JP2899686B2 - 細胞増殖性医療用物品 - Google Patents

細胞増殖性医療用物品

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JP2899686B2
JP2899686B2 JP8236097A JP23609796A JP2899686B2 JP 2899686 B2 JP2899686 B2 JP 2899686B2 JP 8236097 A JP8236097 A JP 8236097A JP 23609796 A JP23609796 A JP 23609796A JP 2899686 B2 JP2899686 B2 JP 2899686B2
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chitosan
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polyvinyl alcohol
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憲彦 箕浦
智江 小谷野
正宣 奈倉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は細胞増殖性医療用物
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、病気の診断・治療などのために医
療用具や人工臓器などが用いられている。これらは高分
子材料などで構成されており、その高分子材料の表面と
生体組織細胞とが接着・増殖しないことが問題となって
いる。例えば、血液、輸液、透析液、電気などを体外へ
導出あるいは導入するために用いる皮膚貫通管では、管
の外表面と皮膚上皮組織とが密着せずこの部分で菌感染
が起こる。また、人工血管では血管内皮細胞が増殖せず
この部位で血栓化が起こる。人工肝臓、人工膵臓、人工
皮膚、人工角膜においてもそれぞれの細胞が接着・増殖
せず効率的な人工臓器が実用化されない。それ故に、細
胞を増殖させる特徴を持つ材料が必要不可欠であり、こ
れまでいろいろな高分子材料が開発されてきた。例え
ば、ポリビニルアルコールのゲル表面にコラーゲンを化
学結合させることで細胞接着性を付与する試みがある
が、そのコラーゲンの結合に手間がかかる点で問題があ
る。この様に、細胞増殖性の高分子材料については未だ
満足するべきものは開発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、細胞増殖性
高分子からなる医療用物品を提供することをその課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明によれば、ポリビニルアルコールとキ
トサンとからなる混合高分子の含水ゲルの成形物からな
る細胞増殖性医療用物品が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いる高分子ゲルは、ポ
リビニルアルコールとキトサンとからなる混合高分子の
含水ゲルである。ポリビニルアルコールとしては、ケン
化度が98モル%以上、平均重合度1500以上のもの
が好ましく用いられる。キトサンは、キチンから脱アセ
チル化して合成されるが、脱アセチル化度が70モル%
以上のものが好ましく用いられる。キトサンの混合比
は、ポリビニルアルコールと水溶性高分子との混合物に
対し、15〜50重量%、好ましくは20〜40重量%
である。また、混合高分子含水ゲル中の含水量は、50
〜95重量%、好ましくは60〜80重量%である。前
記の混合高分子含水ゲルからなる成形物を製造するに
は、ポリビニルアルコールとキトサンとを酢酸を含む水
溶液状で加圧下及び加熱下において均一に混合する。加
熱温度は95〜140℃、好ましくは110〜125℃
であり、圧力は、内容物が沸騰しない圧力であればよ
い。次に、この混合高分子の水溶液を所要形状に成形
し、乾燥した後、得られた成形物を水酸化ナトリウム水
溶液中に浸漬して酢酸を中和する。その成形物を十分水
洗した後、混合高分子含水ゲルの成形物を得ることがで
きる。
【0006】本発明の医療用物品には、細胞の増殖が望
まれる各種の物品、例えば上皮組織との密着性が重要な
皮膚貫通導管、血管内皮細胞の増殖能をうながす人工血
管、肝細胞の増殖能をもつ人工肝臓、膵臓細胞の増殖能
をもつ人工膵臓、表皮組織との接着能をもつ人工皮膚、
人工角膜などが含まれる。 本発明の医療用物品は、そ
の物品に対応した形状、例えば、フィルム状、筒状、球
状、ケース状、繊維状等の各種の形状を有するものであ
る。また、本発明の医療用物品は、それ全体が前記混合
高分子含水ゲルから構成される必要はなく、その表面部
のみが前記混合高分子含水ゲルから構成されていてもよ
い。
【0007】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 キトサン(脱アセチル化度86モル%)に90gの蒸留
水を加え、さらにキトサン1g当り0.80mlの酢酸
を加えてキトサン水溶液を作成する。ここに、ポリビニ
ルアルコール(ケン化度99.85モル%、重含度17
00)を高分子物質の総重量が10gになるよう各種分
率比で混合し、耐圧硝子容器に入れた。この容器(温度
20℃)を100分間かけて徐々に120℃まで加熱し
(圧力=2×105Pa)、この温度で10分間保った
後、40分間かけて徐々に80℃まで冷却した。得られ
た均一水溶液をガラス板上に流延し、24時間風乾し
た。さらに、これを30℃で24時間真空乾燥してフィ
ルム試料を得た。その後、この試料を多量の4%水酸化
ナトリウム水溶液に6時間浸漬すると、この試料は含水
ゲル状になった。この水溶液を新しい蒸留水と数回とり
かえることにより、この含水ゲル状試料から溶出する高
分子を完全に取り除いた。この試料を蒸留水中に保存
し、その含水率(含水ゲル状試料の重量に対するゲル中
の水の重量の割合)を測定した(表1)。なお、ポリビ
ニルアルコールとキトサンとの初期重量混合比が98:
2、95:5、:90:10、85:15、80:2
0、70:30、60:40の7種類の試料を作成し
た。また、比較のためにポリビニルアルコールだけから
なるフィルム試料も作成した。前記のようにして得た含
水ゲル状フィルム試料は、含水率が高く、生体組織と同
程度の含水率を有している。含水ゲル状フィルム試料の
ヤング率を表1に示す。含水率が高いことを考慮すると
ヤング率が高い。いずれの混合比の含水ゲル状フィルム
試料も、極めて透明度が高い。
【0008】 実施例2 前記含水ゲル状フィルムに対する細胞の増殖性を調べ
た。すなわち、試料とする9mm×9mmの含水ゲル状
フィルム上にマウス由来の線維芽細胞(L−929)の
培養液(約13.8万個/ml)0.3mlを接触させ
たまま、二酸化炭素5%、湿度100%で37℃に設定
したインキュベーター中に静置した。培養液には、10
%牛胎児血清を含むEagle MEMを使用した。ま
た、比較のため、ポリビニルアルコールだけからなる試
料、高研(株)製コラーゲン試料、和光純薬工業(株)
製の組織培養用プラスチックシート、及びダウコーニン
グ社製医療用シリコーンゴムシートについても同一手法
で試験を行った。所定時間インキュベーター中に静置
後、試料とした含水ゲル状フィルム上に接着している細
胞数を、クリスタルバイオレットを染料とする通常の核
染色法により定量した。また、顕微鏡下で細胞数を直接
数える方法でも定量した。30時間培養後の細胞増殖率
(組織培養用プラスチックシートに接着した細胞数に対
するゲル状フィルムに接着した細胞数の比)とキトサン
含有率との関係を表1に示す。キトサン含有率の増加と
ともに細胞増殖率が急激に増大した。30時間培養後の
細胞増殖率は40%キトサン含有ゲル状フィルムで37
9であるのに対して、各種の試料と比較したところ、シ
リコーンゴムシートで21であり、コラーゲン試料での
256をも凌ぐ結果であった。さらに、試料上に接着し
た細胞の形態を顕微鏡により観察した結果、キトサン含
有率の低いゲル状フィルムでは細胞は球状であったが、
含有率の増大とともに生体内及びコラーゲン上で観察さ
れるのと同様の紡錘形を有する細胞の割合が増加するこ
とがわかった。以上の結果からポリビニルアルコールと
キトサンとの混合物は細胞接着増殖能をもつことが示さ
れる。
【0009】表1に混合物中のキトサンの含有率(重量
%)と含水率、ヤング率、30時問培養後の細胞増殖率
(組織培養用プラスチックシートに接着した細胞数に対
するゲル状フィルムに接着した細胞数の比)との関係を
示す。
【0010】
【表1】
【0011】
【発明の効果】本発明の医療用物品は、細胞の接着増殖
能をもつことから、従来の医療用物品に見られた不都合
な問題を解決したもので、その価値は多大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−130870(JP,A) 特開 平4−275346(JP,A) 特開 平6−287392(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61L 27/00 C12M 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールと脱アセチル化度
    が70モル%以上のキトサンとからなる混合高分子の含
    水ゲルの成形物からなる細胞増殖性医療用物品。
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KR20020000580A (ko) * 2000-06-23 2002-01-05 김범철 피부 상처 치료용 드레싱제 및 그 제조방법
EP1179352A1 (en) * 2000-08-08 2002-02-13 MONTERESEARCH S.r.l. Topical composition for covering a skin lesion
CN100340309C (zh) * 2002-05-31 2007-10-03 暨南大学 生物诱导型活性人工角膜

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