JP2911719B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents

駆動力伝達装置

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JP2911719B2 JP18034493A JP18034493A JP2911719B2 JP 2911719 B2 JP2911719 B2 JP 2911719B2 JP 18034493 A JP18034493 A JP 18034493A JP 18034493 A JP18034493 A JP 18034493A JP 2911719 B2 JP2911719 B2 JP 2911719B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、一対の回転軸間に介
装された油圧ポンプが、両回転軸の回転速度差に応じて
発生する油圧を利用して、両回転軸間の駆動力伝達を行
う駆動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの駆動力を前,後輪双方に伝達
して走行する四輪駆動車は、悪路走破性に優れているだ
けでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優れ
ていることから、急速に普及してきている。近年におい
ては、前,後輪間に回転速度差が生じたとき、この回転
速度差に応じて両輪への駆動力配分を変更する駆動力伝
達装置を備え、実質的に常時四輪駆動状態が得られるよ
うにした、いわゆるフルタイム四輪駆動車が主流となっ
ている。このような駆動力伝達装置の一つとして、前,
後輪間に介装された油圧ポンプの発生油圧を利用するも
のが知られている。これは、前,後輪の一方への伝動軸
と連動回転されるケーシング内に、他方への伝動軸と連
動回転されるロータを収納して油圧ポンプ(一般にはベ
ーンポンプ)を構成し、ケーシングとロータとの間に形
成されたポンプ室内に、両伝動軸間の回転速度差に応じ
た油圧を発生させ、この油圧を介して、前,後輪間での
駆動力伝達を行わせるようにしたものであり、上記相対
回転の大小、すなわち前,後輪間に生じている回転速度
差の大小に対応して発生する油圧は、ロータとケーシン
グとの間の相対回転を抑止するように作用するから、こ
の油圧を媒介として前,後輪間の一方から他方へ、両輪
間の回転速度差に応じた駆動力が伝達されることにな
り、いわゆる四輪駆動状態が実現される。
【0003】従来、上記駆動力伝達装置として、走行状
態に応じて適正な駆動力伝達特性を得る目的で、油圧ポ
ンプの吐出側油路の途中部に可変絞りを設け、走行状態
に関連する複数の状態量の組合せに基づいて上記可変絞
りの絞り開度をソレノイドによって調整するようにした
ものが提供されている(例えば特開平4−321432
号公報参照)。この駆動力伝達装置においては、例え
ば、低速旋回時にはタイトコーナーブレーキング現象の
発生を防止するために伝達トルクを低くする一方、所要
時には高い伝達トルクを得ることが可能である。すなわ
ち、走行状態に応じた複数のトルク伝達特性を選択でき
るという利点がある。
【0004】図9は上記可変絞りを設けた従来の駆動力
伝達装置の一例を示す要部断面図である。この駆動力伝
達装置は、前,後輪間の回転速度差に応じた油圧を発生
するベーンポンプ90と、前後輪の何れか一方に連動す
る出力軸91との間に、保持筒92が介装され、この保
持筒92の軸心部に形成されたスプール室93の内部
に、第1のスプール94と第2のスプール95とが軸方
向へ摺動自在に挿入されており、上記保持筒92の外側
に、上記各スプール94,95をスプール室93の閉塞
端93a側へ移動させるための駆動コイル96が設けら
れている。
【0005】上記スプール室93は、第1の連通路97
及び第2の連通路98を介して、それぞれ個別にベーン
ポンプ90の吐出側に連通されており、各連通路97,
98のスプール室93側の開口端は、軸方向に所定間隔
ずらしてある。また、第2の連通路98は、第1の連通
路97よりも流量が少なくなるように小径に形成されて
いる。上記駆動コイル96への通電は2段階に制御可能
であり、スプール室93の内部に強さの異なる磁界を形
成できるようになっている。さらに、上記第1のスプー
ル94とスプール室93の閉塞端93aとの間には、当
該第1のスプール94をスプール室93の開口端93b
側へ付勢する第1のばねS1が張り詰められており、第
2のスプール95の外周鍔部95aと上記保持筒92と
の間には、当該第2のスプール95をスプール室93の
開口端93b側へ付勢するための第2のばねS2が張り
詰められている。
【0006】そして、上記駆動コイル96への通電遮断
時には、第1のばねS1及び第2のばねS2のそれぞれ
の付勢力により、各スプール94,95は、スプール室
93の開口端93b側に移動されており、これによっ
て、第1の連通路97は閉塞され、流量の少ない第2の
連通路98は開放されている。また、駆動コイル96に
よる弱い磁界の形成時には、上記第1のばねS1の付勢
力に抗して、第1のスプール94がスプール室93の閉
塞端93a側に移動され、これによって、第2の連通路
98も閉塞される。さらに、強い磁界の形成時には、第
2のスプール95もスプール室93の閉塞端93a側に
移動され、これによって、流量の多い第1の連通路97
が開放された状態になる。以上の動作により、第1の連
通路97が閉塞され第2の連通路98が開放された状
態、第1の連通路97が開放され、第2の連通路98が
閉塞された状態、及び両方の連通路97,98が共に閉
塞された状態をそれぞれ得ることができ、各状態におけ
る通油抵抗の相違により、3通りの異なる動力伝達特性
を実現することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記可変絞りを設けた
従来の駆動力伝達装置によれば、各スプール94,95
を、スプール室93の閉塞端93a側に移動させるに
は、各ばねS1,S2の付勢力の総和に対抗し得る磁界
強度が必要であるので、駆動コイル96の消費電力が多
いという問題があった。
【0008】また、駆動コイル96によって第1のスプ
ール94のみを移動させる際に、スパイク電流のピーク
値が、両スプール94,95を移動させるのに必要な電
流値を瞬間的にオーバすることがあり、この場合には、
第1のスプール94のみならず、第2のスプール95も
移動されてしまう虞があった。さらに、第2のスプール
95の外周に、第2のばねS2を係止するための鍔部9
5aを突設する必要があり、この鍔部95aが邪魔にな
ることから、当該スプール95の外周をスルーフィード
方式によって研磨仕上げすることができない。このた
め、能率の悪いプランジカット方式によって研磨仕上げ
する必要があり、製造コストが高く付くという問題があ
った。
【0009】一方、第2のばねS2については、スペー
ス的な制約から、1.5〜2巻き程度の非常に巻き数の
少ないもので構成する必要があり、しかもその巻き径が
大きくなることから、設計条件が非常に厳しく、所望の
ばね定数を得るのが困難であった。この発明は、上記問
題点に鑑みてなされたものであり、駆動コイルの消費電
力を少なくすることができると共に、動作の信頼性を高
めることができ、しかもスプールを能率良く製造するこ
とができる駆動力伝達装置を提供することを目的とす
る。
【0010】またこの発明は、スプールを付勢するため
のばねについて、所望のばね定数を容易に得ることがで
きる駆動力伝達装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
のこの発明の駆動力伝達装置は、第1の回転軸と第2の
回転軸との間に介装され、両回転軸の回転速度差に応じ
て発生する油圧を介して、両回転軸間の駆動力伝達を行
う油圧ポンプと、複数の連通路を介して油圧ポンプの吐
出側に連通されたスプール室を有し、このスプール室の
内部の一端部側と他端部側とに配置された第1のスプー
ルと第2のスプールとを、磁力によってスプール室の一
端部側へ選択的に移動させることにより、各連通路を開
閉制御して、油圧ポンプの吐出側の通油抵抗を調整する
可変絞りとを備える駆動力伝達装置において、上記可変
絞りが、スプール室の一端部側に移動された第1のスプ
ールを、スプール室の他端部側へ復帰させる第1のばね
と、スプール室の一端部側に移動された第2のスプール
を、スプール室の他端部側へ復帰させる第2のばねとを
備え、上記第1のばねを、第1のスプールの所定部とス
プール室の一端部との間に張り詰めていると共に、第2
のばねを、第1のスプールの所定部と第2のスプールの
所定部との間に張り詰めていることを特徴とするもので
ある。
【0012】ただし、上記第2のばねについては、その
少なくとも一部が第1のスプールの内部空間に配置され
ているのが好ましい。
【0013】
【作用】上記の構成の駆動力伝達装置によれば、磁力に
よって第1のスプールを第1のばねの付勢力に抗してス
プール室の一端部側に移動させると、第1のスプールと
第2のスプールとの間に張り詰めた第2のばねの付勢力
を、第1のスプールの移動量に対応させて減衰させるこ
とができる。従って、第2のスプールをスプール室の一
端部側へ移動させるための磁力を弱くすることができ、
ソレノイドに対する供給電流を減少させることができ
る。
【0014】また、第2のばねが第1のスプールと第2
のスプールとを互いに離反させるように作用するので、
第1のスプールを移動させる際に、スパイク電流によっ
て第2のスプールも同時に移動されるのを防止すること
ができる。さらに、第2のばねを第1のスプールと第2
のスプールとの間に介在させているので、第2のスプー
ルの外周に当該第2のばねを係止するための鍔部を突設
する必要がない。このため、第2のスプールの外周をス
ルーフィード方式によって能率良く研磨仕上げすること
ができる。
【0015】特に、第2のばねの少なくとも一部が、第
1のスプールの内部空間に配置されている場合には、そ
の巻き径を小さくすることができると共に、第2のばね
の全長を長くしたり、巻き径をある程度任意に選択した
りすることができる等、当該ばねの設計の自由度を確保
することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面に基づいて詳細
に説明する。図1は、この発明の一実施例としての四輪
駆動車用の駆動力伝達装置を示す断面図である。この駆
動力伝達装置は、前,後輪の一方と連動回転する第1の
回転軸としての入力軸1と、他方と連動回転する第2の
回転軸としての出力軸2との間に、両軸1,2間の回転
速度差に応じた油圧を発生する油圧ポンプとしてのベー
ンポンプ3を介装し、このベーンポンプ3の発生油圧を
介して入力軸1から出力軸2へ駆動力を伝達するもので
ある。
【0017】上記ベーンポンプ3の円筒形のロータ30
は、半径方向に伸びる所定の深さの収納溝30cを、周
方向に沿って等配に形成し、これらの収納溝30cのそ
れぞれに、矩形平板形のベーン30aを半径方向へ進退
自在に収納した公知の構成からなる。各ベーン30aと
これらの収納溝30cの底部との間には、ベーン30a
を半径方向外向きに付勢する圧縮コイルばね30bが介
装されている。
【0018】ベーンポンプ3のケーシングは、ロータ3
0を内包すると共に、一対の環状のサイドプレート3
2,33によって挟持されて、ロータ30との間に複数
のポンプ室を形成したカムリング31と、上記サイドプ
レート32,33及び押さえ板34とを備えており、こ
れらは、厚さ方向に貫通してサイドプレート32に螺合
する複数本の固定ボルト35によって一体回転可能に連
結されている。
【0019】カムリング31の内側には、両サイドプレ
ート32,33によって両側を囲繞された空洞部が形成
されており、上記ロータ30は、この空洞部内に収容さ
れている。ロータ30の回転軸であるロータ軸4は、サ
イドプレート32,33の中抜き部にサイドプレート3
3側から挿入されており、図示のごとくカムリング31
の両側において玉軸受によって支承されている。ロータ
30は、これらの支承位置間にてロータ軸4にスプライ
ン結合されており、ロータ軸4の回転に伴いベーン30
aの先端をカムリング31の内周に押しつけつつ回転す
る。また、カムリング31の内周の側方から見た断面形
状は、円周面の複数箇所に凹所を形成した形状であり、
これらの凹所とロータ30の外周とによって囲まれた部
分が、ポンプ室として構成されている。
【0020】上記入力軸1は、サイドプレート33側に
突出するロータ軸4の端部にスプライン結合されてお
り、出力軸2は、一端部に形成されたフランジ21を介
してサイドプレート32の外側面に連結されている。こ
れにより、ロータ30は、入力軸1の回転に連動し、サ
イドプレート33をその一部とするケーシングは、出力
軸2の回転と連動するから、ロータ30とカムリング3
1との間には、入力軸1と出力軸2との間の回転速度差
に応じた相対回転が生ずることになる。
【0021】上記ベーンポンプ3のケーシングの外側に
は、薄肉の筒体36が嵌着されており、この筒体36と
ケーシングの外周との間に、環状の油タンクTが形成さ
れている。この油タンクT内には、ベーンポンプ3の作
動油が封入されている。そして、ベーンポンプ3の各ポ
ンプ室は、押さえ板34及びサイドプレート33の円板
部を厚さ方向に貫通し、上記ポンプ室への流入のみを許
容するチェックバルブV1をその中途に嵌装してなる各
別の吸込油路40により、油タンクTに連通されてい
る。
【0022】上記サイドプレート32には、各ポンプ室
内にその一端を開口させ、半径方向内側に折り返してベ
ーン30aの収納溝30cの底部に連なり、各ポンプ室
からの流出のみを許容するチェックバルブV2をその中
途に嵌装してなる各別の吐出油路41が形成されてい
る。また、上記サイドプレート32には、これを厚さ方
向に貫通する導油孔42と、半径方向に貫通する還流孔
43とが形成されており、導油孔42の一端は、前記収
納溝30cの底部に連通するようにサイドプレート32
の内側面に開口され、他端は、上記出力軸2のフランジ
21に形成された環状溝37に連通するようにサイドプ
レート32の外側面に開口されている。これにより、収
納溝30cの底部は、導油孔42を介して環状溝37に
連通されることになる。また、還流孔43は、サイドプ
レート32の中抜き部を油タンクTに連通させている。
【0023】上記出力軸2の一端部には、駆動力伝達特
性を変更するための可変絞り6が構成されている。この
可変絞り6は、上記出力軸2の端部に形成されたスプー
ル室61の内部に、第1のスプール62及び第2のスプ
ール63を摺動自在に挿入し、これら各スプール62,
63を、出力軸2の外周に対向させて車体側に固定され
た駆動コイル69によって、軸方向へ選択的に移動させ
ることにより、ベーンポンプ3吐出側の通油抵抗を調整
するものである。
【0024】図2も参照してさらに詳述すると、上記ス
プール室61は、出力軸2の軸線と同心に形成されてお
り、その一端部は閉塞され、他端部は開口されている。
このスプール室61は、第1の連通路64及び第2の連
通路65を介して、上記環状溝37に連通されている。
上記各連通路64,65のスプール室61側の端部は、
互いに軸方向にずれた状態で当該スプール室61の内周
に開口している。また、第1の連通路64は、環状溝3
7と連通する部分で口径が絞られて、流量が第2の連通
路65よりも少なくなるように設定されている。
【0025】図4にも示すように、上記第1のスプール
62は、円筒形状のものであり、その内周の途中部に環
状のばね受け部62aが突設されている。また、第2の
スプール63は、段付円筒形状のものであり、その小径
部63aが、所定隙間を有して第1のスプール62の内
部に導入されている。そして、第1のスプール62は、
これと第2のスプール63との隙間に介在され、且つ上
記ばね受け部62aとスプール室61の閉塞端61aと
の間に張り詰められた圧縮コイルばねからなる第1のば
ね66によって、スプール室61の開口端61bに向け
て付勢されている。また、第2のスプール63は、上記
第1のばね66と直列に配置され、当該第2のスプール
63の段部63eと上記ばね受け部62aとの間に張り
詰められた圧縮コイルばねからなる第2のばね67によ
って、スプール室61の開口端61bに向けて付勢され
ている。なお、第1のばね66の付勢力は、第2のばね
67の付勢力よりも充分に大きくなるように設定されて
いる。
【0026】上記スプール室61の開口端61b近傍の
内周には、止め輪68が係着されており、第2のばね6
7によって付勢された第2のスプール63の移動は、当
該止め輪68によって規制されている。また、第1のば
ね66によって付勢された第1のスプール62の移動
は、上記止め輪68によって係止された第2のスプール
63の段部63eに当接することにより規制されてい
る。
【0027】各スプール62,63の外周には、環状の
絞り溝62b,63bが形成されており、この絞り溝6
2b,63bは、各スプール62,63の周壁を貫通す
る貫通孔62c,63cを介して、第2のスプール63
の内部通路63dに連通されている。また、スプール室
61の内周の第1の連通路64が開口する部分には、環
状の絞り溝61cが形成されており、この絞り溝61c
は、第1のスプール62の摺動に応じて開閉されるよう
になっている。さらに、スプール室61の内周の第2の
連通路65が開口する部分には、環状の絞り溝61dが
形成されており、この絞り溝61dは、第2のスプール
63の摺動に応じて開閉するようになっている。
【0028】上記環状溝37は、導油孔42、ベーン3
0aの収納溝30c、及び吐出油路41を介してベーン
ポンプ3の各ポンプ室に連通されてている。また、各ス
プール62,63の内部空間は、サイドプレート32の
中抜き部及び還流孔43を介して油タンクTに連通され
ている。したがって、両スプール62,63は、各ポン
プ室の吐出側を油タンクTに連通する吐出側油路の中途
に配されたことになり、前述の摺動に応じて、各連通路
64,65がそれぞれ開閉され、この開閉に応じてベー
ンポンプ3の吐出側における通油抵抗が変化することに
なる。
【0029】上記スプール62,63の摺動は、出力軸
2を囲繞するように配置された駆動コイル69が形成す
る磁界の作用により行われる。即ち、各スプール62,
63の全体または一部は、磁性体によって形成されてお
り、それ自体でソレノイドの可動鉄心として機能し、駆
動コイル69への通電に応じて、スプール62,63
は、スプール室61の閉塞端61a方向に摺動して、各
連通路64,65をそれぞれ開閉制御する。
【0030】上記駆動コイル69は、印加電流の有無や
大小により、無負荷状態、半負荷状態及び全負荷状態に
選択的に駆動され、無負荷状態では、図5に示すよう
に、各スプール62,63は、各ばね66,67の付勢
力によってスプール室61の開口端61b側に移動され
ており、これによって、絞り溝61cが開放され、絞り
溝61dが閉塞されている。この状態では、ポンプ室と
油タンクTとが流量の少ない第1の連通路64のみを介
して連通されることになり、中間の伝達特性である、図
3に示すN特性が得られる。また、半負荷状態では、図
6に示すように、第1のばね66の付勢力に抗して第1
のスプール62のみがスプール室61の閉塞端61a側
に摺動し、絞り溝61cが閉塞されて、ポンプ室と油タ
ンクTとの連通が遮断される。この結果、最も高い伝達
特性である、図3に示すP特性が得られる。さらに、全
負荷状態では、図7に示すように、両スプール62,6
3が各ばね66,67の付勢力に抗して上記閉塞端61
a側に摺動し、絞り溝61dが開放される。この状態で
は、ポンプ室と油タンクTとが流量の多い第2の連通路
65を介して連通されることになり、最も低い伝達特性
である、図3に示すS特性が得られる。
【0031】上記伝達特性の変更は、予め設定された制
御マップに従って行われる。例えば、車速センサによる
検出車速が所定値(例えば10km/h) 以下であり、しか
も操舵角センサによる検出舵角が大きい場合に、駆動コ
イル69を駆動して、S特性を選択する。これにより、
前,後輪の連結がルーズな状態となり、前,後輪の旋回
軌跡の差による両輪の回転速度差を無理なく吸収でき、
タイトコーナーブレーキング現象の発生を確実に防止す
る。一方、車速センサによる検出速度が零であるにもか
かわらず、アクセル開度センサにてアクセル開度が略全
開状態であることが検出された場合(これは、いわゆる
スタック状態である)、P特性を選択し、前,後輪を略
直結して、スタック状態からの脱出を可能とする。
【0032】上記実施例によれば、第2のばね67が第
1のスプール62のばね受け部62aと第2のスプール
63の段部63eとの間に張り詰められているので、第
1のスプール62をスプール室61の閉塞端61a側へ
摺動させると、この摺動量に対応する分だけ第2のばね
67が伸びて付勢力が減衰することになる。このため、
第2のスプール63を上記閉塞端61a側へ移動させる
ための磁界強度が少なくて済み、その分駆動コイル69
の消費電力を少なくすることができる。
【0033】また、上記第2のばね67が、第1のスプ
ール62と第2のスプール63とを互いに離反させるよ
うに作用するので、第1のスプール62をスプール室6
1の閉塞端61a側に移動させる際に、スパイク電流に
よって第2のスプール67が第1のスプール62と共に
閉塞端61a側へ移動されるのを防止することができ
る。このため、動作の信頼性を向上させることができ
る。
【0034】さらに、第2のスプール63の外周に、第
2のばね67の一端を係止するための鍔部を突設する必
要がないので、第2のスプール63の外周をスルーフィ
ード方式によって、能率良く研磨仕上げすることができ
る。しかも、第2のばね67を、第1のスプール62の
内周に配置しているので、その全長を長くしたり、巻き
数をある程度任意に選択したりすることができると共
に、巻き径も小さくすることができる等、当該第2のば
ね67の設計の自由度が増大する結果、所望のばね定数
を容易に得ることができる。
【0035】なお、この発明の駆動力伝達装置は、上記
実施例に限定されるものでなく、例えば第2のばね67
の一部のみを、第1のスプール62の内部空間に配置す
ること、第1のばね66を、第1のスプール62及びス
プール室61の閉塞端61aに形成された孔62h,6
1h内に配置すること(何れも図8参照)等、種々の設
計変更を施すことができる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、この発明の駆動力伝達装
置によれば、第2のスプールを付勢する第2のばねが、
第1のスプールと第2のスプールとの間に張り詰められ
ているので、駆動コイルによって第1のスプールをスプ
ール室の一端部側へ摺動させると、この摺動量に対応し
て第2のばねの付勢力を減衰させることができる。この
ため、第2のスプールを摺動させるための磁力を弱くす
ることができ、駆動コイルの消費電力を少なくすること
ができる。
【0037】また、上記第2のばねが、第1のスプール
と第2のスプールとを離反させるように作用するので、
駆動コイルによって第1のスプールを移動させる際に、
スパイク電流によって第2のスプールが第1のスプール
と共に移動されるのを防止することができ、動作の信頼
性を高めることができる。さらに、第2のスプール外周
に、第2のばね一端を係止するための鍔部を突設する必
要がなく、第2のスプールの外周をスルーフィード方式
の研磨よって仕上げることができるので、当該第2のス
プールを能率的且つコスト安価に製造することができ
る。
【0038】特に、請求項2に係る駆動力伝達装置によ
れば、第2のばねの少なくとも一部を、第1のスプール
の内部空間に配置しているので、その全長や巻き数をあ
る程度任意に選択したり、巻き径を小さくしたりするこ
とができる等、当該第2のばねの設計の自由度を確保す
ることができる結果、所望のばね定数を容易且つ確実に
得ることができるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す四輪駆動車用の駆動
力伝達装置の断面図である。
【図2】上記駆動力伝達装置の要部拡大断面図である。
【図3】駆動力伝達特性を示すグラフ図である。
【図4】スプールの詳細を示す拡大断面図であり、(a)
は第1のスプールを、(b) は第2のスプールをそれぞれ
示している。
【図5】無負荷時のスプールの状態を示す要部拡大断面
である。
【図6】半負荷時のスプールの状態を示す要部拡大断面
である。
【図7】全負荷時のスプールの状態を示す要部拡大断面
である。
【図8】この発明の他の実施例を示す要部断面図であ
る。
【図9】従来例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸(第1の回転軸) 2 出力軸(第2の回転軸) 3 ベーンポンプ(油圧ポンプ) 6 可変絞り 61 スプール室 62 第1のスプール 63 第2のスプール 64,65 連通路 66 第1のばね 67 第2のばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 31/06 B60K 17/348

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の回転軸と第2の回転軸との間に介装
    され、両回転軸の回転速度差に応じて発生する油圧を介
    して、両回転軸間の駆動力伝達を行う油圧ポンプと、 複数の連通路を介して油圧ポンプの吐出側に連通された
    スプール室を有し、このスプール室の内部の一端部側と
    他端部側とに配置された第1のスプールと第2のスプー
    ルとを、磁力によってスプール室の一端部側へ選択的に
    移動させることにより、各連通路を開閉制御して、油圧
    ポンプの吐出側の通油抵抗を調整する可変絞りとを備え
    る駆動力伝達装置において、 上記可変絞りが、スプール室の一端部側に移動された第
    1のスプールを、スプール室の他端部側へ復帰させる第
    1のばねと、スプール室の一端部側に移動された第2の
    スプールを、スプール室の他端部側へ復帰させる第2の
    ばねとを備え、 上記第1のばねを、第1のスプールの所定部とスプール
    室の一端部との間に張り詰めていると共に、第2のばね
    を、第1のスプールの所定部と第2のスプールの所定部
    との間に張り詰めていることを特徴とする駆動力伝達装
    置。
  2. 【請求項2】上記第2のばねの少なくとも一部を、第1
    のスプールの内部空間に配置している請求項1記載の駆
    動力伝達装置。
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