JP2901687B2 - 積層型圧電アクチュエータ素子及びその製造方法 - Google Patents

積層型圧電アクチュエータ素子及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はサブミクロンオーダーの超精密位置決め、高
速位置決めに使用される積層型圧電アクチュエータ素子
及びその製造方法に関する。
[従来の技術] 積層型圧電アクチュエータ素子は第6図(A)及び
(B)に示されるような構造になっている。すなわち、
変位を取り出す方向(以下、変位方向と記載する)以外
の四側面を外装樹脂で被覆し、変位方向の両端面はサブ
ミクロンの変位を取り出すためにセラミックスが露出し
たセラミックス露出部を有する構造となっている。一般
に、そのセラミックスは素子内で変位する圧電セラミッ
クスと同一組成である。
積層型圧電アクチュエータ素子とほぼ同じ内部構造を
もつ積層セラミックス電子部品であるセラミックス積層
コンデンサーが粉末塗装法により素子全体をエポキシ樹
脂などの防湿性の樹脂で1mm厚程度の肉厚に被覆するこ
とにより十分な耐湿性をもっているのに対して、積層型
圧電アクチュエータ素子は変位方向以外の四側面のみを
樹脂で外装し、その両端にセラミックスを露出した構造
のため著しく耐湿性が悪いという欠点がある。
これはセラミックス露出部のセラミックスが充分に緻
密でないため、それを通して水分が進入することに原因
がある。また、全体を樹脂で被覆していないために、上
下面のセラミックスと外装樹脂との密着が悪く、その隙
間から水分が進入するためである。しかしながら、変位
方向の露出したセラミックスはサブミクロンの変位を取
り出すため、また、積層型圧電アクチュエータ素子は変
位方向の寸法精度が必要なため柔らかい樹脂を外装被覆
することができない。
[発明が解決しようとする課題] 従って、本発明は積層型圧電アクチュエータ素子のサ
ブミクロンの変位を取り出す際に、障害になることな
く、また、変位方向の寸法精度を損なうことなく、素子
の耐湿性を改善することを目的とする。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は積層型圧電アクチュエータ素子に
おいて、該素子の樹脂で外装されていない変位方向の露
出したセラミックスが含浸により形成された有機樹脂皮
膜を有することを特徴とする積層型圧電アクチュエータ
素子に係る。
更に、本発明は積層型圧電アクチュエータ素子の製造
方法において、該素子の樹脂で外装されていない変位方
向の露出したセラミックスに有機樹脂を含浸させて有機
樹脂皮膜を形成することを特徴とする積層型圧電アクチ
ュエータ素子の製造方法に係る。
[作用] 本発明は積層型アクチュエータ素子をエポキシ樹脂な
どの外装材で両端のセラミックスを除いて被覆する前
に、フェノール樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、アクリル樹脂等の中で粘度が低く露出した
セラミックスに含浸させることができる程度粘度が低い
前記耐湿樹脂を積層型圧電アクチュエータ素子の変位方
向の両端面に含浸させることによって、積層型圧電アク
チュエータ素子のサブミクロンの変位を取り出す際に障
害になることなく、また、変位方向の寸法精度を損なう
ことなく、素子の耐湿性を改善するものである。
特に、本発明は小型の積層型圧電アクチュエータ素子
を作成することができる積層型圧電アクチュエータが内
部電極とセラミックス誘電体グリーンシートを一体焼結
してなる積層型圧電アクチュエータ素子に有効である。
[実 施 例] 以下、図を使用して本発明を更に詳細に説明する。
実施例 まず、一体焼成可能な積層型圧電アクチュエータ用材
料として好適であるPb(Zr,Ti)O3に第3成分として複
合ペロブスカイト化合物を加え、ストロンチウムで変性
したセラミックス粉体をサンドミルで粉砕し1ミクロン
以下の粒径にする。
得られた粉末にバインダー、分散剤、活性剤、消泡剤
を加え、真空脱泡したのちドクターブレード法を用いて
グリーンシートを作製する。得られたグリーンシートの
厚みは55ミクロンであった。
次に、このシート上にスクリーン印刷法を用いて内部
電極層(白金)を印刷した。その後、7×14mmの大きさ
に切断後、内部電極の印刷していないグリーンシートを
30枚、内部電極の印刷してあるグリーンシートを70枚、
更に、内部電極の印刷していないグリーンシートを30枚
積層し、加熱圧着し、脱脂し、1200℃で焼成して第1図
に示すような積層焼結体を得た。このとき積層体の内部
電極間隔は35ミクロンであり、内部電極の厚みは5ミク
ロンであった。
この焼結体の上下面すなわち積層型圧電アクチュエー
タ素子の変位方向に当たる面を研磨したのち、フェノー
ル溶液中に浸し、フェノール樹脂を積層体の表面に含浸
させて30ミクロンのフェノール樹脂層を得た(第2
図)。このとき、真空含浸または加圧含浸などの方法を
採ることができる。
次に、この焼結体の四側面を軽く研磨し、内部電極層
を露出させた後、内部電極層を除去し、得られた溝部に
絶縁樹脂を含浸し、硬化させて絶縁体層を形成し、軽く
研磨して切断後(第3図)、外部電極を形成し(第4
図)、シリコン樹脂で外装して縦3mm×横3mm×高さ5mm
の積層型圧電アクチュエータ素子を得た(第5図)。
このようにして作製された圧電アクチュエータ素子の
絶縁抵抗を調べたところ70Vで100MΩ以上であり、充分
に絶縁されていること、また、変位を測定したところ70
Vで4ミクロン変位し、充分変位することが分かった。
樹脂を含浸させる際、圧電アクチュエータ素子として
変位しない上下面のみでなく、側面まで硬いフェノール
樹脂、エポキシ樹脂などを含浸させてしまうと、素子の
変位効率が悪くなる。また、これらの樹脂は時間が経つ
につれて硬化するので、素子の特性に経時変化が出てし
まうので圧電アクチュエータ素子の変化する側面に樹脂
を含浸させることは好ましくない。
更に、耐湿試験として、この素子を40℃、相対湿度90
%の雰囲気に24時間放置後、絶縁抵抗を調べたところ、
70Vで100MΩ以上あり、充分耐湿性があることが判明し
た。これに対してフェノール樹脂を含浸していない素子
は絶縁抵抗が数Ωまで低下しており、圧電アクチュエー
タ素子としての機能を果たさない。
なお、本実施例においては、Pb(Zr,Ti)O3に第3成
分として複合ペロブスカイト化合物を加え、ストロンチ
ウムで変性したセラミックス粉体を使用した積層型圧電
アクチュエータ素子について説明したが、材質はこれに
限定されるものではないことを理解されたい。
また、本発明の積層型圧電アクチュエータ素子の樹脂
被膜は本実施例では30ミクロンとしたが、通常5〜100
ミクロン程度の厚さとすることができる。
[発明の効果] 変位に関係のない露出したセラミックス上下面にのみ
樹脂を含浸することによって、緻密でないセラミックス
を通して水分が進入することを防ぐことができる。
また、露出したセラミックスの上下面近傍の側面にも
樹脂が含浸しているため、外装樹脂とのなじみがよく、
その隙間を通して水分が進入しにくい構造になってい
る。そのため、積層型圧電アクチュエータ素子の耐湿性
を著しく向上させることができる。その際に、外装被覆
していない素子に直接フェノール樹脂等を含浸させてい
るため寸法程度を損なうことのない素子を作成すること
ができる。
更に、樹脂を含浸させるのが圧電アクチュエータ素子
として変位しない上下面のみなので、素子の変位の効率
が悪くならない。また、これらの樹脂の時間が経つにつ
れて硬化し、素子の特性に経時変化がでることがない。
【図面の簡単な説明】
第1図は積層焼結体の模式図であり、第2図はフェノー
ル樹脂を含浸した後の積層焼結体の模式図であり、第3
図はフェノール樹脂を含浸した後の積層焼結体の切断部
分を破線で示した図であり、第4図は外部電極を形成
し、リード線を半田付けした素子の模式図であり、第5
図は外装被覆をした後の素子の模式図であり、第6図
(A)及び(B)は従来品の圧電アクチュエータ素子の
模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−282879(JP,A) 特開 平3−129786(JP,A) 実開 昭55−71571(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 41/083 H01L 41/09 H01L 41/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】積層型圧電アクチュエータ素子において、
    該素子の樹脂で外装されていない変位方向の露出したセ
    ラミックスが含浸により形成された有機樹脂被膜を有す
    ることを特徴とする積層型圧電アクチュエータ素子。
  2. 【請求項2】積層型圧電アクチュエータ素子の製造方法
    において、該素子の樹脂で外装されていない変位方向の
    露出したセラミックスに有機樹脂を含浸させて有機樹脂
    被膜を形成することを特徴とする積層型圧電アクチュエ
    ータ素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016032029A1 (ko) * 2014-08-29 2016-03-03 주식회사 와이솔 적층형 압전 세라믹 소자
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