JP2000286154A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法

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JP2000286154A
JP2000286154A JP8833599A JP8833599A JP2000286154A JP 2000286154 A JP2000286154 A JP 2000286154A JP 8833599 A JP8833599 A JP 8833599A JP 8833599 A JP8833599 A JP 8833599A JP 2000286154 A JP2000286154 A JP 2000286154A
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Katsuaki Furumoto
勝秋 古本
Atsushi Yamamoto
敦司 山本
Kenichi Hitosugi
健一 一杉
Takashi Tomizawa
孝史 富澤
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Elna Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】二酸化マンガン層が厚く、均一に形成され、漏
れ電流特性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提
供する。 【解決手段】弁作用を有する金属粉末を焼結成形し、焼
結体の表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸
化マンガン層を形成する際に、硝酸マンガン溶液にγ−
二酸化マンガン粉末を混合させてなる分散液に陽極体を
浸漬して、その後引き上げて熱分解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解コンデンサ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解コンデンサは例えば、タンタル
などの弁作用を有する金属粉末を圧縮して所望の形状に
成形し、その際タンタル線材などからなる陽極リードを
植設し、その後焼結して多孔質の焼結体となし、これを
化成液に浸漬し電気化学的に陽極酸化して焼結体の表面
に誘電体としての酸化皮膜を形成し陽極体とする。その
後、陽極体を硝酸マンガン溶液などの金属硝酸塩溶液中
に浸漬した後、高温で処理して熱分解する工程を繰り返
して、陽極体の酸化皮膜の上に二酸化マンガン層などの
半導体層を形成しコンデンサ素子とする。次に、コンデ
ンサ素子の半導体層の上にグラファイト層および銀ペー
スト層などからなる陰極導電層を形成し、陽極リードに
外部陽極端子を取り付け、また陰極導電層に外部陰極端
子を取り付けた後、外装樹脂でモールドすることにより
完成する。
【0003】このような固体電解コンデンサでは、漏れ
電流値などの向上の要求に対して、二酸化マンガン層を
厚く、均一に形成するために、二酸化マンガン層の形成
工程において硝酸マンガン溶液に粉末二酸化マンガンを
混合した分散液に陽極体を浸漬することが行なわれてい
る。
【0004】例えば、陽極酸化皮膜を形成させた多孔質
陽極体を、濃度が比重(液温25℃)で1.10〜1.
40の硝酸マンガン溶液に対して平均粒径が10μm以
下のβー二酸化マンガン微細粒子を容量比で1:1〜
1:0.1に混合させて流速2m/min以上の流動す
る分散液に浸漬する方法が提案されている(特開昭62
−226617号公報)。
【0005】また多孔質陽極体を硝酸マンガン溶液中に
多孔質陽極体の空孔直径より小なる平均粒径(0.5μ
m以下)をもつβー二酸化マンガン粒子を含ませた溶液
中に浸漬した後、熱分解して二酸化マンガン層を形成
し、さらに多孔質陽極体を硝酸マンガン溶液中に多孔質
陽極体の空孔直径より大なる平均粒径(5.0μm以
下)をもつβー二酸化マンガン粒子を含ませた溶液中に
浸漬した後、熱分解して二酸化マンガン層を形成する方
法も提案されている(特開平9−7894号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、必ずしも満足すべき固体電解コンデンサが得
られなかった。本発明は、固体電解コンデンサにおい
て、二酸化マンガン層を厚く、均一に形成すると共に、
特に漏れ電流値の向上を図る固体電解コンデンサの製造
方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の固体電解コンデ
ンサの製造方法は、弁作用を有する金属粉末を焼結成形
し焼結体の表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に
二酸化マンガン層を形成する際に、硝酸マンガン溶液に
γ−二酸化マンガン粉末を混合させてなる分散液に陽極
体を浸漬して、その後引き上げて熱分解することによ
り、二酸化マンガン層を形成する工程を含むことを特徴
とする。
【0008】弁作用を有する金属としては、タンタルが
好ましく、この他ニオブ、チタンなども使用できる。こ
れらの金属の粉末を圧縮して適宜な形状に成形する。そ
の際、陽極リードとしてタンタル線材などの同じく弁作
用を有する金属からなる線材を植設する。その後、焼結
して焼結体にする。
【0009】焼結体は、次に化成液に浸漬され電気化学
的に陽極酸化されて、焼結体の表面に誘電体としての酸
化皮膜が形成され陽極体となる。
【0010】陽極体が浸漬される分散液は、硝酸マンガ
ン溶液にγ−二酸化マンガン粉末を混合してなり、硝酸
マンガン溶液の濃度(液温が25℃で)は比重で1.7
0〜1.90kg/dmが好ましく、1.70kg/
dm未満では厚さが薄く、しかも不均一な二酸化マン
ガン層となり、また濃度が1.90kg/dmを超え
ると不均一な二酸化マンガン層となるので好ましくな
い。
【0011】またγ−二酸化マンガン粉末は、電解法に
より製造されたものを用いることができる。
【0012】γ−二酸化マンガン粉末の粒径は0.1〜
20μmの範囲が好ましく、粒径が0.1μm未満では
厚さが薄く、しかも不均一な二酸化マンガン層となり、
また粒径が20μmを超えると不均一な二酸化マンガン
層となるので好ましくない。
【0013】γ−二酸化マンガン粉末は、硝酸マンガン
溶液に対して重量比で2〜12%混合するのが好まし
い。2%未満では厚さが薄く、しかも不均一な二酸化マ
ンガン層となり、また12%を超えると不均一な二酸化
マンガン層となるので好ましくない。
【0014】陽極体を分散液に浸漬しその後熱分解する
操作は、複数回例えば3回行なわれる。二酸化マンガン
層の形成が終わったコンデンサ素子は、陰極導電層の形
成など次の工程に送られる。
【0015】なお、陽極体を、硝酸マンガン溶液にγ−
二酸化マンガン粉末を混合してなる分散液に浸漬して二
酸化マンガン層を形成するに先立って、γ−二酸化マン
ガン粉末を混合していない硝酸マンガン溶液に浸漬し熱
分解して、二酸化マンガン層を形成する工程を採用して
もよい。
【0016】
【実施例】
【0017】[実施例1]40000CV/g相当のタ
ンタル粉末を縦3.5mm、横3.5mm、高さ2.0
mmの立方体に圧縮成形し、その際直径0.3mmのタ
ンタル線材からなる陽極リードを植設し、その後150
0℃で真空焼結させて焼結体を得た(第1の工程)。
【0018】この焼結体を0.1モル/リットルのリン
酸水溶液(液温50℃)中で、電圧40Vで化成し、酸
化皮膜を形成させ陽極体とした(第2の工程)。
【0019】その後、陽極体を濃度が比重で1.20k
g/dmの硝酸マンガン溶液(液温25℃)に浸漬
し、引き上げた後、300〜400℃で熱分解して二酸
化マンガン層(第1の二酸化マンガン層)を形成させる
操作を3回繰り返した(第3の工程)。
【0020】さらに比重1.40kg/dmの硝酸マ
ンガン溶液(液温25℃)に浸漬後、上記と同様に熱分
解して二酸化マンガン層(第2の二酸化マンガン層)を
形成させる操作を3回繰り返した(第4の工程)。
【0021】そして、比重1.60kg/dmの硝酸
マンガン溶液(液温25℃)に浸漬後、上記と同様に熱
分解して二酸化マンガン層(第3の二酸化マンガン層)
を形成させる操作を3回繰り返した(第5の工程)。
【0022】引き続き、粒径が0.1〜20μmの範囲
のγ−二酸化マンガン粉末を、比重が1.80kg/d
の硝酸マンガン溶液(液温25℃)に、6%の重量
比になるように混合してなる分散液に浸漬し、引き上げ
た後、300〜400℃で熱分解して二酸化マンガン層
(第4の二酸化マンガン層)を形成させる操作を3回繰
り返して(第6の工程)コンデンサ素子を得た。
【0023】[実施例2]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を0.1〜15μm
の範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。
【0024】[実施例3]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を0.1〜10μm
の範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。
【0025】[実施例4]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を0.1〜5μmの
範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。
【0026】[実施例5]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を0.1〜1μmの
範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。
【0027】[実施例6]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.90kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0028】[実施例7]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.85kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0029】[実施例8]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.75kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0030】[実施例9]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.70kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0031】[実施例10]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で12%混合した以外は実施例3と同様の操
作を行なった。
【0032】[実施例11]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で10%混合した以外は実施例3と同様の操
作を行なった。
【0033】[実施例12]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で8%混合した以外は実施例3と同様の操作
を行なった。
【0034】[実施例13]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で4%混合した以外は実施例3と同様の操作
を行なった。
【0035】[実施例14]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で2%混合した以外は実施例3と同様の操作
を行なった。
【0036】[比較例1]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を21〜30μmの
範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。
【0037】[比較例2]実施例1の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末の粒径を0.01〜0.0
9μmの範囲とした以外は実施例1と同様の操作を行な
った。
【0038】[比較例3]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.95kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0039】[比較例4]実施例3の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液の比重を1.65kg/dm
した以外は実施例3と同様の操作を行なった。
【0040】[比較例5]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で14%混合した以外は実施例3と同様の操
作を行なった。
【0041】[比較例6]実施例3の第6の工程におい
て、γ−二酸化マンガン粉末を、硝酸マンガン溶液に対
して重量比で1%混合した以外は実施例3と同様の操作
を行なった。
【0042】[比較例7]実施例1の第6の工程におい
て、硝酸マンガン溶液に対してγ−二酸化マンガン粉末
を全く混合しない他は実施例1と同様な操作を行なっ
た。
【0043】実施例1〜14および比較例1〜7のコン
デンサ素子を用いてコンデンサ素子の二酸化マンガン層
の表面にグラファイト層と銀ペースト層とからなる陰極
導電層を形成し、陽極リードに外部陽極端子を取り付
け、また陰極導電層に外部陰極端子を取り付け、外装樹
脂でモールドして定格電圧10V、静電容量100μF
のチップ形のタンタル固体電解コンデンサを作り、容量
引出し(容量再現)率(%)、tanδ、インピーダン
ス Z(Ω)、漏れ電流(LC)不良率(%)を測定す
ると共に、二酸化マンガン層の厚みおよび均一性を評価
(◎は非常に良い、○は良い、△はやや悪い、×は悪
い)した。その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1の結果から実施例1〜14の固体電解
コンデンサは、比較例1〜7の固体電解コンデンサに比
べて、二酸化マンガン層の厚さおよび均一性において良
好で、また漏れ電流(LC)不良率(漏れ電流特性)に
おいて優れていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、二酸化マンガン層が厚
く、均一で、漏れ電流特性が良好な固体電解コンデンサ
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一杉 健一 福島県石川郡石川町字当町145番地エルナ ー福島株式会社石川工場内 (72)発明者 富澤 孝史 福島県石川郡石川町字当町145番地エルナ ー福島株式会社石川工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、濃度が比重で1.70〜1.9
    0kg/dmの硝酸マンガン溶液にγ−二酸化マンガ
    ン粉末を混合させてなる分散液に浸漬して、その後引き
    上げて熱分解することにより、二酸化マンガン層を形成
    する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの
    製造方法。
  2. 【請求項2】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、硝酸マンガン溶液に粒径が0.
    1〜20μmの範囲のγ−二酸化マンガン粉末を混合さ
    せてなる分散液に浸漬して、その後引き上げて熱分解す
    ることにより、二酸化マンガン層を形成する工程を含む
    ことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、硝酸マンガン溶液にγ−二酸化
    マンガン粉末を重量比で2〜12%混合させてなる分散
    液に浸漬して、その後引き上げて熱分解することによ
    り、二酸化マンガン層を形成する工程を含むことを特徴
    とする固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、濃度が比重で1.70〜1.9
    0kg/dmの硝酸マンガン溶液に粒径が0.1〜2
    0μmの範囲のγ−二酸化マンガン粉末を混合させてな
    る分散液に浸漬して、その後引き上げて熱分解すること
    により、二酸化マンガン層を形成する工程を含むことを
    特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、濃度が比重で1.70〜1.9
    0kg/dmの硝酸マンガン溶液にγ−二酸化マンガ
    ン粉末を重量比で2〜12%混合させてなる分散液に浸
    漬して、その後引き上げて熱分解することにより、二酸
    化マンガン層を形成する工程を含むことを特徴とする固
    体電解コンデンサの製造方法。
  6. 【請求項6】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、硝酸マンガン溶液に粒径が0.
    1〜20μmの範囲のγ−二酸化マンガン粉末を重量比
    で2〜12%混合させてなる分散液に浸漬して、その後
    引き上げて熱分解することにより、二酸化マンガン層を
    形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデン
    サの製造方法。
  7. 【請求項7】弁作用を有する金属粉末を焼結成形しその
    表面に陽極酸化皮膜を形成してなる陽極体に二酸化マン
    ガン層を形成する際に、濃度が比重で1.70〜1.9
    0kg/dmの硝酸マンガン溶液に粒径が0.1〜2
    0μmの範囲のγ−二酸化マンガン粉末を重量比で2〜
    12%混合させてなる分散液に浸漬して、その後引き上
    げて熱分解することにより、二酸化マンガン層を形成す
    る工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製
    造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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