JP2924551B2 - コネクタ用端子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コネクタ用端子に関
するものであり、特に大電流用のコネクタに好適な端子
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般のコネクタでは、雌端子に雄端子が
差し込まれて電気的な接続が行われるようになってい
る。この場合、特に大電流用のコネクタにおいては、両
端子の接触状況に対する高い信頼性が要求されるため、
通常は図７に示すようになっている。この図では、相互
に嵌合可能な雌雄のコネクタハウジングの内部に設けら
れる多数の端子対のうちの一対を取り出して示してい
る。

【０００３】図の右側に描かれた雌端子２０は、先端に
差し込み筒部２１を有した構成となっており、左側の雄
端子２２はこの差し込み筒部２１へ差し込み可能な軸部
２３を有している。この場合において、軸部２３の外径
は差し込み筒部２１の孔径よりも僅かに大きめに形成さ
れているが、軸部２３はその中心軸を通過するような割
り溝２４によって軸方向に沿って分割され、これによっ
て筒部２１への差し込みは軸部２３全体が強制的にすぼ
み変形させられることで可能になっている。こうして、
雄端子２２と雌端子２０とが結合されている状態では、
雄端子２２の弾発力を利して差し込み筒部２１に対する
適切な接触圧が確保されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなものでは次のような解決すべき問題点があった。
まず、上記したものは両端子２０、２２の差し込みを始
めてから完全に差し込み終わるまで大きな接触抵抗が継
続するため、操作性が悪くなっていた。特に、許容電流
が大きくなるにしたがって端子自体も大型化するため、
操作力は一層増すことになる。

【０００５】また、端子の抜き差しが繰り返されたりあ
るいは差し込み状態が長期間続くと、雄端子２２の弾発
性が低下して接触圧の低下が懸念される、という問題が
ある。さらに、自然状態では軸部２３の先端の外径が差
し込み筒部２１の孔径より大きくしてあるため、初期の
挿入がしずらいことも問題であった。

【０００６】本発明はこうした問題点に鑑みて開発工夫
されたものであり、その目的とするところは、端子のを
容易に挿入することができかつ結合状態に対する信頼性
を高めることができるコネクタ端子を提供することであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の構成は、円筒状の差し込み筒部を有する雌
端子と、この雌端子に対して差し込まれる軸状の雄端子
とからなるコネクタ用端子において、雄端子は前記差し
込み筒部に対して遊挿可能に形成されるとともに、この
雄端子には割り溝が刻設されて拡径方向への変形が可能
となっている一方、前記差し込み筒部の所定深さ位置に
は前記雄端子の割り溝を強制的に広げて雄端子を差し込
み筒部の内壁に接触させる凸部が形成されていることを
特徴とするものである。

【０００８】

【作用】したがって、上記構成では雄端子の先端側が差
し込み筒部の孔径よりも小径に形成されているため、差
し込み初期から中期にかけては低い操作力で挿入が可能
となる。そして、予め設定された差し込みストロークの
終端近くまで雄端子の挿入がなされると、凸部が割り溝
内へ割って入り、雄端子を強制的に拡径変形させる。こ
れによって、雄端子が差し込み筒部の孔壁に接触し、両
コネクタが電気的に接続される。

【０００９】

【発明の効果】本発明の効果は次のようである。挿入初
期から中期にかけては低い挿入力でよく、終期において
のみ適切な押し込み力を付与するようにしたため、スム
ーズな差し込みが可能でありかつ差し込み終期において
付与する押し込み力が一定の節度感となって、作業者に
端子結合作業の完了を知覚させる。そして、凸部が雄端
子を強制的に押し広げることで、雄端子と差し込み筒部
とを確実に接触させることができるため、端子同士の結
合に対する信頼性が高められる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を具体化した実施例を図面にし
たがって詳細に説明する。図１〜図４は本発明の第１実
施例を示すものであり、この例では電気自動車の充電用
コネクタに使用される端子に適用したものを示す。この
充電用コネクタは自動車側と充電機側にそれぞれチャー
ジ用コネクタが配され、これらのコネクタハウジング内
には比較的大電流（例えば３０〜９０Ａ）を許容する端
子がそれぞれ組み込まれる。各図はそのうちの雌雄をな
す一対の端子を示すものである。

【００１１】雄端子１は導電材により形成され、その後
端部には電線Ｗの被覆部分を挿入するコード挿入用の大
径部２が形成されている。そして、この大径部２に連通
して小径部３が形成されており、ここには電線Ｗの芯線
部分が挿入されている。また、小径部３に連続してフラ
ンジ縁４が張り出しており、ここから先は雌端子５へ差
し込まれる軸部６となっている。軸部６はその先端面か
ら軸方向に沿ってフランジ縁４近くまで切り込まれた割
り溝７により、二股状に分割して形成されている。これ
によって、軸部６は開脚方向、つまり拡径方向への撓み
変形が許容されることになる。また、軸部６の先端側は
外方へ向けて円錐状に拡開しており、後述する雌端子５
側の円錐凸部８が嵌まり合うテーパー状の開口部９が切
り欠き形成されている。但し、軸部６は自然状態におい
て先端側へゆくにつれて徐々に窄むような先細り状にし
てある。

【００１２】一方、雌端子５は雄端子１と同様に、導電
材により形成され、大径部１０、小径部１１さらにはフ
ランジ縁１２も同様に備えている。そして、フランジ縁
１２より先端側には雄端子１の軸部６が挿入される差し
込み筒部１３が形成されている。この差し込み筒部１３
は有底円筒状に形成されるとともに、その孔径は軸部６
における先端側の外径よりやや大きめに形成され、また
差し込み筒部１３の全長は軸部６が完全に挿入された状
態で差し込み筒部１３の先端縁が雄端子１側のフランジ
縁４にほぼ当接するような長さに設定されている。ま
た、差し込み筒部１３の底面には軸部６を強制的に拡開
させるための凸部８が同軸で突出形成されている。この
凸部８は前記したテーパー状の開口部９と整合し、かつ
これより大きめの円錐台状に形成されている。そして、
雌雄の両端子１、５が完全に結合した時に開口部９に対
して嵌まり込み、軸部６のほぼ全長にわたって差し込み
筒部１３の孔径とほぼ等しくなるように拡開させ、この
ときに軸部６全体を差し込み筒部１３の孔壁に対し所定
の接圧をもって接触させるように設定されている。第１
実施例は上記のように構成されたものであり、図示しな
い両コネクタハウジングを嵌合することによって、雌雄
両端子１、５の差し込みがなされる。この場合、差し込
み初期においては、図３に示すように、軸部６の先端側
は差し込み筒部１３よりも小径であることから、軸部６
と差し込み筒部１３との間では一定の隙間を保有した状
態で差し込みがなされる。したがって、両端子の適合操
作が容易であり、また、差し込み途上の操作力はきわめ
て低いものですむ。

【００１３】そして、軸部６の先端が差し込み筒部１３
の底部にまで至ると、凸部８が差し込み筒部１３のテー
パー状開口部９に適合する。この状態で、強く差し込ん
でやると図２に示すように、開口部９が押し広げられる
ことで軸部６全体が差し込み筒部１３の内壁に所定の接
触圧をもって接触する。

【００１４】以上のように、第１実施例によれば、差し
込み初期から中期まではきわめて低い挿入力でよく、差
し込みの終期においてはじめて差し込みの負荷が加わる
ものであるため、差し込み操作が容易となるとともに、
作業者は差し込み終期において負荷する押し込み力が節
度感となって、端子結合作業の完了を知覚する。

【００１５】また、凸部８を形成することで軸部６を強
制的に拡開させるようにしたため、差し込み筒部１３に
対して確実な接触状況を実現することが可能となる。し
たがって、万一、軸部６の弾発力が低下するようなこと
があっても、確実に良好な接触状況を確保することがで
き、とりわけ高電流用のコネクタとして好適なものとな
る。さらに、第１実施例では凸部８が円錐台状に形成さ
れたものを設定したため、軸部６の差し込みに関して指
向性がなくなり、端子の差し込み作業方向等、自由度が
高められる利点も得られる。

【００１６】しかし、凸部８の形状は必ずしも第１実施
例のような無指向性のものを設定する必要はなく、例え
ば、図５に示す第２実施例のようなものであっても構わ
ない。第２実施例では、凸部８を平板状に形成したもの
が使用され、これに対応して軸部６は単に割り溝７によ
って２分割されたものが使用されている。軸部６は先端
側にゆくにつれて徐々に先すぼみとなっており、凸部８
が割り溝７内に割って入ることで強制的に先端側を開脚
させうる。その結果、軸部６は差し込み筒部１３の内壁
に対してそのほぼ全長にわたって接触させることができ
る。

【００１７】第１、第２の両実施例では、いずれも凸部
８を差し込み筒部１３の底面に配置したものを示した
が、凸部８は差し込みの終期において軸部６を拡開させ
るものであればよく、例えばその位置について言えば、
図６に示す第３実施例のように、差し込み筒部１３の側
壁に配したものであってもよい。この意味からすれば、
差し込み筒部１３は必ずしも底面を備えたものである必
要はない。また、割り溝７の条数についても、決して限
定されるべきものではなく、複数本設けてもよい。ま
た、凸部８の形状は種々の変更が可能であり、例えば丸
軸状のものを底面あるいは側壁間に横架させるようにし
てもよい。さらに、本発明は電気自動車のチャージ用コ
ネクタに限らず、コネクタ一般に広く適用可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例に係る端子の斜視図

【図２】端子の結合状態を示す断面図

【図３】端子の挿入初期の状態を示す断面図

【図４】雄端子の側面図

【図５】第２実施例に係る端子の斜視図

【図６】第３実施例に係る端子の斜視図

【図７】従来の端子を示す斜視図

【符号の説明】

１…雄端子 ６…軸部 ７…割り溝 ８…凸部 １３…差し込み筒部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状の差し込み筒部を有する雌端子
   と、この雌端子に対して差し込まれる軸状の雄端子とか
   らなるコネクタ用端子において、 雄端子は前記差し込み筒部に対して遊挿可能に形成され
   るとともに、この雄端子には割り溝が刻設されて拡径方
   向への変形が可能となっている一方、前記差し込み筒部
   の所定深さ位置には前記雄端子の割り溝を強制的に広げ
   て雄端子を差し込み筒部の内壁に接触させる凸部が形成
   されていることを特徴とするコネクタ用端子。