JP2908723B2 - 巻きトランス用鉄基非晶質合金薄帯 - Google Patents
巻きトランス用鉄基非晶質合金薄帯Info
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Description
として好適な鉄基非晶質合金薄帯に関し、とくにそのビ
ルディングファクターの向上を図ったものである。
公報および同57−137451号公報に開示されているよう
に、Fe−B−Si系等の溶融合金を単ロール法等に従い、
高速で回転する冷却ロールの表面に射出し 105〜106 ℃
/s程度の冷却速度で急冷凝固させると、板厚が数十μ
m 程度で、原子の配列が無秩序ないわゆる非晶質合金薄
帯が得られる。このような非晶質合金薄帯は、磁化され
易く、鉄損等いわゆる磁気特性に優れることから、トラ
ンス用鉄心材料として一部実用化されるに至っている。
非晶質合金薄帯は、ある程度低い鉄損値は得られるもの
の、その改善効果には限度があり、3元系ではそれ以上
低い鉄損は期待できないという問題があった。
成分として種々の元素の添加が試みられている。例え
ば、特公平1-54422号公報には、鉄損が低くかつ絶縁被
膜処理性に優れた鉄基非晶質合金として、Fe−B−Si系
にMn, Ni等を 0.5〜3at%添加したものが提案されてい
る。また特開昭62−192560号公報には、Fe−B−Si系に
Cr, Mo, Ta, Mn, Ni, Co,V,NbおよびWのうちから選
んだ1種または2種以上を0.05〜5at%含有させ、さら
に圧延等の処理により表面粗さを調整した非晶質合金が
提案されている。
は、積層した際の層間絶縁の改善、また特開昭62−1925
60号公報では、同じく積層した際の占積率の改善につい
て言及されているのみで、巻き加工を施した後の磁気特
性については何ら考慮が払われていない。
B−Si系にSnを添加することによって、鉄損・透磁率を
劣化させることなしに、高飽和磁束密度を達成した合金
およびそれを用いた鉄心の製造方法が提案されている。
その中での鉄損の評価は、トロイダル形状での例が示さ
れているが、いずれもW13/50 で0.2 W/kg以上と比較的
大きく、最近の厳しい要求特性を考慮すると、十分とは
言えないところに問題を残していた。
題を有利に解決するもので、単板での磁気特性に優れる
のはいうまでもなく、巻きコア(円形コアおよび非円形
コアの両者を含む)に加工後の磁気特性にも優れたすな
わちビルディングファクターの小さい鉄基非晶質合金薄
帯を提案することを目的とする。
B−Si系鉄基非晶質合金薄帯を巻きコアに加工後の鉄損
の改善策の指針として、加工時の歪に注目し、第4元素
の添加による鉄損の歪依存性について鋭意研究を重ね
た。その結果、(1) 圧縮応力を材料に加えると一般に磁
気特性が劣化する、(2) Mn添加により圧縮応力下での磁
気特性の劣化が比較的低減する、(3) Mnを添加した材料
では巻きコアに加工後の鉄損が改善される、(4) 特にMn
を添加した材料では、半径が50mm以下の曲げ加工を含む
巻きコア加工を施した場合でも鉄損の改善効果が劣化し
ないことの知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚
するものである。
板における鉄損値の比(ビルディングファクター)が
1.5以下であることを特徴とする巻きトランス用鉄基非
晶質合金薄帯である。
を含む巻きコア加工を施した場合であっても、良好な鉄
損特性を得ることができる。
果について説明する。図1に、Fe79-dB13Si8Mnd 組成の
鉄基非晶質合金薄帯のMn量と磁気特性との関係について
調べた結果を、また図2には、上記薄帯のMn量と、0.3
kg/mm2の圧縮応力を長手方向に加えた時の鉄損値を圧縮
応力が0kg/mm2の時の鉄損値で割った値(いずれも 1.3
T, 50Hz励磁)との関係について調べた結果を示す。な
お、上記の非晶質合金薄帯の寸法ははいずれも、厚さ:
25μm 、幅:20mmであり、 390℃、1hの磁場中焼鈍を
施した後の鉄損値について測定した。図1,2から明ら
かなように、Mn添加量が 0.2〜1.0 at%であれば、単板
で優れた磁気特性が得られるだけでなく、圧縮応力を加
えた時の鉄損値の増大を効果的に防止できることが判明
した。特にこの効果は、Mn量が 0.3at%以上の範囲で著
しいことが注目される。
を上記の範囲に限定した理由について説明する。 Fe:78〜82at% Feは、磁性材料としての性質を決定する上で重要な元素
である。このFe含有量が78at%未満では、磁束密度が低
いので実用的でなく、一方82at%を超えると、鉄損が増
加し、また熱的安定性も劣化するので、Fe含有量は78〜
82at%の範囲に限定した。
満たないと非晶質化しにくくなると共に、鉄損の増大を
招き、一方15at%を超えると、磁束密度が低下しまたキ
ュリー温度も下がるので、B含有量は8〜15at%の範囲
に限定した。
キュリー点を高く保つ上でも重要であるが、含有量が4
%に満たないとキュリー点が低下して実用的でなくな
り、一方14%を超えると鉄損の増大を招くので、Si含有
量は4〜14at%の範囲に限定した。とくに、Fe量が80at
%を超える場合には、Si量を低くした方が鉄損の低減に
は有効である。
at%にみたないと、前掲図2に示したとおり、ビルディ
ングファクターの改善効果が乏しく、一方 1.0at%を超
えると、前掲図1に示したとおり、Mn添加量の増加に伴
って磁束密度が低下し、トランスへの応用自体が問題と
なるので、Mnは 0.2〜1.0 at%の範囲で含有させるもの
とした。特に好適な範囲は、比較的高い磁束密度が得ら
れる 0.3〜0.5 at%である。
0.5, 0.7, 1.0, 1.2at%の組成になる合金溶湯をそれ
ぞれ、高速で回転するCuロールの表面に射出し、厚み:
25μmm、幅:200 mmの非晶質合金薄帯とした。得られた
各薄帯で、内径:100mm 、外径:110mm の円形の巻きコ
ア試料を作製し、周方向に 10 0eの磁場を印加しつつ、
Ar雰囲気中で 390℃、30分〜2時間の焼鈍を行ったのち
の鉄損W13/50 を測定した。その結果を図3に示す。ま
た、その値を、同じ成分薄帯の単板における鉄損値で割
った値すなわちビルディングファクター(BF)につい
て調べた結果を、図4に示す。なお、単板の鉄損は、
幅:20mm、長さ:150 mmの長さに切断して得られた試料
を長手方向に磁場を印加しつつ上と同様な焼鈍を施した
後に、単板磁気測定装置で測定したものである。
at%の場合には、円形の巻きコアに加工した鉄損W
13/50 が 0.15 W/kg以下と、すばらしい鉄損を示してい
る。また図4に示したとおり、Mnが 0.2〜1.0 at%の場
合には、BF値も1.5 以下と大変優れているのが判る。
溶湯から、実施例1と同様にして、厚み:25μmm、幅:
200 mmの非晶質合金薄帯を作製した。得られた薄帯を用
いて、内径が 40mm, 60mm, 80mm, 100mmおよび120mm で
かつ厚みがそれぞれ5mmの円形の巻きコア試料を作製
し、実施例1と同様の焼鈍を行った後に、鉄損W13/50
およびビルディングファクターを測定した。その結果を
図5に示す。
た場合には、円形の巻きコアに加工した鉄損W13/50 が
曲げ半径が50mm以下でも劣化せず、 0.15 W/kg以下の良
好な鉄損値を示している。またビルディングファクター
も 1.5以下である。これに対し、Mnを添加しない従来材
では、全体的に鉄損値が高く、とくに曲げ半径が50mm以
下となった場合には鉄損値が急激に増加した。またビル
ディングファクターも 2.0を超える値となった。
同様にして、厚み:25μmm、幅:200 mmの非晶質合金薄
帯を作製した。得られた各薄帯を用いて、図6に示す種
々の寸法形状になる非円形巻きコア試料を作製し、周方
向に10 0e の磁場を印加しつつ、不活性雰囲気中で 320
〜420℃、1時間の焼鈍を行った後に、鉄損W13/50 お
よびビルディングファクターを測定した。得られた結果
を表1に併記する。また、表1には、Mnを含まない従来
材についての調査結果も併せて示す。
非晶質合金薄帯は、非円形の巻きコアとした場合であっ
ても極めて低い鉄損値が得られ、またビルディングファ
クターも低い。
非晶質合金薄帯は、単板においては勿論、巻きコア加工
とくに曲げ半径が50mm以下に加工した後の鉄損値に優れ
ているが、この理由は、前掲図2に示したように、Mnの
添加によって応力下での鉄損の劣化が改善されるのに加
え、Mnの一部が薄帯表面に濃化して、表面近くの電気抵
抗を向上させる結果、積層して使用した時に加わる薄帯
同志の相互作用による渦電流損の増加が低減されること
によるものと考えられる。このような材料で巻きトラン
スを作製した場合、トランス特性が非常に優れたものが
得られるが、かかる効果は、評価を単板でのみ行った場
合には到底知り得ない成果であり、実用上非常に重要な
知見である。
ンス用素材として実用上非常に優れた材料を提供するこ
とができ、従って省エネルギーに対する貢献度極めて大
といえる。
単板での磁気特性とMn添加量との関係を示したグラフで
ある。
鉄損と圧縮応力無付加での鉄損との比とのMn添加量との
関係を示したグラフである。
に加工後の鉄損値とMn添加量との関係を示したグラフで
ある。
におけるビルディングファクターとMn添加量の関係を示
したグラフである。
基非晶質合金薄帯を円形の巻きコアに加工後の鉄損値お
よびビルディングファクターと加工曲げ半径との関係を
示したグラフである。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】化学式:Fea Bb Sic Mnd ここで、78≦a≦82at% 8≦b≦15at% 4≦c≦14at% 0.2≦d≦1.0 at% で示される組成になり、巻きコアに加工後の鉄損値と単
板における鉄損値の比(ビルディングファクター)が
1.5以下であることを特徴とする巻きトランス用鉄基非
晶質合金薄帯。 - 【請求項2】 請求項1において、巻きコア加工が半
径:50mm以下の曲げ加工を含むものである巻きトランス
用鉄基非晶質合金薄帯。
Priority Applications (5)
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CA002154953A CA2154953A1 (en) | 1995-05-18 | 1995-07-28 | Iron-based amorphous alloy thin strip and transformers made therefrom |
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JP1401095 | 1995-01-31 | ||
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EP4343009A1 (en) * | 2021-07-30 | 2024-03-27 | JFE Steel Corporation | Wound core and wound core manufacturing method |
WO2023007952A1 (ja) * | 2021-07-30 | 2023-02-02 | Jfeスチール株式会社 | 巻鉄心および巻鉄心の製造方法 |
-
1995
- 1995-05-18 JP JP7119786A patent/JP2908723B2/ja not_active Expired - Fee Related
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