JP2921187B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP2921187B2
JP2921187B2 JP3202578A JP20257891A JP2921187B2 JP 2921187 B2 JP2921187 B2 JP 2921187B2 JP 3202578 A JP3202578 A JP 3202578A JP 20257891 A JP20257891 A JP 20257891A JP 2921187 B2 JP2921187 B2 JP 2921187B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外気導入から内気循環
への切換時にブロアファンの風量を低減させるようにし
た車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般の車両用空調装置では、車室外の空
気を導入する外気導入および車室内の空気を導入する内
気循環が例えばスイッチ操作により切換可能とされる
が、外気循環から内気循環に切換えると、内気導入口の
吸入音と車室内圧減少による風量の増大とによりファン
騒音が増大する。そこで、このファン騒音の増大を防止
することを目的として、外気導入から内気循環への切換
えが指令されたときには、自動的にブロアファンの風量
を低減する車両用空調装置が知られている(例えば、特
開昭64−41415号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来装置は、外気導入から内気循環への切換えが指令され
たときには、車両熱負荷に拘らず必ずブロアファンの風
量を低減しているので、車両熱負荷がかなり高いとき
(強力な冷房が必要なとき)あるいはかなり低いとき
(強力な暖房が必要なとき)にもブロアファンの風量が
低減され、このため冷房性能あるいは暖房性能が低下
し、設定温度への到達が遅れるという問題がある。
【0004】本発明の目的は、通常は外気導入から内気
循環切換時のファン騒音を低減させ、かつ車両熱負荷が
高いときあるいは低いときの冷房性能および暖房性能を
向上させた車両用空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】図1(a)により説明す
ると、請求項1の発明は、車室外の空気を導入する外気
導入および車室内の空気を導入する内気循環の切換えを
指令する指令手段101と、この指令手段101の指令
に応じて外気導入と内気循環との切換えを行う切換手段
102と、導入された空気を車室内に送風するブロアフ
ァン103と、車両熱負荷または外部からの風量指令に
応じてブロアファンの風量を制御するとともに、指令手
段101により外気導入から内気循環への切換えが指令
されたときには、ブロアファン103の風量を低減する
風量制御手段104とを備えた車両用空調装置に適用さ
れる。そして、外部からの風量指令が最大風量に応じた
ものであるか否かを判定し、最大風量に応じたものでな
い場合には、車両熱負荷が所定範囲内であるか否かを判
定する熱負荷判定手段105と、車速が所定値以上か否
かを判定する車速判定手段106とを備え、指令手段1
01により外気導入から内気循環への切換えが指令され
たとき、熱負荷判定手段105により、外部からの風量
指令が最大風量に応じたものでなく、かつ車両熱負荷が
所定範囲内と判定されている場合にのみブロアファン1
03の風量を低減させるとともに、外気入時で車速が所
定値以上と判定されている場合には、車速が高いほどブ
ロアファン103の風量を低減するよう構成し、これに
より上記問題点を解決する。請求項2の発明は、指令手
段101により外気導入から内気循環への切換えが指令
されたときに車両熱負荷が所定範囲内と判定されている
ときには、車両熱負荷が所定範囲から離れるほどブロア
ファン103の風量低減量を減少させるよう風量制御手
段104を構成したものである。請求項3の発明は、車
両熱負荷に応じて決定されるブロアファン速度に基づい
て車両熱負荷が所定範囲内か否かを判定するよう上記判
定手段105を構成したものである。図1(b)により
説明すると、請求項4の発明は、上記指令手段101
と、切換手段102と、ブロアファン103と、外部か
らの風量指令に応じてブロアファン103の風量を設定
する風量制御手段204とを備えた車両用空調装置に適
用される。そして、外部からの風量指令が最大風量に応
じたものであるか否かを判定する風量判定手段205
と、車速が所定値以上か否かを判定する車速判定手段2
06とを備え、指令手段101により外気導入から内気
循環への切換えが指令されたとき、外部からの風量指令
が最大風量に応じたものでないと判定されている場合に
ブロアファン103の風量を低減させるとともに、外気
導入時で車速が所定値以上と判定されている場合には、
車速が高いほどブロアファン103の風量を低減するよ
うにしたものである。請求項5の発明は、ブロアファン
103の風量が低減された後に、指令手段101により
内気循環から外気導入への切換えが指令された場合に
は、その指令時から所定時間経過後に風量を増加させる
よう風量制御手段104,204を構成したものであ
る。
【0006】
【作用】(1)請求項1の発明 指令手段101により外気導入から内気循環への切換え
が指令されたとき、風量制御手段104は、外部からの
風量指令が最大風量に応じたものでなく、かつ車両熱負
荷が所定範囲内と判定されている場合にのみブロアファ
ンの風量を低減させる。また外気導入時で車速が所定値
以上と判定されている場合には、車速が高いほどブロア
ファンの風量を低減する (2)請求項2の発明 風量制御手段104は、上記風量の低減を行う際、車両
熱負荷が所定範囲から離れるほどブロアファン103の
風量低減量を減少させる。 (3)請求項3の発明 熱負荷判定手段105は、車両熱負荷に応じて決定され
るブロアファン速度に基づいて車両熱負荷が所定範囲以
内か否かを判定する。 (4)請求項4の発明 指令手段101により外気導入から内気循環への切換え
が指令されかつブロアファン103の風量が所定値未満
と判定されている場合、風量制御手段204は、外部か
らの風量指令が最大風量に応じたものでないと判定され
ている場合にブロアファン103の風量を低減させる。
また、外気導入時で車速が所定値以上と判定されている
場合には、車速が高いほどブロアファン103の風量を
低減させる。 (5)請求項5の発明 風量制御手段104,204は、ブロアファン103の
風量が低減された後に内気循環から外気導入への切換え
が指令された場合には、その指令時から所定時間経過後
に風量を増加させる。
【0007】
【実施例】図2〜図9により本発明の一実施例を説明す
る。本発明に係る車両用空調装置は、図2に示すよう
に、エンジン1により駆動される可変容量形コンプレッ
サ2,コンデンサ3,エバポレータ4,リキッドタンク
5,膨張弁6から成る圧縮冷凍サイクルのク−ラ−ユニ
ット100を備えている。可変容量形コンプレッサ2
は、吸入圧力が設定圧力を越えると傾き角を大きくして
吐出容量を大きくするもので、その設定圧力は、図3に
示すCPU41から供給されるソレノイド電流によって
制御される。またエバポレータ4は、外気導入口7aお
よび内気導入口7b(総称して吸込口と呼ぶ)を有する
空調ダクト7内に配設されている。各導入口7a,7b
には、空調ダクト7内へ導入される空気流量を制御する
インテークドア(内外気切換ドア)8が設けられる。こ
のインテークドア8の開閉により上述した外気導入と内
気循環とが切換えられる。
【0008】更に空調ダクト7内には、周知のとおりブ
ロアファン9、ヒ−タコア10、エアミックスドア11
が設けられるとともに、空調ダクト7に設けられたベン
ト吹出口7cおよび足下吹出口7dからの吹出し量をそ
れぞれ調整するベントドア12、フットドア13が設け
られる。更に、空調ダクト7に設けられたデフロスタ吹
出口7eにはデフロスタドア14が設けられる。ここ
で、ベンド吹出口7cは、乗員の上半身に向けて空気を
吹出すためのもの、足下吹出口7dは乗員の足元に向け
て空気を吹出すためのもの、デフロスタ吹出口7eは、
窓ガラスに向けて空気を吹出すためのものである。
【0009】図3は上記車両用空調装置の制御系を示す
ブロック図である。CPU41には入力回路42を介し
て、外気温度Tambを検出する外気温センサ43,車室
内温度Tincを検出する室内温度センサ44,日射量Qs
unを検出する日射センサ45が接続され、これらのセン
サ43〜45から各種温度情報や熱量情報(これが車両
熱負荷に相当する)がCPU41に入力される。
【0010】さらに入力回路42には、運転席のコント
ロールパネルに設けられたオ−トスイッチ51,エコノ
ミースイッチ52,オフスイッチ53,イグニッション
スイッチ54,デフスイッチ55,RECスイッチ56
および風量設定スイッチ57が接続されている。オ−ト
スイッチ51は、通常のオ−ト制御を指令するスイッ
チ、エコノミースイッチ53は省燃費,省動力オ−ト制
御を指令するスイッチ、オフスイッチ53はブロアファ
ンのオン・オフを指令するスイッチである。またデフス
イッチ55はデフロスタ吹出口7eの選択を指令するス
イッチ、RECスイッチ56は内気循環を指令するスイ
ッチである。風量設定スイッチ57は、手動によりブロ
アファン風量を指令するためのスイッチであり、本実施
例では、風量の少ない順に1速,2速,3速,4速が選
択可能とされる。
【0011】CPU41にはまた、出力回路49を介し
てエアミックスドアアクチュエータ61,ベントドアア
クチュエータ62,フットドアアクチュエータ63,デ
フロスタドアアクチュエータ64,インテークドアアク
チュエータ65およびブロアファン制御回路66が接続
され、ブロアファン制御回路66にはブロアファン9を
駆動するモータ(ブロアファンモータ)9aが接続され
ている。ブロアファンモータ9aは、ブロアファン制御
回路66から印加される電圧に応じた速度で回転し、そ
の回転速度に応じた風量を車室内に吹き出す。出力回路
49にはさらに、リレー67を介してコンプレッサ2が
接続されている。
【0012】次に、図4〜図8のフローチャートにより
CPU41で実行される空調制御の手順を説明する。図
4はメインのフローチャートであり、まずステップS1
0で初期設定を行い、通常のオートエアコンモードにお
いては、例えば設定温度Tptcを25℃に初期設定す
る。ステップS20では各センサからの各種情報を入力
する。これらの各センサのデータ情報を具体的に説明す
ると、設定温度Tptcは図示しないコントロールパネル
から、車室内温度Tincは室内温度センサ44から、外
気温度Tambは外気温センサ43から、日射量Qsunは日
射センサ45からそれぞれ与えられる。
【0013】次にステップS30では、外気温センサ4
3から得られる外気温度Tambに対して他の熱源からの
影響を除き、現実の外気温度に相当した値Tamに処理す
る。ステップS40では日射センサ45からの光量とし
ての日射量情報を以降の換算に適した熱量としての値
Q'sunに処理する。ステップS50ではコントロールパ
ネルで設定された設定温度Tptcを外気温度に応じて補
正した値T'ptcに処理する。ステップS60では、T'p
tc,Tinc,Tam,Q'sunから、 Xm=(A+D)T'ptc+B・Tam+C・Q'sun−D・Tinc+E (だだしA〜Eは定数)により目標吹出温度Xmを算
出すると共に、この目標開度Xmに応じてエアミックス
ドア11の実際の開度を制御する。このエアミックスド
ア開度制御により吹出温度が決定される。ここで、目標
吹出温度Xmは、上述した車両熱負荷が高いほど小さく
なり、車両熱負荷が低いほど大きくなる。
【0014】ステップS70では上記エバポレータ3に
冷媒を圧送するコンプレッサ2を制御する。ステップS
80ではアクチュエータ62,63,64により各吹出
口を制御する。次にステップS90で、インテ−クドア
アクチュエータ65によりインテ−クドア8を駆動して
吸込口制御、即ち、外気導入と内気循環の切換制御を行
う。ステップS100ではブロアファンモータ9aへの
印加電圧を制御することによりブロアファン風量を制御
する。その後、処理はステップS20に戻る。
【0015】図5は上記ステップS90の吸込口制御の
詳細を示している。まずステップS902でデフスイッ
チ55がオフからオンされたと判定されるとステップS
911に進み、外気導入(FRE)を選択する。すなわ
ちインテークドアアクチュエータ65によりインテーク
ドア8を図2の実線位置まで駆動して外気導入口7aを
オープンする。ステップS902が否定されるとステッ
プS903に進み、ステップS903でRECスイッチ
56がオンと判定されるとステップS905に進む。
【0016】ステップS905でコンプレッサ2がオン
からオフされたと判定されるとステップS911に進
み、そうでない場合にはステップS906で内気循環
(REC)を選択する。すなわち、インテークドアアク
チュエータ65によりインテークドア8を図2の二点鎖
線位置まで駆動して内気導入口7bをオープンする。ま
たステップS903でRECスイッチ56がオフと判定
された場合にはステップS904に進み、コンプレッサ
のオン・オフ状態を判定する。オフであれば上記ステッ
プS911に進み、オンであればステップS907に進
む。
【0017】ステップS907では、上記図4のステッ
プS60で演算された目標吹出温度Xmに基づいて図示
の特性からREC,20%FRE,FREのいずれかを
選択する。そして、ステップS908でいずれが選択さ
れたかを判定し、RECであればステップS909に進
んで内気循環を選択し、FREであれば上記ステップS
911に進んで外気導入を選択する。また20%FRE
の場合にはステップS910に進み、外気が20%、内
気が80%導入されるようにインテークドア8を駆動制
御する。ステップS909〜S911の後はは、図4の
処理にリターンする。
【0018】以上が吸込口制御の手順である。この手順
によれば、RECスイッチ56がオフし、かつコンプレ
ッサ2がオンしているときには、通常は、目標吹出温度
Xmに基づいて吸込口が制御される。またこの状態でR
ECスイッチ56がオンされると、通常は強制的に内気
循環が選択される。
【0019】図6〜図8は、上記ステップS100(図
4)の風量設定制御の詳細を示すサブル−チンフローチ
ャートである。まず図6のステップS101でオフスイ
ッチ53のオン・オフ状態を判定し、オンであればステ
ップS134でブロアファンモータ9aを停止させて図
4の処理に戻り、オフであればステップS102に進
む。ステップS102で風量設定スイッチ57が操作さ
れている(オンである)と判定されるとステップS10
3に進み、ステップS103で風量設定スイッチ57に
より1速が指令されていると判定された場合にはステッ
プS106でブロアファン電圧Vf’を4.0(LO)
とする。またステップS104で2速が指令されている
と判定された場合には、ステップS107でブロアファ
ン電圧Vf’を6.0(ML)とし、ステップS105
で3速が指令されていると判定された場合には、ステッ
プS108でブロアファン電圧Vf’を9.0(MH)
とする。さらにステップS105が否定された場合、つ
まり4速が指令されている場合には、ステップS109
で電圧Vf’をVACC(最高電圧)とする。その後、処
理は図7のステップS112に進む。
【0020】一方、ステップS102で風量設定スイッ
チ57がオフと判定されると図7のステップS110に
進み、ステップS110で変数L,M,N,Pを、 L=−8 M=20 N=31 P=75 としてステップS111に進む。ステップS111で
は、図示の特性から目標吹出温度Xmに基づいて電圧V
f’(ブロアファンモータ9aに印加する電圧)を決定
してステップS112に進む。
【0021】この特性によれば、目標吹出温度Xmが所
定範囲内の場合には電圧Vf’は一定であるが、Xmが
この所定範囲より大きくなると、Xmが大きいほど、す
なわち車両熱負荷が小さいほどVf’は大きくなるよう
になっている。また逆に、Xmが所定範囲より小さくな
ると、Xmが小さくなるほど、すなわち車両熱負荷が大
きいほどVf’は大きくなるようになっている。これ
は、車両熱負荷が小さいほど強力な暖房を得るためにブ
ロアファン風量を増大させる必要があり、また車両熱負
荷が大きいほど強力な冷房を得るためにブロアファン風
量を増大させる必要があることによる。
【0022】ステップS112では外気導入が選択され
ているか否かを判定し、選択されていない、すなわち内
気循環が選択されていると判定されるとステップS11
3に進みタイマTvrを停止かつリセットしてステップ
S114に進む。このタイマについては後述する。
【0023】ステップS114でRECスイッチ56が
オフと判定されるとステップS117に進んで電圧V
f”を、 Vf”=Vf’ とし、RECスイッチ56がオンと判定されるとステッ
プS115に進む。ステップS115で上記決定された
電圧Vf’が10.5以上と判定されると上記ステップ
S117に進み、10.5未満でかつ8以上の場合(ス
テップS116が否定された場合)にはステップS11
8で、 Vf”=Vf’−1.5 とし、また8未満の場合(ステップS116が肯定され
た場合)にはステップS119で Vf”=Vf’−1 として図8のステップS129に進む。
【0024】一方、ステップS112で外気導入が選択
されていると判定された場合には図8のステップS12
0に進み、ステップS120でタイマTvrが作動中で
あると判定されるとステップS123に進み、作動中で
ないと判定されるとステップS125に進む。ステップ
S125ではRECスイッチ56がオンからオフに切換
わったか否かを判定し、肯定されるとステップS122
でタイマTvrをスタートさせてステップS123に進
む。
【0025】ステップS123で計時開始から3秒経過
したと判定されると、ステップS124でタイマTvr
を停止しかつリセットしてステップS126に進み、ま
だ3秒経過していないと判定されると上記図7のステッ
プS115に進む。一方、上記ステップS121が否定
された場合にはステップS125に進み、ステップS1
25でオ−トスイッチ51またはエコノミースイッチ5
2がオフからオンされたと判定されると上記ステップS
122に進み、そうでない場合にはステップS126に
進む。
【0026】ステップS126では、不図示の速度セン
サの出力から車速Vcが80Km/hを越えるか否かを
判定し、否定されると上記図7のステップS117に進
み、肯定されるとステップS127に進む。ステップS
127では図示の特性から車速Vcに応じてδの値を決
定し、ステップS128で、 Vf”=Vf’−δ により電圧Vf”を求める。すなわち車速Vcが80K
m/hを越える場合には、車速Vcが速くなるほど電圧
Vf”を小さくする。
【0027】次にステップS129に進み、現在のブロ
アファン印加電圧Vfoutが上記求められた電圧Vf”以
上と判定されるとステップS130に進み、上記決定さ
れた電圧Vf”が4.0以下か否かを判定する。ステッ
プS130が否定されるとステップS131でブロアフ
ァン印加電圧VfoutをVf”とし、肯定されるとステッ
プS132で印加電圧Vfoutを4.0とする。
【0028】一方、ステップS129で現在のブロアフ
ァン印加電圧VfoutがVf”未満と判定された場合に
は、印加電圧VfoutをVf”まで上昇させるべくステッ
プS133に進み、 Vfout=Vfout+Fv(Vf”−Vfout) により新たな印加電圧Vfoutを求める。ここで、Fvは
時間の経過に応じて増加する関数である。したがって上
式によれば、印加電圧Vfoutは一気にではなく徐々に増
加してゆくことになる。このステップS131〜S13
3のいずれかで決定された印加電圧Vfoutがブロアファ
ンモータ9aに印加され、ブロアファン9がその印加電
圧Vfoutに応じた速度で回転する。そして、その回転速
度に応じた風量が車室内に送風される。その後、図4の
処理にリターンする。
【0029】以上の手順によれば、外気導入設定時に風
量設定スイッチ57が操作されていないときには目標吹
出温度Xm、すなわち車両熱負荷に応じて電圧Vf’
(=Vf”)が決定され、これに基づいてブロアファン
印加電圧Vfout(通常は、Vfout=Vf”)が求められ
ブロアファン9の風量が制御される。そして、この状態
でRECスイッチ56をオンさせて内気循環を指令する
と、上記決定された電圧Vf’に基づいて、ステップS
115〜S119に示すように電圧Vf”が決定され
る。具体的には、 (1)Vf’≧10.5のときは、Vf”=Vf’ (2)8≦Vf’<10.5のときには、Vf”=V
f’−1.5 (3)Vf’<8のときには、Vf”=Vf’−1とな
る。
【0030】ここで、上記電圧Vf’は目標吹出温度X
mに基づいて上記ステップS111(図7)の特性から
求められるものであるから、このVf’が小さいという
ことは車両熱負荷が所定範囲内(室内温度がほぼ快適な
状態)であることを示し、Vf’が大きいということ
は、車両熱負荷が所定範囲より高い状態あるいは低い状
態であることを示している。したがって、上記ステップ
S115〜S119の制御によれば、外気導入から内気
循環への切換えが指令されたとき、車両熱負荷が所定範
囲内にある場合(上記(2),(3)の場合)にはブロ
アファン風量が低減され、車両熱負荷がこの範囲より小
さい場合あるいは大きい場合(上記(1)の場合)、つ
まり強力な冷房あるいは暖房が必要なときにはブロアフ
ァン風量は低減されない。したがって(2),(3)の
場合には従来と同様にファン騒音の低減が図れる。なお
この場合には、室内温度がほぼ快適な状態であるので、
ファン風量を低減させても冷房性能あるいは暖房性能が
大きく損なわれることはない。一方、(1)の場合に
は、ブロアファン風量が低減されないのでファン騒音は
低減されないが、冷房性能あるいは暖房性能が低下する
ことはない。
【0031】またこのようなステップS115〜S11
9の制御は、上記風量設定スイッチ57の操作(風量指
令)に応じてファン風速(1速〜4速のいずれか)が設
定されている場合にも行われる。この場合には、Vf”
が最高電圧VACC(>10.5)となる4速設定時には
外気導入から内気循環切換時の風量低減は行われず、3
速以下の場合にVf”に応じたファン風量の低減が行わ
れる。すなわち、乗員により4速が設定されているとい
うことは、相当強力な冷房性能あるいは暖房性能を欲し
ているときであるから、上述したと同様にファン風量の
低減は行わない。
【0032】また特に本実施例では、外気導入から内気
循環への切換え時にブロアファン風量を低減するときに
は、上記(2),(3)に示すようにその低減量を2段
階に分け、車両熱負荷が所定範囲から離れるほど、つま
りより強力な冷房能力あるいは暖房能力性能が必要なほ
どブロアファン風量の低減量を減少させるようにしてい
る。これにより、ブロアファン風量を低減する場合でも
冷房性能,暖房性能の低下を最小限に抑制することがで
きる。なお、この制御は2段階に限定されず、3段階以
上に分けることにより更にきめ細かな制御が行える。
【0033】さらに上記手順によれば、外気導入から内
気循環に切換わってブロアファン風量が低減された後
に、RECスイッチ56がオンからオフされると(ステ
ップS121)、タイマがスタートし、3秒経過するま
ではステップS115以降の処理を継続して行い、3秒
経過すると、車速が80Km/h以下であればステップ
S117の処理を行う。すなわち、外気導入への切換え
が指令されてから3秒後に風量を元の状態(低減される
前の状態)まで増加させる処理が行われる。以下、この
制御を行う理由について図9を用いて説明する。
【0034】すなわち、内気循環から外気導入への切換
操作を行った場合、図9にL1で示すようにインテーク
ドア8が内気循環位置から外気導入位置に切換わるには
時間t1を要する(本実施例ではこれを約3秒としてい
る)。一方、ブロアファン風量の切換えは、ファン印加
電圧を変化させることにより比較的短時間で行えるか
ら、内気循環から外気導入への切換操作と同時にファン
印加電圧を増加させると、例えば破線L12で示すよう
にブロアファン風量が即座に上昇し、まだ外気導入が設
定されていないうちから風量が増加されることになる。
このためt2で示す時間はファン騒音が大きくなり、乗
員に不快感を与える。そこで本実施例では、実線L11
で示すように内気循環が指令されてから外気導入が設定
されるまでの時間(3秒)だけ待ってから風量を増加す
るようにしており、これによりファン騒音の増加を防止
し、乗員に不快感を与えないようにしている。
【0035】以上の実施例の構成において、RECスイ
ッチ56が指令手段101を、インテークドア8および
インテークドアアクチュエータ65が切換手段102
を、CPU41が風量制御手段104,204,熱負荷
判定手段105,車速判定手段106および風量判定手
段205をそれぞれ構成する。
【0036】なお以上では、ステップS115やS11
6のように、車両熱負荷が所定範囲内か否かの判定を、
ステップS111で決定された電圧Vf’を判定するこ
とにより行っているが、これに限定されず、例えば上記
目標吹出温度Xmを判定することによって行ってもよ
い。またステップS115,S116で用いたVf’の
閾値は10.5や8に限定されない。さらに、内気循環
から外気導入への切換指令時における風量増加の遅延時
間は3秒に限定されない。
【0037】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、車両熱負荷ま
たは外部からの風量指令に応じてブロアファン風量を制
御するものにおいて、外気導入から内気循環への切換え
が指令されたときには、最大風量が指令されていなく、
かつ車両熱負荷が所定範囲内と判定されている場合にの
みブロアファンの風量を低減させるようにしたので、強
力な冷房,暖房を必要としないときには従来と同様に外
気導入から内気循環切換時のファン騒音の低減が図れる
とともに、強力な冷房,暖房が必要なときにはブロアフ
ァンの風量が低減されず、冷房性能あるいは暖房性能の
低下が防止できる。また、外気入時で車速が所定値以上
と判定されている場合には、車速が高いほどブロアファ
ンの風量を低減させるようにしたので、外気導入時に空
気導入に起因する騒音を最小限に抑制できる。請求項2
の発明によれば、外気導入から内気循環への切換えが指
令されたときに車両熱負荷が所定範囲内と判定されてい
るときには、車両熱負荷が所定範囲から離れるほどブロ
アファンの風量低減量を減少させるようにしたので、ブ
ロアファン風量を低減する場合でも冷房性能,暖房性能
の低下を最小限に抑制することができる。請求項4の発
明によれば、外部からの風量指令に応じてブロアファン
の風量を設定するものにおいて、外気導入から内気循環
への切換えが指令されたとき、外部からの風量指令が最
大風量に応じたものでないと判定されている場合にブロ
アファンの風量を低減させるとともに、外気入時で車速
が所定値以上と判定されている場合には、車速が高いほ
どブロアファンの風量を低減させるようにしたので、請
求項1と同様の効果が得られる。さらにまた請求項5の
発明によれば、ブロアファンの風量が低減された後に内
気循環から外気導入への切換えが指令された場合には、
その指令時から所定時間経過後に風量を増加するように
したので、内気循環から外気導入に完全に切換わった後
に風量が増加し、外気導入設定前の風量増加に起因する
ファン騒音の増加を防止でき、乗員の不快感を解消でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】クレーム対応図である。
【図2】本発明に係る車両用空調装置の構成を示す図で
ある。
【図3】上記空調装置の制御系を示すブロック図であ
る。
【図4】空調制御の手順を示すメインのフローチャート
である。
【図5】吸込口制御の詳細を示すサブル−チンフローチ
ャートである。
【図6】風量制御の詳細を示すサブル−チンフローチャ
ートである。
【図7】図6に続くフローチャートである。
【図8】図7に続くフローチャートである。
【図9】吸込口切換時のインテークドアの開度およびブ
ロアファン印加電圧を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2 コンプレッサ 7a 外気導入口 7b 内気導入口 8 インテークドア 9 ブロアファン 9a ブロアファンモータ 41 CPU 56 RECスイッチ 65 インテークドアアクチュエータ 66 ブロアファン制御回路 101 指令手段 102 切換手段 103 ブロアファン 104,204 風量制御手段 105 熱負荷判定手段 106 車速判定手段 205 風量判定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60H 1/00 101 B60H 1/00 103

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車室外の空気を導入する外気導入および
    車室内の空気を導入する内気循環の切換えを指令する指
    令手段と、 この指令手段の指令に応じて前記外気導入と内気循環と
    の切換えを行う切換手段と、 前記導入された空気を車室内に送風するブロアファン
    と、 車両熱負荷または外部からの風量指令に応じて前記ブロ
    アファンの風量を制御するとともに、前記指令手段によ
    り外気導入から内気循環への切換えが指令されたときに
    は、ブロアファンの風量を低減する風量制御手段とを備
    えた車両用空調装置において、前記外部からの風量指令が最大風量に応じたものである
    か否かを判定し、最大風量に応じたものでない場合に
    は、前記車両熱負荷が所定範囲内であるか否かを判定す
    熱負荷判定手段と、 車速が所定値以上か否かを判定する車速判定手段とを備
    え、 前記風量制御手段は、前記指令手段により外気導入から
    内気循環への切換えが指令されたとき、前記熱負荷判定
    手段により、外部からの風量指令が最大風量に応じたも
    のでなく、かつ前記車両熱負荷が所定範囲内と判定され
    ている場合にのみ前記ブロアファンの風量を低減させる
    とともに、外気導入時で車速が所定値以上と判定されて
    いる場合には、前記車速が高いほど前記ブロアファンの
    風量を低減することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 前記風量制御手段は、前記車両熱負荷が
    所定範囲から離れるほどブロアファンの風量低減量を減
    少させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調
    装置。
  3. 【請求項3】 前記判定手段は、前記車両熱負荷に応じ
    て決定されるブロアファン速度に基づいて車両熱負荷が
    所定範囲以内か否かを判定することを特徴とする請求項
    1に記載の車両用空調装置。
  4. 【請求項4】 車室外の空気を導入する外気導入および
    車室内の空気を導入する内気循環の切換えを指令する指
    令手段と、 この指令手段の指令に応じて前記外気導入と内気循環と
    の切換えを行う切換手段と、 前記導入された空気を車室内に送風するブロアファン
    と、 外部からの風量指令に応じて前記ブロアファンの風量を
    設定する風量制御手段とを備えた車両用空調装置におい
    て、 前記外部からの風量指令が最大風量に応じたものである
    か否かを判定する風量判定手段と、 車速が所定値以上か否かを判定する車速判定手段とを備
    え、 前記風量制御手段は、前記指令手段により外気導入から
    内気循環への切換えが指令されたとき、前記外部からの
    風量指令が最大風量に応じたものでないと判定されてい
    る場合に前記ブロアファンの風量を低減させるととも
    に、外気導入時で車速が所定値以上と判定されている場
    合には、前記車速が高いほど前記ブロアファンの風量を
    低減することを特徴とする車両用空調装置。
  5. 【請求項5】 前記風量制御手段は、ブロアファンの風
    量が低減された後に、前記指令手段により内気循環から
    外気導入への切換えが指令された場合には、その指令時
    から所定時間経過後に前記風量を増加せしめることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用空調装
    置。
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