JP2895029B2 - 鍛造・圧造用工具 - Google Patents

鍛造・圧造用工具

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JP2895029B2 JP22865997A JP22865997A JP2895029B2 JP 2895029 B2 JP2895029 B2 JP 2895029B2 JP 22865997 A JP22865997 A JP 22865997A JP 22865997 A JP22865997 A JP 22865997A JP 2895029 B2 JP2895029 B2 JP 2895029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、同形状のニブ小片を組
合せて形成した正多角形上型部と、ニブ受け台に形成し
た下型部とからなる型穴を有する鍛造・圧造用工具に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】等脚台
形の同形のニブ小片を6個環状に組合せてケースに保持
し、ニブ小片の内側に正六角形の型穴を形成した鍛造・
圧造用工具(特公平2−62342号)が実施されてい
る。上記鍛造・圧造用工具は、型穴内にてブランクが加
圧されることにより、隣り合うニブ小片の突き合わせ端
面間にブランクの肉が入り込んで隙間が生じる。一旦隙
間が生じると、より一層ブランクの肉が回り込み易くな
り、ニブ小片間の隙間は加速的に大きくなる。ニブ小片
間の隙間が大きくなると、該隙間に回り込んだブランク
の肉が、圧造製品にバリとして残って不良品となる。こ
の段階では工具を新しいものと交換せねばならない。
【0003】本発明は、略等脚台形状のニブ小片の両端
面の成す角度に工夫を施すことにより、隣り合うニブ小
片の突合せ端面に作用する押圧力を型穴側ほど強くし、
ブランクの肉がニブ小片間の突合せ端面間に入り込むこ
とを防止し、以て寿命を延長できる鍛造・圧造用工具を
明らかにするものである。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明の鍛造・圧造用工具は、
略等脚台形状の同形のニブ小片を複数個環状に組み合わ
せてなるニブ(2)をケース(1)に保持し、ニブ(2)の中
央に形成した正多角形の上型部(41)と、ニブ受け台(7)
に形成した下型部(71)とによって型穴(4)を形成した鍛
造・圧造用工具において、組立て前の各ニブ小片(3)
は、両端の成す角度αは360゜をニブ小片(3)の個数で除
した角度よりも小さく、ケース(1)に保持された状態で
は、ケース(1)による締付け力による弾性変形により、
隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜端面(31)(31)どうしが
全面に亘って押圧接触し、隣り合うニブ小片の突合わせ
面に作用する押圧力は型穴側ほど強くなっている。
【0005】
【作用及び効果】隣り合うニブ小片(3)(3)の突合わせ
端面に作用する押圧力は、型穴側ほど強くなっているた
め、型穴内でブランクが、外周が拡大する方向に押圧さ
れても、隣り合うニブ小片(3)(3)の突合わせ端面の間
にブランクの肉が回り込む隙間を生じることを防止でき
る。従って、ニブ小片(3)(3)の突合わせ端面の間にブ
ランクの肉が侵入してバリを生ずることは防止でき、鍛
造・圧造用工具の寿命を延長できる。
【0006】
【発明の実施の態様】図1、図2に示す鍛造・圧造用工
具は、図8に示す六角頭(81)に軸部(82)を具えたブラン
ク(8)形成用の鍛造・圧造用ダイスである。該ダイスの
ケース(1)は、先端側に開口する逆テーパ孔(12)及び該
逆テーパ孔(12)に連通しケースの後端に開口するストレ
ート孔(13)を軸芯に開設している。
【0007】ケース(1)の逆テーパ孔(12)にはスリーブ
(5)が嵌まり、ストレート孔(13)にはニブ受け台(7)及
び押し上げ台(9)が嵌まっている。スリーブ(5)は、軸
芯に開設した逆テーパ状の正六角形のニブ収容孔(11)に
ニブ(2)を圧入して保持している。スリーブ(5)のニブ
収容孔(11)の各角部には応力逃がしのために丸く凹み(5
1)が形成されている。
【0008】ニブ(2)は、超硬合金製等脚台形状の6個
のニブ小片(3)を、各ニブ小片(3)の縮小側を内向きに
して環状に配置し、中央に前記ブランク(8)の六角頭(8
1)の形状に対応する六角孔の上型部(41)を形成してい
る。ニブ小片(3)の拡大側側面は、スリーブ(5)のニブ
収容孔(11)のテーパ面に対応するテーパ面(30)となって
いる。
【0009】ニブ小片(3)をケース(1)に保持した状態
では、隣り合うニブ小片(3)(3)の突合わせ端面(31)(3
1)間に隙間は生じていない。
【0010】しかし、ニブ小片(3)をケース(1)に組込
む前は、図3に示す如く、各ニブ小片(3)両端の傾斜端
面(31)(31)の成す角度αは60゜よりも僅か小さく、ニブ
小片(3)の縮小側を内側にして、内面の端縁が隣合うニ
ブ小片(3)の内面の端縁に接する様に環状に配置したと
き、隣合うニブ小片(3)(3)の間に外拡がりの隙間(6)
が生じる。
【0011】上記図3の状態から、各ニブ小片(3)を外
側から加圧して隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜端面(3
1)(31)どうしが全面に亘って押圧接触する様に弾性変形
させ、この状態でスリーブ(5)のニブ収容孔(11)に保持
せしめる。
【0012】ニブ小片(3)両端の傾斜端面(31)(31)の成
す角度αは、ニブ小片(3)の弾性変形によって隣り合う
ニブ小片(3)(3)の傾斜端面(31)(31)どうしが全面に亘
って押圧接触する条件を満たせばよく、ニブ収容孔(11)
にニブ(2)を収容した時の締代、ニブ小片(3)の長辺と
短辺間の厚みH、ニブ小片(3)の材質等を考慮して有限
要素法等の数値計算によって最適値を求めることができ
る。実施例では、ニブ小片(3)両端の傾斜端面(31)(31)
の成す角度αを、59゜50´としたが、59゜30´〜60゜未満
であればよい。59゜30´以下であると、スリーブ(5)へ
の圧入に無理が生じる。
【0013】ニブ受け台(7)のニブ(2)側の面の中央部
には、ブランク(8)の軸部(82)に対応する下型部(71)が
開設されており、該下型部(71)に連通してニブ受け台
(7)の軸芯に突き出しピン案内孔(72)が開設されてい
る。前記ニブ(2)の上型部(41)と、ニブ受け台(7)の下
型部(71)とによってブランク(8)の形状に対応する型穴
(4)が形成される。
【0014】上記各ニブ小片(3)の全面、ケース(1)の
逆テーパ孔(12)の孔面、スリーブ(5)のニブ収容孔(11)
の孔面には、化学蒸着(CVD)によるTiC又はTiC
Nの耐焼き付き性の改質層或いは物理蒸着(PVD)によ
るTiNの耐焼き付き性の改質層が形成されている。
【0015】然して、隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜
端面(31)(31)に作用する押圧力を、図4の如く、矢印の
長さで示せば、型穴(4)側ほど強くなっているため、型
穴(4)内でブランクが外周が拡大する方向に押圧されて
も、隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜端面間にブランク
の肉が回り込む隙間を生じることを防止できる。従っ
て、隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜端面(31)(31)間に
ブランクの肉が侵入してバリを生ずることは防止でき、
鍛造・圧造用工具の寿命を延長できる。
【0016】隣り合うニブ小片(3)(3)の隙間をなくす
ほどに、ケース(1)はニブ小片(3)(3)を締め付けねば
ならず、組立時は勿論のと、圧造時にニブ小片(3)が弾
性変形することによるスリーブ(5)のニブ収容孔(11)の
孔面とニブ小片(3)との間、隣合うニブ小片(3)(3)ど
うしに作用する摩擦力は極めて大であるが、ニブ小片
(3)の表面に耐焼付き性の改質層を形成しているため、
焼付きを防止できる。スリーブ(5)のニブ収容孔(11)の
孔面、ケース(1)の逆テーパ孔(12)にも耐焼付き性の改
質層を形成しているため、ニブ小片(3)とスリーブ(5)
及びケース(1)とスリーブ(5)の焼付きも防止できる。
【0017】図5は、外周が円形状のニブ(2a)を、6個
のニブ小片(3a)で形成する実施例であり、スリーブに保
持する前の状態である。各ニブ小片(3a)(3a)は、等脚台
形に近い形状であるが、等脚台形と異なる点は、上型部
(41)とは反対側の外面(34)は、円弧状に形成されている
だけである。ニブ小片(3a)両端の傾斜端面(31a)(31a)の
成す角度αは、前記同様59゜30´〜60゜未満である。上記
ニブ(2a)をスリーブのニブ収容孔に締付け状態に保持し
たとき、隣り合うニブ小片(3a)(3a)の隙間は、ニブ小片
(3a)の弾性変形によってなくなり、前記同様の効果を奏
する。
【0018】図6は、等脚台形のニブ小片(3b)を4個組
合せて正方形の上型部(4b)を形成する実施例を示してい
る。ニブ小片(3)両端の傾斜端面(31b)(31b)の成す角度
αは、89゜30´以上、90゜未満であればよい。上記4つの
ニブ(3b)をスリーブの正方形のニブ収容孔に締付け状態
に保持したとき、隣り合うニブ小片(3b)(3b)の隙間は、
ニブ小片(3b)の弾性変形によってなくなり、前記同様の
効果を奏する。
【0019】図7は、6個のニブ小片(3c)を用い、六角
形の型孔(4c)を形成するニブ(2)の他の実施例を示して
いる。組立前の各ニブ小片(3c)の両端はニブ小片の縮小
側と拡大側では角度の異なる2面(32)(33)から成ってお
り、縮小側の面(32)(32)が成す角度は60゜、拡大側の面
(33)(33)が成す角度は59゜30´以上、60゜未満である。ニ
ブ小片(3c)の平行面間の距離Hに対して、60゜を成す部
分は、1/4〜1/6Hが望ましい。
【0020】6個のニブ小片(3c)を縮小側が内側となる
様に環状に配置して、隣合うニブ小片(3c)の端面内、型
孔側の面を面接触させ、各ニブ小片(3c)を外側から加圧
して隣り合うニブ小片(3a)(3a)の端面どうしが全面に亘
って押圧接触する様に弾性変形させ、この状態でスリー
ブを介してケースに保持する。
【0021】各ニブ小片(3c)の両端の縮小側の成す角度
は60゜であるから、スリーブに組込む前のニブ小片(3c)
を環状に配置したとき、隣合うニブ小片(3c)の端面の
内、型孔側の面を面接触させることができるため、各ニ
ブ小片(3c)を外側から加圧する際に、特別な治具を用い
ずとも、ニブ小片(3c)のずれを防止でき、スリーブへの
組込みが容易となる。
【0022】図6の様に4個のニブ小片(3b)でニブ(2b)
を構成する場合でも、図7の実施例を応用できるのは勿
論である。
【0023】図9、図10は、図11に示すフランジナ
ットのブランク(8a)を圧造するダイスの正面図と縦断面
図である。ニブ(2)は、6個のニブ片(3)(3)をスリー
ブ(5)に圧入して形成されており、該ニブ(2)にブラン
クの六角部とフランジ部(83)を形成する上型部(41)が形
成され、ニブ受け台(7)にブランクの上面部(84)に対応
する下型部(71)が形成されている。ニブ片(3)(3)の組
み合わせは、前記図3、図4の説明と同様であるので省
略する。
【0024】本発明の実施に際し、スリーブ(5)を省略
し、ケース(1)に直接にニブ収容孔を開設して、ニブ
(5)を圧入することができるのは勿論である。更に、本
発明は、実施例のダイスに限らず、鍛造・圧造用パン
チ、ボルトの頭を多角形にトリミングするトリミングダ
イス等、分割型のニブを有する鍛造・圧造用工具一般に
実施でき、又、上記実施例の構成に限定されることはな
く、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイスの正面図である。
【図2】ダイスの縦断面図である。
【図3】ケースへ組込む前のニブの配列状態の正面図で
ある。
【図4】隣合うニブ小片の互いの押圧状態の説明図であ
る。
【図5】六角型穴のニブの他の実施例の正面図である。
【図6】四角型穴のニブの正面図である。
【図7】六角型穴のニブの別の実施例の正面図である。
【図8】六角頭付きブランクの斜面図である。
【図9】フランジナット用ダイスの正面図である。
【図10】同上の縦断面図である。
【図11】フランジナットブランクの斜面図である。
【符号の説明】
(1) ケース (11) ニブ収容孔 (2) ニブ (3) ニブ小片 (4) 型穴 (41) 上型部 (71) 下型部 (5) スリーブ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略等脚台形状の同形のニブ小片を複数個
    環状に組み合わせてなるニブ(2)をケース(1)に保持
    し、ニブ(2)の中央に形成した正多角形の上型部(41)
    と、ニブ受け台(7)に形成した下型部(71)とによって型
    穴(4)を形成した鍛造・圧造用工具において、組立て前
    の各ニブ小片(3)は、両端の成す角度αは360゜をニブ小
    片(3)の個数で除した角度よりも小さく、ケース(1)に
    保持された状態では、ケース(1)による締付け力による
    弾性変形により、隣り合うニブ小片(3)(3)の傾斜端面
    (31)(31)どうしが全面に亘って押圧接触し、隣り合うニ
    ブ小片の突合わせ面に作用する押圧力は型穴側ほど強く
    なっていることを特徴とする鍛造・圧造用工具。
  2. 【請求項2】 ニブ(2)はスリーブ(5)に嵌まり、スリ
    ーブ(5)はケース(1)に保持されている請求項1に記載
    の鍛造・圧造用工具。
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