JP2894182B2 - コークス炉の炉壁補修用断熱構造体 - Google Patents

コークス炉の炉壁補修用断熱構造体

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JP2894182B2 JP27655793A JP27655793A JP2894182B2 JP 2894182 B2 JP2894182 B2 JP 2894182B2 JP 27655793 A JP27655793 A JP 27655793A JP 27655793 A JP27655793 A JP 27655793A JP 2894182 B2 JP2894182 B2 JP 2894182B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コークス炉炭化室の炉
壁を熱間補修する際に、補修作業範囲を放射熱から遮断
するために使用する断熱構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コークス炉は主に耐火煉瓦で構築されて
いる。中でも炭化室炉壁は15〜24時間のサイクルで
石炭の装入、赤熱コークスの排出を繰り返しているた
め、煉瓦の損傷が生じ易い。炉温変化や経時変化による
目地切れ、スポーリングの発生、赤熱コークス排出時の
機械的損傷、石炭中の水分や灰分による劣化、カーボン
侵入による劣化等のため、炉壁を構成する耐火煉瓦は永
年の間に損傷が進み、煉瓦の積替補修を行なう必要が生
じることがある。
【0003】ところが、炭化室炉壁は主に珪石煉瓦が使
用されているため、900〜1300℃の通常操業温度
から急激な温度変化や珪石煉瓦の変態点以下への温度低
下が起きると珪石煉瓦の異常収縮が起こり、目地切れや
煉瓦の亀裂が発生する。このため、炉壁温度を珪石煉瓦
の変態点以上の600〜800℃程度に維持しながら、
炉壁煉瓦の熱間積替補修が実施されている。熱間積替補
修は作業者が炭化室内に入って行なう。作業者は防熱衣
等を着装するがそれでも50℃以上の高熱作業になる。
確実に断熱、防熱対策を施さなければ作業ができない。
【0004】図4は補修箇所近傍の断熱態様の一例を示
す破断平面図である。図4において11は炭化室、13
は燃焼室、8は炉壁、17は補修箇所、120、130
は燃焼装置を示している。燃焼装置の内、120は燃焼
継続中であり、130は燃焼を停止している。煉瓦積み
を補修する領域すなわち補修箇所17の燃焼装置は燃焼
を停止している。補修箇所17近傍の燃焼室13は燃焼
調整を行なって炉壁8の温度を600〜800℃で管理
し、更に断熱板14を補修箇所近傍の炉壁8のほぼ全面
に装着して炉壁8からの放射熱を遮断するとともに、補
修箇所より奥側の炭化室11からの放射熱を遮断する奥
側断熱仕切壁16を取り付けて補修作業環境を確保し、
損傷部分の煉瓦を解体した後、再度煉瓦積みを行なって
補修する。
【0005】実開昭57ー129752号公報には、図
5a、図5bに示すように奥側断熱仕切壁として、中空
の金属板21に給水管22と排水管23を接続するとと
もに、中空金属板21の正面と側面に断熱材30を被覆
してなるコークス炉炭化室炉壁補修用断熱装置が開示さ
れている。又、特開昭57ー98585号公報には、図
6、図7に示すようにコークス炉炭化室11窯口上部の
バックステー41、42間に一対の支枠43、44を横
架し、断熱板14、奥側断熱仕切壁16を吊支した支持
枠部材45を支枠43、44に吊部材46と押部材47
とで片持ち支持させる断熱装置が開示されている。炭化
室炉壁8に平行して挿入される支持枠部材45は断熱材
支持枠51と補助枠52と両枠間に装架する吊支用ステ
ー53と連結ステー54からなる梯子形の部材である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】実開昭57ー1297
52号公報にある断熱装置は、炭化室窯口から挿入する
構造のため、断熱装置を炭化室内部に挿入、セットする
特殊な装置が必要である。又、中空金属板が水冷構造の
ため、セットされた周辺の煉瓦が過冷却される心配があ
る外、水漏れが発生した場合は煉瓦の割れによる炉の損
傷や高温蒸気による作業者への危険を孕んでいる。
【0007】特開昭57ー98585号公報にある断熱
装置では、窯口からの挿入装置が片持ち支持構造である
ため、炭化室内の中央部に近い奥の方まで水平に挿入し
てセットすることは難しい。
【0008】本発明はこのような課題を解決するために
なされたもので、コークス炉炭化室炉壁の熱間積替補修
に際して、手早く、簡単に、確実に補修箇所より奥側か
らの放射熱を遮断する断熱構造体を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる断熱構造
体とは、以上のような課題を解決するものであり、次の
ように構成される。中心部に配した空気冷却可能な心棒
と、該心棒に巻き付けられた熱を加えると膨張する断熱
膨張材と、該断熱膨張材に巻き付けられた弾力性を有す
る断熱材と、該断熱材を締め付けて巻かれた高温で消失
するバンドと、該断熱材およびバンドの外側に巻かれた
高温で消失する外套と、を有する円筒形となす。
【0010】
【作用】本断熱構造体をコークス炉炭化室装入孔から熱
間高温状態の炭化室内に挿入すると、先ず最外部の外套
が燃焼、焼失し、続いて断熱材を締め付けていたバンド
が焼失する。次に、バンドに圧縮されていた断熱材が膨
張して炭化室の炉壁と本断熱構造体との間の隙間がほぼ
無くなる。更に、時間の経過とともに心棒に巻き付けた
断熱膨張材が高温になって膨張し、その外側に配した断
熱材を圧迫して強固に炭化室炉壁に押し付けて圧着す
る。このようにして、炭化室炉壁の補修箇所より奥側か
らの放射熱を遮断する。
【0011】
【実施例】以下、実施例を図面に基づいて説明する。図
1は断熱構造体の概略斜視図である。鉄パイプからなる
心棒1の周壁に断熱膨張材2を巻き付ける。断熱膨張材
2は、断熱ブランケットにアクリル酸エチルを含浸さ
せ、50℃で乾燥したものを使用する。これの線膨張度
は500℃で20%程度、1000℃で30%程度であ
る。或いは、断熱膨張材2はセラミック質のファイバー
を成形したもの等、他の材質であっても使用可能であ
る。
【0012】断熱膨張材2の上には断熱ファイバーのよ
うな弾力性のある断熱材3を巻き付け、ビニール製バン
ド4で断熱材3を圧縮して締め付けてある。バンド4は
数100℃で溶損、焼失するものなら何でもよい。この
上から、巻き付けた断熱材の保護とともに炭化室装入孔
からの挿入を容易にするために外套5を巻き、直径35
0mm程度の円筒形の断熱構造体となす。外套5は炭化
室内に挿入した後で焼失するように段ボールを使用す
る。
【0013】心棒1は断熱材で被覆された形になってい
るが、送気管7から冷却用空気を供給して心棒1の熱変
形を防止している。又、安定板6は心棒の先端にあっ
て、断熱構造体が炭化室内で安定してセットでき、立脚
できることを目的として使われる。鉄板、鉄パイプで製
作し、心棒1が熱変形した時に心棒1を炭化室内の断熱
構造体から抜き取れるように心棒とは差込式で結合して
いる。従って、煉瓦積み終了後も心棒1を抜き取ること
により、断熱材3が除去し易くなる。
【0014】図2a、図2b、図2cは断熱構造体を装
入孔から炭化室に挿入して、セットした後の状態変化を
示す図である。図2aは挿入してセットした直後の状態
を示す図である。炉壁8と断熱構造体との間に隙間があ
る。図2bは段ボールの外套5とビニールバンド4が消
失した状態を示す図である。圧縮して締め付けられてい
る断熱材3が膨張して炉壁面との間の隙間がほぼ無くな
っている。図2cは断熱膨張材2が高温になって膨張
し、断熱材3を炉壁8に押し付けて炉壁面との間の隙間
が完全に無くなり、炭化室奥側からの放射熱を遮断した
状態を示す図である。
【0015】図3は断熱構造体9を炭化室11に挿入し
てセットした状態を示す概略斜視図である。補修個所1
7(燃焼装置が4個分の炉壁煉瓦を解体除去した後の状
態)の損傷部分の炉壁煉瓦を解体し、新しく炉壁煉瓦積
みを行うに際して、当該燃焼室13のポ−ト18に立ち
上がる燃料ガスと燃焼用空気は停止されている。隣接す
る燃焼室13の燃焼は炉壁8の温度が600〜800℃
になるように調節されている。隣接する炉壁8に沿って
断熱板14が着装されて隣接する炉壁8からの放射熱を
遮断している。補修個所17より奥側からの放射熱を遮
断するために、炉頂15にある装入孔10から断熱構造
体9をクレ−ン車を使用してトング付きワイヤにより炭
化室11に吊り降ろし、挿入する。断熱構造体9は炉底
煉瓦12の上に立脚している。補修終了後、先ず、吊り
ワイヤ−のトングで心棒1の上部を把持させ、クレ−ン
車により心棒1を装入孔10から炉外に取出す。その
後、炭化室内に残った断熱膨張材2、断熱材3および安
定板6は、人が掻き出し棒で窯口から炉外に取出す。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コークス
炉炭化室煉瓦の熱間積替補修を行なう上で、補修箇所よ
り奥側からの放射熱を簡単に、確実に遮断できるように
なる。断熱構造体を前以って作っておけば、断熱作業は
手早く、簡単にできるので補修時間の短縮、作業者の高
熱作業負荷の軽減につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施例をコークス炉に挿入した時の熱
履歴による状態変化を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例をコークス炉に挿入してセット
した状態を示す概略斜視図である。
【図4】補修箇所近傍の断熱態様を示す破断平面図であ
る。
【図5】第1の従来技術例を示す背面斜視図である。
【図6】第2の従来技術例を示す縦断正面図である。
【図7】図6の一部破断平面図である。
【符号の説明】
1 心棒 2 断熱膨張材 3 断熱材 4 バンド 5 外套 6 安定板 7 送気管 8 炉壁 9 断熱構造体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10B 29/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コークス炉炭化室炉壁の熱間補修時に、
    炭化室の補修作業範囲に流入する放射熱を遮断する断熱
    装置において、中心部に配した空気冷却可能な心棒と、
    該心棒に巻き付けられた熱を加えると膨張する断熱膨張
    材と、該断熱膨張材に巻き付けられた弾力性を有する断
    熱材と、該断熱材を締め付けて巻かれた高温で焼失する
    バンドと、該断熱材およびバンドの外側に巻かれた高温
    で消失する外套と、を有してなる円筒形断熱構造体。
  2. 【請求項2】 心棒の下部に、心棒と着脱自在に結合さ
    れた安定板を有する特許請求の範囲第1項に記載の断熱
    構造体。
JP27655793A 1993-11-05 1993-11-05 コークス炉の炉壁補修用断熱構造体 Expired - Fee Related JP2894182B2 (ja)

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