JP2896664B2 - 着火検出装置 - Google Patents

着火検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火炎の発生個所に
設置された一対の着火検出用電極間に電圧を印加し、火
炎の整流作用を利用して着火検出を行う装置の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、このようなタイプの着火検出装置
の着火検出用電極に電圧を印加するための電源は、商用
電源に接続したトランスからAC100V以上の正弦波の電圧
を得る方法と、発振周波数が100KHz程度のスイッチング
電源を使用する方法との二つがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、商用電源から
電圧を取る場合は、装置構造が大型化し易いことの外、
着火検出用電極に電圧を印加するためにはトランスの二
次巻線や着火検出装置への配線が必要となり、また、50
HZあるいは60Hzの炎電流を平滑化して検知する必要上、
大型で煩雑な平滑回路が必要になる等の欠点があった。
【0004】これに対し、直流電源から自励発振を行
い、発振周波数100KHz程の出力を発するスイッチング電
源を用いる場合には、当該スイッチング電源自体は非常
に小形になるので、着火検出装置に組み込む上での利便
性が高く、実際、この手法の方が好まれている。
【0005】ところが、比較的高い周波数の出力を利用
するために配線経路における浮遊容量の影響を受け易
く、スイッチング電源と着火検出用電極間の配線が長い
とそうした浮遊容量により大幅な電圧降下が発生し、着
火検出精度が低下するという問題があった。換言すれ
ば、検出回路と着火検出用電極とはそれらを極力近くに
置く必要があり、実際、両者間の物理的な距離は10cm程
度以内にしないと旨く稼働しなかったし、同様の理由に
より、一個所での着火検出しかできない等の欠点があっ
た。
【0006】本発明はこうした点に鑑み、商用電源を用
いず、小型な点では優れている直流電圧を電源としたス
イッチング電源を用いるとの前提の下で、さらに着火検
出装置と着火検出用電極間の離間距離に係わる制約を緩
和し、例えば両者が1m程度離れていても高精度の着火検
出が可能な、実用範囲の広い着火検出装置を提案せんと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、発振トランスを有するスイッチング電源の出
力を、周波数は10KHz から30KHz まで、 電圧値は片側尖
頭値で150V±30V の範囲内の正弦波またはほぼ正弦波と
する。
【0008】そして、このようにすると、浮遊容量の影
響を受け難いため、離れた所にある複数の着火検出用電
極に対し、同一のスイッチング電源装置から電圧を印加
できるので、本発明ではまた、より下位の態様として、
発振トランスの二次コイルを複数個設け、これら複数個
の二次コイルの各々をそれぞれ別な一対の着火検出用電
極に接続する構成や、発振トランスの単一の二次コイル
に対して接続するカプリングコンデンサを複数個とし、
これら複数個のカプリングコンデンサの各々を介し、そ
れぞれ別な着火検出用電極に当該二次コイルの出力を分
配的に接続する構成も開示する。
【0009】ここで、後述する特性例からも明らかなよ
うに、この種の装置でスイッチング電源の出力と着火検
出用電極の間に挿入する必要のある電流制限用抵抗の値
は、望ましくは 20KΩより大きくしないようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1(A) には本発明の一実施形態
における着火検出装置の回路図が示されている。スイッ
チング電源中の主要な構成要素である発振トランス12の
一次コイルPは低電圧の直流電源11と npnトランジスタ
13のコレクタに接続し、トランジスタ13のベースには抵
抗14を介して発振用の帰還巻線ないしベースコイルFが
接続されている。トランジスタ13のベース−エミッタ間
にはマイナスサージの吸収用に保護ダイオード15も接続
されている。
【0011】発振トランス12の一次側におけるこうした
静的な構成自体は公知であり、本発明において特に改良
を施す所はなく、図示以外にも任意、既存の構成によっ
て良い。図示の場合は特に自励型のスイッチング電源と
なっているが、その動作自体も公知である。しかし、そ
の発振周波数に関しては、この種の着火検出装置に用い
る以上、本発明による特定的な条件がある。
【0012】そもそもスイッチング電源の発振周波数
は、当該スイッチング電源中の各パラメータ、例えば図
示の場合にはコイルの巻数やスイッチング用トランジス
タ13のベース抵抗等により決定される。従前の給湯機
等、着火検出を必要とする燃焼機器の場合、この発振周
波数は100KHz程度に設定されていた。
【0013】ところが、本発明者の知見によると、この
ように高い周波数でのスイッチング電源を用いた場合、
着火検出装置と着火検出用電極の取り付け位置が約1m程
も離れると、それらの間の配線における浮遊容量の影響
により、実際に着火検出用電極に印加される電圧は90%
程も降下することがあった。これでは到底、精度の高い
検出動作はなし得ない。
【0014】実際に着火検出用電極に印加される電圧の
片側尖頭値(Vp)と発振周波数の関係を示したのが図1
(B) であり、明らかな通り、装置の小型化と高周波によ
る浮遊容量の影響を考慮するならば、発振周波数は 10K
Hz以上、30KHz以下の設定とするのが良いことが分かる。
本発明はまさしく、この特定的環境を規定するものであ
る。
【0015】以下、発振トランス二次側以降の構成につ
いても言及するが、この実施形態の場合、発振トランス
12の二次コイルは二つあって、各二次コイルS1,S2の出
力端はそれぞれカプリングコンデンサ16a,b と電流制限
用抵抗17a,b を介し、かなり長い長さまで許容できる配
線32a,b を経て,それぞれ異なる一対の着火検出用電極
31a,b に接続されている。この配線部分に、既述してき
た浮遊容量40a,b が見込まれる。
【0016】スイッチング電源内において着火検出用電
極31a,b とそれぞれ並列には直列な抵抗18a,b;19a,b に
よる分圧回路が設けられ、下側抵抗19a,b と並列には平
滑コンデンサ20a,b が設けられている。
【0017】平滑された直流電圧(厳密には脈流分を含
む直流電圧)は、着火検出用能動素子としてのこの場合
はデプリ−ション型電界効果トランジスタ(FET)21a,bの
ゲートに印加される。従って、一対の着火検出用電極31
a,b 間に炎が発生すると、検出端子23a,b にその旨を表
す信号が出力される。この場合は抵抗22a,b を介して選
択的に表される電圧信号である。
【0018】してみるに、本発明ではまた、図1(B) の
特性図からして、発振トランス12の自励発振により昇圧
された二次電圧は、片側尖頭値Vpで150V±30V 程度(ピ
ーク対ピーク値で300V±60V)の交流電圧とする。さらに
望ましくは、これも図1(B)の特性図からして、配線32
a,b の浮遊容量40a,b による電圧降下の影響を少なくす
るため、電流制限用保護抵抗17a,b の抵抗値Rsは、望ま
しくは 20KΩを越えない大きさにする(小さすぎれば電
流制限機能上の問題があることはもちろんである)。
【0019】このような工夫により、浮遊容量40a,b の
影響を少なくし、着火検出用電極の所ではAC100V以上の
電圧を維持できるようになり、配線32a,b の長さが1m程
度にまで長くなっても、着火時における火炎電流の整流
作用により、着火検出用デプリ−ション型FET 21a,b の
ゲート−ソース間電圧間電圧が負となって当該FET がオ
フし、着火検出を行う動作を保つことができる。
【0020】そして、この実施形態に認められるよう
に、本発明によるとスイッチング電源と着火検出用電極
31a,b との離間距離は相当に長くできるので、電源装置
設置の自由度が生まれるため、一つの発振トランス12
に、要すれば独立した二次コイルを複数用いることで、
複数個所における着火検出が可能となる。図示の場合は
二個所であるが、これは限定的なことではない。
【0021】さらに、実用的効果を損なわない範囲で、
図2に示すように、一つの二次コイルSoに対し複数のカ
プリングコンデンサ16a,b を接続することでも、同様に
複数個所(図示の場合は二個所)での着火検出が可能と
なる。実際、着火検出電流は一般に数十μA と少ない電
流値であるため、複数の電極31a,b の各々の検出電流値
によってそれら相互が影響し合うことは殆どなく、実用
上問題ない。なお、図2の回路構成でも、図1(B) にお
けると同じ符号の構成要素は同じものを示しており、そ
れらに関する再度の説明は省略する。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、スイッチング電源を用
いた着火検出装置において配線による浮遊容量の影響を
少なくすることができ、高い精度を保ったままに装置設
置場所に関する自由度が生まれる外、一つの発振トラン
スに対し複数の着火検出電極を設けることも可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に従って構成される着火検出装
置の回路概略構成図、(B)は配線長1m時の発振周波
数に対する浮遊容量の影響を示した図である。
【図2】本発明に従って構成される着火検出装置の別な
一例の概略構成図である。
【符号の説明】
11 直流電源, 12 発振トランス, 13 トランジスタ, 14 ベース抵抗, 16a,b カプリングコンデンサ, 17a,b 電流制限用保護抵抗, 21a,b 電界効果トランジスタ, 23a,b 検出端子, 31a,b 着火検出用電極, 32a,b 配線, 40a,b 浮遊容量.

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炎の発生個所に設置された一対の着火
    検出用電極間に電圧を印加し、火炎電流の整流作用を利
    用して着火検出を行う検出装置であって;上記一対の着
    火検出用電極間に電圧を印加するための電源を発振トラ
    ンスを有するスイッチング電源とし;該発振トランスの
    二次コイルの出力をカプリングコンデンサと電流制限用
    保護抵抗を介して上記一対の着火検出用電極に接続する
    と共に;該スイッチング電源の出力を、周波数は10KHz
    から30KHz まで、 電圧値は片側尖頭値で150V±30V の範
    囲内の正弦波またはほぼ正弦波としたこと;を特徴とす
    る着火検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の着火検出装置であって;
    上記発振トランスの二次コイルは複数個有り;該複数個
    の二次コイルの各々はそれぞれ別な一対の着火検出用電
    極に上記電圧を印加すること;を特徴とする着火検出装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の着火検出装置であって;
    上記発振トランスの上記二次コイルに対して接続する上
    記カプリングコンデンサを複数個とし;該複数個のカプ
    リングコンデンサの各々を介し、それぞれ別な着火検出
    用電極に上記二次コイルの出力を分配的に印加するこ
    と;を特徴とする着火検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3記載の着火検出装
    置であって; 上記電流制限用保護抵抗の値は 20KΩより大きくしない
    こと; を特徴とする着火検出装置。
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