JP3542835B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、操作ワイヤを遠隔的に牽引することにより任意に屈曲される湾曲部の先端に先端部本体が連結された内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の湾曲部としては、短筒状に形成された節輪を隣り合う節輪と回動自在にリベットなどで多数連結した構造が広く用いられているが、そのような構造は部品点数が多く、しかも組み立てに大きな工数がかかることから、製造コストが非常に高くなってしまう欠点がある。
【0003】
そこで、湾曲部材として挿入部可撓管と同じような一つながりの螺旋管を用いたものがあるが、操作ワイヤを牽引することによって湾曲部を屈曲させるには、操作ワイヤの牽引によって湾曲部が軸方向に縮まないようにする必要がある。
【0004】
そこで従来は、湾曲部が縮もうとするとその内部に挿通されたイメージガイドファイババンドルが突っ張るようにして湾曲部の縮みを抑制している。そして、そのような湾曲部内に、処置具類を挿通するための処置具挿通チャンネル等を湾曲部の軸線と平行方向に配置し、処置具類が観察対物光学系の光軸と平行に突出されるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようにイメージガイドファイババンドルによって湾曲部の縮みを抑制しようとすると、湾曲部を屈曲させる度にイメージガイドファイババンドルに大きな力がかかって次第にファイバが折れ、観察画面中に黒点が増加してしまう問題がある。
【0006】
また、処置具類が観察対物光学系の光軸と平行に突出されると、処置をすべき患部を観察画面の中央にもってきても処置具で狙撃することができないので、処置を行う際の内視鏡及び処置具の操作をなかなか円滑に行うことができない。
【0007】
そこで本発明は、製造コストが安く且つ内蔵物の破損が発生しない湾曲部を有し、しかも処置具類の狙撃性の優れた内視鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の湾曲部は、可撓性と軸方向への伸縮性とを有する管状に形成された湾曲部材をその先端部分に連結された操作ワイヤを後方から牽引することにより屈曲させるようにした湾曲部を有し、観察対物光学系と処置具突出口とが設けられた先端部本体を上記湾曲部の先端に連結した内視鏡において、可撓性があって耐圧縮性に富んだチューブからなる処置具挿通チャンネルを上記湾曲部材の先端付近と後端付近において各々固定すると共に、その処置具挿通チャンネルの先端開口部付近の軸線の延長線と上記観察対物光学系の光軸の延長線とが前方で交差するようにしたことを特徴とする。
【0009】
【実施例】
図面を参照して実施例を説明する。
図1ないし図3は、本発明を前方視型の内視鏡に適用した実施例を示しており、図1は側面断面図、図2は正面図、図3はIII−III断面図である。
【0010】
図1に示されるように、可撓性のある挿入部10の先端部分に湾曲部20が連結されていて、その湾曲部20の先端に先端部本体1が連結されている。各部分の外径はほぼ同じ太さに形成されている。
【0011】
挿入部10は、金属製の螺旋管11の外周に金属細線を編組した網状管12を被覆し、さらにその外面を可撓性のあるポリウレタン樹脂チューブ13で被覆して形成された可撓管で外装されている。
【0012】
図2に示されるように、先端部本体1の先端面には、ほぼ中央部分に処置具突出口2が配置されていて、その上方に観察窓3が配置され、左右に照明窓4が配置されている。
【0013】
図1に示されるように、観察窓3内には観察光学系の対物レンズ5が固着され、その対物レンズ5による観察像の結像位置に、イメージガイドファイババンドル6の入射端面が配置されていて、観察光軸100は真っ直ぐに前方を向いている。また、二つの照明窓4内には、観察範囲を照明するためのライトガイドファイババンドル8が配置されている。
【0014】
イメージガイドファイババンドル6とライトガイドファイババンドル8は、先端部分が先端部本体1に固定されていて、湾曲部20内から挿入部10内に引き通されている。
【0015】
また、処置具突出口2に連通して設けられた処置具挿通チャンネルチューブ9も、先端が先端部本体1に固着されていて、湾曲部20内から挿入部10内に引き通されている。
【0016】
処置具挿通チャンネルチューブ9は、例えば肉厚の厚いフッ素樹脂チューブなどのように、可撓性があり且つ耐圧縮性に富んだ材料で形成されていて、処置具突出口2から突出させる処置具類が挿通されると同時に、吸引チューブとしても兼用されている。
【0017】
図1に示されるように、処置具挿通チャンネルチューブ9は、先端部本体1部分において斜め上方に向けて傾けて配置されていて、その先端開口部分が処置具突出口2である。そして、その軸線101の延長線が先端部本体1の前方において、観察光軸100の延長線と交差している。
【0018】
処置具挿通チャンネルチューブ9内に挿通されて処置具突出口2から突出する処置具類は、処置具突出口2付近の処置具挿通チャンネルチューブ9の軸線101の延長線方向に突出される。したがって、処置具突出口2から突出される処置具類の先端が、先端部本体1の前方において観察光軸100と交差する。その交差位置は、例えば観察窓3から1〜3cm程度の距離である。
【0019】
湾曲部20の骨組みは、ステンレス鋼帯のような金属帯を少し間隔をあけながら一定の径で連続して螺旋状に巻いて形成された螺旋管21によって構成されている。
【0020】
そして、ステンレス細線等のような金属細線を編組して形成された網状管22が螺旋管21の外面に被覆され、さらにその外面が、弾力性のあるゴム製の外皮チューブ23によって被覆されている。
【0021】
このようにして湾曲部20は、螺旋管21、網状管22及び外皮チューブ23の三つの部品によって、可撓性と軸方向への伸縮性とを有する管状に形成されている。
【0022】
操作ワイヤ24は、180°対称の2箇所に配置されていて、その先端は先端部本体1に固着され、湾曲部20内では螺旋管21の内周面に沿って配置されて、挿入部10内では可撓性のあるガイドパイプ14内に通されている。
【0023】
ガイドパイプ14の先端部分は、湾曲部20と挿入部10とを連結する接続管26の内周面に固着されている。この接続管26には、湾曲部20の螺旋管21と網状管22及び挿入部10の螺旋管11と網状管12が両側から固着されていて、それによって湾曲部20と挿入部10とが連結されている。
【0024】
図3にも示されるように、接続管26には、湾曲部20と挿入部10との境界部分の下部内周部に処置具挿通チャンネルチューブ9を固定するためのチャンネルチューブ固定部材27が一体的に形成されている。なお、接続管26とチャンネルチューブ固定部材27は、各々を別部品として形成して、それらをロー付けなどで一体的に連結してもよい。
【0025】
チャンネルチューブ固定部材27に形成された孔の内周面には、処置具挿通チャンネルチューブ9が、動かないようにしっかりと接合されている。そして処置具挿通チャンネルチューブ9は、湾曲部20内では下半部に挿通されていて、先端部本体1の近くで斜め上方に傾けて配置されている。
【0026】
このように構成された実施例の湾曲部20を屈曲させる際には、図示されていない操作部からの遠隔操作によって、2本の操作ワイヤ24のうちのいずれかを後方に牽引する。
【0027】
すると、牽引された操作ワイヤ24の側では螺旋管21が軸方向に圧縮されるが、耐圧縮性に富む処置具挿通チャンネルチューブ9が湾曲部20の前後両端位置において固定されているので、湾曲部20の全長はほとんど伸び縮みしない。その結果、湾曲部20は牽引された操作ワイヤ24の側に滑らかなカーブを描いて屈曲し、外周側は伸ばされる。
【0028】
そして、処置具挿通チャンネルチューブ9内に挿通された処置具類を処置具突出口2から突出させれば、その先端が観察窓3の前方において観察光軸100の延長線と交差し、観察画面の中央に観察される。したがって、患部を観察画面の中央に誘導しておけば、処置具によって容易かつ正確に狙撃することができる。
【0029】
図4ないし図6は、本発明を前方斜視型の内視鏡に適用した本発明の第2の実施例を示しており、図4は正面図、図5はV−V断面図、図6はVI−VI断面図である。
【0030】
この実施例では、図5に示されるように、観察光軸100が前方に対して斜め上方に傾いている。処置具突出口2は、図4に示されるように、観察窓3の直上位置にレイアウトできないので観察窓3の斜め上の位置に配置されている。
【0031】
そして、処置具突出口2付近の処置具挿通チャンネルチューブ9の軸線101を、観察光軸100より小さな角度で上方に傾けると共に、側方にも観察窓3に近づく方向に傾けて、処置具挿通チャンネルチューブ9の軸線101の延長線が観察光軸100の延長線と交差するようにレイアウトされている。
【0032】
また、図6に示されるように、この実施例では、湾曲操作ワイヤ24が上下左右に合計4本設けられていて、4本の操作ワイヤ24のうち隣り合う2本の操作ワイヤ24を同時に牽引操作すれば、操作ワイヤ24の牽引量に応じた複合された方向に湾曲部20が屈曲させて、360°所望の方向に屈曲させることがきる。
【0033】
また、図6に示されるように、チャンネルチューブ固定環27は、C字状に形成されて、接続管26の内周面に直接取り付けられている。このように構成すると、チャンネルチューブ固定環27が湾曲部20の断面積をできるだけ塞がないように構成することができる。なお図6においては、ファイババンドル6,8類の図示が省略されている。
【0034】
第2の実施例のその他の部分については第1の実施例と同じなので、同じ部分には同じ符号を付して、説明は省略する。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性と軸方向への伸縮性とを有する管状の湾曲部材からなる低コストで製造可能な湾曲部を有する内視鏡において、可撓性があって耐圧縮性に富んだチューブからなる処置具挿通チャンネルを湾曲部材の先端付近と後端付近において各々固定したことにより、操作ワイヤを牽引したときに湾曲部材が軸線方向に圧縮されないので、湾曲部が滑らかに屈曲して光学ファイバの折れなどが発生しない。そして、処置具挿通チャンネルの処置具突出口付近の軸線の延長線と観察対物光学系の光軸の延長線とが前方で交差するようにしたことにより、観察画面の中央で処置具の先端を観察することができるので、処置の対象となる患部を処置具で容易かつ正確に狙撃して、確実な処置を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の側面断面図である。
【図2】第1の実施例の正面図である。
【図3】第1の実施例のIII−III断面図である。
【図4】第2の実施例の正面図である。
【図5】第2の実施例のV−V断面図である。
【図6】第2の実施例のVI−VI断面図である。
【符号の説明】
1 先端部本体
2 処置具突出口
5 対物光学系
9 処置具挿通チャンネルチューブ
20 湾曲部
21 螺旋管
22 網状管
23 外皮
24 操作ワイヤ
100 観察光軸
101 軸線
Claims (1)
- 可撓性の挿入部の先端部分に連結されて可撓性と軸方向への伸縮性とを有する螺旋管により骨組みが形成され、その先端部分に連結された操作ワイヤを後方から牽引することにより屈曲させるようにした湾曲部を有し、観察対物光学系と処置具突出口とが設けられた先端部本体を上記湾曲部の先端に連結した内視鏡において、
上記観察対物光学系によって結像された観察像を伝達するためのイメージガイドファイババンドルの先端部分を上記先端部本体に固定して、上記イメージガイドファイババンドルを上記湾曲部内から上記挿入部内に引き通すと共に、
可撓性があって上記湾曲部の屈曲によって軸線方向に圧縮されない程度の耐圧縮性を有する可撓性チューブからなる処置具挿通チャンネルの先端部分を、その処置具挿通チャンネルの先端開口部付近の軸線の延長線と上記観察対物光学系の光軸の延長線とが前方で交差するように上記先端部本体に固定して、上記処置具挿通チャンネルを上記湾曲部内から上記挿入部内に引き通し、
上記湾曲部の後端付近に、上記処置具挿通チャンネルを上記イメージガイドファイババンドルから離れた位置で固定して、上記イメージガイドファイババンドルは固定せず、
上記処置具挿通チャンネルを上記先端部本体に近づくにしたがって上記イメージガイドファイババンドル側に接近する向きに配置したことを特徴とする内視鏡。
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