JP2916054B2 - 固体電解質型燃料電池スタック - Google Patents

固体電解質型燃料電池スタック

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JP2916054B2
JP2916054B2 JP4329954A JP32995492A JP2916054B2 JP 2916054 B2 JP2916054 B2 JP 2916054B2 JP 4329954 A JP4329954 A JP 4329954A JP 32995492 A JP32995492 A JP 32995492A JP 2916054 B2 JP2916054 B2 JP 2916054B2
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雅克 永田
幹幸 小野
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    • Y02E60/50Fuel cells

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、固体電解質を用いた
燃料電池に関し、特に複数の単セルを備えた燃料電池ス
タックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池はイットリア安定
化ジルコニア(YSZ)やカルシア安定化ジルコニア
(CSZ)などの固体電解質の両側に空気電極(陽極)
と燃料電極(陰極)とを設け、固体電解質を介して燃料
ガスと空気とを電気化学的に反応させることにより起電
力を得るものである。この種の燃料電池では、燃料ガス
流路と空気流路とを気密状態に分離する必要があるの
で、従来より、例えば固体電解質を筒状に形成し、その
内周面および外周面に前記各電極を設けた円筒式のもの
が知られている。また、単セルで得られる電力が少ない
ので、従来では複数の円筒状単セルを直並列に接続した
スタックにより起電力を得ているものが多い。
【0003】図2は複数の単セルを例えば2列に備えた
固体電解質型燃料電池スタックの断面図であり、単セル
1はその下端部が閉塞され、例えば内面側に空気電極を
有すとともに、外面側に燃料電極を有すものであり、同
一列の単セル1どうしはインターコネクタ等を介して互
いに直列に接続され、各列同士は互いに並列に接続され
ている。単セル1はその一端部側を除きその大部分が燃
料ガス室2内に収納されており、この燃料ガス室2内で
単セル1の外方には燃料ガス流路GFが形成されてい
る。そしてこの燃料ガス室2の上方には単セル1内から
排出される発電済みの高温の空気(以下空気排ガスとい
う)を集めて排出するための空気排ガス集合室3が設け
られ、さらにこの空気排ガス集合室3の上方には空気分
配管5に空気を分配して各単セル1に空気を供給するた
めの空気分配室4が設けられている。
【0004】空気分配管5は空気分配室4から空気排ガ
ス集合室3を通って単セル1の閉塞端近傍まで延びてお
り、単セル1の空気電極とこの空気分配管5との間に形
成される空気流路AFに空気を供給するものである。ま
た、空気分配室4の上方には電気ヒータ6a,6aを備
えた空気予熱器6が設けられており、この空気予熱器6
と空気分配室4とは通路7で連結されている。さらに燃
料ガス室2の下方には電気ヒータ8a,8aを備えた燃
料ガス予熱器8が設けられており、この燃料ガス予熱器
8と燃料ガス室2とは通路9,9で連結されている。
【0005】つぎにこの固体電解質型燃料電池スタック
の作用を説明する。空気は空気予熱器6の電気ヒータ6
a,6aで予熱されて空気分配室4に供給された後、空
気分配管5内を通って単セル1内の空気流路AF中に流
される。また、燃料ガスは燃料ガス予熱器8の電気ヒー
タ8a,8aで予熱されて燃料ガス室2に供給され、単
セル1の外方に形成される燃料ガス流路GF中に流され
る。そして、燃料ガス流路GFを流れる燃料ガス中の水
素ガスと空気流路AFを流れる空気中の酸素ガスとが固
体電解質を挟んで電気化学的に反応し、単セル1に起電
力を発生させる。そして、複数の単セル1が直並列に接
続されるこの固体電解質型燃料電池スタックから必要な
電力が取り出される。なお、発電済みの高温の燃料ガス
(以下燃料排ガスという)は燃料ガス室2から外方に取
り出され、発電済みの空気排ガスも空気排ガス集合室3
から外方に取り出される。
【0006】ここで、単セル1における電気化学的反応
は約1000℃近傍で行なわれるため、空気や燃料ガス
は空気予熱器6や燃料ガス予熱器8により必要な温度
(数百度℃)まで予熱してやる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の固体電解質型燃料電池スタックでは、発電済みの燃
料排ガスや空気排ガスを高温のままこのスタック外に排
出している一方、空気や燃料ガスを電力を使用して空気
予熱器6や燃料ガス予熱器8で加熱しており、スタック
内で熱の有効利用が図られていないという問題があっ
た。
【0008】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、内部で熱の有効利用が図られる固体電解質型燃料
電池スタックを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、一端部が閉じられた筒状を成す固体
電解質の内面側に空気電極が、外面側に燃料電極がそれ
ぞれ形成された電池を複数備えるとともに、この電池の
一方の空気電極側に流される空気と他方の燃料電極側に
流される燃料ガスとをそれぞれ予熱する空気予熱手段お
よび燃料ガス予熱手段を備えた固体電解質型燃料電池ス
タックにおいて、前記空気予熱手段および燃料ガス予熱
手段のそれぞれを、中空の内管と、この内管の外側を空
間を存して覆う外管とからなる二重管構造とし、空気予
熱手段の二重管構造部分の内外いずれか一方の空間に発
電前の空気を、いずれか他方の空間に発電済みの空気と
発電済みの燃料ガスとの内のいずれか一方をそれぞれ流
すとともに、燃料ガス予熱手段の二重管構造部分の内外
いずれか一方の空間に発電前の燃料ガスを、いずれか他
方の空間に発電済みの空気と発電済みの燃料ガスとの内
のいずれか他方をそれぞれ流し、また前記燃焼ガス予熱
手段の二重管部分のうちの発電前の燃焼ガスを流す空間
と連通し、かつ複数の前記電池の各封止端の外面部と対
向した位置に燃料ガスを導通させるためのガス通路がそ
れぞれ設けられた燃料ガス分配室を備えていることを特
徴としている。
【0010】
【作用】複数の電池の一方の電極側に流される空気と、
他方の電極側に流される燃料ガスとが、固体電解質を介
して電気化学的に反応して、この複数の電池には起電力
が発生する。そしてこの電気化学的反応は一定の高温状
態で行われるため、空気と燃料ガスとは空気予熱手段お
よび燃料ガス予熱手段にてそれぞれ予熱する必要があ
る。この場合、空気予熱手段および燃料ガス予熱手段を
それぞれ、内管と外管とからなる二重管構造とし、例え
ば、この二重管構造部分の内管内に、低温の発電前の空
気または燃料ガスを流し、内管と外管との間の空間に発
電済みで高温の空気または燃料ガスを流す。したがっ
て、内管の管壁を挟んで内外で熱交換が行われて、所謂
排ガスによって空気と燃料ガスとを予熱する。なお発電
前の燃料ガスは、燃料ガス分配室に一旦流入した後、各
ガス通路から各電池の各封止端の外面部に対して吹き付
けられる。したがって燃料ガスが、各電池(燃料極)の
外面を覆った状態で電池の長さ方向に沿って流動し、そ
のため、燃料電極のほぼ全体に燃料ガスが供給される。
すなわち燃料電極に対する燃料ガスの供給の効率に優れ
ている。
【0011】
【実施例】つぎにこの発明の実施例を図面を参照して説
明する。図1はこの発明の一実施例である固体電解質型
燃料電池スタックの断面図である。このスタックでは、
円筒状の固体電解質の内側に空気電極、外側に燃料電極
がそれぞれ形成されるともに、その下端部が閉塞された
複数の円筒状単セル11を2列の状態で有している。そ
して2列の単セル11の同一列の単セル11同士はイン
ターコネクタ等を介して互いに直列に接続されており、
各列同士は互いに並列に接続されている。
【0012】単セル11はその一端部側を除きその大部
分が燃料ガス室12内に収納されており、この燃料ガス
室12内で単セル11の外方には燃料ガス流路GFが形
成されている。そしてこの燃料ガス室12の上方には単
セル11内から排出される発電済みの空気排ガスを集め
る空気排ガス集合室13が設けられ、さらにこの空気排
ガス集合室13の上方には空気分配管15に空気を分配
するための空気分配室14が設けられている。空気分配
管15は空気分配室14から空気排ガス集合室13を通
って単セル11の閉塞端近傍まで延びており、単セル1
1の空気電極とこの空気分配管15との間に形成される
空気流路AFに空気を供給するものである。
【0013】また、空気分配室14に隣接して二重管構
造となった空気予熱器16が設けられている。この空気
予熱器16は、空気排ガス集合室13から空気排ガスを
排出させる空気排ガス排出管によりその内管16aが構
成されており、空気分配室14に空気を供給する空気供
給管によりその外管16bが構成されている。また燃料
ガス室12の下方にはこの燃料ガス室12の各単セル1
1の燃料ガス流路GFに通路17aを介して燃料ガスを
分配する燃料ガス分配室17が設けられており、この燃
料ガス分配室17に隣接して二重管構造となった燃料ガ
ス予熱器18が設けられている。なお通路17aは、こ
の発明のガス通路に相当するものであり、単セル11の
図1での下端部の外面と対向した位置にそれぞれ設けら
れている。
【0014】この燃料ガス予熱器18は、燃料ガス室1
2から燃料排ガスを排出させる燃料排ガス排出管により
その内管18aが構成され、燃料ガス分配室17に燃料
ガスを供給する燃料ガス供給管によりその外管18bが
構成されている。この場合、燃料ガス室12では下方か
ら上方に燃料ガス流路GFが形成され、燃料ガス室12
からの燃料排ガスの取り出しは空気排ガス集合室13近
傍で行なわれる必要があるため、燃料ガス予熱器18の
内管18aには燃料ガス室12内でガス集合管19が連
結され、このガス集合管19が空気排ガス集合室13近
傍まで延び、そのガス取出口19aがこの空気排ガス集
合室13近傍に設けられている。なお、ガス集合管19
は燃料ガス室12から偏流なく燃料排ガスを集めるため
に各列の単セル11に沿って複数本設けてもよい。
【0015】つぎにこの固体電解質型燃料電池スタック
の作用を説明する。まず、通常運転の場合について説明
すれば、空気予熱器16の外管16b内に供給された空
気は、その内管16a内を流れる空気排ガスによって所
定温度まで加熱された後、空気分配室14に供給され、
その後空気分配管15を介して各単セル11内の空気流
路AF中に流される。また、燃料ガス予熱器18の外管
18b内に供給された燃料ガスは、その内管18a内を
流れる高温の燃料排ガスによって所定温度まで加熱され
た後、燃料ガス分配室17に供給され、その後通路17
aを介して燃料ガス室12に供給される。具体的には、
燃料ガスは各通路17aを通じて各単セル11の下端部
の外面に向けて吹き付けられ、各単セル11の外周面を
覆った状態で上昇する。
【0016】そして、燃料ガス流路GFを流れる燃料ガ
ス中の水素ガスと空気流路AFを流れる空気中の酸素ガ
スとが固体電解質を挟んで電気化学的に反応し、単セル
11に起電力が発生して、このスタックから必要な電力
が取り出される。そして、単セル11内から排出される
高温の空気排ガスは空気排ガス集合室13に集められた
後、空気予熱器16の内管16aを通って、外管16b
側の空気に熱を与えつつ冷却されてスタック外に放出さ
れる。また、燃料ガス室12内から排出される高温の燃
料排ガスはガス集合管19を通って燃料ガス予熱器18
の内管18aに集められ、この内管18aを通過中に外
管18b側の燃料ガスに熱を与えつつ冷却されてスタッ
ク外に放出される。
【0017】つぎにこの固体電解質型燃料電池スタック
をスタートアップする場合について説明する。この場
合、高温の空気排ガスや燃料排ガスは未だ生じていない
ため、空気予熱器16や燃料ガス予熱器18を使用して
空気や燃料ガスを予熱することはできない。したがっ
て、この場合はこのスタック上流側の空気ラインや燃料
ガスラインに設けられた別の熱源による空気予熱器や燃
料ガス予熱器を利用して空気や燃料ガスの予熱を行う。
この場合、空気流量や燃料ガス流量をある程度しぼり込
んで運転することができるため、上記空気予熱器や燃料
ガス予熱器は従来技術で説明したような大型のものとは
ならない。そして、高温の空気排ガスや燃料排ガスが生
じてくれば、除々に空気と燃料ガスの予熱を空気予熱器
16や燃料ガス予熱器18による予熱に切り替える。
【0018】以上のようにスタック内に備えられた空気
予熱器16や燃料ガス予熱器18を利用して、空気排ガ
スで空気を予熱し、燃料排ガスで燃料ガスを予熱するよ
うにしているため、空気や燃料ガスの予熱に別途特別な
熱源が不要となり省エネルギー化が図られるとともに、
スタック内でエネルギーの有効利用を図ることができ
る。また、空気予熱器16や燃料ガス予熱器18は二重
管構造となっていて、その内管16a,18aとして空
気排ガス排出管や燃料排ガス排出管をそのまま利用でき
るため、従来の予熱器に比べてコンパクトで低コストな
ものとなる。更に各単セル11の下端部の外面に対して
通路17aをそれぞれ対向させた構成であり、各単セル
11の外周面を覆った状態で燃料ガスを上昇させる構成
であるから、単セル11の外面の全体に燃料ガスを供給
することができる。すなわち燃料電極に対する燃料ガス
の供給効率に優れている。
【0019】なお、この固体電解質型燃料電池スタック
において、空気予熱器16の内管16a内に空気を流
し、外管16b内に空気排ガスを流すようにしてもよ
く、同様に燃料ガス予熱器18の内管18a内に燃料ガ
スを流し、外管18b内に燃料排ガスを流すようにして
もよい。さらに、空気予熱器16内の空気を燃料排ガス
で予熱し、燃料ガス予熱器18内の燃料ガスを空気排ガ
スで予熱するようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明
によれば、スタック内に備えられる空気予熱手段および
燃料ガス予熱手段をそれぞれ二重管構造とし、その二重
管の一方側に発電前の空気または燃料ガスを流すととも
に、その二重管の他方側に発電済みの高温の空気または
燃料ガスを流すようにしているため、空気および燃料ガ
スの予熱に別途特別な熱源が不要になるとともに、スタ
ック内で発電済みの空気と燃料ガスの熱の有効利用を図
ることができる。また、これらの予熱手段は二重管構造
となっているため、その内管側に配管をそのまま利用す
ることができ、スタックのコンパクト化および低コスト
化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である固体電解質型燃料電
池スタックの断面図である。
【図2】従来の固体電解質燃料電池スタックの断面図で
ある。
【符号の説明】
11 単セル 16 空気予熱器 16a 内管 16b 外管 18 燃料ガス予熱器 18a 内管 18b 外管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 武憲 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式 会社フジクラ内 (56)参考文献 特開 平4−144069(JP,A) 特開 平6−76853(JP,A) 特開 平6−13097(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 8/00 - 8/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部が閉じられた筒状を成す固体電解
    質の内面側に空気電極が、外面側に燃料電極がそれぞれ
    形成された電池を複数備えるとともに、この電池の一方
    の空気電極側に流される空気と他方の燃料電極側に流さ
    れる燃料ガスとをそれぞれ予熱する空気予熱手段および
    燃料ガス予熱手段を備えた固体電解質型燃料電池スタッ
    クにおいて、 前記空気予熱手段および燃料ガス予熱手段のそれぞれ
    を、中空の内管と、この内管の外側を空間を存して覆う
    外管とからなる二重管構造とし、空気予熱手段の二重管
    構造部分の内外いずれか一方の空間に発電前の空気を、
    いずれか他方の空間に発電済みの空気と発電済みの燃料
    ガスとの内のいずれか一方をそれぞれ流すとともに、燃
    料ガス予熱手段の二重管構造部分の内外いずれか一方の
    空間に発電前の燃料ガスを、いずれか他方の空間に発電
    済みの空気と発電済みの燃料ガスとの内のいずれか他方
    をそれぞれ流し、また前記燃焼ガス予熱手段の二重管部
    分のうちの発電前の燃焼ガスを流す空間と連通し、かつ
    複数の前記電池の各封止端の外面部と対向した位置に燃
    料ガスを導通させるためのガス通路がそれぞれ設けられ
    た燃料ガス分配室を備えていることを特徴とする固体電
    解質型燃料電池スタック。
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