JP2919450B1 - 歯ぎしり防止具 - Google Patents

歯ぎしり防止具

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Abstract

【要約】 【課題】 睡眠中の歯ぎしりによる耳ざわりな音の発生
を効果的に防止し、歯にかかる負担を少なくして歯を十
分に保護できるようにするとともに、装着時の安定性を
良くし、多くの人に適合し得る構成の歯ぎしり防止具の
提供。 【解決手段】 歯列に沿った略U字形状で、歯の咬合面
を覆う保護部2と、この保護部2の内周部に連設され、
歯の裏側を覆う係止部3とからなり、歯への装着側とな
る保護部の下層2yと、これに連設された係止部3と
が、水の沸騰温度よりも低い軟化温度を有する熱可塑性
樹脂により形成され、保護部の上層2xが、前記軟化温
度では軟化しない材料により平面状に形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯ぎしりによる弊
害を防止するために、睡眠時に歯に装着して使用する歯
ぎしり防止具に関する。
【0002】
【従来の技術】睡眠中に無意識に歯ぎしりをする人がい
るが、歯ぎしりは耳ざわりな音を発生するので、同室で
寝ている人などに迷惑をかけることがあった。また、そ
ればかりでなく、歯ぎしりがひどくなると、歯に大きな
負担をかけ、歯を摩耗させたり損傷させたりすることも
あった。このため、従来、歯科医師において口腔内の印
象をとり、さらに石膏模型を作成した後、重合して上下
の歯に適合するアクリル樹脂製の歯ぎしり防止具を作成
して装着することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
歯ぎしり防止具にあっては、歯科医師によって入れ歯を
作成するのとほとんど同じ工程を要していたため、製作
工程が多く、製作に長時間を要していたのみならず、製
作に熟練を要する工程を含んでいたため、製作コストが
高くなるという問題点があった。本発明は以上の事情に
鑑みてなされたもので、睡眠中の歯ぎしりによる耳ざわ
りな騒音の発生を効果的に防止し、歯にかかる負担を少
なくして歯を十分に保護できるようにするとともに、装
着時の安定性を良くし、しかも製作容易であって多くの
人に適合し得る構成の歯ぎしり防止具の提供を目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の歯ぎしり防止具は、歯列に沿った略U字形
状で、歯の咬合面を覆う保護部と、この保護部の内周部
に連設され、歯の裏側を覆う係止部とからなり、歯への
装着側となる保護部の下層と、これに連設された係止部
とが、水の沸騰温度よりも低い軟化温度を有する熱可塑
性樹脂により形成され、保護部の上層が、前記軟化温度
では軟化しない材料により平面状に形成されてなること
を特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の歯ぎしり防止具の
実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本
発明の歯ぎしり防止具1の一実施例を示した斜視図であ
り、図2(A)はそのA−A端面図、図2(B)はB−
B端面図である。また、図3から図5は、それぞれ、こ
の歯ぎしり防止具の正面図、左側面図、背面図である。
この発明の歯ぎしり防止具は、上下いずれかの歯に装着
して使用するものであり、上の歯に装着して使用するも
のであってもよい。安定性の点で下の歯に装着してなる
ものが好ましい。よって、以下の実施例では下の歯に装
着して使用するものについて説明する。
【0006】歯ぎしり防止具1は、歯列に沿った略U字
形状に形成されてなり、歯の咬合部を覆う保護部2と、
この保護部2の内周部に連接され、歯の裏側を覆う係止
部3とから構成されており、縦断面が略L字形状に形成
されてなる。保護部2は、歯への装着側となる下層2y
と、上の歯の咬合面への当接面とされる平面状の上層2
xとの二層構造とされてなり、下層2yの内周縁に前記
係止部3が下方に延出するよう連設されてなる。
【0007】保護部2の下層2yと係止部3とは、熱可
塑性樹脂により形成されている。この熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、人の体温より高いが水の沸騰温度よりも
低い軟化温度(例えば50〜90℃)を有するものが使
用される。具体的には、例えばエチレン−酢酸ビニール
共重合体が好適に使用されるが、ポリウレタン樹脂やシ
リコン樹脂、酢酸ビニールなどを使用してもよい。一
方、保護部2の上層2xは、前記軟化温度では軟化しな
い材料により平面状に形成されてなる。この上層2xの
材料としては、例えばエラストマーが使用され、特にシ
リコンゴムやシリコン樹脂を使用するのが好ましい。な
お、上層2x及び下層2yの双方をエチレン−酢酸ビニ
ール共重合体等で形成してもよい。
【0008】保護部2の径方向の幅寸法Wは、歯ぎしり
防止具1の両端部となる奥歯側2aで一番広く、中央部
の前歯側2bに向かうにつれて次第に狭くなるよう形成
されている。この保護部2の湾曲形状は、入れ歯づくり
の経験で得られている歯の配列状態についての多くのデ
ータなどを参照して決めるのが良く、湾曲形状をこのよ
うに決めたときには、1つの型によって作られた歯ぎし
り防止具1を多くの人に適用可能にすることができ、コ
ストの引き下げにも役立つ。
【0009】係止部3は、保護部2の内周部に連設さ
れ、歯の裏側を覆うためのものである。すなわち、歯の
咬合部の内側端縁から、配列された歯の裏側に沿って当
接可能なように、保護部2の下層2yから下方に突出形
成されている。これにより、歯ぎしり防止具1の縦断面
は、略L字形状に形成されている。なお、保護部2の外
周部にも下方に若干突出する係止部3’を形成してもよ
い。この場合、外周側の係止部3’の高さは、内周側の
係止部3の長さLより十分短くてもよい。保護部2の外
周側にも係止部3’を形成することにより、歯ぎしり防
止具1の位置決めを良くするとともに、歯ぎしり防止具
1の剛性を強くすることができる。
【0010】係止部3は、保護部2の上層2x上面から
の高さLが2〜13mmとされ、歯の裏側への密着を容易
にするとともに、装着時の安定性をよくするために、奥
歯側2aで長く前歯側2bで幾分短くなるように形成す
るのが良い。なお、係止部3は、図4に示すように、奥
歯側の端部が5〜10mm切り欠かれて形成されている。
これは、装着時の異物感をより少なくするためであり、
歯ぎしり防止具1の機能に支障を来すことはない。
【0011】保護部2は、上下層を合わせた厚さsが、
奥歯側2aで1〜4mm、前歯側2bで3〜8mmとされて
おり、この実施例では、奥歯側で2mm、前歯側で4mm、
その中間部で3mm程度としており、前歯側の厚みを奥歯
側の厚みの2〜5倍程度としている。これは、一般に奥
歯のかむ厚みと、前歯のかむ厚みとは、約1:3〜5と
いわれていることを考慮したものである。また、保護部
2の下層2yや、その内周縁部に沿って連設された係止
部3の厚さは、寝ているときに歯ぎしり防止具1が外れ
ないように、後述する方法によってエチレン−酢酸ビニ
ール共重合体等に歯形を付けることができる厚さとさ
れ、例えばこの実施例では厚さtが1〜4mmとされてい
る。なお、この実施例の歯ぎしり防止具1は、真っ直ぐ
な平面状に形成してもよいが、図4に示すように、奥歯
側に行くに従ってやや保護部2の側に湾曲して形成する
ことが好ましい。
【0012】次に、この実施例の歯ぎしり防止具1の使
用について説明する。使用に先立って歯ぎしり防止具1
には、次の手順によって使用者の歯形と係合する凹凸面
を形成する。 (1)まず、歯ぎしり防止具1をその使用材料に応じて
例えば50〜90℃程度に加熱した熱湯中に10秒〜1
分間程度浸漬し、歯ぎしり防止具1を軟化温度にまで温
めて、保護部2の下層2yと係止部3とを可撓性を備え
た軟化状態にする。なお、これに先立って、歯ぎしり防
止具1の両端部をハサミ等で切断して、より使用者に適
した大きさとして使用するようにしてもよい。 (2)次に、加温された歯ぎしり防止具1を口腔内に挿
入し、係止部3を歯の裏側に沿わせて位置決めした後、
上下の歯をぐっと噛み締め、軟化状態にある保護部2の
下層2yと係止部3(3’)に自己の各歯形に合致した
形状の凹凸部Mを形成する。 (3)凹凸部Mが形成された歯ぎしり防止具1を、10
秒〜1分間程度かけて軟化温度以下に冷却して硬化す
る。これにより、図6に示すように、保護部2の下層2
yと係止部3(3’)とに、使用者の歯形に適合する凹
凸部Mが形成された歯ぎしり防止具1が完成する。
【0013】歯ぎしり防止具1の使用は、図7に示すよ
うに、凹凸部Mを形成されている歯ぎしり防止具1を睡
眠前に口腔内に挿入し、保護部2の下層2yに形成され
ている凹凸部Mに、対応する各歯を係合して装着すれば
よい。歯ぎしり防止具1を下の歯に装着した場合には、
図8に示すように、下の歯が保護部2の下層2yと係止
部3(3’)とに形成された凹凸部Mとしっかりと係合
するため、睡眠中に歯ぎしり防止具1が歯から外れるこ
とはない。なお、図8は、歯ぎしり防止具1の装着時に
おける奥歯での係合状態を示している。下の歯に歯ぎし
り防止具1が装着されていることにより、歯ぎしりして
も、上下の歯が直接接触することがないので、歯ぎしり
による耳ざわりな騒音の発生を防止するのみならず、各
歯にかかる負担を少なくして歯の摩耗や損傷を防止する
ことができる。なお、上の歯と当接される保護部2の上
層2yの上面は、フラットな平面に形成されて、歯形が
つかないでいるため、上記効果を一層向上させることが
できる。
【0014】
【発明の効果】本発明の歯ぎしり防止具によれば、お湯
につけて各自に適した形状に成形して使用することがで
き、誰でも家庭や旅行先において簡単に歯ぎしり防止具
を得ることができ、歯ぎしりを容易かつ確実に防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯ぎしり防止具の一実施例を示した斜
視図である。
【図2】(A)は、図1におけるA−A端面図、(B)
は、図1におけるB−B端面図である。
【図3】図1の歯ぎしり防止具の正面図である。
【図4】図1の歯ぎしり防止具の左側面図である。
【図5】図1の歯ぎしり防止具の背面図である。
【図6】図1の歯ぎしり防止具に歯形が付けられた状態
を示す背面図である。
【図7】図1の歯ぎしり防止具の使用状態を示す図であ
る。
【図8】使用時における奥歯での係合状態を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 歯ぎしり防止具 2 保護部 2a 奥歯側 2b 前歯側 2x 上層 2y 下層 3,3’ 係止部 s 保護部の厚さ t 係止部の厚さ L 保護部の上層上面からの係止部の高さ W 保護部の幅

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯列に沿った略U字形状で、歯の咬合面
    を覆う保護部と、この保護部の内周部に連設され、歯の
    裏側を覆う係止部とからなり、 歯への装着側となる保護部の下層と、これに連設された
    係止部とが、水の沸騰温度よりも低い軟化温度を有する
    熱可塑性樹脂により形成され、 保護部の上層が、前記軟化温度では軟化しない材料によ
    り平面状に形成されてなることを特徴とする歯ぎしり防
    止具。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂は、軟化温度が50〜
    90℃の範囲であることを特徴とする請求項1記載の歯
    ぎしり防止具。
  3. 【請求項3】 前記保護部は、厚さが奥歯側で1〜4m
    m、前歯側で3〜8mmとされ、咬合部の幅が奥歯側に比
    べて前歯側が狭くなっていることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の歯ぎしり防止具。
  4. 【請求項4】 前記係止部は、厚さが1〜4mmとされ、
    前記保護部の上層上面からの高さが2〜13mmとされて
    なることを特徴とする請求項1からいずれか1つに記
    載の歯ぎしり防止具。
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