JP2920456B2

JP2920456B2 - 茶葉の蒸し機

Info

Publication number: JP2920456B2
Application number: JP5183512A
Authority: JP
Inventors: 秀勝川本
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1993-06-30
Filing date: 1993-06-30
Publication date: 1999-07-19
Anticipated expiration: 2014-07-19
Also published as: JPH0716055A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、茶葉の蒸し機に関し、
さらに詳しくは、茶葉を圧縮して塊を生ずるようなこと
がなく、また、茶葉を攪拌ドラムに圧着して「ムラ蒸
け」を生ずるようなことがなく、安定に蒸煮処理するこ
とができる茶葉の蒸し機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】機械による茶の製造は約８０年の歴史が
あるが、技術的進歩がなされたのは３０年ほど前から
で、それ以前の茶は製造技術が低く、且つ保管技術も十
分でなかったために人肌の色、所謂「茶色」であった。
即ち、均一な蒸煮条件で製造することができなかったた
めに所謂「ムラ蒸け」を生じ、蒸しの浅い茶葉が変質し
たり、保管中に茶葉が変質していた。現在は、保管技術
が進歩し、真空窒素充填して冷蔵庫内に５℃以下で貯蔵
するなどにより保管中における茶葉の変質を防止するこ
とができるようになったが、製造における所謂「ムラ蒸
け」への対策は、大量の蒸気を供給するか、必要以上の
蒸煮を行うことであった。しかし、蒸煮が浅いと渋味や
苦みが残り、深過ぎると雑味が出るし、香がなくなり、
色合いが落ちて赤みを帯びてしまうので、適切な蒸煮条
件で、且つ均一に蒸煮することができる茶葉の蒸し機が
嘱望されていた。尚、蒸煮は茶葉を発酵させないように
行うものであり、茶葉を蒸気で一定時間蒸すことにより
茶葉のシブ味を除去すると共に茶葉中の発酵成分や酸化
成分を安定化させるものである。

【０００３】従来の茶葉の蒸し機においては、図１に示
すような状態で強制的に攪拌されながら蒸煮される。即
ち、従来の蒸し機は、３６〜４０ｒｐｍで回転するドラ
ム３の内部に、長尺な回転軸４１’に放射状に延在する
鋼製の羽根４２’…をスパイラル状に設けてなる搬送機
構４’が配設されるものであり、羽根４２’は２００ｍ
ｍ間隔に設けられて１５０〜２５０ｒｐｍで回転して茶
葉を強制的に押し出すような状態で端部の導出口まで送
るものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
蒸し機における羽根４２’の先端はドラム３の内周面に
接触しないように設けられているので、茶葉は羽根４
２’の先端でドラム３の内周面に押圧される。そして、
茶葉は塊状に圧縮されたり、また、摩擦により粉状に破
断されたりし、その後、粗揉、精揉工程を行って得られ
る製品は粉状の苦い茶になってしまう。

【０００５】さらに、羽根４２’の先端で茶葉をドラム
３の内周面に強く押圧すると、小枝や葉の屑などがドラ
ム３の微細空隙に喰い込んでしまうので、ドラム３の外
周面にロールブラシを当接させて洗浄するようにしても
容易に除去することができず、微細空隙が閉塞されて茶
葉の蒸煮条件が不均一となって所謂「ムラ蒸け」の原因
となっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案
されたもので、長さ方向の前方に位置して蒸気を通入さ
せる蒸釜室と該蒸釜室の後方に位置して茶葉を送出させ
る蒸胴室とをその内部に有する蒸し機本体に、微細空隙
を有する回転ドラムを着脱可能に配設すると共に、上記
回転ドラムの軸心より下方に位置して蒸釜室と蒸胴室と
を一連に貫通するように、放射状に延在する羽根をスパ
イラル状に設けてなる回転搬送機構を設け、上記羽根の
先端に弾性材を取付け、該弾性材が回転ドラムの内周面
の下方部分に当接するようにし、蒸煮において発生・落
下したアクやヤニ、或いは茶葉の切り屑や枝部分等を蒸
胴室の底部に設けた排出部から外部へ排出しながら、茶
葉を弾性材により掻き上げられるように搬送するように
したことを特徴とする茶葉の蒸し機に関するものであ
る。

【０００７】

【実施例】以下に、本発明を図面の実施例に基づいて説
明する。

【０００８】本発明の茶葉の蒸し機は、図２に示すよう
に長さ方向の前方に位置して蒸気を通入させる蒸釜室１
１と該蒸釜室１１の後方に位置して茶葉を送出させる蒸
胴室１２とをその内部に有する蒸し機本体１に、微細空
隙を有する回転ドラム３を着脱可能に配設すると共に、
上記回転ドラム３の軸心より下方に位置して蒸釜室１１
と蒸胴室１２とを一連に貫通するように、放射状に延在
する羽根４２をスパイラル状に設けた回転搬送機構４を
設け、上記羽根４２の先端に弾性材５を取付け、該弾性
材５を回転ドラム３の内周面の下方部分に当接させるよ
うにした構成である。

【０００９】図２〜４に示す第一実施例における蒸し機
本体１は、長尺な枠体であり、蒸気を通入させる蒸釜室
１１と茶葉を送出させる蒸胴室１２とをその内部に有
し、前端にはホッパー状の枠体にスパイラル圧送機が臨
む構成の給葉機２が設けられている。上記蒸釜室１１は
蒸し機本体１の長さ方向の前方に位置し、蒸気発生機
（図示せず）から一定温度、一定湿度の蒸気を蒸気導入
口１１１より導入させ、さらにこの蒸気を回転ドラム３
の内部空間３１へ通入し、蒸煮雰囲気を形成させるもの
である。また、蒸胴室１２は上記蒸釜室１１の後方に位
置し、茶葉送出口（図示せず）を設けて蒸煮した茶葉を
次の工程に供すると共にその底部に排出部１２１を設け
てこの排出部１２１から蒸煮において発生・落下したア
クやヤニ、或いは茶葉の切り屑や枝部分等を蒸し機本体
１の外部へ排出するものである。

【００１０】また、上記蒸し機本体１に配設する回転ド
ラム３は、微細空隙を有する円筒材であれば良く、例え
ば図示実施例のように長尺な八本の鋼製帯材と短幅の鋼
製筒材とを溶接してなる枠体の内面にステンレス製のメ
ッシュ材を張ったものでも良いし、鋼製或いはステンレ
ス製の円筒材に複数の微細な孔を設けた構造のものを使
用しても良いし、比較的大径の孔を設けて金属メッシュ
材を被着させた構造のものを使用しても良い。そして、
この回転ドラム３は、適宜な駆動機構を接続して回転可
能とするのであるが、図示実施例では前端の外周に受歯
車３２を設け、この受歯車３２がモータ（図示せず）の
駆動歯車３３より回転力を受けて回転する構成である。
通常、回転ドラム３は３０〜５０ｒｐｍで回転させる。

【００１１】上記回転ドラム３の内部空間３１に設けら
れる回転搬送機構４は、回転ドラム３の軸心より下方に
位置して蒸し機本体１の長さ方向に貫通する長尺な回転
軸４１に、放射状に延在する３〜５ｍｍ幅の羽根４２…
をスパイラル状に設けてなる構成であり、上記羽根４２
の先端には弾性材５が取付けられている。この弾性材５
は、図示実施例では、断面が略コ字状のブラケット５１
に耐熱性を有する線材５２を挟着してなるハケ状のもの
であり、固着具５３により羽根４２に一体状に取付けた
ものである。上記回転搬送機構４の回転軸４１には適宜
な駆動機構が接続されて通常１５０〜２５０ｒｐｍで回
転されるが、回転ドラム４の内周面の最下方部分におい
て常に弾性材５が当接することとなる。

【００１２】本発明の茶葉の蒸し機１はこのような構成
を有するので、茶葉は給葉機２から送入された直後から
回転搬送機構４によって十分に撹拌され、この状態で蒸
釜室１１、蒸胴室１２を通過させることができ、回転ド
ラム３の回転及び回転搬送機構４の回転により蒸煮雰囲
気中で均一に蒸煮させながら前端側から後端側へ略一定
速度で搬送させることができる。その際、回転ドラム３
の内部空間３１の下方では弾性材５が回転ドラム４の内
周面に当接するので、茶葉は横方向から臨む弾性材５に
より掻き上げられるように搬送され、茶葉どうし間の空
隙が保たれ、表裏が十分に蒸煮雰囲気に曝されることに
なるので、均一な蒸煮処理を行うことができる。

【００１３】また、本発明における茶葉は、従来のよう
な多大な圧縮力が作用することがなく、弾性材５が横方
向から押圧する程度の軽微な力しか受けないので、塊状
に圧縮されることもないし、粉状に破断されることもな
い。また、小枝や葉の屑が後述するロールブラシ状の洗
浄具６などにより容易に除去されないほど回転ドラム３
の微細空隙に喰い込むこともない。

【００１４】図５，６に示す第二実施例では、回転ドラ
ム３₂ は鋼製或いはステンレス製の円筒材に複数の孔を
設けて金属メッシュ材を被着させた構造のものを使用
し、この回転ドラム３₂ を蒸釜室１１₂ と蒸胴室１２と
に跨がって配設している。また、前記ハケ状の弾性材５
に代えて耐熱性及び耐摩耗性を有するシリコンゴム等で
成形したブレード状の弾性材５₂ を用いた。さらに、回
転ドラム３₂ の外周面に当接するロールブラシ状の洗浄
具６を取付け、回転ドラム３₂ の微細空隙を閉塞するア
クやヤニ、小枝、葉の屑などを除去するようにした。
尚、上記以外の構成は、前記第一実施例と略同一であ
り、図面中に同一符号を付してその説明を省略する。

【００１５】上記第二実施例の蒸し機でも、前記第一実
施例と同様に均一な蒸煮処理を行うことができ、しかも
回転ドラム３₂ の微細空隙を、より清浄に維持して「ム
ラ蒸け」等を生ずることなく蒸煮処理を行うことができ
る。

【００１６】以上、本発明の実施例に基づいて説明した
が、本発明は前記した実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。例えばロールブラ
シ状の洗浄具は回転ドラム３，３₂ の内部空間３１内に
設けるようにしても良い。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の茶葉の蒸
し機は、蒸し機本体の長さ方向に貫通するように回転搬
送機構を設けたので、茶葉は送入直後から回転搬送機構
によって十分に撹拌された状態で蒸釜室、蒸胴室を通過
させることができ、回転ドラムの回転及び回転搬送機構
の回転により茶葉を蒸煮雰囲気中で均一に蒸煮させなが
ら前端側から後端側へ略一定速度で搬送させることがで
きる。そして、蒸煮において発生・落下したアクやヤ
ニ、或いは茶葉の切り屑や枝部分等を蒸胴室の底部に設
けた排出部から外部へ排出しながら、回転ドラムの内部
空間の下方では茶葉は横方向から臨む弾性材により掻き
上げられるように搬送され、茶葉どうし間の空隙が保た
れて表裏が十分に蒸煮雰囲気に曝されるので、均一な蒸
煮処理を行うことができる。そして、弾性材の作用によ
って茶葉の回転ドラムの微細空隙への目詰まりを防止す
ることにより、アクやヤニ等の微細空隙から外部への落
下を容易にし、それらによって均一な蒸煮雰囲気を維持
するので、茶葉は表裏が均一な蒸煮雰囲気の中で十分に
蒸煮処理を行うことができ、アクやヤニ等が付着するこ
ともなく、風味の優れた茶葉を得ることができる。

【００１８】そして、本発明の蒸し機により蒸煮処理さ
れた茶葉は、弾性材が横方向から押圧する程度の軽微な
力しか受けないので、塊状に圧縮されることもないし、
粉状に破断されることもない。また、小枝や葉の屑が回
転ドラムの微細空隙に喰い込むこともないので、仮にア
クやヤニと共に回転ドラムの微細空隙を閉塞してもロー
ルブラシ状の洗浄具などを取付けることにより容易に除
去して所謂「ムラ蒸け」を生ずることがない。したがっ
て、粗揉、精揉工程を経て形状を整えた後、香や色合
い、味わいに富んだ飲料用として供されるものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の蒸し機における茶葉の状態を示す断面図
である。

【図２】本発明の一実施例である蒸し機を示す一部を欠
截した側面図である。

【図３】図２の蒸し機の内部空間を示す断面図である。

【図４】図２の蒸し機の内部空間の下方における茶葉の
状態を示す拡大断面図である。

【図５】他の一実施例である蒸し機を示す一部を欠截し
た側面図である。

【図６】図５の蒸し機の内部空間を示す断面図である。

【符号の説明】

１蒸し機本体３回転ドラム３１内部空間４回転搬送機構４２羽根５，５₂ 弾性材

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】長さ方向の前方に位置して蒸気を通入さ
せる蒸釜室と該蒸釜室の後方に位置して茶葉を送出させ
る蒸胴室とをその内部に有する蒸し機本体に、微細空隙
を有する回転ドラムを着脱可能に配設すると共に、上記
回転ドラムの軸心より下方に位置して蒸釜室と蒸胴室と
を一連に貫通するように、放射状に延在する羽根をスパ
イラル状に設けてなる回転搬送機構を設け、上記羽根の
先端に弾性材を取付け、該弾性材が回転ドラムの内周面
の下方部分に当接するようにし、蒸煮において発生・落
下したアクやヤニ、或いは茶葉の切り屑や枝部分等を蒸
胴室の底部に設けた排出部から外部へ排出しながら、茶
葉を弾性材により掻き上げられるように搬送するように
したことを特徴とする茶葉の蒸し機。