JP2921464B2 - 固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ陽極体 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法及び固体電解コンデンサ陽極体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解コンデン
サの製造方法および固体電解コンデンサの陽極体に関
し、特に弁作用金属の粉末を成形,焼結してなる焼結陽
極体に誘電体酸化皮膜、固体電解質層及び陰極導体層を
形成した構造の固体電解コンデンサを製造する方法およ
び固体電解コンデンサの陽極体に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の固体電解コンデンサの製造工程
について、弁作用金属としてタンタルを用いたタンタル
固体電解コンデンサを例にして説明する。先ず、金属タ
ンタル粉末をダイに充填しパンチで加圧して、角柱ある
いは円柱のような柱体に成形する。この際、成形後の柱
体の一方の端面から軸方向に陽極リード線となるべきタ
ンタル線が引き出されるように、ダイに充填されたタン
タル粉末に予めタンタル線を埋め込んで置く。
【0003】次に、成形された成形体を高温,高真空中
で焼結して、焼結成形体を得る。次いで、この焼結成形
体表面に、誘電体層としての酸化タンタル皮膜,固体電
解質層としての二酸化マンガン層,陰極導体層を順次形
成して、コンデンサ素子を得る。
【0004】その後、外部の回路との接続のための外部
陽極端子及び外部陰極端子を、前記タンタル線又は陰極
導体層にそれぞれ接続する。最後に、必要に応じて絶縁
性樹脂層あるいは金属ケースで封止,外装してコンデン
サを完成する。
【0005】ところで、上述した製造工程中のタンタル
成形体製造工程では、ダイに金属タンタル粉末を充填す
る際の粉末の流れ性が問題となる。すなわち、タンタル
粉末のみで成形しようとすると、タンタル粉末が全てダ
イの中に入らない,ダイが摩耗しやすい,ダイからパン
チが抜けなくなるなどの障害が起る。そこで、予め金属
タンタル粉末に無機バインダ液や有機バインダ液を添加
して造粒し、その造粒したタンタル粉末を柱体に成形す
ることが、一般的に行われている。
【0006】上記の一般的な造粒方法の他にも、いくつ
かの造粒方法が工夫されている。例えば、特開平2−3
4701号公報には、スプレードライなどの造粒機を用
い、ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルブチ
ラール(PVB)或いはカンファーなどをバインダとし
て、タンタル微粉を造粒する方法が開示されている。
又、特開平5−65502号公報には、流動層式造粒機
を用いて、製造過程の前半では水などの無機バインダ液
を使用し、後半ではPVA,PVB,メチルセルロー
ス,カルボキシルメチルセルロースのような有機バイン
ダ液を用いて、二段階でタンタル粉末を造粒する方法が
開示されている。
【0007】本発明との関連において、これまで述べた
従来の固体電解コンデンサの製造方法はいずれも、弁作
用金属粉末の造粒に用いるバインダとして、液状のバイ
ンダを用いている点に特徴がある。
【0008】また、特開平5−283264号公報では
固体繊維状のバインダとして直径2〜30μm程度,長
さ0.1〜10mm程度の炭素材繊維を使用した炭素材
の焼結体からなる焼結シートと、この焼結シートと一体
化した炭素質リードとで構成されている電極の発明が開
示されている。
【0009】また、固体電解コンデンサの陽極体として
は、特開平5−275293号公報にて、弁作用金属粉
末の平均径が0.1〜5μmのものを用いて、空孔の大
きさを弁作用金属粉末の大きさの0.05〜5倍にした
陽極体を製造する方法が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の固体電
解コンデンサの製造方法では、弁作用金属粉末の流れ性
改善のための造粒の際に、バインダを有機溶剤などに溶
解したものを液状または霧状として弁作用金属に添加す
る。その結果、コンデンサとしての誘電正接値(tan
δ)が増大するという問題が生じる。以下にその説明を
行う。
【0011】図12に、従来の技術により成形した成形
体の断面図を示す。図12では、一部を模式的に拡大し
図示してある。図12に示した従来の技術による成形体
では、成形に先立つ造粒の際に液状(又は、霧状)のバ
インダ液を用いるため、造粒後の弁作用金属粉末3の表
面にはバインダ層5が形成される。このバインダ層5
は、弁作用金属粉末3の粒径に比較して非常に薄い。そ
の後に、この造粒した弁作用金属粉末3を成形すると、
図12に示すように、各弁作用金属粉末3相互間はそれ
ぞれの表面を覆うバインダ層5を介して接することとな
るが、前述したように、バインダ層5は弁作用金属粉末
3の大きさに対して極く薄い。従って実際上は、弁作用
金属粉末3が成形体内に殆ど隙間なく詰っているといっ
て差し支えない。尚、図12中、2は陽極リード線であ
る。
【0012】上記のバインダ層5は、続いて行われる焼
結の際の加熱などで分散し飛散するのであるが、これに
よって形成される空間は非常に狭いものとなる。つま
り、焼結が済んだ後の焼結成形体では、弁作用金属粉末
3が密に接合し合っており、この後、誘電体酸化皮膜形
成に続く固体電解質形成の工程では、固体電解質母液
(例えば、硝酸マンガン溶液)が成形体内部に染み込む
ためのパスが非常に狭くなっている。この状態は、例え
て言えば、固体電解質形成の際に焼結成形体表面に目詰
りを起し易い状態にあると表現できる。
【0013】このように、従来の技術による固体電解コ
ンデンサでは成形体の目詰りが原因で、固体電解質母液
を成形体内部に含浸させるときの含浸性が良くない。換
言すれば、固体電解質母液が空孔内に十分充填されず、
細い,狭い空孔の奥の方では、誘電体酸化皮膜上に形成
される固体電解質層は極く薄いものとなる。その結果、
コンデンサとして構築したときの正極,負極間の電流パ
スが細く薄く、従って抵抗が高くなって誘電正接値(t
anδ)が増大してしまう。このような成形体の目詰り
は、弁作用金属粉末3が微粉化すればするほど悪化する
のであるが、近年、コンデンサの小型大容量化を進める
ために弁作用金属粉末3の粒径は微細化される傾向にあ
り、成形体の目詰りの解消、延いてはtanδの改善は
非常に重要な課題となっている。
【0014】また、特開平5−283264号公報によ
る従来技術では、固体繊維状のバインダを用いるが、こ
の固体繊維状のバインダを用いる目的は図13に示すよ
うな電極6にて十分な強度の焼結体を得るとともに、電
極板7と炭素質リード8との接合強度を高めることにあ
る。したがって電極6を用いて固体電解コンデンサを製
造した場合、電極6内部の空孔が狭くなり、固体電解コ
ンデンサとして構築したときのtanδが増大してしま
うという欠点があった。
【0015】本発明の目的は、弁作用金属の粉末を柱体
に成形し焼結した焼結成形体を用いる固体電解コンデン
サを製造する方法を対象とするものであって、従来に比
べてtanδを向上させ得る固体電解コンデンサの製造
方法及び固体電解コンデンサ陽極体を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、弁
作用金属粉末を主原料として、これを柱状の成形体に成
形する工程と、前記成形体を焼結して得た焼結成形体に
誘電体酸化皮膜,固体電解質層及び陰極導体層を順次形
成する工程とを含むものであり、さらに前記成形体の成
形工程では、前記弁作用金属粉末として粒子状もしくは
繊維状の固形アクリル樹脂を混合した粉末を用いて、成
形体を成形することを特徴とするものである。
【0017】また前記粒子状の固形アクリル樹脂は、そ
の平均粒径が1〜100μmの範囲にあり、混合粉末全
体に占める割合が3〜10wt%の範囲にあるものであ
る。また前記繊維状の固形アクリル樹脂の平均形状は直
径5〜50μm,長さ50μm〜5mmの範囲にある形
状であり、混合粉末全体に占める割合が3〜10wt%
の範囲にあるものである。
【0018】また、本発明に係る固体電解コンデンサの
製造方法は、上記の粒子状もしくは繊維状の固形アクリ
ル樹脂に換えて、粒子状もしくは繊維状の固形有機バイ
ンダとして固形ポリビニルアルコールまたは固形ポリビ
ニルブチラールのいずれかを用いることを特徴とするも
のである。
【0019】また、本発明に係る固体電解コンデンサの
陽極体は、弁作用金属粉末を主原料として、これを柱状
の成形体に成形し、前記成形体を焼結して得る固体電解
コンデンサの陽極体であって、前記焼結成形体に含まれ
る空孔は、5〜200μmの範囲にあり、該空孔は、焼
結成形体の体積の0.5〜50%を占めたものであるこ
とを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明の固体電解コンデンサの陽極体では、焼
結成形体に含まれる空孔は、5〜200μmの範囲にあ
り、該空孔は焼結成形体の体積の0.5〜50%を占め
たものである。そのため、本発明に係る固体電解コンデ
ンサの陽極体は、焼結処理を経て誘電体酸化皮膜を形成
した後に固体電解質層を形成する際に、固体電解質母液
が焼結成形体の内部に染み込むためのパスが拡大されて
いる。したがって固体電解母液が焼結成形体の内部に十
分染み込むこととなり、そのため誘電体酸化皮膜上に形
成される固体電解質層は厚くなり、しかも抵抗値が小さ
く、コンデンサとして構築した際の誘電正接値が低くな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0022】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るタンタル成形体(タンタル粉末の加圧成形後、
焼結前の状態)を示す断面図であり、図1の一部は模式
的に拡大して図示してある。また図1は、従来の技術に
よるタンタル成形体の模式的拡大断面を示す図12に対
応するものである。
【0023】図1において、本発明の実施形態1に係る
成形体1では、タンタル(弁作用金属)粉末3相互間
に、固形バインダの粒子4を介在させている。この固形
バインダ粒子4は、後に述べるように、その平均粒径が
1〜100μmの範囲にあり、タンタル粉末3の粒径と
同一オーダーの大きさを持つ。
【0024】上記のバインダ粒子4は、後工程での焼結
工程などにおける加熱により分解し、飛散する。そし
て、その飛散した後の空間が、焼結後に固体電解質を形
成する際の電解質母液が成形体の内部に染み込むパス
(侵入経路)となる。その侵入経路の大きさは、ほぼバ
インダ粒子4の平均粒径の大きさにより決定され、タン
タル粉末3に対して十分な大きさをもち、従来の技術に
よる成形体(図12参照)においてバインダ層5によっ
て形成される侵入経路とは比較にならないほど大きい。
すなわち、本実施形態1における電解質母液の焼結成形
体1への含浸性は、従来の技術による成形体における含
浸性に比べてずっと良好である。これによってコンデン
サとして構築した際の正極・負極間の電流パスは、従来
のコンデンサに比べて太く、厚くなり、したがって抵抗
値が低いものとなり、良好なtanδ特性をもたらす。
【0025】本発明者は、本実施形態1によるタンタル
固体電解コンデンサを、次のようにして製造した。先
ず、CV値40000CV/gのタンタル粉末3にバイ
ンダ粒子4として粒子状のアクリル系固形樹脂を添加す
る。次に、その混合タンタル粉末に陽極リード線2とな
るべき直径0.5mmのタンタル線を植立させ、加圧成
形して成形体1を作製する。成形された成形体1は、直
径6.0mm,長さ7.90mmの円柱体の形状に成形
してある。
【0026】次いで、成形された成形体1を高温・高真
空雰囲気中で焼結しタンタル焼結成形体を得る。更に、
この成形体をリン酸溶液中で化成し酸化タンタル皮膜を
形成し、その上に固体電解質層としての二酸化マンガン
層,陰極導体層としてのカーボン層及び銀ペースト層を
順次形成して、タンタル固体電解コンデンサ素子を得
る。
【0027】このようにして得たコンデンサ素子におけ
る原料タンタル粉末のCV値,バインダ粒子の平均粒径
およびその添加率(原料タンタル粉末と固形バインダ粒
子とからなる混合タンタル粉末に占めるバインダ粒子の
割合)を一覧表にして、表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1において、水準1はバインダ粒子を含
まない、原料タンタル粉末だけからなる成形体を用いた
コンデンサ素子である。また、水準8は、原料タンタル
粉末に液体のバインダを添加するという、従来の技術に
よる成形体を用いたコンデンサ素子である。
【0030】本発明者は、表1に示す水準に対して、粉
末,成形体,焼結成形体またはコンデンサ素子の状態
で、下記の4項目について調査した。 混合粉末(原料タンタル粉末とバインダとからなる)
の流れ性(図3) 成形体の強度(図4) 焼結成形体の断面状態(図5〜図7) コンデンサとしてのtanδ(図8)
【0031】図3において、縦軸は混合粉末の流れ性を
示し、横軸は被測定粉末の水準を示す。流れ性は、容器
内に蓄えた50gの粉末が砂時計式に直径一定の管を垂
直に流れ落ち尽くすのに要する時間で示す。図3から、
原料タンタル粉末のみ(水準1)では、粉末は流れな
い。固形バインダ粒子を添加した混合粉末の流れ性は、
バインダ粒径が50μm程度以上でほぼ飽和する傾向に
あるが、100μm(水準6)から150μm(水準
7)の間で急激に悪化する。また、水準4と水準5との
比較から、バインダ粒径が同一であれば、バインダ添加
率が大きい方が流れ性が良いことが分かる。
【0032】次に図4において、縦軸は成形体の強度を
示し、横軸は被測定成形体の水準を示す。強度は、円柱
状の成形体に対し、陽極リード線2に平行な二つの面で
徐々に力を加え、成形体が変形したときの力で示す。図
4から、バインダ粒子の添加率が同一であれば、バイン
ダ粒径の大きい方が成形体強度も大きいことが分る。原
料タンタル粉末のみを用いた成形体(水準1)の強度
は、他のいずれの水準よりも低い。また、固形バインダ
粒子を添加した成形体ではいずれの水準のものも、従来
の液体バインダを用いた成形体(水準8)よりも、強度
が高い。
【0033】図5〜図7に、成形体を焼結して焼結成形
体としたときの、焼結成形体断面の光学顕微鏡による観
察像を示す。図5〜図7を参照すると、原料タンタル粉
末のみの焼結成形体(水準1:図5(a))及び、液体
バインダを用いた従来の焼結成形体(水準8:図7
(b))では、焼結成形体表面及び内部に空孔が見られ
ないのに対し、固形バインダ粒子を添加した焼結成形体
(図5(b)〜図7(a))では、表面及び内部に空孔
が形成されているのが観察される。
【0034】次に、コンデンサとして構築したときのt
anδとタンタル混合粉末の水準との関係を図8に示
す。図8において固形バインダ粒子を添加したコンデン
サのtanδはいずれの水準においても、液体バインダ
を用いるコンデンサ(水準8)よりも低く、原料タンタ
ル粉末のみを用いたコンデンサ(水準1)のtanδと
ほぼ同等である。そして、バインダ粒子を添加したコン
デンサでは添加率が一定であれば、バインダ粒子が0.
8μm(水準2)〜50μm(水準4)の間は粒径が大
きくなるに従ってtanδは小さくなる傾向にある。一
方、バインダ粒径50μm以上では逆に、バインダ粒径
の増大に伴ってtanδも増大する傾向を示している。
また、水準4と水準5との比較から、バインダ粒径が同
一であればバインダ添加率が大きい方がtanδも大き
いことが分かる。
【0035】これまで述べた調査結果から、固形バイン
ダ粒子の粒径が100μmを越えると混合粉末の流れ性
が急激に悪化し、一方、0.8μm以下の場合は成形体
の機械的強度が従来の技術によるコンデンサと同等以下
になることから、バインダ粒子の粒径は、1μm以上,
100μm以下であることが望ましい。一方、固体バイ
ンダ粒子の添加率については、10%(水準5)より大
きいと成形体強度が低下すると共にtanδが悪化する
可能性があり、3%(水準4)より低いと混合粉末の流
れ性の悪化傾向が見られることから、3%以上,10%
以下であることが望ましい。すなわち、固形バインダ粒
子4として、平均粒径1〜100μmのアクリル系固形
樹脂を添加率3〜10%の範囲で原料タンタル粉末に混
合したものを用いた場合に、二酸化マンガン層の酸化タ
ンタル皮膜に対する被覆性が良好となり、tanδの小
さなタンタル固体電解コンデンサを提供することができ
ることとなる。
【0036】なお本実施形態1では、図5〜図7に示し
た固形バインダ粒子4は球状的なものを使用している
が、固形バインダ粒子4として角状のもの或いは扁平的
なものを使用しても良い。
【0037】(実施形態2)図2は本発明の実施形態2
に係るタンタル成形体を示す断面図であって、一部を模
式的に拡大して図示してある。図1に示す実施形態1に
おける成形体1のバインダ粒子4は、平均粒径が1〜1
00μmの範囲にあることを特徴としているが、図2に
示す実施形態2における成形体1のバインダ粒子4は、
直径5〜50μm,長さ50μm〜5mmの範囲の繊維
状としたことを特徴としている。
【0038】本実施形態2に係る繊維状のバインダ粒子
4は、後工程の焼結工程における加熱により分解し飛散
する。そして、その飛散した後の空間が焼結後に固体電
解質を形成する際の電解質母液が焼結成形体1内に染み
込むパス(侵入経路)となるが、本実施形態2に係るバ
インダ粒子4は繊維状の長い形状のため、この電解質母
液の侵入経路が実施形態1のものと比べて長いものとな
る。その結果、実施形態1より更に良好なtanδ特性
をもたらす。
【0039】本実施形態2における原料タンタル粉末の
CV値,バインダ粒子4の直径,長さを一覧表にして、
表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】本実施形態2についても、本発明者は表2
に示す水準に対して粉末,コンデンサ素子の状態で下記
の2項目について調査した。 混合粉末(原料タンタル粉末とバインダとからなる)
の流れ性(図9) コンデンサとしてのtanδ(図10)
【0042】なお、表2において水準11は、原料タン
タル粉末に液体のバインダを添加するという従来の技術
における成形体を用いたコンデンサ素子であり、水準2
は表1に示す本実施形態2に係る粒子状の固形バインダ
粒子を用いたコンデンサ素子である。
【0043】図9において、縦軸は混合粉末の流れ性を
示し、横軸は被測定粉末の水準を示している。図9にお
いて繊維状バインダ長さが長くなるほど流れ性が悪化
し、8000μm(水準15)では粉末は流れない。ま
た繊維状バインダ直径が極端に細くなると流れ性が悪化
し、1μm(水準19)では粉末は流れなくなり、一
方、繊維状バインダ直径が太くなり、75μm(水準1
7)となっても流れ性が悪化する。
【0044】次に、コンデンサとして構築したときのt
anδとタンタル混合粉末の水準との関係を図10に示
す。図10において、繊維状バインダ直径が極端に細く
なると、tanδ低減の効果がなくなり、1μm(水準
19)では、従来の液状バインダ(水準11)とほぼ同
程度のtanδとなる。
【0045】これまで述べた調査結果から、繊維状のバ
インダ粒子の直径が5μmより細くなると、流れ性が悪
化し、tanδ低減の効果がなくなり、また50μmを
越えると流れ性が悪くなることから、繊維状のバインダ
粒子の直径は5〜50μmの範囲にあることが望まし
い。一方繊維状のバインダ粒子の長さが5000μm
(5mm)を超えると、流れ性が悪化し、また繊維状の
バインダ粒子の長さが50μmより小さくなると、粒子
状のバインダとなってしまうことから、繊維状のバイン
ダ粒子の長さは50μm〜5mmの範囲にあることが望
ましい。なお、繊維状のバインダ粒子の形状としては、
糸状,棒状等が考えられる。
【0046】実施形態1及び実施形態2により製作した
コンデンサ素子それぞれについての空孔径と体積比を確
認し、代表的なものを表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】本発明者は表3に示す水準に対して、コン
デンサ素子のtanδについて調査した。
【0049】図11において、縦軸は誘電正接値を示
し、横軸は被測定粉末の水準を示している。図11にお
いて、まず空孔径に着目すると、空孔比率10%の場
合、空孔径が5或いは10%では誘電正接値を低減でき
るが、空孔径が2.5μmでは誘電正接値は従来例より
ほんのわずか改善されるだけである。
【0050】一方、空孔比率に着目すると、空孔径5〜
200μmの比率が多くなると、誘電正接値は低減する
が、50%を越えると、その低減は認められない。また
比率が少なくなると、誘電正接値が上昇する。
【0051】これまでに述べた調査結果から、焼結成形
体の空孔径が5μmより小さくなると誘電正接値が大き
くなり、空孔径が200μmを超えると焼結成形体の表
面積が小さくなるため、空孔径は5〜200μmの範囲
にあることが望ましい。一方、空孔の比率が0.5%よ
り少なくなると誘電正接値が大きくなり、空孔の比率が
50%を超えると誘電正接値の低減効果はないが、焼結
成形体の表面積が小さくなるため、空孔の比率は0.5
〜50%であることが望ましい。
【0052】なお、表1に示した粒子状の固形バインダ
粒子と、表2に示した繊維状の固形バインダ粒子を組み
合わせて、原料タンタル粉末に混合したものを用いて、
成形体を製作してもよい。
【0053】尚、本実施形態1及び2では、弁作用金属
粉末としてタンタルを用い、固形バインダ粒子としてア
クリル系固形樹脂を用いた例について説明したが、本発
明はこれらに限られるものではない。本発明の作用,効
果は、弁作用金属粉末の粒径と固形バインダ粒子の粒径
との相互関連で得られるものであるため、弁作用金属粉
末として、例えばアルミニウムのような弁作用金属粉末
を用いても良い。また、固形バインダ粒子として、従来
良く知られているPVAやPVB等の有機バインダの粒
子を用いても、本実施形態1及び2におけるものと同様
の効果を得ることができる。また、固体電解質層として
ポリピロールやポリアニリンのような機能性高分子を用
いても良い。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、弁作用金
属粉末を成形,焼結して得られる焼結成形体を用いる固
体電解コンデンサを製造する際に、成形体の成形工程
で、弁作用金属粉末に、粒子状もしくは繊維状の固形ア
クリル樹脂を混合した粉末を用いて成形体を製造する。
【0055】これにより本発明によれば、固体電解質形
成の際に電解質母液が焼結成形体へ含浸する含浸性を、
従来技術による成形体におけるものよりも高め、固体電
解質の誘電体皮膜に対する被覆性を向上させてその抵抗
値を低下させることができる。従って、コンデンサとし
ての誘電正接値(tanδ)を向上させることができ
る。
【0056】上記の粒子状アクリル樹脂は、その平均粒
径が1〜100μmの範囲にあり、混合粉末全体に占め
る割合が3〜10wt%の範囲にある、もしくは上記繊
維状アクリル樹脂は、その平均形状が直径5〜50μ
m,長さ50μm〜5mmの範囲にあり、混合粉末全体
に占める割合が3〜10wt%の範囲に設定することに
より、上述した効果を顕著に発揮させることができる。
【0057】また、上記の粒子状もしくは繊維状の有機
バインダとして固形ポリビニルアルコールまたは固形ポ
リビニルブチラールのいずれかを用いることにより、上
述した効果を同様に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るタンタル成形体を示
す断面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係るタンタル成形体を示
す断面図である。
【図3】本発明の実施形態1における成形体製造用粉末
の流れ性を比較して示す図である。
【図4】本発明の実施形態1における成形体の強度を比
較して示す図である。
【図5】本発明の実施形態1における焼結成形体の断面
を光学顕微鏡像を比較して示す写真である。
【図6】本発明の実施形態1における焼結成形体の断面
を光学顕微鏡像を比較して示す写真である。
【図7】本発明の実施形態1における焼結成形体の断面
を光学顕微鏡像を比較して示す写真である。
【図8】本発明の実施形態1におけるタンタル固体電解
コンデンサのtanδを比較して示す図である。
【図9】本発明の実施形態2における成形体製造用粉末
の流れ性を比較して示す図である。
【図10】本発明の実施形態2におけるタンタル固体電
解コンデンサのtanδを比較して示す図である。
【図11】本発明の実施形態1におけるタンタル固体電
解コンデンサのtanδを比較して示す図である。
【図12】従来技術のタンタル成形体を示す断面図であ
る。
【図13】特開平5−283264号公報に開示された
電極を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 成形体 2 陽極リード線 3 弁作用金属粉末 4 バインダ粒子 5 バインダ層 6 電極 7 電極板 8 炭素質リード

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形体の成形工程と、陰極層形成工程と
    有する固体電解コンデンサの製造方法であって、 成形体の成形工程は、弁作用金属の粉末を主原料として
    これを柱状の成形体に成形する工程であり、 陰極層形成工程は、前記成形体を焼結して得た焼結成形
    体に誘電体酸化皮膜,固体電解質層及び陰極導体層を順
    次形成する工程であり、 さらに前記成形体の成形工程では、前記弁作用金属の粉
    末に、粒子状もしくは繊維状の固形アクリル樹脂を混合
    した粉末を用いて成形体を成形することを特徴とする固
    体電解コンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粒子状の固形アクリル樹脂の平均粒
    径は1〜100μmの範囲にあり、混合粉末全体に占め
    る割合は3〜10wt%の範囲にあることを特徴とする
    請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記繊維状の固形アクリル樹脂の平均形
    状は直径5〜50μm,長さ50μm〜5mmの範囲に
    ある形状であり、混合粉末全体に占める割合は3〜10
    wt%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の
    固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粒子状もしくは繊維状の固形アクリ
    ル樹脂に換えて、粒子状もしくは繊維状の固形有機バイ
    ンダーとして固形ポリビニルアルコールまたは固形ポリ
    ビニルブチラールのいずれかを用いることを特徴とする
    請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 弁作用金属の粉末を主原料として、これ
    を柱状の成形体に成形し、前記成形体を焼結して得る固
    体電解コンデンサ陽極体であって、 前記焼結成形体に含まれる空孔は、5〜200μmの範
    囲にあり、 該空孔は、焼結成形体の体積の0.5〜50%を占めた
    ものであることを特徴とする固体電解コンデンサ陽極
    体。
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