JP2920923B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 半導体装置の製造方法、特に、分子線エピタキシー装
置を用いて半導体基板上にp型GaAs膜或いは、p型GaAs
膜とn型または高純度GaAsとを有する多層構成の半導体
膜を成長する方法に関し、 p型GaAs膜の界面におけるキャリア濃度プロファイル
を急峻にさるために、GaAs膜のp型不純物をBeよりも熱
拡散係数が小さいCになし得て然も成長時の基板温度を
低くなし得るようにすることを目的とし、 トリエチルガリウムの分子線及び金属砒素の分子線に
より成長するGaAs膜のp型キャリア濃度がほぼ最低とな
る第1温度よりも低い第2温度に基板温度を設定し、上
記二つの分子線によりp型GaAs膜を成長するように構成
し、また、上記p型GaAs膜を成長する工程と、基板温度
を上記第1温度に設定し、上記二つの分子線により高純
度GaAs膜を成長するか、またはその際にn型不純物の分
子線を付加してn型GaAs膜を成長する工程とを有するよ
うに構成し、また、上記高純度GaAs膜またはn型GaAs膜
の成長の際に、基板温度を上記p型GaAs膜成長時の温度
と共通しに、上記金属砒素の分子線の代わりにクラッキ
ングしたアルシンの分子線を用いるように構成し、ま
た、上記p型GaAs膜の不純物がCであるように構成す
る。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、分子
線エピタキシー装置を用いて半導体基板上にp型GaAs膜
或いは、p型GaAs膜とn型または高純度GaAs膜とを有す
る多層構成の半導体膜を成長する方法に関する。
p型GaAs膜とn型または高純度GaAs膜とを有する多層
構成の半導体膜を用いた半導体装置には、シリコンを用
いたものよりも特性の優れたヘテロバイポーラトランジ
スタ(HBT)やpinダイオードなどがある。
これらの半導体装置では、上記半導体膜内の界面にお
けるキャリア濃度プロファイルの急峻性が重要である。
そして、その急峻性は、半導体膜の成長方法や、半導体
をp型やn型にする不純物の種類に依存している。
〔従来の技術〕
第3図は、p型GaAs膜及びn型GaAs膜を有する多層構
成の半導体膜を用いた半導体装置の1例であるHBTの概
要を示す側断面図である。
同図において、1は半絶縁性GaAs基板、2はn+−GaAs
コレクタコンタクト層、3はn−GaAsコレクタ層、4は
p+−GaAsベース層、5はn−AlGaAsエミッタ層、6はn
−GaAsエミッタコンタクト層、7はコレクタ電極、8は
ベース電極、9はエミッタ電極、である。エミッタ層5
の構成は後述の実施例のように若干異なる場合がある
が、ここでは単純化のため図示のようにしておく。
このトランジスタは、基板1上にコレクタコンタクト
層2からエミッタコンタクト層6までを順次成長し、所
要のエッチングを施し、電極7〜9を形成して製造する
が、ベース層4のコレクタ層3及びエミッタ層5との界
面におけるキャリア濃度プロファイルの急峻性が必要で
あることから、上記成長は膜厚及び界面の制御性に優れ
た分子線エピタキシー(MBE)によって行うことが多
い。
そしてその成長における従来の方法は、Ga、As4、A
l、p型不純物となるBe、n型不純物となるSiそれぞれ
の分子線を組合せ、基板温度を600〜700℃にするのが一
般的である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、p型不純物となるBeの熱拡散係数が大
きいこと、成長時における基板温度がかなり高いことの
ために、p+−GaAsベース層5の界面において所望される
キャリア濃度プロファイルの急峻性が充分に満たされな
いようになり、トランジスタの特性が低下する問題があ
る。
このことは、p型GaAs膜とn型または高純度GaAs膜と
を有する多層構成の半導体膜を用いた半導体装置におい
て多くの場合共通している。
一方、GaAsに対するp型不純物としてBeよりも熱拡散
係数が小さいものにCがある。
そこで本発明は、半導体装置の製造方法に、特に、分
子線エピタキシー装置を用いて半導体基板上にp型GaAs
膜或いは、p型GaAs膜とn型または高純度GaAs膜とを有
する多層構成の半導体膜を成長する方法において、p型
GaAs膜の界面におけるキャリア濃度プロファイルを急峻
にさせるために、GaAs膜のp型不純物をBeよりも熱拡散
係数が小さいCになし得て然も成長時の基板温度を低く
なし得るようにすることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、トリエチルガリウムGa(C2H5(TE
G)の分子線及び金属砒素As4の分子線により成長するGa
As膜のp型キャリア濃度がほぼ最低となる第1温度より
も低い第2温度に基板温度を設定し、上記二つの分子線
によりp型GaAs膜を成長するようにした本発明の成長方
法によって解決され、 また、上記p型GaAs膜を成長する工程と、基板温度を
上記第1温度に設定し、上記二つの分子線により高純度
GaAs膜を成長するか、またはその際にn型不純物の分子
線を付加してn型GaAs膜を成長する工程とを有するよう
にした本発明の成長方法によって解決され、 また、上記高純度GaAs膜またはn型GaAs膜の成長の際
に、基板温度を上記p型GaAs膜成長時の温度と共通に
し、上記As4の分子線の代わりにクラッキング(熱分
解)したアルシンAsH3の分子線を用いるようにした本発
明の成長方法によって解決され、また、上記p型GaAs膜
の不純物がCであるようにした本発明の成長方法によっ
て解決される。
〔作 用〕
第1図は本発明を説明するキャリア濃度特性図で、縦
軸はn型キャリア濃度、横軸は成長時の基板温度、であ
る。そして、●を結ぶ実線はTEGの分子線とAs4の分子
線によりGaAs膜を成長した場合、○を結ぶ破線はTEG
の分子線と920℃でクラッキングしたアルシンの分子線
によりGaAs膜を成長した場合、△を結ぶ破線はそのク
ラッキング温度を850℃にした場合、を示す。これらの
成長では、p型不純物の分子線を付加していないが、TE
G中の炭素(C)が導入されてGaAs膜のキャリアがp型
となっている。即ち、ここで導入されたCは、従来方法
のBeよりも熱拡散係数が小さいp型不純物となってい
る。
破線及びの特性は、文献Appl.Phys.Lett.51,1987
p.1109に示されたものであり、基板温度を低くするに
従いp型キャリア濃度が低下して、500〜600℃程度以下
の基板温度でGaAs膜が実質的に不純物を含有しない高純
度となる。
これに対して実線の特性は、本発明者が見出したも
のである。その特性は、550℃近傍の基板温度でキャリ
ア濃度が最低になり、その前後の温度ではキャリア濃度
が次第に増大している。即ち、破線やの特性と比較
すると基板温度の高い側で同様であるも基板温度の低い
側ではその傾きが逆になっている。そして基板温度を55
0℃と400℃の間の適宜な温度にすることにより、キャリ
ア濃度を2×1016/cm3にした高純度GaAs膜とキャリア濃
度を3×1018/cm3にした高ドープp型GaAs膜の間の任意
のp型キャリア濃度のGaAs膜を成長することができるこ
とを示している。
また、実線の特性は、As4分子線の圧力を2×10-3P
aにした場合であるが、この圧力を高くすることにより
最低のキャリア濃度を更に低下させることができ、例え
ばその圧力を2×10-2Paにすればキャリア濃度が1.5×1
014/cm3となることが判っている。
一方、高純度GaAs膜にn型不純物をドーピングすれ
ば、高純度GaAs膜に含まれている不純物がp型であって
も形成されるGaAs膜をn型になし得ることは周知であ
る。
本発明は、上述のことを利用したものである。従って
この説明により、本発明の成長方法では、GaAs膜のp型
不純物がBeよりも熱拡散係数の小さいCとなり、然も成
長時の基板温度が従来方法の600〜700℃よりも低くなる
ことが容易に理解されよう。そしてそのことは、p型Ga
As膜の界面におけるキャリア濃度プロファイルを従来方
法の場合よりも急峻にさせる。
なお、本発明の成長方法において、高純度GaAs膜また
はn型GaAs膜の成長にTEGの分子線とAs4の分子線を用い
る場合は、p型GaAs膜の成長時と基板温度を切り換える
のみで分子線を共通にしていることが、また、高純度Ga
As膜またはn型GaAs膜の成長にTEGの分子線とアルシン
の分子線を用いる場合は、p型GaAs膜の成長時と分子線
を切り換えるのみで基板温度を共通にしていることが特
徴となっている。
そして、後者の場合に基板温度の切り換えを行っても
良いことはいうまでもない。
〔実施例〕
以下本発明による成長方法を用いた半導体装置製造の
実施例について、HBTを例にとった第2図の側断面図を
用いて説明する。
第2図に示すHBTは、第3図のHBTにおけるエミッタ層
5を、グレーデッドn−AlGaAs層5a、n−AlGaAs層5bお
よびグレーデッドn−AlGaAs層5cからなる3層構成のエ
ミッタ層5Aにしたものである。
このトランジスタの製造手順は第3図のHBTに準ずる
が、基板1上にコレクタコンタクト層2からエミッタコ
ンタクト層6までを成長する際に本発明の成長方法を適
用している。
この成長の実施例は次のようである。これは、高純度
GaAs膜またはn型GaAs膜の成長にTEGの分子線とAs4の分
子線を用いる場合に該当する。
即ち、基板1をMBE装置内に配置し、先ず、As4分子線
の照射下で基板1を600℃以上に加熱して基板1表面の
自然酸化膜を除去する。
次いで、基板温度を550℃に設定し、As4分子線の照射
にTEG分子線及びSi分子線の照射を加えて、Siを3×10
18/cm3にドープしたn+−GaAsコレクタコンタクト層2を
厚さ550nmに成長した後、Si分子線の強度を下げてSiを
3×1016/cm3にドープしたn−GaAsコレクタ層3を厚さ
550nmに成長する。成長の停止は、TEG分子線およびSi分
子線の照射を止めることによって行う。
次いで、As4分子線のみを照射したまま基板温度を、4
30℃に設定し、As4分子線の照射にTEG分子線の照射を加
えて、Cが1.5×1018/cm3にドープされたp+−GaAsベー
ス層4を厚さ100nmに成長し、TEG分子線の照射を止め
る。
次いで、As4分子線のみを照射したまま基板温度を550
℃に設定し、As4分子線の照射にTEG分子線、Al分子線及
びSi分子線の照射を加えて、Siを5×1017/cm3にドープ
したグレーデッドn−AlGaAs層5a(厚さ50nm)、n−Al
GaAs層5b(厚さ150nm)及びグレーデッドn−AlGaAs層5
c(厚さ30nm)を順次成長してエミッタ層5Aを形成す
る。
次いで、グレーデッドn−AlGaAs層5cの厚さが30nmに
なったところで、Al分子線の照射を止めると共に31分子
線の強度を上げて、Siを5×1018/cm3にドープしたn−
GaAsエミッタコンタクト層6を厚さ100nmに成長して、
一連の成長を完了する。
このように成長して製造されたトランジスタは、先に
述べた従来の成長方法により製造された同一構成のトラ
ンジスタと比べて、最大電流利得が30から40へと向上し
ていることが確認された。
次に、上記成長の他の実施例について説明する。これ
は、高順序GaAs膜またはn型GaAs膜の成長にTEGの分子
線とアルシンの分子線を用いる場合に該当する。
即ち、基板1をMBE装置内に配置し、先ず、920℃でク
ラッキングしたアルシン分子線の照射下で基板1を600
℃以上に加熱して基板1表面の自然酸化膜を除去する。
次いで、基板温度を430℃に設定し、上記アルシン分
子線の照射にTEG分子線及びSi分子線の照射を加えて、S
iを3×1018/cm3にドープしたn+−GaAsコレクタコンタ
クト層2を厚さ550nmに成長した後、Si分子線の強度を
下げてSiを3×1016/cm3にドープしたn−GaAsコレクタ
層3を厚さ550nmに成長する。
次いで、コレクタ層3の厚さが550nmになったところ
で、Si分子線の照射を止めると共に上記アルシン分子線
の照射をAs4分子線の照射に切り換えて、As4分子線及び
TEG分子線の照射にし、基板温度を430℃のままに維持し
て、cが1.5×1018/cm3にドープされp+−GaAsベース層
4を厚さ100nmに成長する。
次いで、ベース層4の厚さが100nmになったところ
で、As4分子線の照射を上記アルシン分子線の照射に切
り換えると共に、アルシン分子線及びTEG分子線の照射
にAl分子線及びSi分子線の照射を加え、基板温度を430
℃のままに維持して、Siを5×1017/cm3にドープしたグ
レーデッドn−AlGaAs層5a(厚さ50nm)、n−AlGaAs層
5b(厚さ150nm)及びグレーデッドn−AlGaAs層5c(厚
さ30nm)を順次成長してエミッタ層5Aを形成する。
次いで、グレーデッドn−AlGaAs層5cの厚さが30nmに
なったところで、Al分子線の照射を止めると共にSi分子
線の強度を上げて、Siを5×1018/cm3にドープしたn−
GaAsエミッタコンタクト層6を厚さ100nmに成長して、
一連の成長を完了する。
なお、これらの成長におけるアルシンのクラッキング
温度は920℃に限定されるものではない。
このように成長して製造されたトランジスタの特性
は、先の実施例によるトランジスタとほぼ同じになるこ
とが確認されて、従来の成長方法により製造された同一
構成のトランジスタよりも格段に向上している。
以上に説明した実施例は、p型GaAs膜にn型GaAs膜を
組み合わせた場合であるが、n型GaAs膜の代わりに高純
度GaAs膜を組み合わせて例えばpinダイオードなどを製
造する場合にも、p型GaAs膜の界面におけるキャリア濃
度プロファイルを急峻にさせることに対して本発明が極
めて有効であることは、先の第1図を用いた説明からし
て容易に理解されよう。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明の構成によれば、半導体装
置の製造方法、特に、分子線エピタキシー装置を用いて
半導体基板上にp型GaAs膜或いは、p型GaAs膜とn型ま
たは高純度GaAs膜とを有する多層構成の半導体膜を成長
する方法において、GaAs膜のp型不純物をBeよりも熱拡
散係数が小さいCになし得て然も成長時の基板温度を低
くなし得るようになり、それによりp型GaAs膜の界面に
おけるキャリア濃度プロファイルを急峻にさせて当該半
導体装置の特性改善を可能にさせる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を説明するキャリア濃度特性図、 第2図は実施例を説明するためのHBTの側断面図、 第3図はHBTの概要を示す側断面図、 である。 図において、 1は半絶縁性GaAs基板、 2はn+−GaAsコレクタコンタクト層、 3はn−GaAsコレクタ層、 4はp+−GaAsベース層、 5はn−AlGaAsエミッタ層、 5Aはエミッタ層、 5aはグレーデッドn−AlGaAs層、 5bはn−AlGaAs層、 5cはグレーデッドn−AlGaAs層5c、 6はn−GaAsエミッタコンタクト層、 である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/203 H01L 21/363 H01L 21/33 - 21/331 H01L 29/68 - 29/737

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子線エピタキシー装置を用いて、 トリエチルガリウムの分子線及び金属砒素の分子線によ
    り成長するGaAs膜のp型キャリア濃度がほぼ最低となる
    第1温度よりも低い第2温度に基板温度を設定し、上記
    二つの分子線によりp型GaAs膜を成長することを特徴と
    する半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】分子線エピタキシー装置を用いて、 トリエチルガリウムの分子線及び金属砒素の分子線によ
    り成長するGaAs膜のp型キャリア濃度がほぼ最低となる
    第1温度よりも低い第2温度に基板温度を設定し、上記
    二つの分子線によりp型GaAs膜を成長する工程と、 基板温度を上記第1温度に設定し、上記二つの分子線に
    より高純度GaAs膜を成長するか、またはその際にn型不
    純物の分子線を付加してn型GaAs膜を成長する工程とを
    有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】上記高純度GaAs膜またはn型GaAs膜の成長
    の際に、基板温度を上記p型GaAs膜成長時の温度と共通
    にし、上記金属砒素の分子線の代わりにクラッキングし
    たアルシンの分子線を用いることを特徴とする請求項2
    記載の半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】上記p型GaAs膜の不純物がCであることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Journal of Crystal Growth,Vol.95,No.1−4,FEBRUARY▲II▼(1989),pp.150−153

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