JP2924598B2 - 調理用燃焼器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、石油・ガス等を熱源と
するバーナで燃焼した熱及び排ガスを熱交換器で熱交換
後、排気管より排出し、熱交換器の熱を調理及び暖房に
利用する調理用燃焼器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】バーナによる火炎を直火で被調理物に当
てて加熱調理することは古くから行われている。この直
火以外の方法では、実公昭４６−２５５６１号に赤外線
バーナを収容した箱体の上面にセラミック材からなる天
板を備えたガスこんろが、また実公昭５０−３１８１４
号にバーナの上部に熱坂と、その上方に陶板等よりなる
調理板を備えたこんろが、また実公昭５３−５０６２０
号にバーナを収容した燃焼室上部に透明なガラスセラミ
ック製の熱透過板を備えたバーナなどが公知であり、こ
れらのこんろ・バーナは高温となった熱透過板の輻射熱
により調理を行い、燃焼排ガスは室内に放出されるもの
である。

【０００３】一方、特公平２−４０９３６号をみると、
バーナの上部の加熱室から出る燃焼ガスを大気中に排出
させると共に、加熱室の上に設けた加熱プレートと、加
熱プレートの上にかぶせる蓋との間に空気を送り込ん
で、調理の他に暖房に供するストーブがある。

【０００４】また、出願人は実開平３−３６０４号及び
実開平３−１１１８１０号を提案しており、前者は燃焼
排気形のこんろで、熱ガス流路を構成する上面プレート
上で煮炊きに利用するものであり、後者は前記構成に加
えて、上面プレートに対流用ファンの風を当てて温風を
吹出すもので、料理・保温・暖房に供するものである。
そして、調理と暖房がヨット・ボート・キャンピングカ
ー・キャンピングテント等の比較的居住空間の狭い場所
に於いて使用可能としている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記、従来例をみる
と、セラミック・陶板・ガラス板等の非鉄材料で燃焼室
の上面板を構成したものがあり、非鉄材料で上面板を作
っても、燃焼排ガスをそのまま室内に排出する構造では
特に問題点は見当らない。しかし、ボートやキャンピン
グカーのような狭い室で使用する時の為に、室外排気タ
イプとして実施するには、金属性の燃焼室側板と、非鉄
材料で形成する燃焼室の上面板との間で燃焼排ガスの洩
れを防ぐ為のシール性を確保する必要があり、また、非
鉄材料で形成する燃焼室の上面板は衝撃に耐える材料で
あることが必要である。

【０００６】この為、非鉄材料の上面板とは別に金属性
材料などで熱交換室を作ってシール性を確保する提案が
あるが、調理に為の熱量は熱交換室壁から輻射した熱量
をセラミックプレートが透過して煮炊を行なうから熱効
率が低下し易く、また、燃焼器の内部にも熱交換室から
熱量が供給されて異常な温度に上昇することがある。特
に、ヨット・ボート等の比較的狭い場所で使用するには
燃焼器の形状をコンパクトにしなければならず、解決し
なけらばならない課題となっている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
する為に、バーナ１との連絡部を有しながら熱交換と排
ガスの誘導とを行なう扁平な金属性の熱交換器２を設
け、該熱交換器２は燃焼室の一部を構成しており、か
つ、熱交換器２の一側には室外に通ずる排気管３を連接
するとともに、扁平な熱交換器２の上部にはセラミック
プレート４を近接して位置せしめ、該セラミックプレー
ト４を上部表面として、熱交換器２の側部と下部に通風
間隙を有する風胴５を設け、かつ、風胴５には空気取入
口５ａと送風機６への吸込口６ａとを取付け、送風機６
は風胴５内の空気を排出する調理用燃焼器としたもので
ある。

【０００８】また、送風機６の吹出口６ｂに連なる送風
路７の端に風向変更装置８を設け、セラミックプレート
４の上面に向けて送風機６の風の吹出し方向を変更すれ
ば、セラミックプレート４から出る熱を温風に変えて暖
房に供することができる。

【０００９】また、送風機６の吹出口６ｂに連なる送風
路７の端に取付けた風向変更装置８には風向切替えダン
パー９を備え、該風向切替えダンパー９から燃焼器外の
適所に伸びる排風路１０を設け、風向切替えダンパー９
は送風機６から吹出す空気を、セラミックプレート４の
上面と排風路１０とに切替え送風して、調理中には燃焼
器の内部の換気装置としても使用できるようにしたもの
である。

【００１０】

【作用】バーナ１は石油やガスを熱源としており、バー
ナ１へ燃料を送り点火するとバーナ１で燃焼を開始し、
火炎及び排ガスは扁平な金属性の熱交換器２を通って排
気管３に至り、排ガスは室外へ排出する。熱気は熱交換
器２を高温に熱し、輻射熱がセラミックプレート４を加
熱しながら透過して、セラミックプレート４上に被調理
物を載せれば加熱調理されるものである。

【００１１】一方、送風機６を作動させると、熱交換器
２もしくはセラミックプレート４の側部の空気取入口５
ａから風胴５内に入った空気は、熱交換器２の側部及び
下部へ放熱する熱を奪って送風機６の吸込口６ａに流
れ、更に送風機６の吹出口６ｂから送風路７に送られて
風向変更装置８に至る。該風向変更装置８は送風機６か
ら送られる空気の流れをガイドする働きがあり、調理中
の場合は風の吹出し方向を調理するセラミックプレート
４から離れた方向に向けて吹出し、燃焼器の内部の換気
を行なっている。

【００１２】また、調理しない時で、暖房に供したい場
合は、バーナ１を燃焼させたまま風向変更装置８をセラ
ミックプレート４上面方向へ向けることにより、燃焼器
の内部からの放熱を送風路７から加熱されたセラミック
プレート４の上方へ送風して、温風となって室内へ放出
することによって暖房に供される。

【００１３】更に、風向変更装置８には風向切替えダン
パー９と連動して燃焼器外へ向かう排風路１０を設けて
おり、風向切替えダンパー９を可動にすることによっ
て、送風機６から送られる風の吹出し方向が変わり、調
理中は排風路１０側に切替えて、送風機６の風を燃焼器
外へ誘導し、一方、暖房中は風向変更装置８へ風を送
り、セラミックプレート４の表面に送風するものであ
る。

【００１４】

【実施例】次に、実施例を示す図により構成を説明す
る。図１は要部正面断面図、図２は側断面図であり、共
に風向変更装置８をセラミックプレート４の上面方向に
向けた状態を示す。図３は側断面図で風向変更装置８を
セラミックプレート４から離した状態を示している。

【００１５】１は石油を燃焼するバーナで、図ではポッ
ト式バーナを示しているが、燃料の種類・燃焼方式は任
意に選択できる。２はバーナ１の燃焼により発生する熱
及び排ガスを通過させ熱交換する熱交換器で、二枚の金
属坂を小間隙を介して対設し、該周縁を密着することに
よって扁平な形状に仕上げており、バーナ１に近い部分
は燃焼室の働きをしている。３は熱交換器２の適所に連
接した排ガスを室外へ放出する為の排気管である。

【００１６】４は熱交換器２の上部に近接して設けたセ
ラミックプレートで、磁器ガラス・耐熱透明ガラス・陶
板等の耐熱・耐蝕・遠赤外線透過性に優れた材料の使用
がのぞましい。５はセラミックプレート４を上部表面と
して、熱交換器２の側部及び下部に通風間隙を介して設
けた風胴であり、燃焼器の枠体を兼ねても良い。５ａは
熱交換器２もしくはセラミックプレート４の側部の風胴
５に設けた空気取入口であり、空気取入口５ａから風胴
５内へ室内空気が流入する。６は風胴５の適所に取付け
た送風機、６ａは風胴５と送風機６との間に設けた吸込
口であり、送風機６は吸込口６ａから風胴５内の空気を
吸入して燃焼器の外に排出している。

【００１７】６ｂは送風機６の吹出口、７は吹出口６ｂ
から送風機６の風を誘導する送風路、８は送風路７の端
に設けた風向変更装置であり、該風向変更装置８は送風
路７から上方へ吹出す空気流に対して送風ガイドを形成
しており、送風路７から吹出す方向を変更する働きがあ
り、燃焼器の上方やセラミックプレート４の表面に送風
して、燃焼器を使用する空間に温風を吹出している。

【００１８】９は前記風向変更装置８と一体に形成した
風向切替えダンパー、１０は風向切替えダンパー９から
燃焼器外の適所、たとえば室外へ伸びる排風路である。
該風向切替えダンパー９には風向変更装置８の動作と連
動して、燃焼器の上方へ吹出す空気流を止めて、送風路
７を流れる風を風向変更装置８を介してセラミックプレ
ート４の表面に吹付けたり、風向切替えダンパー９を切
替して調理する時に、排風路１０によって室外へ排出し
たりするものである。

【００１９】なお、実施例の風向変更装置８は風向切替
えダンパー９と連動して可動する構造となっているが、
風向変更装置８はセラミックプレート４に向けて固定し
て、風向切替えダンパー９のみ可動して風の流れをセラ
ミックプレート４と排風路１０に切替える構造でもよ
い。

【００２０】１１は送風機６を駆動させるモータ、１２
はバーナ１へ燃焼用空気を送る為の燃焼空気用送風機で
あり、モータ１１に両送風機６・１２を同軸に取付ける
と良い。このようにバーナ１の排気ガスは燃焼空気用送
風機１２の力で熱交換器２内が加圧されており、もし隙
間ができると燃焼排気ガスが洩れ出る恐れがあって問題
であり、熱交換器２は完全密閉が要求さる。しかし、熱
交換器２の壁の一部をセラミックプレートで構成するこ
とは、気密を保つ為には極めて複雑でコストアップの要
因になっており、この発明では熱交換器２とセラミック
プレート４とを別構造にすることで、大幅なコストダウ
ンが可能なったものである。

【００２１】１３は熱交換器２の側部及び底部への放熱
を防止する為に設けた断熱素材であり、熱交換器２から
放熱の大部分が燃焼器の上面方向へのみ向けられるよう
になっている。１４は室外と燃焼空気用送風機１２とを
連絡する為の空気供給管であり、実施例の構造では燃焼
空気用送風機１２が燃焼空気を室外から取入れてバーナ
１に供給している。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明は、燃焼火炎を直接
調理器に当てない調理用燃焼器において、上面に設けた
セラミックプレート４と熱交換器２とを夫々独立の部品
で構成したので、非常に造り易く、どちらか一方が故障
・破損しても修理及び部品交換が容易に行えるものであ
る。

【００２３】また、熱交換器２は扁平な金属製としたの
で、プレス加工・鋳造加工の何れでも可能で、排ガスが
漏れないような加工をすることが容易に行え、排気タイ
プで大幅なコストダウンが可能となった。また熱交換器
２を扁平に形成したから放熱面積を大きく取ることがで
き、バーナ１の直上で煮炊きをし、少し離れた面では保
温ができ、熱交換器２の熱を上部のセラミックプレート
４の上方の煮炊具に供給することができるようになっ
た。

【００２４】また、熱交換器２はセラミックプレート４
方向だけではなく、熱の一部を側方や下方へ放熱する
が、この熱量は風胴５に取入れた空気を送風機６で吸入
送風することによって回収し、更に、風向変更装置８に
よって回収した熱量を含む空気をセラミックプレート４
の上面に吹付ける構成としたから、ヨット・ボート・キ
ャンピングカー・キャンピングテント等の比較的居住空
間の狭い場所の暖房にも利用できるようになったもので
ある。

【００２５】更に、セラミックプレート４で調理する時
は風向切替えダンパー９を可動してセラミックプレート
４へ向けた送風をやめ、燃焼器の内部から回収した熱量
を燃焼器外へ排風して換気装置としての効果を持たせる
ことができ、熱交換器２の内部や下部に熱がこもること
もない利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す要部正面断面図である。

【図２】本発明の実施例を示す側断面図で、風向変更装
置をセラミックプレートの上面方向に向けた状態を示し
ている。

【図３】本発明の実施例を示す側断面図で、風向変更装
置をセラミックプレートから離した状態を示している。

【符号の説明】

１ バーナ ２ 金属性の熱交換器 ３ 排気管 ４ セラミックプレート ５ 風胴 ５ａ 空気取入口 ６ 送風機 ６ａ 吸込口 ６ｂ 吹出口 ７ 送風路 ８ 風向変更装置 ９ 風向切替えダンパー １０ 排風路

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バーナ１との連絡部を有しながら熱交換
   と排ガスの誘導とを行なう扁平な金属性の熱交換器２を
   設け、 該熱交換器２は燃焼室の一部を構成しており、かつ、熱
   交換器２の一側には室外に通ずる排気管３を連接すると
   ともに、 扁平な熱交換器２の上部にはセラミックプレート４を近
   接して位置せしめ、 該セラミックプレート４を上部表面として、熱交換器２
   の側部と下部に通風間隙を有する風胴５を設け、 かつ、風胴５には空気取入口５ａと送風機６への吸込口
   ６ａとを取付け、 送風機６は風胴５内の空気を排出することを特徴とする
   調理用燃焼器。
2. 【請求項２】 送風機６の吹出口６ｂに連なる送風路７
   の端に風向変更装置８を設け、 セラミックプレート４の上面に向けて送風機６の風の吹
   出し方向を変更することを特徴とする請求項１記載の調
   理用燃焼器。
3. 【請求項３】 送風機６の吹出口６ｂに連なる送風路７
   の端に取付けた風向変更装置８には風向切替えダンパー
   ９を備え、 該風向切替えダンパー９から燃焼器外の適所に伸びる排
   風路１０を設け、 風向切替えダンパー９は送風機６から吹出す空気を、セ
   ラミックプレート４の上面と排風路１０とに切替え送風
   することを特徴とする請求項２記載の調理用燃焼器。