JP2911923B2 - 湾曲操作装置用アングル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、内視鏡等の湾曲操作装置に用いられるア
ングルに関するものである。

［従来の技術］ 内視鏡は一般に、その操作部から柔軟な挿入部が延び
ており、挿入部の先部には湾曲部が設けられている。湾
曲部の先端には先端構成部が設けられており、先端構成
部には観察窓、照明窓、鉗子口等が設けられている。操
作部には操作ダイヤルが設けられており、この操作ダイ
ヤルを操作して、内部に挿通されている操作ワイヤを引
っ張り、この操作ワイヤに連繋された湾曲部を湾曲させ
るようになっている。これによって先端構成部を観察し
たい方向へ向けることができる。

上記内視鏡の湾曲部には湾曲操作装置用アングルが用
いられている。この種のアングルには、実公昭52-9274
号公報に開示されているように、アングル本体がコイル
から構成されたものがある。このアングルにおいてはコ
イルの内側の空洞部に、観察系や照明系としての光ファ
イバー束、及び鉗子チャンネル等とともに上記操作ワイ
ヤが挿通されており、この操作ワイヤを基端側に向かっ
て引っ張ることによりコイルが湾曲するようになってい
る。

上記アングルの場合、コイルの湾曲方向を特定できる
ように、コイル内側の空洞部に規制部材を設けている。
規制部材は薄くて細長い平板状をなし、その長手方向に
対して湾曲自在になっている。そして、規制部材は、そ
の幅方向をコイルの径方向に沿わせ、幅方向の両端をコ
イルの内面に掛止させており、長手方向をコイルの軸線
方向に沿わせて、コイルのほぼ全長に亙って取り付けら
れている。操作ワイヤはこの規制部材によって仕切られ
た両側の空洞に１本づつ挿通されている。この規制部材
をコイルに対して上記姿勢に配したことにより、コイル
は規制部材の幅方向に対しては湾曲することができなく
なり、これに交差する方向に対してのみ湾曲可能とな
る。

［発明が解決しようとする課題］ 上記従来の湾曲操作装置用アングルにおいては、上記
規制部材を設けたことによりコイルの湾曲方同を特定す
ることができるようにはなったものの、コイル内側の空
洞部が規制部材により二分されて、互いに独立した半円
形断面の空洞が左右に二つ形成されることになるので、
コイルの内側に挿通させるべき前記光ファイバー束や鉗
子チャンネル等がその太さに大きな制約を受けるという
不具合があった。又、上記各空洞の断面形状が半円形な
ためデッドスペースが生じ易く、コイル内側の空洞を有
効に利用することができないという欠点もあった。

この発明は上述従来の技術の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、湾曲方向を特定
できるとともに、コイルの内部に挿通させるべきものの
太さに対する制約を極力低く抑えた湾曲操作装置用アン
グルを提供しようとするところにある。

［課題を解決するための手段］ この発明は上記目的を達成するためになされたもの
で、その要旨は、内部が断面略円形の空洞部とされた湾
曲自在なアングル本体を有し、このアングル本体の上記
空洞部に挿通された少なくとも一本の操作ワイヤをその
基端側へ向かって引っ張ることによってアングル本体が
湾曲せしめられる湾曲操作装置用アングルにおいて、上
記アングル本体がコイルからなり、このコイルには、径
方向に対向する部位にそれぞれ連結体が配置され、この
連結体に対して周方向に90°離れた位置に上記操作ワイ
ヤが配置され、各連結体は、コイルの軸線方向に延び、
その長手方向に配列された複数の凹部を有し、これら凹
部にコイルの線材を挿入することにより、コイルを軸線
方向に伸縮不能に連繋することを特徴とする湾曲操作装
置用アングルにある。

また、他の要旨は、内部が断面略円形の空洞部とされ
た湾曲自在なアングル本体を有し、このアングル本体の
上記空洞部に挿通された少なくとも一本の操作ワイヤを
その基端側へ向かって引っ張ることによってアングル本
体が湾曲せしめられる湾曲操作装置用アングルにおい
て、上記アングル本体がコイルからなり、このコイルに
は、径方向に対向する部位にそれぞれ連結体としての紐
が配置され、この紐に対して周方向に90°離れた位置に
上記操作ワイヤが配置され、各紐は、コイルの軸線方向
に延び、コイルの線材をくくることにより、コイルを軸
線方向に伸び不能に連繋することを特徴とする湾曲操作
装置用アングルにある。

［作用］ コイルは、その周方向を部分的に、コイルの径方向に
対向する部位においてそれぞれの側でコイルの軸線方向
に伸縮不能に連繋されているので、上記同一径方向に湾
曲することはできず、これと交差する方向にのみ湾曲す
ることができる。したがって、コイルの内部に規制部材
がなくても、コイルの湾曲方向を特定することができ
る。

又、コイルの内部が仕切られていないので、空洞部が
断面円形のまま利用することができ、コイルの内部に鉗
子チャンネル等挿通させるべきものがある場合に、この
挿通させるべきものの太さに対する制約が従来よりも小
さくなる。

［実施例］ 以下、この発明の実施例を第１図から第６図までの図
面に基づいて説明する。尚、この実施例における湾曲操
作装置用アングルは、内視鏡の湾曲部に使用される態様
である。

第１図は湾曲操作装置用アングル１（以下、アングル
１と略称する。）の第１実施例の外観正面図であり、第
２図は部分拡大断面図である。

湾曲操作装置用アングル１のアングル本体は極めて柔
軟で湾曲自在なコイル２で構成されており、コイル２の
内部は断面円形の空洞部３となっている。このコイル２
において、その中心を挟んで径方向に対向する部位に
は、その軸線方向の全長に亙って連結体４が１本ずつ取
り付けられている。詳述すると、連結体４は厚さが薄く
幅の狭い金属製の帯板を曲げ加工して形成されたもので
あり、その縦断面形状は第２図に示すように、コイル２
を構成する線材2aの外径より若干大きい曲率半径の略半
円状の凹部4aを所定等間隔に多数配列したような形状を
なしている。各連結体４はコイル２の径方向に互いに対
向して位置し、コイル２の外側から被せられ、各凹部4a
にコイル２の線材2aを挿入させている。そして、連結体
４は各凹部4aにおいて線材2aにスポット溶接により固定
されている。尚、連結体４の固定方法は弾性接着剤やロ
ウ付け等を用いても構わない。

コイル２に上記連結体４を取り付けたことによって、
この連結体４を取り付けた部位においてコイル２はその
軸線方向に伸縮不能となる。ただし、連結体４が取り付
けられていない部位においてはコイル２は伸縮が可能で
ある。その結果、コイル２は第１図において左右方向へ
は湾曲することができず、紙面と直交する方向へのみ湾
曲可能となる。つまり、連結体４は、従来の湾曲操作装
置用アングルにおいてコイルの空洞部に設けた規制部材
の代わりをなす。

上記コイル２の先端は先端構成部のフレーム10に連結
され、コイル２の基部は内視鏡の挿入部の先端（図示せ
ず。）に連結されている。

上記コイル２の空洞部３には、観察系としての光ファ
イバー束や、照明系としての光ファイバー束や、鉗子チ
ャンネル等（いずれも図示せず。）が挿通されるが、こ
の空洞部３は内部が仕切られておらず円形の断面形状の
ままであるので、上記挿通すべきものの太さに対する制
約が従来に比して非常に小さくなる。又、総断面積が同
じであれば、断面半円形の空洞が二つの場合よりも、断
面円形の上記空洞部３の方がデッドスペースが少なくな
り、空洞部３を極めて有効に活用することができる。

上記コイル２の空洞部３には２本の操作ワイヤ5,5が
挿通されている。尚、図面では図示の都合上、一方の操
作ワイヤ５のみ表示している。各操作ワイヤ５は、連結
体４に対してコイル２の周方向へ90°離間した位置に配
置されており、互いに対向している。各操作ワイヤ５の
先端は上記先端構成部のフレーム10に連結されている。

上述構成のアングル１においては、いずれか一方の操
作ワイヤ５をその基端側へ引っ張ることにより、コイル
２を第１図において紙面と直交する方向であって、引き
操作をした操作ワイヤ５が位置する側へ湾曲させること
ができる。つまり、連結体４の存在はコイル２に湾曲の
方向性を付与することとなる。したがって、コイル２の
湾曲方同を特定することができ、内視鏡の先端構成部を
所望の方向へ向けることができる。

第３図は上記アングル１を湾曲させた場合のコイル２
の部分断面図であり、視点を第１図のところからコイル
２の周方向へ90°変えて見たものである。

尚、上述実施例は、アングル１が一平面上において真
っすぐな状態から両側へ湾曲可能とされた所謂二方向ア
ングルに採用した例であるが、この考案は、アングルが
真っすぐな状態から下方の側へのみ湾曲可能な所謂一方
向アングルにも適用可能である。その場合には操作ワイ
ヤ５は一本でよい。

更に、この考案は、アングルを立体的に全方向に湾曲
させることができる所謂全方向アングルに応用すること
も可能である。第４図はこの全方向アングル１の部分外
観斜視図である。前記二方向アングル１の場合には、連
結体４をコイル２の径方向の同じ部位にコイル２の全長
に亙って一列に配置したが、この全方向アングル１の場
合には、連結体４のコイル２の径方向に沿う対向方向
を、コイル２の軸線方向に沿って所定寸法毎に、コイル
２の周方向に90°ずつ変えている。又、図面では省略し
ているが操作ワイヤもコイル２の周方向に90°間隔で計
４本配されている。コイル２は第４図において、Ａ部及
びＣ部ではＹ方向へ湾曲可能であり、Ｂ部及びＤ部では
Ｘ方向へ湾曲可能となるので、これを組み合わせること
により全方向的に湾曲が可能となる。

第５図は他の実施例におけるアングル１の部分拡大断
面図である。この実施例ではコイル２と連結体４の連結
手段が異なっている。即ち、第１実施例ではスポット溶
接等の接合手段により両者を連結しているが、この実施
例では嵌合により連結している。そのために、連結体４
において隣接する凹部4a同士が掛止円弧部4bによってつ
ながっており、隣接する掛止円弧部4b間の隙間寸法がコ
イル２の線材2aの外径より若干狭くなっている。そし
て、連結体４の隣接する掛止円弧部4b,4bを弾性に抗し
て広げながら、コイル２の線材2aを押し入れ、嵌合させ
ている。

又、第６図は更に別の実施例におけるアングル１の部
分拡大断面図であり、この実施例の場合には連結体が紐
６で構成されている。コイル２はその径方向に対向する
部位をそれぞれの側において紐６によってくくられるこ
とにより、その部位がコイル２の軸線方向へ伸縮不能に
連繋されている。

上記第５図態様のアングル１も第６図態様のアングル
１も、上述以外の構成、作用、効果については第１実施
例と同様であるので、その説明は省略する。又、これら
態様のアングル１も全方向アングルへの応用が可能であ
る。

尚、上述の各アングル１では、従来のアングルにおい
てコイルの内部に設けていた規制部材がないため、湾曲
させた場合にコイル２が若干ねじれ易くなる傾向にあ
る。このねじれが生じては支障がある場合には、コイル
２の外側をブレードで被覆すればこれを防止することが
できる。

この発明は上述実施例に制約されず種々の態様が採用
可能である。

例えば、連結体の形状は上述以外のものであってもよ
いし、コイルと連結体との連結手段も上述以外の手段を
採用してもよい。

又、上述実施例はアングルを内視鏡の湾曲部に用いた
態様であるが、カテーテルに適用することも可能であ
る。

［発明の効果］ 以上説明したように、請求項1,2の発明は、以下に記
載される優れた効果を奏する。

コイルは、径方向に対向する２つの部位において、軸
線方向に伸縮不能または伸び不能に連繋されていること
により、上記同一径方向に湾曲することはできず、これ
と交差する方向にのみ湾曲することができるようにな
り、コイルの湾曲方向を特定することができるという効
果が奏される。

又、コイルの内部が仕切られておらず、コイルの内部
が断面略円形のままなので、コイルの内部に鉗子チャン
ネル等挿通させるべきものがある場合には、挿通させる
べきものの太さに対する制約が従来よりも小さくなると
いう優れた効果が奏される。

さらに請求項１の発明では、連結体の凹部にコイルの
線材を挿入することによい、コイルの連携を確実なもの
にすることができる。

また、請求項２の発明では、紐でコイルの線材をくく
ることにより、コイルの連携を確実なものにすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第６図までの図面はこの発明の実施例を示す
ものである。第１図から第３図は第１実施例の湾曲操作
装置用アングルであって、第１図はその部分正面図、第
２図は部分拡大断面図、第３図は湾曲状態を示す部分断
面図であり、第４図はこれを全方向アングルに応用した
場合の外観斜視図である。又、第５図、第６図はそれぞ
れ他の実施例の第２図に相当する部分拡大断面図であ
る。 １……湾曲操作装置用アングル、２……コイル（アング
ル本体）、３……空洞部、４……連結体、５……操作ワ
イヤ、６……紐（連結体）。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部が断面略円形の空洞部とされた湾曲自
   在なアングル本体を有し、このアングル本体の上記空洞
   部に挿通された少なくとも一本の操作ワイヤをその基端
   側へ向かって引っ張ることによってアングル本体が湾曲
   せしめられる湾曲操作装置用アングルにおいて、 上記アングル本体がコイルからなり、このコイルには、
   径方向に対向する部位にそれぞれ連結体が配置され、こ
   の連結体に対して周方向に90°離れた位置に上記操作ワ
   イヤが配置され、 各連結体は、コイルの軸線方向に延び、その長手方向に
   配列された複数の凹部を有し、これら凹部にコイルの線
   材を挿入することにより、コイルを軸線方向に伸縮不能
   に連繋することを特徴とする湾曲操作装置用アングル。
2. 【請求項２】内部が断面略円形の空洞部とされた湾曲自
   在なアングル本体を有し、このアングル本体の上記空洞
   部に挿通された少なくとも一本の操作ワイヤをその基端
   側へ向かって引っ張ることによってアングル本体が湾曲
   せしめられる湾曲操作装置用アングルにおいて、 上記アングル本体がコイルからなり、このコイルには、
   径方向に対向する部位にそれぞれ連結体としての紐が配
   置され、この紐に対して周方向に90°離れた位置に上記
   操作ワイヤが配置され、 各紐は、コイルの軸線方向に延び、コイルの線材をくく
   ることにより、コイルを軸線方向に伸び不能に連繋する
   ことを特徴とする湾曲操作装置用アングル。