JP2914286B2 - 水熱合成法による薄膜製造方法 - Google Patents

水熱合成法による薄膜製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合酸化物薄膜の製
造方法、特に水熱合成法による複合酸化物薄膜の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】複合酸化物薄膜の製造方法としては、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーア
ブレージョン法、CVD法、MOCVD法、アルコキシ
ドを用いたゾル−ゲル法等が知られている。これらのう
ち、スパッタリング法からMOCVD法までは、真空系
の大型装置が必要であり、目的とする組成を得るために
は基板を高温に保たなければならないことが多い。ま
た、ゾルーゲル法では、薄膜の結晶化のために高温での
焼成が必要となる。
【0003】このように、上記の方法では、いずれも高
温処理、具体的には概ね500℃以上まで基板を加熱す
る処理が必要となる。このため、プラスチックのような
高温加熱に弱い材料の上に直接に薄膜を形成するには大
がかりな冷却装置が必要であり実質的には実施が困難で
あった。したがって、この種の有機材料と複合酸化物と
の複合化を図る場合には、別途調製した複合酸化物薄膜
を接着剤等を用いて張り合わせる必要があり、製造工程
の複雑化を招いていた。しかも、スパッタリング法ない
しMOCVD法で製造される薄膜は一般に数百nm以下
の厚さであり、μmオーダーの薄膜を形成するのには適
さない。ゾル−ゲル法でも0.1 μm程度以上の膜を形成
する場合には、重ね塗り、焼成の繰り返しなどによって
形成した膜にひび割れが生じる可能性がある。
【0004】複合酸化物薄膜の製造方法として水熱合成
法も行なわれている(例えば、特開平4-342489号)。こ
れは、加圧条件下、複数の金属塩を溶解した水性溶液中
に基板を保持し100〜160℃程度に加熱することに
より基板上に前記複数の金属を構成元素として含む複合
酸化物薄膜を合成する方法であり、高温に弱い材料をも
基板に用いることができる。しかし、水熱合成法では膜
形成の再現性が必ずしも十分ではなく、1枚の薄膜を形
成する場合でも部分的に膜厚等が一定しないという問題
があり、広い面積に亘って均質な膜を形成することは困
難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は基板上に水熱合成法によって複合酸化物の薄膜を形成
する方法において、工業的に低コストで再現性良く、か
つ均質な膜を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水熱合成
法における膜形成の均一化、安定化方法について検討し
た。その結果、水熱合成の際に鉛直方向に振動を与える
と均一な膜が安定的に合成されることを見出し、上記課
題を解決するに至った。すなわち、本発明は以下の薄膜
製造方法を提供する。 (1) 加圧条件下、複数の金属塩を溶解した水性溶液
中に基板を保持し加熱することにより基板上に複合酸化
物の薄膜を形成する水熱合成法において、水熱合成時に
鉛直方向に1Hz以上の振動を与えることを特徴とする
薄膜製造方法。 (2) 複合酸化物が鉛を含有するものである前記1に
記載の薄膜製造方法。 (3) 鉛イオン及びジルコニウムイオンを含有するア
ルカリ性混合水溶液中に表面にチタン成分を有する基板
を保持し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつつ12
0〜180℃の温度に保持し鉛を含有する複合酸化物の
薄膜を形成する前記2に記載の薄膜製造方法。 (4) 圧電特性を有する薄膜を形成する前記3に記載
の薄膜製造方法。
【0007】(5) 水熱合成を結晶核生成と結晶成長
の2段階で行ない、その少なくともいずれかの段階で鉛
直方向に1Hz以上の振動を与える前記1または2に記
載の薄膜製造方法。 (6) 鉛イオン及びジルコニウムイオンを含有するア
ルカリ性混合水溶液中に表面にチタン成分を有する基板
を保持し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつつ12
0〜180℃の温度に保持して表面にチタン成分を有す
る基板上に結晶核を生成させた後、鉛イオン、ジルコニ
ウムイオン及びチタニウムイオンを含有するアルカリ性
混合水溶液中で鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつつ
100〜130℃の温度に保持してチタン酸ジルコン酸
鉛薄膜を形成する前記1または2に記載の薄膜製造方
法。 (7) 圧電特性を有する薄膜を形成する前記5または
6に記載の薄膜製造方法。 (8) 鉛直方向に3Hz以上の振動を与えることを特
徴とする前記1乃至7のいずれかに記載の薄膜製造方
法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の薄膜製造方法は、水熱合
成法の一般的な手順に従って行なわれる。 [原料水溶液の調製]水熱合成法では、はじめに、原料
となる各種の金属塩を水に溶解または半溶解する。用い
る金属塩は、合成しようとする複合酸化物の構成元素で
ある金属陽イオンと適当な陰イオンとの組合わせであ
る。一般的には、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、次亜塩素酸
塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、シュ
ウ酸塩等の有機酸塩が用いられる。無機塩濃度は、各化
合物について0.05〜5.0 mol/l程度が好ましい。濃
度が低すぎると膜形成の効率が低下したり、加熱加圧時
でも無機酸塩類が充分に溶解しないなどの問題がある。
また、濃度が高すぎると溶質イオンの溶解量が高まり、
膜の収量が低下したり、均一な膜厚のものが得られにく
いという問題がある。pHは重要な因子であり、合成し
ようとする複合酸化物により決まる。水酸化ナトリウ
ム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等を用いてア
ルカリ性領域に調整される。
【0009】[水熱合成]水熱合成は上記の原料水溶液
と基板をオートクレーブに装入し加圧下に加熱して行な
う。加圧・加熱することにより常温常圧下では水に溶け
にくい物質を溶解させ、反応速度を増大させて、結晶の
成長を促進することができる。加熱温度は、原料となる
金属塩の種類にもよるが通常は110〜180℃であ
る。密閉容器中で加熱することにより加圧も同時に行な
われる。オートクレーブ内圧は一般には温度によって決
まるが、積極的に加圧してもよく 1.4〜10.3気圧程度が
好ましい。
【0010】基板は上記の加熱加圧条件に耐え得るもの
であればよい。具体的には、金属、セラミックス及びフ
ッ素樹脂やポリイミド等の耐熱性有機材料が挙げられ
る。基板はその表面に水熱合成しようとする複合酸化物
の構成元素のうち少なくとも1種類の金属元素成分を含
むことが好ましい。すなわち、目的とする複合酸化物の
構成元素である金属単体、その金属を含む合金、もしく
はその金属元素の化合物からなる基板または表面をこれ
らの材料で被覆された基板が好ましい。例えば、鉄系複
合酸化物を目的とする場合には、ステンレスや鉄、鉄メ
ッキされた、あるいは酸化鉄や水酸化鉄等で表面が被覆
された基板が好適に用いられる。また、アルミニウム
系、チタン系、鉛系複合酸化物を目的とする場合には、
それぞれ、アルミニウムやアルミナあるいはこれらで表
面被覆された基板、チタンやチタニアあるいはこれらで
表面被覆された基板、鉛や鉛合金あるいはこれらの金属
や酸化鉛等で表面被覆された基板が好適に用いられる。
基板の形状は特に限定されない。基板の厚みも特に限定
されない。
【0011】処理に先立ち金属基板はアセトン等で、有
機材料等は蒸留水等で洗浄される。基板の比重、薄さや
大きさによっては、適当な手段によりオートクレーブ内
に基板を固定する。オートクレーブ内に複数の枠を設
け、同時に複数枚の基板を収容できるようにしてもよ
い。本発明では水熱合成中、オートクレーブを鉛直方向
(重力方向)に振動させる。振動の周波数は1Hz以
上、好ましくは3Hz〜30Hzとする。1Hz未満で
は本発明の効果が十分に発揮されない。振動周波数が高
くなると効果が飽和する上、オートクレーブ内の気体が
気泡となって基板上に付着する等、かえって薄膜、の均
一性が低下する。
【0012】加熱、加圧及び振動を同時に行なうために
は、例えば図1に示すようなオイルバスを使用すればよ
い。図中、オートクレーブ1は、加熱手段(図示してい
ない)と撹拌手段2を備えた耐熱容器3内に上下に可動
のステージ4を介して支持されている。水熱合成に際し
ては容器内に満たされた熱媒体(例えばシリコーンオイ
ル)5によってオートクレーブ1の加熱が行なわれる。
オートクレーブの蓋部6は、やはり上下に可動の握持手
段7により把持されており、可動のステージ4及び/ま
たは握持手段7の上下動によりオートクレーブ全体が垂
直方向に振り動かされる。振動を与える手段としては、
電気モータやエアーモータが使用できる。オイルバスに
代えて電気炉等を用いてもよい。
【0013】本発明の水熱合成法は1段階で行なう方
法、及び結晶核生成と結晶成長の2段階に分けて行なう
方法で実施することができる。本発明の水熱合成法を適
用する好ましい系として圧電素子材料に有用なチタン酸
ジルコン酸鉛の薄膜を形成する系を例に挙げて説明す
る。この場合、基板としてチタンやチタニアあるいは表
面にチタンあるいはチタン成分で表面が被覆された基板
を使用し、チタン成分を含まない原料を用いて最初に結
晶核を生成させた後、ついでチタン成分をも含む原料を
用いて水熱合成を進める2段階法により好ましい性能の
膜を得ることができる。
【0014】すなわち、一般に、結晶核生成は、基板表
面の金属元素に対応する化合物を除いた残余の組合わせ
からなる複合酸化物生成原料を用いて水熱合成すること
により容易に行なうことができる。この場合、液相中で
は複合酸化物の構成元素の一部が欠けており、基板表面
近傍でのみ複合酸化物の構成イオンがすべて揃うため、
複合酸化物の析出は基板表面でのみ起こるからである。
しかる後、すべての原料化合物を用いて水熱合成するこ
とにより結晶を成長させる。かくして得られる薄膜は基
板との接合性が高いという特長をも有している。
【0015】さらに、本発明者らはチタン成分を含まな
い原料を用いる最初の工程のみ(1段階法)でも、鉛直
方向に振動を与えつつ適当な温度及び時間処理すること
により圧電特性を示す鉛を含有する複合酸化物の薄膜が
形成されることを確認した。
【0016】すなわち、本発明の好ましい実施態様の1
つとして、鉛イオン及びジルコニウムイオンを含むアル
カリ性混合水溶液中にチタン成分を表面に有する基板を
保持し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつつ120
〜180℃の温度に保持し圧電特性を有する鉛系複合酸
化物薄膜を形成する1段階法による製造方法が挙げられ
る。具体例で説明すると、まず、 0.1〜1.0 mol/l
の硝酸鉛(Pb(NO32)、0.05〜2.0 mol/lの
オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2)及び 2.5〜 8.
0mol/lの水酸化カリウム(KOH)を含む混合水
溶液を用意し、上記溶液及びTi基板をオートクレーブ
に装入し、鉛直方向に1Hz以上、好ましくは3〜30
Hzで振動させつつ120〜180℃の温度に12〜7
2時間保持することにより基板上に圧電特性を有する鉛
を含有する複合酸化物膜を生成させることができる。
【0017】また、本発明の他の好ましい実施態様とし
て、鉛イオン及びジルコニウムイオンを含有するアルカ
リ性混合水溶液中に表面にチタンを有する基板を保持
し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつつ120〜1
80℃の温度に保持して基板上に結晶核を生成させた
後、基板を取り出し、洗浄、乾燥し、ついで鉛イオン、
ジルコニウムイオン及びチタンニウムイオン含むアルカ
リ性混合水溶液中で鉛直方向に1Hz以上の振動を与え
つつ100〜130℃の温度に保持してチタン酸ジルコ
ン酸鉛薄膜(PZT膜)を形成する2段階法による製造
方法が挙げられる。
【0018】具体例で説明すると、まず、 0.1〜1.0 m
ol/lの硝酸鉛(Pb(NO32)、0.05〜2.0 mo
l/lのオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2)及び
2.5〜 8.0mol/lの水酸化カリウム(KOH)を含
む混合水溶液を用意し、上記溶液及びTi基板をオート
クレーブに装入し、鉛直方向に1Hz以上、好ましくは
3〜30Hzで振動させつつ120〜180℃の温度に
12〜72時間保持して基板上に結晶核を生成させる。
【0019】処理終了後、基板を取り出し、超音波洗浄
及び乾燥の後、 0.2〜1.2 mol/lの硝酸鉛(Pb
(NO32)、0.05〜2.0 mol/lのオキシ塩化ジル
コニウム(ZrOCl2), 0.1〜2.0 mol/lの四
塩化チタン(TiCl4)及び 1.1〜5.0 mol/lの
水酸化カリウム(KOH)を含む混合水溶液とともに基
板をオートクレーブ中に装入し、鉛直方向に1Hz以
上、好ましくは3〜30Hzで振動させつつ100〜1
30℃の温度で12〜96時間保持してPZT圧電膜を
形成する。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は
下記の例に限定されるものではない。実施例1 直径7cmのテフロン内張りオートクレーブ容器にPb
(NO32(10.00 mmol)、ZrOCl2(4.8 m
mol)及びKOH(136.8 mmol)を含む混合水溶
液30ml、及びアセトンを用いて洗浄した厚さ50μ
m(10mm×30mm)のTi基板を装入した。一
方、図1に示すようにオートクレーブ載置用の可動ステ
ージ4を備えたステンレス槽3内にシリコーンオイル5
を入れておき、前記のオートクレーブを、密閉後、握持
手段7によってシリコーンオイルに浸漬し、重力と平行
方向に3Hz以上で振動させつつ150℃で48時間か
けて水熱合成処理を行なった。
【0021】水熱合成後、基板を取り出して蒸留水にて
超音波洗浄し乾燥後、金属顕微鏡で断面観察により測定
したところ、チタン基板の表及び裏面それぞれに厚さ4
μmのチタン酸ジルコン酸鉛あるいはジルコン酸鉛の結
晶質の膜が均質に析出しているのが観察された。この基
板の両面に銀ペーストにて電極を形成し、一端部を電極
付き治具にて固定し、他方自由端として±1.0 Vの交流
電圧を加えたところ自由端側で振幅が観察された。有効
長(自由長)20mmの際の一次共振周波数(91.5H
z)における振幅は、自由端先端で約200μmであっ
た。この結果より、合成された膜が圧電特性をもつこと
は明白である。
【0022】実施例2 直径7cmのテフロン内張りオートクレーブ容器にPb
(NO32(120mmol)、ZrOCl2(58.3m
mol)及びKOH(1642mmol)を含む混合水溶液
360ml、及びアセトンを用いて洗浄した厚さ50μ
m(50mm×50mm)のTi基板を装入した。一
方、図1に示すようにオートクレーブ載置用の可動ステ
ージ4を備えたステンレス槽3内にシリコーンオイル5
を入れておき、前記のオートクレーブを、密閉後、握持
手段7によってシリコーンオイルに浸漬し、重力と平行
方向に3Hz以上で振動させつつ150℃で48時間か
けて結晶核を生成させた。
【0023】基板を取り出し蒸留水及びアセトンにて超
音波洗浄を行なったところ、基板上にチタン酸ジルコン
酸鉛またはジルコン酸鉛の結晶質で均質な膜が形成され
ていた。これを、Pb(NO32(119mmol)、
ZrOCl2(51.4mmol)及びTiCl4(53.9mm
ol)及びKOH(787.2 mmol)を含む混合水溶液
360mlとともに、再度オートクレーブ中に装入し、
重力方向に3Hz以上で振動させつつ水熱合成処理を1
20℃、48時間行なった。水熱合成後、基板を取り出
し超音波洗浄し乾燥後、金属顕微鏡で断面観察により測
定したところ、チタン基板の表及び裏面それぞれに厚さ
9μmのZr:Tiのモル比が52:48であるチタン
酸ジルコン酸鉛(PZT)結晶が均一に析出しているの
が観察された。この基板上にイオンスパッタ装置を用い
てRFスパッタ法にて白金電極を形成し、しかる後にカ
ッターにて基板より8mm×45mmの素子を切り出し
た。一端部を電極付き治具にて固定し、他方を自由端と
して±1.0 Vの交流電圧を印加したところ自由端側で振
幅が観察された。有効長(自由長)40mmの際の一次
共振数(41.4Hz)での振幅は自由端先端で約2.1 mm
であった。
【0024】実施例3 実施例2と同様の実験を約100mgのTi基板を用い
同一条件で10回繰り返したところ、膜形成による重量
増加率31.69 %(平均値)で重量増加率の標準偏差は6.
87であった。
【0025】比較例1 水熱合成処理を行なう際、振動を与えずオートクレーブ
を静置したほかは実施例1と同様にして実験を行なった
ところ、ごく一部のみにチタン酸ジルコン酸鉛あるいは
ジルコン酸鉛の析出がまばらにみられた。この基板の両
側に析出した結晶は膜を形成しているとはいえないくら
い不均質で、かつごく僅かなものであった。このため電
極を形成して電圧をかけて圧電特性を測定することはで
きず、明らかに圧電特性を有さないものであった。
【0026】比較例2 振動方向を重力に対して垂直な方向(水平方向)とした
他は実施例2と同様にしてPZT膜の生成を行なった。
水熱合成後、基板を取り出し超音波洗浄し乾燥後、膜厚
を測定したところ、Ti基板の表及び裏面それぞれにZ
r:Tiのモル比が52:48であるPZT結晶が析出
していたが、膜厚は一定せず、0.5 〜9μmに及んでい
た。実施例2と同様の方法により電極を形成して圧電特
性の測定を試みた。しかし、膜厚のばらつきが大きく±
0.1 V以上の交流電圧をかけることはできなかった。ま
た、電圧に追従する動きとならず、膜の動きにうねりも
見られ、圧電特性はかなり劣っていた。
【0027】比較例3 振動方向を水平方向とした他は実施例3と同様の実験を
約100mgのTi基板を用い同一条件で10回繰り返
したところ、膜形成による重量増加率は13.79%(平均
値)で重量増加率の標準偏差は14.10 であった。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、大面積で、かつ
厚みの均一な複合酸化物薄膜を比較的簡単な方法により
安定的に製造することができる。また、焼成等の高温で
の処理を必要としないため、基板として有機材料を用い
ることもできる。さらに分極処理を施さずとも圧電特性
を示す膜を再現性よく得ることができる。このため、例
えば、圧電モノモルフや圧電バイモルフ等の圧電素子、
積層型圧電アクチュエータ、積層型コンデンサ等、様々
な複合材料の製造に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法による複合酸化物薄膜を製造す
るのに用いる装置の概略を表わす模式図。
【符号の説明】
1 オートクレーブ 2 撹拌手段 3 耐熱容器 4 可動ステージ 5 熱媒体 6 オートクレーブ蓋部 7 握持手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 犬伏 正明 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 大場 陽子 神奈川県横浜市港北区師岡町321番地の 2 (56)参考文献 特開 平3−218926(JP,A) 特開 平4−342489(JP,A) 特開 平6−206787(JP,A) 特開 昭60−226413(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 1/00 - 57/00 C30B 1/00 - 35/00 H01L 41/187 H01L 41/24

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧条件下、複数の金属塩を溶解した水
    性溶液中に基板を保持し加熱することにより基板上に複
    合酸化物の薄膜を形成する水熱合成法において、水熱合
    成時に鉛直方向に1Hz以上の振動を与えることを特徴
    とする薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】 複合酸化物が鉛を含有するものである請
    求項1に記載の薄膜製造方法。
  3. 【請求項3】 鉛イオン及びジルコニウムイオンを含有
    するアルカリ性混合水溶液中に表面にチタン成分を有す
    る基板を保持し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつ
    つ120〜180℃の温度に保持し鉛を含有する複合酸
    化物の薄膜を形成する請求項2に記載の薄膜製造方法。
  4. 【請求項4】 圧電特性を有する薄膜を形成する請求項
    3に記載の薄膜製造方法。
  5. 【請求項5】 水熱合成を結晶核生成と結晶成長の2段
    階で行ない、その少なくともいずれかの段階で鉛直方向
    に1Hz以上の振動を与える請求項1または2に記載の
    薄膜製造方法。
  6. 【請求項6】 鉛イオン及びジルコニウムイオンを含有
    するアルカリ性混合水溶液中に表面にチタン成分を有す
    る基板を保持し、鉛直方向に1Hz以上の振動を与えつ
    つ120〜180℃の温度に保持して表面にチタン成分
    を有する基板上に結晶核を生成させた後、鉛イオン、ジ
    ルコニウムイオン及びチタニウムイオンを含有するアル
    カリ性混合水溶液中で鉛直方向に1Hz以上の振動を与
    えつつ100〜130℃の温度に保持してチタン酸ジル
    コン酸鉛薄膜を形成する請求項1または2に記載の薄膜
    製造方法。
  7. 【請求項7】 圧電特性を有する薄膜を形成する請求項
    5または6に記載の薄膜製造方法。
  8. 【請求項8】 鉛直方向に3Hz以上の振動を与えるこ
    とを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の
    薄膜製造方法。
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JPH09217178A (ja) 1997-08-19

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