JP2905369B2 - 置敷マットのゴム台の製造方法 - Google Patents

置敷マットのゴム台の製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、玄関、室内の床面、自
動車フロアー等に用いられる置敷マットのゴム台を製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】柔軟で重量のある置敷マットのゴム台上
に、カーペットマットを載せて用いる置敷マットが知ら
れている。使用時には、ゴム台表面のフック系ファスナ
ーとカーペットマット裏面のループ系ファスナーとを結
着させる。こうした置敷マットによれば、上層のカーペ
ットマットをゴム台から取り外して交換、掃除、補修す
ることができ、またカーペットマットの位置が固定さ
れ、安定する。
【0003】こうしたゴム台を製造するには、次の方法
があった。 (1) まず、加硫成形によってゴム台の本体を製造
し、次いで、ゴム台表面の所定箇所にフック系ファスナ
ーを貼り付ける。この際には、ゴム台の所定箇所を、バ
フ掛け、ハロゲン付加処理、プライマー塗布等により処
理し、加硫ゴムと接着剤との接着性を改善させ、この処
理面に接着剤を塗布して乾燥させる。次に、フック系フ
ァスナーの裏面にプライマーを塗布して乾燥させ、この
プライマー塗布面に更に接着剤を塗布し、乾燥させる。
次いで、ゴム台の接着剤塗布面に、フック系ファスナー
の接着剤塗布面を貼り合わせ、圧着する。
【0004】(2) フック系ファスナーの裏面にプラ
イマーを塗布して乾燥させ、このプライマー塗布面に更
に接着剤を塗布し、乾燥させる。加硫成形機の成形空間
内にこのフック系ファスナーを設置する。次いで、フッ
ク系ファスナーの上に未加硫ゴム板を載置し、加硫プレ
ス機で加熱及び加圧し、未加硫ゴム板を加硫成形し、ゴ
ム台を製造する。この際、ゴム台の所定箇所にフック系
ファスナーが接合する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法が一般に
実施されている。しかし、置敷マットのゴム台の面積
は、例えば90×120cm、100×200cm等の
ように広いものが多く、フック系ファスナーをゴム台に
貼り付ける際に、極めて広い作業場を必要とするので、
作業能率が悪い。また、カーペットマットは、損傷や汚
れがあると廃棄するが、ゴム台は高価であるため、長期
にわたって使用する。しかし、ゴム台の加硫ゴム面に対
して、非架橋の接着剤によってフック系ファスナーを接
着した場合には、バラツキなく一定の強力な接着力を得
ることは困難であるため、長期間使用すると、フック系
ファスナーの剥離が生ずることがあった。
【0006】(2)の方法によれば、貼り付け作業のた
めの広い作業場は不要であるし、ゴム台とフック系ファ
スナーとの接着力も大きい。しかし、加硫成形時に、プ
レス圧力によりゴムが流動するのに伴い、フック系ファ
スナーが移動する。このため、カーペットマット側のル
ープ系ファスナーとの間で位置ずれが生ずる。また、加
硫成形時に、流動したゴムがフック系ファスナーのフッ
ク内に流入したり、温度と加圧力によってフックが圧縮
変形したりすることで、フックの接合力が低下する。従
って、この製造方法は実施されていない。
【0007】本発明の課題は、フック系ファスナーの貼
り付け作業のための広い作業場を不要にし、ゴム台とフ
ック系ファスナーとの接着力を安定させることであり、
かつ、フック系ファスナーのゴム台上での位置ずれ、加
硫成形時におけるゴムのフック内への流入、フックの圧
縮変形を防止することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、カー
ペットマットの裏面のループ系ファスナーに対して貼り
付け可能なフック系ファスナーを備える、置敷マットの
ゴム台を製造する。この際、フック系ファスナーのフッ
クの配置に対応する収容溝が設けられた成形用金型を用
い、フックを収容溝内に収容してフック系ファスナーを
成形用金型上に固定する。次いで、フック系ファスナー
の裏面側に未加硫ゴム板を設置し、未加硫ゴム板を加圧
及び加熱処理してゴム台を製造し、この際ゴム台の所定
箇所にフック系ファスナーを接合させる。
【0009】
【作用】本発明によれば、フック系ファスナーの裏面側
に未加硫ゴム板を設置し、未加硫ゴム板を加圧及び加熱
処理してゴム台を製造し、この際ゴム台の所定箇所にフ
ック系ファスナーを接合させている。従って、フック系
ファスナーの貼り付け作業のための広い作業場が不要で
あり、ゴム台とフック系ファスナーとの接着力が強固で
あり、ゴム台を長期間使用しても、フック系ファスナー
の剥離が生じない。
【0010】そして、フック系ファスナーのフックの配
置に対応する収容溝が設けられた成形用金型を用い、フ
ックを収容溝内に収容してフック系ファスナーを成形用
金型上に固定するので、加硫成形時に、プレス圧力によ
りゴムが流動するとき、フック系ファスナーの移動が抑
えられ、カーペットマット側のループ系ファスナーとの
間で位置ずれが生じにくい。また、加硫成形時に、流動
したゴムがフック系ファスナーのフック内に流入した
り、温度と加圧力によってフックが圧縮変形したりする
のを、防止できる。
【0011】
【実施例】まず、本発明により得られる置敷マットにつ
いて例示する。図1は、実施例に係る置敷マットの斜視
図であり、図2はこの置敷マットの要部断面図であり、
図3は、フック系ファスナー4の斜視図である。
【0012】置敷マット1は、カーペットマット3とゴ
ム台2とからなる。カーペットマット3の構成は特に限
定しないが、本例では、立毛3c、基布3a、裏面層3
bからなる。このカーペットの材質は天然繊維、合成繊
維であり、タフテッドカーペット、ニードルパンチカー
ペット等の各種の製法からなるカーペットを使用でき
る。裏面層3bは、スチレン─ブタジエンゴムラテック
ス等によるバッキング層や、このバッキング層の上にゴ
ム薄膜を被覆したものを使用できる。
【0013】カーペットマット3の裏面に、ループ系フ
ァスナー5が所定位置に固定されている。ループ系ファ
スナー5は、ループ5aと基層5bとからなる。ゴム台
2は、平板部2aと周縁突起2bとからなる。ゴム台2
の材料としては、天然ゴム、合成ゴムからなる原料ゴム
に、加硫剤、加硫促進剤、補強剤、軟化剤、その他のゴ
ム用薬剤を混練してゴム配合組成物を得、これを所定形
状に成形し、裁断して得た未加硫ゴム成形物を用いる。
【0014】平板部2aの所定箇所に、フック系ファス
ナー4が固定されている。フック系ファスナー4は、フ
ック4aと基層4bとからなり、基層4b上にフック4
aが規則的に縦横に配列されている。置敷マットを使用
する際には、平板部2a上にカーペットマット3を載置
し、各ループ系ファスナー5を各フック系ファスナー4
に接合し、カーペットマット3を周縁突起2b内に収容
する。
【0015】次いで、ゴム台の製造工程について例示す
る。フック系ファスナー4の材料としては、加硫成形温
度において軟化せず、強固な形態を保持するものが好ま
しい。こうした材料としては、ナイロン、ポリエステル
等、軟化温度が180°C以上であるものが好ましい。
フック自体の形状は、鉤状、いかり状等がある。
【0016】本発明で使用できる加硫成形金型の要部拡
大図を、図4、図5に示す。本例の金型は、上型7と下
型6とからなる。上型7は、図5に示すようにほぼ平板
状である。下型6には、ゴム台2の平板部2aを形成す
るための平板部成形部分6aと、周縁突起2bを形成す
るための周縁突起成形部分6bとが設けられている。周
縁突起成形部分6bが平板部成形部分6aを囲んでい
る。
【0017】平板部成形部分6aの所定箇所に、ファス
ナー固定用部8が設けられている。ファスナー固定用部
8内に、フック系ファスナー4のフックの配置に対応す
る収容溝8aが設けられている。本例では、フック4a
が縦横に規則的に一定間隔をもって配列されているの
で、これに対応して、各収容溝8aが直線状であり、か
つ各収容溝8aが互いに略並行に多数配列されている。
【0018】本例では、各収容溝8aの両端にそれぞ
れ、未加硫ゴムの収容溝8a内への流入を防止するため
のせき止め部8bが形成されているので、未加硫ゴムの
流入が一層生じにくい。更に、ファスナー固定用部8の
周縁に細長い突起8cが設けられ、収容溝8aを囲んで
いる。突起8cの内側には凹部8dが形成される。
【0019】前記のような所定のゴム用薬剤を混練し、
圧延等して、未加硫ゴム板を製造する。また、これと同
じ材料からなる未加硫ゴムテープを製造する。フック系
ファスナー4の裏面に少なくともプライマーを塗布し、
乾燥させることにより、加硫成形後にゴム台へのフック
系ファスナー4の接着力が向上するので、好ましい。更
には、このプライマーの上に、接着剤を塗布し、乾燥す
ることが好ましい。このプライマーとしては、ゴムの低
濃度溶液中にイソシアネートを混合、溶解させたもの、
ゴム、合成樹脂等のポリマーにMMAモノマーをグラフ
ト化させた変性溶液等、各種のプライマーを使用でき
る。
【0020】加硫成形時にゴムが流動するときに、フッ
ク系ファスナー4の裏面よりプライマーがゴムと共に流
出すると、接着力が低下するので、熱処理時にフック系
ファスナーの裏面に強固に結合するプライマーが好まし
い。また、フック系ファスナー4の基体がフィルムであ
る場合には、フィルムにアルファシアノアクリレート系
接着剤を用いて未加硫ゴム薄膜を強固に接着させたもの
も好ましい。
【0021】加硫成形の際には、まず、上記の未加硫ゴ
ムテープを周縁突起成形部分6bに収容し、固定する。
次いで、フック系ファスナー4を、ファスナー固定用部
8に固定する。
【0022】この際、ファスナー固定用部8に、フック
系ファスナー4を嵌合させるための凹部及び/又は突起
を設け、フック系ファスナー4をこの凹部及び/又は突
起内に嵌合できるようにすれば、フック系ファスナー4
の位置決めが容易に行われるし、加硫成形時にフック系
ファスナー4が移動するのをおさえる効果もある。本例
では、突起8cによって凹部8dが形成されているの
で、凹部8d(突起8c内)にフック系ファスナー4を
嵌合させ、正確に位置決めする。
【0023】次いで、フック系ファスナー4の上に、上
記の未加硫ゴム板を正確に位置決めして配置し、上型7
を載せ、プレス加硫成形機によって加熱及び加圧処理を
実施する。この結果、フック系ファスナー4がゴム台2
の所定箇所に加硫接着し、強固に固着する。そして、フ
ック系ファスナー4のフック4aが収容溝8a内に収容
され、抑えられているので、ゴムが流動するときにもフ
ック系ファスナー4の移動が抑えられるし、流動したゴ
ムがフック4a内に流入したり、温度と加圧力によって
フック4aが圧縮変形したりするのを、防止できる。
【0024】図4、図5に示した上記の方法に従って、
図1〜図3に示す置敷マット用ゴム台を製造した。ただ
し、未加硫ゴム板の厚さは2.7mmとし、その材質
は、前記したゴム配合組成物を用いた。フック系ファス
ナー4の材質はナイロンとし、幅は2.5cmとした。
フック系ファスナー4の裏面に、プライマーとして、
「SP─80」(堺化学工業株式会社製)を塗布し、乾
燥させ、この上にゴム系接着剤を塗布し、乾燥させ、長
さ5cmに裁断した。
【0025】温度160°C、圧力40kg/cm2
加硫成形を実施し、ゴム台2にフック系ファスナー4を
接合させた。このフック系ファスナー4の接合力につい
ては、7kg/cm2 以上の引っ張り力でゴム面が破壊
し、このとき接合界面では剥離しなかった。この接合力
のバラツキは見られなかった。また、フック系ファスナ
ー4のフック4aには、ゴムの流入や圧縮変形は見られ
なかった。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、フ
ック系ファスナーの貼り付け作業のための広い作業場が
不要であり、ゴム台とフック系ファスナーとの接着力が
強固であり、ゴム台を長期間使用しても、フック系ファ
スナーの剥離が生じない。また、加硫成形時に、プレス
圧力によりゴムが流動するとき、フック系ファスナーの
移動が抑えられる。また、加硫成形時に、流動したゴム
がフック系ファスナーのフック内に流入したり、温度と
加圧力によってフックが圧縮変形したりするのを、防止
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】置敷マットの一例を示す斜視図である。
【図2】置敷マットの一例を示す、要部拡大断面図であ
る。
【図3】フック系ファスナー4を示す斜視図である。
【図4】加硫成形金型の下型の要部を示す平面図であ
る。
【図5】加硫成形金型の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 置敷マット 2 ゴム台 3 カーペットマット 4 フック系ファスナー 4a フック 4b 基層 5 ループ系ファスナー 5a ループ 6 下型 6a 平板部成形部分 6b 周縁突起成形部分 7 上型 8 ファスナー固定用部 8a フックの収容溝 8b せき止め部 8c 位置決め用の突起 8d 位置決め用の凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47L 23/22 - 23/26 A47G 27/04 B29C 43/18 B60N 3/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーペットマットの裏面のループ系ファ
    スナーに対して貼り付け可能なフック系ファスナーを備
    える、置敷マットのゴム台を製造する方法であって、前
    記フック系ファスナーのフックの配置に対応する収容溝
    が設けられた成形用金型を用い、前記フックを前記収容
    溝内に収容して前記フック系ファスナーを前記成形用金
    型上に固定し、次いで前記フック系ファスナーの裏面側
    に未加硫ゴム板を設置し、前記未加硫ゴム板を加圧及び
    加熱処理して前記ゴム台を製造し、この際ゴム台の所定
    箇所に前記フック系ファスナーを接合させることを特徴
    とする、置敷マットのゴム台の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記収容溝の両端に、未加硫ゴムの収容
    溝内への流入を防止するためのせき止め部が形成されて
    いる、請求項1記載の置敷マットのゴム台の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記フック系ファスナーを位置決めする
    ための突起及び/又は凹部が前記成形用金型に形成され
    ている、請求項1又は2記載の置敷マットのゴム台の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記フック系ファスナーが、前記未加硫
    ゴム板の加硫成形温度よりも軟化温度が高い材質からな
    っている、請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の置
    敷マットのゴム台の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記フック系ファスナーの裏面に少なく
    ともプライマーを塗布し、乾燥させた後、このフック系
    ファスナーを前記成形用金型上に固定する、請求項1記
    載の置敷マットのゴム台の製造方法。
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