JP2919687B2 - 表面改質されたホウ酸アルミニウム及びその製造方法 - Google Patents

表面改質されたホウ酸アルミニウム及びその製造方法

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JP2919687B2
JP2919687B2 JP33361092A JP33361092A JP2919687B2 JP 2919687 B2 JP2919687 B2 JP 2919687B2 JP 33361092 A JP33361092 A JP 33361092A JP 33361092 A JP33361092 A JP 33361092A JP 2919687 B2 JP2919687 B2 JP 2919687B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面改質されたホウ酸
アルミニウム及びその製造方法に関し、さらに詳しく
は、ホウ酸アルミニウムの表面にケイ酸とアミノシラン
系カップリング剤の重縮合物からなる薄膜を有し、かつ
該薄膜が酸処理されているホウ酸アルミニウム及びその
製造方法に関する。本発明の表面改質されたホウ酸アル
ミニウムは、ポリカーボネート樹脂基複合材における強
化材として有用である。
【0002】
【従来技術】無機質充てん材(以下無機充てん材と言
う)をプラスチックに加える場合、充てん材にシランカ
ップリング処理を施す場合が多く、その主たる目的は熱
可塑性樹脂に対する充てん材とマトリックス間の反応に
よる強度の向上や熱可塑性樹脂に対する濡れ性の改善、
さらには充てん材表面の触媒活性を抑え、樹脂の分解反
応を抑制することである。
【0003】無機充てん材表面を種々のカップリング剤
を用いて表面処理を行う場合の方法として乾式法と湿式
法がある。乾式法は、スプレー装置の付いたブレンダー
中で無機充てん材を撹拌し、撹拌している無機充てん材
中に有機溶剤又は水にカップリング剤を溶解した溶液を
噴霧して処理する方法であり、湿式法は水又は有機溶剤
中に無機充てん材を分散させたスラリーにカップリング
剤を添加撹拌処理する方法である。
【0004】このうち、乾式法ではシランカップリング
剤が無機充てん材表面に物理的に付着する因子が大きく
不均一な膜を形成しやすいが、湿式法ではスラリー中で
無機充てん材表面にシランカップリング剤が化学的に結
合され、かつ均一な形態で被着されるため、プラスチッ
ク基複合材に、表面処理された無機充てん材を配合した
場合の複合材の機械的性質の改善には湿式法による処理
が好ましい。
【0005】しかしながら、湿式法にて処理する場合、
用いられる充てん材の種類によって表面の化学的活性が
異なるので、シランカップリング剤が付着し易いもの
と、付着し難いものがある。例えば、Eガラス、シリ
カ、チタン酸カリウム、カオリン、タルク、マイカ等で
はかなり付着し易いが、グラファイト、炭酸カルシウ
ム、アルミナ等では付着し難いことが知られている。
【0006】また、ホウ酸アルミニウムも無機充てん材
として使用され、その表面がシランカップリング剤で表
面処理されているもの(特開平2−166134)はプ
ラスチック基複合材に配合した場合の複合材の機械的性
質がよいとされている。しかし、ホウ酸アルミニウムも
シランカップリング剤が付着し難い充てん材に該当する
ためカップリング剤の効果が得られ難いので、プラスチ
ック基複合材に配合した場合の機械的物性は必ずしも十
分ではない。このため、効果の高いシランカップリング
剤の処理が要請されている。
【0007】エンジニアリングプラスチックの1種であ
るポリカーボネート樹脂はその分子構造内にエステル結
合を有しており、塩基性の強い無機充てん材やアミノシ
ラン系カップリング剤等の塩基性の強い表面処理剤のみ
を表面被着させた充てん材、及び触媒活性の高い無機充
てん材を高温で樹脂に配合する際には、カーボネート結
合が分解し分子量低下を引き起こすため、複合材の長期
的な品質の安定性に欠ける問題があった。このため、マ
トリックスである樹脂の変質を抑え、かつ機械的性能を
向上させる充てん材や表面処理の開発が切望されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のこの
ような問題点を克服しようとしたもので、本発明の目的
は、無機充てん材のホウ酸アルミニウムの表面を改質す
ることによって、プラスチック基複合材、特にポリカー
ボネート樹脂基複合材に該ホウ酸アルミニウムを配合し
た組成物の機械的性能の向上及び分子量低下の抑制を図
ろうとすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先の課題
を鑑み、鋭意試験研究を重ねた結果、ホウ酸アルミニウ
ムの表面にケイ酸とアミノシラン系カップリング剤の重
縮合物からなる薄膜を有し、かつ該薄膜が無機酸で処理
されている表面改質されたホウ酸アルミニウムが、ポリ
カーボネート樹脂基複合材に該ホウ酸アルミニウムを配
合した組成物の機械的性能の向上及び分子量低下の抑制
をさせることを見い出し本発明を完成させた。
【0010】すなわち、本発明は、ホウ酸アルミニウム
の表面にケイ酸とアミノシラン系カップリング剤の重縮
合物からなる薄膜を有し、かつ該薄膜が酸処理されてい
ることを特徴とする表面改質されたホウ酸アルミニウム
を提供する。
【0011】また、本発明は、水中にホウ酸アルミニウ
ムを分散させたスラリーにケイ酸エステルとアミノシラ
ン系カップリング剤を添加して撹拌混合し、ホウ酸アル
ミニウムの表面にケイ酸とアミノシラン系カップリング
剤の重縮合物からなる薄膜を形成させ、次いで該薄膜を
酸処理することを特徴とする表面改質されたホウ酸アル
ミニウムの製造方法を提供する。
【0012】また、本発明は(a)芳香族ポリカーボネ
ート樹脂、該樹脂100重量部に対して(b)熱可塑性
樹脂100重量部以下、(c)衝撃改良剤40重量部以
下、及び(d)ホウ酸アルミニウムの表面にケイ酸とア
ミノシラン系カップリング剤の重縮合物からなる薄膜を
有し、かつ該薄膜が酸処理されている表面改質されたホ
ウ酸アルミニウムからなることを特徴とするポリカーボ
ネート樹脂組成物を提供する。
【0013】さらに本発明は(a)芳香族ポリカーボネ
ート樹脂、該樹脂100重量部に対して(b)熱可塑性
樹脂100重量部以下、(c)衝撃改良剤40重量部以
下、(d)ホウ酸アルミニウムの表面にケイ酸とアミノ
シラン系カップリング剤の重縮合物からなる薄膜を有
し、かつ該薄膜が酸処理されている表面改質されたホウ
酸アルミニウム、及び(e)前記(d)以外の他の無機
充てん材からなることを特徴とするポリカーボネート樹
脂組成物を提供する。
【0014】以下本発明の構成を詳述する。先ず、本発
明の表面改質されたホウ酸アルミニウムの製造方法につ
いて説明する。本発明では、水にホウ酸アルミニウムを
分散させたスラリー中に少なくとも1種類のケイ酸エス
テル0.5〜10.0重量%(該ホウ酸アルミニウムに
対する重量%、以下同様)、好ましくは1.0〜5.0
重量%とアミノシランカップリング剤0.2〜6.0重
量%、好ましくは1.0〜2.0重量%とを同時に添加
して、少なくとも10分間撹拌後、ホウ酸アルミニウム
の表面にケイ酸とアミノシラン系カップリング剤の重縮
合物を沈着させて薄膜を形成させる。さらに該スラリー
中に酸を添加して、スラリーのpHを2.0〜9.0に
調整して薄膜を酸処理させる。酸処理後固液分離し、分
離された固体を未洗浄の状態で70〜140℃、好まし
くは80〜120℃の温度で乾燥させ本発明の表面改質
されたホウ酸アルミニウムを得る。
【0015】本発明で用いられるホウ酸アルミニウムは
特に限定されないが、代表的には、化学式9Al23
2B23又は2Al23・B23で示されるホウ酸アル
ミニウムが用いられる。その形状はどのようなものであ
っても差し支えないが配合される樹脂の強度、弾性率を
向上させるためには、ウイスカーのような繊維状のもの
が最も好ましい。
【0016】本発明において使用するスラリー中に添加
するケイ酸エステルは加水分解によりケイ酸を生成する
ものであれば基本的にはどのようなものであっても差し
支えなく。例えばエチルシリケート、メチルシリケー
ト、イソプロピルシリケート等が使用できる。またこれ
らケイ酸エステルの縮合体を使用しても差し支えない。
【0017】本発明において使用するスラリー中に添加
するアミノシランカップリング剤はどのようなものであ
っても差し支えなく、例えばN−β(アミノエチル)γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が使用でき
る。
【0018】本発明において使用するスラリー中に添加
する酸は無機酸が主に使用される。無機酸はどのような
ものであっても差し支えないが、用いる無機酸の種類に
よってポリカーボネート樹脂の分子量低下を抑制させる
程度は異なり、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化
水素酸の中では塩酸>硝酸>硫酸>臭化水素酸>リン酸
の順位でポリカーボネート樹脂の分子量低下を抑制させ
る効果は大きくなる。
【0019】本発明において使用するスラリー中に添加
する無機酸はポリカーボネート樹脂の分子量低下を抑制
させるためには、スラリーのpHを2.0〜9.0に調
整する量の添加で差し支えないが(酸処理する前のスラ
リー液のpHは約10程度であり、また酸処理する前の
ウイスカー自体の抽出水のpHは(ウイスカー5g/水
100mlスラリーを5分間超音波分散させたろ液のp
H)約8程度である)、ポリカーボネート樹脂基複合材
の機械的性質を向上させるためにはスラリーのpHを
7.5〜8.5に調整する添加量が好ましい。
【0020】本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の
芳香族ポリカーボネートとは、芳香族ジヒドロキシまた
はこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは
炭酸のジエステルと反応させる事によって作られる分岐
してもよい熱可塑性ポリカーボネート重合体である。芳
香族ジヒドロキシ化合物の一例は、2、2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノール
A)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロムビ
スフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P
−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシ
ノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどであり、
特に、ビスフェノールAが好ましい。また、分岐した芳
香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシ
ン、4,4−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,
4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシ
フェニルヘプテン−3)、1,3,5−トリ(4−ヒド
ロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキ
シ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシアリー
ル)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、
5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロル
イサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェ
ノールなどを前記ジヒドロキシ化合物の一部、例えば
0.1〜2モル%をポリヒドロキシ化合物で置換する。
【0021】さらに、分子量を調節するのに適した一価
芳香族ヒドロキシ化合物はm−及びp−メチルフェノー
ル、m−及びp−プロピルフェノール、p−ブロムフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖
アルキル置換フェノールなどが好ましい。芳香族ポリカ
ーボネート樹脂としては代表的には、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物、特にビ
スフェノールAを主原料とするポリカーボネートが挙げ
られさらにテトラブロムビスフェノールA等のハロゲン
を含むビスフェノールを使用することができ、2種以上
の芳香族ジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカ
ーボネート共重合体、3価のフェノール系化合物を少量
併用して得られる分岐化ポリカーボネートも挙げること
ができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は2種以上の混
合物としてもよい。
【0022】本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の
熱可塑性樹脂は特に限定されないが、具体的にはポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及
びABSから選ばれるスチレン系樹脂の少なくとも1種
又はそれらの組成物が用いられる。組成比率は芳香族ポ
リカーボネート樹脂100重量部に対し熱可塑性樹脂1
00重量部以下が好ましい。ポリカーボネート樹脂組成
物中の熱可塑性樹脂量が少ないと、流動性あるいは耐薬
品性改良効果が少なく、多すぎると耐熱性の低下あるい
は熱安定性、寸法安定性の低下が認められる。
【0023】本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の
衝撃改良剤は特に限定されないが、具体的には、ポリエ
ステル系エラストマー、MBS樹脂、MAS樹脂、アク
リル酸エステル系コアーシェルグラフト共重合体、ポリ
オレフィン、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン
系コアーシェルグラフト共重合体、SBR、SEBS及
びポリウレタン系エラストマーからなる群から選ばれる
少なくとも1種の軟質樹脂が用いられる。組成比率は芳
香族ポリカーボネート100重量部に対し、衝撃改良剤
40重量部以下が好ましい。衝撃改良剤が40重量部を
越える場合は組成物の剛性強度の低下が大きく、表面改
質されたホウ酸アルミニウムによる剛性の改善効果を損
なうので好ましくない。
【0024】本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の
表面改質されたホウ酸アルミニウム以外の無機充てん材
は特に限定されないが、具体的にはシリカ、アルミナ、
酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウイスカ
ー、硫酸バリウム タルク、マイカ、アスベスト、ガラ
ス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、珪
酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄
粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化珪素、炭化珪素繊
維、窒化珪素、窒化珪素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊
維、チタン酸カリウム繊維あるいはウイスカー、酸化チ
タンウイスカー、芳香族ポリアミド繊維等で具体的に例
示される繊維状、板状、フレーク状、あるいは粉末状の
充てん材が挙げられる。本発明に好適に用いられる充て
ん材としては特にガラス繊維、炭素繊維、ガラスミルド
ファイバーが例示される。本発明における充てん材の使
用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり通
常、充てん材1〜200重量部が好ましい。充てん材が
1重量部以下では補強効果が少なく、200重量部以上
では組成物の押出しが困難となる。本組成物はさらに公
知の耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、
難燃剤、離型剤、滑剤等を添加することができる。
【0025】
【実施例】本発明を実施例、比較例にて以下具体的に説
明する。 実施例1〜11 水50リットルに化学式9Al23・2B23なる平均
繊維径1.0μm、平均繊維長30μmのホウ酸アルミ
ニウムウイスカー、もしくは同化学式を有する中心粒径
8.0μmの粒子状ホウ酸アルミニウム、あるいは化学
式2Al23・B23を有するホウ酸アルミニウム5k
gを分散させたのち、撹拌しながらこれに表1に示すケ
イ酸エステル100.0gと表1に示すアミノシラン系
カップリング剤100.0gの2液をすばやく加え、引
き続き1時間撹拌状態を保持した後、更に同スラリー中
に表1に示す無機酸を投入してスラリーpHを2.0〜
8.0に調整し、5分間撹拌の後濾過し、未洗浄状態で
85℃にて24時間乾燥することによって、表面が無機
酸によって処理されたケイ酸とアミノシラン系カップリ
ング剤との重縮合物で被着されたホウ酸アルミニウムを
得た。
【0026】得られたホウ酸アルミニウム42.9重量
部をポリカーボネート樹脂〔商品名:ユーピロンS−2
000F、三菱ガス化学(株)製〕100重量部に加え
たのちよく混合し、この混合物を単軸押出機を用いて2
80℃の温度状態で押し出し、ペレット化した。このペ
レットを120℃の温度で5時間乾燥させ、次いで径2
mmのダイをセットしたフローテスター(島津フローテ
スター:CFT−500C)を用い、上記乾燥後のペレ
ット2.0gを260℃の温度で7分間予熱し、50K
g/cm2荷重下でその溶融樹脂の流速値(Q値)を求
めた。得られた結果を表1に示した。
【0027】さらに、上記条件にて得られたペレットを
塩化メチレンにいれ、吸引ろ過法にてホウ酸アルミニウ
ム成分をろ別し、オストワルド粘度計を用いてこのろ過
液の比粘度を25℃の温度条件下で測定し、極限粘度を
算出して粘度平均分子量を求めた。得られた結果を表1
に示した。
【0028】また、実施例1の処理方法によって得られ
たホウ酸アルミニウムウイスカーを配合したペレットを
射出温度280℃、金型温度100℃、射出圧力800
Kg/cm2の条件で射出成型し、得られた成型品の機
械的物性を測定した。その結果は表3に示すとおりであ
った。
【0029】比較例1 水50リットルに実施例1の処理に用いたホウ酸アルミ
ニウムウイスカー5kgを分散させたのち、撹拌しなが
らこれに実施例1に用いたケイ酸エステル100.0g
と実施例1に用いたアミノシラン系カップリング剤の2
液をすばやく加え、引き続き1時間撹拌状態を保持した
のちろ過し、未洗浄状態で85℃にて24時間乾燥する
ことによって、表面がケイ酸とアミノシラン系カップリ
ング剤との重縮合物で被着されたホウ酸アルミニウムウ
イスカーを得た。
【0030】得られたホウ酸アルミニウムウイスカーを
実施例1と同条件でポリカーボネート樹脂に配合、ペレ
ット化し、溶融樹脂の流速値(Q値)及び粘度平均分子
量の測定を行った。得られた結果を表2に示した。
【0031】さらに、得られたペレットを射出温度28
0℃、金型温度100℃、射出圧力800kg/cm2
の条件で射出成型し、得られた成型品の機械的物性を測
定した。その結果は表3に示すとおりであった。
【0032】比較例2 水50リットルに実施例1の処理に用いたホウ酸アルミ
ニウムウイスカー5kgを分散させたのち、撹拌しなが
らこれに実施例1に用いたアミノシラン系カップリング
剤を加え、引き続き1時間撹拌状態を保持したのちろ過
し、未洗浄状態で85℃にて24時間乾燥することによ
って、アミノシラン系カップリング剤のみで表面処理さ
れたホウ酸アルミニウムウイスカーを得た。
【0033】得られたホウ酸アルミニウムウイスカーを
実施例1と同条件でポリカーボネート樹脂に配合、ペレ
ット化し、溶融樹脂の流速値(Q値)及び粘度平均分子
量の測定を行った。得られた結果を表2に示した。
【0034】さらに、得られたペレットを射出温度28
0℃、金型温度100℃、射出圧力800kg/cm2
の条件で射出成型し、得られた成型品の機械的物性を測
定した。その結果は表3に示すとおりであった。
【0035】比較例3 本発明の実施例1に使用したポリカーボネート樹脂を単
軸押出機を用いて280℃の温度状態で押し出し、ペレ
ット化した。得られたペレットの流速値(Q値)および
粘度平均分子量を測定した結果を表2に示した。
【0036】実施例12 実施例1の処理方法によって得られたホウ酸アルミニウ
ムウイスカー40重量部をポリカーボネート樹脂30重
量部とABS(日本合成ゴム製 商品名DP−35)3
0重量部に添加し、この混合物を単軸押出機を用いて2
80℃の温度状態で押し出し、ペレット化した。このペ
レットを100℃の温度で5時間乾燥させ、次いで径2
mmのダイをセットしたフローテスター(島津フローテ
スター:CFT−500C)を用い、上記乾燥後のペレ
ット2.0gを260℃の温度で7分間予熱し、50k
g/cm2荷重下でその溶融樹脂の流速値(Q値)を求
めた。得られた結果を表4に示した。
【0037】比較例4 比較例1の処理方法で得られたホウ酸アルミニウムウイ
スカーを実施例12と同様の混合および押出処理を行っ
た。得られた結果を表4に示した。
【0038】比較例5 比較例2の処理方法で得られたホウ酸アルミニウムウイ
スカーを実施例12と同様の混合および押出処理を行っ
た。得られた結果を表4に示した。
【0039】比較例6 ポリカーボネート樹脂50重量部とABS(日本合成ゴ
ム製 商品名DP−35)50重量部に添加し、この混
合物を単軸押出機を用いて280℃の温度状態で押し出
しペレット化した。このペレットを100℃の温度で5
時間乾燥させ、次いで径2mmのダイをセットしたフロ
ーテスター(島津フローテスター:CFT−500C)
を用い、上記乾燥後のペレット2.0gを260℃の温
度で7分間予熱し、50kg/cm2荷重下でその溶融
樹脂の流速値(Q値)を求めた。得られた結果を表4に
示した。
【0040】実施例13 実施例1の処理方法によって得られたホウ酸アルミニウ
ムウイスカー15重量部をポリカーボネート樹脂60重
量部とポリブチレンテレフタテート樹脂(三菱レイヨン
製 商品名N−1100)25重量部に添加し、この混
合物を単軸押出機を用いて270℃の温度状態で押し出
し、ペレット化した。このペレットを110℃の温度で
5時間乾燥させ、次いで径2mmのダイをセットしたフ
ローテスター(島津フローテスター:CFT−500
C)を用い、上記乾燥後のペレット2.0gを7分間予
熱し、50kg/cm2荷重下でその溶融樹脂の流速値
(Q値)を求めた。得られた結果を表5に示した。
【0041】比較例7 比較例2の処理方法で得られたホウ酸アルミニウムウイ
スカーを実施例13と同様の混合および押出処理を行っ
た。得られた結果を表5に示した。
【0042】比較例8 比較例2の処理方法で得られたホウ酸アルミニウムウイ
スカーを実施例13と同様の混合および押出処理を行っ
た。得られた結果を表5に示した。
【0043】比較例9 ポリカーボネート樹脂70重量部とポリブチレンテレフ
タテート樹脂(三菱レイヨン製 商品名N−1100)
30重量部に添加し、この混合物を単軸押出機を用いて
280℃の温度状態で押し出し、ペレット化した。この
ペレットを110℃の温度で5時間乾燥させ、次いで径
2mmのダイをセットしたフローテスター(島津フロー
テスター:CFT−500C)を用い、上記乾燥後のペ
レット2.0gを260℃の温度で7分間予熱し、50
kg/cm2荷重下でその溶融樹脂の流速値(Q値)を
求めた。得られた結果を表5に示した。
【0044】
【発明の効果】本発明によって表面改質されたホウ酸ア
ルミニウムは配合するポリカーボネート樹脂の分解を阻
み分子量の低下の抑制を図ることができ、またポリカー
ボネート樹脂に対する優れた補強効果をあたえるため、
機械的物性が長期間に安定したポリカーボネート樹脂組
成物を得ることができる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 101/00 C08L 101/00 (72)発明者 白川 往立 香川県善通寺市善通寺町1325番地 (56)参考文献 特開 平2−166134(JP,A) 特開 平4−146957(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09C 1/00 - 3/12 C08K 3/38,9/06 C08L 1/00 - 101/14

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホウ酸アルミニウムの表面にケイ酸とアミ
    ノシラン系カップリング剤の重縮合物からなる薄膜を有
    し、かつ該薄膜が酸処理されていることを特徴とする表
    面改質されたホウ酸アルミニウム。
  2. 【請求項2】前記ホウ酸アルミニウムが化学式9Al2
    3・2B23又は2Al23・B23で示されるホウ
    酸アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の
    表面改質されたホウ酸アルミニウム。
  3. 【請求項3】前記ホウ酸アルミニウムが化学式9Al2
    3・2B23又は2Al23・B23で示されるホウ
    酸アルミニウムウイスカーであることを特徴とする請求
    項1記載の表面改質されたホウ酸アルミニウム。
  4. 【請求項4】前記酸が無機酸である請求項1記載の表面
    改質されたホウ酸アルミニウム。
  5. 【請求項5】水中にホウ酸アルミニウムを分散させたス
    ラリーにケイ酸エステルとアミノシラン系カップリング
    剤を添加して撹拌混合し、ホウ酸アルミニウムの表面に
    ケイ酸とアミノシラン系カップリング剤の重縮合物から
    なる薄膜を形成させ、次いで該薄膜を酸処理することを
    特徴とする表面改質されたホウ酸アルミニウムの製造方
    法。
  6. 【請求項6】(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、該樹
    脂100重量部に対して(b)熱可塑性樹脂100重量
    部以下、(c)衝撃改良剤40重量部以下、及び(d)
    ホウ酸アルミニウムの表面にケイ酸とアミノシラン系カ
    ップリング剤の重縮合物からなる薄膜を有し、かつ該薄
    膜が酸処理されている表面改質されたホウ酸アルミニウ
    ムからなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】(a)芳香族ポリカーボネート樹脂、該樹
    脂100重量部に対して(b)熱可塑性樹脂100重量
    部以下、(c)衝撃改良剤40重量部以下、(d)ホウ
    酸アルミニウムの表面にケイ酸とアミノシラン系カップ
    リング剤の重縮合物からなる薄膜を有し、かつ該薄膜が
    酸処理されている表面改質されたホウ酸アルミニウム、
    及び(e)前記(d)以外の他の無機充てん材からなる
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 【請求項8】前記熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタ
    レート、ポリブチレンテレフタレート及びABSから選
    ばれるスチレン系樹脂の少なくとも1種又はそれらの組
    成物からなることを特徴とする請求項6又は7記載のポ
    リカーボネート樹脂組成物。
  9. 【請求項9】前記衝撃改良剤が、ポリエステル系エラス
    トマー、MBS樹脂、MAS樹脂、アクリル酸エステル
    系コアーシェルグラフト共重合体、ポリオレフィン、ポ
    リオレフィン系エラストマー、スチレン系コアーシェル
    グラフト共重合体、SBR、SEBS及びポリウレタン
    系エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種
    の軟質樹脂からなることを特徴とする請求項6又は7記
    載のポリカーボネート樹脂組成物。
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