JP2899224B2 - アルミニウム用熱間圧延油および該圧延油を使用するアルミニウムの熱間圧延方法 - Google Patents

アルミニウム用熱間圧延油および該圧延油を使用するアルミニウムの熱間圧延方法

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JP2899224B2 JP33804894A JP33804894A JP2899224B2 JP 2899224 B2 JP2899224 B2 JP 2899224B2 JP 33804894 A JP33804894 A JP 33804894A JP 33804894 A JP33804894 A JP 33804894A JP 2899224 B2 JP2899224 B2 JP 2899224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム(アルミ
ニウム合金を含む。以下同じ)用熱間圧延油および該圧
延油を使用するアルミニウムの熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、アルミニウムの熱間圧延において
は、精製鉱油を基油とし、これに油性剤としてオレイン
酸、乳化剤としてオレイン酸のアミン石鹸を添加した圧
延油が多く使用されているが、この熱間圧延油は、潤滑
性に限度があり、圧延の進行に伴ってオレイン酸のアル
ミニウム石鹸が生成すると、オレイン酸のアミン石鹸量
が変化し乳化状態が変動するという難点がある。
【0003】また、オレイン酸はかなり強い腐食性を有
するため、圧延機とその周辺設備の鉄鋼材料を腐食させ
るという問題点があり、さらに、オレイン酸アルミニウ
ムは、高粘稠物質のため圧延機とその周辺機器を汚染
し、蓄積した汚れが圧延されるアルミニウム板面に落下
して製品汚れの原因となることも少なくない。
【0004】発明者らは、上記従来のアルミニウム用熱
間圧延油の性状と潤滑性、腐食性などとの関連性、およ
び圧延油の性状改善について詳細に検討した結果として
以下の知見を得た。1)従来の圧延油はオレイン酸以外の
油性剤をほとんど使用していないため、潤滑性に限度が
あり腐食性も高い。この問題点を解決するためには、オ
レイン酸の含有量を制限し、天然油脂、合成エステルを
油性剤として比較的多量に使用するのが有効である。2)
乳化力の低下、変動を防ぐためには、ポリエチレングリ
コール型非イオン界面活性剤の併用が効果的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム用熱間圧延油における問題点を解消するために、発明
者らが得た上記知見を基礎としてなされたものであり、
その目的は、従来使用されている圧延油に比べて潤滑性
に優れ、乳化状態が変動し難く、特に、新油チャージ時
のエマルション粒の細粒化防止にも工夫をこらし、また
圧延油中に混入してくるアルミニウム摩耗粉の除去が容
易で、且つ圧延機とその周辺設備の腐食や汚れをもたら
さない優れた性状をそなえたアルミニウム用熱間圧延油
および該圧延油を使用するアルミニウムの熱間圧延方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるアルミニウム用熱間圧延油は、天然油
脂または天然油脂と合成エステルからなる油性剤20〜
70%、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤
0.5〜2.5%、脂肪酸3〜10%、トリエタノール
アミン0.1〜0.9%を含有し、残部精製鉱油からな
ることを第1の特徴とする。
【0007】また、天然油脂がパーム油、牛脂および豚
脂のうちの1種または2種以上からなる油脂、合成エス
テルがネオペンチルグリコールエステル、トリメチロー
ルプロパンエステルおよびペンタエリスリトールのうち
の1種または2種以上からなるエステル、ポリエチレン
グリコール型非イオン界面活性剤が高級アルコールエチ
レンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオ
キサイド付加物および脂肪酸エチレンオキサイド付加物
のうちの1種または2種以上からなる界面活性剤、脂肪
酸がカプリン酸、リノレン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、イソステアリン酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪酸およ
びパーム油脂肪酸のうちの1種または2種以上からなる
ものであることを第2の特徴とする。
【0008】本発明によるアルミニウムの熱間圧延方法
は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の熱間圧延に
おいて、上記圧延油を4 〜10%のエマルションとして熱
間圧延機に供給し、圧延ロールを冷却、潤滑することを
特徴とする。
【0009】本発明においては、従来と同様、精製鉱油
を基油として使用する。精製鉱油はパラフィン系鉱油、
ナフテン系鉱油のいずれでもよく、他の成分との兼ね合
いで、40℃の温度における圧延油の粘度が150 cSt以
下になるように選定使用すればよい。本発明は、基油と
なる精製鉱油に、油性剤として天然油脂、合成エステル
を比較的多量に含有させることを特徴とする。天然油脂
としては、パーム油、牛脂、豚脂が加熱酸化により劣化
し難いこともあって好適に使用される。好ましい含有量
は20〜70%の範囲であり、20%未満では潤滑性向上の効
果が十分でなく、70%を越えて含有すると、融点が高く
なり過ぎたり、粘度を適正範囲に調整することが困難と
なる。さらに好ましくは30〜60%の範囲で添加する。
【0010】合成エステルとしては、熱安定性、酸化安
定性に優れたネオペンチルグリコールエステル、トリメ
チロールプロパンエステル、ペンタエリスリトールエス
テルが粘度指数が高く、潤滑性に優れているために好ま
しい油性剤として適用される。エステルを合成するため
の脂肪酸としては、直鎖のもの分枝のもののいずれも使
用できるが、炭素数10〜18のものが好ましい。合成
エステルはフルエステル、部分エステルのいずれでもよ
いが、潤滑性の観点からはフルエステルが好ましい。
【0011】天然油脂は、油性剤として単独で使用する
こともできるが、天然油脂と合成エステルを適当な質量
割合で混合して使用してもよく、この場合の圧延油中に
おける合計含有量は20〜70%の範囲であり、さらに
好ましくは30〜60%の範囲である。合計含有量が2
0%未満では潤滑性向上効果が小さく、70%を越える
と融点が高くなり過ぎたり、粘度を適正範囲に調整する
のが困難となる。
【0012】本発明において、好ましい合成エステルと
して使用されるネオペンチルグリコールエステルを例示
すれば、ネオペンチルグリコールカプリン酸モノエステ
ル、ネオペンチルグリコールカプリン酸ジエステル、ネ
オペンチルグリコールリノレン酸モノエステル、ネオペ
ンチルグリコールリノレン酸ジエステル、ネオペンチル
グリコールステアリン酸モノエステル、ネオペンチルグ
リコールステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコ
ールオレイン酸モノエステル、ネオペンチルグリコール
オレイン酸ジエステル、ネオペンチルグリコールイソス
テアリン酸モノエステル、ネオペンチルグリコールイソ
ステアリン酸ジエステル、ネオペンチルグリコール椰子
油脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグリコール椰子油
脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリコール牛脂脂肪酸
モノエステル、牛脂脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグ
リコールパーム油脂肪酸モノエステル、ネオペンチルグ
リコールパーム油脂肪酸ジエステル、ネオペンチルグリ
コール2モル・ダイマ酸1モル・オレイン酸2モルの複
合エステルがある。このうちでは、とくにオレイン酸、
イソステアリン酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪酸のエステ
ルが好ましい。
【0013】トリメチロールプロパンエステルとして
は、トリメチロールプロパンカプリン酸モノエステル、
トリメチロールプロパンカプリン酸ジエステル、トリメ
チロールプロパンカプリン酸トリエステル、トリメチロ
ールプロパンリノレン酸モノエステル、トリメチロール
プロパンリノレン酸ジエステル、トリメチロールプロパ
ンリノレン酸トリエステル、トリメチロールプロパンス
テアリン酸モノエステル、トリメチロールプロパンステ
アリン酸ジエステル、トリメチロールプロパンステアリ
ン酸トリエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸
モノエステル、トリメチロールプロパンオレイン酸ジエ
ステル、トリメチロールプロパンオレイン酸トリエステ
ル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸モノエス
テル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸ジエス
テル、トリメチロールプロパンイソステアリン酸トリエ
ステル、トリメチロールプロパン椰子油脂肪酸モノエス
テル、トリメチロールプロパン椰子油脂肪酸ジエステ
ル、トリメチロールプロパン椰子油脂肪酸トリエステ
ル、トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸モノエステル、
トリメチロールプロパン牛脂脂肪酸ジエステル、トリメ
チロールプロパン牛脂脂肪酸トリエステル、トリメチロ
ールプロパンパーム油脂肪酸モノエステル、トリメチロ
ールプロパンパーム油脂肪酸ジエステル、トリメチロー
ルプロパンパーム油脂肪酸トリエステル、トリメチロー
ルプロパン2モル・ダイマ酸1モル・オレイン酸4モル
の複合エステルが挙げられる。このうちでは、とくにオ
レイン酸、イソステアリン酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪
酸のエステルが好ましい。
【0014】また、ペンタエリスリトールエステルとし
ては、ペンタエリスリトールカプリン酸モノエステル、
ペンタエリスリトールカプリン酸ジエステル、ペンタエ
リスリトールカプリン酸トリエステル、ペンタエリスリ
トールカプリン酸テトラエステル、ペンタエリスリトー
ルリノレン酸モノエステル、ペンタエリスリトールリノ
レン酸ジエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸ト
リエステル、ペンタエリスリトールリノレン酸テトラエ
ステル、ペンタエリスリトールステアリン酸モノエステ
ル、ペンタエリスリトールステアリン酸ジエステル、ペ
ンタエリスリトールステアリン酸トリエステル、ペンタ
エリスリトールステアリン酸テトラエステル、ペンタエ
リスリトールオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリ
トールオレイン酸ジエステル、ペンタエリスリトールオ
レイン酸トリエステル、ペンタエリスリトールオレイン
酸テトラエステル、ペンタエリスリトールイソステアリ
ン酸モノエステル、ペンタエリスリトールイソステアリ
ン酸ジエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン
酸トリエステル、ペンタエリスリトールイソステアリン
酸テトラエステル、ペンタエリスリトール椰子油脂肪酸
モノエステル、ペンタエリスリトール椰子油脂肪酸ジエ
ステル、ペンタエリスリトール椰子油脂肪酸トリエステ
ル、ペンタエリスリトール椰子油脂肪酸テトラエステ
ル、ペンタエリスリトール牛脂脂肪酸モノエステル、ペ
ンタエリスリトール牛脂脂肪酸ジエステル、ペンタエリ
スリトール牛脂脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリト
ール牛脂脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトール
パーム油脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトールパ
ーム油脂肪酸ジエステル、ペンタエリスリトールパーム
油脂肪酸トリエステル、ペンタエリスリトールパーム油
脂肪酸テトラエステル、ペンタエリスリトール2モル・
ダイマ酸1モル・オレイン酸6モルの複合エステルが挙
げられる。このうちでは、とくにオレイン酸、イソステ
アリン酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪酸のエステルが好ま
しい。
【0015】本発明においては、ポリエチレングリコー
ル型非イオン界面活性剤とトリエタノールアミンを適正
量配合することにより乳化力の変動を防ぎ、且つ新油チ
ャージ時のエマルション粒径の細粒化を防ぐことを可能
にした。ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤
の添加は、本発明の必須成分である脂肪酸およびトリエ
タノールアミンの添加により生成する脂肪酸のアミン石
鹸(アニオン界面活性剤)の欠点を補完し、アニオン界
面活性剤が金属と反応したり、酸により分解して乳化力
が変動した場合も、全体として乳化状態の変動を防止す
る効果がある。一方、アニオン界面活性剤は非イオン界
面活性剤に比べ、より高温まで乳化力を維持しうる長所
を有するが、新油チャージ時に機械的剪断によりエマル
ション粒径が細粒化し過ぎる欠点を持っている。発明者
らは詳細な研究を行った結果、新油チャージ時の熱間圧
延油としてポリエチレングリコール型非イオン界面活性
剤とトリエタノールアミンを適正量配合した圧延油を開
発することができた。
【0016】ポリエチレングリコール型非イオン界面活
性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加
物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂
肪酸エチレンオキサイド付加物のうちの1種または2種
以上からなる界面活性剤が好適に使用され、圧延油中に
おける好ましい含有量は0.5 〜2.5 %の範囲である。0.
5 %未満ではアニオン界面活性剤の乳化力変動を補完す
るに十分でなく、2.5%を越えて含有すると、乳化が安
定になり過ぎる。
【0017】好ましい高級アルコールエチレンオキサイ
ド付加物を例示すると、ラウリルアルコールエチレンオ
キサイド 4モル付加物、ラウリルアルコールエチレンオ
キサイド11モル付加物、ラウリルアルコールエチレンオ
キサイド18モル付加物、セチルアルコールエチレンオキ
サイド 4モル付加物、セチルアルコールエチレンオキサ
イド11モル付加物、セチルアルコールエチレンオキサイ
ド18モル付加物、オレイルアルコールエチレンオキサイ
ド 4モル付加物、オレイルアルコールエチレンオキサイ
ド11モル付加物、オレイルアルコールエチレンオキサイ
ド18モル付加物、椰子油還元アルコールエチレンオキサ
イド 4モル付加物、椰子油還元アルコールエチレンオキ
サイド11モル付加物、椰子油還元アルコールエチレンオ
キサイド18モル付加物、牛脂還元アルコールエチレンオ
キサイド 4モル付加物、牛脂還元アルコールエチレンオ
キサイド11モル付加物、牛脂還元アルコールエチレンオ
キサイド18モル付加物、C12〜C18のチーグラーアルコ
ールエチレンオキサイド 4モル付加物、C12〜C18のチ
ーグラーアルコールエチレンオキサイド11モル付加物、
12〜C18のチーグラーアルコールエチレンオキサイド
18モル付加物、C12〜C18のオキソアルコールエチレン
オキサイド 4モル付加物、C12〜C18のオキソアルコー
ルエチレンオキサイド11モル付加物、C12〜C18のオキ
ソアルコールエチレンオキサイド18モル付加物がある。
このうちでは、とくにラウリルアルコール、オレイルア
ルコール、オキソアルコールのエチレンオキサイド付加
物が好ましい。
【0018】アルキルフェノールエチレンオキサイド付
加物としては、ノニルフェノールエチレンオキサイド 2
モル付加物、ノニルフェノールエチレンオキサイド11モ
ル付加物、ノニルフェノールエチレンオキサイド20モル
付加物、ドデシルフェノールエチレンオキサイド 2モル
付加物、ドデシルフェノールエチレンオキサイド11モル
付加物、ドデシルフェノールエチレンオキサイド20モル
付加物、オクチルフェノールエチレンオキサイド 2モル
付加物、オクチルフェノールエチレンオキサイド11モル
付加物、オクチルフェノールエチレンオキサイド20モル
付加物が挙げられる。
【0019】脂肪酸エチレンオキサイド付加物として
は、ポリエチレングリコールラウリン酸モノエステル
(エチレンオキサイド2 モル〜20モル付加物)、ポリエ
チレングリコールラウリン酸ジエステル(エチレンオキ
サイド2 モル〜20モル付加物)、ポリエチレングリコー
ルステアリン酸モノエステル(エチレンオキサイド2 モ
ル〜20モル付加物)、ポリエチレングリコールステアリ
ン酸ジエステル(エチレンオキサイド2 モル〜20モル付
加物)、ポリエチレングリコールオレイン酸モノエステ
ル(エチレンオキサイド2 モル〜20モル付加物)、ポリ
エチレングリコールオレイン酸ジエステル(エチレンオ
キサイド2 モル〜20モル付加物)が挙げられる。
【0020】トリエタノールアミンは、アミン石鹸を生
成させ乳化性を与える目的で添加する。好ましい添加量
は0.1 〜0.9 %の範囲で、0.1 %未満の添加ではアミン
石鹸の生成が十分でなく、0.9 %を越えて添加すると、
アミン石鹸の生成が多くなり過ぎて好ましくない。
【0021】脂肪酸は、熱間圧延の進行に伴って発生す
るアルミニウム摩耗粉を脂肪酸アルミニウムとしてエマ
ルションの系外に排出させるとともに、従来の圧延油と
同様、脂肪酸アミンを生成させて乳化剤として機能さ
せ、さらに脂肪酸アミンの生成により圧延油に熱安定性
を付与するために添加する。好ましい添加量は3 〜10%
の範囲であり、3 %以下では効果が十分でなく、10%を
越えると腐食性が著しくなり好ましくない。本発明にお
いて好適に使用できる脂肪酸としては、カプリン酸、リ
ノレン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン
酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪酸およびパーム油脂肪酸が
挙げられる。
【0022】上記のアルミニウム用熱間圧延油をアルミ
ニウムおよびアルミニウム合金の熱間圧延に適用する場
合は、圧延油を4 〜10%のエマルションとして、熱間圧
延機のロール部に供給し、圧延ロールを冷却、潤滑す
る。エマルションの濃度が4 %未満では潤滑性が不十分
となり、濃度が10%を越えると、潤滑が過多となり圧延
が不安定となり易い。
【0023】
【作用】本発明においては、精製鉱油を基油とするアル
ミニウムの熱間圧延油において、油性剤としてオレイン
酸などの脂肪酸の含有量を制限して腐食性を弱めるとと
もに、天然油脂および/または合成エステルを比較的多
量に使用して潤滑性を向上させ、アニオン界面活性剤と
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤を併用し
て乳化力の低下、変動を防止し、且つ新油チャージ時の
エマルション粒の細粒化を防止することにより、潤滑性
能に優れ、乳化状態が変動し難く、且つ圧延中に混入す
るアルミニウム摩耗粉の除去が容易で、圧延機周辺設備
に腐食や汚れをもたらさない圧延油が得られる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 アルミニウム合金、AA3004合金板( 板厚5mm 、板幅40m
m、長さ300mm)を、表1に示す成分を含有し残部鉱油か
らなる圧延油を水と混合しポンプで1時間撹拌してエマ
ルションとして使用し、各組成の圧延油について、圧延
温度300 ℃、400℃、450 ℃および500 ℃、圧下率50%
で熱間圧延し、圧延油の潤滑性、乳化安定性、腐食性の
評価を以下に示す手順に従って行った。評価結果を表2
に示す。圧延油中の鉱油は、表1の試験No.1〜15につい
てはパラフィン系鉱油、試験No.16〜32についてはナフ
テン系鉱油を使用し、いずれも圧延油の40℃における粘
度が100cStになるよう調整した。
【0025】表1中の物質記号の意味は次の通りであ
る。天然油脂(P:パーム油、B:牛脂、L:豚脂)、合成エ
ステルのアルコール(N:ネオペンチルグリコール、T:ト
リメチロールプロパン、P:ペンタエリスリトール)、合
成エステルの脂肪酸(Ca: カプリン酸、Li: リノレン
酸、St: ステアリン酸、Ol: オレイン酸、Is: イソステ
アリン酸、Co: 椰子油脂肪酸、Be: 牛脂脂肪酸、Pa: パ
ーム油脂肪酸)、合成エステルのエステル化度(M:モ
ノ、D:ジ、T:トリ、Te: テトラ)、非イオン界面活性剤
(A(n): 高級アルコールEO付加物、AF(n):アルキルフェ
ノールEO付加物、CAM(n): 脂肪酸EO付加物モノエステ
ル、CAD(n):脂肪酸EO付加物ジエステル、ここに(n) は
付加モル数)、脂肪酸(Ca: カプリン酸、Li: リノレン
酸、St: ステアリン酸、Ol: オレイン酸、Is: イソステ
アリン酸、Co: 椰子油脂肪酸、Be: 牛脂脂肪酸、Pa: パ
ーム油脂肪酸)、TEA:トリエタノールアミン。表2に示
されるように、本発明に従う熱間圧延油はいずれも良好
な潤滑性、乳化安定性を示し、腐食性も小さく、融点・
粘度もアルミニウム用熱間圧延油として適度の値を示し
た。
【0026】潤滑性:300 ℃、400 ℃、450 ℃および50
0 ℃で圧下率50%の熱間圧延を行い、500 ℃の圧延でも
焼付けが発生しない圧延油は潤滑性良好(○) 、400 ℃
または450 ℃の圧延で焼付けが発生した圧延油は潤滑性
不足( 不足) 、300 ℃の圧延で噛込み不良が生じた圧延
油は潤滑性過多( 過多) とした。 乳化安定性:試験に供した圧延油エマルションを400ml
分液ロートに取り、60℃の温度で20分間静置後、下層10
0ml 、上層100ml 中の油分濃度を求め、その比を乳化安
定性指数(ESI) と定義し、ESI が0.6 〜0.9 で適正な乳
化状態を示した圧延油を乳化性良好( ○) 、ESI が0.6
未満の圧延油を乳化性不足( 不足) 、 ESIが0.9 を越え
る圧延油を乳化性過多( 過多) とした。 腐食性:60℃の温度とした7 %濃度の圧延油エマルショ
ン100ml 中に、1gの鋼材を200 時間浸漬し、エマルショ
ン中に溶出したFe量を測定し、溶出量が100ppm以下の圧
延油を腐食性小( ○) 、Feの溶出量が100ppmを越える圧
延油を腐食性大( ×) とした。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】比較例1 実施例1と同様、アルミニウム合金、AA3004合金板( 板
厚5mm 、板幅40mm、長さ300mm)を、表3に示す成分を含
有し残部鉱油からなる圧延油を水と混合しポンプで1時
間撹拌してエマルションとして使用し、各組成の圧延油
について、圧延温度300 ℃、400 ℃、450 ℃および500
℃、圧下率50%で熱間圧延し、圧延油の潤滑性、乳化安
定性、腐食性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
圧延油中の鉱油は、表3の試験No.1〜6 についてはパラ
フィン系鉱油、試験No.7〜13についてはナフテン系鉱油
を使用し、40℃の温度における圧延油の粘度が100cStに
なるように調整した。なお、表3において、本発明の条
件を外れたものには下線を付した。
【0030】
【表3】 《表注》エマルション濃度: 試験No.1〜10は7 %、試験No.11 は3 %、試験No.1 2 は11%、試験No.13 は7 %
【0031】
【表4】
【0032】表4に示されるように、試験No.1およびN
o.3は油性剤の含有量が少ないため潤滑性が十分でな
く、試験No.2およびNo.4は油性剤の含有量が多過ぎるた
め、融点・粘度が高く、アルミニウム用熱間圧延油とし
て実用し難い。試験No.5は非イオン界面活性剤の量が少
ないため乳化性が不足し、No.6は非イオン界面活性剤の
含有量が多過ぎるため乳化過多となった。試験No.7は脂
肪酸の含有量が少ないため乳化不足となり、No.8は脂肪
酸の量が多過ぎるため腐食性が大であった。試験No.9は
トリエタノールアミンの添加が少ないため乳化不足であ
り、No.10 はトリエタノールアミンの添加量が多いため
乳化過多であった。試験No.11 はエマルション濃度が低
過ぎるため潤滑性が不十分であり、No.12 はエマルショ
ン濃度が高いため潤滑過多となった。試験No.13 は油性
剤としてオレイン酸を多く含む従来の圧延油であり、乳
化変動が大きく潤滑性が不足し、腐食性が大きい。
【0033】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、潤滑
性、乳化安定性に優れ、新油チャージ時にエマルション
粒が細粒化せず、腐食性も少なく、圧延中に混入するア
ルミニウム摩耗粉の除去も容易なアルミニウム用熱間圧
延油および当該圧延油を使用するアルミニウムの熱間圧
延方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C10N 40:24 (72)発明者 上野 順一郎 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭51−23457(JP,A) 特開 平6−25689(JP,A) 特開 昭63−120795(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 101/04 C10M 105/38 C10M 129/40 C10M 133/08 C10M 145/26 C10N 40:24

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然油脂または天然油脂と合成エステル
    からなる油性剤20〜70%(質量%、以下同じ)、ポ
    リエチレングリコール型非イオン界面活性剤0.5〜
    2.5%、脂肪酸3〜10%、トリエタノールアミン
    0.1〜0.9%を含有し、残部精製鉱油からなること
    を特徴とするアルミニウム用熱間圧延油。
  2. 【請求項2】 天然油脂がパーム油、牛脂および豚脂の
    うちの1種または2種以上からなる油脂、合成エステル
    がネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプ
    ロパンエステルおよびペンタエリスリトールエステルの
    うちの1種または2種以上からなるエステル、ポリエチ
    レングリコール型非イオン界面活性剤が高級アルコール
    エチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレ
    ンオキサイド付加物および脂肪酸エチレンオキサイド付
    加物のうちの1種または2種以上からなる界面活性剤、
    脂肪酸がカプリン酸、リノレン酸、ステアリン酸、オイ
    レン酸、イソステアリン酸、椰子油脂肪酸、牛脂脂肪酸
    およびパーム油脂肪酸のうちの1種または2種以上から
    なるものであることを特徴とする請求項1記載のアルミ
    ニウム用熱間圧延油。
  3. 【請求項3】 アルミニウムおよびアルミニウム合金の
    熱間圧延において、請求項1または請求項2記載の熱間
    圧延油を4 〜10%のエマルションとして熱間圧延機に供
    給し、圧延ロールを冷却、潤滑することを特徴とするア
    ルミニウムの熱間圧延方法。
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