JP2897430B2 - 可溶合金型温度ヒューズの製造方法 - Google Patents

可溶合金型温度ヒューズの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リード線と可溶合金と
を接合一体化する方法に関し、特に可溶合金型温度ヒュ
ーズの製造に好適するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、電気機器には安全性の観点から、
温度過昇防止装置が内蔵されるようになってきた。この
温度過昇防止装置には、バイメタルスイッチのような可
復帰型のものと、特定温度で溶融する絶縁性化学物質よ
りなる感温ペレットや可溶合金を用いた非復帰型の温度
ヒューズとがある。この種の温度ヒューズのうち後者の
可溶合金を用いたものは、一般に構造が簡単で安価であ
り、比較的価格の安い電気機器によく使われている。こ
のような温度ヒューズとして、図2に示す構造のものが
ある。図において、(1)(2)は銅よりなるリード線
で、その一端間に可溶合金(3)が固着されており、必
要により可溶合金(3)の表面にフラックス(4)が被
着されている。このリード線(1)(2)及び可溶合金
(3)の接合体は、ガラス,セラミック,耐熱樹脂等よ
りなる絶縁筒体(5)内に挿入され、絶縁筒体(5)の
両端開口部とリード線(1)(2)間がエポキシ樹脂等
の封口樹脂(6)(7)によって封止されている。
【0003】上記構成において、周囲温度が可溶合金
(3)の融点を超えると、可溶合金(3)が溶融し、溶
融した可溶合金(3)は、図3に示すように、リード線
(1)(2)の内方端に球状に凝集した塊(3a)(3b)
となり、リード線(1)(2)間が非導通状態になっ
て、回路が開放される。これに伴って周囲温度が低下す
ると、各リード線(1)(2)の内方端に凝集した溶融
状態の可溶合金(3)の塊(3a)(3b)がそのまま固化
するので、回路は開放したままである。
【0004】ところで、上記温度ヒューズを製造するた
めには、リード線(1)(2)と可溶合金(3)とを接
合一体化することが必要である。従来は、リード線
(1)(2)の先端に溶接用のフラックスを塗布した
後、リード線(1)(2)の先端部を所定温度加熱する
と共に、直ちに可溶合金(3)の接合予定部分に上記先
端部を当接させて上記接合予定部分を溶融させ、リード
線(1)(2)と可溶合金(3)を接合していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した接
合方法では、リード線先端を加熱した後、直ちに可溶合
金とリード線とを接合するために、フラックスの温度が
上がらず、十分活性化していない状態で接合が行われ、
接合が不確実になるという不具合が生じていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、リード線と可
溶合金を接合するに際し、上記リード線の先端部にフラ
ックスを塗布し、上記リード線の先端部を所定温度に加
熱すると共に、可溶合金の接合予定部分に上記先端部を
当接させて、上記接合予定部分を溶融させ、リード線と
可溶合金を接合するものであって、上記フラックス塗布
工程の後に、フラックス塗布部分を非接触に予熱してフ
ラックスを活性化させることを特徴とする。
【0007】
【作用】上記技術的手段によれば、フラックスを塗布し
たリード線先端部を、レーザや熱風等の加熱手段により
非接触に加熱して、フラックスを活性化させた状態で、
リード線と可溶合金を溶接するために、より安定に接合
することができる。
【0008】
【実施例】本発明の実施例を図1を参照して以下に説明
する。図において(8)(9)及び(10)(11)は
リード線(1)及び(2)の各先端部近傍を把持し通電
することで加熱することを兼ねる各一対のリード線チャ
ック、(12)(13)は可溶合金(13)をその両端
部を残して把持する一対の可溶合金チャック、そして、
(14)(15)はリード線先端に塗布したフラックス
(16)(17)を非接触に加熱するレーザ源や熱風源
等の加熱手段である。
【0009】上記構成に基づき本発明の動作を次に説明
する。まず従来と同じく、可溶合金(3)を可溶合金チ
ャック(12)(13)で把持すると共に、リード線
(1)(2)をリード線チャック(8)(9)及び(1
0)(11)で把持した後、フラックス(16)(1
7)を塗布する。そこで加熱手段(14)(15)によ
り非接触に加熱して、フラックス(16)(17)を活
性化させる。その後、リード線(1)(2)の先端部を
所定温度に加熱すると共に、可溶合金(3)の接合予定
部分にリード線(1)(2)の先端部分を当接させて、
リード線(1)(2)と可溶合金(3)とを溶接する。
このとき、フラックス(16)(17)が加熱され充分
に活性化されていることから、溶接がより確実なものに
なるという利点がある。
【0010】可溶合金(3)に融点130℃(Sn:49%
In:34% Pb:13%)のものを、フラックス(16)
(17)にグルタミン酸等を主成分とする有機酸系のも
のを使用し、従来の通り、フラックス(16)(17)
を活性化させずに溶接した場合、1000個中7個溶接
されないものが発生した。これに対し同じ可溶合金
(3),フラックス(16)(17)を使用し、フラッ
クス(16)(17)の塗布後、250℃で2秒間の熱
風加熱による,フラックス活性化処理を施した後溶接し
た場合、1000個中溶接されないものは0個であっ
た。
【0011】
【実施例2】先の実施例では、フラックス(16)(1
7)を加熱した後にリード線(1)(2)と可溶合金
(3)の溶接を行ったが、加熱しながら溶接を行っても
よい。また熱風による加熱の代わりレーザによる加熱を
行ってもよい。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、リード線と可溶合金を
接合するに際し、フラックス塗布工程の後に、フラック
ス塗布部分を非接触に予熱してフラックスを活性化させ
ることができ、可溶合金とリード線との接合が確実に行
えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る接合装置の一実施例を示す概略
図である。
【図2】 可溶合金を利用した温度ヒューズの断面図で
ある。
【図3】 図2の温度ヒューズの動作後の状態を示す断
面図である。
【符号の説明】
(1)(2) リード線 (3) 可溶合金 (8)(9)(10)(11) リード線チャック (12)(13) 可溶合金チャック (14)(15) 加熱手段 (16)(17) フラックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 11/00 B23K 1/00 H01H 37/76

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リード線と可溶合金とを接合するに際し、
    上記リード線の先端部にフラックスを塗布し、上記リー
    ド線の先端部を所定温度に加熱すると共に、可溶合金の
    接合予定部に上記先端部を当接させて、上記接合予定部
    分を溶融させ、リード線と可溶合金を接合するものであ
    って、上記フラックス塗布工程の後に、フラックスを塗布したリード線先端部を、レーザにより
    非接触に予熱してフラックスを活性化させることを特長
    とする可溶合金型温度ヒューズの製造方法。
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