JP2920035B2 - センタレス研削盤の工作物供給方法および供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はセンタレス研削盤の工
作物供給方法および供給装置に関し、さらに詳細には、
インフィード研削を行うセンタレス研削盤において、工
作物を効率良く供給および排出するための技術に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】センタレス研削盤のインフィード研削
は、異なる外径を有するいわゆる段付き工作物や、高い
研削精度が要求される工作物に好適に採用される研削方
式であるが、このインフィード研削における工作物の供
給は、通常、水平動作する搬送コンベアと、昇降動作す
る１基の工作物ローダにより行われていた。

【０００３】具体的には、搬送コンベアが、工作物を水
平に搬送してセンタレス研削盤の上方位置までくると、
工作物ローダが、この搬送されてきた工作物を受け取っ
て下降し、工作物を砥石車と調整車間の研削位置つまり
ブレード上へ供給する。工作物ローダは、工作物が研削
される間そのまま研削位置近くで待機しており、研削が
終わった工作物を再び受け取って上昇し、搬送コンベア
上に排出する。以後同様の工程が繰り返されて、工作物
が順次連続して研削されることとなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに１基の工作物ローダにより工作物を供給排出する方
法では、工作物供給時および排出時の搬送コンベアとの
受渡し、研削位置への受渡し、さらには工作物研削時の
待機など、工作物ローダの駆動が間欠駆動であることか
ら、工作物の供給効率がきわめて悪く、ひいては研削効
率の大幅な低下を招いていた。

【０００５】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであって、その目的とするところは、インフィ
ード研削を行うセンタレス研削盤において、工作物ロー
ダの駆動を効率的に行うことにより、高い工作物の供給
効率が得られる工作物供給方法および供給装置を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の工作物供給方法は、工作物の搬入搬出位置
と研削位置との間で同一移動経路をたどる２基の工作物
ローダを用い、これら両工作物ローダが互いに干渉しな
いように工作物の排出動作と工作物の供給動作とを行な
わせるセンタレス研削盤の工作物供給方法であって、上
記工作物ローダは水平運動と昇降運動を行い、工作物供
給側の工作物ローダが、未研削の工作物を保持した状態
で上記工作物の研削位置の上方近傍位置において待機す
るとともに、工作物排出側の工作物ローダが工作物の排
出動作を開始することにより工作物供給経路から外れた
時に下降して、工作物を研削位置へ供給することを特徴
とする。

【０００７】また、本発明の工作物供給装置は、上記工
作物供給方法を実行するものであって、工作物を搬入搬
出位置と研削位置との間で搬送する２基のローダ装置
と、これら両ローダ装置をそれぞれ同期させて駆動制御
する制御装置を備えてなり、上記ローダ装置は、工作物
を着脱可能に保持する工作物ローダと、この工作物ロー
ダを水平方向および上下方向へ移動させる駆動部とを備
え、上記両ローダ装置の工作物ローダは共に、上記搬入
搬出位置と研削位置との間で同一移動経路をたどるよう
に構成され、上記制御装置は、上記の方法で上記両工作
物ローダを駆動制御するように構成されている。

【０００８】

【作用】２基の工作物ローダは、工作物の搬入搬出位置
と研削位置との間で同一移動経路をたどり、一方の工作
物ローダが工作物の排出動作を行っている間に、他方の
工作物ローダが工作物の供給動作を行うように駆動制御
される。

【０００９】しかも、これら両工作物ローダは、工作物
の研削位置近傍において互いに干渉しないように移動す
る。具体的には、工作物供給側の工作物ローダに、一連
の工作物の供給動作中から未研削の工作物の受け取りま
でを行なわせ、この状態で工作物供給側の工作物ローダ
を上記工作物の研削位置の上方近傍位置において待機さ
せておく。そして、先行する工作物の研削が終了し、工
作物排出側の工作物ローダが工作物供給経路から外れた
時に工作物供給側の工作物ローダを下降させて、工作物
を研削位置へ供給する。

【００１０】このように、２基の工作物ローダを相互に
協働して効率良く駆動させることにより、工作物の研削
位置での入れ換え作業を高速化して、センタレス研削盤
の非研削時間の削減を図る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて
説明する。

【００１２】本発明に係る工作物供給装置を図１ないし
図４に示し、この工作物供給装置１は、具体的には、工
作物Ｗがセンタレス研削盤の砥石車２および調整車３間
に対して上方から供給排出されるインフィード研削に適
用されるものであって、２基のローダ装置４，５と制御
装置６を主要部として構成されている。７は砥石車２お
よび調整車３間に配置されて、工作物Ｗを研削位置Ａに
支持するためのブレードである。

【００１３】ローダ装置４，５は、水平運動と昇降運動
を行って、工作物Ｗを研削位置Ａと搬入搬出位置Ｂとの
間で搬送するもので、工作物ローダ８と駆動部９とから
構成されている。

【００１４】工作物ローダ８は工作物Ｗを着脱可能に保
持するもので、具体的には図３および図４に示すよう
に、エア駆動部１０と一対のチャック爪１１，１１とか
らなるエアチャック１２を主要部として備えるととも
に、さらに、押さえ部材１３と位置決め部１４を備え
る。

【００１５】エアチャック１２のエア駆動部１０は、ロ
ーダ本体１５に取付け支持されるとともに、図示しない
エア回路を介してエア供給源に連通されている。また、
チャック爪１１，１１は、図４に示すように、その上側
基端部１１ａ，１１ａが、支軸１６，１６を支点として
開閉可能に支持されるとともに、図示しない連動機構を
介して、上記エア駆動部１０に連結されている。一方、
チャック爪１１，１１の下側先端部内側には、チャック
凹部１１ｂ，１１ｂがそれぞれ設けられ、これらチャッ
ク凹部１１ｂ，１１ｂに、工作物Ｗの一部つまり研削位
置から外れた部位がチャッキングされる。

【００１６】１７はチャック爪１１，１１の最大拡開範
囲を規定する位置決めボルトを示しており、この位置決
めボルト１７を螺進退操作することにより、この最大拡
開範囲が調整可能とされている。１８はチャック爪１
１，１１の閉止状態を検出する近接スイッチを示してい
る。

【００１７】押さえ部材１３は、エアチャック１２のチ
ャック状態を補助するためのものであって、図３に示す
ように、エアチャック１２の後側位置において、ローダ
本体１５に垂下状態で取付け固定されるとともに、その
下端面１３ａが工作物Ｗの上面部分に当接する当接支持
面とされている。この当接支持面１３ａの高さ位置は、
上記チャック爪１１のチャック凹部１１ｂに対応して設
定されており、チャック爪１１にチャッキングされた工
作物Ｗは、その上面部分が当接支持面１３ａにより当接
支持されて、その水平状態が保持される。

【００１８】位置決め部１４は、工作物Ｗの軸方向位置
を規定するもので、図３に示すように、前後一対の位置
決め部材１９，２０からなる。これら両位置決め部材１
９，２０は、その上側基端部１９ａ，２０ａが、ローダ
本体１５の前後位置にそれぞれ垂下状態で取付け固定さ
れるとともに、その内側面１９ｂ，２０ｂが、工作物Ｗ
の前後端面Ｗａ，Ｗｂをそれぞれ支持する当接支持面と
されている。

【００１９】ローダ本体１５には、後側位置決め部材２
０用の取付孔１５ａ，１５ａと、エアチャック１２およ
び押さえ部材１３用の取付孔１５ｂ，１５ｂが設けられ
ている。これら取付孔１５ａ，１５ｂは、いずれも図３
に示すような前後方向へ延びる長孔の形態とされてい
る。

【００２０】そして、取付孔１５ａに対する締付けボル
ト２１の締付け箇所を移動させることにより、上記両当
接支持面２０ｂの位置が工作物Ｗの長さ寸法に応じて調
整可能とされるとともに、取付孔１５ｂに対する締付け
ボルト２２の締付け箇所を移動させることにより、エア
チャック１２および押さえ部材１３の位置も調整可能と
されている。

【００２１】駆動部９は、工作物ローダ８を水平方向お
よび上下方向へ移動させるもので、図１に示すように、
一対のボールねじ２５，２６と、これらを回転駆動する
一対のサーボモータ２７，２８とから構成されるととも
に、センタレス研削盤の上方に架設された装置本体２９
に装着されている。

【００２２】水平側ボールねじ２５は、工作物ローダ８
を水平方向へ移動させるもので、ねじ軸２５ａの両端部
が、上記装置本体２９の軸受部２９ａ，２９ｂに水平状
態でかつ回転可能に軸支されるとともに、その一端が上
記サーボモータ２７の駆動軸（図示省略）に連結されて
いる。

【００２３】また、このねじ軸２５ａに螺進退可能に螺
合されたナット部２５ｂは、図２に示すように、装置本
体２９の案内レール２９ｃ，２９ｃに沿って前後方向
（図２の紙面に対して垂直方向）へ移動可能とされると
ともに、このナット部２５ｂに取り付けられた支持部材
３０には、上記昇降側ボールねじ２６が装着されてい
る。

【００２４】この昇降側ボールねじ２６は、工作物ロー
ダ８を上下方向へ昇降動作させるもので、そのねじ軸２
６ａが、上記ナット部２５ｂの支持部材３０上に垂直状
態でかつ回転可能に軸支されるとともに、その上端部が
上記サーボモータ２８の駆動軸（図示省略）に連結され
ている。また、このねじ軸２６ａに螺進退可能に螺合さ
れたナット部２６ｂには、ローダアーム３５を介して上
記工作物ローダ８が装着されている。このローダアーム
３５は、装置本体２９に取り付けられた案内部材３７
（図２）に案内されて、上下方向へ昇降動作される。

【００２５】そして、これら駆動部９の構成により、上
記両ローダ装置４，５の工作物ローダ８，８は共に、図
１に示すように、上記研削位置Ａと搬入搬出位置Ｂとの
間で矢符で示すごとく同一移動経路をたどることとな
る。

【００２６】制御装置６は、これら両ローダ装置４，５
をそれぞれ同期させて駆動制御するもので、図示しない
が、ＣＰＵ、ＲＡＭ、ＲＯＭおよびＩ／Ｏポート等から
なるマイクロコンピュータで構成されており、一方の工
作物ローダ５が工作物Ｗの排出動作を行っている間に、
他方の工作物ローダ４が工作物の供給動作を行い、しか
も、これら両工作物ローダ４，５が上記研削位置Ａの近
傍において互いに干渉しないように移動すべく制御す
る。

【００２７】すなわち、図１において、先行する工作物
Ｗがブレード７上に支持された状態で研削されている
時、この工作物Ｗを供給したローダ装置５はそのまま研
削位置Ａの近傍位置（例えば研削上方位置Ｄ）で待機し
ており、また、他方のローダ装置４は、次の工作物Ｗを
搬入搬出位置Ｂで受け取った後、研削位置Ａの上方待機
位置Ｃに待機している。

【００２８】先行する工作物Ｗの研削が終了すると、上
記ローダ装置５が再びこの工作物Ｗをチャッキング支持
して上記研削上方位置Ｄまで上昇した後（矢符）、搬
入搬出上方位置Ｅへ向けて水平移動して、上記ローダ装
置４の下降経路（工作物供給経路）から離脱する（矢符
）。

【００２９】続いて、このローダ装置４がそのまま下降
して（矢符）、次の工作物Ｗを上記ブレード７上に載
置させた後、この工作物Ｗが研削される間そのまま研削
位置Ａの近傍位置Ｄで待機している。

【００３０】一方、研削済みの工作物Ｗを支持する上記
ローダ装置５は、さらに水平移動して上記搬入搬出上方
位置Ｅへ到達した後（矢符）、そのまま搬入搬出位置
Ｂまで下降して（矢符）、図示しない搬出ベルト上に
研削済みの工作物Ｗを排出する。

【００３１】続いて、このローダ装置５は、図示しない
搬入ベルト上から未研削の工作物Ｗを受け取り、搬入搬
出上方位置Ｅの最上方位置Ｆまで上昇した後（矢符
）、そのまま上記研削位置Ａの上方待機位置Ｃまで水
平移動して（矢符）、この位置Ｃに待機する。

【００３２】これら一連の動作（矢符〜）は、上記
ローダ装置４により供給された工作物Ｗが研削されてい
る間に行われる。

【００３３】以後、ローダ装置４，５が交互に同様の工
程（〜）を繰り返して、工作物Ｗ，Ｗ，…が順次連
続して研削されることとなる。

【００３４】また、形状寸法の異なる工作物Ｗを研削す
る場合には、前述した要領で、位置決め部１４の両当接
支持面１９ｂ，２０ｂ間距離と、エアチャック１２と押
さえ部材１３の位置とを調整してから、水平側ボールね
じ２５および垂直側ボールねじ２６をこの新しい工作物
Ｗに対応して駆動制御する。これにより、新しい工作物
Ｗは、新たに設定された研削位置Ａに正確に供給される
こととなる。

【００３５】なお、上述した実施例はあくまでも本発明
の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに
限定されることなく、その範囲内で種々設計変更可能で
ある。

【００３６】例えば、ローダ装置４，５の移動経路は、
これら両者が互いに干渉しないように移動する限りにお
いて他の構成としてもよく、また、図示例と逆の移動経
路をたどるように構成されてもよい。

【００３７】また、図示例においては、ローダ装置４，
５の駆動部９として、ボールねじ２５，２６とサーボモ
ータ２７，２８が使用されているが、この他、油圧シリ
ンダ等の油圧アクチュエータ、あるいは上記サーボモー
タに代わるＡＣモータ等の駆動源を使用することも可能
である。

【００３８】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
工作物の搬入搬出位置と研削位置との間で同一移動経路
をたどる２基の工作物ローダを互いに干渉しないように
移動させながら工作物の排出動作と工作物の供給動作と
を行なわせように駆動制御するにあたり、工作物供給側
の工作物ローダを、未研削の工作物を保持した状態で工
作物の研削位置の上方近傍位置に待機させるとともに、
工作物排出側の工作物ローダが工作物供給経路から外れ
た時に下降させるように駆動制御させているから研削済
み工作物が排出されると直ちに未研削の工作物が工作物
の研削位置に供給されることとなり、両工作物ロータを
互に協働して効率良く駆動させることができる。

【００３９】これにより、工作物の研削位置での入れ換
え作業が高速化して（１．０〜１．５秒）、センタレス
研削盤の非研削時間を削減し、研削効率の大幅な向上を
図ることができる。

【００４０】また、ローダ装置の駆動部として、ボール
ねじとサーボモータを用いることにより、工作物の変更
に伴う段取り調整を簡単に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施例であるセンタレス研削盤
の工作物供給装置の概略全体構成を示す斜視図である。

【図２】同工作物供給装置の要部を示す一部断面正面図
である。

【図３】同工作物供給装置の工作物ローダを示す側面図
である。

【図４】同工作物供給装置の工作物ローダを示す正面図
である。

【符号の説明】

１ 工作物供給装置 ２ 砥石車 ３ 調整車 ４，５ ローダ装置 ６ 制御装置 ７ ブレード ８ ローダ装置の工作物ローダ ９ ローダ装置の駆動部 １２ エアチャック １３ 押さえ部材 １４ 位置決め部 ２５，２６ ボールねじ ２７，２８ サーボモータ Ｗ 工作物 Ｗａ，Ｗｂ 工作物の端面 Ａ 工作物の研削位置 Ｂ 工作物の搬入搬出位置

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作物の搬入搬出位置と研削位置との間
   で同一移動経路をたどる２基の工作物ローダを用い、こ
   れら両工作物ローダが互いに干渉しないように工作物の
   排出動作と工作物の供給動作とを行なわせるセンタレス
   研削盤の工作物供給方法であって、 上記工作物ローダは水平運動と昇降運動を行い、工作物
   供給側の工作物ローダが、未研削の工作物を保持した状
   態で上記工作物の研削位置の上方近傍位置において待機
   するとともに、工作物排出側の工作物ローダが工作物の
   排出動作を開始することにより工作物供給経路から外れ
   た時に下降して、工作物を研削位置へ供給する ことを特
   徴とするセンタレス研削盤の工作物供給方法。
2. 【請求項２】 工作物を搬入搬出位置と研削位置との間
   で搬送する２基のローダ装置と、これら両ローダ装置を
   それぞれ同期させて駆動制御する制御装置を備えてな
   り、 上記ローダ装置は、工作物を着脱可能に保持する工作物
   ローダと、この工作物ローダを水平方向および上下方向
   へ移動させる駆動部とを備え、 上記両ローダ装置の工作物ローダは共に、上記搬入搬出
   位置と研削位置との間で同一移動経路をたどるように構
   成され、 上記制御装置は、請求項１に記載の方法で上記両工作物
   ローダを駆動制御するように構成されていることを特徴
   とするセンタレス研削盤の工作物供給装置。
3. 【請求項３】 上記ローダ装置の駆動部は、上記工作物
   ローダを水平方向および上下方向へそれぞれ移動させる
   一対のボールねじと、これらをそれぞれ回転駆動する一
   対のサーボモータとを備えてなる請求項２に記載のセン
   タレス研削盤の工作物供給装置。