JP2894403B2 - 差動制限式左右輪駆動力配分制御装置 - Google Patents

差動制限式左右輪駆動力配分制御装置

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JP2894403B2
JP2894403B2 JP4209293A JP20929392A JP2894403B2 JP 2894403 B2 JP2894403 B2 JP 2894403B2 JP 4209293 A JP4209293 A JP 4209293A JP 20929392 A JP20929392 A JP 20929392A JP 2894403 B2 JP2894403 B2 JP 2894403B2
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differential limiting
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の左右輪の差動制
限を制御する、差動制限式左右輪駆動力配分制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動輪における左右輪間には、
旋回時等に生じる差動を許容するための差動機構が設け
られているが、この差動機構では、左右輪のうち一方の
車輪の負荷が溝にはまって路面との摩擦係数が著しく小
さくなると、この一方の車輪のみにが回転して他方の車
輪はほとんど回転しなくなって、路面に駆動トルクを伝
達できない状態が生じることがある。
【0003】そこで、このような場合に、その差動を制
限できる差動制限機構(LSD=リミテットスリップデ
フ)が開発されている。このような左右輪の差動制限機
構には、左右輪の回転速度差に比例するタイプのもの
や、入力トルクに比例するタイプのものがある。左右輪
回転速度差比例タイプには、液体の粘性を利用したVC
(ビスカスカップリング)式LSDなどのものがあり、
車両の走行安定性を向上しうる利点がある。一方、入力
トルク比例タイプのものには、一般的なLOM(ロック
オートマチック)式LSDなどのフリクションタイプの
ものや、ウォームギヤの摩擦抵抗を利用したTORSE
N(トルーセン)式LSDなどのメカニカルタイプのも
のがあり、車両の旋回性能を向上しうる利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような各差動制限機構では、その差動制御特性が物性な
どによって定まっており、必ずしも常に適切に差動制御
を行なえるように差動制御特性を調整できるようにはな
っていない。
【0005】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、左右輪の差動状態を適切に制御できるようにし
た、差動制限式左右輪駆動力配分制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の差動
制限式左右輪駆動力配分制御装置は、エンジンからの駆
動力を前輪駆動軸及び後輪駆動軸へ配分する前後輪駆動
力配分手段と、上記前輪駆動軸と上記後輪駆動軸との差
動を選択的に制限可能な前後輪差動制限手段と、上記前
後輪差動制限手段により作用させる差動制限力を設定す
る前後輪差動制限力設定手段と、前輪及び後輪のうち上
記前後輪駆動力配分手段により上記駆動力がより多く配
分される側に設けられ、上記前後輪駆動力配分手段によ
り入力された駆動力を左輪側駆動軸及び右輪側駆動軸に
配分する左右輪駆動力配分手段と、上記左輪側駆動軸と
上記右輪側駆動軸との差動を選択的に制限する左右輪差
動制限手段と、上記左右輪駆動力配分手段に入力される
駆動力に基づいて上記左右輪差動制限手段により作用さ
せる差動制限力を設定してこの設定した差動制限力に応
じて上記左右輪差動制限手段を制御すると共に、上記駆
動力として、上記前後輪差動制限力設定手段により設定
された差動制限力を用いて演算した駆動力値と、上記前
輪駆動軸と上記後輪駆動軸とが一体に回転する場合の駆
動力値と、のうちの大きい方を用いる制御手段と、操舵
角及び操舵方向を検出する操舵角検出手段と、車両の横
加速度を検出する横加速度検出手段と、上記車両の旋回
時に、上記左輪側駆動軸と上記右輪側駆動軸との間の回
転速度差の目標値を、上記操舵角検出手段により検出さ
れた上記操舵角が増大するのに伴って増大するように設
定する目標回転速度差設定手段とをそなえ、上記目標回
転速度差設定手段が、上記横加速度検出手段により検出
された上記横加速度から判定される旋回方向と上記操舵
角検出手段により検出された上記操舵方向から判定され
る旋回方向とが、一致しない場合には、上記操舵角をゼ
ロとして上記の回転速度差の目標値を設定し、上記制御
手段が、上記車両の旋回時には、上記の駆動力に基づい
て設定される差動制限力に代えて、上記左輪側駆動軸と
上記右輪側駆動軸との間の回転速度差が上記目標回転速
度差設定手段により設定された目標値に近づくように
記回転速度差と上記目標値とに基づいて差動制限力を設
定してこの回転速度差に基づく差動制限力に応じて上記
左右輪差動制限手段を制御するように構成されているこ
とを特徴としている。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【作用】上述の本発明の差動制限式左右輪駆動力配分制
御装置では、前後輪差動制限力設定手段により前後輪差
動制限手段により作用させる差動制限力が設定され、前
後輪差動制限手段によりこの設定した差動制限力が前輪
駆動軸と後輪駆動軸との間に与えられて前輪駆動軸と後
輪駆動軸との差動が選択的に制限され、前後輪駆動力配
分手段を通じで、エンジンからの駆動力の前輪駆動軸及
び後輪駆動軸への配分が制御される。そして、前輪及び
後輪のうち前後輪駆動力配分手段により上記駆動力が
多く配分される側では、配分された駆動力は、左右輪
駆動力配分手段により左輪側駆動軸及び右輪側駆動軸に
配分される。このとき、左右輪差動制限手段が、制御手
段の制御により作動して、左輪側駆動軸と右輪側駆動軸
との差動を選択的に制限する。この際、制御手段では、
左右輪駆動力配分手段に入力される駆動力に基づいて左
右輪差動制限手段により作用させる差動制限力を設定し
この設定した差動制限力に応じて左右輪差動制限手段
を制御するが、この設定時には、駆動力として、上記前
後輪差動制限力設定手段により設定された差動制限力を
用いて演算した駆動力値と、上記前輪駆動軸と上記後輪
駆動軸とが一体に回転する場合の駆動力値と、のうちの
大きい方を用いる。また、車両の旋回時には、目標回転
速度差設定手段が、左輪側駆動軸と右輪側駆動軸との間
の回転速度差の目標値を、操舵角検出手段により検出さ
れた操舵角が増大するのに伴って増大するように設定す
る。特に、横加速度検出手段により検出された横加速度
から判定される旋回方向と操舵角検出手段により検出さ
れた操舵方向から判定される旋回方向とが、一致しない
場合には、上記操舵角をゼロとして上記の回転速度差の
目標値を設定する。制御手段は、このような車両の旋回
時には、上記の駆動力に基づいて設定される差動制限力
に代えて、左輪側駆動軸と右輪側駆動軸との間の回転速
度差が上記の目標回転速度差設定手段により設定された
目標値に近づくように上記回転速度差と上記目標値とに
基づいて差動制限力を設定してこの回転速度差に基づく
差動 制限力に応じて左右輪差動制限手段を制御する。
【0011】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の差動制限式左右輪駆動力配分制御装置について説明す
ると、図1はその装置をそなえた駆動トルク伝達系の全
体構成図、図2はその制御系の全体構成を示すブロック
図、図3はその左右輪の差動機構としてのリヤディファ
レンシャルを示す断面図、図4は(a),(b)いずれ
も図3のA−A矢視断面、図5はその回転数差対応制御
部を示す構成図、図6はその後輪トルクゲイン補正部を
示す構成図、図7はその入力トルク対応制御部の一部を
示す構成図、図8はその入力トルク対応制御部の一部を
示す構成図、図9はその最大値選択部から制御電流出力
部に至る部分の構成図、図10はその操舵角検出手段の
詳細を示す構成図、図11はその車速検出手段の詳細を
示す構成図、図12はその理想回転数差を説明するため
の車輪状態を模式的に示す平面図、図13は理想回転数
差設定用マップを示す図、図14はその回転差ゲイン設
定マップを示す図、図15は(a),(b)それぞれそ
の差動対応クラッチトルク設定用マップを示す図、図1
6はそのエンジントルクマップの例を示す図、図17は
そのトランスミッショントルク比マップの例を示す図、
図18はそのセンタデフ入力トルク設定マップ、図19
はその装置を含んだ車両全体の制御の流れを示すフロー
チャート、図20はそのリヤディファレンシャルの制御
の流れを示すフローチャート、図21はその回転数差対
応クラッチトルクの設定の流れを示すフローチャート、
図22はその入力トルク対応クラッチトルクの設定の流
れを示すフローチャート、図23,24はいずれもその
差動制限機構の変形例を示す模式的な構成図である。
【0012】まず、図1を参照してこの差動制限式前後
輪トルク配分制御装置をそなえる車両の駆動系の全体構
成を説明する。
【0013】図1において、符号2はエンジンであっ
て、このエンジン2の出力はトルクコンバータ4及び自
動変速機6を介して出力軸8に伝達される。出力軸8の
出力は、中間ギア10を介して前輪と後輪とのエンジン
トルクを所要の状態に配分する動装置としての遊星歯
車式差動装置〔前後輪駆動力配分手段としてのセンタデ
ィファレンシャル(センタデフ)〕12に伝達される。
【0014】この遊星歯車式差動装置12の出力は、一
方において減速歯車機構19,前輪用の差動歯車装置1
4を介して車軸17L,17Rから左右の前輪16、1
8に伝達され、他方においてベベルギヤ機構15,プロ
ペラシャフト20及びベベルギヤ機構21,左右輪駆動
力配分手段及び左右輪差動機構としての後輪用の差動歯
車装置(リヤディファレンシャル)22を介して車軸
(左輪側駆動軸)25L,車軸(右輪側駆動軸)25R
から左右の後輪24,26に伝達される。
【0015】遊星歯車式差動装置12は、従来周知のも
のと同様にサンギア121、同サンギア121の外方に
配置されたプラネタリギア122と、同プラネタリギア
122の外方に配置されたリングギア123とを備え、
プラネタリギア122を支持するキャリア125に自動
変速機6の出力軸8の出力が入力され、サンギア121
は前輪用出力軸(前輪駆動軸)27および減速歯車機構
19を介して前輪用差動歯車装置14に連動され、リン
グギア123は後輪用出力軸(後輪駆動軸)29および
ベベルギヤ機構15を介してプロペラシャフト20に連
動されている。
【0016】また、遊星歯車式差動装置14には、その
前輪側出力部と後輪側出力部との差動を拘束(又は制
限)することにより前輪と後輪とのエンジンの出力トル
クの配分を変更しうる差動制限手段又は差動調整手段と
しての油圧多板クラッチ28が付設されている。なお、
油圧多板クラッチ28を滑らせれば前輪用出力軸(前輪
駆動軸)27と後輪用出力軸(後輪駆動軸)29とは差
動を生じ、油圧多板クラッチ28を滑らせなければ前輪
用出力軸(前輪駆動軸)27と後輪用出力軸(後輪駆動
軸)29とは一体に回転する。
【0017】すなわち、油圧多板クラッチ28は、サン
ギヤ121(又はリングギア123)とキャリア125
との間に介装されており、自身の油圧室に作用される制
御圧力によって摩擦力が変わり、サンギヤ121(又は
リングギア123)とキャリヤ125との差動を拘束す
るようになっている。
【0018】したがって、遊星歯車式差動装置12は、
油圧多板クラッチ28を完全フリーの状態からロックさ
せた状態まで適宜制御することにより、前輪側及び後輪
側へ伝達されるトルクを、前輪:後輪が約32:68程
度から50:50の間で制御することができるように設
定されている。完全フリー状態での前輪:後輪の値(約
32:68)は、遊星歯車の前輪側及び後輪側の入力歯
車の歯数比等の設定により規定でき、ここでは、油圧多
板クラッチ28の油圧室内の圧力がゼロで完全フリーの
状態のときには約32:68となるように設定されてい
る。
【0019】また、油圧室内の圧力が設定圧(9kg/cm
2)とされて油圧多板クラッチ28がロック状態にあっ
て、差動制限が実質的にゼロとなると、前輪と後輪との
トルク配分は、前輪系と後輪系との負荷バランス等によ
って変化するが通常は50:50となって直結状態とな
る。
【0020】なお、リヤディファレンシャル22につい
ては、後で詳述する。
【0021】符号30はステアリングホイール32の中
立位置からの回転角度、即ちハンドル角θを検出するハ
ンドル角センサ(操舵角検出手段)、34a,34bは
それぞれ車体の前部および後部に作用する横方向の加速
度Gyf,Gyrを検出する横加速度センサ(横加速度検出
手段)であり、この例では、2つの検出データGyf,G
yrを平均して横加速度データとしているが、車体の重心
部付近に横加速度センサ34を1つだけ設けて、この検
出値を横加速度データとしてもよい。36は車体に作用
する前後方向の加速度Gxを検出する前後加速度セン
サ、38はエンジン2のスロットル開度θtを検出する
スロットルポジションセンサ、39はエンジン2のエン
ジンキースイッチ、40、42、44、46はそれぞれ
左前輪16、右前輪18、左後輪26、右後輪28の回
転速度を検出する車輪速センサであり、これらスイッチ
及び各センサの出力はコントローラ48に入力されてい
る。
【0022】符号50はアンチロックブレーキ装置であ
り、このアンチロックブレーキ装置50はブレーキスイ
ッチ50Aと連動して作動する。つまり、ブレーキペダ
ル51の踏込時にブレーキスイッチ50Aがオンとなる
と、これに連動してアンチロックブレーキの作動信号が
出力されて、アンチロックブレーキ装置50が作動す
る。また、アンチロックブレーキの作動信号が出力され
るときには同時にその状態を示す信号がコントローラ4
8に入力されるように構成されている。また、52はコ
ントローラ48の制御信号に基づき点灯する警告灯であ
る。
【0023】なお、コントローラ48は、図示しないが
後述する制御に必要なCPU、ROM、RAM、インタ
フェイス等を備えている。
【0024】符号54は油圧源、56は同油圧源54と
油圧多板クラッチ28の油圧室との間に介装されてコン
トローラ48からの制御信号により制御される圧力制御
弁系(以下、圧力制御弁と略す)である。 また、この
自動車には自動変速機がそなえられており、符合160
は自動変速機のシフトレバー160Aの選択シフトレン
ジを検出するシフトレバー位置センサ(シフトレンジ検
出手段)であり、この検出情報もコントローラ48に送
られる。
【0025】さらに、エンジン回転数センサ(エンジン
回転速度センサ)170で検出されたエンジン回転数N
eやトランスミッション回転数センサ(トランスミッシ
ョン回転速度センサ)180で検出されたトランスミッ
ション回転数Ntもコントローラ48に送られる。
【0026】また、この例では、トラクションコントロ
ールシステム151もそなえている。つまり、エンジン
2は、アクセルペダル162の踏み込み量に応じて開度
が制御される主スロットル弁152をそなえており、ア
クセルペダル162および連結策等とともにアクセルペ
ダル系エンジン出力調整装置を構成している。
【0027】そして、アクセルペダル系エンジン出力調
整装置と独立して制御されるエンジン出力制御手段とし
ての副スロットル弁153が、エンジン2の吸気通路内
において主スロットル弁152と直列的に設けられてい
る。この副スロットル弁153はモータにより駆動さ
れ、このモータは後輪速センサ44,46や前輪速セン
サ40,42やエンジン回転数センサ170やエンジン
負荷センサ172等の検知結果にもとづき駆動制御され
る。
【0028】そして、上述のリヤディファレンシャル
(リヤデフ)22には、差動制限装置23が設けられて
おり、図3に示すように構成されている。
【0029】つまり、図3に示すように、入力軸401
がプロペラシャフト20の後端に結合されており、入力
軸401によりドライブピニオンギヤ402が一体回転
するように支持されている。また、入力軸401は、軸
受412を介してケース413の前部内に回転自在に支
持されている。
【0030】ドライブピニオンギヤ402には、クラウ
ン歯車403が噛合しており、このクラウン歯車403
には、ボルト431によって動力伝達用環状部材404
および第1のハウジング405が一体に結合されてい
る。
【0031】リヤデフ22は、遊星歯車機構を用いた遊
星歯車式ディファレンシャルであって、動力伝達用環状
部材404およびこの内部に形成され、環状部材404
の内周面に形成されたリングギヤ407と、左側輪24
の車軸25Lとスプライン結合するサンギヤ408と、
右側輪26の車軸25Rとスプライン結合するキャリヤ
409と、このキャリヤ409に軸410a,410b
を介して取り付けられたプラネタリギヤ411a,41
1bとから構成されている。
【0032】したがって、入力軸401から入った回転
トルクは、ドライブピニオンギヤ402,クラウン歯車
403を経て、環状部材404のリングギヤ407か
ら、プラネタリギヤ411a,411b及びキャリヤ4
09を介して右側輪26の車軸25Rへ伝達されると共
に、プラネタリギヤ411a,411b及びサンギヤ4
08を介して左側輪24の車軸25Lへ伝達されるよう
になっている。
【0033】また、キャリヤ409の右側には、第2の
ハウジング406が設けられており、この第2のハウジ
ング406はベアリング428を介して環状支持部材4
18を支持している。
【0034】そして、このリヤデフ22には、差動制限
装置23が設けられており、この差動制限装置23は、
差動制限機構(左右輪差動制限手段)としての多板クラ
ッチ414と、この多板クラッチを駆動する駆動装置4
17と、この駆動装置417を制御するコントローラ4
8のリヤデフ制御部(制御手段)48aとから構成され
ている。
【0035】つまり、多板クラッチ414は、環状部材
404の内部に設けられており、一方のクラッチディス
ク414aを支持するホルダ部415aは軸410a,
410bを介してキャリヤ409に結合されて、クラッ
チディスク414aがキャリヤ409と一体回転するよ
うになっており、他方のクラッチディスク414bを支
持するホルダ部415bはサンギヤ408の設けられた
中空シャフト416に形成されて、クラッチディスク4
14bがサンギヤ408と一体回転するようになってい
る。
【0036】さらに、駆動装置417は、キャリヤ40
9と第2のハウジング406との間に介設された力方向
変換機構429と、この力方向変換機構429を駆動す
る電磁式クラッチ機構430とからなっている。なお、
このリヤデフ22は電磁式クラッチ機構により差動制限
を行なうので、電磁制御式ディファレンシャル(EMC
D:Electro Magnetic Controlled Differentia
l)という。
【0037】力方向変換機構429は、図3に示すよう
に、キャリヤ409と第2のハウジング406との間に
介装されたボール421と、図4(a)に示すように、
このボール421を収容する菱形(又は矩形)の室42
5とからなり、室425は、キャリヤ409側に形成さ
れた溝422とキャリヤ409と第2のハウジング40
6との間の環状部材423に形成された溝424とによ
って形成されている。
【0038】そして、環状部材423は、キャリヤ40
9と第2のハウジング406との間に介装されて、通常
時にはこれらの部材に対して回転方向にフリーであっ
て、ボール421を介してキャリヤ409と一体回転し
ているが、第2のハウジング406側(つまり、クラウ
ン歯車403や動力伝達用環状部材404側)の回転ト
ルクを受けると、キャリヤ409に対して差回転を生じ
て、この回転トルクによる力が、方向を変更されて、ク
ラッチ414の押圧力として作用するようになってい
る。
【0039】環状部材423に第2のハウジング406
側の回転トルクを作用させるのは、電磁式クラッチ機構
430であり、この電磁式クラッチ機構430は、環状
部材423と第2のハウジング406側(クラウン歯車
403や動力伝達用環状部材404側)の部材426と
の間に介装されたクラッチ427と、磁石419と差動
制限機構制御手段としてのソレノイド(EMCDコイ
ル)420とからなる電磁式クラッチ駆動系とからなっ
ている。
【0040】つまり、クラッチ427が、第2のハウジ
ング406の内側に配設されていて、第2のハウジング
406のさらに内側には磁石419が設置され、この一
方、第2のハウジング406の外側に、磁石419を吸
引しうるソレノイド420が設置されている。これによ
り、ソレノイド420が作動すると、磁石419が第2
のハウジング406側に引き付けられて、第2のハウジ
ング406との間でクラッチ416を押圧するようにな
ることで、クラッチ416が係合するようになってい
る。
【0041】そして、クラッチ416が係合するように
なると、環状部材423が、第2のハウジング406側
の回転トルクを受けて、第2のハウジング406側と一
体的に回転しようとするようになる。この時に、第2の
ハウジング406側(したがって、サンギヤ407側)
とキャリヤ409とが回転速度差(差回転)を生じてい
れば、つまり、左右輪間に回転速度差が生じていれば、
環状部材423は、キャリヤ409に対して差回転を生
じ、このように環状部材423がキャリヤ409に対し
て差回転を生じると、図4(b)に示すように、ボール
421と溝422,424の傾斜面とを介して、差回転
方向の力Δrが、これと直交する方向の力、つまり、リ
ヤデフの軸心方向や車軸方向に並行な力Fに変換され
て、この力Fによりキャリヤ409が軸心方向へ駆動さ
れて、シャフト410a,410b,ホルダ部415a
を通じて、多板クラッチ414が押圧されて係合するよ
うにになっている。
【0042】このような多板クラッチ414の係合力
は、左右輪の回転速度差とソレノイド420で生じる電
磁力の大きさとに対応することになり、ソレノイド42
0への電流を調整することで、多板クラッチ414の係
合力、したがって、差動制限力を制御できるのである。
【0043】このようなソレノイド420への電流調整
による差動制限力の制御のために、コントローラ48に
リヤデフ制御部48aが設けられている。ここで、この
リヤデフ制御部48aについて説明する。
【0044】リヤデフ制御部48aは、図2のブロック
図に示すように、各センサ(車輪速センサ40,42,
44,46,操舵角センサ30a,30b,30c,横
加速度センサ34,前後加速度センサ36,スロットル
ポジションセンサ38,エンジン回転数センサ170,
トランスミッション回転数センサ180,シフトポジシ
ョンセンサ160等)からの検出情報に基づいて、多板
クラッチ414のクラッチトルクを設定し、目標のクラ
ッチトルクを得られるように駆動装置417の電磁式ク
ラッチ機構430への供給電流を制御するようになって
いる。
【0045】なお、データのうちABS情報,車輪速,
舵角,変速段,ABSのコントロールユニットとエンジ
ンの制御ユニットとの総合通信(SCI通信:SCI=
Serial Communication Interface)等のデータ
は、デジタル入力され、前後加速度,横加速度,アクセ
ル開度,多板クラッチへの油圧制御,4WDコントロー
ルユニット制御,リヤデフの電磁クラッチへの電流等に
関してはアナログ入力される。
【0046】この装置では、多板クラッチ414のクラ
ッチトルクの設定は、左右輪の差動状態(回転速度差
であって回転数差とも表現する)に着目して理想の差動
状態となるように制御を行なうための差動対応クラッチ
トルクTrnと、急発進時などにおける車輪のスリッ
プを抑制して大きな路面伝達トルクを得られるように後
輪に入力されるトルクに比例して設定される入力トルク
比例クラッチトルクTraとの中から1つが選択される
ようになっており、これらの各クラッチトルクTrn,
Traの設定部について順に説明する。
【0047】差動対応クラッチトルクTrnは、旋回時
に運転者の意志に沿うように車両を挙動させるように制
御精度を高めると共にタイトコーナブレーキング現象を
回避できるようにするためのクラッチトルクである。つ
まり、旋回時には、左右輪間及び前後輪間には、その軌
道差や車体姿勢により、幾何学的に差動が生じるので、
この差動を適切に許容できるように、左右輪間及び前後
輪間の差動を制御したい。
【0048】ところで、旋回時に運転者の意志として、
入手可能な情報は、運転者の要求舵角(疑似舵角)δr
efや、車体速(疑似車体速)Vrefであり、これら
の情報δref,Vrefに基づいて、に差動対応クラ
ッチトルクTrnを設定するようになっている。
【0049】したがって、差動対応クラッチトルクTv
の設定にかかる部分は、図2に示すように、実回転速度
差検出手段としての左右輪実回転速度差検出部500
と、理想回転速度差検出手段としての左右輪理想回転速
度差設定部510と、左右輪実回転速度差ΔVrdと左
右輪理想回転速度差ΔVhrとからクラッチトルク(差
動制限力)Trn´を設定する差動制限力設定手段とし
ての差動対応クラッチトルク設定部520と、このクラ
ッチトルクTrn´を後輪トルクゲインk3で補正する
補正部(k3補正部)546とから構成されている。
【0050】左右輪実回転速度差検出部500は、図5
に示すように、フィルタ202c,202dと、左右輪
実回転速度差算出部506とをそなえて構成されてい
る。なお、フィルタ202c,202dは、それぞれ車
輪速センサ44,46により検出された左後輪26,右
後輪28の回転速度データ信号RL,RRの中から、外
乱等により発生するデータの微振動成分を取り除くため
のものである。さらに、左右輪実回転速度差算出部50
6では、後輪の左側輪回転速度Vrlから後輪の右側輪
回転速度Vrrを減じることで左右輪の実回転速度差
[左右輪の回転速度差(左右回転差:この回転差はリヤ
デフにおける回転差でもある)]ΔVrdを算出する。
【0051】左右輪理想回転速度差設定部510は、操
舵角検出手段としての運転者要求操舵角演算部(擬似操
舵角演算部)212と、車体速データ検出手段としての
運転者要求車体速演算部(擬似車体速演算部)216
と、目標回転速度差設定手段及び理想作動状態設定部と
しての理想回転速度差設定部518とをそなえて構成さ
れている。
【0052】操舵角検出手段としての運転者要求操舵角
演算部212は、図10に示すように、操舵角センサ3
0(第1操舵角センサ30a,ステアリングハンドルに
設置された第2操舵角センサ30b,ニュートラル位置
センサ30c)からの検出データθ1,θ2,θnに基づ
いてセンサ対応操舵角δh[=f(θ1,θ2,θn)]
の値を算出するセンサ対応操舵角データ設定部212a
と、横加速度センサ34a,34bで検出されたデータ
Gyf,Gyrを平均して横加速度データGyを算出す
る横加速度データ算出部212bと、センサ対応操舵角
δhの方向と横加速度データGyの方向とを比較する比
較部212cと、比較部212cでの比較結果に応じて
運転者要求操舵角δrefを設定する運転者要求操舵角
設定部(車速データ設定部)212dとをそなえて構成
されている。
【0053】なお、センサ対応操舵角δhを求める関数
δh=f(θ1,θ2,θn)は、ハンドル角センサの仕
様に応じたものとなる。また、センサ対応操舵角δh及
び横加速度データGyは、いずれも例えば右旋回方向を
正としている。
【0054】これらのセンサ対応操舵角δh及び横加速
度データGyの方向を比較するのに、検出データxに対
して次のような方向に関する関数SIG(x)を設定す
る。 x>0の時には、SIG(x)=1 x=0の時には、SIG(x)=0 x<0の時には、SIG(x)=−1
【0055】そして、比較部212cでは、センサ対応
操舵角δhの方向と横加速度データGyの方向との比較
を、SIG(δh)とSIG(Gy)とを比較すること
により行なっている。
【0056】運転者要求操舵角設定部212dでは、セ
ンサ対応操舵角δhの方向SIG(δh)と横加速度デ
ータGyの方向SIG(Gy)とが等しい場合には、セ
ンサ対応操舵角δhを運転者要求操舵角(操舵角デー
タ)δrefに設定し、センサ対応操舵角δhの方向S
IG(δh)と横加速度データGyの方向SIG(G
y)とが等しくない場合には、0を運転者要求操舵角δ
refに設定する。
【0057】センサ対応操舵角δhの方向SIG(δ
h)と横加速度データGyの方向SIG(Gy)とが等
しくない場合に運転者要求操舵角δrefとして0を設
定するのは、例えばドライバがカウンタステア等のハン
ドル操作を行なうときには、ハンドルの操舵位置と実際
の車両の操舵角(旋回状態)とが異なるようになる場合
があり、このような時に、ハンドルの操舵位置から車両
の操舵角と設定すると適切な制御を行ないにくい。
【0058】そこで、このような不具合を排除するため
に、センサ対応操舵角δhの方向SIG(δh)と横加
速度データGyの方向SIG(Gy)とが等しくない場
合には、運転者要求操舵角を0に設定しているのであ
る。
【0059】このように、運転者要求舵角δrefは、
ハンドル角から求められるが、このハンドル角に基づく
舵角δhは、例えば横加速度Gyに基づいた舵角δyよ
りも運転者の意志をより反映した舵角であって、運転者
要求舵角δrefとして適している。例えば、運転者が
現状よりも大きく曲がりたい場合には、|δh|>|δ
y|となり、舵角値|δh|を採用することで舵角値|
δy|を採用するよりも理想回転速度差(スリップ目標
値)の大きさを大きくでき、一方、運転者が現状の曲が
りを押えたい場合には、|δh|<|δy|となり、舵
角値|δh|を採用することで舵角値|δy|を採用す
るよりも理想回転速度差(スリップ目標値)の大きさを
小さくできるのである。
【0060】運転者要求車体速演算部216は、車輪に
スリップを生じたときに車輪速から車体速を求めると、
図11に示すように、車輪速センサ40,42,44,
46により検出された左前輪16,右前輪18,左後輪
26,右後輪28の回転速度データ信号FL,FR,R
L,RRのうち下から(小さい方から)2番目の大きさ
の車輪速データを選択する車輪速選択部216aと、こ
の選択した車輪速データ等から運転者要求車体速を設定
する運転者要求車体速算出部216cとからなってい
る。
【0061】特に、運転者要求車体速算出部216cで
は、車輪速選択部216aで選択した車輪速データをフ
ィルタ216bにかけて雑音成分を除去して得られる車
輪速データSVWと、前後加速度センサ36で検出され
た前後加速度をフィルタ216dにかけて雑音成分を除
去して得られる前後加速度データGxとに基づいて、ス
リップ前のある時点における両データSVW,Gxか
ら、スリップ中の車速を推定できるようになっている。
つまり、ある時点の車輪速データSVWをV2,前後加
速度データGxをaとすると、この時点よりも時間tだ
け後の理論上の車体速Vrefは、Vref=V2+a
tで算定できる。
【0062】また、前後加速度データGxに換えて、車
輪速データSVW又は運転者要求車体速Vrefを時間
微分して得られる運転者要求車体加速度V´refを採
用してもよい。
【0063】なお、回転速度データ信号FL,FR,R
L,RRのうち下から2番目の大きさの車輪速データを
採用するのは、各車輪は通常いずれも過回転側にスリッ
プしている場合が多いので本来なら最も低速回転の車輪
速を採用するのが望ましいが、データの信頼性を考慮し
て下から2番目の車輪速を採用しているのである。
【0064】そして、理想回転速度差設定部518で
は、運転者要求操舵角演算部212で算出された運転者
要求操舵角δrefと、運転者要求車体速演算部216
で算出された運転者要求車体速Vrefとから、図13
に示すようなマップに対応して、理想回転速度差(回転
速度差の目標値)ΔVhrを設定する。
【0065】つまり、操舵角に関しては、操舵角が大き
いほど左右輪に要求される回転差も大きくなるので、操
舵角データδrefが大きいほど理想回転速度差ΔVh
rの値も大きくなり、例えば、操舵角データδrefが
右旋回方向に大きくなるほど理想回転速度差ΔVhrの
値は正方向に(左側輪の方が速度が大きい方向に)大き
くなり、操舵角データδrefが左旋回方向に大きくな
るほど理想回転速度差ΔVhrの値は負方向に(左側輪
の方が速度が小さい方向に)大きくなる。
【0066】また、車速に関しては、低車速時には、車
速の増大にしたがって理想回転速度差ΔVhrの値が増
大するが、高速時には、車速の増大に対する理想回転速
度差ΔVhrの値の増大傾向は小さくなる。即ち、高速
時には、左右輪の理想回転速度差ΔVhrは主として操
舵角データδrefに応じて決定する。
【0067】このような左右輪の軌道半径差による左右
輪の回転速度差ΔVhrについて、図12を参照して説
明する。なお、図12に示す例は、右旋回の場合であ
り、旋回内側の右輪車輪速(旋回内輪速)をVi、旋回
外側の左輪車輪速(旋回外輪速)をVo、左右輪の中心
部分での車速をV、車両の旋回半径(左右輪の中心部分
での旋回半径)をR、左右輪間隔(トレッド)をLtと
して、ホイールベースをl、前輪中心と重心との間の距
離をlf、後輪中心と重心との間の距離をlr、車両重
量をmとする。そして、車体スリップ角βが充分に小さ
く、cosβ≒1、sinβ≒βとすると、左右輪の回
転速度差ΔVhrは、以下のようにあらわせる。 ΔVhr=Vo−Vi=(Lt/R)・V ・・・(1.1) なお、 R=(1+A・V2)・l/δ ・・・(1.2) ただし、Aはスタビリティファクタであって、フロント
コーナリングパワーをkf,リヤコーナリングパワーを
krとすると、 A=−(m/2l2)・(lf・kf−lr・kr)/
(kf・kr)
【0068】上式(1.1)(1.2)に示すように、
車速Vと操舵角δとから、左右輪の理想回転速度差ΔV
hrを算出できる。但し、車速V及び操舵角δとして
は、それぞれ、疑似車体速Vref及び運転者要求舵角
δrefを用いる。
【0069】そして、左右輪実回転速度差検出部500
で検出された左右輪実回転速度差ΔVrdと、左右輪理
想回転速度差設定部510で設定された左右輪理想回転
速度差ΔVhrとは、減算器522で減算(ΔVrd−
ΔVhr)されて、得られた差ΔVr(=ΔVrd−Δ
Vhr)と、左右輪理想回転速度差ΔVhrとが、差動
対応クラッチトルク設定部520にデータとして入力さ
れるようになっている。
【0070】差動対応クラッチトルク設定部520は、
左右輪実回転速度差ΔVrdと左右輪理想回転速度差Δ
Vhrとの差ΔVr(=ΔVrd−ΔVhr)に対応し
て、クラッチトルクTrn´を設定するが、左右輪理想
回転速度差ΔVhrの正負によって場合分けして、クラ
ッチトルクTrn´を設定している。
【0071】(i)ΔVhr≧0のとき、この場合は、
右輪よりも左輪の方の速度を速くしたいのであり、以下
の〜のようにクラッチトルクTrn´を設定する。
【0072】ΔVrd≧ΔVhrならば、左輪が過回
転してスリップしているので、左輪寄りに大きく配分さ
れたエンジントルクの一部を右輪側へ移すようにして左
輪のスリップを抑制したい。そこで、クラッチトルクT
rn´が差ΔVr(ΔVrd−ΔVhr)の大きさに比
例して高まるように、 Trn´=a×(ΔVrd−ΔVhr)=a×ΔVr ・・・(1.3) と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0073】ΔVhr>ΔVrd>0ならば、右輪が
スリップしているので、もしもこの時クラッチトルクT
rn´を高めると右輪側へ配分されるエンジントルクが
増加して右輪のスリップが促進されてしまうことにな
る。このため、差動制限をフリーにして、右輪側へ配分
されるエンジントルクを低減したい。そこで、この場合
には、クラッチトルクTrn´を0に設定して、所謂不
感帯領域を設定する。
【0074】0≧ΔVrdならば、右輪がスリップし
ているので、左輪側へのエンジントルクの配分を増加さ
せて右輪のスリップを低減したい。そこで、クラッチト
ルクTrn´がΔVrdの大きさに比例して高まるよう
に、 Trn´=−a×ΔVrd=−a×(ΔVr+ΔVhr) ・・・(1.4) と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0075】このようなTrn´とΔVrとの関係をマ
ップ化すると、図15(a)のようになり、このマップ
によって、差ΔVrと左右輪理想回転速度差ΔVhrと
から差動対応クラッチトルクTrnを求めることができ
る。
【0076】なお、ΔVhr=0の時には、ΔVhr>
ΔVrd>0の不感帯領域はなくなる。
【0077】(ii)ΔVhr<0のとき、この場合は、
左輪よりも右輪の方の速度を速くしたいのであり、以下
の〜のようにクラッチトルクTrn´を設定する。
【0078】ΔVrd≧0ならば、左輪が過回転して
スリップしているので、後輪寄りに大きく配分されたエ
ンジントルクの一部を右輪側へ移すようにして後輪のス
リップを抑制したい。そこで、クラッチトルクTrn´
がΔVrdの大きさに比例して高まるように、 Trn´=a×ΔVrd=a×(ΔVr+ΔVhr) ・・・(1.5) と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0079】0>ΔVrd>ΔVhrならば、左輪が
スリップしているので、もしもこの時クラッチトルクT
rn´を高めると左輪側へ配分されるエンジントルクが
増加して左輪のスリップが促進されてしまうことにな
る。このため、差動制限をフリーにして、左輪側へ配分
されるエンジントルクを低減したい。そこで、この場合
には、クラッチトルクTrn´を0に設定して、所謂不
感帯領域を設定する。
【0080】ΔVhr≧ΔVrdならば、右輪がスリ
ップしているので、左輪側へのエンジントルクの配分を
増加させて右輪のスリップを低減したい。そこで、クラ
ッチトルクTrn´がΔVr(ΔVrd−ΔVhr)の
大きさに比例して高まるように、 Trn´=−a×(ΔVrd−ΔVhr) =−a×ΔVr ・・・(1.6) と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0081】このようなTrn´とΔVrとの関係をマ
ップ化すると、図15(b)のようになり、このマップ
によって、差ΔVrと左右輪理想回転速度差ΔVhrと
から差動対応クラッチトルクTrn´を求めることがで
きる。
【0082】このようにして、差動対応クラッチトルク
設定部520で、マップ[図15(a),(b)]を参
照してΔVrとΔVhrとから求められた差動対応クラ
ッチトルクTrn´は、図6に示すように、補正部54
6でk3補正され、差動対応クラッチトルクTrnが得
られるようになっている。
【0083】補正部546では、差動対応クラッチトル
クTrn´に後輪トルクゲインk3を乗算することで横
加速度補正を施して、差動対応クラッチトルクTrnを
得るようになっているが、この後輪トルクゲインk
3は、後輪トルクゲイン設定部544で、以下のように
設定される。
【0084】つまり、後輪トルクゲイン設定部544に
は、入力トルク設定手段としての後輪分担トルク演算部
560から演算された入力トルクとしての後輪分担トル
クTreが送られて、図6中のブロック544内に示す
マップから後輪分担トルクTreに応じて後輪トルクゲ
インk3を設定する。
【0085】この後輪トルクゲインk3は、後輪分担ト
ルクTreの大きさに応じて補正する係数であり、差動
対応クラッチトルクTrnにもこの後輪分担トルクTr
eの大きさを加味させて、後輪分担トルクTreが小さ
い場合には、差動対応クラッチトルクTrnも小さくな
るようにして、後輪分担トルクTreの増大に応じて差
動対応クラッチトルクTrnも増大するようにしている
のである。
【0086】なお、後輪分担トルクTreがTre=T
rmとなったところで、後輪トルクゲインk3は一定値
(k3=1)となるが、Trmはダート路での最大加速
走行時を想定した後輪分担トルクで、 Trm=μ[Wr+(h/l)・W・Gx]・Rt ・・・(1.7) ただし、μは路面摩擦係数、hは重心高さ、Gxは車両
の前後加速度、Rtはタイヤ半径である。
【0087】後輪分担トルク比例クラッチトルクTra
は、停止状態からの急発進時などに伝達トルクが大きく
なることが予想される場合に、後輪の初期スリップを防
ぐことができるようするための設定トルクであって、後
輪分担トルクTreから比例トルクTra´を求めてこ
れをk4補正することで得られる。
【0088】このような後輪分担トルク比例クラッチト
ルクTraを求めて、これによりクラッチ414を制御
するために、図2に示すように、後輪分担トルク演算部
560と、比例トルク演算部570と、比例関係調整手
段としてのk4補正部572と、スイッチ574aとが
設けられている。なお、比例トルク演算部570と、k
4補正部572とから差動制限力設定手段が構成され
る。
【0089】後輪分担トルク演算部560は、図7に示
すように、ある瞬間のエンジントルクTeを検出するエ
ンジントルク検出部264と、その時のトルコントルク
比tを検出するトルコントルク比検出部266と、その
時のトランスミッションの減速比ρmを検出するトラン
スミッションの減速比検出部276と、前後加速度Gx
から油圧多板クラッチ(前後輪差動制限手段)28によ
り作動させる差動制限力としてのセンタデフトルク(セ
ンタデフクラッチトルク)Tcを得るセンタデフトルク
設定部(前後輪差動制限力設定手段)562とから、そ
れぞれの情報が送られて、これらのエンジントルクTe
とトルコントルク比tとトランスミッションの減速比ρ
mとセンタデフトルクTcとから後輪分担トルクTre
を算出するように構成されている。
【0090】エンジントルク検出部264では、スロッ
トルポジションセンサ38から送られてフィルタ262
aを通じて外乱等により発生するデータの微振動成分を
取り除かれたスロットル開度データθthと、エンジン
回転数センサ170から送られてフィルタ262bを通
じて外乱等により発生するデータの微振動成分を取り除
かれたエンジン回転数データNeとから、例えば図16
に示すようなエンジントルクマップを通じて、その時の
エンジントルクTeを求めるようになっている。
【0091】トルコントルク比検出部266では、エン
ジン回転数センサ170から送られてフィルタ262b
を通じて外乱成分を取り除かれたエンジン回転数データ
Neと、トランスミッション回転数センサ180から送
られてフィルタ262cを通じて外乱成分を取り除かれ
たトランスミッション回転数データNtとから、例えば
図17に示すようなトランスミッショントルク比マップ
を通じて、その時のトランスミッショントルク比tを求
めるようになっている。
【0092】トランスミッションの減速比検出部276
では、シフトポジションセンサ160からの選択シフト
段情報から、シフト段−減速比対応マップ(図示省略)
を参照してトランスミッションの減速比ρmを求めるよ
うになっている。
【0093】センタデフトルク設定部562では、前後
加速度Gxに基づいて次式からセンタデフトルクTcを
演算する。 Tc=(Z/ Zr)・( Rt/ρrd) (Wf-Wa・Zs/Z)・Gx-h/l・ Wa・ Gx2 ・・・(2.1) ただし、Zsはセンタデフ12にかかるサンギヤ121
の歯数、Zrはセンタデフ12にかかるリングギヤ12
の歯数、Wfは前輪分担荷重、Waは車重、ρrdは
終減速比、ZはZs+Zrである。
【0094】後輪分担トルク演算部560では、上述の
ように設定されたエンジントルクTe,トルコントルク
比t,トランスミッションの減速比ρm,センタデフト
ルクTcに基づいて後輪分担トルクTreを演算する
が、この算出は、次の2式による演算結果Tre1,T
re2のうち大きい方の値を採用する。
【0095】Tre1を算出する演算式は次式であり、
これはセンタデフ12にかかるクラッチ28が滑る場合
を想定したトルクの前後配分式である。 Tre1=(Te・t・ρ1・ρm−Tc)・ρrd・Zr/(Zr+Zs) ・・・(2.2)
【0096】また、Tre2を算出する演算式は次式で
あり、これはセンタデフ12にかかるクラッチ28が滑
らない場合(即ち、前輪用出力軸(前輪駆動軸)27と
後輪用出力軸(後輪駆動軸)29とが一体に回転する
合)を想定した式であり、これにより得られる後輪分担
トルクTre2は静止時後輪分担トルクである。 Tre2=(Wr/W)・Te・t・ρ1・ρm・ρrd・・・(2.4)
【0097】 そして、Tre=MAX(Tre1,Tre2) ・・・(2.5) より、後輪分担トルクTreを決定する。
【0098】なお、後輪分担トルクTreとして、上述
のように静止時後輪分担トルクTreを採用するの
は、Tre1の演算式ではTre1の値が負になる場合
があり、このような場合等に静止時後輪分担トルクTr
e2を採用しているのである。また、この後輪分担トル
クTreに基づくクラッチ制御は発進時を狙っているも
のなので、静止時後輪分担トルクTreを採用するの
はこれに適している。
【0099】比例トルク演算部570では、上述の後輪
分担トルクTreに比例したクラッチトルクTra´を
演算するもので、設定された比例関係[傾斜m(=Tr
a´/Tre)が、例えば0.8]で、TreからTr
a´を算出する。
【0100】比例関係調整手段としてのk4補正部57
2では、このようにして得られたクラッチトルクTra
´に回転差ゲインk4を乗算することで補正(比例関係
調整)が施される。なお、回転差ゲインk4は、図8に
示すように、回転差ゲイン設定部576において以下の
ように設定される。
【0101】つまり、回転差ゲインk4は、タイトコー
ナブレーキ現象を回避しようとするもので、理想回転速
度差設定部510で設定された理想回転速度差ΔVhr
から図14に示すようなマップに従って決定される。こ
のマップにおける回転差ゲインk4は理想回転速度差Δ
Vhrとの関係は、次式であらわせる。 K4=0.9 ×( |ΔVhrmax ||ΔVhr|)/|ΔVhrmax |+0.1 ・・・(2.5) ただし、ΔVhrmax=MAX|ΔVhr(δ=MA
X)|また、係数0.9及び定数0.1は、k2の下限
を0.1にするためである。
【0102】このように、理想回転速度差ΔVhrが大
きくなるのに従って直線的に小さくなる回転差ゲインk
4により補正することで、旋回時等に理想回転速度差Δ
Vhrが大きくなった場合に、急発進性能よりも旋回性
能(タイトコーナブレーキ現象を防止できるような性
能)を優先させるように、クラッチトルクTra´が小
さくされるのである。
【0103】また、クラッチトルクTraを得るのに、
理想回転速度差ΔVhrと比例関係をもつようにクラッ
チトルクTraを設定して、この比例係数を後輪分担ト
ルクTreの大きさによって後輪分担トルクTreの大
きさが大きいほど比例係数〔傾斜m´(=Tra/ΔV
hr)〕が大きくなるように変更する比例関係調整手段
を設けるようにしてもよい。
【0104】さらに、クラッチ574aは、判断手段5
74からの信号により、低車速時(この例ではVref
<20km/h)にはONとなって、クラッチトルクTa
をデータとして出力できるようにするが、車速がこれ以
上大きくなる(Vref≧20km/h)とOFFとなっ
て、後輪分担トルク比例クラッチトルクTraのデータ
として値0を出力する。これは、後輪分担トルク比例制
御は、車輪のスリップを防止することで路面への伝達ト
ルクを確保しようとするものであって、後輪分担トルク
比例クラッチトルクTraによると、タイトコーナブレ
ーキング現象を発生させたり、スリップ許容が必要な場
面で他の制御則を排除してしまう場合があり、これらを
回避するために、低速速時のみにこの後輪分担トルク比
例制御を行なうという条件を設けているのである。
【0105】上述の差動対応クラッチトルクTrn,後
輪分担トルク比例クラッチトルクTraの各クラッチト
ルクは、適当なタイミングで繰り返される各制御サイク
ル毎にそれぞれ設定され、最大値選択部580に送られ
る。この最大値選択部580では、各制御サイクル毎
に、クラッチトルクTrn,Traの中から最大のもの
(このクラッチトルクをTr´とする)を選択する。た
だし、スイッチ574aがOFFの場合には、クラッチ
トルクTraとして0が送られるので、最大値選択部5
80では、クラッチトルクTrnを選択するようになっ
ている。
【0106】このようにして選択されたクラッチトルク
Tr´は、図9に示すように、k5補正部584でk5
正を施される。このk5補正は、トラクションコントロ
ールが行なわれている場合にはクラッチトルクTr´を
低減するような補正であり、例えば、トラクションコン
トロール時(ON時)にはk5=0.5、トラクション
コントロールしていない時(OFF時)にはk5=1.
0とされている。
【0107】このようにして補正されて得られたクラッ
チトルクTrは、トルク−電流変換部586に送られ
て、ここで、設定されたクラッチトルクTrが得られる
ようなクラッチ供給電流Iに変換されるようになってい
る。ここでは、マップ(図9中のブロック586内参
照)によって、クラッチトルクTrからクラッチ供給電
流Iを得ている。
【0108】上述のようにして、クラッチ供給電流Iが
得られたら、電流制限部(リミッタ)588で、クラッ
チ供給電流Iが限界値(例えば、3A)を超えたらIが
限界値にホールドされるようになっている。
【0109】このようにリミッタ588を経たクラッチ
供給電流Iの情報は、ピークホルドフィルタ590に取
り込まれるようになっている。このピークホルドフィル
タ590は、電流の急変により制御にハンチングが起こ
らないように、電流の過度な急変を防止する一種のリミ
ッタであり、電流の立上がりに対しては、ある程度高い
限界速度(例えば10.4A/s)を設定し、電流の立
下がりに対しては、やや低い限界速度(例えば5.2A
/s)を設定している。
【0110】そして、電流変化の速度がこのような限界
を超えるようなクラッチ供給電流Iの情報が送られた
ら、この限界速度に応じた制御電流に留められるように
なっている。
【0111】さらに、フィルタ590を通過した制御電
流Iは、スイッチ592aを経て、EMCDコイル42
0に送られるようになっている。なお、スイッチ592
aは、判断手段592からの信号によって、ABS制御
(アンチロックブレーキ制御)が行なわれていれば(O
N状態ならば)OFFとされ、ABS制御が行なわれて
いなければONとされる。つまり、ABS制御が行なわ
れていないことを条件に、制御電流Iの信号が送られる
ようになっている。これは、ABS制御時にはABSを
確実に作用させる必要があり、この時左右輪のトルク配
分状態を制御するのは、ABS制御に干渉したりして好
ましくないためである。
【0112】コイル420では、このようにして送られ
てきた制御電流Iに応じて、磁力を発生して、クラッチ
414の接続状態を調整する。
【0113】この装置は、上述のように構成されている
ので、以下のようにして、差動調整が行なわれる。
【0114】まず、駆動系の全体の動作の流れは、図1
9に示すように、まず、各制御要素をイニシャルセット
して(ステップa1)、舵角中立位置の学習(ステップ
a2)、及びクラッチの予圧学習(ステップa3)を行
ない、続いて、設定されたデューティに応じてクラッチ
28を制御しながら前後輪駆動力配分制御を行ない(ス
テップa4)、さらに、リヤデフの制御を行なう(ステ
ップa5)。
【0115】そして、ステップa7〜a11で、スリッ
プ制御,トレース制御,トルク選択,リタード制御演
算,SCI(Serias Communication Interface)通信制
御といったエンジン出力制御(トラクション制御)を行
なって、トルク配分表示ランプを点灯して(ステップa
12)、ステップa13で故障診断(フェイル・ダイア
グ)を行なう。ステップa14で、所定時間(15mse
c)経過したかどうかを判断して、所定時間(15mse
c)経過したら、ウォッチドッグによる暴走チェックを
行なって(ステップa15)、上述のステップa2へ戻
って、ステップa2〜a13の一連の制御を繰り返す。
【0116】つまり、上述の前後輪駆動力配分制御,リ
ヤデフの制御及びエンジン出力制御が、所定周期(15
msec)で、行なわれるのである。
【0117】このうち、リヤデフの制御(ステップa
5)に関して、図20〜図22のフローチャートを参照
して説明する。
【0118】図20に示すように、まず、車輪速FR,
FL,RR,RL,舵角θ1,θ2,θn,横加速度G
y,前後加速度Gx,スロットル開度θth,エンジン回
転数Ne,トランスミッション回転数Nt,選択シフト
段等の各データを検出して、これらのデータから運転者
要求車速Vref,運転者要求舵角δref等を算出する(ス
テップj1)。
【0119】そして、運転者要求車速Vref,運転者要
求舵角δrefからマップにしたがって左右輪の理想回転
速度差ΔVhrを求め(ステップj2)、このΔVhr
からマップにしたがって回転差ゲインk4を設定する
(ステップj3)。
【0120】さらに、エンジントルクTeとトルコント
ルク比tとトランスミッションの減速比ρmとセンタデ
フトルクTcとから2種類の後輪分担トルクTre1,
Tre2を算出する(ステップj4,j5)。そして、
2種類の後輪分担トルクTre1,Tre2の大きい方
を後輪分担トルクTreとして採用する(ステップj
6)。
【0121】また、後輪分担トルクTreよりマップに
したがって後輪トルクゲインk3を求める(ステップj
7)。そして、左右輪実回転速度差ΔVrdと左右輪理
想回転速度差ΔVhrと後輪トルクゲインk3とから差
動対応クラッチトルクTrnを求める(ステップj
8)。
【0122】この一方、後輪分担トルクTreと回転差
ゲインk4とから、後輪分担トルク比例クラッチトルク
Traを求める(ステップj9)。
【0123】さらに、ステップj10で、これらの各ク
ラッチトルクTrn,Traのうち大きい方を設定クラ
ッチトルクTr´として設定する。
【0124】さらに、ステップj11で、このようにし
て決定したクラッチトルクTr´をエンジン出力状態、
つまりトラクションコントロールしているかどうかによ
ってk5補正して、クラッチトルクTrを得る。
【0125】続いて、このようにして補正されて得られ
たクラッチトルクTrをトルク−電流変換して、クラッ
チ供給電流Iを得て(ステップj12)、クラッチ供給
電流Iが限界値(例えば、3A)を超えているかどうか
を判断して(ステップj13)、Iが限界値を超えてい
たら、Iを限界値にホールドする(ステップj14)。
【0126】このように、リミッタ処理されたクラッチ
供給電流Iは、ピークホルドフィルタ590でフィルタ
処理され(ステップj15)、ABS制御(アンチロッ
クブレーキ制御)が行なわれているかどうかの判断(ス
テップj16)によって、ABS制御が行なわれていれ
ば、クラッチ供給電流Iを0として(ステップj1
7)、R/D制御(リヤデフ制御)つまり、EMCDコ
イル420を通じた差動制限制御を行なう(ステップj
18)。
【0127】上述の差動対応クラッチトルクTrnの算
出は、図21に示すように行なわれる。
【0128】まず、右側車輪速Vrlから左側車輪速V
rrを減算した差ΔVrd(=Vrl−Vrr)を算出
し(ステップk1)、そして、この差(左右輪の実回転
速度差)ΔVrdから、前述のようにして(ステップj
3参照)求めた左右輪の理想回転速度差ΔVhrを減算
して、差ΔVr(=ΔVrd−ΔVhr)を求める(ス
テップk2)。
【0129】そして、ステップk3で、上述の左右輪の
理想回転速度差ΔVhrが、0以上かどうかを判断し
て、ΔVhrが0以上ならステップk4へ、ΔVhrが
0未満ならステップk5へ進む。
【0130】ステップk4に進むと、マップ[図15
(a)参照]を用いてΔVrからクラッチトルクTrn
´を設定する。
【0131】具体的には、ΔVrd≧ΔVhrなら
ば、クラッチトルクTrn´が差ΔVr(=ΔVrd−
ΔVhr)の大きさに比例して高まるように、 Trn´=a×(ΔVrd−ΔVhr)=a×ΔVr と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0132】また、ΔVhr>ΔVrd>0ならば、
クラッチトルクTrn´を0に設定して、所謂不感帯領
域を設定する。
【0133】さらに、0≧ΔVrdならば、クラッチ
トルクTrn´がΔVrdの大きさに比例して高まるよ
うに、Trn´=−a×ΔVrd=−a×(ΔVr+ΔVh
r)と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0134】なお、ΔVhr=0の時にはΔVhr>Δ
Vrd>0の不感帯領域はなくなる。
【0135】ステップk5に進むと、マップ[図15
(b)参照]を用いてΔVrからクラッチトルクTrn
´を設定する。
【0136】具体的には、ΔVrd≧0ならば、クラ
ッチトルクTrn´がΔVrdの大きさに比例して高ま
るように、 Trn´=a×ΔVrd=a×(ΔVr+ΔVhr) と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0137】また、0>ΔVrd>ΔVhrならば、
クラッチトルクTrn´を0に設定して、所謂不感帯領
域を設定する。
【0138】さらに、ΔVhr≧ΔVrdならば、ク
ラッチトルクTrn´がΔVr(ΔVrd−ΔVhr)
の大きさに比例して高まるように、 Trn´=−a×(ΔVrd−ΔVhr)=−a×ΔV
r と設定する(ただし、aは比例定数)。
【0139】このように、ステップk4,k5で、求め
られた差動対応クラッチトルクTrn´は、補正部54
6で横Gゲインk1を積算されることで横加速度対応補
正され(ステップk6)、差動対応クラッチトルクTr
nが得られる。
【0140】このような差動対応クラッチトルクTrn
の設定により、クラッチトルクTrの大きさが適切に設
定され、左右輪の差動が適宜許容されながら、旋回時に
運転者の意志に沿うように車両を挙動させることができ
るようになるのである。
【0141】特に、センサ対応操舵角δhの方向SIG
(δh)と横加速度データGyの方向SIG(Gy)とが
等しくない場合には、運転者要求操舵角を0に設定して
いるので、例えばドライバがカウンタステア等のハンド
ル操作を行なうときなどに、ハンドルの操舵位置と実際
の車両の操舵角(旋回状態)とが異なるようになって
も、不適切なデータが採用させなくなり、制御の性能向
上に寄与する。
【0142】さらに、運転者要求車速Vrefとして、
回転速度データ信号FL,FR,RL,RRのうち下か
ら2番目の大きさの車輪速データを採用しているので、
データの信頼性が確保されている。
【0143】そして、理想回転速度差ΔVhrの設定
が、マップ(図13参照)に示すように、操舵角が大き
いほど大きく、また、低車速時には車速の増大にしたが
って増大するが、高速時には、車速の増大に対して次第
に小さな増大傾向となるように設定されるので、高速時
には後輪がスリップしやすくなり、高速時ほど要求され
る車体の姿勢の応答性が確保される。また、操舵角に関
しては、操舵角が大きいほど前後輪に要求される回転差
も大きくなり、これが適切に許容され、タイトコーナブ
レーキング現象を回避できる利点がある。
【0144】一方、上述の後輪分担トルク比例クラッチ
トルクTraの算出は、図22に示すように行なわれ
る。
【0145】まず、後輪分担トルクTreをこれに比例
するクラッチトルクTra´に変換して(ステップm
1)、回転差ゲインk4によりクラッチトルクTra´
を補正してクラッチトルクTraを得る(ステップm
2)。
【0146】さらに、判断手段574の低車速時(この
例ではVref<20km/h)であるかどうかの判断に
より、低車速時(Vref<20km/h)には上述のス
テップm2で得たクラッチトルクTraを制御信号とす
るが、車速がこれ以上大きいと(Vref≧20km/
h)、後輪分担トルク比例クラッチトルクTraの制御
信号として0を設定する。
【0147】このような後輪分担トルクTreや左右輪
理想回転速度差ΔVhrに比例するような後輪分担トル
ク比例クラッチトルクTraによって、発進時や低速か
らの急加速時などのときに、左右輪の差動を適切に制限
できるようになって、適宜高いトルクを路面に伝達でき
るようになって、発進時や急加速時におけるタイヤのス
リップが防止され、走行安定化や旋回性能の向上などを
同時に達成でき走行性能が向上するとともに、駆動系の
耐久性向上にも寄与する。
【0148】なお、このリヤデフ機構は、例えば後輪駆
動車等の四輪駆動車以外の車両の左右の後輪間に適用す
ることや、四輪駆動車や前輪駆動車等のフロントデフに
適用することもできる。また、リヤデフ機構をセンタデ
フと同様に油圧式にすることも考えられる。
【0149】なお、この差動制限式左右輪駆動力配分制
御装置の差動制限機構は、上述の実施例のものに限定さ
れるものでなく、種々の機構が考えられ、例えば図23
又は図24の模式的な構成図に示すように構成してもよ
い。図23に示す差動制限機構614A,614Bは、
差動機構22′に付設されている。なお、差動機構2
2′は、上述の実施例のごとき遊星歯車式のもののほか
ベベルギヤ式のものでもよい。この差動機構22′に
は、図示しない入力軸から図示しないドライブピニオン
ギヤを介してクラウンギヤ603へ回転トルクが入力さ
れる。
【0150】差動機構22′から出力された回転トルク
を左右の後輪24,26に伝達する車軸25L,25R
には、それぞれ速度変更機構(増速機構又は減速機構)
604,605が付設されており、差動制限機構614
A,614Bは、各車軸25L,25Rと、この速度変
更機構604,605の出力部との間に介設されてい
る。
【0151】車軸25Lに付設された速度変更機構60
4は、車軸25Lに一体回転するように取り付けられた
歯車615と、車軸25L,25Rと平行に配設された
カウンタシャフト610に一体回転するように取り付け
られた歯車616,617と、車軸25R側の差動制限
機構614Bのケースに取り付けられた歯車618とか
ら構成される。
【0152】そして、歯車615と歯車616とが噛合
し、歯車617と歯車618とが噛合しており、車軸2
5Lの回転は歯車615,歯車616,歯車617,歯
車618を経由して車軸25R側の差動制限機構614
Bに伝達されるようになっている。この例では、歯車6
15の歯数は歯車618の歯数よりも多く設定され、歯
車616の歯数は歯車617の歯数よりも少なく設定さ
れているので、歯車618は歯車615よりも高速で回
転する。つまり、この速度変更機構604は、出力回転
が入力回転よりも速くなる、増速機構となっている。
【0153】差動制限機構614Bは、このように増速
された回転力を受けてこれと一体に回転するクラッチ板
614aと、車軸25Rと一体に回転するクラッチ板6
14bとをそなえている。そして、右側の車軸25Rと
左側の車軸25Lとがあまり回転速度差のない状態で回
転しているときには、クラッチ板614aはクラッチ板
614bよりも高速回転しており、これらのクラッチ板
614a,614bを相互に係合すると、高速側のクラ
ッチ板614aから低速側のクラッチ板614bへとト
ルクが伝達される。つまり、差動制限機構614Bを係
合させると、左側の車軸25L側から右側の車軸25R
側へとトルクが移動する。
【0154】車軸25Rに付設された速度変更機構60
5は、速度変更機構604と左右対象に構成されてお
り、車軸25Rの回転は歯車619,歯車620,歯車
621,歯車622を経由して車軸25L側の差動制限
機構614Aに伝達されるようになっている。また、歯
車619の歯数は歯車622の歯数よりも多く設定さ
れ、歯車620の歯数は歯車621の歯数よりも少なく
設定されているので、歯車622は歯車619よりも高
速で回転する。つまり、この速度変更機構605も、出
力回転が入力回転よりも速くなる、増速機構となってい
る。
【0155】そして、右側の車軸25Rと左側の車軸2
5Lとがあまり回転速度差のない状態で回転していると
きには、差動制限機構614Aを係合させると、速度変
更機構605の出力により増速されて回転するクラッチ
板614aから車軸25Lとともに通常回転するクラッ
チ板614bへとトルクが伝達される。つまり、差動制
限機構614Aを係合させると、右側の車軸25R側か
ら左側の車軸25L側へとトルクが移動する。
【0156】つまり、これらの差動制限機構614A,
614Bは、単に差動を規制するに止まらず、差動を規
制しつつ左右輪間のトルク移動によるトルク配分の制御
を積極的に行なえるようになっている。そして、このよ
うな差動制限機構614A,614Bの制御を、上述の
実施例における差動制限機構414の制御とほぼ同様に
行なうようにするのである。
【0157】なお、上述の各歯車615〜622の歯数
を適宜設定して、増速比を適切に設定することや、逆に
減速機構とすることも考えられる。図24に示す差動制
限機構614C,614Dは、差動機構22′のクラウ
ンギヤ603と一方(ここでは右輪側)の車軸25Rと
の間に介設されている。この例でも、差動機構22′の
入力部(クラウンギヤ603)の回転を速度変更する速
度変更機構(増速機構又は減速機構)606が付設され
ており、差動制限機構614C,614Dは、車軸25
Rと、この速度変更機構606の出力部との間に介設さ
れている。
【0158】速度変更機構604は、クラウンギヤ60
3と一体回転するように取り付けられた歯車623と、
車軸25L,25Rと平行に配設されたカウンタシャフ
ト612A,612Bに一体回転するように取り付けら
れた歯車624,625,626と、車軸25R側の差
動制限機構614Cのケースに取り付けられた歯車62
7と、車軸25R側の差動制限機構614Dのケースに
取り付けられた歯車628とから構成される。
【0159】そして、歯車623と歯車624とが噛合
し、歯車625と歯車627とが噛合し、歯車626と
歯車628とが噛合している。したがって、クラウンギ
ヤ603の回転は歯車623,歯車624,歯車62
5,歯車627を経由して車軸25R側の差動制限機構
614Cに伝達される。この一方で、クラウンギヤ60
3の回転は歯車623,歯車624,歯車626,歯車
628を経由して車軸25R側の差動制限機構614D
に伝達される。
【0160】この例では、歯車623の歯数は歯車62
7の歯数よりも多く設定され、歯車624の歯数は歯車
625の歯数よりも少なく設定されているので、歯車6
27は歯車623よりも高速で回転する。つまり、速度
変更機構606のこのルートは、出力回転が入力回転よ
りも速くなる、増速機構となっている。歯車623の歯
数は歯車628の歯数よりも少なく設定され、歯車62
4の歯数は歯車626の歯数よりも多く設定されている
ので、歯車628は歯車623よりも低速で回転する。
つまり、速度変更機構606のこのルートは、出力回転
が入力回転よりも遅くなる、減速機構となっている。
【0161】差動制限機構614Cは、このように増速
された回転力を受けてこれと一体に回転するクラッチ板
614aと、車軸25Rと一体に回転するクラッチ板6
14bとをそなえている。また、差動制限機構614D
は、このように減速された回転力を受けてこれと一体に
回転するクラッチ板614aと、車軸25Rと一体に回
転するクラッチ板614bとをそなえている。
【0162】そして、右側の車軸25Rと左側の車軸2
5Lとがあまり回転速度差のない状態で回転していると
きには、差動制限機構614Cでは、クラッチ板614
aはクラッチ板614bよりも高速回転しており、これ
らのクラッチ板614a,614bを相互に係合する
と、高速側のクラッチ板614aから低速側のクラッチ
板614bへとトルクが伝達される。つまり、差動制限
機構614Cを係合させると、差動機構22′の入力部
であるクラウンギヤ603部分から、右側の車軸25R
側へ直接的にトルクが伝えられて、右輪側の駆動トルク
が増加する。
【0163】また、右側の車軸25Rと左側の車軸25
Lとがあまり回転速度差のない状態で回転しているとき
には、差動制限機構614Dでは、クラッチ板614a
はクラッチ板614bよりも低速回転しており、これら
のクラッチ板614a,614bを相互に係合すると、
高速側のクラッチ板614bから低速側のクラッチ板5
14aへとトルクが伝達される。つまり、差動制限機構
614Dを係合させると、右側の車軸25R側から差動
機構22′の入力部であるクラウンギヤ603部分へと
トルクが返送されて、右輪側の駆動トルクが減少する。
【0164】つまり、これらの差動制限機構614C,
614Dも、単に差動を規制するに止まらず、差動を規
制しつつ左右輪間のトルク移動によるトルク配分の制御
を積極的に行なえるようになっている。そして、このよ
うな差動制限機構614C,614Dの制御を、上述の
実施例における差動制限機構414の制御とほぼ同様に
行なうようにするのである。
【0165】なお、カウンタシャフト612A,612
Bは、車軸25Rの回りに複数配設されて、各カウンタ
シャフト612A,612Bに歯車624,625,6
26が取り付けられるが、歯車623,627,628
及び歯車624,625,626を遊星歯車機構のごと
く構成してもよい。つまり、カウンタシャフト612
A,612Bを車軸25Rの回りに例えば3つ配設し
て、歯車523をサンギヤに相当としてこの周囲の3つ
の歯車624をプラネタリギヤとして遊星歯車機構を構
成し、歯車627をサンギヤに相当としてこの周囲の3
つの歯車625をプラネタリギヤとして遊星歯車機構を
構成し、歯車528をサンギヤに相当としてこの周囲の
3つの歯車626をプラネタリギヤとして遊星歯車機構
を構成することができる。
【0166】また、前述の機構と同様に、上述の各歯車
623〜628の歯数を適宜設定して、増速比を適切に
設定することなどが考えられる。
【0167】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の差動制限
式左右輪駆動力配分制御装置によれば、前輪及び後輪の
うち前後輪駆動力配分手段により上記駆動力がより多く
配分される側では、配分された駆動力は、左右輪駆動力
配分手段により左輪側駆動軸及び右輪側駆動軸に配分さ
れる。このとき、制御手段は、左右輪駆動力配分手段に
入力される駆動力に基づいて左右輪差動制限手段により
作用させる差動制限力を設定してこの設定した差動制限
力に応じて左右輪差動制限手段を制御して、左右輪差動
制限手段を通じて、左輪側駆動軸と右輪側駆動軸との差
動を選択的に制限するが、差動制限力の設定時には、駆
動力として、上記前後輪差動制限力設定手段により設定
された差動制限力を用いて演算した駆動力値と、上記前
輪駆動軸と上記後輪駆動軸とが一体に回転する場合の駆
動力値と、のうちの大きい方を用いるように構成される
ので、前後輪間の左右輪差動制限手段(差動制限クラッ
チ)がスリップしていると想定した場合の入力トルク演
算値が、計算上、負の値になったとしてもこの負の値を
入力トルク値として採用してしまうようなことがなく、
差動制限力制御を適性に行なうことが可能になる。ま
た、車両の旋回時には、目標回転速度差設定手段が、左
輪側駆動軸と右輪側駆動軸との間の回転速度差の目標値
を、操舵角検出手段により検出された操舵角が増大する
のに伴って増大するように設定する。特に、横加速度検
出手段により検出された横加速度から判定される旋回方
向と操舵角検出手段により検出された操舵方向から判定
される旋回方向とが、一致しない場合には、上記操舵角
をゼロとして上記の回転速度差の目標値を設定するよう
に構成されており、車両の旋回時には、制御手段が、
記の駆動力に基づいて設定される差動制限力に代えて、
左輪側駆動軸と右輪側駆動軸との間の回転速度差が上記
の目標回転速度差設定手段により設定された目標値に近
づくように上記回転速度差と上記目標値とに基づいて差
動制限力を設定してこの回転速度差に基づく差動制限力
に応じて左右輪差動制限手段を制御するので、操舵方向
から判定される旋回方向と、車両の横加速度から判定さ
れる旋回方向とか一致しない場合には、旋回方向と逆の
方向にハンドル操作を行ないながら旋回を行なう、いわ
ゆる「逆ハンドル」により旋回していると判断して、操
舵角がゼロであるものとして制御を行なうことによっ
て、逆ハンドル走行時の回転速度差目標値を最小とし
て、差動制限力を高くすることにより、旋回安定方向に
制御を行なうことができる。このようにして、例えば旋
回時や車輪スリップ時にも、左右輪の差動状態を適切に
制御できるようになり、車両の走行性能が向上する。
【0168】
【0169】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置をそなえた駆動トルク伝達系の全体構
成図である。
【図2】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の差動機構としてのリヤディファレン
シャルを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の力方向変換機構の動作を示す図であ
り、(a),(b)はいずれも図3のA−A矢視断面に
相当する図である。
【図5】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の回転数差対応制御部を示す構成図で
ある。
【図6】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の後輪トルクゲイン補正部を示す構成
図である。
【図7】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の入力トルク対応制御部の一部を示す
構成図である。
【図8】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の入力トルク対応制御部の一部を示す
構成図である。
【図9】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪駆
動力配分制御装置の最大値選択部から制御電流出力部に
至る部分の構成図である。
【図10】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の操舵角検出手段の詳細を示す構成
図である。
【図11】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の車速検出手段の詳細を示す構成図
である。
【図12】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の理想回転数差を説明するための車
輪状態を模式的に示す平面図である。
【図13】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられる理想回転数差設定用マ
ップを示す図である。
【図14】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられる回転差ゲイン設定マッ
プを示す図である。
【図15】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられる差動対応クラッチトル
ク設定用マップを示す図である。
【図16】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられるエンジントルクマップ
の例を示す図である。
【図17】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられるトランスミッショント
ルク比マップの例を示す図である。
【図18】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置で用いられるセンタデフ入力トルク
設定マップである。
【図19】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置を含んだ車両全体の制御の流れを示
すフローチャートである。
【図20】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置のリヤディファレンシャルの制御の
流れを示すフローチャートである。
【図21】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の回転数差対応クラッチトルクの設
定の流れを示すフローチャートである。
【図22】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の入力トルク対応クラッチトルクの
設定の流れを示すフローチャートである。
【図23】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の差動制限機構の変形例を示す模式
的な構成図である。
【図24】本発明の一実施例としての差動制限式左右輪
駆動力配分制御装置の差動制限機構の変形例を示す模式
的な構成図である。
【符号の説明】
2 エンジン 4 トルクコンバータ 6 自動変速機 8 出力軸 10 中間ギヤ(トランスファーアイドラギヤ) 12 前後輪駆動力配分手段としてのセンタディファレ
ンシャル(センタデフ) 14 前輪用の差動歯車装置 15 ベベルギヤ機構 15A ベベルギヤ軸 15a ベベルギヤ 16,18 前輪 17L,17R 前輪側車軸 19 減速歯車機構 19a 出力歯車 20 プロペラシャフト 21 ベベルギヤ機構 22,22′ 左右輪駆動力配分手段及び左右輪差動機
構としての後輪用の差動歯車装置〔リヤディファレンシ
ャル(EMCD)〕 23 差動制限装置 24 左側後輪 26 右側後輪 25L 後輪用車軸(左輪側駆動軸) 25R 後輪用車軸(右輪側駆動軸) 27 前輪用出力軸(前輪駆動軸) 27a 中空軸部材 28 差動制限機構(前後輪差動制限手段) 29 後輪用出力軸(後輪駆動軸) 30,30a,30b,30c ハンドル角センサ(操
舵角検出手段) 32 ステアリングホイール 34,34a,34b 横加速度センサ(横加速度検出
手段) 36 前後加速度センサ 38 スロットルセンサ 39 エンジンキースイッチ 40,42,44,46 車輪速センサ 48 コントローラ 48a リヤデフ制御部(制御手段) 50 アンチロックブレーキ装置 50A ブレーキスイッチ 121 サンギヤ 122 プラネタリピニオン(プラネタリギヤ) 123 リングギヤ 125 プラネットキャリア 160 シフトレバー位置センサ(シフトレンジ検出手
段) 160A 自動変速機のシフトレバー 170 エンジン回転数センサ 180 トランスミッション回転数センサ 202a〜202d フィルタ 212 運転者要求操舵角演算部(擬似操舵角演算部) 212a センサ対応操舵角データ設定部 212b 横加速度データ算出部 212c 比較部 212d 運転者要求操舵角設定部(車速データ設定
部) 216 車体速データ検出手段としての運転者要求車体
速演算部(擬似車体速演算部) 216a 車輪速選択部 216c 運転者要求車体速算出部 216d フィルタ 262a,262b,262c フィルタ 264 エンジントルク検出部 266 トルコントルク比検出部 276 トランスミッションの減速比検出部 401 入力軸 402 ドライブピニオンギヤ 403 クラウン歯車 404 動力伝達用環状部材 405 第1のハウジング 406 第2のハウジング 407 リングギヤ 408 サンギヤ 409 キャリヤ 410a,410b 軸 411a,411b プラネタリギヤ 412 軸受 413 ケース 414 差動制限機構(左右輪差動制限手段)としての
多板クラッチ 414a,414b クラッチディスク 415a,145b ホルダ部 416 中空シャフト 417 駆動装置 418 環状支持部材 419 磁石 420 差動制限機構制御手段としてのソレノイド(E
MCDコイル) 421 ボール 423 環状部材 424 溝 425 室 426 第2のハウジング側の部材 427 クラッチ 428 ベアリング 429 力方向変換機構 430 電磁式クラッチ機構(EMCD) 431 ボルト 500 実回転速度差検出手段としての左右輪実回転速
度差検出部 506 左右輪実回転速度差算出部 510 理想回転速度差検出手段としての左右輪理想回
転速度差設定部 518 理想作動状態設定部としての理想回転速度差設
定部 520 差動対応クラッチトルク設定部(差動制限力設
定手段) 522 減算器 546 補正部(k3補正部) 544 後輪トルクゲイン設定部 560 後輪分担トルク演算部 562 センタデフトルク設定部(前後輪差動制限力設
定手段) 570 差動制限力設定手段の一部を構成する比例トル
ク演算部 572 差動制限力設定手段の一部を構成する比例関係
調整手段としてのk4補正部 574 判断部 574a スイッチ 576 回転差ゲイン設定部 580 最大値選択部 584 k5補正部 586 トルク−電流変換部 588 電流制限部(リミッタ) 590 ピークホルドフィルタ 592 判断手段 592a スイッチ 603 クラウンギヤ 604,605,606 速度変更機構(増速機構又は
減速機構) 614A,614B,614C,614D 差動制限機
構 615〜628 歯車 610 カウンタシャフト 614a,614b クラッチ板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品田 健一郎 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−297326(JP,A) 特開 平1−218924(JP,A) 特開 昭63−106140(JP,A) 特開 昭62−163832(JP,A) 実開 平2−98027(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 23/04 B60K 17/20 B60K 17/348 F16H 1/445

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの駆動力を前輪駆動軸及び
    後輪駆動軸へ配分する前後輪駆動力配分手段と、 上記前輪駆動軸と上記後輪駆動軸との差動を選択的に制
    限可能な前後輪差動制限手段と、 上記前後輪差動制限手段により作用させる差動制限力を
    設定する前後輪差動制限力設定手段と、 前輪及び後輪のうち上記前後輪駆動力配分手段により上
    記駆動力がより多く配分される側に設けられ、上記前後
    輪駆動力配分手段により入力された駆動力を左輪側駆動
    軸及び右輪側駆動軸に配分する左右輪駆動力配分手段
    と、 上記左輪側駆動軸と上記右輪側駆動軸との差動を選択的
    に制限する左右輪差動制限手段と、 上記左右輪駆動力配分手段に入力される駆動力に基づい
    て上記左右輪差動制限手段により作用させる差動制限力
    を設定してこの設定した差動制限力に応じて上記左右輪
    差動制限手段を制御すると共に、上記駆動力として、上
    記前後輪差動制限力設定手段により設定された差動制限
    力を用いて演算した駆動力値と、上記前輪駆動軸と上記
    後輪駆動軸とが一体に回転する場合の駆動力値と、のう
    ちの大きい方を用いる制御手段と、 操舵角及び操舵方向を検出する操舵角検出手段と、 車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、 上記車両の旋回時に、上記左輪側駆動軸と上記右輪側駆
    動軸との間の回転速度差の目標値を、上記操舵角検出手
    段により検出された上記操舵角が増大するのに伴って増
    大するように設定する目標回転速度差設定手段とをそな
    え、 上記目標回転速度差設定手段が、上記横加速度検出手段
    により検出された上記横加速度から判定される旋回方向
    と上記操舵角検出手段により検出された上記操舵方向か
    ら判定される旋回方向とが、一致しない場合には、上記
    操舵角をゼロとして上記の回転速度差の目標値を設定
    し、 上記制御手段が、上記車両の旋回時には、上記の駆動力
    に基づいて設定される差動制限力に代えて、上記左輪側
    駆動軸と上記右輪側駆動軸との間の回転速度差が上記目
    標回転速度差設定手段により設定された目標値に近づく
    ように上記回転速度差と上記目標値とに基づいて差動制
    限力を設定してこの回転速度差に基づく差動制限力に応
    じて上記左右輪差動制限手段を制御するように構成され
    ていることを特徴とする、差動制限式左右輪駆動力配分
    制御装置。
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