JP2924388B2 - 触媒燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加熱、暖房、乾燥など
に用いられる触媒燃焼装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の触媒燃焼装置は、特開平
１−３０６７１２号公報に示すような構成が一般的であ
った。

【０００３】以下、その構成について図２を参照しなが
ら説明する。図に示すように、起動時には、液体燃料が
燃料ポンプ５１により気化器５２に送られ、ここで気化
して燃料蒸気となって混合室５３に送られる。そして、
送風ファン５４から送られた燃焼用空気と混合され、予
混合気となって予熱バーナ５５に供給される。予混合気
は点火装置５６により着火されて火炎燃焼し触媒層５７
を予熱する。触媒層５７の温度が触媒反応するに充分な
温度に達すると予混合気の供給は停止され、火炎が消え
たことが検出されると、予混合気の供給が再開されて触
媒層５７上で触媒の燃焼が行われる。触媒層５７上で発
生した燃焼熱は熱線透過体５８を透過して外部に輻射さ
れる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の触媒
燃焼装置では、触媒層５７に過濃な予混合気が供給され
て触媒活性が不足する場合や、予混合気が高流速で触媒
層５７を通過する場合、あるいは触媒層５７の温度が低
い場合には、触媒層５７で燃焼した燃焼ガス中に未燃の
炭化水素や一酸化炭素が含まれる。

【０００５】この燃焼ガス中の炭化水素や一酸化炭素の
排出を抑制するために、主触媒層５７の下流側に補助触
媒層を配設する手段が講じられるが、補助触媒層に流入
する未燃ガスに流れむらが生じると補助触媒層の触媒反
応にむらが生じ、未燃ガスの浄化が不十分なものとな
る。

【０００６】この未燃ガスの流れむらは、主触媒層と補
助触媒層との間の空間での未燃ガスの乱流や、空間から
補助触媒層に流入するときの流路抵抗や、補助触媒層か
ら排気口に至る流路抵抗によって生じるもので、特に、
予混合気が少ない低燃焼熱量領域では、未燃ガスの流れ
むらは補助触媒層の触媒反応むらとなるので燃焼装置と
して使用できる下限の燃焼熱量を高くせざるを得ず、燃
焼熱量の可変幅が狭くなるという問題があった。

【０００７】本発明は上記問題を解決するもので、燃焼
熱量の調節幅を広くすることができる触媒燃焼装置を提
供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、第１の手段は、燃料と空気を混合する混合
室と、前記混合室の下流側に主触媒層保持体により略鉛
直に立設され多数の連通孔を有する主触媒層と、前記主
触媒層の下流側に立設され多数の連通孔を有する補助触
媒層と、前記補助触媒層の下流側に配設された排気ガイ
ドとを備え、前記補助触媒層を連通孔の下流側が上流側
よりも高く傾斜するように立設するとともに、前記排気
ガイドの排気口を前記補助触媒層よりも高い位置に配設
した構成としたものである。

【０００９】第２の手段は、燃料と空気を混合する混合
室と、前記混合室の下流側に立設され多数の連通孔を有
する主触媒層と、前記主触媒層の下流側に立設され多数
の連通孔を有する補助触媒層と、前記補助触媒層の下流
側を覆って排気路を形成する排気ガイドと、前記排気路
と別流路に形設された空気流路と、前記空気流路に送風
する送風ポンプとを備え、前記排気ガイドの排気口を前
記補助触媒層よりも高い位置で、かつ、前記空気流路に
開口させた構成としたものである。

【００１０】

【作用】本発明は上記した第１の手段に示すように、補
助触媒層を連通孔の下流側が上流側よりも高く傾斜する
ように立設するとともに、排気ガイドの排気口を補助触
媒層よりも高い位置に配設したことにより、主触媒層の
連通孔から水平方向に排出された燃焼ガスは、その温度
による自然対流で浮力が働いて流れの方向に鉛直方向の
成分が含まれるので、斜め上方に流れ、下流側が上流側
よりも高く傾斜している補助触媒層の連通孔に入る。し
たがって、燃焼ガスが補助触媒層の連通孔に流入する際
に流れの方向を変化させる流路抵抗がなくなり、流れむ
らを生じることなく燃焼ガスを補助触媒層の連通孔に流
入させることができる。さらに、排気ガイドの排気口を
補助触媒層よりも高い位置に設けたことにより、補助触
媒層から排出された燃焼ガスは自然対流による浮力と煙
突作用により鉛直方向に上昇して円滑に排出されるの
で、補助触媒層に流入する燃焼ガスの流れむら防止を助
長することができる。これにより、補助触媒層からの未
燃の炭化水素や一酸化炭素の排出がなくなるので、燃焼
熱量の可変幅を大きくすることができる。

【００１１】また、第２の手段に示すように、排気ガイ
ドの排気口を補助触媒層よりも高い位置で、かつ、空気
流路に開口したことにより、空気流路を流れる空気によ
るエジェクタ作用で燃焼ガスは円滑に排出されるので、
補助触媒層に流入する燃焼ガスの流れむらを防止するこ
とができる。これにより、補助触媒層からの未燃の炭化
水素や一酸化炭素の排出がなくなるので、燃焼熱量の可
変幅を大きくすることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例について、図１を参
照しながら説明する。

【００１３】まず、第１の手段について説明する。１は
予混合室２から予混合気が供給される前気室で、外装体
である枠板３と触媒層４と触媒層４を保持する触媒層保
持体５と枠板３の前面に装着されたガラス窓６とで囲ま
れて形成されている。

【００１４】混合室２は前気室１の上流側に配設され、
送油管７を介して燃料ポンプ８から送られ気化器９で気
化された燃料蒸気と送風ファン１０から送られた空気と
を混合して予混合気にするもので、この予混合気は予熱
バーナ１１と前気室１に供給される。

【００１５】前気室１の下流側には多数の連通孔を有す
る触媒層４が触媒層保持体５で略鉛直に保持されて取着
されている。

【００１６】触媒層保持体５はその周縁部で枠板３に取
着され、内縁部で触媒層４を保持１２している。

【００１７】１４は触媒層（主触媒層）４の下流側に形
設された中気室で、主触媒層４と補助触媒層保持体１６
と補助触媒層１５を保持する補助触媒層保持体１６と補
助触媒層１５とで形成されている。

【００１８】中気室１４の下流側には多数の連通孔を有
する補助触媒層１５が補助触媒層保持体１６に保持され
て取着されている。

【００１９】補助触媒層保持体１６はその周縁部で枠板
３に取着され、内縁部で補助触媒層１５を保持１７して
いる。

【００２０】補助触媒層保持体１６に保持された補助触
媒層１５は、その連通孔１５ａが下流側が上流側より高
く傾斜するように立設され、図に示すように、補助触媒
層保持体１６で傾斜状に保持しても、補助触媒層１５に
傾斜状に連通孔１５ａを穿設し、補助触媒層１５を鉛直
に保持してもよいものである。そして、その傾斜の度合
は、主触媒層４から送られる燃焼ガスが中気室１４内で
斜め上方に流れる方向とほぼ一致する傾斜に設定されて
いる。

【００２１】１９は補助触媒層１５の下流側に配設され
た排気ガイドで、補助触媒層１５を十分に覆って排気路
１９ａを形成し、排気口１９ｂが補助触媒層１５より高
い位置に開口されている。

【００２２】次に、第２の手段について説明する。２０
は排気ガイド１９の排気路１９ａとは別流路に形設され
た空気流路で、排気ファン２１から送られる空気の流路
となるものである。そして、排気ガイド１９の排気口１
９ｂは空気流路２０に開口されている。

【００２３】２２は補助触媒層１５の温度を検出する熱
電対、２３は予混合気に点火する点火器である。

【００２４】上記構成において、起動時には、液体燃料
が燃料ポンプ８により気化器９に送られ、ここで気化し
て燃料蒸気となって混合室２に送られる。そして、送風
ファン１０から送られた燃焼用空気と混合され、予混合
気となって予熱バーナ１１に供給される。予混合気は点
火装置２３により点火されて火炎燃焼し主触媒層４を予
熱する。主触媒層４を加熱昇温させた燃焼ガスは下流側
に配設された補助触媒層１５に送られ、補助触媒層１５
を加熱昇温させた後、排気ガイド１９により外部に排出
される。この加熱によって補助触媒層１５が触媒反応す
るに十分な温度に達したことが熱電対２２により検出さ
れると、送風ファン１０の送風量が増やされる。送風フ
ァン１０の送風量が増えると予混合ガスの濃度が薄ま
り、予熱バーナ１１での火炎は吹き飛び状態となり、予
混合ガスは未燃焼のまま前気室１内へ放出される。この
とき、前気室１の下流側の主触媒層４は触媒反応するに
十分な温度に上昇しているので、予混合ガスは主触媒層
４で触媒燃焼される。

【００２５】触媒燃焼では、通常の火炎燃焼に比べて予
混合気の希薄側に広い燃焼可能範囲を有しており、予混
合気の濃度が通常の火炎では燃焼継続不可能な濃度範囲
であっても主触媒層４で燃焼するもので、燃焼条件を選
ぶことによって、窒素酸化物をほとんど含まない燃焼ガ
スを排出する１０００℃以下の燃焼が可能なものであ
る。しかし、主触媒層４から排出される燃焼ガス中に
は、燃焼条件により未燃の炭化水素や一酸化炭素が含ま
れる場合があるが、この燃焼ガスは触媒反応するに十分
な温度に予熱された補助触媒層１５により浄化され、無
害の燃焼ガスとなって排気ガイド１９、空気流路２０を
通り、排気ファン２１からの空気とともに外部に放出さ
れる。

【００２６】ところで、燃焼装置は燃焼熱量の可変幅の
広いものが求められるのが一般的であり、そのためには
燃焼装置の下限の燃焼熱量を下げる必要があるが、従来
例にも示したように、主触媒層４から補助触媒層１５に
流入する燃焼ガスの乱流があるために、特に、予混合気
の流量の少ない低燃焼熱量領域では補助触媒層１５で触
媒反応むらが生じるので下限の燃焼熱量を下げることは
困難であった。

【００２７】これに対し本実施例では、第１の手段によ
り、補助触媒層１５を連通孔１５ａの下流側が上流側よ
り高くなるように立設して燃焼ガスが補助触媒層１５に
流入しやすくしている。

【００２８】すなわち、主触媒層４には多数の連通孔が
穿設されているため整流作用があり、略鉛直に保持され
た主触媒層４から排出された直後の燃焼ガスは主触媒層
４の連通孔と同じ水平方向に流れる。しかし、燃焼ガス
は温度が高いため自然対流による浮力が働き、燃焼ガス
の流れの方向に鉛直方向の成分が含まれるので斜め上方
に流れ、下流側が上流側よりも高く傾斜している補助触
媒層１５の連通孔１５ａに流入する。これにより、燃焼
ガスは補助触媒層１５でほとんど抵抗を受けることなく
補助触媒層１５の下流側の排気路１９ａに排出される。
排気路１９ａに排出された燃焼ガスには自然対流による
浮力が働き、排気路１９ａの煙突作用と相俟って鉛直方
向に上昇して排気口１９ｂから空気流路２０に排出され
る。

【００２９】このようにして、燃焼ガスの流れは乱流を
生じることなく補助触媒層１５に流入し、排出されるの
で、補助触媒層１５に流入する燃焼ガスの流れむらはな
くなり、補助触媒層１５での触媒反応がむらなく行われ
て未燃の炭化水素や一酸化炭素の排出が抑制され、低燃
焼量領域から高燃焼領域まで広い燃焼熱量の調節幅を得
ることができる。

【００３０】また、第２の手段により、排気ガイド１９
の排気口１９ｂを補助触媒層１５よりも高い位置で、か
つ、空気流路２０に開口して、燃焼ガスを円滑に排出す
るようにしている。

【００３１】すなわち、空気流路２０に排気路１９ａの
排気口１９ｂを開口したことにより、送風ポンプ２１か
ら送られ空気流路２０を流れる空気によるエジェクタ作
用で燃焼ガスは排気口１９ｂから円滑に排出されるの
で、補助触媒層１５から流出する燃焼ガスは流れ易くな
り、補助触媒層１５に流入する燃焼ガスの流れむらはな
くなり、補助触媒層１５での触媒反応がむらなく行われ
て未燃の炭化水素や一酸化炭素の排出が抑制され、低燃
焼量領域から高燃焼領域まで広い燃焼熱量の調節幅を得
ることができる。

【００３２】なお、本実施例において、補助触媒層１５
の下部を保持する補助触媒層保持体１６の保持部１７が
補助触媒層保持体１６の下部から開拡する傾斜面とすれ
ば、中気室１４内の燃焼ガスが補助触媒層保持体１６に
沿って流れるようになるので、主触媒層４から補助触媒
層１５への流れを一層滑らかにすることができる。

【００３３】

【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなよう
に、本発明によれば、第１の手段により、補助触媒層を
連通孔の下流側が上流側よりも高く傾斜するように立設
するとともに、排気ガイドの排気口を補助触媒層よりも
高い位置に配設したことにより、主触媒層の連通孔から
水平方向に排出された燃焼ガスは、その温度による自然
対流で浮力が働いて流れの方向に鉛直方向の成分が含ま
れるので、斜め上方に流れ、下流側が上流側よりも高く
傾斜している補助触媒層の連通孔に入る。したがって、
燃焼ガスが補助触媒層の連通孔に流入する際に流れの方
向を変化させる流路抵抗がなくなり、流れむらを生じる
ことなく燃焼ガスを補助触媒層の連通孔に流入させるこ
とができる。さらに、排気ガイドの排気口を補助触媒層
よりも高い位置に設けたことにより、補助触媒層から排
出された燃焼ガスは自然対流による浮力と煙突作用によ
り鉛直方向に上昇して円滑に排出されるので、補助触媒
層に流入する燃焼ガスの流れむら防止を助長することが
できる。これにより、補助触媒層は十分に触媒反応して
補助触媒層からの未燃の炭化水素や一酸化炭素の排出が
なくなるので、燃焼熱量の可変幅を大きくすることがで
きる。

【００３４】また、第２の手段により、排気ガイドの排
気口を補助触媒層よりも高い位置で、かつ、空気流路に
開口したことにより、空気流路を流れる空気によるエジ
ェクタ作用で燃焼ガスは円滑に排出されるので、補助触
媒層に流入する燃焼ガスの流れむらを防止することがで
きる。これにより、補助触媒層は十分に触媒反応して補
助触媒層からの未燃の炭化水素や一酸化炭素の排出がな
くなるので、燃焼熱量の可変幅を大きくすることができ
る。

【００３５】このように本発明によれば、燃焼熱量の調
節幅を広くすることができる触媒燃焼装置を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の触媒燃焼装置の側面図

【図２】従来例の触媒燃焼装置の側面図

【符号の説明】

２ 混合室 ４ 主触媒層 ５ 主触媒層保持体 １５ 補助触媒層 １５ａ 連通孔 １６ 補助触媒層保持体 １７ 保持部 １９ 排気ガイド １９ａ 排気路 １９ｂ 排気口 ２０ 空気流路 ２１ 送風ファン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−306711（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−60411（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−306020（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−24229（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−101211（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23D 11/40 F23C 6/04 305 F23C 11/00 306 F23D 14/18

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料と空気を混合する混合室と、前記混合
   室の下流側に主触媒層保持体により略鉛直に立設され多
   数の連通孔を有する主触媒層と、前記主触媒層の下流側
   に立設され多数の連通孔を有する補助触媒層と、前記補
   助触媒層の下流側に配設された排気ガイドとを備え、前
   記補助触媒層を連通孔の下流側が上流側よりも高く傾斜
   するように立設するとともに、前記排気ガイドの排気口
   を前記補助触媒層よりも高い位置に配設してなる触媒燃
   焼装置。
2. 【請求項２】燃料と空気を混合する混合室と、前記混合
   室の下流側に立設され多数の連通孔を有する主触媒層
   と、前記主触媒層の下流側に立設され多数の連通孔を有
   する補助触媒層と、前記補助触媒層の下流側を覆って排
   気路を形成する排気ガイドと、前記排気路と別流路に形
   設された空気流路と、前記空気流路に送風する送風ポン
   プとを備え、前記排気ガイドの排気口を前記補助触媒層
   よりも高い位置で、かつ、前記空気流路に開口させてな
   る触媒燃焼装置。
3. 【請求項３】補助触媒層保持体をその上部が下部よりも
   広く傾斜するように形設してなる請求項１記載の触媒燃
   焼装置。