JP2903132B2 - 粘着製剤 - Google Patents

粘着製剤

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JP2903132B2 JP14289990A JP14289990A JP2903132B2 JP 2903132 B2 JP2903132 B2 JP 2903132B2 JP 14289990 A JP14289990 A JP 14289990A JP 14289990 A JP14289990 A JP 14289990A JP 2903132 B2 JP2903132 B2 JP 2903132B2
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【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明は、粘着剤層中に薬物を含有し、人、動物或い
は植物等の生体に貼付することにより、この貼付部位よ
り上記薬物を生体内に吸収させる粘着製剤に関し、特
に、粘着剤層中の薬物が固体粒子状で薬物の初期速度を
長時間に亙ってほぼ一定にすることができる粘着製剤に
関するものである。
(b)従来の技術 従来、人、動物或いは植物等の生体に貼付することに
より、この貼付部位より薬物を生体内に吸収させる粘着
製剤においては、薬物を含有する粘着剤層が支持体の表
面に保持されている。この種、粘着製剤は粘着剤層中の
薬物の存在状態により以下の三つに分類される。
即ち、粘着製剤における粘着剤層中の薬物が、飽和
溶解度以内で溶解状態で含有されているもの、過飽和
溶解状態で含有されているもの、或いは固体結晶分散
状態で含有されているもの、に分類される。
(c)発明が解決しようとする課題 上記のものは粘着製剤として一般的であり、現在広
く利用されている。しかしながら、この粘着製剤におい
て、粘着剤層中での薬物の溶解度が低い場合、生体内に
必要量の薬物を吸収させるには大きな製剤にしなければ
ならず、このため、この大きな粘着製剤を人体に適用す
ると、適用部位に突っ張り感や異和感を感じて使用感が
悪くなったり、筋肉の伸縮により粘着製剤に部分的に皺
ができて剥離するので皮膚との密着性が低下する。特
に、このの粘着製剤において、生体への貼付面積に制
約を受けるとき、必要量の薬物を生体内に吸収させるこ
とができず充分な効果を期待できなくなる。
また上記の粘着製剤は薬物の放出性が良好である
が、その製造後使用するまでの経日保存中に薬物の結晶
が析出し、その結果、薬物放出特性の低下、粘着特性の
低下などの原因となる。
更にの粘着製剤については、粘着剤層中への固体薬
物の溶解速度が充分に速い場合(製剤から薬物の貼付部
位への放出速度と粘着剤層中への固体薬物の溶解速度が
同じかそれ以上の場合)、粘着剤層中の溶解薬物の放出
により溶解薬物濃度が減少すると、固体(結晶)薬物が
粘着剤層に溶解し、粘着剤層中の溶解薬物濃度が一定
で、長時間にわたり放出特性が低下しない。
しかし、このような系で使用できる薬物は限られてお
り、充分融点が低く、使用温度付近で粘着剤層中の薬物
が結晶状態と溶解状態が平衡に近いものに限定されてい
る。
上記条件を満たす薬物以外では、このような製剤の薬
物放出特性は上記の及びの溶解型のものに比べて低
下することが多い。
本発明は、上記技術的課題を解決するために完成され
たものであって、特に粘着製剤の貼付部位に発汗或いは
樹液等による水分が存在すると、薬物の融点が高く、放
出性が悪い薬物でも粘着剤層から効率よく放出させるこ
とができるのであり、この種薬物を粘着剤層に固体のま
ま含有させ、且つその薬物の粒径や薬物の粒径分布を特
定の範囲とすることにより薬物の放出速度を長時間に亙
ってほぼ一定にしうるようにした粘着製剤を提供するこ
とを目的とする。
(d)課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明の粘着製剤は、支
持体表面に薬物を含有する粘着剤層が形成されてなり、
且つ該薬物が粘着剤層中において室温で固体粒子状であ
る粘着製剤であって、該薬物はその大きさにおいて、個
数平均径が7μm以上であり、しかも上記粘着剤層の厚
みに対し1/4〜2倍の範囲であり、且つ該薬物の粒径分
布が上記粘着剤層の厚さの1/3倍以上のものが30%未満
であることを特徴とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる支持体は柔軟で薬物を透過しない
ものであれば特に限定されるものではない。具体的に
は、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニル
アルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、EV
A、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ィルムやシート、或いはこのフィルムやシートに金属を
蒸着したもの、更にこれらの2種以上を用いた積層シー
ト等が挙げられる。
本発明においては、上記支持体の表面に薬物を含有す
る粘着剤層が形成されてなる。
つまり、本発明においては、粘着剤で形成された層に
薬物が含有されているが、該粘着剤としては特に限定さ
れるものではない。
具体的には、例えばポリイソブチレンゴム、ポリイソ
プレンゴム、(スチレン−イソプレン−スチレン)ブロ
ック共重合体ゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、
アラビアゴム等の合成ゴム或いは天然ゴムの如きゴム系
粘着剤、更にアクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着
剤、ポリアミド系粘着剤、ポリ塩化ビニル系粘着剤、ポ
リエチレン系粘着剤、エチレン−ビニルアルコール共重
合体系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系粘着
剤、エチレン−メタクリル酸共重合体系粘着剤、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体系粘着剤、親水性アクリ
ルポリマー系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、
ポリピニルアルコール系粘着剤、セルロース系粘着剤、
酢酸ビニル系粘着剤等が挙げられる。
そして、本発明においては、上記粘着剤に薬物が含有
されているが、該薬物は粘着剤層中において室温で固体
粒子状であり、且つ該薬物はその大きさにおいて、個数
平均径が7μm以上であり、しかも上記粘着剤層の厚み
に対し1/4〜2倍の範囲である上、薬物の粒径分布が上
記粘着剤層の厚さの1/3倍以上のものが30%未満である
ことを特徴とする。
即ち、本発明者の実験結果によると、粘着製剤の貼付
部位に発汗等による水分が存在すると、融点が高く、放
出性の悪い薬物でも、該薬物の個数平均径を7μm以上
で、しかも上記粘着剤層の厚みに対し1/4〜2倍の範囲
にすることにより、薬物粘着剤層からの薬物の放出性が
向上し、利用効率が向上することが認められた。
又、特に、この種薬物を粘着剤層に固体粒子のまま含
有させ、且つその薬物の粒径分布を上記粘着剤層の厚さ
の1/3倍以上のものが30%未満となるように設定するこ
とにより、薬物粘着剤層からの放出速度が著しく長時間
にわたりほぼ一定になることが認められた。
本発明において、個数平均径とは二軸平均径により測
定した値である。
ところで、一般的には、固体粒子のまま薬物を粘着剤
層中に含有した場合、粒径が小さいほど表面積が増大
し、粘着剤層への薬物溶解速度が上がり、薬物放出性は
向上すると考えられるが、驚くべきことに、本発明の粘
着製剤においては粒径が大きいほど放出特性が良いこと
が認められた。これは、粘着剤層の貼付面付近に保持さ
れた薬物粒子が、貼付部位に存在する水分に溶解され、
放出されたためと推測できる。
そのため薬物の放出量は、粘着剤層表面より薬物の粒
径程度の深さに存在する薬物に影響すると考えられる。
そのため粘着剤層中の薬物の利用効率を考慮すると薬物
の粒径と粘着剤層の厚みを関係づけることができる。
つまり、放出される薬物量は粘着剤層表面より、粒径
とほぼ同じ深さ位に存在する薬物粒子に影響されるた
め、粒径は粘着剤層の厚みの1/4倍以上2倍以下の範囲
が粘着製剤中の薬物利用効率、また外観を悪くしないの
で望ましい。
しかも、この種、粘着製剤を生体に適用し、薬物の放
出速度を長時間に亙ってほぼ一定にするには薬物の個数
平均径や粘着剤層の厚みとの関係をコントロールするだ
けでなく、薬物の粒径分布が極めて重要であることが認
められた。即ち、薬物はその大きさにおいて、個数平均
径が7μm以上であり、しかも上記粘着剤層の厚みに対
し1/4〜2倍の範囲である上、薬物の粒径分布が上記粘
着剤層の厚さの1/3倍以上のものが30%未満であること
を要する。
本発明において、薬物の初期放出特性は粒径分布に依
存する。特に薬物の粒径が10μm以上のものが全体の30
%以上ある場合、初期放出特性が著しく向上するが、一
定速度の薬物放出には不適なため、薬物粒径分布におい
て、薬物の粒径が粘着剤層の厚みの1/3倍以上のものが3
0%未満あれば良い。
即ち、本発明の粘着製剤において、薬物の個数平均径
が7μm以上で、しかも上記粘着剤層の厚みに対し1/4
〜2倍の範囲であるものが、薬物の利用効率が良好にな
る上、また外観を悪くしないので望ましい。
又、特に、該薬物の粒径分布が上記粘着剤層の厚さの
1/3倍以上のものが30%未満であるものが、薬物の放出
速度を著しく長時間にわたって一定にするので望まし
い。
本発明に用いられる上記薬物としては、本発明の粘着
製剤の使用目的によって使い分けられるものであり、こ
の粘着製剤が人体を対象とするものであれば、この薬物
は外皮或いは粘膜から経皮吸収されるものが使用され
る。動物を対象とする場合も略々同様の基準のものが使
用される。植物を対象とする場合は、樹皮又は茎皮から
吸収される薬物或いは樹幹から供給される薬物が使用さ
れる。
人体を対象とする薬物としては、コルチコステロイド
類、消炎鎮痛剤、抗高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精
神安定剤、降圧剤、抗生物質、抗菌性物質、ビタミン
類、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗
真菌物質などが挙げられるのであり、又、動物用として
は、抗感染薬、消毒外部殺虫薬、代謝用薬、繁殖用薬、
消化器用薬、中枢神経薬、抗アレルギー薬などが、また
植物用としては、さし木発根促進剤、奇形果減剤、木支
の萌発防止剤、落果防止剤、曲がり防止剤、肥大促進
剤、無核化剤、成熟促進剤などが挙げられる。
本発明においては、上記粘着剤(A)に上記薬物
(B)が含有されるがその配合割合は(B)が0.01〜50
重量%、特に3〜10重量%の範囲になるのが望ましい。
(B)の配合割合が0.01%重量%未満では効果が乏し
いのであり、一方(B)の配合割合が50重量%を越える
と不経済であるだけでなく無意味である。
(e)作用 本発明は、上記構成を有し、粘着剤層中の薬物が当該
粘着剤層中において使用温度付近で固体粒子状であり、
且つ該薬物はその大きさにおいて、個数平均径が7μm
以上であり、しかも上記粘着剤層の厚みに対し1/4〜2
倍の範囲であることにより、融点が高く、放出性の悪い
薬物でも、粘着製剤の貼付部位に発汗或いは樹液等によ
る水分が存在すると、薬物粘着剤層からの薬物の初期放
出性が向上し、利用効率が向上することが認められた。
又、特に、この種薬物を粘着剤層に固体粒子のまま含
有させ、且つその薬物の粒径及び薬物の粒径分布を上記
粘着剤層の厚さの1/3倍以上のものが30%未満に設定す
ることにより、薬物を含有する粘着剤層からの放出速度
が著しく長時間にわたりほぼ一定になることが認められ
た。
この理由としては、粘着剤層の貼付面付近に保持され
た薬物粒子が、貼付部位に存在する水分に溶解され、放
出されると共に薬物粒子の放出と溶解のバランスがとれ
て粘着剤層中の薬物濃度がほぼ一定となり、このため薬
物の放出速度がほぼ一定になるためと推測される。
そのため薬物の放出量は、粘着剤層表面より薬物の粒
径程度の深さに存在する薬物に影響すると考えられる。
そのため粘着剤層中の薬物の利用効率を考慮すると薬物
の粒径と粘着剤層の厚みを関係づけることができる。
つまり、放出される薬物量は粘着剤層表面より、粒径
とほぼ同じ深さ位に存在する薬物粒子に影響されるた
め、薬物の利用効率を考慮すると粒径は粘着剤層の厚み
の1/4倍以上のものが望ましく、また粘着性剤の外観を
悪くしないためには粒径が粘着剤層の厚みの2倍以下が
望ましい。さらに、この種の粘着製剤を生体に適用し、
薬物の放出速度を長時間にわたってほぼ一定にするに
は、薬物の個数平均径や粘着剤層の厚みとの関係をコン
トロールするだけでなく、薬物の粒径分布が極めて重要
であり、特に、この種薬物を粘着剤層に固体粒子のまま
含有させ、且つその薬物の粒径及び薬物の粒径分布を上
記粘着剤層の厚さの1/3倍以上のものが30%未満に設定
することによって、薬物粘着剤層からの放出速度をほぼ
一定にすることができる作用を有するのである。
(f)実施例 以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 アクリル系粘着剤(ラノリン6重量%含有)に対し、
個数平均径7.4μm(粒径分布で10μm以上の粒子が約2
5%)のジベレリン6重量%を配合し、このジベレリン
含有粘着剤を厚み9μmのポリエステル製支持体上に乾
燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、本発明の粘着
製剤を得た。
比較例1 アクリル系粘着剤(ラノリン6重量%含有)に対し、
ジベレリン6重量%をメタノールに溶解配合し、乾燥後
の厚さが30μmとなるようにポリエステル製支持体上に
塗布した。これを温度40℃、相対湿度75%の加温条件下
でジベレリン結晶を析出させ、結晶析出製剤を得た。
上記実施例1及び比較例1で得た粘着製剤を5cm×5cm
(角)に裁断し、第11改正日本薬局方収載の溶出試験法
(パドル法)にてジベレリンの溶出速度を調べた。
その結果を第1図に示す。
第1図に示す結果より、薬物の放出率は初期から24時
間の間は勾配がほぼ一定で薬物の放出速度がほぼ一定で
あることが認められる。
実施例2 アクリル系粘着剤(2EHA/AA=95/5)に対し、個数平
均径10μm(粒径分布で12μm以上の粒子が20%)のプ
ラノプロフェン10重量%を配合し、乾燥後の厚みが40μ
mとなるようにポリエステル製支持体(厚み12μm)上
に塗布し、粘着製剤を得た。
上記実施例2で得た粘着製剤を5cm×5cm(角)に裁断
し、第11改正日本薬局方収載の溶出試験法(パドル法)
にてジベレリンの溶出速度を調べた。
その結果を第2図に示す。
第2図に示す結果より、薬物の放出率は初期から24時
間の間は勾配がほぼ一定で薬物の放出速度がほぼ一定で
あることが認められる。
(g)発明の効果 本発明は、上記構成を有し、粘着剤層中の薬物が当該
粘着剤層中において室温で固体粒子状であり、且つ該薬
物はその大きさにおいて、個数平均径が7μm以上であ
り、しかも上記粘着剤層の厚みに対し1/4〜2倍の範囲
であり、更に該薬物の粒径分布が上記粘着剤層の厚さの
1/3倍以上のものが30重量%未満であるので、融点が高
く、放出性の悪い薬物でも、粘着製剤の貼付部位に発汗
或いは樹液等による水分が存在すると、薬物粘着剤層か
らの薬物の初期放出性が良好になったり、薬物の利用効
率が向上する上、薬物の放出速度がほぼ一定になるので
あり、この結果、極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1及び比較例1の薬物の溶出率を示す特
性図、第2図は実施例2の薬物の溶出率を示す特性図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 三郎 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−266063(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/70 A01N 25/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体表面に薬物を含有する粘着剤層が形
    成されてなり、且つ該薬物が粘着剤層中において室温で
    固体粒子状である粘着製剤であって、該薬物はその大き
    さにおいて、個数平均径が7μm以上であり、しかも上
    記粘着剤層の厚みに対し1/4〜2倍の範囲であり、且つ
    該薬物の粒径分布が上記粘着剤層の厚さの1/3倍以上の
    ものが30%未満であることを特徴とする粘着製剤。
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