JP3459146B2 - 固体電解コンデンサ用焼結体及びその製造方法 - Google Patents
固体電解コンデンサ用焼結体及びその製造方法Info
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等の固体電解コンデンサの素子として用いる焼結体及び
その製造方法に関し、特に小形で大容量を得ることがで
きる多孔質焼結体に関するものである。
作用を有する例えばタンタル金属粉末を加圧成形した成
形体に、あらかじめ弁作用を有する金属線を陽極リード
として植え込んでおき、高温真空中で焼結して得た多孔
質の焼結体に順次、誘電体層、固体電解質層、導電層を
形成している。
小形大容量化が急速に進み、コンデンサ素子の原料であ
るタンタル金属粉末の粒子は、1μm未満まで微細化
し、これを加圧成形・焼結した多孔質の焼結体では、焼
結体内部に形成される空孔が細く小さいので、固体電解
質層を形成するために使用する硝酸マンガン溶液等の固
体電解質母液が空孔に十分に入り込めず、含浸されない
面積が大きくなり、静電容量出現率の低下をまねくと共
に、tanδの増大という問題を生じていた。
ら次のようなことが行われてきた。すなわち、カンファ
やアクリル樹脂、ポリカーボネイト等の有機バインダを
溶剤に溶かしてタンタル粉末に添加し、これを加圧成形
・焼結して多数の空孔を設けたり、あるいは直径100
μm程度の上記有機バインダを添加し、これを加圧成形
・焼結して多数の空孔を設けたり、あるいはタンタル粉
末の加圧成形時、その成形密度を低くすることによって
多数の空孔を設けたり、場合によってはこれらの方法を
組み合わせる等である。
焼結体では、多数の空孔を設けることはできたものの、
空孔自体の大きさは、タンタル粉末によって構成される
隙間であることに変わりはなく、空孔径も一様でなく、
また空孔が連続せずに途中でとぎれてしまう場合も多か
ったため、焼結体内部の残留気泡や焼結体内部での流体
圧力損失等による含浸効率の低下を招いていた。すなわ
ち、残留気泡がある場合は固体電解質母液が入り込め
ず、また、流体圧力損失は、空孔の長さ方向において空
孔径が異なる場合に生じ、固体電解質母液を含浸したと
きに毛細管現象が含浸途中で停止するという現象を生じ
るので、含浸が進行しないのである。したがって、固体
電解質母液の含浸性を向上させてコンデンサ素子の静電
容量出現率や、tanδを改善するのに有効な手段とは
いえないものであった。
な欠点を解決するために成されたもので、コンデンサ素
子として使用する多孔質焼結体に対する固体電解質母液
の含浸性を改善し、静電容量出現率とtanδを向上さ
せようとするものである。
ンデンサ用焼結体の製造方法において、請求項1記載の
発明は、弁作用金属粉末にメタクリル酸イソブチルエス
テル重合体、メタクリル酸メチルエステル重合体、メタ
クリル酸エチルエステル重合体、メタクリル酸プロピル
エステル重合体、メタクリル酸nブチルエステル重合
体、メタクリル酸ペンチルエステル重合体、メタクリル
酸ヘキシルエステル重合体等のメタクリル酸エステル重
合体からなる繊維、ポリエチレンカーボネイト繊維、ポ
リプロピレンカーボネイト繊維、ポリブチレンカーボネ
イト繊維の中の1種又は2種以上を添加・混合した後、
加圧成形して素体を作製し、該素体を高温で焼結するこ
とを特徴とする固体電解コンデンサ用焼結体の製造方法
であり、請求項2記載の発明は、請求項1における繊維
の形状が糸状であることを特徴とする。請求項3記載の
発明は、請求項1または請求項2における焼結を真空中
で行うことを特徴とする。
求項1ないし請求項3において、焼結することにより素
体に添加・混合した繊維を焼失させ、弁作用金属粉末か
らなる多孔質焼結体の一表面から焼結体内部に、又は一
表面から焼結体内部を通して他の表面に連結し、1〜5
0μmの平均径からなる空孔を有するようにしたことを
特徴としており、請求項5記載の発明は、請求項4に記
載の発明において、素体に添加・混合する繊維として平
均径の異なる2種類以上の繊維を用い、空孔が、平均径
1〜50μmの範囲の中で、少なくとも幹線となる第一
の空孔と支線となる第二の空孔の2種の空孔から構成さ
れていることを特徴としている。さらに、請求項6記載
の発明は、上述してきた請求項1ないし請求項5に記載
の発明において、弁作用金属がタンタル、チタン、ニオ
ブ、アルミニウムであることを特徴としている。
実施の形態を以下に説明する。
ルミニウム等の弁作用金属粉末からなる固体電解コンデ
ンサ用の多孔質焼結体の製造方法であり、上述の弁作用
金属粉末に、糸状に加工したメタクリル酸イソブチルエ
ステル重合体、メタクリル酸メチルエステル重合体、メ
タクリル酸エチルエステル重合体、メタクリル酸プロピ
ルエステル重合体、メタクリル酸nブチルエステル重合
体、メタクリル酸ペンチルエステル重合体、メタクリル
酸ヘキシルエステル重合体等のメタクリル酸エステル重
合体からなる繊維、ポリエチレンカーボネイト繊維、ポ
リプロピレンカーボネイト繊維、ポリブチレンカーボネ
イト繊維の中の1種又は2種以上を添加・混合した後、
加圧成形して素体を作製し、該素体を高温真空中で焼結
するものである。そして、焼結することにより素体に添
加・混合した繊維を焼失させ、弁作用金属粉末からなる
多孔質焼結体の一表面から焼結体内部に、又は一表面か
ら焼結体内部を通して他の表面に連結し、1〜50μm
の平均径からなる空孔を有するようにしたものである。
また、素体に添加・混合する繊維として平均径の異なる
2種類以上の繊維を用い、空孔が、平均径1〜50μm
の範囲の中で、少なくとも幹線となる第一の空孔と支線
となる第二の空孔の2種の空孔から構成されているよう
にしても良い。
イソブチルエステル重合体をトルエンに溶解し、これを
タンタル粉末に添加して混合した後、トルエンを揮発さ
せた。このタンタル粉末の混合物に、平均径5μm×長
さ0.1〜0.3mmのメタクリル酸イソブチルエステ
ル重合体からなる繊維1.5重量%と、平均径25μm
の円形断面を有し長さ0.3〜0.8mmに切断された
メタクリル酸イソブチルエステル重合体からなる糸状の
繊維0.8重量%(タンタル粉末に対し)とを加え、さ
らに混合した。
m×0.85mm×1.20mmの長方形に加圧成形し
タンタルの陽極リード線1を植え込んだ成形体とし、こ
れを1400℃の真空中で焼結した。この焼結によって
得られた多孔質焼結体2は、約8%の焼き縮みを生じ
た。そして、この多孔質焼結体2には、前記のようにし
て混合した繊維によってその一表面から内部に、又は一
表面から焼結体内部を通して他の表面まで達する平均径
23μmの幹線となる多数の第一の空孔3と、この第一
の空孔3と連結し、あるいは相互に連結した平均径4.
6μmの多数の支線となる第二の空孔4とが形成されて
いる。
中にて化成電圧15Vを印加して陽極酸化し、タンタル
の陽極酸化皮膜を生成した。次いで、この焼結体2を硝
酸マンガン溶液中に浸漬して硝酸マンガンを付着させた
後、300℃の恒温炉中で5分間の熱分解を行い、二酸
化マンガン層を生成させた。この硝酸マンガンへの浸漬
及び熱分解工程を7回繰り返し行った後、二酸化マンガ
ン層上に順次カーボン層、銀塗料層を形成して固体電解
コンデンサ素子を得た。
0個の静電容量出現率と、tanδの分布図を図2及び
図3に示す。
5μm×長さ0.1〜0.3mmのメタクリル酸イソブ
チルエステル重合体からなる繊維1.5重量%と、平均
径25μm×長さ0.3〜0.8mmのメタクリル酸イ
ソブチルエステル重合体からなる繊維0.8重量%をタ
ンタル粉末の混合物に加えないもので、その他は同一材
料、同一条件で試料を作製したものである。
5μm×長さ0.1〜0.3mmのメタクリル酸イソブ
チルエステル重合体からなる繊維1.5重量%と、平均
径25μm×長さ0.3〜0.8mmのメタクリル酸イ
ソブチルエステル重合体からなる繊維0.8重量%をタ
ンタル粉末の混合物に加えない代わりに、メタクリル酸
イソブチルエステル重合体からなる直径100μm程度
の粒子2.3重量%を添加したもので、その他は同一材
料、同一条件で試料を作製したものである。
に、実施例では静電容量出現率は95%を中心としてば
らつきが小さく、また、tanδも同様である。これに
対し従来例1と従来例2は、程度の差こそあれ、これら
の値が広い範囲にばらついた結果を示している。これ
は、実施例における第一の空孔3によって、固体電解質
母液である硝酸マンガン溶液が容易に多孔質焼結体の中
心部まで浸透し、第一の空孔3と連結している第二の空
孔4も、硝酸マンガンを浸透させる毛細管として機能す
るために、素子としての含浸性に優れているからであ
る。また、これらの空孔3、4は、固体電解質を形成し
た後は、低抵抗の電気の通り道として機能するので、t
anδの改善にも寄与できるのである。
ンタルを用いた場合について述べたが、チタン、ニオ
ブ、アルミニウムでも良く、また繊維としてメタクリル
酸イソブチルエステル重合体からなる繊維を用いた場合
について述べたが、メタクリル酸メチルエステル重合
体、メタクリル酸エチルエステル重合体、メタクリル酸
プロピルエステル重合体、メタクリル酸nブチルエステ
ル重合体、メタクリル酸ペンチルエステル重合体、メタ
クリル酸ヘキシルエステル重合体等のメタクリル酸エス
テル重合体からなる繊維、ポリエチレンカーボネイト繊
維、ポリプロピレンカーボネイト繊維、ポリブチレンカ
ーボネイト繊維の中の1種又は2種以上を添加・混合し
たものでも同様の効果を得ることができる。
酸イソブチルエステル重合体からなる直径25μm及び
直径5μmの繊維を用い、焼結後のコンデンサ素子、す
なわち多孔質焼結体の中に23μmの第一の空孔及び
4.6μmの第二の空孔を設けた場合について述べた
が、発明者の実験によればこれらはそれぞれ1〜50μ
mの範囲において、同一の平均径で構成したものであっ
ても、2種類以上の異なる平均径で構成したものであっ
ても、有効に機能した。空孔が50μmを越えると、多
孔質焼結体自体の機械的強度が脆弱となり、また第二の
空孔が1μm未満では、硝酸マンガン溶液の浸透が不十
分で、静電容量出現率が著しく低下したことに基づくも
のである。
す正断面図である。
静電容量出現率を示す分布図である。
tanδを示す分布図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 弁作用金属粉末にメタクリル酸イソブチ
ルエステル重合体、メタクリル酸メチルエステル重合
体、メタクリル酸エチルエステル重合体、メタクリル酸
プロピルエステル重合体、メタクリル酸nブチルエステ
ル重合体、メタクリル酸ペンチルエステル重合体、メタ
クリル酸ヘキシルエステル重合体等のメタクリル酸エス
テル重合体からなる繊維、ポリエチレンカーボネイト繊
維、ポリプロピレンカーボネイト繊維、ポリブチレンカ
ーボネイト繊維の中の1種又は2種以上を添加・混合し
た後、加圧成形して素体を作製し、該素体を高温で焼結
することを特徴とする固体電解コンデンサ用焼結体の製
造方法。 - 【請求項2】 繊維の形状が糸状であることを特徴とす
る請求項1に記載の固体電解コンデンサ用焼結体の製造
方法。 - 【請求項3】 焼結を真空中で行うことを特徴とする請
求項1又は請求項2のいずれかに記載の固体電解コンデ
ンサ用焼結体の製造方法。 - 【請求項4】 焼結することにより素体に添加・混合し
た繊維を焼失させ、弁作用金属粉末からなる多孔質焼結
体の一表面から焼結体内部に、又は一表面から焼結体内
部を通して他の表面に連結し、1〜50μmの平均径か
らなる空孔を有するようにした請求項1ないし請求項3
のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用焼結体の製造
方法。 - 【請求項5】 素体に添加・混合する繊維として平均径
の異なる2種類以上の繊維を用い、空孔が、平均径1〜
50μmの範囲の中で、少なくとも幹線となる第一の空
孔と支線となる第二の空孔の2種の空孔から構成されて
いることを特徴とする請求項4に記載の固体電解コンデ
ンサ用焼結体の製造方法。 - 【請求項6】 弁作用金属がタンタル、チタン、ニオ
ブ、アルミニウムであることを特徴とする請求項1ない
し請求項5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用焼
結体の製造方法。
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JPH0974051A JPH0974051A (ja) | 1997-03-18 |
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