JP2907492B2 - ヘパリン徐放性材料およびその製造法 - Google Patents

ヘパリン徐放性材料およびその製造法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗血液凝固剤であるヘパリンを徐放する材
料とその製造方法に関する。さらに詳しくは、ヘパリン
を長期間にわたって徐放することができる材料とその製
造方法に関する。
〔従来の技術〕
ヘパリンは、最も一般的な抗血液凝固剤であり、血液
の体外循環などにおいて、血液の凝固を防ぐために広く
使用されている。しかし、血液透析などにおけるように
ヘパリンを繰り返して投与すると、血液が凝固しにくく
なって患者は出血傾向を示すようになるため、使用量は
必要最小限の量にとどめる必要がある。そこで、ヘパリ
ンの使用量をできるだけ少なくするために、血液と接触
する材料の表面にヘパリンを結合して材料に抗血栓性を
付与する試みがなされている。このとき使用される基材
としては、塩化ビニル樹脂など各種の合成樹脂が検討さ
れており、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)系
重合体からなる材料の表面にヘパリンを結合する方法
も、特開昭50-139174号公報に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ヘパリンを材料の表面に固定する方法としては、材料
の表面に第四級アミノ基などのカチオン基を導入し、こ
れをヘパリン溶液に浸漬して、表面にヘパリンを結合さ
せる方法が一般的である。しかし、このような方法によ
り結合したヘパリンは徐々に表面から脱離する傾向があ
り、結合量もわずかであるので、当初は高い抗血栓性を
有していても急速に抗血栓性が低下してしまうという問
題がある。したがって、ごく短時間の使用しかできない
という問題があった。また、血液と接触する医療製品と
してはチューブ状のものが多いが、チューブの内面にヘ
パリンを均一に結合させるには多くの困難を伴い、製造
コストが上昇するなど実用性の点で問題があった。
本発明の目的は、長期間ヘパリンを徐放し、その結果
長期にわたって抗血栓性を維持することができる材料を
提供することにある。本発明の他の目的は、チューブ内
面などのように処理の困難な部分でも、容易に抗血栓性
を付与できる材料を提供することにある。さらに他の目
的は、そのような材料の製造方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明においては、PVA系重合体の側鎖に第三級アミ
ノ基を導入し、これにヘパリンを溶液状態で混合した後
に、該溶液のpHを上昇させ、その後に成形してハイドロ
ゲル化することにより上記の目的を達成した。すなわち
第1の発明は、側鎖に第三級アミノ基を有するポリビニ
ルアルコール系重合体に、ヘパリンがイオン結合した状
態でpHを上昇することにより、前記第三級アミノ基を四
級化することなく、ヘパリンをポリビニルアルコール系
重合体に結合した、ハイドロゲルまたはその前駆体を形
成していることを特徴とするヘパリン徐放性材料であ
る。また第2の発明は、かかるハイドロゲルまたはその
前駆体が、基材の表面にコーティングされてなることを
特徴とする医療製品である。
さらに第3の発明は、側鎖に第三級アミノ基を有する
ポリビニルアルコール系重合体の溶液を調製し、該溶液
にヘパリンを添加してヘパリン含有重合体溶液を調製
し、ヘパリン含有重合体溶液のpHを2以上に調整した後
に成形・固化し、ハイドロゲル化することを特徴とする
ヘパリン徐放性材料の製造法であり、第4の発明は、側
鎖に第三級アミノ基を有するポリビニルアルコール系重
合体の溶液を調製し、該溶液にヘパリンを添加してヘパ
リン含有重合体溶液を調製し、ヘパリン含有重合体溶液
のpHを2以上に調整した後に該溶液を基材の表面にコー
ティングして固化し、ハイドロゲル化することを特徴と
するヘパリン徐放性材料の製造法。
〔作用〕
本発明においては、PVA系重合体の側鎖にイオン性の
基である第三級アミノ基を導入することにより、ヘパリ
ンとのイオン結合が可能となる。また、第三級アミノ基
の場合には重合体を溶液状態でヘパリンと混合すること
ができるので、これを成形してハイドロゲルを形成すれ
ば、ヘパリンが内部に大量に担持された材料を得ること
ができる。そして、ヘパリンは重合体とイオン結合を形
成しているので結合していない場合よりもゆっくりと放
出され、長期間にわたって抗血栓性を維持することがで
きる。
また、重合体とヘパリンの混合溶液を基材に被覆して
ハイドロゲル化することにより、基材の表面を簡単にヘ
パリン徐放性すなわち抗血栓性にすることができる。
〔実施例〕
本発明において使用されるPVA系重合体とは、ポリ酢
酸ビニルの部分あるいは完全ケン化物であり、少量なら
ば他の成分が共重合されたものであってもよい。
PVA系重合体の側鎖に第三級アミノ基を導入する方法
としては、分子内に第三級アミノ基とアルデヒド基を有
する化合物をPVA系重合体と反応させて、アルデヒド基
と重合体の水酸基との間でアセタール化反応を行って両
者を結合させる方法が好適である。分子内に第三級アミ
ノ基とアルデヒド基を有する化合物としては、p−ジメ
チルアミノベンズアルデヒドおよびp−ジエチルアミノ
ベンズアルデヒドをあげることができる。
PVA系重合体と分子内に第三級アミノ基とアルデヒド
基を有する化合物との反応は、PVA系重合体の水溶液に
分子内に第三級アミノ基とアルデヒド基を有する化合物
を混合して、塩酸または硫酸を触媒として使用し、室温
〜100℃程度の温度で数分〜数時間反応させることによ
り行う。このようにして、側鎖に第三級アミノ基を有す
る重合体を得ることができる。
第三級アミノ基は、カチオン性の基であり、ヘパリン
はアニオン性の基を有しているので、両者を混合するだ
けでイオン結合が形成される。すなわち、重合体溶液に
ヘパリンを添加して混合することにより、重合体にヘパ
リンがイオン結合したものが溶液状で得られる。この溶
液をアルカリで中和した後、型に流延するか基材にコー
ティングして溶媒を蒸発させ、50〜100℃程度の温度で
熱処理すると、重合体の重合度とケン化度が一定以上で
あれば、重合体は体温程度の温度では水に不溶になる。
そして、これを水あるいは水溶液と接触させると、内部
にヘパリンが担持されたハイドロゲルが形成される。な
お、成形前の重合体とヘパリンの混合溶液のpHが1以下
になると、ヘパリンの放出が急速になる傾向があるの
で、アルカリで中和して溶液のpHを2以上に調整するの
が好ましい。
本発明の材料を実用に供する場合、ハイドロゲルの状
態で提供すればそのまま使用できるが、ハイドロゲルを
乾燥した状態で提供することもできる。乾燥状態すなわ
ちハイドロゲルの前駆体の場合には、使用の際に水また
は水溶液で膨潤させればよく、膨潤させるまではヘパリ
ンの放出は停止しているので、長期間の保存が可能であ
る。
以下、具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、例中の「部」はすべて重量部を意味する。
実施例 1 重合度が1700,ケン化度が99.7モル%のPVAから濃度5
重量%の水溶液を調製した。また、種々の濃度のp−ジ
メチルアミノベンズアルデヒド(以下DMABAと略す)溶
液40部と塩酸10部を混合した溶液を調製し、この溶液50
部とPVA溶液50部とを混合して、50℃で1時間反応させ
た。反応終了後、生成した重合体を中和するとともに未
反応のDMABAを除去するため、反応溶液を多量の0.05M水
酸化ナトリウム添加メタノール中に投入して、重合体を
沈澱させた。そして、沈澱を熱水中に1時間浸漬して塩
を除いた後、メタノールで1日洗浄した。得られた重合
体のフェニル基を、紫外線吸収スペクトルの波長240nm
で測定して、DMABAの結合量を測定した。
次に、得られた重合体を0.1Mの塩酸に溶解し、重合体
の重量に対して5重量%のヘパリンを添加した。添加
後、撹拌しながら1Mの水酸化ナトリウム水溶液をゆっく
りと添加し、沈澱が生成するまで中和した。このヘパリ
ン添加溶液をガラス板上に流延して溶媒を蒸発させ、70
℃で15分間熱処理してフィルムを得た。このフィルムを
リン酸緩衝液に浸漬してハイドロゲルを生成し、撹拌し
ながら所定時間ごとに一定量の液を採取して、液中に放
出されたヘパリンをトルイジン・ブルーの呈色により測
定した。結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、DMABAを結合してい
ないPVAの場合には、急激にヘパリンの放出量が低下し
て、30時間後にはほとんど放出されなくなるのに対し
て、本発明のものは7時間目以後の放出速度があまり低
下しておらず、長期間にわたって安定してヘパリンを放
出することがわかる。
実施例 2 濃度5%のPVA水溶液50部に濃度0.2MのDMABA50部を混
合し、実施例1と同様の処理を行って、DMABA1.5モル%
が結合したPVAの沈澱物を得た。
得られた沈澱を0.1Mの塩酸に溶解し、種々の量のヘパ
リンを添加して、実施例1と同様にしてフィルムを成形
した。このフィルムをリン酸緩衝液に浸漬し、撹拌しな
がらヘパリンの放出速度を測定した。結果を表2に示
す。
表2の結果から明らかなように、7時間目以後のヘパ
リンの放出量は安定しており、その量は最初に添加した
ヘパリン量にほぼ比例している。したがって、ヘパリン
の添加量を調節することによって、所望の放出量を持っ
た材料を得ることができる。
実施例 3 実施例1と同様にして、DMABA3.8モル%を結合したPV
Aにヘパリン5重量%を添加した水溶液を調製した。ま
た、比較例としてDMABAを結合していないPVAに同量のヘ
パリンを添加した水溶液も調製した。これらの水溶液を
ガラス試験管内面に4回コーティングし、乾燥後70℃で
15分間熱処理した。そして、試験管内にリン酸緩衝液を
加えて所定時間振盪し、試験管内の液を排出して乾燥さ
せた。次に、50μlのリン酸緩衝液でコート層を膨潤さ
せた後、クエン酸加血液200μlを試験管に入れ、37℃
で20分間インキュベートした。そして、振盪させながら
0.1Mの塩化カルシウム水溶液20μlを添加して、凝血を
開始した。血液が流動しなくなった時間を凝固時間とし
て記録した結果を表3に示す。
表3の結果から、本発明の材料は長期間にわたって抗
血栓性を維持できるのに対して、ヘパリンがPVAとイオ
ン結合していない比較例の場合には、急速に抗血栓性が
失われることがわかる。
〔発明の効果〕
本発明の材料は、長期間にわたって安定した速度でヘ
パリンを放出することができる。したがって、血液と長
期間接触するような医療製品に好適である。また、本発
明の材料は基材の表面にコーティングして、その表面を
ヘパリン徐放性にすることができるので、抗血栓性の医
療製品を容易に得ることができる。さらに、コーティン
グは溶液コーティングにより行うことができるので、チ
ューブ内面のような部分でも簡単に効率よくコーティン
グでき、実用性の点で優れている。
さらにまた、本発明の材料を血液の体外循環回路の内
面にコーティングすれば、回路内にヘパリンを注入する
操作を省略することができる。そして、材料の表面から
ヘパリンが放出されるので、表面付近のヘパリン濃度が
高くなり、血液にヘパリンを添加する従来の方法よりも
ヘパリンの使用量を少なくすることができるので、患者
にとって好ましい。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖に第三級アミノ基を有するポリビニル
    アルコール系重合体に、ヘパリンがイオン結合した状態
    でpHを上昇することにより、前記第三級アミノ基を四級
    化することなく、ヘパリンをポリビニルアルコール系重
    合体に結合した、ハイドロゲルまたはその前駆体を形成
    していることを特徴とするヘパリン徐放性材料。
  2. 【請求項2】請求項1記載のハイドロゲルまたはその前
    駆体が、基材の表面にコーティングされてなることを特
    徴とする医療製品。
  3. 【請求項3】側鎖に第三級アミノ基を有するポリビニル
    アルコール系重合体の溶液を調製し、該溶液にヘパリン
    を添加してヘパリン含有重合体溶液を調製し、ヘパリン
    含有重合体溶液のpHを2以上に調整した後に成形・固化
    し、ハイドロゲル化することを特徴とするヘパリン徐放
    性材料の製造法。
  4. 【請求項4】側鎖に第三級アミノ基を有するポリビニル
    アルコール系重合体の溶液を調製し、該溶液にヘパリン
    を添加してヘパリン含有重合体溶液を調製し、ヘパリン
    含有重合体溶液のpHを2以上に調整した後に該溶液を基
    材の表面にコーティングして固化し、ハイドロゲル化す
    ることを特徴とするヘパリン徐放性材料の製造法。
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