JP3097331B2 - ポリエチレン多孔膜 - Google Patents

ポリエチレン多孔膜

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JP3097331B2
JP3097331B2 JP04189358A JP18935892A JP3097331B2 JP 3097331 B2 JP3097331 B2 JP 3097331B2 JP 04189358 A JP04189358 A JP 04189358A JP 18935892 A JP18935892 A JP 18935892A JP 3097331 B2 JP3097331 B2 JP 3097331B2
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衛一 亀井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリエチレン多
孔膜に関するものであり、詳しくはポリマーブレンドに
よって構成される、熱可塑性樹脂を島とする海島構造を
有するブレンド物を延伸することによって得られる多数
の微細で均一な貫通透孔を有する新規なポリエチレン多
孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】多数の貫通微細多孔を有する高分子多孔
膜は、空気の浄化、水処理、超純水の製造などに使用す
る濾過膜あるいは分離膜又は血漿分離膜、人工肺などの
医療材料、あるいは電池、電気分解などに使用する電池
セパレータなどの各種の分野で利用され、用途の拡大も
盛んであり、今、益々需要の増大が期待されている材料
である。
【0003】高分子多孔膜は、基本的には、高分子材料
を塑性化せしめ、次いで多孔化することによって得られ
る。これら高分子多孔膜の外観、状態、物性などは、使
用する高分子材料及び多孔化の方法によって様々に変化
する。
【0004】従来の高分子多孔膜は、この多孔化の方法
により、下記(1)〜(3)のものに分類される。 (1)高分子材料溶液を調製し、これを中空糸、フィル
ムなど種々の形状に成形した後、良溶媒/貧溶媒からな
る混合溶液と接触することによる溶媒除去工程で多孔化
して得られる高分子多孔膜。 (2)高分子材料に、シリカ、アルミナ、無機塩類など
の無機材料あるいは他の高分子材料等の添加物を添加し
て成形した後、該添加物を溶媒抽出し、多孔化して得ら
れる高分子多孔膜。 (3)熱可塑性の結晶性高分子材料を成形した後熱処理
し、これに続く延伸工程で多孔化して得られる高分子多
孔膜。
【0005】しかしながら、これら従来技術によって得
られている高分子多孔膜は、下記のような種々の欠点を
有する。
【0006】上記(1)の高分子多孔膜は、膜の表面と
内部で大きさの不整な孔を持つ膜であることが多い。ま
た、多孔化の方法に関しても、溶液からの成形、貧溶媒
との接触、溶媒の蒸発などの工程が複雑であるばかりで
なく、大量に使用する有機溶媒の管理、処理などの問題
も付随して発生する。
【0007】上記(2)の高分子多孔膜においては、成
形物内部に存在する添加物を溶媒抽出によって完全に除
くことは著しく困難であり、該高分子多孔膜の内部に
は、必ず添加物が含まれる。また、良好な成形物を得る
ための添加物の充填量の限界、成形物内部での添加物の
凝集などの問題もある。このため、上記(2)の高分子
多孔膜の物性は、膜素材よりむしろ添加物そのものの性
質に大きく依存する場合がある。従って、上記(2)の
高分子多孔膜は、微細で均一な貫通透孔を有する膜とは
言い難い。
【0008】上記(3)の高分子多孔膜は、延伸前の成
形物が、整然と配向したラメラ晶をもつ成形物である場
合にのみ、微細で均一な貫通透孔を有する。しかし、こ
の性質を満足する高分子材料は、アイソタクチックポリ
プロピレン、高密度ポリエチレンといった特定のポリマ
ーに限定されるので、この方法を種々の高分子材料に適
用するのは困難である。
【0009】また、最近、ポリマーブレンドフィルムを
延伸してフィルム内部に空孔を発生させた多孔フィルム
及び該フィルムを得る方法が提案されている。例えば、
特開昭60−60138号公報には、変性ポリオレフィ
ンあるいはポリスチレンと、これらより実質的に高い融
点を持つポリアミドとのブレンドフィルムを、該ポリア
ミドの融点以上で、該ポリアミドが海成分となるように
溶融押出成形し、得られたフィルムを延伸することによ
りポリアミド多孔フィルムを得る方法が開示されてい
る。しかしながら、上記公報に記載の方法によって得ら
れる多孔フィルムは、部分的には多孔構造を持つかもし
れないが、多数の貫通透孔を持つ膜であるとは考え難
い。それは、延伸前のフィルムにおいて、変性ポリオレ
フィンあるいはポリスチレンが形成すると考えられる島
の形状が、球状ではなく長円形あるいは棒状となりやす
く、また、延伸時のポリアミドの変形にともない、島成
分も相当変形するであろうと考えられることによる。従
って、上記公報に記載の方法によって得られる多孔フィ
ルムは、多数の微細で均一な貫通透孔を有する多孔膜の
みに期待できる、各種分離膜、医療材料あるいは電池セ
パレータなどの用途に使用することはできない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
公知の多孔膜は、各種の高分子材料からなる多数の微細
で均一な貫通透孔を有する膜という観点に立ってみれ
ば、充分なものとはいえない。
【0011】従って、本発明の目的は、貫通多孔構造を
利用した種々の濾過膜、分離膜、医療材料あるいは電池
セパレータなどに適用できる多数の微細で均一な貫通透
孔を有する多孔膜を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来提供
されている多孔膜の欠点について、材料、組成、成形条
件、多孔化条件など種々の角度から綿密に検討を重ねた
結果、特定のポリエチレンと特定の熱可塑性樹脂との海
島構造を有するブレンド物から得られる膜が、上記目的
を達成するものであることを知見した。
【0013】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を用いて変性
した変性ポリエチレンと、該変性ポリエチレンと反応し
うる官能基を有する熱可塑性樹脂とからなり、該熱可塑
性樹脂を島とする海島構造を有するブレンド物を延伸す
ることによって多孔化した膜であって、熱可塑性樹脂か
らなる島成分間に島を中心として放射状に形成される多
数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成される
多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多孔膜であ
ることを特徴とするポリエチレン多孔膜を提供するもの
である。
【0014】以下、本発明のポリエチレン多孔膜につい
て詳述する。
【0015】本発明における不飽和カルボン酸あるいは
その誘導体を用いて変性したポリエチレンとは、不飽和
カルボン酸あるいはその誘導体と、ポリエチレンとを接
触させ、ポリエチレンに不飽和カルボン酸あるいはその
誘導体を化学的に結合してなる構造を有するものであ
る。
【0016】上記不飽和カルボン酸あるいはその誘導体
としては、特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタ
アクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸及び/又はこれらのエステル、酸無水物、金
属塩、酸クロリドなどが挙げられる。これらのうち、ポ
リエチレンとの反応の容易さ及び官能基の反応性を勘案
すると、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に採用
され、無水マレイン酸が特に好適に採用される。
【0017】本発明における、上記不飽和カルボン酸あ
るいはその誘導体を用いて変性されるポリエチレンとし
ては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエ
チレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低
密度ポリエチレン(VLDPE)、超高分子量ポリエチ
レン(HMWPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−メタア
クリル酸メチル共重合体等のポリエチレンあるいはポリ
エチレン誘導体が挙げられる。好適には、LDPE、M
DPE、HDPE、LLDPE及びVLDPEが挙げら
れ、特に好適には、メルトインデックス(190℃、
2.16±0.01kgf/cm2 )が1〜100g/10
minの、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPE
及びVLDPEが挙げられる。
【0018】上記不飽和カルボン酸あるいはその誘導体
による上記ポリエチレンの変性は、基本的には両成分が
接触さえすればよく、この接触には、溶液状態、溶融状
態での接触が好適に採用されるが、大量に、しかも効率
良く変性するには、130〜300℃程度の温度での溶
融混練が特に好適である。
【0019】上述のように接触を行う際に、上記不飽和
カルボン酸あるいはその誘導体は、上記ポリエチレンに
対して0.05〜2.0重量%となるように添加するの
が好適であり、0.1〜1.0重量%となるように添加
するのが特に好適である。
【0020】また、上記不飽和カルボン酸あるいはその
誘導体の添加と同時に、上記ポリエチレンに対し、好適
には0.001〜0.1重量%程度の有機過酸化物を添
加すると、ポリエチレンの変性が一層効果的に進行す
る。上記有機過酸化物の種類は、溶融混練する温度に応
じて適宜選択される。
【0021】本発明における上記変性ポリエチレンは、
その一部を未変性ポリエチレンに置換しても良いが、そ
の場合は、上記変性ポリエチレンの割合をポリエチレン
成分中10重量%以上とする必要がある。
【0022】また、本発明における、上記変性ポリエチ
レンと反応しうる官能基を有する熱可塑性樹脂とは、カ
ルボキシル基、カルボン酸エステルあるいは酸無水基な
どと反応しうる官能基をもつ熱可塑性樹脂である。
【0023】上記官能基としては、例えば、アミノ基、
水酸基、グリシジル基、イミノ基などが挙げられる。
【0024】上記熱可塑性樹脂としては、上記ポリエチ
レンの融点以上の融点及び/又はガラス転移点をもち、
かつ350℃以下で溶融混練できる樹脂が好適に採用さ
れる。具体的には、ナイロン、ポリエステル、ポリウレ
タン、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリ尿素及びこ
れらの混合物あるいは共重合体が挙げられ、ナイロンが
特に好適に採用される。
【0025】上記熱可塑性樹脂の好適な例であるナイロ
ンとしては、上記ポリエチレンの融点以上の融点及び/
又はガラス転移点をもち、且つ350℃以下で溶融混練
できるものが挙げられる。例えば、蓚酸、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、1,4シクロヘキシルジカルボン酸
のようなジカルボン酸類と、エチレンジアミン、テトラ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチ
レンジアミン、1,4シクロヘキシルジアミン、1,3
シクロヘキサンビスメチルジアミン、トリメチルヘキサ
メチレンジアミン、4,4’ジアミノジシクロヘキシル
メタン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジア
ミンのようなジアミン類とから得られるナイロン塩を重
縮合して得られるナイロン、ピロリドン、カプロラクタ
ム、ドデカラクタムなどの環状アミド化合物あるいはε
−アミノカプロン酸、ω−アミノドデカン酸などのアミ
ノ酸を重縮合して得られるナイロン、あるいはこれらの
ナイロンの混合物あるいは共重合物が挙げられる。好適
にはナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
610、ナイロン12、ナイロンMXD6などを挙げる
ことができ、特に好適にはナイロン6、ナイロン66、
ナイロンMXD6などを挙げることができる。
【0026】上記変性ポリエチレンに対する、上記熱可
塑性樹脂の配合割合は、変性ポリエチレン(未変性ポリ
エチレンを含む場合は、変性ポリエチレンと未変性ポリ
エチレンとの合計)100重量部に対して、好適には5
〜150重量部であり、特に好適には10〜100重量
部である。
【0027】また、通常これらのポリマーに使用されて
いる酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤
などの各種添加剤は、通常使用されている量においてこ
れらを添加しても、本発明の効果を何ら妨げるものでは
ない。
【0028】本発明における、海島構造を有するブレン
ド物とは、海成分が上記変性ポリエチレンからなり、島
成分が上記熱可塑性樹脂(好適にはナイロン)からなる
ブレンド物であり、いわゆる二成分から形成される単純
ブレンド物とは異なる。
【0029】上記ブレンド物は、海成分と島成分との相
互作用を意識的に高めたものであって、上記変性ポリエ
チレンの変性部位と、上記熱可塑性樹脂の官能基部位と
の反応による生成物部分が、海成分と島成分との界面近
傍に集中的に存在し、海成分と島成分との相互作用を高
めたブレンド物である。
【0030】本発明における海成分と島成分との上記相
互作用は、上記変性部位及び上記官能基部位の種類及び
/あるいは濃度比等によって様々に変化させることが可
能である。
【0031】従って、本発明における上記ブレンド物
は、海成分と島成分との相互作用を制御した、言い換え
れば、島成分の大きさを制御したブレンド物である。
【0032】本発明における上記ブレンド物中の島成分
の形状は、ほぼ球状をなし、該島成分はブレンド物中に
ランダムに分散している。上記島成分の大きさとは、ほ
ぼ球状をなす島成分の平均的な直径をいう。上記島成分
の大きさは必要に応じ様々に変化させうるが、実質的に
は0.05〜10μmであり、好適には0.1〜5μm
である。
【0033】本発明における上記ブレンド物を多孔化す
るための延伸は、フィルムあるいは中空糸などを延伸す
る際に採用されている一般的な延伸法により行うことが
できる。フィルム状ブレンド物の延伸においては、一軸
延伸のみならず、同時及び逐次二軸延伸も適用できる。
【0034】上記一軸延伸を適用する場合には、上記フ
ィルム状ブレンド物を、温度−100〜100℃、速度
1〜100000%/minで2〜15倍に延伸すれば
よい。
【0035】上記同時二軸延伸を適用する場合には、温
度−100〜100℃において、上記フィルム状ブレン
ド物を、一方の方向に速度1〜100000%/min
で2〜15倍、この方向に対して90°の方向に速度1
〜100000%/minで2〜15倍に、同時に延伸
すればよい。
【0036】また、上記逐次二軸延伸を適用する場合に
は、上記フィルム状ブレンド物を、温度−100〜10
0℃、速度1〜100000%/minで2〜15倍に
延伸し、さらに上記延伸方向に対して90°の方向に、
温度−100〜100℃、速度1〜100000%/m
inで2〜15倍に延伸すればよい。
【0037】本発明における、島成分間に島を中心とし
て放射状に形成される多数のフィブリルと、該フィブリ
ル間の間隙に形成される多数の微細で且つ均一な貫通透
孔とは、延伸により、ブレンド物中にランダムに分散し
ている島成分間の距離が大きくなり、海成分がフィブリ
ル状に変形することによって、海成分のみで構成されて
いた島成分間が、島成分間をつなぐフィブリル状物とそ
のフィブリル状物の間隙に発生する空孔に変化したもの
をいう。この際、上述のような延伸によって、島成分、
及び上記変性ポリエチレンの変性部位と上記熱可塑性樹
脂の官能基部位との反応による生成物部分が主として形
成している、海成分と島成分との界面は、変形すること
はない。
【0038】本発明のポリエチレン多孔膜の形状は、延
伸前のブレンド物の形状によって種々のものが選択でき
る。好適には中空糸状、フィルム状であり、特に好適に
はフィルム状である。
【0039】また、本発明のポリエチレン多孔膜の膜厚
は、延伸前のブレンド物の厚さに依存し、ブレンド物が
フィルム状である場合には、好適には1〜2000μ
m、特に好適には10〜1000μmである。
【0040】本発明のポリエチレン多孔膜の物性として
は、空孔率が、好適には30〜85%、特に好適には4
0〜80%であり、平均孔径が、好適には0.005〜
2μm、特に好適には0.01〜1μmであり、透水速
度が、好適には1〜200l/min・m2 ・kgf/cm
2 、特に好適には5〜100l/min・m2 ・kgf/
cm2 である。
【0041】以上のような特徴を有する本発明のポリエ
チレン多孔膜は、これを濾過膜に用いた場合には、長期
間にわたって透過速度や分離機能が低下することがな
く、また、該多孔膜を電池セパレータに用いた場合に
は、イオンの移動が容易で、かつ電池の種類及び形状に
合わせて種々の電解質が使用できるとともに、種々の形
状に裁断することができる。
【0042】
【実施例】本発明を実施例によってさらに具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に何ら制限されるもので
はない。
【0043】実施例1 メルトインデックス(MI)が40g/10分、密度が
0.916g/cm3 のポリエチレン〔商品名:JL40
16、宇部興産(株)製〕98.58重量%、有機過酸
化物〔商品名:パーブチルH−80、日本油脂(株)
製〕0.42重量%及び無水マレイン酸1.0重量%を
ドライブレンドし、これを内径30mmの同方向回転二軸
スクリュウ押出成形機に供し、250℃でポリエチレン
の変性を行い、変性ポリエチレンを得た。押出成形機内
の滞留時間は約5分であった。
【0044】得られた上記変性ポリエチレンを14重量
%、MIが4g/10分、密度が0.938g/cm3
ポリエチレン〔商品名:RA438U、宇部興産(株)
製〕を56重量%及びナイロン6〔商品名:1013
B、宇部興産(株)製〕を30重量%の割合で混合し、
内径30mmの同方向回転二軸スクリュウ押出成形機を用
いて260℃で押出成形を行いブレンド物を得た。この
ブレンド物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察
すると、該ブレンド物は直径約0.4μmの球状物がラ
ンダムに分散した海島構造であった。
【0045】続いてこのブレンド物を、幅300mmのT
型ダイスを装着した内径30mmの押出成形機を用いて1
90℃で押出し、110℃のロールで冷却し、厚さ10
0μm、幅250mmのフィルムを作成した。このフィル
ムを温度23℃、速度100%/minで9倍延伸し、
さらに前記延伸方向に対して90°の方向に同温度、同
速度で2.8倍の延伸を行った。
【0046】得られた延伸物の表面及び内部をSEMに
よって観察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物に
おいて認められた直径約0.4μmの球状物(島)と、
この球状物間に該球状物を中心として放射状に形成され
た多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成さ
れた多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多孔膜
であることが確認された。得られた多孔膜に水を接触さ
せても外観上何ら変化は観察されなかったが、エタノー
ルと接触させると瞬時にエタノールの浸透現象が観察さ
れた。
【0047】実施例2 実施例1で得られたブレンド物のフィルムを温度0℃、
速度50%/minで7倍の一軸延伸を行って、延伸物
を得た。この延伸物の表面及び内部をSEMによって観
察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物において認
められた直径約0.4μmの球状物(島)と、この球状
物間に該球状物を中心として放射状に形成された多数の
フィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成された多数
の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多孔膜であるこ
とが確認された。得られた多孔膜に水を接触させても外
観上何ら変化は観察されなかったが、エタノールと接触
させると瞬時にエタノールの浸透現象が観察された。
【0048】実施例3 実施例1で用いた変性ポリエチレン及びナイロン6をそ
れぞれ60重量%及び40重量%混合し、実施例1と同
様にしてブレンド物を得た。このブレンド物の断面をS
EMで観察すると、該ブレンド物は直径0.3μmの球
状物がランダムに分散した海島構造であった。
【0049】続いてこのブレンド物を実施例1と同様に
して厚さ100μm、幅250mmのフィルムを作成し、
該フィルムを温度0℃、速度10000%/minで5
倍延伸し、さらに前記延伸方向に対して90°の方向に
同温度、同速度で5倍の延伸を行った。
【0050】得られた延伸物の表面及び内部をSEMに
よって観察したところ、該延伸物は、上記ブレンド物に
おいて認められた直径約0.3μmの球状物(島)と、
この球状物間に該球状物を中心として放射状に形成され
た多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙に形成さ
れた多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからなる多孔膜
であることが確認された。得られた多孔膜に水を接触さ
せても外観上何ら変化は観察されなかったが、エタノー
ルと接触させると瞬時にエタノールの浸透現象が観察さ
れた。
【0051】比較例1 MIが40g/10分、密度が0.916g/cm3 のポ
リエチレン〔商品名:JL4016、宇部興産(株)
製〕を60重量%及び実施例1で用いたナイロン6を4
0重量%の割合で混合し、実施例1と同様にしてブレン
ド物を得た。このブレンド物から実施例1と同様にして
厚さ100μm、幅250mmのフィルムを作成した。得
られたフィルムを温度23°、速度100%/minで
延伸を試みたが、フィルムは直ちに切断を起こし、実質
的に延伸できなかった。
【0052】比較例2 実施例1で用いた変性ポリエチレンを10重量%、MI
が4g/10分、密度が0.938g/cm3 のポリエチ
レン〔商品名:RA438U、宇部興産(株)製〕を2
0重量%及びナイロン6〔商品名:1013B、宇部興
産(株)製〕を70重量%の割合で混合し、実施例1と
同様にして厚さ100μm、幅250mmのフィルムを得
た。得られたフィルムを実施例1と同様の方法で延伸を
行った。
【0053】得られた延伸フィルムの表面及び内部をS
EMで観察したところ、孔の発生はほとんど認められな
かった。また、上記延伸フィルムをエタノールと接触さ
せたところ、エタノールはフィルムの表面に拡がるだけ
で、浸透現象は全く観察されなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明のポリエチレン多孔膜は、大きさ
及び形状が均一な貫通透孔を多数有し、しかも空孔率が
高いため、分離膜に用いた場合、優れた透過速度と選択
分離能を有することが期待できる。また、本発明のポリ
エチレン多孔膜は、必要に応じて様々の膜厚及び孔サイ
ズとすることができるため、濾過性能の優れた種々の形
状の膜モジュールの提供を可能にし、水処理、空気の浄
化等に好適に利用される。さらに、本発明のポリエチレ
ン多孔膜は、均一な貫通透孔のみならず、膜素材そのも
のの絶縁性、耐薬品性を生かした電池セパレータとして
も好ましく適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23:04 77:00 (56)参考文献 特開 昭60−65040(JP,A) 特開 昭60−60138(JP,A) 特開 平5−59205(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 - 9/42 B29C 55/12 C08L 23/00 - 23/36 C08L 77/00 - 77/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を
    用いて変性した変性ポリエチレンと、該変性ポリエチレ
    ンと反応しうる官能基を有する熱可塑性樹脂とからな
    り、該熱可塑性樹脂を島とする海島構造を有するブレン
    ド物を延伸することによって多孔化した膜であって、熱
    可塑性樹脂からなる島成分間に島を中心として放射状に
    形成される多数のフィブリルと、該フィブリル間の間隙
    に形成される多数の微細で且つ均一な貫通透孔とからな
    る多孔膜であることを特徴とするポリエチレン多孔膜。
  2. 【請求項2】 変性ポリエチレンと反応しうる官能基を
    有する熱可塑性樹脂が、ナイロンであることを特徴とす
    る請求項1記載のポリエチレン多孔膜。
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