JP2908261B2 - 捻れ振動抑制方法およびツイン・ドライブ制御装置 - Google Patents

捻れ振動抑制方法およびツイン・ドライブ制御装置

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JP2908261B2 JP6324137A JP32413794A JP2908261B2 JP 2908261 B2 JP2908261 B2 JP 2908261B2 JP 6324137 A JP6324137 A JP 6324137A JP 32413794 A JP32413794 A JP 32413794A JP 2908261 B2 JP2908261 B2 JP 2908261B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロータリシャー,フラ
イングシャーなどの捻れ振動系を有する負荷を両側から
モータで駆動する(以下、ツイン・ドライブと言う)シ
ステムにおける、捻れ振動抑制方法およびツイン・ドラ
イブ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続して送られてくる紙,段ボール,鋼
板などのシートを一定寸法に切断するロータリカッタや
高速クランクシャーなどは、通常、片側より駆動されて
いる。しかし、近年、紙,段ボール,鋼板などのシート
幅が広くなるにつれロータリカッタやクランクシャーな
どの寸法が大きくなったため、急加減速ができる大容量
のモータが必要とされた。この急加減速ができる大容量
のモータは、大型でコストが高く、また、機械全体が大
型になるため、従来のモータを2台以上使用して駆動す
るツイン・ドライブ方式が採用されてきた。
【0003】図1にロータリカッタのツイン・ドライブ
の方式を示す。このロータリカッタのツイン・ドライブ
方式は、ロールカッタ2の両側からギヤで構成された減
速器4A ,4B を介して第1のモータ6A および第2の
モータ6B で駆動している。このロータリカッタの構造
は、ロータリカッタの自重を軽くするため、ロータリカ
ッタの内部が部分的に空洞になっている。また、ロータ
リカッタの円周面にはロータリカッタの中心軸に平行に
または斜めにカッタ(刃)の加工が施されているためね
じれ振動を発生し易い構造となっている。このため、ロ
ータリカッタ2の両側を駆動するツイン・ドライブ方式
では、両側のモータ(第1のモータ6A,第2のモータ
B )を同じトルク指令で駆動するように制御が行われ
ていた。また、同様に高速クランクシャー(図示せず)
も、シャー(刃)の両端をクランクで駆動するため、同
様にねじれ振動を発生し易い構造となっているので、同
様な制御が行われている。
【0004】従来のツイン・ドライブ制御装置を図2に
示す。この従来のツイン・ドライブ制御装置の第1のモ
ータ6A および第2のモータ6B の制御にはベクトル制
御が用いられており、1つの速度ループと、1つのポジ
ションループと、2つの電流ループとを備え、第1のモ
ータ6A および第2のモータ6B からなる両側のモータ
に同じトルク指令を与える回路構成になっている。
【0005】このツイン・ドライブ制御装置は、シート
切断長LO ,シート走行速度,第1のモータの速度フィ
ードバックから、速度およびポジション指令(以下、単
に速度指令という)を作成する速度指令作成回路10を
備えている。この速度指令作成回路10には、シートの
走行速度を検出するメジャー用パルスジェネレータ12
からのパルス信号と、第1のモータ6A の回転速度を検
出するパルスジェネレータ14からの速度フィードバッ
ク・パルス信号とが入力される。一方、速度指令作成回
路10には、シート切断長LO が入力され、以上の入力
から所定の演算を行い速度指令信号VC を作成し、速度
ループに送り出している。
【0006】一方、パルスジェネレータ14からのパル
ス信号は、周波数/電圧変換器(FVC)16で速度フ
ィードバック信号VA に変換される。速度ループ内の減
算器18で速度誤差(VC −VA )が計算され、この速
度誤差に基づき、速度アンプ20,クランプ回路22に
よりトルク指令が作成される。作成されたトルク指令
は、第1のモータ6A のベクトル制御回路24A および
第2のモータ6B のベクトル制御回路24B にそれぞれ
供給される。各ベクトル制御回路24A ,24Bは、ト
ランジスタにより構成されるパワーユニット26A ,2
B に電流指令を供給する。この際、各ベクトル制御回
路には、各パワーユニットの出力電流が電流ループを経
てフィードバックされ、偏差が零になるように電流指令
を作成している。
【0007】このように従来のツイン・ドライブ制御装
置では、第1のモータの速度誤差(VA −VC )を用い
て作成されたトルク指令を、第1のモータおよび第2の
モータへ供給し、これらモータを駆動している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ロータリカッタをツイ
ン・ドライブ方式で駆動した場合、ロータリカッタの内
部は部分的に空洞になっており、ロータリカッタの円周
面に、中心軸平行または斜めにカッタ(刃)の加工が施
されているため、ねじれ振動が発生し易い構造になって
いる。このため、ロータリカッタを急加減速を行った場
合トルク変動が生じ、ロータリカッタにねじれ振動を発
生する。第1のモータ6A および第2のモータ6B は、
この振動の影響を受けながら回転するため、振動は、各
々のモータの速度フィードバック信号に影響し、各々の
モータの速度フィードバック信号の振動は各々逆位相と
なっている。
【0009】図3は、速度指令信号と速度フィードバッ
ク信号の振動との比較を示す。(a)は、速度指令信号
BASEの加速,同調,減速カーブを示し、(b)は、第
1のモータ6A と第2のモータ6B の振動を各モータの
速度フィードバック信号(実線と点線)で表したもので
ある。
【0010】このように両モータの回転軸振動が逆位相
となるため、第1のモータの速度誤差(VC −VA )よ
り算出されたトルク指令が第1のモータ側および第2の
モータ側に与えられる従来のツイン・ドライブ方式で
は、第1のモータ側に対しては問題はないが、第2のモ
ータ側には、さらに振動を与えるトルク指令となってし
まう。
【0011】このように、捻れ振動が発生すると、カッ
タの切れ味が悪くなる、ギア,カップリング等に損傷が
発生するなどの問題が生じていた。
【0012】本発明の目的は、このようなツイン・ドラ
イブにおける捻れ振動を抑制する方法を提供することに
ある。
【0013】本発明の他の目的は、捻れ振動を抑制する
ツイン・ドライブ制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、捻れ振動系を
有する回転体を、その回転軸の両側から第1および第2
のモータで駆動するシステムにおいて、前記回転体の捻
れを抑制する方法であって、第1のモータ側への基本ト
ルク指令を作成し、第1のモータの速度フィードバック
と第2のモータの速度フィードバックとの差をとり、こ
の速度差を微分して補償トルク指令に変換し、前記基本
トルク指令に前記補償トルク指令を加えて、第2のモー
タ側への逆位相補償されたトルク指令を作成する、こと
を特徴とする。
【0015】また本発明は、捻れ振動系を有する回転体
を、その回転軸の両側から第1および第2のモータで駆
動するシステムのツイン・ドライブ制御装置において、
第1のモータ側への基本トルク指令を作成する手段と、
第1のモータの速度フィードバックと第2のモータの速
度フィードバックとの差をとり、この速度差を微分して
補償トルク指令に変換する手段と、前記基本トルク指令
に前記補償トルク指令を加えて、第2のモータ側への
位相補償されたトルク指令を作成する手段と、を備える
ことを特徴とする。
【0016】
【作用】捻れ振動系を有する負荷を両側で駆動するモー
タを、第1のモータおよび第2のモータとした場合に、
第1のモータの速度フィードバックと第2のモータの速
度フィードバックとの差をとり、この速度差を微分して
補償トルク指令に変換し、これら第1のモータ側の基本
トルク指令に加えることにより、第2のモータ側への逆
位相補償されたトルク指令とする。
【0017】図4は、以上の原理を説明するための図で
ある。第1のモータの速度フィードバックをVA ,第2
のモータの速度フィードバックをVB とした場合、これ
ら速度フィードバックの差(VA −VB )が計算され、
微分され、補償トルク指令が算出される。このトルク指
令の補償量を決定するために(−k)のゲインだけ増幅
する。この増幅された補償トルク指令は、基本トルク指
令TRA に加えられて、第2のモータ側への逆位相補償
されたトルク指令TRB が作成される。
【0018】
【実施例】図5は、本発明のツイン・ドライブ制御装置
の一実施例を示す回路図である。このツイン・ドライブ
制御装置は、ロータリカッタを両側から駆動する2個の
誘導電動機を制御する。一方の電動機を第1のモータ6
A とし、他方の電動機を第2のモータ6B とする。誘導
電動機の速度制御としてベクトル制御を用いるものとす
る。
【0019】このツイン・ドライブ制御装置は、図2に
示した従来のツイン・ドライブ制御装置に逆位相補償回
路30を付加した回路構成となっている。この逆位相補
償回路30は、減算器32,速度差アンプ34,微分回
路36,ゲイン回路38,加算器40とから構成されて
いる。
【0020】減算器32の+入力端子には、周波数/電
圧変換器16からの速度フィードバックVA が入力され
る。また、第2のモータ6B の回転速度を検出するパル
スジェネレータ42からの速度フィードバック・パルス
信号は、周波数/電圧変換器(FVC)44により速度
フィードバック信号VB に変換され、この信号VB は、
逆位相補償回路30の減算器32の−入力端子に入力さ
れる。
【0021】減算器では、速度差(VA −VB )が計算
され、速度差アンプ34で増幅される。この速度差は、
微分回路36で微分されて、トルク指令に変換される。
このトルク指令は、ゲイン回路38で補償ゲイン−kだ
け増幅されて、補償量が定められる。この補償トルク指
令は、第1のモータ6A 側への基本的なトルク指令に、
加算器40で加算され、第2のモータ6B 側への逆位相
補償されたトルク指令が作成される。
【0022】図6は、本実施例の動作の理解を助けるた
めの波形図である。速度指令作成回路10から、図6
(a)に示すような加速,同調,減速を示す速度指令信
号VCが与えられたとする。このような速度指令信号V
C に対し、ロータリカッタを急加減速を行った場合、ト
ルク変動が生じ、ロータリカッタにねじれ振動を発生す
る。このため、第1のモータ6A および第2のモータ6
B は、この振動を受けながら回転するため、振動は、各
々のモータの速度フィードバック信号に影響し、図6
(b)に示すように、各々のモータの速度フィードバッ
ク信号(実線と点線)の振動は各々逆位相となってい
る。図6(c)は、逆位相補償回路30の減算器32の
出力波形を示す。減算器32の出力は、速度差(VA
B )であり、これは逆位相の振動成分に相当してい
る。この速度差が微分されてトルク指令に変換され、第
1のモータ6A 側への基本トルク指令TRA に加えら
れ、逆位相補償された第2のモータ6B 側へのトルク指
令TRB が形成される。図6(d)に、第1のモータ6
A 側へのトルク指令TRA を実線で、第2のモータ6B
側へのトルク指令TRB を点線で示す。第2のモータ6
B 側へのトルク指令は、捻れ振動を抑制する方向に働く
ことが理解されるであろう。
【0023】本実施例のツイン・ドライブ制御装置を、
実際のロータリカッタに適用した具体例について、以下
に説明する。
【0024】このロータリカッタには、AC55kW,
1000rpmのツイン・ドライブ方式で、ギアは90
°伝達方向を変えたウォームギアを用いた。シート走行
速度は30m/分である。カッタの捻れによる固有振動
数は30Hzであり、図5の制御装置の電圧ループはカ
ッタの固有振動に対し約5倍ぐらい早いレスポンスを有
している。
【0025】まず比較のために、逆位相補償回路を設け
ない、図2の従来の制御装置で第1のモータおよび第2
のモータを制御した場合の第1のモータと第2のモータ
の間の速度差を測定した結果を図7に示す。横軸は時間
を、縦軸は速度差を示す。
【0026】本実施例の制御装置を用いた場合の第1の
モータと第2のモータとの速度差を、図8に示す。図7
および図8を比較すれば明らかなように、本実施例の制
御装置を用いた場合に、従来に比べて速度差がかなり小
さくなっていることがわかる。これは、捻れによる振動
を抑制できたことを示している。
【0027】以上の実施例では、モータを誘導電動機と
して説明したが、同期電動機のようなその他の交流電動
機、あるいは直流電動機に本発明を適用できることは明
らかである。この場合、各電動機への速度制御回路に
は、それに適したものを使用することとなる。
【0028】また、本実施例の制御装置は、電子回路で
すべてを構成したが、一部をマイクロコンピュータでソ
フトウェア処理で実現することもできる。例えば、図5
の速度アンプ20,クランプ回路22,逆位相補償回路
30をマイクロコンピュータでソフト的に処理すること
ができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
捻れ振動系を有する負荷を両側から駆動するツイン・ド
ライブ方式において、負荷の捻れ振動を抑制することが
可能となった。したがって、本発明をロータリシャーあ
るいはフライングシャーなどに適用した場合、カッタの
切れ味は良くなり、また捻れ振動によるギア,カップリ
ング等の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ツイン・ドライブ方式のロータリカッタを示す
図である。
【図2】従来のツイン・ドライブ制御装置を示す回路図
である。
【図3】速度指令信号および速度フィードバック信号の
波形を示す図である。
【図4】本発明の原理を説明するための図である。
【図5】本発明の制御装置の一実施例の回路図である。
【図6】動作説明のための波形を示す図である。
【図7】従来の制御装置を用いた場合の速度差データを
示す図である。
【図8】本発明の制御装置を用いた場合の速度差データ
を示す図である。
【符号の説明】
2 カッタ 6A 第1のモータ 6B 第2のモータ 10 速度指令作成回路 12,14 パルスジェネレータ 16,44 周波数/電圧変換回路 20 速度アンプ 22 クランプ回路 24A ,24B ベクトル制御回路 26A ,26B パワーユニット 30 逆位相補償回路 32 減算器 34 速度差アンプ 36 微分回路 38 ゲイン回路 40 加算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B26D 5/00 B23D 36/00 501 G05D 17/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】捻れ振動系を有する回転体を、その回転軸
    両側から第1および第2のモータで駆動するシステム
    において、前記回転体の捻れを抑制する方法であって、 第1のモータ側への基本トルク指令を作成し、 第1のモータの速度フィードバックと第2のモータの速
    度フィードバックとの差をとり、この速度差を微分して
    補償トルク指令に変換し、 前記基本トルク指令に前記補償トルク指令を加えて、第
    2のモータ側への逆位相補償されたトルク指令を作成す
    る、 ことを特徴とする捻れ振動抑制方法。
  2. 【請求項2】捻れ振動系を有する回転体を、その回転軸
    両側から第1および第2のモータで駆動するシステム
    のツイン・ドライブ制御装置において、 第1のモータ側への基本トルク指令を作成する手段と、 第1のモータの速度フィードバックと第2のモータの速
    度フィードバックとの差をとり、この速度差を微分して
    補償トルク指令に変換する手段と、 前記基本トルク指令に前記補償トルク指令を加えて、第
    2のモータ側への逆位相補償されたトルク指令を作成す
    る手段と、 を備えることを特徴とするツイン・ドライブ制御装置。
  3. 【請求項3】前記補償トルク指令の補償量を決定する手
    段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載のツイ
    ン・ドライブ制御装置。
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