JP2893772B2 - 免疫測定法 - Google Patents

免疫測定法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、不溶性担体粒子を用いる発光偏光免疫測定
法に関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする問題点] 従来、抗原抗体反応を利用した免疫測定法が、種々の
疾病の早期検出法や、極微量の物質の検出法として知ら
れている。高感度な免疫測定法には種々の方法があり、
抗体または抗原に標識物質として放射性同位体(RI)、
酵素、蛍光物質及び発光物質などを結合して用いるラジ
オイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EI
A)、蛍光イムノアッセイ(FIA)及び発光イムノアッセ
イ(LIA)などに分類される。また、ラテックス等の不
溶性担体粒子に担持された抗体または抗原と、それに対
応する抗原または抗体とを反応させその反応に伴う反応
混合物の透過光の変化から抗原抗体反応の速度を測定す
る方法(LPIA)が知られている。
しかし、かかる従来技術においては種々の問題を持
つ。たとえばRIAはRIの取り扱い及び廃棄に対する制約
がある。EIA、FIAなどは取り扱いの安全性については有
利であるが、検出感度はRIAに若干劣る。また、これら
の手法は反応物と未反応物とを分離、洗浄する工程を必
要とする方法が多く、より簡便な均一系で測定できる方
法が望まれている。
LPIAは均一反応であり、簡便性、操作性、精度などで
はすぐれているが、更に検出感度の改良が望まれてい
る。
均一反応を用いた測定法としては、他に蛍光偏光イム
ノアッセイ(FPIA)が知られている。この方法は、蛍光
標識抗原の分子のブラウン運動が、該抗原に抗体が結合
した場合としない場合とでは、差を生じ、それによって
蛍光偏光度も異なることを利用して抗原抗体反応を測定
するものである。
溶液中での分子の回転運動の度合いは、分子の大き
さ、構造、溶媒、温度などに関する。ブラウン運動によ
り溶液中で自由に回転し、偏光の解消が生ずる場合の偏
光度PはPerrinの式により (1/P−1/3)=(1/Po−1/3)(1+3τ/Q) … で表わされる。
(ここで、Pは発光偏光度の測定値、Poは無限大粘性の
ときの発光偏光度の限界値、τは発光寿命、Qは分子の
回転緩和時間を表わす。) 分子の回転緩和時間は、cosθ=1/eとなる角度θ(6
8.5°)を分子が回転するのに要する時間であり(「フ
ルオロイムノアッセイ」講談社)、次式で表わされる。
Q=3Vη/kT … (ここで、Vは分子体積、ηは溶媒の粘度、kはボルツ
マン定数、Tは温度を表わす。) 式から、回転緩和時間は分子の大きさに比例するこ
とが、また、式から偏光度Pを正確に測定するのに
は、τ≒Qのときが最適であることがわかる。
従来のFPIAでは、抗体(Q≒100nsec)が結合したこ
とによる標識抗原のQの変化から標識蛍光色素の偏光度
Pを測定するため、低分子にしか応用できず、それ故、
タンパク質等の高分子には適用できないという問題があ
る。よって、実用化されているものは薬物など低分子抗
原に限られているのが現状である。
また、エオシンのリン光を用いて高分子物質の回転運
動を研究している例はあるが、タンパク質を直線標識し
て標識タンパクの回転運動を解析しているだけであり、
抗原抗体反応や、他の物質との結合による回転運動の変
化などに応用されてはいない。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討した
結果、ラテックス凝集法の簡便性と精確さ、FPIAの感度
と均一反応系という利点を活かしつつ、高分子低分子共
に適応できる新しい発光偏光免疫測定法を開発した。
即ち本発明の要旨は、試料液中の抗原又は抗体の濃度
を測定する方法であって、 (a)(i)遅延蛍光またはリン光を発する色素及び (ii)抗原または抗体を、粒径0.01−1μmの不溶性担
体粒子に担持して色素標識粒子を作成する工程 (b)該色素標識粒子と、それに対応する抗体または抗
原を含む試料液とを反応させ、抗原抗体反応に伴う粒子
の凝集反応をおこさせる工程 (c)該反応液に偏光された励起光を照射し、発光偏光
度を求める工程 から成ることを特徴とする免疫測定法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する標識色素は、寿命の長い発光を示
す、所謂遅延蛍光またはリン光を発する色素である。通
常、10μsec−10msec、好ましくは、100μsec−10msec
の範囲の蛍光またはリン光寿命の色素が使用される。
遅延蛍光を発する色素としては、ピレン、アントラセ
ン及びフェナントレン等の芳香族化合物、エオシン
(2′,4′,5′,7′−テトラブロモフルオレセイン)、
プロフラビン(2,8−ジアミノアクリジン)、クロロフ
ィルcのような天然色素、または、亜鉛、マグネシウム
及びスズのプロトポルフィン−IX−ジメチルエステル錯
体等の金属ポルフィリン化合物やフェオフィチンc(ク
ロロフィルcから中心金属のマグネシウムを除き、水素
元素で置換したもの)の亜鉛錯体化合物のような金属キ
レート化合物などが知られている。特に、ユーロピウム
(Eu)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)などの希
土類元素のキレート化合物は有用である。蛍光寿命は、
同じ金属元素を用いても配位するキレート剤により異な
るものの、Euは数100μsec−1msec、Tbは数100μsec−
数msec、Smは数10μsec程度である。
リン光を発する色素としては、既に多くのものが知ら
れているが、特に室温リン光を発するものが望ましく、
例えば、フェタレン、ビフェニル等の種々の芳香族炭化
水素が、界面活性剤によりミセルを形成したものや、エ
オシン、エリスロシン(2′,4′,5′,7′−テトラヨー
ドフルオレセイン)等の水溶液が挙げられる。
色素標識をおこなう不溶性担体粒子としては、反応さ
せる時に用いる液体媒体に実質的に不溶性で、0.01−1
μm、好ましくは0.05−0.5μm、特に好ましくは0.05
−0.25μmの平均粒径を有するものが用いられるが、好
ましい粒径の範囲は、標識色素の蛍光またはリン光の寿
命との関係から決定される。例えば、500−600μsecの
蛍光またはリン光寿命の色素を使用する場合、不溶性担
体粒子の粒径は、用いる反応液の粘度、温度にも影響さ
れるが、通常0.08−0.15μmの範囲から選ぶのが好まし
い。
担体粒子の材質は、ポリスチレン及びスチレン−ブタ
ジエン共重合体のような乳化重合により得られる有機高
分子のラテックス、シリカ及びシリカ−アルミナのよう
な無機酸化物、リポソームのような脂質重合物、赤血球
のような生体成分、ゼラチン、または金コロイドのよう
な金属コロイド粒子等が用いられる。
本発明の不溶性担体粒子は、上記標識色素と抗原また
は抗体を担持している。不溶性担体粒子への標識色素の
担持方法には、化学的に結合させる方法、粒子を重合し
て作成する際に色素を加えて粒子内部に閉じ込める方
法、または、あらかじめタンパク質やペプチドなどと色
素を結合させておいてからそのタンパク質、ペプチドを
粒子に担持する方法がある。たとえば特開昭54−101439
号公報によると、希土類キレートをTOPO(トリ−n−オ
クチルホスフィンオキシド)との協同抽出法を利用して
有機高分子のラテックスの内部に閉じ込める方法が述べ
られている。これに従って作成した標識粒子は標識強
度、安定性共に良好であった。
また、不溶性担体粒子に、測定しようとする被検体中
の抗原または抗体と反応し得る抗体または抗原あるいは
被検体中の抗原または抗体と同じ抗原または抗体を担持
させる(感作する)方法は、既に多くの方法が提案され
ている。例えば、担体に対し抗体または抗原を物理的に
吸着させる方法、カップリング剤により化学的に変性さ
せた後に化学結合させる方法、また、スペーサー分子を
はさんで結合させる方法などがよく知られている。抗体
を感作した上に抗原を結合させて抗原感作粒子とするこ
ともできる。また、重合による粒子作成時に抗原を混入
して粒子内に取り込む方法、タンパク質に化学結合法を
用いて結合させた後でそのタンパク質を物理的または化
学的に感作する方法などもある。
抗体はタンパク質で構成されており、通常IgGが用い
られるが、ペプシン、パパインなどの消化酵素あるいは
ジチオスレイトール、メルカプトエタノールなどの還元
剤を用いて、F(ab′)2、Fab、Fab′などに切ったも
のを用いても良い。また、IgGだけでなくIgMあるいはこ
れをIgGと同様の処理により切ったフラグメントを用い
ても良い。また、ポリクローナル抗体、モノクローナル
抗体のいずれも適用できる。
モノクローナル抗体の適用については、B型肝炎ウイ
ルス表面抗原のように、繰り返し構造を持つタンパク質
に対してはモノクローナル抗体は1種以上で使用でき
る。また、繰り返し構造がなくても認識エピトープの異
なる2種以上のモノクローナル抗体を組み合わせて使用
すれば適用できる。
一方、抗原にはたとえばタンパク質、ポリペプチド、
ステロイド、多糖類、脂質、花粉、遺伝子工学的に産生
された組み換えタンパク、薬物等種々のものが適用でき
る。
不溶性担体粒子に、標識色素と抗原または抗体を担持
する順序には特に制限はないが、標識色素を担持した
後、抗原または抗体を担持するのが好ましい。
抗原抗体反応に伴う粒子の凝集反応をおこさせる工程
は、例えば、(1)抗体感作粒子と被検体中の抗原との
反応、(2)抗原感作粒子と被検体中の抗体との反応、
(3)抗体感作粒子と一定量の抗原との反応を被検体中
の抗体で阻害する反応、(4)抗原感作粒子と一定量の
抗体との反応を被検体中の抗原で阻害する反応、(5)
抗体感作粒子と一定量の抗原との反応を被検体中の抗原
で阻害する反応などがある。特に、薬物等のハプテンの
測定には通常、上記(4)、(5)の阻害反応が用いら
れる。
発光偏光度Pは、偏光子を通して励起光を平面偏光と
して試料溶液に照射し、放射された発光を再び偏光子を
通して測定する時、励起光の振動方向に対して、平行な
偏光成分をI‖、垂直な偏光成分をI⊥とすると P=(I‖−I⊥)/(I‖+I⊥) で表される。
偏光度Pは、I‖、I⊥の偏光子を一定時間毎(例え
ば10秒毎)に切り替えてそれぞれの発光強度を測定し、
上記式に従って算出することができる。
[実施例] 以下実施例をもとにしてより詳細な説明を行うが、本
発明はその要旨を越えない限り以下に限定されるもので
はない。
実施例1 平均粒径0.085μmのポリスチレンラテックスに、Eu
−TTA(テノイルトリフルオロアセトン)化合物(Eastm
an Kodak社)とのTOPO(前述;同仁化学社)との複合体
を染色し、Eu−キレート標識ラテックスを作製した。
このラテックスにウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を物理
吸着法により感作した後、BSAで処理することによりラ
テックス粒子を安定化させた。
抗原としてヒトIgM(Protogen社)をトリス緩衝液で
希釈して、0、12.5、25、50μg/mlの濃度の標準品を作
製した。
抗原溶液60μl、トリス緩衝液460μlに上記ラテッ
クス懸濁液80μlを加えて混合した後、15分間常温で抗
原抗体反応を行わせた。
蛍光分光光度系F−4010(日立社)に偏光測定ユニッ
トを組み込んだ後、励起光354nm、蛍光616nmにおける蛍
光偏光度を測定した。蛍光偏光度Pは、I‖、I⊥(前
述)の偏光子を10秒毎に切り替えてそれぞれの蛍光強度
を測定することにより算出した。
15分間測定することにより、偏光度Pの時間変化を調
べた。結果を第1図に示した。時間と共に進行する凝集
反応を偏光度の変化の形で検出できることがわかる。従
って、本免疫測定法では、反応の変化率でみるレート
(rete)法、反応の終点でみるエンドポイント(end−p
oint)法のどちらでも適用できる。
実施例2 抗体感作粒子による抗原検出法のモデル実験を行っ
た。
実施例1と同様にして作製しEu−キレート標識ラテッ
クス粒子に、ウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を感作した
後、BSAで処理して安定化させた。
抗原としてヒトIgM(Protogen社)をトリス緩衝液で
希釈して0、6.25、12.5、25、50μg/mlの標準液を作成
した。
抗原溶液60μl、BSA含有トリス緩衝液460μlに上記
ラテックス懸濁液80μlを加えて混合した後、10分間常
温で免疫反応を行わせた。
実施例1で用いた蛍光偏光度測定装置に上記反応溶液
をセットし、偏光子を10秒毎に切り替えて、1分間測定
することにより偏光度を求めた。
結果を第2図に示した。抗原濃度が高くなるにつれて
蛍光偏光度は大きくなることがわかる。
実施例3 抗体感作粒子と抗原との反応を試料中の抗体で阻害す
る測定法のモデル実験を行った。
実施例1と同様にして作製しEu−キレート標識ラテッ
クス粒子にウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を感作した後、
BSAで処理して安定化させた。
抗原としてヒトIgM(Protogen社)を4.1μg/mlになる
ようにBSA含有トリス緩衝液に添加した。
ウサギ抗ヒトIgMを0、31.3、62.5、125、250、500μ
g/mlになるようにトリス緩衝液で希釈し、抗体含有試料
とした。
抗体含有試料60μl、ヒトIgM含有BSA−トリス緩衝液
460μl、ラテックス懸濁液80μlを加えて混合した
後、10分間常温で免疫反応を行わせた。
実施例1で用いた蛍光偏光度測定装置に上記反応溶液
をセットし、実施例2と同様に、偏光子を10秒毎に切り
替えて、1分間測定することにより偏光度を求めた。
結果を第3図に示した。試料中の抗体濃度が高くなる
につれて、阻害反応によりラテックス粒子の凝集が阻害
され蛍光偏光度は小さくなることがわかる。
実施例4 抗原感作粒子による抗体検出法のモデル実験を行っ
た。
実施例1で作製したEu−キレート標識ラテックスに、
ウサギF(ab′)2を感作した後、BSAで処理することに
より、ラテックス粒子を安定化させ抗原感作粒子とし
た。
抗体としてヤギ抗ウサギIgG(bio−yeda社)をトリス
緩衝液で希釈して0、18.8、188、1880μg/mlの濃度の
標準品を作製した。
抗体溶液60μl、BSA含有トリス緩衝液460μl、ラテ
ックス懸濁液80μlを加えて混合した後、10分間常温で
免疫反応を行わせた。
実施例2と同様に蛍光偏光度を測定した。結果を第4
図に示した。試料中の抗体濃度が高くなるに従って、偏
光度が大きくなることがわかる。
実施例5 ウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を50mM炭酸緩衝液(pH8.
5)に溶解し、NHS−LC−Biotin(N−ヒドロキシスクシ
ンイミドビオチン)(PIERCE社)を氷冷下2時間インキ
ュベートすることによりビオチン標識した。
平均粒径0.085μmのポリスチレンラテックスに上記
のビオチン標識したウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を物理
吸着法により感作した後、BSAで処理することにより安
定化させた。
このビオチンに、アビジン−BCPDA[4,7−ビス−(ク
ロロスルホフェニル)−1,10−フェナンスロリン−2,9
−ジカルボン酸](Cyber Fluor社)を結合させ、キレ
ート剤であるBCPDAに希土類元素のEuを結合させること
により、Euキレート標識抗体感作ラテックスを作製し
た。
実施例1と同様に蛍光分光光度計F−4010(日立社)
を用いて、励起光354nmにおける蛍光スペクトルを測定
した。結果を第5図に示した。616nmにEuキレートの蛍
光のピークが認められた。
これより、抗体を標識することによっても、所定の標
識粒子は作製できることがわかる。
実施例6 平均粒径0.02μmの金コロイド粒子にビオチン標識BS
Aを担持した粒子(EY LABS社)に実施例5で使用したBC
PDA標識アビジン(Cyber−Fluor社)を結合させた。
キレート剤であるBCPDAに希土類元素のEuを結合させ
ることにより、Euキレート標識抗体感作ラテックスを作
製した。
実施例1と同様に蛍光分光光度計F−4010(日立社)
を用いて、励起光354nmにおける蛍光スペクトルを測定
した。結果を第6図に示した。616nmにEuキレートの蛍
光のピークが認められた。
これより、標識したタンパク質を感作することによ
り、金コロイド等の直接染色できない粒子でも標識でき
ることがわかる。
実施例7 実施例1で作製したEu−キレート標識ラテックス粒子
にウサギ抗ヒトIgM F(ab′)2を感作した後、BSAで処
理して安定化させた。
抗原としてヒトIgM(Protogen社)をトリス緩衝液で
希釈して0、12.5、25、50μg/mlの標準液を作製した。
抗原溶液60μl、BSA含有トリス緩衝液460μlに上記
ラテックス懸濁液80μlを加えて混合した後、10分間常
温で免疫反応を行わせた。
実施例2と同様に測定した後、トリス緩衝液で3倍希
釈して、自作の装置でも同様に測定した。キセノンラン
プを光源にし、モノクロメーターにより356nmの励起光
を用い、Eu−キレートの蛍光を干渉フィルターによりR9
43−02型(浜松ホトニクス社)光電子増倍管を用いてフ
ォトンカウンティング測定装置(ORTEC社)で測定し
た。偏光子は、5秒毎に切り替え、1分間測定を各サン
プル毎に3回繰り返し、蛍光強度の平均値から蛍光偏光
度を求めた。
蛍光分光光度計F−4010(日立社)による測定結果
と、上記自作装置による測定結果を第7図に示した。こ
れにより、いずれの装置でも同様に測定できることがわ
かる。
実施例8 実施例5で作製したアビジン−BCPDA−Euを用いて標
識したラテックス粒子を用いて抗原抗体反応を行わせ
た。
抗原として、ヒトIgM(Protogen社)をトリス緩衝液
で希釈して、0、12.5、25、50μg/mlの濃度の標準品を
作製した。
抗原溶液60μl、BSA含有トリス緩衝液460μlに上記
ラテックス懸濁液80μlを加えて混合した後、10分間常
温で免疫反応を行わせた。反応後の溶液を蒸留水で3倍
希釈した後、実施例7で使用した自作の装置を用いて、
蛍光偏光度の測定を行った。
励起光356nmによるEu−キレートの蛍光を実施例7と
同様に測定した。偏光子を60秒毎に切り替え、10分間測
定を行い、蛍光強度の平均値から蛍光偏光度を求めた。
結果を第8図に示す。これより、Eu−キレート標識抗体
を担体粒子に感作することによっても、蛍光偏光免疫測
定が行えることがわかる。
実施例9 実施例1で作製したEu−キレート標識ラテックス粒子
にウサギ抗テオフィリンF(ab′)2を感作した後、BSA
で処理して安定化させた。
抗原として、テオフィリン(Sigma社)をBSA含有トリ
ス緩衝液で希釈して、0、0.30、0.91、2.74、8.23、2
4.7、74.1、222、667、2000μg/mlの濃度の標準品を作
製した。
テオフィリン−BSA結合物を0.78μg/mlの濃度でBSA含
有トリス緩衝液に添加した。
抗原溶液60μl、テオフィリン−BSA含有BSA−トリス
緩衝液460μl、ラテックス懸濁液80μlを混合した
後、10分間常温で抗原抗体反応を行わせ、テオフィリン
−BSA結合物と抗体との反応によるラテックス粒子の凝
集をサンプル中のテオフィリンにより阻害させた。
実施例2と同様に蛍光偏光度を測定した。結果を第9
図に示した。サンプル中のテオフィリン濃度が高くなる
に従って、ラテックス粒子の凝集が阻害されることによ
り蛍光偏光度が小さくなっている。これにより、タンパ
ク質等の高分子と同様に薬物等のハプテンにも適用でき
ることがわかる。
[発明の効果] 上記実施例でも示したように、本発明における発光偏
光免疫測定法は、ラテックス凝集の簡便性と精確さ、FP
IAの感度と均一反応系という利点を活かしつつ、薬物、
ホルモンなどの低分子抗原だけでなく、タンパク質等の
高分子抗原にも適応できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、偏光度の経時変化を示した図であり、図中●
はIgM濃度が0μg/ml、○は12.5μg/ml、▲は25μg/m
l、□は50μg/mlのものを示す。 第2図は、抗体感作粒子による抗原検出法における、偏
光度に対する抗原濃度の影響を示した図である。 第3図は、抗体感作粒子と抗原との反応を試料中の抗体
で阻害する測定法における、偏光度に対する抗体濃度の
影響を示した図である。 第4図は、抗原感作粒子による抗体検出法における、偏
光度に対する抗体濃度の影響を示した図である。 第5図は、抗体を標識することにより作製した標識粒子
を用いたときの、励起光354nmにおける蛍光スペクトル
を示した図である。 第6図は、不溶性担体粒子として金コロイド粒子を用い
たときの、励起光354nmにおける蛍光スペクトルを示し
た図である。 第7図は、抗体感作粒子による抗原検出法における、偏
光度に対する抗原濃度の影響を示した図であり、図中、
△は蛍光分光光度計F−4010(日立社)による測定結果
を示し、○は自作の装置による測定結果を示す。 第8図は、担体を標識することにより作製した標識粒子
を用いたときの、抗体感作粒子による抗原検出法におけ
る、偏光度に対する抗原濃度の影響を示した図である。 第9図は、抗原としてテオフィリンを用いたときの、抗
体感作粒子と抗原との反応を試料中の抗原で阻害する測
定法における、偏光度に対する抗原(テオフィリン)濃
度の影響を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−101439(JP,A) 特開 昭57−179730(JP,A) 特開 昭57−150680(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 33/543 G01N 33/542

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料液中の抗原又は抗体の濃度を測定する
    方法であって、 (a)(i)遅延蛍光またはリン光を発する色素及び (ii)抗原または抗体を、粒径0.01−1μmの不溶性担
    体粒子に担持して色素標識粒子を作成する工程 (b)該色素標識粒子と、それに対応する抗体又は抗原
    を含む試料液とを反応させ、抗原抗体反応に伴う粒子の
    凝集反応をおこさせる工程 (c)該反応液に偏光された励起光を照射し、発光偏光
    度を求める工程から成ることを特徴とする免疫測定法。
  2. 【請求項2】遅延蛍光またはリン光を発する色素の蛍光
    またはリン光の寿命が10μsec−10msecである請求項1
    記載の免疫測定法。
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