JPS6226442Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は工業窯炉特に溶鉱炉に送風するための
空気を加熱する熱風炉の中、特に低カロリーのガ
スを燃焼せしめるために蓄熱室と別個に燃焼室を
設けた非鉄金属熔鉱炉用外燃式熱風炉の燃焼室の
構造に関し、その耐用命数を延ばすことを目的と
するものである。亜鉛製錬法の一つに溶鉱炉にあ
らかじめ焼結した鉛、亜鉛混合鉱石をコークスな
どの炭素質還元剤と共に投入し1000℃以上の高温
下で還元反応を行わしめ、亜鉛を金属状態で揮発
させて凝縮、回収し、鉛及び脈石類は粗鉛および
〓として炉底より産出せしめる所謂ISP式製錬法
と称する鉛、亜鉛同時製錬法がある。

この溶鉱炉には羽口から高温の熱風を送り込む
ため内部にチエツカー煉瓦を積み上げた熱風炉が
付設され、ISP式溶鉱炉の排ガスを燃焼させて熱
源としているが、この排ガスは一般に発熱量が低
いため、通常の製鉄の高炉に付帯するような燃焼
室と蓄熱室とが仕切壁により隣接されたカウバー
式熱風炉では安定した燃焼状態を得ることが困難
なので、蓄熱式とは別に外部にドーム状天井のあ
る燃焼室、即ち外燃式熱風炉の燃焼室を設けて連
続的にガスを燃焼せしめ燃焼ガスを複数個の蓄熱
室に弁切換にて導入して蓄熱室を加熱することに
より熱風を得る方法がとられている。

この方式はISP式製錬炉に限らず低発熱量のガ
スを燃焼させる場合に適用されている。

以下に本考案を熱風炉における実施の一例にも
とづいて説明する。

上述の燃焼室はドーム状の天井を有する、例え
ば内径３ｍ、高さ12ｍ程度の垂直な円筒状の炉で
あつて、一般にシヤモツト質煉瓦で構築された内
張りの内部に、水平断面が円形または扇型で高さ
が10ｍ程度の垂直な中仕切壁が粘土質煉瓦で構築
されることによつて、ガス燃焼室ならびにチエツ
カー煉瓦積層を設けない燃焼ガス下降室が設けら
れており、ガス燃焼室下方にバーナーが上向きに
固設されている。

該炉は新設の場合、一度バーナーが点火される
と、燃焼室は常時約1150℃に保持され、操作弁に
よつて、第１図に示すごとく両側（右側は省略）
に立設された熱風炉本体に長期間、交互に高温の
燃焼ガスを送り込む。しかしながら、中仕切壁の
粘土質煉瓦は加熱によつて円周方向に膨脹すると
同時に、両側から高温に加熱されかつ上方から荷
重を受けているためクリープ変形をおこす。また
その粘土質煉瓦はすべてダボによつて、しつかり
と嵌め込まれているが、次第に目地切れを起すた
め上記の現象が一層助長され、ついには稼動開始
後４〜５年で、第１図仮想線で示すごとく、中仕
切壁が燃焼ガス下降室側に張出してくる。

この張出しは、定期点検あるいは、その他の事
情によつて火止めされたのち、再び昇温する場合
に一層大きくなるので、ついには縦方向に大きな
亀裂が入つて、ガス燃焼室と燃焼ガス下降室とが
短絡してしまい、未燃性ガスが多く発生し、十分
な熱量の燃焼ガスが得られなくなつて操業に支障
が生ずることがある。

したがつて、燃焼室の耐用命数は、新設の場
合、一般に４〜５年程度であつて、従来外側に張
出した中仕切壁のほぼ上半分を部分的に解体修理
していたが、炉修後再稼動しても、せいぜい１〜
２年程度で同様のトラブルが発生しており、炉修
に直接必要な経費のほか操業休止による生産量の
減少など間接的な経費も膨大なものとなつてい
た。しかし、従来、中仕切壁の張出しを防止する
手段としては、上記のごとき部分修理を行う以外
に、特に有効な対策がなく、これを解決すること
が当業者の急務であつた。

本考案は上記のごとき現状に対して完成された
ものであつて、燃焼室炉壁（内張）と中仕切壁と
の間、つまり燃焼ガス下降室側に支持体を設けた
ことを特徴とするものである。

以下に本考案の一実施例を示す図面にもとづい
て本考案を詳細に説明する。

本考案の構造は第１図および第２図に示すごと
く一般に粘土質煉瓦の内張り１あるいは裏張りと
粘土質煉瓦で構築された中仕切壁２との間の燃焼
ガス下降室側に、ハイアルミナ質煉瓦で構成され
たアーチ状の支持体３あるいは、空冷された二重
金属管にキヤスタブルなどで耐火被覆を施した、
直円柱状の支持体３などが適当な間隔をおいて任
意の高さに、中仕切壁２の張出しを防止するよう
に、ほぼ水平に設けられているものである。その
アーチ状の支持体３としては、一般のリングアー
チ、ボンデツトアーチ、ジヤツクアーチなどの中
から一種あるいは２種以上を選んで任意に適用で
きるが、その縦断面形状は、燃焼ガス下降室４を
通過する燃焼ガス（矢印）の障害とならず、か
つ、上面にダストなどが付着しにくいような、巾
の細い６角形あるいは楕円形がよい。

なお、材質は、低熱膨脹性でかつ熱間強度、と
くに耐クリープ性の高い、ハイアルミナ質煉瓦が
最適である。また、支持体３を設ける手段として
は、新設の場合は周知のごとく、内張り１および
中仕切壁２を所定の高さまで構築したのち、第１
図のごとく、迫受煉瓦５を同一レベルに積み、施
工枠を用いて適当な曲率のアーチを構築すればよ
い。

また既設の熱風炉（中仕切壁２が若干張出して
いる炉も含む）に実施する場合は、燃焼ガス下降
室４内に適当な足場を組んで、所定の高さの内張
１と中仕切壁２を部分的に解体し、迫受レンガ５
を埋め込んで、同様にアーチを構築するとよい。

なお、支持体３の数は、中仕切壁２の高さある
いは直径などによつて決定されるが一般には同一
鉛直面内に３〜４ｍの間隔で２〜３基設けるのが
最も効果的である。

また、水平方向には、単に一方向のみでなく出
来るだけドーム天井から下降してくる燃焼ガスの
障害とならないようにするためには、より巾が細
い支持体３の一変形として第２図の仮想線で示す
アーチ状の支持体３′のごとく、八の字型に設け
るとよい。

本考案の構造を実施した燃焼室６では、ガス燃
焼室７の温度を約1150℃に保持して長期間稼動せ
しめたが、中仕切壁２の粘土質煉瓦がクリープ変
形などによつて、第２図仮想線で示すごとく、楕
円状に張出そうとしても、反対方向から、アーチ
状の支持体３，３′によつて押圧されているの
で、いつまでももとの円形を保持でき、いづれの
高さにおいても張出しは全く発生していない。

以上詳記したごとく、本考案は構造が簡単であ
るので、周知の技術によつて、新設炉はもちろ
ん、既設の熱風炉の燃焼室にも容易に実施でき、
中仕切壁の張出しを完全に防止出来るので、耐用
命数を従来の２倍以上に延ばせるとともに、操業
を安定させ補修費などを大巾に削減できる点、当
業界における利点は極めて大きいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の構造を実施した外燃式熱風炉
の燃焼室縦断面略図、第２図は第１図のＡ−Ａ部
における水平断面略図である。ただし、説明の都
合上、従来の構造の燃焼室に発生していた中仕切
壁の張出しを仮想線で示した。 図中、１……内張、２……中仕切壁、３，３′
……支持体、６……燃焼室、７……ガス燃焼室、
８……熱風炉蓄熱室である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中仕切壁２で仕切られたガス燃焼室７とチエツ
   カー煉瓦積層を設けない燃焼ガス下降室４とをド
   ームを介して連絡してなる外燃式熱風炉の燃焼室
   ６において、断面が６角形あるいは楕円形の耐火
   物製支持体３，３′を、ガス燃焼室７外壁面と燃
   焼ガス下降室４内壁面間に、ほヾ水平に近いアー
   チ状に複数本装架してなる非鉄金属熔鉱炉用外燃
   式熱風炉の燃焼室。