し、さらに上記延伸方向に対して90°の方向
に、温度50〜130℃、速度1〜100000%/m
inで1.2倍〜15倍に延伸すればよい。
【0024】本発明における、島成分間に島を中心とし
て放射状に形成される多数のフィブリルと、該フィブリ
ル間の間隙に形成される多数の微細で且つ均一な貫通透
孔とは、延伸により、ブレンド物中にランダムに分散し
ている島成分間の距離が大きくなり、海成分がフィブリ
ル状に変形することによって、海成分のみで構成されて
いた島成分間が、島成分間をつなぐフィブリル状物とそ
のフィブリル状物の間隙に発生する空孔に変化したもの
をいう。この際、上述のような延伸によって、島成分及
び上記変性ポリプロピレンの変性部位と、熱可塑性樹脂
の官能基部位との反応による生成物部分が主として形成
している、海成分と島成分との界面は変形することはな
い。
【0025】本発明のポリプロピレン多孔膜の形状は、
延伸前のブレンド物の形状によって種々のものが選択で
きる。好適には中空糸状、フィルム状であり、特に好適
にはフィルム状である。本発明の高分子多孔膜の膜厚
は、延伸前のブレンド物の厚さに依存し、ブレンド物が
フィルム状の場合には、好適には1〜2000μm、特
に好適には10〜1000μmである。
【0026】本発明のポリプロピレン多孔膜の物性とし
ては、空孔率が、好適には30〜85%、特に好適には
40〜80%であり、平均孔径が、好適には0.005
〜2μm、特に好適には0.01〜1μmであり、透水
速度が、好適には1〜200l/min m2 kgf/cm2
特に好適には5〜100l/min m2 kgf/cm2 であ
る。
【0027】以上のような特徴を有する本発明のポリプ
ロピレン多孔膜は、これを濾過膜に用いた場合、長期間
にわたって透過速度や分離機能が低下することなく、ま
た、該多孔膜を電池セパレータに用いた場合には、イオ
ンの移動が容易で、かつ電池の種類及び形状に合わせて
種々の電解質が使用できるとともに、種々の形状に裁断
することが可能である。
【0028】
【実施例】本発明を実施例によってさらに具体的に説明
するが、本発明はもちろん下記の実施例に何ら制限され
るものではない。 実施例1 メルトインデックス(MI)が0.8g/10min、
密度が0.9g/cm2 のポリプロピレン〔宇部興産
(株)製B101H(B101Hは商品名)〕99.6
重量%、t−ブチルパーオキシベンゾエーテル〔日本油
脂(株)製パーブチルZ(パーブチルZは商品名)〕
0.2重量%及び無水マレイン酸0.2重量%をドライ
ブレンドし、これを内径3 mmのダルメージ型スクリュ
ウ単軸押出成形機(L/D=20)に供し、200℃で
ポリプロピレンの変性を行い、変性ポリプロピレンを得
た。押出成形機内の滞留時間は、約5分であった。
【0029】得られた変性ポリプロピレンを60重量
%、ナイロン66〔宇部興産(株)製2015B(20
15Bは商品名)〕を40重量%の割合で混合し、内径
30mmの同方向回転二軸スクリュウ押出成形機を用いて
300℃で押出成形を行いブレンド物を得た。得られた
ブレンド物の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観
察すると、該ブレンド物は直径約0.7μmの球状物が
ランダムに分散した海島構造であった。
【0030】続いて、このブレンド物を、T型ダイスを
装着した内径30mmの押出成形機を用いて240℃で押
出し、100℃のロールで冷却し、厚さ50μm、幅3
00mmのフィルムを作成した。このフィルムを、温度9
0℃、速度10000%/min で9倍延伸し、さらに前
記延伸方向に対して90°の方向に、同温度、速度50
%/min で4倍の延伸を行って延伸物を得た。
【0031】得られた延伸物の表面及び内部をSEMに
よって観察したところ、該延伸物は、図1に示す如く、
上記ブレンド物において認められた直径約0.7μmの
球状物(島)間に、該球状物を中心として放射状に形成
される多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形
成される多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多
孔膜であることが確認された。得られた多孔膜に水を接
触させても外観上何ら変化は観察されなかったが、エタ
ノールと接触させると瞬時にエタノールの浸透現象が観
察された。
【0032】得られた上記多孔膜の平均孔径及び空孔率
は、水銀圧力式細孔分布測定装置を用いて測定し、平均
孔径及び空孔率はそれぞれ0.07μm及び56%であ
った。また、引張物性及び透水速度の測定を行い、フィ
ルム引取り方向を縦とすると、引張強度はいずれも20
0kgf/cm2 、伸びは縦方向が30%、横方向が40%
であり、透水速度は15l/min m2 kgf/cm2 であっ
た。
【0033】実施例2 実施例1で得られたブレンド物のフィルムを、温度90
℃、速度50%/minで9倍の一軸延伸を行って、延伸
物を得た。得られた延伸物の表面及び内部をSEMによ
って観察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物にお
いて認められた直径約0.7μmの球状物(島)と、こ
の球状物間に、該球状物を中心として放射状に形成され
る多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成さ
れる多数の微細で均一な貫通透孔とからなる多孔膜であ
ることが確認された。得られた多孔膜に水を接触させて
も外観上何ら変化は観察されなかったが、エタノールと
接触させると瞬時にエタノールの浸透現象が観察され
た。
【0034】実施例3 実施例1で得られたブレンド物のフィルムを、温度90
℃、速度10000%/min で9倍延伸し、さらに同方
向に速度50%/min で3倍延伸して延伸物を得た。得
られた延伸物の表面及び内部をSEMによって観察した
ところ、該延伸物は、上記ブレンド物において認められ
た直径約0.7μmの球状物(島)と、この球状物間
に、該球状物を中心として放射状に形成される多数のフ
ィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成される多数の
微細で均一な貫通透孔とからなる多孔膜であることが確
認された。得られた多孔膜に水を接触させても外観上何
ら変化が観察されなかったが、エタノールと接触させる
と瞬時にエタノールの浸透現象が観察された。
【0035】実施例4 実施例1と同様な方法で得た、厚さがそれぞれ100、
200、500、1000μmであるブレンド物のフィ
ルムを、実施例1と同様に逐次二軸延伸を行って延伸物
を得た。得られた延伸物の表面及び内部をSEMによっ
て観察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物におい
て認められた直径約0.7μmの球状物(島)と、この
球状物間に、該球状物を中心として放射状に形成される
多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成され
る多数の微細で均一な貫通透孔からなる多孔膜であるこ
とが確認された。得られた多孔膜に水を接触させても外
観上何ら変化が観察されなかったが、エタノールと接触
させると瞬時にエタノールの浸透現象が観察された。
【0036】実施例5 実施例1で用いた変性ポリプロピレン及びナイロン66
をそれぞれ70重量%及び30重量%混合し、実施例1
と同様にしてブレンド物を得た。ブレンド物の断面をS
EMで観察すると、ブレンド物は直径約0.5μmの球
状物がランダムに分散した海島構造であった。
【0037】続いて、このブレンド物から、実施例1と
同様にして厚さ50μm、幅300mmのフィルムを作成
し、該フィルムを実施例1と同様な条件で延伸して延伸
物を得た。得られた延伸物の表面及び内部をSEMによ
って観察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物にお
いて認められた直径約0.5μmの球状物(島)とこの
球状物間に、該球状物を中心として放射状に形成される
多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成され
る多数の微細で均一な貫通透孔からなる多孔膜であるこ
とが確認された。得られた膜に水を接触させても外観上
何ら変化が観察されなかったが、エタノールと接触させ
ると瞬時にエタノールの浸透現象が観察された。
【0038】比較例1 MIが30g/10分、密度が0.9g/cm3 のポリプ
ロピレン〔宇部興産(株)製J130G(J130Gは
商品名)〕60重量%と、実施例1で用いたナイロン6
6、40重量%とを混合し、実施例1と同様にしてブレ
ンド物を得た。このブレンド物から実施例1と同様にし
て厚さ50μm、幅300mmのフィルムを作成した。得
られたフィルムを温度90℃、速度50%/min で延伸
を試みたが、フィルムは直に切断を起こし、実質的に延
伸できなった。
【0039】比較例2 実施例1で用いた変性ポリプロピレン30重量%と、ナ
イロン6〔宇部興産(株)製1013B(1013Bは
商品名)〕70重量%とを混合し、実施例1と同様にし
て厚さ50μm、幅300mmのフィルムを得た。得られ
たフィルムを実施例2と同様の方法で延伸を行った。こ
の延伸フィルムの表面及び内部をSEMで観察したが、
孔の発生はほとんど認められなかった。また、上記延伸
フィルムをエタノールと接触させたところ、エタノール
はフィルムの表面に拡がるだけで、浸透現象は全く観察
されなかった。
【0040】比較例3 比較例2で得られたフィルムを、実施例1と同様な条件
で延伸を行った。この延伸フィルムの表面及び内部をS
EMで観察したが、孔の発生はほとんど認められなかっ
た。また、上記延伸フィルムをエタノールと接触させた
ところ、エタノールはフィルムの表面に拡がるだけで、
浸透現象は全く観察されなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン多孔膜は、大き
さ及び形状が均一な貫通透孔を多数有し、しかも空孔率
が高いため、分離膜に用いた場合、優れた透過速度と選
択分離能を有することが期待できる。また、本発明のポ
リプロピレン多孔膜は、必要に応じて様々の膜厚及び孔
サイズとすることができるため、濾過性能の優れた種々
の形状の膜モジュールの提供を可能にし、水処理、空気
の浄化等に好適に利用される。さらに、本発明のポリプ
ロピレン多孔膜は、均一な貫通透孔のみならず、膜素材
そのものの絶縁性、耐薬品性を活かした電池セパレータ
としても好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた、本発明のポリプ
ロピレン多孔膜の構造を示す走査型電子顕微鏡(SE
M)写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−60138(JP,A) 特公 昭49−34746(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 9/00 - 9/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を
    用いて変性した変性ポリプロピレンと、該変性ポリプロ
    ピレンと反応しうる官能基を有する熱可塑性樹脂とから
    なり、該熱可塑性樹脂を島とする海島構造を有するブレ
    ンド物を延伸することによって多孔化した膜であって、
    熱可塑性樹脂からなる島成分間に島を中心として放射状
    に形成される多数のフィブリルと、該フィブリル間の間
    隙に形成される多数の微細で且つ均一な貫通透孔とから
    なる多孔膜であることを特徴とするポリプロピレン多孔
    膜。
  2. 【請求項2】 変性ポリプロピレンと反応しうる官能基
    を有する熱可塑性樹脂が、ナイロンであることを特徴と
    する請求項1記載のポリプロピレン多孔膜。
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