JP2895743B2 - Soi基板の製造方法 - Google Patents

Soi基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコンウエーハを絶
縁被膜を介して結合せしめたSOI(Silicon
On Insulator)基板の製造方法に関し、特
に半導体素子を形成せしめるための単結晶層の結晶質が
改善されたSOI基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁基板上にシリコン単結晶を成長(以
下この構造をSOI構造という)させたいという要望
は、集積回路の開発当初からあった。それは、素子間の
分離、従って微細化が可能になること、さらに耐圧性、
耐ソフトエラー及び耐ラッチアップなど、半導体素子の
高信頼度化が容易になること、そして寄生容量の低減に
よる高速化実現など、種々の理由からである。
【0003】そして、これらの特徴は、素子の微細化、
高密度化を求める集積回路技術においてますます重要視
される一方、近年電子交換、放電型プリンタまたプラズ
マディスプレイ定電圧電源回路、自動車エレクトロニク
スなどのエレクトロニクス分野で、同一シリコンチップ
上に部分的に高圧デバイスを搭載したいわゆるパワーI
Cの需要の増大と共に、新たに絶縁体基板上の厚肉シリ
コン単結晶層例えば5〜50μmに対する要望が生まれ
てきた。
【0004】パワーICのアイソレーションのために
は、pn接合では、逆耐圧の点から不適当であり、また
発熱、それに伴う漏洩電流の増加、不安定現象の誘発の
防止にはどうしてもSiOによるアイソレーションの
使用が望ましい訳である。
【0005】かかるSOI構造を実現するためには、単
結晶絶縁体基板(たとえばサファイア基板)の上に気相
成長法でシリコン単結晶を直接成長させる方法がある
が、結晶的に良質のシリコンの単結晶層を得られず、実
用的に成功しているとはいえない。この他、シリコン単
結晶層中に酸素イオンを打ち込んで、シリコンウエーハ
全面に埋め込み酸化膜層を作る技術(SIMOX:Se
paration byImplanted Oxyg
en)も注目されているが、やはり結晶性や埋め込み酸
化膜の質に問題があり、結晶層の耐圧性が充分でないの
で実用化は遠い。
【0006】これらのSOI構造の製造技術に対して、
より実用化が早いとして注目されるのが本発明に係わる
シリコンウエーハどうしをSiO膜を介して直接結合
する技術である。この方法によるSOI基板は、CZ法
による良質の単結晶が、半導体素子形成用に活用され、
また介在するSiO膜は、熱酸化で形成され、耐圧に
不足はないといわれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術によって作られたSOI基板は、その半導体素子を形
成する単結晶シリコン層(以下SOI層という)は、比
較的薄い場合、例えば2μm未満の厚さの場合には、S
OI層において結晶性に何ら問題が発生しないが、厚肉
の結晶層例えば20〜30μmあるいはそれを越える
と、SOI層に、格子間酸素の析出物に起因する微小欠
陥(Oxidation inducedStacki
ng Faults:以下OSFとする)が多発するこ
とが本発明者らによって確認され、従って、前述のパワ
ーICなどに厚肉のSOI層を使用した場合は、併設さ
れる微細構造の集積回路素子の特性劣化への影響が大き
く、大きな技術的問題となることが予想された。
【0008】したがって本発明の目的は、上述のように
厚肉のSOI層を有するSOI基板において、該SOI
層の、主としてOSFの発生防止と、半導体素子の形成
に適した良質の無欠陥層、すなわちDZ層を有するSO
I基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るSOI基板
の製造方法は、2枚のシリコンウエーハを、該シリコン
の酸化膜を介して結合させたSOI基板の製造方法であ
って、 (1)格子間酸素濃度が16ppma(JEIDA規
格)以下の第1のシリコンウエーハの表面に熱酸化によ
ってシリコン酸化膜を形成し、 (2)前記第1のシリコンウエーハを、前記シリコン酸
化膜を介して、これを支持する台材となる第2のシリコ
ンウエーハに重ね合わせて、熱処理することにより結合
ウエーハを得、 (3)該結合ウエーハの第1のシリコンウエーハ側を研
削、研磨することにより、第2のシリコンウエーハ上に
シリコン酸化膜を介して厚さ5μm以上のSOI層(単
結晶シリコン層)を有するSOI基板を得ることを特徴
とする。
【0010】 次に、実施例を挙げて説明する前に、それ
らの説明の理解を深めるために本発明の契機となった実
験とそれに伴う知見について述べる。実験は次のように
行われた。
【0011】 チョクラルスキー法で引上げられた直径1
25mm、導電型N型、格子間酸素濃度が約18.5p
pma,厚さ約500μmのウエーハ片面を鏡面研磨し
たシリコンウエーハを用意した。鏡面研磨後のシリコン
ウエーハは、研磨時に使用したウエーハ固定用の接着剤
や研磨剤等をリンスして除去した後、アンモニア過酸化
水素系洗浄液による仕上げ洗浄を行った。上記鏡面は結
合面として用いられ、その表面粗さは、Ra=0.4n
m以下に仕上げられた。
【0012】 次に、上記シリコンウエーハについて、こ
れが半導体素子を形成するための単結晶シリコン層にな
ることを想定し、図1(a)に示すようにA,B,C,
Dの4通りのサンプルについて実験を行った。 A.OSF検査用熱処理をした後、OSF密度を測定す
る(通常行われるシリコンウエーハの検査方法) B.熱酸化処理と結合熱処理をしたものについて、その
ままOSF密度を測定する C.熱酸化処理、結合熱処理をしたものについて、OS
F検査用熱処理をした後、OSF密度を測定する D.本発明におけると同様の方法により、熱酸化処理を
した第1のシリコンウエーハをSOI層とし、これを支
持するための台材となる第2のシリコンウエーハと重ね
合わせて結合熱処理を行なって結合ウエーハを得、その
後SOI層となる第1のシリコンウエーハ側を厚さ1.
5μmに薄層化したSOI基板について、OSF検査用
熱処理を施し、SOI側のOSF密度を測定する。な
お、上記各種処理工程の条件は、図1(a)に示される
通りである。
【0013】 そのうち、OSF密度測定の通常の方法に
ついて説明すれば、上記シリコンウエーハ(A,C)ま
たはSOI基板(D)の場合のように、先ず加湿酸素雰
囲気中で1100℃/1時間の条件でOSF検査用熱処
理を行ったものについて、25%フッ酸で処理して酸化
膜を除去し、セコエッチング液による選択エッチングを
行い、シリコンウエーハの鏡面側表面(SOI基板の場
合はSOI層表面)のOSF密度を測定する。このOS
F密度測定は、微分干渉顕微鏡による倍率50〜200
倍の十字スキャンニング法で行った。なお、シリコンウ
エーハやSOI層の深さ方向のOSF密度変化を測定す
る時は、その測定部分についてtanθ=0.1(5°
44′)のアングルポリッシュをし、その研磨面のOS
F密度を測定する。
【0014】 次に、以上の実験結果について考察する。
図1(b)に示すように、OSF検査用熱処理だけでは
OSF密度が低いウエーハ(サンプルA)でも、加湿酸
素雰囲気中で、似たような熱処理を2回または3回受け
ると(サンプルB,C)、OSF密度は増加するのが観
察された。しかし、同一特性のシリコンウエーハを用
い、かつ同じ3回の熱処理を受けたSOI基板の薄いS
OI層(サンプルD)では、OSF密度の増加は見られ
ず、熱酸化処理及び結合熱処理を経ないシリコンウエー
ハ(サンプルA)と同じ低いOSF密度を示した。な
お、図2はサンプルDの薄層化する前の結合ウエーハに
おけるSOI層(第1のシリコンウエーハ)厚さ方向の
OSF密度の変化を観察した写真である。ただし、ここ
ではOSF検査用熱処理は省略している。
【0015】 本実験におけるサンプルDの最終的なSO
I層の厚さは1.5μmの薄層で、その表面にはOSF
欠陥は殆ど発見されないが、この現象は、SOI層の厚
さ方向についてOSF密度を測定した図2の写真の観察
結果と一致する。しかも驚くべきことに、結合界面より
20〜30μmまでほとんど無欠陥の領域即ちDZ層が
広がり、それより離れるとOSFが多く発生しているこ
とが観察される。
【0016】 結晶欠陥がシリコンウエーハ表面より下方
に発生した場合、これがOSFの核となるので、その表
面層はDZ層となり、従って図1のサンプルAにおける
OSF密度の測定結果と、上記写真観察における結合熱
処理後のSOI層中のOSF密度の結合界面からの距離
依存性とを、比較考量すると、両者の結果は、矛盾しな
い。
【0017】 即ち、従来のSOI基板において、OSF
あるいは上記結晶欠陥がデバイス製作上、問題を提起し
なかったのは、SOI基板に求められるSOI層の厚さ
が、薄層であって厚くても高々10μmを超えることが
なかったためである。しかし、本発明の対象である30
μmや50μmのような厚物のSOI層の場合には、そ
の結合界面より離れた表面層のOSF密度が異常に高く
なるので、このような厚物のSOI層を利用する場合に
は、この結晶欠陥密度を低減する手段が必要になる。そ
こで〔実施例〕に示すようなシリコンウエーハの格子間
酸素濃度をふった試験を行なった。
【0018】
【作用】SOI層(第1のシリコンウエーハ)の格子
間酸素濃度を16ppma以下とすること、SOI層
がSi/SiO界面の近傍にあること(埋込み酸化膜
を持つSOI構造は格子間Siの集合の場所を分散させ
ていると考えられる)、結合前の熱酸化でSOI層表
面の格子間酸素濃度が下がり、一方、SOI層となる第
1のシリコンウエーハの結合された面は、結合熱処理後
にはバルク内部となり、ウエーハ表面とは応力が異なり
酸素が析出しにくくなること、などが共働的に作用して
厚肉SOI層の結晶欠陥の発生が防止されるものと推察
される。
【0019】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 [実施例1〜3及び比較例1] 下記数種の格子間酸素濃度を有する、片面が鏡面研磨さ
れた、2枚で対をなすシリコンウエーハを準備し、上述
の実験例Dと同一の熱酸化処理及び結合熱処理を行い、
SOI層となる第1のシリコンウエーハの表面を研削、
研磨により約50μmの厚さのSOI層を有するSOI
基板を作成し、そのOSF密度を測定した。OSF密度
検査用の熱処理条件は、前述の条件と同一である。な
お、格子間酸素濃度として、18.5ppma(比較例
1)、16.1ppma(実施例1)、15.0ppm
a(実施例2)、及び9.8ppma(実施例3)が選
択された。18.5ppmaの場合は、シリコンウエー
ハの周辺寄りのところで、部分的にOSF密度の高いと
ころ(10ケ/cmを越える)が観察されたが、他の
ウエーハについては、OSF密度が5ケ/cm以下で
あった。なお、図3は図2の場合と同じく、実施例2に
おけるSOI層(第1のシリコンウエーハ)の厚さ方向
でみたOSF密度の観察図であるが、その全厚さ(60
0μm)について、OSFの発生はほとんど認められな
い。なおこの場合も、OSF検査用熱処理は省略してい
る。
【0020】 本発明において注目されるもう一つの理由
は、次の通りである。半導体素子を形成するためのシリ
コンウエーハについては従来より、比較的高濃度(大凡
16ppma以上)の格子間酸素を含ませることによっ
てイントリンシックゲッタリング熱処理(以下、IG処
理とする)を施し、シリコンウエーハの半導体素子を設
ける層側にDZ層を形成せしめる技術が知られている。
IG熱処理の代表的な手法として、次のような方法が例
示される。 (第1段階)高温熱処理: 1100〜1200℃/1〜25時間(NまたはO雰囲気) (第2段階)低温熱処理: 650〜800℃/2〜10時間(NまたはO雰囲気) (第3段階)中温熱処理: 900〜1100℃/5〜10時間 現実には高温熱処理が、通常20時間位行われている。
【0021】 これに対して、本発明のSOI基板を製造
するに当たっての熱処理は、図1(a)に示されるよう
に、サンプルDについて同じく3段階の熱処理である
が、上記の場合と対比すると、熱処理温度は同一レベル
であるが、その時間は短くなる傾向が認められる。しか
も通常、単枚のシリコンウエーハの場合のDZ層形成の
要件と較べると、SOI基板のSOI層は、低格子間酸
素濃度の方がDZ層の形成に有効に作用していることで
ある。
【0022】 本発明において、SOI層となる第1のシ
リコンウエーハの熱酸化膜は、シリコンウエーハの洗浄
直後に形成されるので、SOI層となる第1のシリコン
ウエーハを外部汚染から保護する効果があり、これによ
っても結晶欠陥の発生が抑制され、本発明による例えば
パワーICの特性向上が可能となる。台材となる第2の
シリコンウエーハは、単にSOI層の機械的な支持層の
役目を果たすので、必ずしも高純度のシリコン単結晶で
あることは要求されないが、これが同一のシリコン単結
晶であれば、少なくとも熱処理時の汚染や熱応力による
技術的トラブルは少なくなる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
SOI基板の製造方法によれば、特に厚物のSOI層に
おいて、OSFの発生をほとんど皆無に抑制することが
できる。このため、SOI基板の用途がパワーIC等将
来性ある大きな分野にまで拡大される。また、SOI層
側の第1のシリコンウエーハに熱酸化膜を形成し、それ
を絶縁膜としてSOI基板を製造するので、同ウエーハ
の外部からの不純物汚染を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A.単枚のシリコンウエーハについて、通常の
OSF密度測定をした場合、 B.単枚のシリコンウエーハについて、SOI基板製造
に必要な2段階の熱処後にOSF密度測定をした場合、 C.単枚のシリコンウエーハを、SOI基板製造に必要
な2段階の熱処理後に、Aの方法によりOSF密度測定
をした場合、 D.2枚のシリコンウエーハについてCの方法によりS
OI基板を製造し、そのSOI層についてAの方法によ
りOSF密度測定をした場合、のそれぞれ示す実験と、
その結果を説明する図である。
【図2】結合熱処理後の結合ウエーハについて、アング
ルポリッシュ法によるSOI層(第1のシリコンウエー
ハ)内の結晶欠陥の厚さ方向の分布を示す微分干渉顕微
鏡写真である。
【図3】実施例2の結合熱処理後の結合ウエーハについ
て、アングルポリッシュ法によるSOI層(第1のシリ
コンウエーハ)内の結晶欠陥の厚さ方向の状態を示す微
分干渉顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中澤 一志 長野県更埴市大字屋代1393番地 長野電 子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−235007(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 27/12 H01L 21/02 H01L 21/762

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚のシリコンウエーハを、該シリコン
    の酸化膜を介して結合させたSOI基板の製造方法であ
    って、 (1)格子間酸素濃度が16ppma(JEIDA規
    格)以下の第1のシリコンウエーハの表面に熱酸化によ
    ってシリコン酸化膜を形成し、 (2)前記第1のシリコンウエーハを、前記シリコン酸
    化膜を介して、これを支持する台材となる第2のシリコ
    ンウエーハに重ね合わせて、熱処理することにより結合
    ウエーハを得、 (3)該結合ウエーハの第1のシリコンウエーハ側を研
    削、研磨することにより、第2のシリコンウエーハ上に
    シリコン酸化膜を介して厚さ5μm以上のSOI層(単
    結晶シリコン層)を有するSOI基板を得ることを特徴
    とするSOI基板の製造方法。
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