JP3467278B2 - 四輪駆動車用駆動力伝達装置 - Google Patents
四輪駆動車用駆動力伝達装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、前,後輪間に介装さ
れた油圧ポンプが両輪間の回転速度差に応じて発生する
油圧を媒介として四輪駆動状態を実現する四輪駆動車用
駆動力伝達装置に関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンの駆動力を前,後輪双方に伝達
して走行する四輪駆動車は、悪路走破性に優れているだ
けでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優れ
ていることから、急速に普及してきている。近年におい
ては、前,後輪間に回転速度差が生じたとき、この回転
速度差に応じて両輪への駆動力配分を変更する駆動力伝
達装置を備え、実質的に常時四輪駆動状態が得られるよ
うにした、いわゆるフルタイム四輪駆動車が主流となっ
ている。このような駆動力伝達装置の一つとして、前,
後輪間に介装された油圧ポンプの発生油圧を利用するも
のが知られている。これは、前,後輪の一方への伝動軸
と連動回転されるケーシング内に、他方への伝動軸と連
動回転されるロータを収納して油圧ポンプ(一般にはベ
ーンポンプ)を構成し、ケーシングとロータとの間に形
成されたポンプ室内に、両伝動軸間の回転速度差に応じ
た油圧を発生させ、この油圧を介して、前,後輪間での
駆動力伝達が行われるようにしたものである。 【0003】この際、上記相対回転の大小、すなわち
前,後輪間に生じている回転速度差の大小に対応して発
生する油圧は、ロータとケーシングとの間の相対回転を
抑止するように作用するから、この油圧を媒介として
前,後輪間の一方から他方へ、両輪間の回転速度差に応
じた駆動力が伝達されることになり、いわゆる四輪駆動
状態が実現される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この駆動力伝
達装置においては、前輪と後輪が同一回転速度で回転し
ている状態で油圧ポンプの入力軸と出力軸との回転速度
が等しくなるようにされていたので、前輪がスリップし
始めてから、前輪と後輪との間の回転速度差が所定の大
きさに到達するまでは、油圧ポンプによるトルク伝達が
ほとんど行われなかった。したがって、応答性が悪いと
いう問題があった。 【0005】ところで、走行状態に応じて適正な駆動力
伝達特性を得る目的で、油圧ポンプの吐出側油路の中途
に可変絞りを設け、走行状態に関連する複数の状態量の
組合せに基づいて上記可変絞りの絞り開度を調整する開
度制御部を設けた駆動力伝達装置が提供されている。こ
の駆動力伝達装置においては、例えば、低速旋回時には
タイトコーナーブレーキング現象の発生を防止するため
に伝達トルクを低くする一方、所要時には高い伝達トル
クを得ることが可能である。すなわち、走行状態に応じ
た複数のトルク伝達特性を選択できるという利点はあ
る。 【0006】しかしながら、このようにトルク伝達特性
を選択できる駆動力伝達装置においても、前,後輪の間
に所定の回転速度差が生じなければ、所定の伝達トルク
を得ることができないので、応答性を改善することがで
きなかった。この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、トルク伝達の応答性に優れた四輪駆動車用
駆動力伝達装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
のこの発明の四輪駆動車用駆動力伝達装置は、前,後輪
の一方への入力軸と他方への出力軸との間に介装され、
両軸間の回転速度差に応じて発生させた油圧を介して
前,後輪間にトルク伝達を行う油圧ポンプと、この油圧
ポンプの吐出側に配置され、絞り開度の変更により、上
記油圧を媒介とする前,後輪への駆動力伝達特性を変更
する可変絞りと、走行状態に関連する複数の状態量の組
合せに基づいて、可変絞りの絞り開度を調整する開度制
御部とを備えた四輪駆動車用駆動力伝達装置において、
上記油圧ポンプの出力軸と他方の車輪との間に介在し、
出力軸の回転を他方の車輪側の回転に対して増速する増
速機構を備え、前、後輪間の回転速度差よりも大きな回
転速度差を上記油圧ポンプの入力軸と出力軸との間に与
えるとともに、油圧ポンプの発生するトルクのみが前,
後輪間に伝達され伝達され、上記開度制御部は、ABS
動作に悪影響を与えないよう油圧ポンプの入力軸と出力
軸との間の回転速度差が大きくなるにつれて伝達トルク
の増加を抑えるように可変絞りの絞り開度を調整するこ
とを特徴とするものである。 【0008】 【作用】上記構成の四輪駆動車用駆動力伝達装置によれ
ば、増速機構が、油圧ポンプの出力軸に連結された車輪
の回転を、上記出力軸の回転に対して増速する。逆にい
うと、出力軸は、当該出力軸に連結された車輪の回転を
減速した状態で回転される。したがって、前,後輪が同
一速度で回転している状態でも、油圧ポンプの入力軸と
出力軸との間に所定の回転速度差を与えられており、
前,後輪間に回転速度差が生じた状態では、この回転速
度差がさらに付加されて、上記入力軸と出力軸との間に
与えられることになる。したがって、従来と同等の伝達
トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転速度差
で得ることができ、トルク伝達の応答性を従来よりも格
段に向上させることができる。 【0009】 【実施例】以下、実施例を示す添付図面に基づいて説明
する。図2は、この発明の一実施例としての四輪駆動車
用駆動力伝達装置(以下、単に駆動力伝達装置という)
を含む車両の駆動経路を示す概略構成図である。同図を
参照して、この実施例は、本発明を、いわゆるFR(後
輪駆動車)ベース四輪駆動車に適用した場合を示してい
る。図2において、この駆動力伝達装置Aは、エンジン
Eの駆動力をトランスミッションTMを介してリヤデフ
ァレンシャルRDへ伝えるためのプロペラシャフトを入
力軸1として構成すると共に、出力軸2をリヤデファレ
ンシャルRD側に配置し、両軸間の回転速度差に応じた
油圧を発生させる油圧ポンプとしてのベーンポンプ3
と、このベーンポンプ3の出力軸2とリヤデファレンシ
ャルRDとの間に介在し、後輪R側の回転を出力軸2側
の回転に対して増速する増速機構9とを備えている。上
記増速機構9は、例えば遊星ギア機構、その他の公知の
ギア機構により構成されている。図において、Kは、後
述する開度制御部10を含み、エンジンその他の部分の
動作を制御する制御部である。開度制御部10には、車
速センサ11、操舵角センサ12、ブレーキセンサ1
3、アクセル開度センサ14、その他各種の走行状態検
出センサからの検出信号が入力されるようになっている
(図3参照)。 【0010】図1は上記駆動力伝達装置Aの縦断面図で
ある。同図を参照して、ベーンポンプ3の円筒形をなす
ロータ30は、外周面から半径方向に所定の深さを有す
る複数の収納溝を周方向に等配に形成し、これらの収納
溝それぞれに矩形平板形のベーン30aを半径方向への
進退自在に収納した公知の構成からなる。各ベーン30
aとこれの収納溝の底部との間には、ベーン30aを半
径方向外向きに付勢する圧縮コイルばね30bが介装さ
れている。ベーンポンプ3のケーシングは、ロータ30
を内包すると共に、一対の環状のサイドプレート32,
33によって挟持されて、ロータ30との間に複数のポ
ンプ室を形成したカムリング31と、上記サイドプレー
ト32,33及び押さえ板34を備え、これらを厚さ方
向に貫通してサイドプレート32に螺合する複数本の固
定ボルト35によって一体回転可能に連結されている。 【0011】これにより、カムリング31の内側には、
サイドプレート32とサイドプレート33とにて両側を
囲繞された空洞部が形成され、上記ロータ30は、この
空洞部内に収容されている。ロータ30の回転軸である
ロータ軸4は、サイドプレート32,33の中抜き部に
サイドプレート33側から挿入されており、図示のごと
くカムリング31の両側において玉軸受によって支承さ
れている。 【0012】ロータ30は、これらの支承位置間にてロ
ータ軸4にスプライン結合されており、ロータ軸4の回
転に伴いベーン30aの先端をカムリング31の内周に
押しつけつつ回転する。カムリング31の内周は、円形
の周囲に複数箇所の凹所を形成してなる横断面形状を有
しており、これらの凹所の形成位置にロータ30の外周
とにて囲まれた複数のポンプ室が形成されている。 【0013】上記入力軸1は、サイドプレート33側に
突出するロータ軸4の端部に連結してあり、また出力軸
2は、後述のごとく構成された連結部材5を介してサイ
ドプレート32の外側面に連結してある。これにより、
ロータ30は、入力軸1の回転に連動し、サイドプレー
ト33をその一部とするケーシングは、出力軸2の回転
と連動するから、ロータ30とカムリング31との間に
は、入力軸1と出力軸2との間の回転速度差に応じた相
対回転が生ずる。一方、出力軸2と後輪Rとの間には、
上記増速機構9が介在させてあるので、入力軸1と出力
軸2との間には、後輪Rの回転を減速したものと前輪F
との回転速度差に応じた相対回転が生ずることになる。 【0014】ケーシングの外側には、薄肉の筒体36が
嵌着してあり、この筒体36とケーシングの外周との間
に、環状の油タンクTが形成されている。この油タンク
T内には、ベーンポンプ3の作動油が封入されている。
ベーンポンプ3の各ポンプ室は、押さえ板34及びサイ
ドプレート33の円板部を厚さ方向に貫通し、上記ポン
プ室への流入のみをを許容するチェックバルブをその中
途に嵌装してなる各別の吸込油路40により、油タンク
Tに連通させてある。 【0015】サイドプレート32には、各ポンプ室内に
その一端を開口させ、半径方向内側に折り返してベーン
30aの収納溝の底部に連なり、各ポンプ室からの流出
のみを許容するチェックバルブをその中途に嵌装してな
る各別の吐出油路41が形成されている。また、サイド
プレート32には、これを厚さ方向に貫通する導油孔4
2と、同じく半径方向に貫通する還流孔43が形成され
ている。導油孔42の一端は、前記収納溝の底部に連通
するべくサイドプレート32の内側面に開口され、他端
は、後述する連結フランジ51に形成された環状溝37
に連通するべくサイドプレート32の外側面に開口され
ている。これにより、導油孔42は、収納溝の底部を環
状溝37に連通させている。また、還流孔43は、サイ
ドプレート32の中抜き部を油タンクTに連通させてい
る。 【0016】図3は、後述するように前,後輪への駆動
力伝達特性を変更するための可変絞りを構成する可変絞
り機構6の拡大断面図である。連結部材5は,一対の連
結フランジ51,52間に非磁性体製の保持筒50を、
複数本の固定ボルト53にて挟持固定している。一方の
連結フランジ51は、サイドプレート32の外側面に同
軸的に固定されていると共に、他方の連結フランジ52
は、出力軸2の端部に同軸的に固定されており、これに
より、連結部材5は、ベーンポンプ3のケーシングと出
力軸2とを連結している。連結フランジ51は、保持筒
50の内周に整合する貫通孔51aをその軸心部に備え
ている。上記保持筒50の内部及び連結フランジ51の
貫通孔51aに跨がった状態で、円筒形をなす第1の絞
り部材61が、摺動自在に嵌入されており、また、上記
連結部材51の貫通孔51aには、上記第1の絞り部材
61に隣接した第2の絞り部材62が摺動自在に嵌入さ
れている。第1の絞り部材61は、当該第1の絞り部材
61の内周段部と連結フランジ52の凹孔との間に介在
された付勢ばね60によって、図の左方向、すなわち第
2の絞り部材62側(サイドプレート32側)に向けて
付勢されている。また、第2の絞り部材62は、当該第
2の絞り部材62のフランジ部と連結フランジ51の端
面との間に介在された付勢ばね63によって、サイドプ
レート32側へ付勢されている。 【0017】連結フランジ51の開口端近傍の内周に
は、止め輪64が係着されており、付勢ばね63によっ
て付勢された第2の絞り部材62の摺動は、止め輪64
への当接により規制されている。また、付勢ばね60に
よって付勢された第1の絞り部材61の摺動は、上記止
め輪64によって係止された第2の絞り部材62に当接
することにより規制されている。一方、止め輪64と連
結フランジ52との距離は、各絞り部材61,62の全
長を加えたものよりも所定距離だけ長くしてあるので、
これら両絞り部材61,62の摺動範囲は、上記所定距
離に限定される。 【0018】第2の絞り部材62の外周には、環状の絞
り溝65が形成されており、この絞り溝65は、第2の
絞り部材62の周壁を貫通する連通孔66により、中央
孔62aに連通されている。連結フランジ51の貫通孔
51aの内周途中部には、絞り溝54が形成されてお
り、この絞り溝54は、連通孔55を介して、環状溝3
7に連通されている。また、この絞り溝54は、第1の
絞り部材61の外周による塞がれ具合によって、第1の
絞り部材61と第2の絞り部材62との端面どうしの間
への開口面積が変化され、この開口面積は、第1の絞り
部材61の摺動に応じて変化するようにしてある。 【0019】連結フランジ51の貫通孔51aの、上記
絞り溝54よりもサイドプレート32側には、絞り溝5
6が形成されており、この絞り溝56は、連通孔57を
介して環状溝37に連通されている。連結フランジ51
の絞り溝56と、第2の絞り部材62の絞り溝65との
間の連通面積は、第2の絞り部材62の上記摺動に応じ
て変化するようにしてある。 【0020】上記環状溝37は、導油孔42、ベーン3
0aの収納溝、及び吐出油路41を介してベーンポンプ
3の各ポンプ室に連通している。また、第1の絞り部材
61の貫通孔61aは、連結フランジ51の貫通孔51
a、第2の絞り部材62の中央孔62a、サイドプレー
ト32の中抜き部及び還流孔43を介して油タンクTに
連通されている。したがって、両絞り部材61,62
は、各ポンプ室の吐出側を油タンクTに連通する吐出側
油路の中途に配されたことになり、前述の摺動に応じて
絞り溝54の開口面積の変化、及び絞り溝56と絞り溝
65との間の連通面積の変化により、絞り作用をなす可
変絞りとして機能する。 【0021】各絞り部材61,62の駆動は、保持筒5
0の外側を囲繞するように周設された駆動コイル7が形
成する磁界により自身を鉄心とするソレノイドにてなさ
れる。この鉄心としての機能は、絞り部材61,62の
全体または一部を磁性体製とすることにより実現され
る。駆動コイル7は、保持筒50をその内側に同軸回動
自在に支承する支承筒8の内側中央に嵌着されており、
この支承筒8と共に、硬質ゴム等の弾性に富む材料から
なる連結部材80を介して、車体の一部に非回転状態に
拘束されている。 【0022】この構成により駆動コイル7は、絞り部材
61,62に対する相対位置を変えることなく保持筒5
0の外周面に近接して周設される一方、前述のごとく保
持筒50が非磁性体製であることから、駆動コイル7へ
の通電により発生する磁界は、保持筒50に漏洩するこ
となく絞り部材61,62の配設位置に安定的に集中す
る。この磁界の作用により絞り部材61,62には、付
勢ばね60,63の付勢力に抗する向きの力が加わるよ
うにしてあり、駆動コイル7への通電に応じて絞り部材
61,62は、図の右方へ向けて摺動し、前記絞り面積
等が拡大される。なお、上記駆動コイル7は、印加電圧
の大小により、全負荷状態、半負荷状態及び無負荷状態
に選択的に駆動されるようにしてある。 【0023】そして、無負荷状態では、各絞り部材6
1,62は、図において最も左方位置に位置され、絞り
溝54及び絞り溝56が閉塞されている。この状態で
は、ポンプ室と油タンクTとの連通が遮断されており、
最も高い伝達特性である、図4に示すP特性が得られ
る。また、半負荷状態では、絞り溝54だけが開口され
た状態で、ポンプ室と油タンクTとが連通されることに
なり、中間の伝達特性である、図4に示すN特性が得ら
れる。さらに、全負荷状態では、両絞り溝54,56が
開口された状態で、ポンプ室と油タンクTとが連通され
ることになり、最も低い伝達特性である、図4に示すS
特性が得られる。 【0024】開度制御部10は、予め設定された制御マ
ップに従って制御を行う。例えば、車速センサ11によ
る検出車速が所定値(例えば10km/h) 以下であり、し
かも操舵角センサ12による検出舵角が大きい場合に、
駆動コイル7を駆動して、S特性を選択する。これによ
り、全,後輪の連結がルーズな状態となり、全,後輪の
旋回軌跡の差による両輪の回転速度差を無理なく吸収で
き、タイトコーナーブレーキング現象の発生を確実に防
止する。一方、車速センサ11による検出速度が零であ
るにもかかわらず、アクセル開度センサ14にてアクセ
ル開度が略全開状態であることが検出された場合(これ
は、いわゆるスタック状態である)、開度制御部10
は、P特性を選択し、前,後輪を略直結して、スタック
状態からの脱出を可能とする。 【0025】また、開度制御部10は、ABS動作に悪
影響を与えないように、適宜、P特性、N特性及びS特
性を選択するようになされている。この実施例によれ
ば、増速機構9の働きにより、前,後輪の回転速度差よ
りも大きな回転速度差を、ベーンポンプ3の入力軸1と
出力軸2との間に与えることができるので、従来と同等
の伝達トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転
速度差で得ることができ、図4の実線で示すようにトル
ク伝達の応答性を従来よりも格段に向上させることがで
きる。なお、図において破線は、増速機構を設けない従
来の場合の伝達特性を示している。 【0026】しかも、低速旋回走行時等には、開度制御
部10によって可変絞りの絞り開度を調整することによ
り、回転速度差に対して伝達トルクを低く抑え、タイト
コーナーブレーキング現象の発生を確実に防止すること
ができる。また、開度制御部10によって、制動時のA
BS動作への悪影響を回避することのできるレベルの伝
達トルク特性に調整することが可能である。 【0027】なお、この発明は、上記実施例に限定され
るものではなく、例えば、図5に示すように、トランス
ファTFとフロントデファレンシャルFDとの間にベー
ンポンプ3及び増速機構9をこの順に介在させることも
できる。その他、増速機構を、デファレンシャル内のギ
ア比の設定により、デファレンシャルと一体に構成する
こと等、この発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計
変更を施すことができる。 【0028】 【発明の効果】この発明によれば、前,後輪間の回転速
度差よりも大きな回転速度差を、油圧ポンプの入力軸と
出力軸との間に与えることができるので、従来と同等の
伝達トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転速
度差で得ることができ、トルク伝達の応答性を従来より
も格段に向上させることができるという特有の効果を奏
する。
れた油圧ポンプが両輪間の回転速度差に応じて発生する
油圧を媒介として四輪駆動状態を実現する四輪駆動車用
駆動力伝達装置に関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンの駆動力を前,後輪双方に伝達
して走行する四輪駆動車は、悪路走破性に優れているだ
けでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優れ
ていることから、急速に普及してきている。近年におい
ては、前,後輪間に回転速度差が生じたとき、この回転
速度差に応じて両輪への駆動力配分を変更する駆動力伝
達装置を備え、実質的に常時四輪駆動状態が得られるよ
うにした、いわゆるフルタイム四輪駆動車が主流となっ
ている。このような駆動力伝達装置の一つとして、前,
後輪間に介装された油圧ポンプの発生油圧を利用するも
のが知られている。これは、前,後輪の一方への伝動軸
と連動回転されるケーシング内に、他方への伝動軸と連
動回転されるロータを収納して油圧ポンプ(一般にはベ
ーンポンプ)を構成し、ケーシングとロータとの間に形
成されたポンプ室内に、両伝動軸間の回転速度差に応じ
た油圧を発生させ、この油圧を介して、前,後輪間での
駆動力伝達が行われるようにしたものである。 【0003】この際、上記相対回転の大小、すなわち
前,後輪間に生じている回転速度差の大小に対応して発
生する油圧は、ロータとケーシングとの間の相対回転を
抑止するように作用するから、この油圧を媒介として
前,後輪間の一方から他方へ、両輪間の回転速度差に応
じた駆動力が伝達されることになり、いわゆる四輪駆動
状態が実現される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この駆動力伝
達装置においては、前輪と後輪が同一回転速度で回転し
ている状態で油圧ポンプの入力軸と出力軸との回転速度
が等しくなるようにされていたので、前輪がスリップし
始めてから、前輪と後輪との間の回転速度差が所定の大
きさに到達するまでは、油圧ポンプによるトルク伝達が
ほとんど行われなかった。したがって、応答性が悪いと
いう問題があった。 【0005】ところで、走行状態に応じて適正な駆動力
伝達特性を得る目的で、油圧ポンプの吐出側油路の中途
に可変絞りを設け、走行状態に関連する複数の状態量の
組合せに基づいて上記可変絞りの絞り開度を調整する開
度制御部を設けた駆動力伝達装置が提供されている。こ
の駆動力伝達装置においては、例えば、低速旋回時には
タイトコーナーブレーキング現象の発生を防止するため
に伝達トルクを低くする一方、所要時には高い伝達トル
クを得ることが可能である。すなわち、走行状態に応じ
た複数のトルク伝達特性を選択できるという利点はあ
る。 【0006】しかしながら、このようにトルク伝達特性
を選択できる駆動力伝達装置においても、前,後輪の間
に所定の回転速度差が生じなければ、所定の伝達トルク
を得ることができないので、応答性を改善することがで
きなかった。この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、トルク伝達の応答性に優れた四輪駆動車用
駆動力伝達装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
のこの発明の四輪駆動車用駆動力伝達装置は、前,後輪
の一方への入力軸と他方への出力軸との間に介装され、
両軸間の回転速度差に応じて発生させた油圧を介して
前,後輪間にトルク伝達を行う油圧ポンプと、この油圧
ポンプの吐出側に配置され、絞り開度の変更により、上
記油圧を媒介とする前,後輪への駆動力伝達特性を変更
する可変絞りと、走行状態に関連する複数の状態量の組
合せに基づいて、可変絞りの絞り開度を調整する開度制
御部とを備えた四輪駆動車用駆動力伝達装置において、
上記油圧ポンプの出力軸と他方の車輪との間に介在し、
出力軸の回転を他方の車輪側の回転に対して増速する増
速機構を備え、前、後輪間の回転速度差よりも大きな回
転速度差を上記油圧ポンプの入力軸と出力軸との間に与
えるとともに、油圧ポンプの発生するトルクのみが前,
後輪間に伝達され伝達され、上記開度制御部は、ABS
動作に悪影響を与えないよう油圧ポンプの入力軸と出力
軸との間の回転速度差が大きくなるにつれて伝達トルク
の増加を抑えるように可変絞りの絞り開度を調整するこ
とを特徴とするものである。 【0008】 【作用】上記構成の四輪駆動車用駆動力伝達装置によれ
ば、増速機構が、油圧ポンプの出力軸に連結された車輪
の回転を、上記出力軸の回転に対して増速する。逆にい
うと、出力軸は、当該出力軸に連結された車輪の回転を
減速した状態で回転される。したがって、前,後輪が同
一速度で回転している状態でも、油圧ポンプの入力軸と
出力軸との間に所定の回転速度差を与えられており、
前,後輪間に回転速度差が生じた状態では、この回転速
度差がさらに付加されて、上記入力軸と出力軸との間に
与えられることになる。したがって、従来と同等の伝達
トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転速度差
で得ることができ、トルク伝達の応答性を従来よりも格
段に向上させることができる。 【0009】 【実施例】以下、実施例を示す添付図面に基づいて説明
する。図2は、この発明の一実施例としての四輪駆動車
用駆動力伝達装置(以下、単に駆動力伝達装置という)
を含む車両の駆動経路を示す概略構成図である。同図を
参照して、この実施例は、本発明を、いわゆるFR(後
輪駆動車)ベース四輪駆動車に適用した場合を示してい
る。図2において、この駆動力伝達装置Aは、エンジン
Eの駆動力をトランスミッションTMを介してリヤデフ
ァレンシャルRDへ伝えるためのプロペラシャフトを入
力軸1として構成すると共に、出力軸2をリヤデファレ
ンシャルRD側に配置し、両軸間の回転速度差に応じた
油圧を発生させる油圧ポンプとしてのベーンポンプ3
と、このベーンポンプ3の出力軸2とリヤデファレンシ
ャルRDとの間に介在し、後輪R側の回転を出力軸2側
の回転に対して増速する増速機構9とを備えている。上
記増速機構9は、例えば遊星ギア機構、その他の公知の
ギア機構により構成されている。図において、Kは、後
述する開度制御部10を含み、エンジンその他の部分の
動作を制御する制御部である。開度制御部10には、車
速センサ11、操舵角センサ12、ブレーキセンサ1
3、アクセル開度センサ14、その他各種の走行状態検
出センサからの検出信号が入力されるようになっている
(図3参照)。 【0010】図1は上記駆動力伝達装置Aの縦断面図で
ある。同図を参照して、ベーンポンプ3の円筒形をなす
ロータ30は、外周面から半径方向に所定の深さを有す
る複数の収納溝を周方向に等配に形成し、これらの収納
溝それぞれに矩形平板形のベーン30aを半径方向への
進退自在に収納した公知の構成からなる。各ベーン30
aとこれの収納溝の底部との間には、ベーン30aを半
径方向外向きに付勢する圧縮コイルばね30bが介装さ
れている。ベーンポンプ3のケーシングは、ロータ30
を内包すると共に、一対の環状のサイドプレート32,
33によって挟持されて、ロータ30との間に複数のポ
ンプ室を形成したカムリング31と、上記サイドプレー
ト32,33及び押さえ板34を備え、これらを厚さ方
向に貫通してサイドプレート32に螺合する複数本の固
定ボルト35によって一体回転可能に連結されている。 【0011】これにより、カムリング31の内側には、
サイドプレート32とサイドプレート33とにて両側を
囲繞された空洞部が形成され、上記ロータ30は、この
空洞部内に収容されている。ロータ30の回転軸である
ロータ軸4は、サイドプレート32,33の中抜き部に
サイドプレート33側から挿入されており、図示のごと
くカムリング31の両側において玉軸受によって支承さ
れている。 【0012】ロータ30は、これらの支承位置間にてロ
ータ軸4にスプライン結合されており、ロータ軸4の回
転に伴いベーン30aの先端をカムリング31の内周に
押しつけつつ回転する。カムリング31の内周は、円形
の周囲に複数箇所の凹所を形成してなる横断面形状を有
しており、これらの凹所の形成位置にロータ30の外周
とにて囲まれた複数のポンプ室が形成されている。 【0013】上記入力軸1は、サイドプレート33側に
突出するロータ軸4の端部に連結してあり、また出力軸
2は、後述のごとく構成された連結部材5を介してサイ
ドプレート32の外側面に連結してある。これにより、
ロータ30は、入力軸1の回転に連動し、サイドプレー
ト33をその一部とするケーシングは、出力軸2の回転
と連動するから、ロータ30とカムリング31との間に
は、入力軸1と出力軸2との間の回転速度差に応じた相
対回転が生ずる。一方、出力軸2と後輪Rとの間には、
上記増速機構9が介在させてあるので、入力軸1と出力
軸2との間には、後輪Rの回転を減速したものと前輪F
との回転速度差に応じた相対回転が生ずることになる。 【0014】ケーシングの外側には、薄肉の筒体36が
嵌着してあり、この筒体36とケーシングの外周との間
に、環状の油タンクTが形成されている。この油タンク
T内には、ベーンポンプ3の作動油が封入されている。
ベーンポンプ3の各ポンプ室は、押さえ板34及びサイ
ドプレート33の円板部を厚さ方向に貫通し、上記ポン
プ室への流入のみをを許容するチェックバルブをその中
途に嵌装してなる各別の吸込油路40により、油タンク
Tに連通させてある。 【0015】サイドプレート32には、各ポンプ室内に
その一端を開口させ、半径方向内側に折り返してベーン
30aの収納溝の底部に連なり、各ポンプ室からの流出
のみを許容するチェックバルブをその中途に嵌装してな
る各別の吐出油路41が形成されている。また、サイド
プレート32には、これを厚さ方向に貫通する導油孔4
2と、同じく半径方向に貫通する還流孔43が形成され
ている。導油孔42の一端は、前記収納溝の底部に連通
するべくサイドプレート32の内側面に開口され、他端
は、後述する連結フランジ51に形成された環状溝37
に連通するべくサイドプレート32の外側面に開口され
ている。これにより、導油孔42は、収納溝の底部を環
状溝37に連通させている。また、還流孔43は、サイ
ドプレート32の中抜き部を油タンクTに連通させてい
る。 【0016】図3は、後述するように前,後輪への駆動
力伝達特性を変更するための可変絞りを構成する可変絞
り機構6の拡大断面図である。連結部材5は,一対の連
結フランジ51,52間に非磁性体製の保持筒50を、
複数本の固定ボルト53にて挟持固定している。一方の
連結フランジ51は、サイドプレート32の外側面に同
軸的に固定されていると共に、他方の連結フランジ52
は、出力軸2の端部に同軸的に固定されており、これに
より、連結部材5は、ベーンポンプ3のケーシングと出
力軸2とを連結している。連結フランジ51は、保持筒
50の内周に整合する貫通孔51aをその軸心部に備え
ている。上記保持筒50の内部及び連結フランジ51の
貫通孔51aに跨がった状態で、円筒形をなす第1の絞
り部材61が、摺動自在に嵌入されており、また、上記
連結部材51の貫通孔51aには、上記第1の絞り部材
61に隣接した第2の絞り部材62が摺動自在に嵌入さ
れている。第1の絞り部材61は、当該第1の絞り部材
61の内周段部と連結フランジ52の凹孔との間に介在
された付勢ばね60によって、図の左方向、すなわち第
2の絞り部材62側(サイドプレート32側)に向けて
付勢されている。また、第2の絞り部材62は、当該第
2の絞り部材62のフランジ部と連結フランジ51の端
面との間に介在された付勢ばね63によって、サイドプ
レート32側へ付勢されている。 【0017】連結フランジ51の開口端近傍の内周に
は、止め輪64が係着されており、付勢ばね63によっ
て付勢された第2の絞り部材62の摺動は、止め輪64
への当接により規制されている。また、付勢ばね60に
よって付勢された第1の絞り部材61の摺動は、上記止
め輪64によって係止された第2の絞り部材62に当接
することにより規制されている。一方、止め輪64と連
結フランジ52との距離は、各絞り部材61,62の全
長を加えたものよりも所定距離だけ長くしてあるので、
これら両絞り部材61,62の摺動範囲は、上記所定距
離に限定される。 【0018】第2の絞り部材62の外周には、環状の絞
り溝65が形成されており、この絞り溝65は、第2の
絞り部材62の周壁を貫通する連通孔66により、中央
孔62aに連通されている。連結フランジ51の貫通孔
51aの内周途中部には、絞り溝54が形成されてお
り、この絞り溝54は、連通孔55を介して、環状溝3
7に連通されている。また、この絞り溝54は、第1の
絞り部材61の外周による塞がれ具合によって、第1の
絞り部材61と第2の絞り部材62との端面どうしの間
への開口面積が変化され、この開口面積は、第1の絞り
部材61の摺動に応じて変化するようにしてある。 【0019】連結フランジ51の貫通孔51aの、上記
絞り溝54よりもサイドプレート32側には、絞り溝5
6が形成されており、この絞り溝56は、連通孔57を
介して環状溝37に連通されている。連結フランジ51
の絞り溝56と、第2の絞り部材62の絞り溝65との
間の連通面積は、第2の絞り部材62の上記摺動に応じ
て変化するようにしてある。 【0020】上記環状溝37は、導油孔42、ベーン3
0aの収納溝、及び吐出油路41を介してベーンポンプ
3の各ポンプ室に連通している。また、第1の絞り部材
61の貫通孔61aは、連結フランジ51の貫通孔51
a、第2の絞り部材62の中央孔62a、サイドプレー
ト32の中抜き部及び還流孔43を介して油タンクTに
連通されている。したがって、両絞り部材61,62
は、各ポンプ室の吐出側を油タンクTに連通する吐出側
油路の中途に配されたことになり、前述の摺動に応じて
絞り溝54の開口面積の変化、及び絞り溝56と絞り溝
65との間の連通面積の変化により、絞り作用をなす可
変絞りとして機能する。 【0021】各絞り部材61,62の駆動は、保持筒5
0の外側を囲繞するように周設された駆動コイル7が形
成する磁界により自身を鉄心とするソレノイドにてなさ
れる。この鉄心としての機能は、絞り部材61,62の
全体または一部を磁性体製とすることにより実現され
る。駆動コイル7は、保持筒50をその内側に同軸回動
自在に支承する支承筒8の内側中央に嵌着されており、
この支承筒8と共に、硬質ゴム等の弾性に富む材料から
なる連結部材80を介して、車体の一部に非回転状態に
拘束されている。 【0022】この構成により駆動コイル7は、絞り部材
61,62に対する相対位置を変えることなく保持筒5
0の外周面に近接して周設される一方、前述のごとく保
持筒50が非磁性体製であることから、駆動コイル7へ
の通電により発生する磁界は、保持筒50に漏洩するこ
となく絞り部材61,62の配設位置に安定的に集中す
る。この磁界の作用により絞り部材61,62には、付
勢ばね60,63の付勢力に抗する向きの力が加わるよ
うにしてあり、駆動コイル7への通電に応じて絞り部材
61,62は、図の右方へ向けて摺動し、前記絞り面積
等が拡大される。なお、上記駆動コイル7は、印加電圧
の大小により、全負荷状態、半負荷状態及び無負荷状態
に選択的に駆動されるようにしてある。 【0023】そして、無負荷状態では、各絞り部材6
1,62は、図において最も左方位置に位置され、絞り
溝54及び絞り溝56が閉塞されている。この状態で
は、ポンプ室と油タンクTとの連通が遮断されており、
最も高い伝達特性である、図4に示すP特性が得られ
る。また、半負荷状態では、絞り溝54だけが開口され
た状態で、ポンプ室と油タンクTとが連通されることに
なり、中間の伝達特性である、図4に示すN特性が得ら
れる。さらに、全負荷状態では、両絞り溝54,56が
開口された状態で、ポンプ室と油タンクTとが連通され
ることになり、最も低い伝達特性である、図4に示すS
特性が得られる。 【0024】開度制御部10は、予め設定された制御マ
ップに従って制御を行う。例えば、車速センサ11によ
る検出車速が所定値(例えば10km/h) 以下であり、し
かも操舵角センサ12による検出舵角が大きい場合に、
駆動コイル7を駆動して、S特性を選択する。これによ
り、全,後輪の連結がルーズな状態となり、全,後輪の
旋回軌跡の差による両輪の回転速度差を無理なく吸収で
き、タイトコーナーブレーキング現象の発生を確実に防
止する。一方、車速センサ11による検出速度が零であ
るにもかかわらず、アクセル開度センサ14にてアクセ
ル開度が略全開状態であることが検出された場合(これ
は、いわゆるスタック状態である)、開度制御部10
は、P特性を選択し、前,後輪を略直結して、スタック
状態からの脱出を可能とする。 【0025】また、開度制御部10は、ABS動作に悪
影響を与えないように、適宜、P特性、N特性及びS特
性を選択するようになされている。この実施例によれ
ば、増速機構9の働きにより、前,後輪の回転速度差よ
りも大きな回転速度差を、ベーンポンプ3の入力軸1と
出力軸2との間に与えることができるので、従来と同等
の伝達トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転
速度差で得ることができ、図4の実線で示すようにトル
ク伝達の応答性を従来よりも格段に向上させることがで
きる。なお、図において破線は、増速機構を設けない従
来の場合の伝達特性を示している。 【0026】しかも、低速旋回走行時等には、開度制御
部10によって可変絞りの絞り開度を調整することによ
り、回転速度差に対して伝達トルクを低く抑え、タイト
コーナーブレーキング現象の発生を確実に防止すること
ができる。また、開度制御部10によって、制動時のA
BS動作への悪影響を回避することのできるレベルの伝
達トルク特性に調整することが可能である。 【0027】なお、この発明は、上記実施例に限定され
るものではなく、例えば、図5に示すように、トランス
ファTFとフロントデファレンシャルFDとの間にベー
ンポンプ3及び増速機構9をこの順に介在させることも
できる。その他、増速機構を、デファレンシャル内のギ
ア比の設定により、デファレンシャルと一体に構成する
こと等、この発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計
変更を施すことができる。 【0028】 【発明の効果】この発明によれば、前,後輪間の回転速
度差よりも大きな回転速度差を、油圧ポンプの入力軸と
出力軸との間に与えることができるので、従来と同等の
伝達トルクを、従来よりも小さい、前,後輪間の回転速
度差で得ることができ、トルク伝達の応答性を従来より
も格段に向上させることができるという特有の効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例としての四輪駆動車用駆動
力伝達装置の縦断面図である。。 【図2】四輪駆動車用駆動力伝達装置を含む車両の駆動
経路を示す概略構成図である。 【図3】四輪駆動車用駆動力伝達装置の要部縦断面図で
ある。 【図4】駆動力伝達特性を示すグラフである。 【図5】この発明の他の実施例の四輪駆動車用駆動力伝
達装置を含む車両の駆動経路を示す概略構成図である。 【符号の説明】 1 入力軸 2 出力軸 3 ベーンポンプ(油圧ポンプ) 6 可変絞り機構 9 増速機構 10 開度制御部 F 前輪 R 後輪
力伝達装置の縦断面図である。。 【図2】四輪駆動車用駆動力伝達装置を含む車両の駆動
経路を示す概略構成図である。 【図3】四輪駆動車用駆動力伝達装置の要部縦断面図で
ある。 【図4】駆動力伝達特性を示すグラフである。 【図5】この発明の他の実施例の四輪駆動車用駆動力伝
達装置を含む車両の駆動経路を示す概略構成図である。 【符号の説明】 1 入力軸 2 出力軸 3 ベーンポンプ(油圧ポンプ) 6 可変絞り機構 9 増速機構 10 開度制御部 F 前輪 R 後輪
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】前,後輪の一方への入力軸と他方への出力
軸との間に介装され、両軸間の回転速度差に応じて発生
させた油圧を介して前,後輪間にトルク伝達を行う油圧
ポンプと、 この油圧ポンプの吐出側に配置され、絞り開度の変更に
より、上記油圧を媒介とする前,後輪への駆動力伝達特
性を変更する可変絞りと、 走行状態に関連する複数の状態量の組合せに基づいて、
可変絞りの絞り開度を調整する開度制御部とを備えた四
輪駆動車用駆動力伝達装置において、 上記油圧ポンプの出力軸と他方の車輪との間に介在し、
出力軸の回転を他方の車輪側の回転に対して増速する増
速機構を備え、前、後輪間の回転速度差よりも大きな回
転速度差を上記油圧ポンプの入力軸と出力軸との間に与
えるとともに、 油圧ポンプの発生するトルクのみが前,後輪間に伝達さ
れ、 上記開度制御部は、ABS動作に悪影響を与えないよう
油圧ポンプの入力軸と出力軸との間の回転速度差が大き
くなるにつれて伝達トルクの増加を抑えるように可変絞
りの絞り開度を調整する ことを特徴とする四輪駆動車用
駆動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30462591A JP3467278B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30462591A JP3467278B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05139178A JPH05139178A (ja) | 1993-06-08 |
JP3467278B2 true JP3467278B2 (ja) | 2003-11-17 |
Family
ID=17935283
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30462591A Expired - Fee Related JP3467278B2 (ja) | 1991-11-20 | 1991-11-20 | 四輪駆動車用駆動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3467278B2 (ja) |
-
1991
- 1991-11-20 JP JP30462591A patent/JP3467278B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05139178A (ja) | 1993-06-08 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
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