JP2903006B2 - 大屋根のプッシュアップ工法 - Google Patents

大屋根のプッシュアップ工法

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JP2903006B2
JP2903006B2 JP4913997A JP4913997A JP2903006B2 JP 2903006 B2 JP2903006 B2 JP 2903006B2 JP 4913997 A JP4913997 A JP 4913997A JP 4913997 A JP4913997 A JP 4913997A JP 2903006 B2 JP2903006 B2 JP 2903006B2
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清二 阿川
龍夫 内藤
直之 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大屋根のプッシュ
アップ工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、大屋根鉄骨の建方工法について
大別すると、仮受ベント工法、リフトアップ工法、プッ
シュアップ工法があり、そのような工法選定時の大きな
条件として、 現場施工条件 大屋根形状・規模 大屋根骨組構成並びに剛性 等を、総合的に判断して決定する必要がある。そして、
その中のプッシュアップ工法は、大屋根を地組(地上面
に近い低い高さにおいて組み上げ)してから押し上げて
所定高さに据え付けるようにする施工方法であり、この
ようなプッシュアップ工法の一つとして、特開平7−1
13332号公報に開示されるものがある。
【0003】この特開平7−113332号公報に開示
されるプッシュアップ工法は、所謂パンタドーム構法と
呼ばれるもので、ドーム屋根鉄骨を3ヒンジ構造にし、
折り畳んだ状態で地組し、センターのコンプレッション
リングにプッシュアップタワーとベアロックジャッキ
(商品名)を配置し、コンプレッションリングをプッシ
ュアップするものであり、ベアロックジャッキによるプ
ッシュアップタワーの押し上げとプッシュアップタワー
の継ぎ足しを繰り返して、ドーム屋根鉄骨を所定の高さ
まで押し上げる。この時、プッシュアップタワーは、上
下端ともピン構造で所謂ブランコ状態にあり、風・地震
等の水平力に対しては無抵抗であるが、前記パンタドー
ム工法による3ヒンジ構造のドーム屋根鉄骨により、屋
根全体が水平力に抵抗できる強度を有しているため、ド
ーム屋根鉄骨を安全に押し上げることができる。
【0004】ところで、このようなパンタドーム構法を
採用するためには構造的条件があり、ドーム形状並びに
屋根骨組構成を選択する必要もあり、かなり限定された
ものとなってしまう。そして、以上のようなパンタドー
ム構法の具体的な短所としては、以下の5点が挙げられ
る。 ピンヒンジ機構が多く、高い製作精度並びに建て方精
度が要求される。 製作コストが大きくアップする。 プッシュアップ点には、コンプレッションリングが必
要である。 水平変位に対しては、骨組の剛性で抵抗するため、当
該構法採用にあたっては、骨組断面をアップする必要が
ある。しかし、ピン連結部分が弱点となる。 大屋根形状にもよるが、屋根仕上げの後の施工部分が
多い。例えば、円形ドーム形状の場合は、屋根骨組の後
施工が特に多く、メリットが少ない。
【0005】また、ドーム本体の形状並びに骨組構成に
関係なく、例えば、前記ベアロックジャッキを用いたプ
ッシュアップ工法を行うためには、本設または仮設の設
備により水平力を支持する必要がある。そのような本設
または仮設の設備により水平力を支持する方法として、
ガイド柱による支持方法がある。このガイド柱を用いた
プッシュアップ工法は、大屋根の外周に本設または仮設
のガイド柱を設けて、所定の高さまでプッシュアップす
る工法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ようなガイド柱を用いたプッシュアップ工法の具体的な
短所としては、以下の1点が挙げられる。 本設柱をガイド柱として利用できるケースは稀であ
り、殆どの場合には仮設ガイド柱を設けるが、そうする
と、仮設設備費が増大してしまい、このため、実際には
あまり採用されにくい工法となっていた。即ち、仮設ガ
イド柱による水平力の支持方法を採用すると、例えば、
大規模ドームの場合は、仮設ガイド柱に沿って屋根鉄骨
を上昇させるためのガイドローラー等の機械設備を必要
とし、しかも、仮設ガイド柱が大がかりな構造となり、
また、屋根本体の補強も必要となってしまい、仮設コス
トが大幅に上がってしまう問題がある。
【0007】そして、大屋根を押し上げるプッシュアッ
プ設備に付随して設ける仮設フレームとして、押し上げ
に同調させて水平力に対して抵抗できるようにしたリン
ク式フレームが提案される(特願平8−124854号
参照)。これはリンクフレーム式プッシュアップ工法と
呼ばれるもので、ガイド柱を使用せずに水平移動防止を
行う設備として、プッシュアップタワーと一対構成した
リンクフレームを設けて、連動させながらプッシュアッ
プする工法である。即ち、地組した大屋根に対し上端部
で回動自在に連結し、地上面において円周状に敷設され
た軌条に沿って下端部がそれぞれ移動する複数の移動フ
レームと、その各々の中間部と地上との間にそれぞれ介
設される複数の揺動フレームとからなる構成のリンクフ
レームを用いるものである。
【0008】このようなリンクフレーム式プッシュアッ
プ工法によれば、複数の移動フレームの下端部が円周状
の軌条に沿って互いに離れる方向へ移動した状態から、
大屋根を押し上げるための駆動源によるプッシュアップ
力の作用により、複数の移動フレームの下端部が円周状
の軌条に沿って互いに近付く方向へそれぞれ移動すると
ともに、これに追従して揺動フレームがそれぞれ揺動し
て、複数の移動フレームのそれぞれの高さが同じだけ高
くなる。そして、大屋根のプッシュアップの際に、円周
状の軌条に沿って近付く方向へ各々移動して高さが同じ
だけそれぞれ立ち上がっていく複数の移動フレームと、
その各々に追従してそれぞれ立ち上がっていく複数の揺
動フレームとによって、水平力に対して抵抗できるもの
となる。
【0009】しかし、以上のようなリンクフレーム式プ
ッシュアップ工法の短所としては、以下の2点が挙げら
れる。 プッシュアップ時の連動操作が複雑になる。 揚程の高いプッシュアップの場合、リンクフレームの
構造が大掛かりになる。
【0010】そこで、本発明の目的は、ピンヒンジ機構
が多くてコスト高で精度及び剛性が要求されるパンタド
ーム構法や、仮設設備費が増大するガイド柱や、連動動
作が複雑で大掛かりとなるリンクフレームを用いずに、
比較的簡易な構成により水平方向の移動を防止しながら
大屋根を安全に押し上げて所定高さに据え付けできるよ
うにした新規なプッシュアップ工法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
請求項1記載の発明は、地上面に近い低い高さで組み上
げられた大屋根、いわゆる地組による大屋根をプッシュ
アップタワーにより押し上げて、例えば、ベアロックジ
ャッキ等のプッシュアップジャッキによるプッシュアッ
プタワーの押し上げとプッシュアップタワーの継ぎ足し
を繰り返す等により大屋根を押し上げて所定高さに据え
付けるようにする、大屋根のプッシュアップ工法であっ
て、前記大屋根は、所定間隔離間して配置される屋根構
造体、例えば、互いに対向して配置されて一様に離間す
る対をなす構成の屋根構造体、このような離間した対向
配置で方形に配置された構成の屋根構造体、あるいは、
外周側のテンションリングと内周側のコンプレッション
リングとにわたって屋根部材を円周状に載せた構成の円
弧状大屋根等であり、これら離間した配置の屋根構造体
の外端部側を基礎側に、例えば、基礎上に屋根構造体を
直接、あるいは、基礎上に設置したテンションリングに
架設用ピンを介して屋根部材等をそれぞれヒンジ結合
し、前記離間した配置の屋根構造体の内端部側を対をな
すよう配置した前記プッシュアップタワー上に、例え
ば、レール構造等によりそれぞれスライド移動可能に載
せ、これらプッシュアップタワーの上端部間を、例え
ば、仮設繋ぎ梁やコンプレッションリング等による骨組
材で連結するとともに、前記対をなす配置のプッシュア
ップタワーの上端部側と前記離間した配置の屋根構造体
の内端部側との間に、水平方向に対する抵抗力の付与が
可能で、互いの抵抗力をバランスさせる対をなす、例え
ば、油圧シリンダユニット等による水平制御装置をそれ
ぞれ架設し、前記離間した配置の屋根構造体の内端部側
を、前記対をなす配置のプッシュアップタワーにより同
期して、前記屋根構造体の外端部側の前記ヒンジ結合部
を支点として円弧状軌跡を描きながら押し上げるととも
に、前記対をなす水平制御装置により前記水平方向に対
する互いの前記抵抗力をバランスさせる水平制御を行う
ようにしたこと、を特徴としている。
【0012】ここで、本発明のプッシュアップ工法を適
用する大屋根としては、例えば、互いに対向して配置さ
れて一様に所定間隔離間する対をなす構成の屋根構造
体、このような離間した対向配置で方形に配置された構
成の屋根構造体、あるいは、外周側のテンションリング
と内周側のコンプレッションリングとにわたって屋根部
材を円周状に載せた構成の円弧状大屋根等のドーム屋根
が挙げられるが、要するに、所定間隔離間して配置され
る屋根構造体である。また、プッシュアップタワーは、
例えば、ベアロックジャッキ等のプッシュアップジャッ
キによるプッシュアップタワーの押し上げとプッシュア
ップタワーの継ぎ足しを繰り返しすることで、大屋根等
の大空間構造物を所定高さまで押し上げて据え付けるよ
うにするものである。なお、スライド移動可能とは、レ
ール構造が挙げられるが、スライド機能が得られれば何
でも良い。そして、骨組材としては、例えば、仮設繋ぎ
梁やコンプレッションリングが挙げられるが、架設や本
設の部材に限らず、対をなす配置のプッシュアップタワ
ー上端部間を繋いで強度を確保するものであれば何でも
良い。さらに、水平制御装置としては、油圧シリンダユ
ニットが上げられるが、エアシリンダユニットやワイヤ
ウインチやリンクプレート式ウインチ等であっても良
い。
【0013】以上のように、請求項1記載の発明によれ
ば、所定間隔離間して配置する屋根構造体の外端部側を
基礎側にそれぞれヒンジ結合し、離間した配置の屋根構
造体の内端部側を対をなすよう配置したプッシュアップ
タワー上にそれぞれスライド移動可能に載せて、そのプ
ッシュアップタワーの上端部間を骨組材で連結し、各プ
ッシュアップタワーの上端部側と屋根構造体の内端部側
との間に水平制御装置をそれぞれ架設し、屋根構造体の
内端部側を、プッシュアップタワーにより同期して、屋
根構造体の外端部側のヒンジ結合部を支点として円弧状
軌跡を描きながら押し上げるとともに、対をなす水平制
御装置により水平方向に対する互いの抵抗力をバランス
させる水平制御を行うことで、互いに離間した配置の屋
根構造体からなる大屋根を、比較的簡易な構成により水
平方向の移動を確実に防止しながら、安全に押し上げて
所定高さに据え付けできる。従って、離間した配置の屋
根構造体による大屋根のプッシュアップ施工において、
従来のプッシュアップ工法のようなピンヒンジ機構が多
くてコスト高で精度及び剛性が要求されるパンタドーム
構法、仮設設備費が増大するガイド柱、連動動作が複雑
で大掛かりとなるリンクフレームを用いることなく、新
規で比較的簡易な構成をもって、水平方向の移動を確実
に防止して安全に施工できる。
【0014】なお、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の大屋根のプッシュアップ工法であって、前記大屋根
は、対向配置されて一様に所定間隔離間する対をなすド
ーム屋根等の屋根構造体であり、これら対をなす屋根構
造体の内端側に沿って前記プッシュアップタワーを互い
に対をなすようにそれぞれ複数配置し、その各々対をな
すプッシュアップタワーの上端部間に、例えば、H形鋼
等による仮設繋ぎ梁を前記骨組材としてそれぞれ架設
し、前記水平制御装置を、前記プッシュアップタワーの
上端部と前記屋根構造体の内端側との間に架設し、前記
対をなす屋根構造体の内端部側を、前記対向配置した各
々複数のプッシュアップタワーにより同期してそれぞれ
押し上げるようにしたこと、を特徴としている。なお、
対向配置されて一様に所定間隔離間する対をなす屋根構
造体による大屋根としては、例えば、その対をなす屋根
構造体の押し上げた内端部の間を中央部屋根で繋げるド
ーム屋根が挙げられ、さらには、方形配置の屋根構造体
の押し上げた内端部の間を中央部屋根で繋げるドーム屋
根も挙げられる。また、方形配置の屋根構造体の場合に
も、同様のプッシュアップタワー、水平制御装置及び仮
設繋ぎ梁を備える必要があり、その場合、互いに干渉し
ないようなプッシュアップタワー及び仮設繋ぎ梁の構成
やプッシュアップ手順とすれば良い。
【0015】このように、請求項2記載の発明によれ
ば、請求項1記載の発明において、対向配置で一様に所
定間隔離間した対をなす屋根構造体の内端側に沿ってプ
ッシュアップタワーを互いに対をなすようにそれぞれ複
数配置し、その各々対のプッシュアップタワーの上端部
間に骨組材として仮設繋ぎ梁をそれぞれ架設し、プッシ
ュアップタワーの上端部と屋根構造体の内端側との間に
水平制御装置を架設して、対向配置で対をなす屋根構造
体の内端部側を、各々複数のプッシュアップタワーによ
り同期してそれぞれ押し上げて施工するので、対向配置
で一様に所定間隔離間した対をなす屋根構造体からなる
大屋根を、その対向配置の屋根構造体の内端側を利用し
て、安全に押し上げて所定高さに据え付けできる。即
ち、対向配置で一様に所定間隔離間した対をなす屋根構
造体からなる大屋根において、対向配置で各々対のプッ
シュアップタワーの上端部と屋根構造体の内端側との間
に架設した水平制御装置による制御によって、水平方向
の移動を確実に防止しながら、請求項1記載の発明のよ
うに、安全なプッシュアップ作業により施工できる。
【0016】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載の大屋根のプッシュアップ工法であって、前記大屋根
は、外周側のテンションリングにヒンジ結合した屋根部
材を内周側のコンプレッションリング上にスライド移動
可能に載せたドーム屋根等の円弧状大屋根であり、前記
テンションリングを前記基礎に固定し、前記プッシュア
ップタワーを、前記コンプレッションリングの円周方向
に沿わせ、かつ、直径方向に対向して対をなすよう円周
状に複数配置し、これら対をなすよう円周状に配置した
複数のプッシュアップタワー上に前記コンプレッション
リングを前記骨組材として固定し、前記水平制御装置
を、前記コンプレッションリングと前記屋根部材の内周
側との間に架設し、前記コンプレッションリングを、前
記円周状に配置した複数のプッシュアップタワーにより
同期して押し上げるようにしたこと、を特徴としてい
る。なお、外周側のテンションリングにヒンジ結合した
屋根部材を内周側のコンプレッションリング上にスライ
ド移動可能に載せた円弧状大屋根としては、例えば、円
環状のドーム式屋根が挙げられる。
【0017】このように、請求項3記載の発明によれ
ば、請求項1記載の発明において、外周側のテンション
リングにヒンジ結合した屋根部材を内周側のコンプレッ
ションリング上にスライド移動可能に載せた円弧状大屋
根であって、テンションリングを基礎に固定し、プッシ
ュアップタワーを、コンプレッションリングの円周方向
に沿わせ、かつ、直径方向に対向して対をなすよう円周
状に複数配置し、これら円周状配置のプッシュアップタ
ワー上にコンプレッションリングを骨組材として固定
し、コンプレッションリングと屋根部材の内周側との間
に水平制御装置を架設して、コンプレッションリングを
円周状配置のプッシュアップタワーにより同期して押し
上げて施工するので、外周側のテンションリングと内周
側のコンプレンションリングとに亘って円周状に屋根部
材が取り付けられる円弧状大屋根を、その内周側のコン
プレンションリングを利用して、安全に押し上げて所定
高さに据え付けできる。即ち、外周側のテンションリン
グと内周側のコンプレンションリングとに亘って円周状
に屋根部材が取り付けられる円弧状大屋根において、そ
のコンプレッションリングと屋根部材の内周側との間に
架設した水平制御装置による制御によって、水平方向の
移動を確実に防止しながら、請求項1記載の発明のよう
に、安全なプッシュアップ作業により施工できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る大屋根のプ
ッシュアップ工法の実施の各形態例を図1から図9に基
づいて説明する。
【0019】<第1の実施の形態例>先ず、図1は本発
明を適用した大屋根プッシュアップ施工の第1の実施の
形態例を示すもので、プッシュアップ前の状態を示した
概略正面図である。この図1において、1は基礎、2は
側部鉄骨屋根構造体(大屋根)、3はヒンジピン、4は
プッシュアップタワー、5は仮設繋ぎ梁(骨組材)、6
はピン、7は屋根内端部支持部材、8はローラ、9は油
圧シリンダユニット(水平制御装置)である。図示のよ
うに、大きく離間した左右の基礎1,1の上に、地組に
よる側部鉄骨屋根構造体2,2が外端部でヒンジピン
3,3によりそれぞれ揺動自在にヒンジ結合されてお
り、これら左右で対をなす側部鉄骨屋根構造体2,2は
互いに対向して配置されて一様に離間した大屋根を構成
する。
【0020】このように互いに対向して配置されて一様
に離間した左右の側部鉄骨屋根構造体2,2は、地上に
各々垂直に設置したプッシュアップタワー4,4により
内端部寄り側部分をそれぞれ支持されている。これら左
右一対のプッシュアップタワー4,4は、図示表裏面方
向に沿って複数対設けられている。また、これら左右の
プッシュアップタワー4,4の上端部間には、両者を一
体化する骨組材としてのH形鋼による仮設繋ぎ梁5が溶
接により剛結して架設されている。そして、各々のプッ
シュアップタワー4上に、ピン6を介して屋根内端部支
持部材7が揺動自在に連結されており、この屋根内端部
支持部材7上に備える複数のローラ8,8が、側部鉄骨
屋根構造体2の図示左右方向に延在する鉄骨に沿ってそ
の内端部寄り側部分に回転自在に係合している。さら
に、屋根内端部支持部材7と側部鉄骨屋根構造体2の内
端部との間には、水平制御装置として機能する油圧シリ
ンダユニット9が架設されている。
【0021】ところで、プッシュアップタワー4は、そ
の下端部が、後述する第2の実施の形態例で詳細に説明
するように、プッシュアップ構台4aの周囲4本のベア
ロックジャッキ等のプッシュアップジャッキ4b,4
b,…の下端部に固定したカンザシ桁4cにボルト結合
により着脱自在に連結されている。なお、プッシュアッ
プジャッキ4bはセルフロック機能を具備するものであ
る。従って、プッシュアップタワー4は、プッシュアッ
プジャッキ4b,4b,…によるカンザシ桁4cを介し
て所定ストローク上昇される度に、下端部にタワー部材
を継ぎ足して、その継ぎ足したタワー部材の側面にボル
ト結合によりカンザシ桁4cが連結される。このような
プッシュアップ動作は全て同期して行われる。また、左
右で対をなす油圧シリンダユニット9,9は、プッシュ
アップ工期中において、風や地震等の外力により左右の
側部鉄骨屋根構造体2,2からの水平力に抵抗できるよ
うにするためのものである。即ち、対の油圧シリンダユ
ニット9,9により、常時一定の引張力または圧縮力を
左右の側部鉄骨屋根構造体2,2にそれぞれ導入するこ
とによって、左右の荷重バランスを平衡に保つよう制御
する。なお、各油圧シリンダユニット9,9の圧力管理
も行われる。
【0022】次に、以上のようなプッシュアップ装置に
よる大屋根(側部鉄骨屋根構造体2,2)のプッシュア
ップ作業について説明する。先ず、図1に示したよう
に、左右の基礎1,1上に各々のヒンジピン3,3を介
して外端部がそれぞれ結合されて、対のプッシュアップ
タワー4,4上の各々の屋根内端部支持部材7,7によ
り内端部寄り部分が各々のローラ8,8,…を介してそ
れぞれ支持された側部鉄骨屋根構造体2,2が、図示の
ようにほぼ水平状態となるよう予めセットされている。
このような大屋根(側部鉄骨屋根構造体2,2)の地組
状態から、各プッシュアップタワー4,4,…の周囲の
プッシュアップジャッキ4b,4b,…を同期作動し
て、その各々の昇降ロッドを同時に上昇させ、昇降ロッ
ド下端部に架設したカンザシ桁4c,4c,…を介して
各プッシュアップタワー4,4,…を同時に所定ストロ
ーク上昇させる。そして、各プッシュアップタワー4,
4,…の下端部にタワー部材をそれぞれ継ぎ足す。
【0023】以上のような各プッシュアップタワー4,
4,…の継ぎ足し作業を押し上げの度に行いながら、プ
ッシュアップ装置によるプッシュアップ動作を繰り返し
ていって、図2に示すように、左右の基礎1,1上の各
々のヒンジピン3,3を支点として側部鉄骨屋根構造体
2,2の内端部を円弧状軌跡を描きながら所定の高さま
で押し上げる。このプッシュアップ作業の最中、各々の
プッシュアップタワー4上にピン6により連結した屋根
内端部支持部材7上のローラ8,8が、側部鉄骨屋根構
造体2の鉄骨に沿って移動するとともに、屋根内端部支
持部材7がピン6を支点として揺動することによって、
プッシュアップタワー4上での側部鉄骨屋根構造体2の
スライド移動がスムーズに行われる。以上のようなプッ
シュアップ作業時において、左右で対のプッシュアップ
タワー4,4の上端部間には、強度に優れるH形鋼によ
る仮設繋ぎ梁5を架設してあるので、左右の側部鉄骨屋
根構造体2,2に作用する風や地震等の外力による水平
方向の力に対して高い強度を具備したものとなってい
る。
【0024】そして、左右の各プッシュアップタワー
4,4,…において、各々の屋根内端部支持部材7,
7,…と側部鉄骨屋根構造体2,2内端部との間にそれ
ぞれ架設した油圧シリンダユニット9,9,…によっ
て、左右の側部鉄骨屋根構造体2,2に常時一定の引張
力または圧縮力をそれぞれ導入して、左右の荷重バラン
スを平衡に保つ制御を行っているので、風や地震等の外
力による左右の側部鉄骨屋根構造体2,2からの水平力
に抵抗できるものである。また、地震力が突然作用した
時は、油圧管理制御により対の油圧シリンダユニット
9,9を自動的にロックすることも比較的簡単に行え
る。従って、対向配置の側部鉄骨屋根構造体2,2を安
全にプッシュアップできる。
【0025】以上のプッシュアップ工程後は、図示しな
い大型クレーンを用いて、側部鉄骨屋根構造体2,2の
内端部間に、図3に示すように、中央部鉄骨屋根構造体
10を載せて互いに接合する。その後、不要となった各
プッシュアップタワー4,4,…(プッシュアップ構台
4a,4a,…も含む)、及び仮設繋ぎ梁5,5,…を
解体して、屋根内端部支持部材7,7,…及び油圧シリ
ンダユニット9,9,…と併せて撤去する。なお、中央
部鉄骨屋根構造体10の施工については任意であり、例
えば、中央部鉄骨屋根構造体を折り畳み状態に地組し
て、左右の側部鉄骨屋根構造体2,2の間に繋げてお
き、前述したような左右の側部鉄骨屋根構造体2,2の
プッシュアップ動作に連動し、折り畳み状態の中央部鉄
骨屋根構造体が展開して施工されるように構成すること
も可能である。
【0026】ところで、以上の第1の実施の形態例で
は、所定間隔離間して配置される屋根構造体による大屋
根として、対向配置により一様に所定間隔離間した対を
なす屋根構造体の押し上げた内端部の間を中央部屋根で
繋げるドーム屋根としたが、例えば、方形配置の屋根構
造体の押し上げた内端部の間を中央部屋根で繋げるドー
ム屋根の場合にも本発明は適用されるものである。そし
て、そのような方形配置の屋根構造体のプッシュアップ
施工の場合においても、前述と同様の対をなす配置のプ
ッシュアップタワー及びその間の仮設繋ぎ梁と対をなす
配置の水平制御装置を備えておいて、互いに干渉しない
ような対をなす配置のプッシュアップタワー及びその間
の仮設繋ぎ梁の構成やプッシュアップ手順とすれば良い
ものとなる。
【0027】<第2の実施の形態例>図4は本発明を適
用した大屋根プッシュアップ施工の第2の実施の形態例
を示すもので、プッシュアップ前の状態を示した概略正
面図であり、図5はその矢印A部の詳細を示した拡大図
である。これらの図4及び図5において、11は基礎、
12は円弧状大屋根、13はテンションリング、14は
コンプレッションリング(骨組材)、15はヒンジピ
ン、16は屋根部材、17はガイド部材、18はガイド
レール、19はプッシュアップ構台、20はプッシュア
ップジャッキ(プッシュアップ駆動源)、21はカンザ
シ桁、22はプッシュアップタワー、23はコンプレッ
ションリング支持台、24ブラケット、25はピン、2
6はレールスライド部材、27は油圧シリンダユニット
(水平制御装置)、28はレールクランプ部材である。
【0028】円周方向に沿って形成した基礎11の上に
は、図4に示すように、円形ドームの円弧状大屋根12
の外周部を構成する角形鋼管等によるテンションリング
13が固定状態で設置され、その内方において、同じく
円弧状大屋根の内周部を構成する角形鋼管等によるコン
プレッションリング14が、後述するプッシュアップ装
置により支持されている。また、基礎11上のテンショ
ンリング13の内周には、ヒンジピン15,15,…に
より円周状に多数の屋根部材16,16,…が外端部で
それぞれ揺動自在にヒンジ結合されている。この屋根部
材16は、金属屋根鉄骨版により構成されるもので、さ
らに、内端部がコンプレッションリング14上にスライ
ド移動可能に載せられている。即ち、屋根部材16の内
端部には、アングル状鋼板等によるガイド部材17が溶
接により固定して突出状態で備えられており、図5に拡
大して示したように、このガイド部材17は、その下面
に円形ドームの半径方向に沿って延びるガイドレール1
8を有している。なお、このガイドレール18の両端部
にはストッパー凸部18a,18bが設けられている。
【0029】そして、コンプレッションリング14のプ
ッシュアップ装置は、図4に示したように、テンション
リング13の内方において掘り下げた地盤上に設置した
プッシュアップ構台19に構成されている。即ち、この
プッシュアップ構台19の四隅部に対応してジャッキ本
体を組み付けた垂直方向のプッシュアップ駆動源として
の4本のベアロックジャッキ等のプッシュアップジャッ
キ20,20,20,20と、その各々のプッシュアッ
プジャッキ20,20,20,20の昇降ロッド下端部
に固定したカンザシ桁21と、このカンザシ桁21に下
端部を貫通してその側面に着脱自在なボルト結合により
連結されるとともに、プッシュアップ構台19の中央部
を貫通して上方に延びる垂直方向のプッシュアップタワ
ー22とからなる。このプッシュアップタワー22の上
端部に、図5に示したように、コンプレッションリング
支持台23が溶接により固定して備えられており、この
コンプレッションリング支持台23の上に、コンプレッ
ションリング14が嵌合して溶接による固定状態で支持
されている。
【0030】さらに、コンプレッションリング14上に
は、ブラケット24が溶接により固定して起設され、こ
のブラケット24にピン25を介してレールスライド部
材26が連結して設けられている。このレールスライド
部材26は、前述した屋根部材16の内端部から突出し
たガイド部材17下面のガイドレール18に摺動自在に
係合するもので、このレールスライド部材26の左右に
は、水平制御装置として機能する油圧シリンダユニット
27,27を各々介してレールクランプ部材28,28
がそれぞれ連結されている。このレールクランプ部材2
8は、前記ガイド部材17下面のガイドレール18に摺
動自在に係合し、かつ、そのガイドレール18に対し固
定状態にクランプ動作可能なもので、そのクランプ動作
・クランプ解除動作は油圧制御によって行われる。ま
た、プッシュアップタワー22は、プッシュアップジャ
ッキ20によるカンザシ桁21を介して所定ストローク
上昇される度に、下端部にタワー部材を継ぎ足して、そ
の継ぎ足したタワー部材の側面にボルト結合によりカン
ザシ桁21が連結される。
【0031】以上において、円弧状大屋根12の外周部
のテンションリング13と内周部のコンプレッションリ
ング14とに架設する屋根部材16と、円弧状大屋根1
2のコンプレッションリング14をプッシュアップする
プッシュアップタワー22は、図8に示されるような配
置となっている。即ち、コンプレッションリング14側
の後述するプッシュアップ作業において、円周方向に配
設される屋根部材16の干渉を回避するため、1本のプ
ッシュアップタワー22の配置個所当たり中央に1枚で
その両側に1枚ずつ計3枚の屋根部材16,16,16
を並べて、さらに、その両側には1枚分の空間を開けて
から2枚ずつの屋根部材16,16をそれぞれ並べるよ
うにする。そして、このようなプッシュアップタワー2
2及び屋根部材16の配置を円周方向に沿って交互に行
い、結果的に、円形ドームの直径方向において、一対ず
つのプッシュアップタワー22,22が対向配置される
ものとする。
【0032】次に、以上のようなプッシュアップ装置に
よる円形ドームの円弧状大屋根12のプッシュアップ作
業について説明する。先ず、図4に示したように、基礎
11の内方の掘り下げられた地盤上に設置した各プッシ
ュアップタワー22,22,…上のコンプレッションリ
ング支持台23,23,…に固定したコンプレッション
リング14が、外周側の基礎11上のテンションリング
15よりも若干低くなるよう予めセットされている。即
ち、基礎11上のテンションリング15の内周にヒンジ
ピン15,15,…を介して外端部がそれぞれ結合され
て、各プッシュアップタワー22,22,…上のコンプ
レッションリング14上に内端部寄り部分のガイド部材
17が各々のガイドレール18とレールスライド部材2
6及びレールクランプ部材28を介してそれぞれ支持さ
れた屋根部材16,16,…が、図示のように内端部側
が若干低くなっている。この時、図5に示したように、
ガイドレール18の外端部のストッパー凸部18aにレ
ールクランプ部材28が突き当たって位置規制状態にあ
る。
【0033】以上のような円弧状大屋根12の地組状態
から、各々のプッシュアップ構台19に組み付けた4本
のプッシュアップジャッキ20,20,20,20を同
期作動して、その各々の昇降ロッドをそれぞれ同時に上
昇させ、昇降ロッド下端部に架設したカンザシ桁21,
21,…を介して各プッシュアップタワー22,22,
…を同時に所定ストローク上昇させる。そして、各プッ
シュアップタワー22,22,…の下端部に、新たにタ
ワー部材をボルト結合によりそれぞれ継ぎ足す。さら
に、各々のプッシュアップタワー22の下端部側面とカ
ンザシ桁21とのボルト結合を一旦外しておいて、4本
のプッシュアップジャッキ20,20,20,20を同
期作動して、その各々の昇降ロッドをそれぞれ同時に下
降させてから、その下端部に架設したカンザシ桁21
を、プッシュアップタワー22の下端部に継ぎ足したタ
ワー部材の側面にボルト結合により連結する。
【0034】以上のような各プッシュアップタワー2
2,22,…の継ぎ足し作業を押し上げの度に行いなが
ら、プッシュアップ装置によるプッシュアップ動作を繰
り返していって、図6に点線で示すように、コンプレッ
ションリング14をテンションリング13のヒンジピン
15を支点として円弧状軌跡を描きながら所定の高さま
で押し上げる。このプッシュアップ作業の最中、図5に
示したガイドレール18外端部のストッパー凸部18a
にレールクランプ部材28が突き当たった位置規制状態
から、対をなすレールクランプ部材28,28の油圧制
御によるON/OFFの交互動作とともに、対をなす油
圧シリンダユニット27,27の油圧制御による伸張/
縮小の交互動作によって、コンプレッションリング14
上のレールスライド部材26及びレールクランプ部材2
8,28がガイドレール18に沿って移動していく。そ
して、図6に示した所定の高さまでのコンプレッション
リング14の押し上げ状態において、図7に示したよう
に、ガイドレール18の内端部のストッパー凸部18b
にレールクランプ部材28が突き当たって位置規制状態
となる。
【0035】この場合、コンプレッションリング14上
にピン25により連結したレールスライド部材26が、
ピン25を支点として揺動することによって、コンプレ
ッションリング14上での屋根部材16のスライド移動
がスムーズに行われる。以上のようなプッシュアップ作
業時において、円周状に配置されて円形ドームの直径方
向に対をなすプッシュアップタワー22,22,…の上
端部は、強度に優れるコンプレッションリング14によ
り全て繋がれているので、円弧状大屋根12に作用する
風や地震等の外力による水平方向の力に対して高い強度
を具備したものとなっている。
【0036】そして、円形ドームの直径方向に対のプッ
シュアップタワー22,22において、コンプレッショ
ンリング14上の各々のレールスライド部材26,26
と、屋根部材16側のガイド部材17のガイドレール1
8に固定される各々のレールクランプ部材28,28と
の間にそれぞれ架設した油圧シリンダユニット27,2
7,によって、直径方向に対向する屋根部材16,16
に対してガイドレール18,18及びガイド部材17,
17を介して常時一定の引張力または圧縮力をそれぞれ
導入して、左右の荷重バランスを平衡に保つ制御を行っ
ているので、風や地震等の外力による円弧状大屋根12
(テンションリング13、コンプレッションリング14
及び屋根部材16,16,…)からの水平力に抵抗でき
るものである。また、地震力が突然作用した時は、油圧
管理制御により対の油圧シリンダユニット27,27を
自動的にロックすることも比較的簡単に行える。従っ
て、対向配置の側部鉄骨屋根構造体2,2を安全にプッ
シュアップできる。
【0037】以上のプッシュアップ工程後は、各々の屋
根部材16,16,…の内端部からガイド部材17,1
7,…をそれぞれ取り外して、図6に実線で示したよう
に、コンプレッションリング14の外周に屋根部材1
6,16,…をそれぞれ合わせて互いに接合する。その
後、不要となった各プッシュアップ構台19,19,
…、プッシュアップタワー22,22,…を解体して、
各レールスライド部材26,26,…、油圧シリンダユ
ニット27,27,…及びレールクランプ部材28,2
8,…と併せて撤去する。そして、図8に示したよう
に、プッシュアップ工程時には屋根部材16を据え付け
ていなかった空間部分において、テンションリング13
とコンプレッションリング14との間に屋根部材16を
それぞれ据え付ける。
【0038】図9は以上の円弧状大屋根12のプッシュ
アップ施工における建方作業の手順を示したフローチャ
ートである。即ち、このフローチャートに示したよう
に、先ず、第1工程(1)では、地盤上へのプッシュア
ップ装置(プッシュアップ構台19及びプッシュアップ
タワー22)の据え付けを行う。次の第2工程(2)で
は、地上面に近い低位置において、プッシュアップタワ
ー22上へのコンプレッションリング14の組立を行
う。なお、このような工程と並行して行われる別工程
(イ)において、基礎1上へのテンションリング13の
組立を行っておく。そして、次の第3工程(3)では、
外周屋根鉄骨版(屋根部材16:図8参照)の組立・搬
入を行う。
【0039】さらに、次の第4工程(4)において、図
示しないプッシュアップ制御システムの設置を行ってお
く。そして、次の第5工程(5)で、前述したようなコ
ンプレッションリング14のプッシュアップ作業を行
う。その後、次の第6工程では、残る外周屋根鉄骨版
(屋根部材16)の組立・搬入・仮据付けを行う。以上
により、コンプレッションリング14をプッシュアップ
作業を行い、外周屋根鉄骨版(屋根部材16)の扇形状
回転工法による建方を完了する。
【0040】なお、以上の実施の各形態例においては、
ドーム屋根としたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、他の形態の大屋根であっても良い。また、各部
の設計や材質や形状等も任意であり、その他、具体的な
細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論
である。
【0041】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明に係
る大屋根のプッシュアップ工法によれば、外端部側を基
礎側にヒンジ結合して所定間隔離間した配置の屋根構造
体の内端部側を対をなすよう配置したプッシュアップタ
ワー上にスライド移動可能に載せ、その対をなす配置の
上端部間を骨組材で連結した各プッシュアップタワーの
上端部側と屋根構造体の内端部側との間に水平制御装置
を架設して、離間した配置の屋根構造体の内端部側を、
プッシュアップタワーにより同期して、屋根構造体の外
端部側のヒンジ結合部を支点として円弧状軌跡を描きな
がら押し上げるとともに、対をなす水平制御装置により
互いの抵抗力をバランスさせる水平制御を行うため、互
いに離間した配置の屋根構造体からなる大屋根を、比較
的簡易な構成により水平方向の移動を確実に防止しなが
ら、安全に押し上げて所定高さに据え付けることができ
る。従って、離間した配置の屋根構造体による大屋根の
プッシュアップ施工において、従来のプッシュアップ工
法のようなピンヒンジ機構が多くてコスト高で精度及び
剛性が要求されるパンタドーム構法、仮設設備費が増大
するガイド柱、連動動作が複雑で大掛かりとなるリンク
フレームを用いることなく、新規で比較的簡易な構成を
もって、水平方向の移動を確実に防止して安全に施工す
ることができる。
【0042】なお、請求項2記載の発明に係る大屋根の
プッシュアップ工法によれば、対向配置で一様に所定間
隔離間した対をなす屋根構造体の内端側に沿って互いに
対をなすように複数配置した対のプッシュアップタワー
の上端部間に、請求項1記載の発明における骨組材とし
て仮設繋ぎ梁を架設し、そのプッシュアップタワーの上
端部と屋根構造体の内端側との間に水平制御装置を架設
して、対向配置で対をなす屋根構造体の内端部側をプッ
シュアップタワーにより同期して押し上げて施工するた
め、対向配置で一様に所定間隔離間した対をなす屋根構
造体からなる大屋根を、その対向配置の屋根構造体の内
端側を利用して、安全に押し上げて所定高さに据え付け
ることができる。即ち、対向配置で一様に所定間隔離間
した対をなす屋根構造体からなる大屋根において、対向
配置で各々対のプッシュアップタワーの上端部と屋根構
造体の内端側との間に架設した水平制御装置による制御
によって、水平方向の移動を確実に防止しながら、請求
項1記載の発明のように、安全なプッシュアップ作業に
より施工することができる。
【0043】また、請求項3記載の発明に係る大屋根の
プッシュアップ工法によれば、外周側のテンションリン
グにヒンジ結合した屋根部材を内周側のコンプレッショ
ンリング上にスライド移動可能に載せた円弧状大屋根で
あって、テンションリングを基礎に固定し、コンプレッ
ションリングの円周方向に沿わせ、かつ、直径方向に対
向して対をなすよう円周状にプッシュアップタワーを複
数配置し、これら円周状配置のプッシュアップタワー上
にコンプレッションリングを、請求項1記載の発明にお
ける骨組材として固定し、コンプレッションリングと屋
根部材の内周側との間に水平制御装置を架設して、コン
プレッションリングを円周状配置のプッシュアップタワ
ーにより同期して押し上げて施工するため、外周側のテ
ンションリングと内周側のコンプレンションリングとに
亘って円周状に屋根部材が取り付けられる円弧状大屋根
を、その内周側のコンプレンションリングを利用して、
安全に押し上げて所定高さに据え付けることができる。
即ち、外周側のテンションリングと内周側のコンプレン
ションリングとに亘って円周状に屋根部材が取り付けら
れる円弧状大屋根において、そのコンプレッションリン
グと屋根部材の内周側との間に架設した水平制御装置に
よる制御によって、水平方向の移動を確実に防止しなが
ら、請求項1記載の発明のように、安全なプッシュアッ
プ作業により施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した大屋根プッシュアップ施工の
第1の実施の形態例を示すもので、プッシュアップ前の
状態を示した概略正面図である。
【図2】図1の状態からプッシュアップ後の状態を示し
た概略正面図である。
【図3】図2のプッシュアップ後の中央部屋根の接合状
態を示した概略正面図である。
【図4】本発明を適用した大屋根プッシュアップ施工の
第2の実施の形態例を示すもので、プッシュアップ前の
状態を示した概略正面図である。
【図5】図4の矢印A部の詳細を示した拡大図である。
【図6】図4の状態からプッシュアップ後の状態を示し
た概略正面図である。
【図7】図6の矢印B部の詳細を示した拡大図である。
【図8】図6のプッシュアップ後の円弧状大屋根をプッ
シュアップ施工時の屋根部材の配置例とともに示した概
略平面図である。
【図9】第2の実施の形態例の円弧状大屋根のプッシュ
アップ施工における建方作業の手順を示したフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1 基礎 2 側部鉄骨屋根構造体(大屋根) 3 ヒンジピン 4 プッシュアップタワー 5 仮設繋ぎ梁(骨組材) 6 ピン 7 屋根内端部支持部材 8 ローラ 9 油圧シリンダユニット(水平制御装置) 10 中央部鉄骨屋根構造体 11 基礎 12 円弧状大屋根 13 テンションリング 14 コンプレッションリング(骨組材) 15 ヒンジピン 16 屋根部材 17 ガイド部材 18 ガイドレール 19 プッシュアップ構台 20 プッシュアップジャッキ(プッシュアップ駆動
源) 21 カンザシ桁 22 プッシュアップタワー 23 コンプレッションリング支持台 24 ブラケット 25 ピン 26 レールスライド部材 27 油圧シリンダユニット(水平制御装置) 28 レールクランプ部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 直之 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 西垣 登 東京都豊島区北大塚一丁目13番15号 宮 地建設工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/14 E04B 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地上面に近い低い高さで組み上げられた大
    屋根をプッシュアップタワーにより押し上げて所定高さ
    に据え付けるプッシュアップ工法であって、 前記大屋根は、所定間隔離間して配置される屋根構造体
    であり、 これら離間した配置の屋根構造体の外端部側を基礎側に
    それぞれヒンジ結合し、 前記離間した配置の屋根構造体の内端部側を対をなすよ
    う配置した前記プッシュアップタワー上にそれぞれスラ
    イド移動可能に載せ、 これらプッシュアップタワーの上端部間を骨組材で連結
    するとともに、 前記対をなす配置のプッシュアップタワーの上端部側と
    前記離間した配置の屋根構造体の内端部側との間に、水
    平方向に対する抵抗力の付与が可能で、互いの抵抗力を
    バランスさせる対をなす水平制御装置をそれぞれ架設
    し、 前記離間した配置の屋根構造体の内端部側を、前記対を
    なす配置のプッシュアップタワーにより同期して、前記
    屋根構造体の外端部側の前記ヒンジ結合部を支点として
    円弧状軌跡を描きながら押し上げるとともに、前記対を
    なす水平制御装置により前記水平方向に対する互いの前
    記抵抗力をバランスさせる水平制御を行うこと、を特徴
    とする大屋根のプッシュアップ工法。
  2. 【請求項2】前記大屋根は、対向配置されて一様に所定
    間隔離間する対をなす屋根構造体であり、 これら対をなす屋根構造体の内端側に沿って前記プッシ
    ュアップタワーを互いに対をなすようにそれぞれ複数配
    置し、 その各々対をなすプッシュアップタワーの上端部間に仮
    設繋ぎ梁を前記骨組材としてそれぞれ架設し、 前記水平制御装置を、前記プッシュアップタワーの上端
    部と前記屋根構造体の内端側との間に架設し、 前記対をなす屋根構造体の内端部側を、前記対向配置し
    た各々複数のプッシュアップタワーにより同期してそれ
    ぞれ押し上げること、を特徴とする請求項1記載の大屋
    根のプッシュアップ工法。
  3. 【請求項3】前記大屋根は、外周側のテンションリング
    にヒンジ結合した屋根部材を内周側のコンプレッション
    リング上にスライド移動可能に載せた円弧状大屋根であ
    り、 前記テンションリングを前記基礎に固定し、 前記プッシュアップタワーを、前記コンプレッションリ
    ングの円周方向に沿わせ、かつ、直径方向に対向して対
    をなすよう円周状に複数配置し、 これら対をなすよう円周状に配置した複数のプッシュア
    ップタワー上に前記コンプレッションリングを前記骨組
    材として固定し、 前記水平制御装置を、前記コンプレッションリングと前
    記屋根部材の内周側との間に架設し、 前記コンプレッションリングを、前記円周状に配置した
    複数のプッシュアップタワーにより同期して押し上げる
    こと、を特徴とする請求項1記載の大屋根のプッシュア
    ップ工法。
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