JP2922040B2 - プロテインa分子膜により抗体タンパク質を固定化する方法及び抗体固定膜 - Google Patents
プロテインa分子膜により抗体タンパク質を固定化する方法及び抗体固定膜Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗体タンパクの固定化法
に関する。更に詳しくは、バイオセンサー、バイオリア
クター、バイオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基
盤に有用な抗体固定膜を得るために、ラングミュア・ブ
ロジェット(LB)法を利用して、抗原抗体反応の活性
を保持した状態で抗体タンパクを固体基盤上に高密度に
固定する方法、その方法により得られた抗体固定膜及び
該抗体固定膜を用いたバイオセンサー等に関する。
に関する。更に詳しくは、バイオセンサー、バイオリア
クター、バイオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基
盤に有用な抗体固定膜を得るために、ラングミュア・ブ
ロジェット(LB)法を利用して、抗原抗体反応の活性
を保持した状態で抗体タンパクを固体基盤上に高密度に
固定する方法、その方法により得られた抗体固定膜及び
該抗体固定膜を用いたバイオセンサー等に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる抗体固定化法には、(1)抗体
タンパクのアミノ基またはカルボキシル基と、反応また
は吸着結合出来る官能基を有する固体表面上に固定化す
る方法、(2)親水ゲル中に抗体タンパクを抱き込ませ
て、固体基盤上に固定化する方法、及び(3)LB法を
利用した抗体固定化法として、水面に脂質膜を展開し、
水層中から抗体タンパクを吸着又は取り込ませる方法
(J. Cell. Biochem.,29 239(1985).)或いは水面に水
不溶性ポリ(オレフィン−無水マレイン酸)単分子膜に
当該水相中に溶解した水溶性抗体タンパク質を接触させ
ることにより当該水相界面で抗体タンパク−単分子膜複
合体を形成させ、それを固体基板上に積層する方法(特
開昭63−38164号)が知られている。
タンパクのアミノ基またはカルボキシル基と、反応また
は吸着結合出来る官能基を有する固体表面上に固定化す
る方法、(2)親水ゲル中に抗体タンパクを抱き込ませ
て、固体基盤上に固定化する方法、及び(3)LB法を
利用した抗体固定化法として、水面に脂質膜を展開し、
水層中から抗体タンパクを吸着又は取り込ませる方法
(J. Cell. Biochem.,29 239(1985).)或いは水面に水
不溶性ポリ(オレフィン−無水マレイン酸)単分子膜に
当該水相中に溶解した水溶性抗体タンパク質を接触させ
ることにより当該水相界面で抗体タンパク−単分子膜複
合体を形成させ、それを固体基板上に積層する方法(特
開昭63−38164号)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)の方法では化
学反応により固体表面に結合させるため、固定化の反応
条件によっては、抗体タンパクの変性や、非特異的反応
による抗原認識部位の変性が起こり易く、前記(2)の
方法では抗原がゲル中の抗体と接触しにくいため、抗原
抗体反応が阻止され易い等の問題を有していた。また
(3)のLB法を利用した抗体固定化法では抗体と脂質
膜の結合は吸着結合であるため、抗体が離脱し易いとい
う問題を有しており、また、従来のこの種の方法では抗
体タンパクをLB膜作成用の水層に溶解して固定化する
ため、貴重な抗体を多量に必要とするという欠点があっ
た。そして従来の抗体固定膜を用いた免疫測定法では、
(1)抗原、抗体の固相化に1夜、(2)測定物との反
応に数時間、(3)2次抗体の反応、(4)酵素反応、
等測定のためのステップ数が多く、測定終了までに長い
時間を要していた。又、バイオセンサー、バイオリアク
ター、バイオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基盤
の作成には、抗体固定膜は高い反応性、高感度、即ち固
定化抗体量が多いこと、速い応答性、微小化、即ち超薄
膜であることが要望されている。しかし、従来のもので
は抗体密度が低いこと、膜が厚いことからこれらバイオ
センサー等の作成は困難であった。
学反応により固体表面に結合させるため、固定化の反応
条件によっては、抗体タンパクの変性や、非特異的反応
による抗原認識部位の変性が起こり易く、前記(2)の
方法では抗原がゲル中の抗体と接触しにくいため、抗原
抗体反応が阻止され易い等の問題を有していた。また
(3)のLB法を利用した抗体固定化法では抗体と脂質
膜の結合は吸着結合であるため、抗体が離脱し易いとい
う問題を有しており、また、従来のこの種の方法では抗
体タンパクをLB膜作成用の水層に溶解して固定化する
ため、貴重な抗体を多量に必要とするという欠点があっ
た。そして従来の抗体固定膜を用いた免疫測定法では、
(1)抗原、抗体の固相化に1夜、(2)測定物との反
応に数時間、(3)2次抗体の反応、(4)酵素反応、
等測定のためのステップ数が多く、測定終了までに長い
時間を要していた。又、バイオセンサー、バイオリアク
ター、バイオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基盤
の作成には、抗体固定膜は高い反応性、高感度、即ち固
定化抗体量が多いこと、速い応答性、微小化、即ち超薄
膜であることが要望されている。しかし、従来のもので
は抗体密度が低いこと、膜が厚いことからこれらバイオ
センサー等の作成は困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意研究の結果、単分子膜形成物質とし
てプロテインAを用い、プロテインAから得られた膜に
抗体を固定化したとき、従来の抗体固定化方法の問題を
解決し得、それにより得られた抗体固定化膜は従来の抗
体固定化膜に比して、抗体が離脱することなく、抗体活
性、抗体密度が高く、かつ均一な抗体固定膜であること
を見出し、本発明に到達したのである。即ち、本発明
は、(1)プロテインAの水溶液を水面に滴下展開し、
形成された膜を膜が破壊されるより低い表面圧力で圧縮
保持し、固体表面に移し取った後、プロテインAの膜上
に抗体タンパク質を作用させることにより、抗体タンパ
クを固定化する方法、(2)該方法により得られた抗体
固定膜、(3)該抗体固定膜を用いたバイオセンサー、
バイオリアクターもしくはバイオエレクトロニクスデバ
イス及び(4)該抗体固定膜を用いた酵素測定法に関す
る。本発明では、水層表面に展開されたプロテインAを
LB法により固体基盤に写し取り、プロテインAの単分
子膜、あるいは累積膜上に抗体タンパクの溶液を接触さ
せ、プロテインA・LB膜上に抗体タンパク質を固定化
するものであり、上記の方法で得られた抗体固定膜を用
いたバイオセンサー、バイオリアクター、バイオエレク
トロニクスデバイス、免疫測定基盤に関する。本発明で
用いるプロテインAは黄色ブドウ球菌の菌体表面、ある
いは菌体外に放出される、分子量が15000から52
000のタンパク質である。又、本発明でいう抗体タン
パク質とは、免疫グロブリンG(IgG)である。Ig
Gは疎水性末端部位(Fc)と抗原と特異的に反応する
抗原認識部位(Fab)を持つ分子量約150000の
タンパク質である。プロテインAは哺乳動物の免疫グロ
ブリン、特にIgGのサブクラスであるIgG1、Ig
G2、IgG4、のFc部位と特異的に結合する性質があ
り、この性質を利用して高い抗体密度の抗体固定化が実
現できる。
題を解決すべく鋭意研究の結果、単分子膜形成物質とし
てプロテインAを用い、プロテインAから得られた膜に
抗体を固定化したとき、従来の抗体固定化方法の問題を
解決し得、それにより得られた抗体固定化膜は従来の抗
体固定化膜に比して、抗体が離脱することなく、抗体活
性、抗体密度が高く、かつ均一な抗体固定膜であること
を見出し、本発明に到達したのである。即ち、本発明
は、(1)プロテインAの水溶液を水面に滴下展開し、
形成された膜を膜が破壊されるより低い表面圧力で圧縮
保持し、固体表面に移し取った後、プロテインAの膜上
に抗体タンパク質を作用させることにより、抗体タンパ
クを固定化する方法、(2)該方法により得られた抗体
固定膜、(3)該抗体固定膜を用いたバイオセンサー、
バイオリアクターもしくはバイオエレクトロニクスデバ
イス及び(4)該抗体固定膜を用いた酵素測定法に関す
る。本発明では、水層表面に展開されたプロテインAを
LB法により固体基盤に写し取り、プロテインAの単分
子膜、あるいは累積膜上に抗体タンパクの溶液を接触さ
せ、プロテインA・LB膜上に抗体タンパク質を固定化
するものであり、上記の方法で得られた抗体固定膜を用
いたバイオセンサー、バイオリアクター、バイオエレク
トロニクスデバイス、免疫測定基盤に関する。本発明で
用いるプロテインAは黄色ブドウ球菌の菌体表面、ある
いは菌体外に放出される、分子量が15000から52
000のタンパク質である。又、本発明でいう抗体タン
パク質とは、免疫グロブリンG(IgG)である。Ig
Gは疎水性末端部位(Fc)と抗原と特異的に反応する
抗原認識部位(Fab)を持つ分子量約150000の
タンパク質である。プロテインAは哺乳動物の免疫グロ
ブリン、特にIgGのサブクラスであるIgG1、Ig
G2、IgG4、のFc部位と特異的に結合する性質があ
り、この性質を利用して高い抗体密度の抗体固定化が実
現できる。
【0005】本発明の抗体固定化膜は例えば以下のよう
な方法でLB法を適用して得ることが出来る。即ち、プ
ロテインAを溶媒に溶解し、この溶液をLB装置におい
て水面上に滴下、あるいは流下し展開させる。気液界面
にはプロテインA単分子膜が形成される。この膜を膜が
破壊される圧力より低い表面圧に圧縮保持し、固体基盤
上に写し取る。単分子膜の累積を行う場合は、なるべく
高い表面圧力に圧縮することが好ましい。ここで溶媒は
水あるいはリン酸等の緩衝溶液であり、プロテインAの
濃度は0.05から1g/lである。又、膜への圧縮圧
はプロテインAが単分子状態を保つことが出来る圧力で
通常7から13mN/mである。固体基盤としては通常
ガラス、石英、金属(金、白金)、プラスチック、シリ
コンウェハー等が用いられる。又、プロテインA単分子
膜を累積した累積膜は常法により得ることが出来、例え
ば水面上にプロテインAの単分子膜を形成した後、水平
付着法あるいは垂直上下法により単分子膜を基盤上に移
し取るといった操作を繰り返すことにより累積膜を得る
ことが出来る。
な方法でLB法を適用して得ることが出来る。即ち、プ
ロテインAを溶媒に溶解し、この溶液をLB装置におい
て水面上に滴下、あるいは流下し展開させる。気液界面
にはプロテインA単分子膜が形成される。この膜を膜が
破壊される圧力より低い表面圧に圧縮保持し、固体基盤
上に写し取る。単分子膜の累積を行う場合は、なるべく
高い表面圧力に圧縮することが好ましい。ここで溶媒は
水あるいはリン酸等の緩衝溶液であり、プロテインAの
濃度は0.05から1g/lである。又、膜への圧縮圧
はプロテインAが単分子状態を保つことが出来る圧力で
通常7から13mN/mである。固体基盤としては通常
ガラス、石英、金属(金、白金)、プラスチック、シリ
コンウェハー等が用いられる。又、プロテインA単分子
膜を累積した累積膜は常法により得ることが出来、例え
ば水面上にプロテインAの単分子膜を形成した後、水平
付着法あるいは垂直上下法により単分子膜を基盤上に移
し取るといった操作を繰り返すことにより累積膜を得る
ことが出来る。
【0006】このようにして得られたプロテインA膜
を、抗体タンパク質溶液中に浸漬等の方法で接触させる
ことにより、プロテインA膜上に抗体タンパクを固定化
する。得られた抗体固定膜を例えば生理的リン酸緩衝液
で洗浄し、生化学的親和力以外で吸着している抗体を除
去する。これにより固体基盤上に固定化抗体超薄膜を得
ることが出来る。抗体タンパク質としては、哺乳動物の
免疫グロブリン(Ig)、特にIgGのサブクラスであ
るIgG1,IgG2、IgG4等である。表1に固定化
抗体膜作成フローを示す。
を、抗体タンパク質溶液中に浸漬等の方法で接触させる
ことにより、プロテインA膜上に抗体タンパクを固定化
する。得られた抗体固定膜を例えば生理的リン酸緩衝液
で洗浄し、生化学的親和力以外で吸着している抗体を除
去する。これにより固体基盤上に固定化抗体超薄膜を得
ることが出来る。抗体タンパク質としては、哺乳動物の
免疫グロブリン(Ig)、特にIgGのサブクラスであ
るIgG1,IgG2、IgG4等である。表1に固定化
抗体膜作成フローを示す。
【0007】
【表1】
【0008】このように固定化された抗体固定膜は、プ
ロテインA・LB膜と抗体のFc部位の結合により抗体
を基盤に固定しているため、抗体タンパクは変性を起こ
さず、抗原認識部位の活性を完全に保持したまま高い抗
体密度で基盤上に固定化されている。図1に本発明の抗
体固定膜の模式図を示す。抗体はプロテインA単分子膜
にFc部位で結合し抗原認識部位であるFab部位が表
面に向いた状態で並んでいる。このことは抗原との反応
が速くしかも効率よく行う事が出来る。次にバイオセン
サーについて述べると、固定基盤上、例えば、石英基盤
上にプロテインA膜を積層し、抗体溶液中に浸漬し、該
抗体を固定化し、この抗体に対する抗原をあらかじめ蛍
光剤等で標識しておき、この標識抗原と測定対象物の抗
原とを競争反応させるか、または、標識抗原をあらかじ
めプロテインA上の固定化された抗体と反応させてお
き、測定対象物である抗原と交換反応をさせることによ
り、バイオセンサーを作製する。又、同様にして、本発
明の抗体固定膜を用いてバイオリアクター、バイオエレ
クトロニクスデバイス、免疫測定基盤を作成することが
できる。
ロテインA・LB膜と抗体のFc部位の結合により抗体
を基盤に固定しているため、抗体タンパクは変性を起こ
さず、抗原認識部位の活性を完全に保持したまま高い抗
体密度で基盤上に固定化されている。図1に本発明の抗
体固定膜の模式図を示す。抗体はプロテインA単分子膜
にFc部位で結合し抗原認識部位であるFab部位が表
面に向いた状態で並んでいる。このことは抗原との反応
が速くしかも効率よく行う事が出来る。次にバイオセン
サーについて述べると、固定基盤上、例えば、石英基盤
上にプロテインA膜を積層し、抗体溶液中に浸漬し、該
抗体を固定化し、この抗体に対する抗原をあらかじめ蛍
光剤等で標識しておき、この標識抗原と測定対象物の抗
原とを競争反応させるか、または、標識抗原をあらかじ
めプロテインA上の固定化された抗体と反応させてお
き、測定対象物である抗原と交換反応をさせることによ
り、バイオセンサーを作製する。又、同様にして、本発
明の抗体固定膜を用いてバイオリアクター、バイオエレ
クトロニクスデバイス、免疫測定基盤を作成することが
できる。
【0009】
【作用】本発明の抗体固定膜は、基盤膜に対し生化学的
親和力で結合するため強固で高密度な抗体膜を得ること
が出来る。本発明の抗体固定膜では抗体のFc部位とプ
ロテインA・LB膜とが結合するため、抗体を変えるこ
とにより種々の抗原に対する抗体膜を作ることが出来
る。そして、この抗体固定膜を用いてセンサーを作製し
た場合、抗体の抗原認識部位が外側を向いているため、
測定対象となる抗原と容易に反応することができ、した
がって得られるバイオセンサー、バイオリアクター、バ
イオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基盤等は、優
れた作用効果を有する。
親和力で結合するため強固で高密度な抗体膜を得ること
が出来る。本発明の抗体固定膜では抗体のFc部位とプ
ロテインA・LB膜とが結合するため、抗体を変えるこ
とにより種々の抗原に対する抗体膜を作ることが出来
る。そして、この抗体固定膜を用いてセンサーを作製し
た場合、抗体の抗原認識部位が外側を向いているため、
測定対象となる抗原と容易に反応することができ、した
がって得られるバイオセンサー、バイオリアクター、バ
イオエレクトロニクスデバイス、免疫測定基盤等は、優
れた作用効果を有する。
【0010】
実施例1.抗ヒト血清アルブミン抗体の固定化 プロテインA水溶液(0.5mg/ml)50μlをL
B膜製造装置の清浄な水面上にマイクロシリンジを用い
て展開させた。表面圧を12mN/mに保ちプロテイン
Aの単分子膜をステアリルトリクロルシランで疎水化処
理した無蛍光ガラス基盤上に2層積層した。この基盤を
抗ヒト血清アルブミン抗体の生理的リン酸緩衝溶液*1
(10mg/ml)中に1時間浸漬する。生理的リン酸
緩衝溶液で十分洗浄後、フルオレセインイソチオシアネ
ート標識したヒト血清アルブミン溶液10~6〜10~1m
g/mlに1時間浸漬した。図2に示すように、ヒト血
清アルブミン濃度の増加と共に蛍光強度が増加した。こ
の結果は、抗ヒト血清アルブミン抗体は活性を十分保持
しプロテインA単分子膜上に固定化されていることを示
している。又、プロテインA単分子膜上に抗体タンパク
質が結合しているため固定化抗体膜を超薄膜の状態で作
製することが出来た。 *1:組成 0.15M NaCl+0.01M リン酸
ナトリウム(pH7.0)。
B膜製造装置の清浄な水面上にマイクロシリンジを用い
て展開させた。表面圧を12mN/mに保ちプロテイン
Aの単分子膜をステアリルトリクロルシランで疎水化処
理した無蛍光ガラス基盤上に2層積層した。この基盤を
抗ヒト血清アルブミン抗体の生理的リン酸緩衝溶液*1
(10mg/ml)中に1時間浸漬する。生理的リン酸
緩衝溶液で十分洗浄後、フルオレセインイソチオシアネ
ート標識したヒト血清アルブミン溶液10~6〜10~1m
g/mlに1時間浸漬した。図2に示すように、ヒト血
清アルブミン濃度の増加と共に蛍光強度が増加した。こ
の結果は、抗ヒト血清アルブミン抗体は活性を十分保持
しプロテインA単分子膜上に固定化されていることを示
している。又、プロテインA単分子膜上に抗体タンパク
質が結合しているため固定化抗体膜を超薄膜の状態で作
製することが出来た。 *1:組成 0.15M NaCl+0.01M リン酸
ナトリウム(pH7.0)。
【0011】実施例2.ヒトIgEセンサー プロテインA水溶液(0.5mg/ml)50μlをL
B膜製造装置の清浄な水面上にマイクロシリンジを用い
て展開させた。表面圧を12mN/mに保ちプロテイン
Aの単分子膜をステアリルトリクロルシランで疎水化処
理した無蛍光ガラス基盤上に2層積層した。この基盤を
抗ヒトIgE抗体の生理的リン酸緩衝溶液(5mg/m
l)中に1時間浸漬する。0.05%Tween20を
含む生理的リン酸緩衝溶液で十分洗浄後、フルオレセイ
ンイソチオシアネート標識したラットIgE溶液(0.
2mg/ml)と10~6〜10~3mg/mlのヒトIg
Eを含む人工血清(8%ウシ血清アルブミンを含む生理
的リン酸緩衝溶液)中に基盤を1時間浸漬した。図3に
示すようにIgE濃度が10~3〜10~6mg/mlで蛍
光強度が直線的に変化し定量性のあることが判った。
B膜製造装置の清浄な水面上にマイクロシリンジを用い
て展開させた。表面圧を12mN/mに保ちプロテイン
Aの単分子膜をステアリルトリクロルシランで疎水化処
理した無蛍光ガラス基盤上に2層積層した。この基盤を
抗ヒトIgE抗体の生理的リン酸緩衝溶液(5mg/m
l)中に1時間浸漬する。0.05%Tween20を
含む生理的リン酸緩衝溶液で十分洗浄後、フルオレセイ
ンイソチオシアネート標識したラットIgE溶液(0.
2mg/ml)と10~6〜10~3mg/mlのヒトIg
Eを含む人工血清(8%ウシ血清アルブミンを含む生理
的リン酸緩衝溶液)中に基盤を1時間浸漬した。図3に
示すようにIgE濃度が10~3〜10~6mg/mlで蛍
光強度が直線的に変化し定量性のあることが判った。
【0012】
【発明の効果】プロテインA単分子膜上に抗体タンパク
質が結合しているため固定化抗体膜を超薄膜の状態で作
製することができ、得られた本発明の抗体固定膜は基盤
膜に対し生化学的親和力で結合しているため強固で高密
度のものとなる。又抗体を変えることにより種々の抗原
に対する抗体膜を容易に短時間に作ることができる。本
発明の抗体固定膜は抗体のFc部位とプロテインA・L
B膜とが結合するため抗体の抗原認識部位が外側を向い
ており、そのため、この抗体固定膜を用いてセンサーを
作製した場合、測定対象となる抗原と容易に反応するこ
とが出来るという長所がある。従来、この膜のように抗
体の向きをコントロール(抗原認識部位を外側に向ける
事)することは出来なかった。又本抗体固定基盤を用い
たセンサーは従来の酵素反応等の測定のための時間を大
巾に短縮でき、操作性が極めて良好である。
質が結合しているため固定化抗体膜を超薄膜の状態で作
製することができ、得られた本発明の抗体固定膜は基盤
膜に対し生化学的親和力で結合しているため強固で高密
度のものとなる。又抗体を変えることにより種々の抗原
に対する抗体膜を容易に短時間に作ることができる。本
発明の抗体固定膜は抗体のFc部位とプロテインA・L
B膜とが結合するため抗体の抗原認識部位が外側を向い
ており、そのため、この抗体固定膜を用いてセンサーを
作製した場合、測定対象となる抗原と容易に反応するこ
とが出来るという長所がある。従来、この膜のように抗
体の向きをコントロール(抗原認識部位を外側に向ける
事)することは出来なかった。又本抗体固定基盤を用い
たセンサーは従来の酵素反応等の測定のための時間を大
巾に短縮でき、操作性が極めて良好である。
【図1】本発明の抗体固定膜の模式図である。
【図2】本発明の抗体固定膜によるヒト血清アルブミン
の濃度と蛍光強度との関係を示すグラフである。
の濃度と蛍光強度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の抗体固定膜を用いたヒトIgEセンサ
ーのIgE濃度に対する蛍光強度変化を示すグラフであ
る。
ーのIgE濃度に対する蛍光強度変化を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−84828(JP,A) 特開 昭62−151759(JP,A) 特開 平3−185000(JP,A) 特開 平3−79774(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/543 C07K 17/00 G01N 27/327 G01N 33/547
Claims (4)
- 【請求項1】プロテインAの水溶液を水面に滴下展開
し、固体表面に写し取った後、プロテインAの膜上に抗
体タンパク質を作用させることにより、抗体タンパクを
固定化する方法。 - 【請求項2】請求項1の方法で得られた抗体固定膜。
- 【請求項3】請求項2の抗体固定膜を用いたバイオセン
サー、バイオリアクターもしくはバイオエレクトロニク
スデバイス。 - 【請求項4】請求項2の抗体固定膜を用いた酵素免疫測
定法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4003257A JP2922040B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | プロテインa分子膜により抗体タンパク質を固定化する方法及び抗体固定膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4003257A JP2922040B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | プロテインa分子膜により抗体タンパク質を固定化する方法及び抗体固定膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05273212A JPH05273212A (ja) | 1993-10-22 |
JP2922040B2 true JP2922040B2 (ja) | 1999-07-19 |
Family
ID=11552420
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4003257A Expired - Fee Related JP2922040B2 (ja) | 1992-01-10 | 1992-01-10 | プロテインa分子膜により抗体タンパク質を固定化する方法及び抗体固定膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2922040B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
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US7682833B2 (en) | 2003-09-10 | 2010-03-23 | Abbott Point Of Care Inc. | Immunoassay device with improved sample closure |
WO2011064910A1 (ja) | 2009-11-25 | 2011-06-03 | パナソニック株式会社 | 免疫測定方法 |
CA2784351C (en) | 2009-12-18 | 2013-10-08 | Abbott Point Of Care Inc. | Integrated hinged cartridge housings for sample analysis |
WO2014159615A2 (en) | 2013-03-14 | 2014-10-02 | Abbott Point Of Care Inc | Thermal control system for controlling the temperature of a fluid |
-
1992
- 1992-01-10 JP JP4003257A patent/JP2922040B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05273212A (ja) | 1993-10-22 |
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