JP2910939B2 - 縦型溶解炉の運転制御方法 - Google Patents

縦型溶解炉の運転制御方法

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JP2910939B2
JP2910939B2 JP41056490A JP41056490A JP2910939B2 JP 2910939 B2 JP2910939 B2 JP 2910939B2 JP 41056490 A JP41056490 A JP 41056490A JP 41056490 A JP41056490 A JP 41056490A JP 2910939 B2 JP2910939 B2 JP 2910939B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属塊の如き原材料を
投入して一定の流出量の溶解物を得るようにした縦型溶
解炉の運転を制御する方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】縦型溶解炉は、金属塊の如き原材料が投
入される投入口と溶解物を流出する流出口とを有する炉
本体と、この炉本体内に多段に配置された複数の燃焼バ
ーナから成る燃焼手段とを備えており、原材料は、これ
らの複数の燃焼バーナによって溶解されながら流出口か
ら流出する。炉本体の流出口から流出した溶解物は、傾
斜する溶解物通路を通って溶解物の保持炉内に蓄積さ
れ、この保持炉から適宜の加工手段に導かれる。
【0003】一方、縦型溶解炉は、未溶解原材料が炉壁
から落下して炉の流出口を閉塞し、このため溶解物の流
出口からの流出量が減少するように溶解物が停滞する流
出口詰まり異常が発生することがある。また、炉内の炉
壁に未溶解材料がブリッジ状に引っ掛かって溶解物の流
出量が減少する棚吊り異常が発生することがある。
【0004】従来技術では、作業者が溶解炉の流出口か
らの溶解物の流出量又は保持炉内の溶解物の蓄積量を直
接目視で監視し、溶解物の流出量又は蓄積量が減少した
場合には、作業者の経験的な判断によって複数の燃焼バ
ーナの強弱を同時に調節して溶解物の流出量を一定範囲
に維持するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来技術
では、作業者の経験的な判断に頼って燃焼バーナの強弱
を調節するので作業者の熟練度によっては運転制御が不
安定となり、また溶解物の流出量が多くなったり少なく
なったりして溶解炉を安定して運転することができない
ので、多量のエネルギーが消費されて非効率的であっ
た。また、この従来技術では、作業者が溶解物の流出量
又は保持量を目視で常に監視していなければならないの
で作業性が低い欠点があった。
【0006】本発明の1つの目的は、作業者の経験的な
判断を必要とすることなく、且つ最小のエネルギー消費
で一定流出量の溶解物を得ることができる縦型溶解炉の
運転制御方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、作業者が溶解物の流
出量又は蓄積量を監視することなく、常に一定流出量の
溶解物を得ることができる縦型溶解炉の運転制御方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの課題解決
手段は、多段に配置された複数の燃焼バーナから成る燃
焼手段を有する縦型溶解炉を運転するに際して、これら
の複数の燃焼バーナの燃焼強さを上段から下段に向けて
順次強くなり又は弱くなるように傾斜させて調節する縦
型溶解炉の運転制御方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の課題解決手段は、上記の1つ
の課題解決手段において、複数の燃焼バーナの燃焼強さ
及びその傾斜を縦型溶解炉の溶解物の流出量又は蓄積量
からのフィードバック信号に基づいて定める縦型溶解炉
の運転制御方法を提供することにある。
【0010】
【作用】このように、縦型溶解炉の複数の燃焼バーナの
燃焼強さを上段から下段に向けて順次強くなる燃焼パタ
ーンと上段から下段に向けて順次弱くなる燃焼パターン
とを用いて、溶解物の流出量又は蓄積量が減少し又は増
加した場合に、これらの燃焼パターン又は燃焼強さを調
節すると、燃焼バーナから原材料に対し熱が有効に転移
し、熱エネルギーを無駄に浪費することがない。また、
溶解物の流出量又は蓄積量が減少した場合に、いずれか
の燃焼パターンに切替え、それに応じて溶解物の流出量
がどのように変化するかを見極めながら溶解炉の運転を
制御することによって溶解物の流出量を一定に維持する
ことができる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細にのべ
ると、図1は本発明の方法を実施するのに用いられる縦
型溶解炉制御装置10を示す。縦型溶解炉12は、金属
塊の如き原材料14が投入される投入口16と溶解物が
流出する流出口18とを有する炉本体20と、この炉本
体20内に多段に配置された複数の燃焼バーナ、図示の
実施例では3つの燃焼バーナ22A、22B、22Cか
ら成る燃焼手段24とを備えている。
【0012】燃焼バーナ22Aには燃料供給源42から
モータ駆動弁26を介して所定圧の燃料(燃焼ガス)が
供給され、モータ駆動弁26はモータ28よって駆動さ
れる。同様にして、燃焼バーナ22B、22Cも図示し
ない同様のモータ駆動弁を介して所定圧の燃料が供給さ
れる。尚、各燃焼バーナの燃焼圧は、各バーナに燃料を
分配するマニホルド30から圧力センサ32によって検
出される。
【0013】溶解炉12の燃焼状態を制御するためモー
タ駆動弁26のモータに制御信号Sa、Sb、Scをそ
れぞれ供給する制御手段34を備え、この制御手段34
は、コンピュータの如きCPUから成っている。このC
PUは、後にのべるように、例えば溶解物の貯蔵量の変
化から燃焼手段24の燃焼状態を定めるように制御信号
Sa、Sb、Scを調整する。
【0014】原材料14は、炉本体20内でこれらの複
数の燃焼バーナ22A、22B、22Cによって溶解さ
れながら流出口18から流出する。このように炉本体2
0の流出口18から流出した溶解物は、溶解物通路36
を通って溶解物の保持炉38内に蓄積され、この保持炉
38から適宜の加工手段に導かれる。保持炉38は、図
示しない炉傾転手段によって傾転自在に支持されてお
り、この傾転角度を調節することによって内部に保持す
ることができる溶解物の量を変化することができ、また
この傾転角度を調節して保持炉38から流出する溶解物
の流出量を制御している。
【0015】制御装置10は、流出口18から流出する
溶解物の流出量又は保持炉38内の溶解物の蓄積量を検
出する溶解物検出手段40を備えている。図示の実施例
では、この溶解物検出手段40は、保持炉38内の溶解
物の蓄積量を検出している。この溶解物検出手段40
は、例えば保持炉38の蓄積重量を直接測定して溶解物
の流出量を検出してもよいし、保持炉38の傾転角度を
エンコーダとカウンタとによって間接的に測定して溶解
物の流出量を検出してもよい。このようにして検出され
た溶解物の流出量に相応する溶解物信号Sfは、制御手
段34に入力される。
【0016】尚、図1から解るように、CPUには燃料
供給源42と各燃焼バーナ22A乃至22Cに分岐され
る分岐管21A乃至21Cの手前との間に設けられてす
べての燃焼バーナ22A乃至22Cに供給される燃料
(燃焼ガス)の流量を検出する流量計44と、この流量
計44に応じて燃料消費量に相応する燃料信号Sfuを
発生する燃料消費量計測回路46とを備え、制御手段3
4は、この燃料消費量計測回路46から燃料信号Sfu
を入力して燃料の単位消費量当りの溶解物貯蔵量を演算
することができるようになっている。
【0017】本発明の方法は、溶解物信号Sfの変化に
応じて燃焼手段24の複数の燃焼バーナの燃焼強さを変
えたり、これらの燃焼バーナの燃焼パターンを切替え
る。この燃焼パターンは、図2に示すように、複数の燃
焼バーナ22A乃至22Cの燃焼強さが上段から下段に
向けて順次強くなるように傾斜する第1の燃焼パターン
と、図3に示すように複数の燃焼バーナ22A乃至22
Cの燃焼強さが上段から下段に向けて順次弱くなるよう
に傾斜する第2の燃焼パターンとを含み、CPUは、溶
解物の貯蔵量の変化に応じていずれかの燃焼パターンに
切替え、又は同じ燃焼パターンでその燃焼強さを変え
る。尚、図2及び図3において燃焼バーナ22A乃至2
2Cの矢印の長さは燃焼強さに比例して示されている。
【0018】次に、本発明の方法を図2及び図3を参照
して詳細にのべると、溶解炉12に投入口16を通して
原材料14を投入し、燃焼手段24を駆動して溶解炉1
2を始動する。この溶解炉の始動時から通常状態までの
すべての運転は、制御手段34によって制御される。溶
解炉12の始動時には、制御手段34は、すべての燃焼
バーナ22A乃至22Cを同じ燃焼強さで且つ大きな燃
焼強さで駆動するようにモータ駆動弁26の開度を調整
する。
【0019】溶解炉12から溶解物が流出し、保持炉3
8内の溶解物が所定の蓄積量になり、更にその後溶解物
の蓄積量が増加すると、制御手段34はそれに相応した
溶解物信号Sfを受け、燃焼バーナ22A乃至22Cを
推定的に第1又は第2の燃焼パターンのいずれかに仮調
整するように制御信号Sa乃至Scを出力する。それで
もなお溶解物の蓄積量が増加する傾向があれば、同じ燃
焼パターンで燃焼バーナA乃至22Cの燃焼強さを小さ
くするように制御する。一定時間経過後に、溶解物が未
だ増加する傾向があれば、制御手段34は、燃焼パター
ンを変えないで燃焼バーナ22A乃至22Cの燃焼強さ
を更に小さくするように制御する。
【0020】 逆に、溶解物の蓄積量が減少する傾向が
あって、制御手段34がそれに相応する溶解物信号Sf
を受けると、制御手段34は、燃焼パターンを切替える
ように制御信号Sa乃至Scを出力する。これは、溶解
物信号Sfの減少が溶解炉12の流出口詰まりと棚吊り
との異常のいずれかを仮定して前者なら第1の燃焼パタ
ーン(図2)に切替え、後者なら第2の燃焼パターン
(図3)に切替えるように行われる。尚、この切替えと
同時に、新しい燃焼パターンでその燃焼強さを大きくす
る。一定時間経過後、溶解物の蓄積量が更に減少する傾
向があれば、制御手段34は、他の燃焼パターンを切替
えてその燃焼強さを大きくするように制御信号Sa乃至
Scを出力する。
【0021】また、新しい燃焼パターンに切替えた結
果、溶解物の蓄積量が増加する傾向にあることが検出さ
れれば、制御手段34は、この新しい燃焼パターンが溶
解物の流出量の減少原因である流出口詰まり又は棚吊り
を解消するのに最適であることが判断され、従ってこの
溶解物の蓄積量が所定の値を越えれば、同じ燃焼パター
ンでその燃焼強さを小さくするように制御信号Sa乃至
Scを出力する。
【0022】このようにして、溶解物の蓄積量が減少す
れば、現在の燃焼パターンが不適当であると判断して燃
焼パターンを切替え、また溶解物の蓄積量が増加すれ
ば、現在の燃焼パターンが最適であると判断してこの燃
焼パターンを維持し、蓄積量の増加が続けば、同じ燃焼
パターンでその燃焼強さを小さくすることによって所定
量の溶解物を得ることができる。
【0023】この場合、いずれの燃焼パターンでも複数
の燃焼バーナ22A乃至22Cを上段から下段に向けて
燃焼強さを大きく又は小さくなるように傾斜すると、す
べての燃焼バーナ22A乃至22Cを同じ燃焼強さに維
持する場合に比べて極めて高い燃焼効率で運転すること
ができる。即ち、図2の第1の燃焼パターンは、下段で
燃焼強さが大きく、所謂流出口詰まりに有効な燃焼パタ
ーンであり、また図3の第2の燃焼パターンは、上段で
燃焼強さが大きく、所謂棚吊り異常に有効な燃焼パター
ンである。そして溶解物の流出量(蓄積量)の減少は、
このいずれかの異常によるものであり、従って溶解物の
蓄積量の減少に伴って燃焼パターンを切替え、切替え後
溶解物が増加傾向に転ずれば、その後は同じ燃焼パター
ンで燃焼強さのみを調整して一定流出量の溶解物を得る
ことができる。
【0024】尚、制御手段34は、溶解物の蓄積量に相
応する溶解物信号Sf及び燃料消費量に相応する燃料信
号Sfuを例えば10分のように一定時間毎に受け、溶
解物蓄積量と目標値との差及び溶解物蓄積量の時間的変
化率を計算し、燃焼パターン及びその強さを指示する制
御信号Sa乃至Scを決定する。また、溶解物信号Sf
に応じて制御手段34が第1と第2のいずれの燃焼パタ
ーンに切替え、また燃焼強さをどの程度にするかはファ
ジー演算で求めることができる。このファジー演算に際
しては、例えば保持炉の溶解物蓄積量の実際値と目標値
との差、溶解物の蓄積量の変化速度、2つの燃焼パター
ンのいずれかにある燃焼バーナ22A乃至22Cの開度
の3つの評価関数に基づいてルールを構築することがで
きる。更に、上記実施例では、溶解物の流出量を保持炉
38内の蓄積量から求めたが、溶解物の流出量を直接検
出してもよいことはもちろんである。
【0025】図4及び図5は本発明の方法によって溶解
物信号Sfに相応して燃焼パターン及びその強さを調整
して一定量の溶解物を得る場合に消費された燃料総消費
量(燃料信号Sfu)の変化状態と従来の方法によって
一定量の溶解物を得る場合に消費された燃料総消費量
(燃料信号Sfu)の変化状態とをそれぞれ示す。尚、
従来の方法では、燃焼バーナA乃至22Cをすべて同じ
強さになるようにして溶解物信号Sfに応じてその強さ
を調整した。これらの図から解るように、本発明の方法
によれば、燃料総消費量は従来の方法に比べて極めて少
なく、実際の計算の結果、本発明の燃料総消費量は従来
のそれに比べて3%少ないことが確認された。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、上記のように、縦型溶
解炉の複数の燃焼バーナの燃焼強さを上段から下段に向
けて順次大きくなる燃焼パターンと上段から下段に向け
て順次小さくなる燃焼パターンとを用いて、溶解物の流
出量又は蓄積量が減少し又は増加した場合に、これらの
燃焼パターン及び燃焼強さを調節するので、燃焼バーナ
から原材料に対し熱が有効に転移するため、少ない燃料
消費量で効率よく溶解炉を運転することができ、また溶
解物の流出量又は蓄積量の変化に応じていずれかの燃焼
パターンに切替え、それに応じて溶解物の流出量がどの
ように変化するかを見極めながら溶解炉の運転を制御す
るので作業者が溶解炉の溶解物流出量又は蓄積量を目視
しながら経験的に作業する必要がなく、溶解炉を安定に
運転することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する装置の概略系統図であ
る。
【図2】本発明の第1の燃焼パターンの概略図である。
【図3】本発明の第2の燃焼パターンの概略図である。
【図4】本発明の方法によって制御された縦型溶解炉に
用いられた燃料消費量の変化状態を示す線図である。
【図5】従来技術の方法によって制御された縦型溶解炉
に用いられた燃料消費量の変化状態を示す線図である。
【符号の説明】
10 縦型溶解炉制御装置 12 縦型溶解炉 14 原材料 16 投入口 18 流出口 20 炉本体 22A乃至22C 燃焼バーナ 24 燃焼手段 34 制御手段 38 保持炉 40 溶解物検出手段 42 燃料供給源 44 流量計 Sa乃至Sc 制御信号 Sf 溶解物信号 Sfu 燃料信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−291490(JP,A) 特開 平4−17632(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F27B 1/00 - 1/28 F27D 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多段に配置された複数の燃焼バーナから
    成る燃焼手段を有する縦型溶解炉の運転を制御する方法
    において、前記燃焼手段の複数の燃焼バーナの燃焼強さ
    を上段から下段に向けて順次強くなり又は弱くなるよう
    に傾斜させて調節することを特徴とする縦型溶解炉の運
    転制御方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の燃焼バーナの燃焼強さ及びそ
    の傾斜を前記溶解物の流出量又は蓄積量からのフィード
    バック信号に基づいて定めることを特徴とする請求項1
    に記載の縦型溶解炉の運転制御方法。
JP41056490A 1990-12-14 1990-12-14 縦型溶解炉の運転制御方法 Expired - Lifetime JP2910939B2 (ja)

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US4830302A (en) * 1983-04-08 1989-05-16 E. I. Du Pont De Nemours And Company Film winding apparatus
US4850545A (en) * 1983-12-08 1989-07-25 E. I. Du Pont De Nemours And Company Apparatus for winding film
US4832274A (en) * 1987-03-05 1989-05-23 E. I. Du Pont De Nemours And Company Film winding apparatus and method

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