JP2918134B2 - 3−ジアルキルアミノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体 - Google Patents

3−ジアルキルアミノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強力な抗菌活性を示す
8位に酸素原子を有するキノロンカルボン酸誘導体を合
成するための有用な中間体である、3−ジアルキルアミ
ノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体に関する。
【0002】
【従来技術の問題点】従来の、8位に酸素原子を有する
キノロンカルボン酸誘導体の抗菌剤、例えばオフロキサ
シン:〔9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル
−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキ
ソ−7H−ピリド〔1,2,3−de〕〔1,4〕ベン
ゾオキサジン−6−カルボン酸〕、を合成する方法は
2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェノールを原料物質
として、多工程を要して合成されており合成工程の短縮
が望まれていた(特公昭61−11955号公報および
特開昭63−132891号公報参照)。また、8位に
−OR1a基(R1aは低級アルキル基を表す)を有す
るキノロンカルボン酸誘導体の抗菌剤の有用な中間体と
して、一般式(II)
【0003】
【化2】
【0004】〔式中、R1aは低級アルキル基を表し、
2aおよびR3aは同一または異なる低級アルキル基
を表すかあるいはそれらが結合している窒素原子ととも
に、さらに場合によっては酸素原子、硫黄原子、スルフ
ィニル基またスルホニル基と一緒になって形成する環状
アミノ基を表してもよく、Aはシアノ基または−CO
OR4a(式中、R4aは低級アルキル基またはアリル
基を表す。)で示される3−ジアルキルアミノ−2−置
換ベンゾイルアクリル酸誘導体〕で表される特開昭63
−316757号公報に記載されている既知の化合物が
ある。この化合物は8位に−OCH基を持つ強力な抗
菌活性をもつキノロンカルボン酸誘導体の有用な中間体
として記載されている。しかしこの公報に記載されてい
るようにこの8位の−OCH基と他の置換基とを通常
の反応条件で置換することは困難であった。したがっ
て、8位の酸素原子の置換基を1置換基に固定すること
なく、かつ工程を短縮できる中間体として有用な化合物
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、従来公知の
製造法の問題を解決することのできる3−ジアルキルア
ミノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式〔I〕
【0007】
【化3】
【0008】〔式中、Rはベンジル基を表し、R
よびRは同一または異なる低級アルキル基を表し、A
は−COOR(式中、Rは低級アルキル基またはア
リル基を表す。)〕で示される3−ジアルキルアミノ−
2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体に関する。
【0009】本発明に使用される3−ジアルキルアミノ
−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体は一般式〔I〕
で示される化合物である。上記式中、RおよびR
同一または異なっていて例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基のような炭素数1〜3個を有
する鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表し、Aは例
えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n
−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル
基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニ
ル基のような炭素数2〜5個を有するアルコキシカルボ
ニル基を表すか、例えばアリルオキシカルボニル基、メ
タリルオキシカルボニル基のようなアルケニルオキシカ
ルボニル基を表してもよい。
【0010】上記式中、特に好ましい化合物は、R
ベンジル基であり、−NR基がジメチルアミノ基
であり、そしてAがメトキシカルボニル基、エトキシカ
ルボニル基、またはアリルオキシ基である化合物であ
る。
【0011】本発明の前記一般式〔I〕を有する3−ジ
アルキルアミノ−2−置換ベンゾイルアクリル酸誘導体
は、一般式〔III〕、
【0012】
【化4】
【0013】(式中、Xは塩素、臭素のようなハロゲン
原子を表し、Rは前述したものと同意義を表す。)で
表される置換ベンゾイルハライド化合物と、一般式〔I
V〕
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R,RおよびAは前述したも
のと同意義を表す。)で表される3−アミノアクリル酸
誘導体を不活性溶媒中、塩基の存在下に反応させること
によって製造することができる。本反応に使用できる溶
媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキ
サン、ジメトキシエタンなどのエーテル系化合物、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物または塩
化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系化合物が使用
できるが、好ましくはエーテル系溶媒である。本発明の
反応の反応温度は−30℃〜170℃(好ましくは0〜
80℃)の範囲で行われる。通常、反応は室温付近です
みやかに進行するが、好ましくは反応終了後反応を完結
するために50〜80℃に加熱する。反応時間は反応温
度にもよるが、1〜15時間が範囲である。
【0016】本発明の反応に使用できる塩基としては、
ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンな
どの3級アミンがあげられるが、好ましくはトリエチル
アミンである。本発明の反応に使用する反応基質〔II
I〕および反応基質〔IV〕の濃度はそれぞれ0.1〜
10モルの範囲で可能であるが、好ましくは1.0〜
3.0モルの範囲である。使用量比は好ましくは〔II
I〕:〔IV〕が1:1の化学論量(モル比)で反応さ
せる、塩基は酸ハライド(III)に対して0.8〜
3.0等量、好ましくは1.0〜1.5等量である。反
応終了後、生成物を得る方法としては、反応混合物濃縮
後、または濃縮せずに非水溶性有機溶媒と水とを加え、
生成した塩を水層に除くという一般的方法が行える。濃
縮して溶媒を除くことにより目的物は高い純度で得られ
るが、さらに精製する場合には、カラムクロマトグラフ
ィーや再結晶により純品として単離できる。
【0017】
【発明の効果】本発明の3−ジアルキルアミノ−2−置
換ベンゾイルアクリル酸誘導体は、強力な抗菌活性を示
す8位に酸素原子を有するキノロンカルボン酸誘導体を
合成するための有用な中間体である。本発明の化合物を
用いると、特にキノロンカルボン酸の8位の酸素原子お
よび1位に任意の誘導体を導入することが可能であっ
て、各種の酸素原子を持つキノロンカルボン酸誘導体を
合成することができる。
【0018】
【実施例】次に、実施例および参考例を挙げて本発明を
更に詳しく説明するが、本発明は、その趣旨を越えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】実施例1 3−ベンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロ安息香
酸7.05g(25mmol)をトルエン10mlに溶
かし、DMF0.1g,チオニルクロライド3.75g
(32mmol)を加えて75℃に昇温後、同温度で3
時間攪拌した。氷水で30℃に冷却後、濃縮して3−ベ
ンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸クロ
ライドを得て、THF4mlに溶かした。この溶液を、
3−ジメチルアミノアクリル酸メチル3.39g(26
mmol),トリエチルアミン2.62g(26mmo
l)をTHF5mlに溶かした溶液中に、室温下に滴下
した。70℃に昇温した後、同温度に保ちながら3時間
反応させ、反応後溶媒を減圧蒸留して塩化メチレン20
mlを加えて水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱
水した。塩化メチレン層を濃縮後、カラム精製して2−
(3−ベンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロベン
ゾイル)−3−ジメチルアミノアクリル酸メチルを8.
03g得た。 収率 81.7% 融点 99〜102℃ MS M
393 H−NMR(CDCl)(ppm):δ2.86
(bs,3H,NCH)3.32(bs,3H,NC
)3.50(s,3H,COOCH)5.18
(s,2H,CH)7.13(m,1H,ArH)
7.32〜7.46(m,5H,C)7.77
(s,1H,C=CHN)
【0020】実施例2 3−ベンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロ安息香
酸7.05g(25mmol)をトルエン10mlに溶
かし、DMF0.1g,チオニルクロライド3.75g
(32mmol)を加えて75℃に昇温後、同温度で3
時間攪拌した。氷水で30℃に冷却後、濃縮して3−ベ
ンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロ安息香酸クロ
ライドを得て、THF4mlに溶かした。この溶液を3
−ジメチルアミノアクリル酸アリル4.07g(26m
mol),トリエチルアミン2.62g(26mmo
l)をTHF5mlに溶かした溶液中に、室温下に滴下
した。70℃に昇温した後、同温度に保ちながら2時間
反応させ溶媒を減圧留去して塩化メチレン20mlを加
えて水で2回洗浄後乾燥した。塩化メチレン層を濃縮
後、カラム精製して2−(3−ベンジルオキシ−2,
4,5−トリフルオロベンゾイル)−3−ジメチルアミ
ノアクリル酸アリルを9.2g得た。 収率 87.8% 融点 57〜60℃ MS M
19 H−NMR(CDCl)(ppm):δ2.86
(bs,3H,NCH)3.32(bs,3H,NC
)4.44(m,2H,COOCH)5.05
(m,1H,C−C=CH)5.10(m,1H,C
−C=CH)5.18(s,2H,CH)5.68
(m,1H,C−CH=C)7.16(m,1H,Ar
H)7.30〜7.46(m,5H,C)7.7
9(s,1H,C=CHN)
【0021】実施例1で得られた2−(3−ベンジルオ
キシ−2,4,5−トリフルオロベンゾイル)−3−ジ
メチルアミノアクリル酸メチルを用いて、反応式〔1−
1〕
【0022】
【式1】
【0023】および、反応式〔1−2〕
【0024】
【式1−2】
【0025】に従えばオフロキサシンの前駆体:〔9、
10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7
−オキソ−7H−ピリド〔1,2,3−de〕〔1,
4〕ベンゾオキサジン−6−カルボン酸〕(特公昭61
−11955号公報参照)を合成できる。該化合物は該
公報によればオフロキサシン:〔9−フルオロ−2,3
−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピ
ペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド〔1,2,3
−de〕〔1,4〕ベンゾオキサジン−6−カルボン
酸〕に容易に変換できる。このように本発明の化合物を
用いて、特開昭63−264439号公報に記載のオフ
ロキサシンの合成方法と比べると、合成工程の短縮が可
能である)。
【0026】また、実施例2で得られた2−(3−ベン
ジルオキシ−2,4,5−トリフルオロベンゾイル)−
3−ジメチルアミノアクリル酸アリルを用いて、同化合
物の1位にシクロプロピル基を置換させ、閉環させ(参
考例2参照)、その後8位のベンジルオキシ基を還元す
ることにより−OH基に変換が可能であり(参考例3参
照)、さらに−OCH基に置換することにより(参考
例4参照)、特開昭63−316757号公報の一般式
〔II〕の化合物〔R、R、Rがメチル基、Aが
カルボン酸メチルエステルである化合物(該公報の化合
物(IV)〕にも変換可能である。該公報によれば、化
合物〔II〕は強い抗菌活性を持つ1−シクロプロピル
−6−フルオロ−8−メトキシ−7−(1−ピペラジニ
ル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カ
ルボン酸・塩酸塩に変換可能である。
【0027】参考例1 2,4,5−トリフルオロ−3−ヒドロキシ安息香酸2
68.8g(1.4mol)にメタノール1.4Lおよ
び28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(2.8
mol)を加えて、攪拌し均一溶液とし、100℃に昇
温後塩化ベンジル443g(3.5mol)を滴下し
た。さらに10時間加熱還流した。反応終了後メタノー
ルを留去し、水酸化ナトリウム140g(3.5mo
l)を溶かした水2.8Lを加え、60℃まで冷却して
2時間攪拌した。反応液をトルエン700mlで2回洗
浄した後、反応液がpH3になるまで濃塩酸を添加し
た。析出した結晶をろ取し、減圧乾燥して、3−ベンジ
ル−2,4,5−トリフルオロ安息香酸を283.6g
を得た。 収率 71.8% 融点 135〜136℃ MS M
282 H−NMR(DMSO d)(ppm):δ5.2
5(s,2H,CH)7.35〜7.45(m,5
H,C)7.60(m,1H,ArH)13.6
9(bs,1H,COOH)
【0028】参考例2 2−(3−ベンジルオキシ−2,4,5−トリフルオロ
ベンゾイル)−3−ジメチルアミノアクリル酸アリル
6.2g(14.8mmol)をTHF15mlに溶か
して室温で攪拌しながら、シクロプロピルアミン0.7
6g(13.3mmol)を滴下し、滴下後2時間攪拌
した。室温で、炭酸カリウム3.0g(22.2mmo
l)およびテトラブチルアンモニウムブロマイド0.2
g(0.7mmol)を順次加えて8時間加熱還流し
た。反応液からTHFを留去し、反応液に塩酸を加えて
中和した後、塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン層
を濃縮して得られた結晶にエタノール30mlを加えて
再結晶化を行い、8−ベンジルオキシ−1−シクロプロ
ピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オ
キソ−3−キノリンカルボン酸アリルエステルを4.3
g得た。 収率 70.4% 融点 161〜163℃ MS M
411 H−NMR(CDCl)(ppm):δ0.93〜
0.99(m,4H,2CH(シクロプロピル環))
3.70(m,1H,CH(シクロプロピル環))5.
21(s,2H,CH)5.28(m,1H,C−C
=CH)5.47(m,1H,C−C=CH)6.
04(m,1H,C−CH=C)7.38(s,5H,
)8.06(dd J=10.25Hz,8.
79Hz,1H,5位のArH)8.53(s,1H,
2位のArH)
【0029】参考例3 8−ベンジルオキシ−1−シクロプロピル−6,7−ジ
フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリ
ンカルボン酸アリルエステル0.5g(1.22mmo
l)に酢酸5mlおよび濃塩酸0.5gを加え、90℃
に昇温した後10時間攪拌した。10℃まで冷却後、析
出した結晶をろ取し、ヘキサンで洗浄後、乾燥して1−
シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジヒド
ロ−8−ヒドロキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボ
ン酸を0.25g得た。 収率 72.9% 融点 290〜292℃ MS M
281 H−NMR(Polysol)(ppm):δ1.1
7〜1.30(m,4H,2CH(シクロプロピル
環))4.37(m,1H,CH(シクロプロピル
環))7.70(dd J=9.76Hz,8.30H
z,1H,5位のArH)8.79(s,1H,2位の
ArH)11.23(s,1H,OH)14.70(b
s,1H,COOH)
【0030】参考例4 1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4−ジ
ヒドロ−8−ヒドロキシ−4−オキソ−3−キノリンカ
ルボン酸0.19g(0.68mmol)に、メタノー
ル2ml,28%ナトリウムメトキシド0.27gおよ
びジメチル硫酸0.34g(2.72mmol)を加え
て昇温し2時間加熱還流させた。反応後、室温まで冷却
した反応液に、塩酸を加えて中和し、メタノールを留去
した。残留した結晶を5%塩酸を含む水溶液で洗浄し
て、1−シクロプロピル−6,7−ジフルオロ−1,4
−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリン
カルボン酸メチルを0.16g得た。 収率 76.1% 融点 184〜186℃ MS M
309 H−NMR(CDCl)(ppm):δ1.03〜
1.27(m,4H,2CH(シクロプロピル環))
3.91(s,3H,COOCH)4.00(m,1
H,CH(シクロプロピル環))4.09(s Fとの
カップリングがわずかに見られる、3H,8位のOCH
)8.02(dd J=10.25Hz,8.78H
z,1H,5位のArH) 8.63(s,1H,2位
のArH)
【式1−1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 229/34 CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕、 【化1】 〔式中、Rはベンジル基を表し、RおよびRは同
    一または異なる低級アルキル基を表し、Aは−COOR
    基(式中、Rは低級アルキル基またはアリル基を表
    す。)〕で示される3−ジアルキルアミノ−2−置換ベ
    ンゾイルアクリル酸誘導体。
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CN1202075C (zh) * 2000-03-07 2005-05-18 兰贝克赛实验室有限公司 作为抗菌剂喹诺酮药物的有用中间体的3-环丙基氨基-2-[2,4-二溴-3-(二氟甲氧基 )苯甲酰基]-2-丙烯酸烷酯的-锅合成

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