JP2891882B2 - ヒト−レラキシンh2遺伝子 - Google Patents
ヒト−レラキシンh2遺伝子Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、分子クローニング及
びヒト−レラキシンをコードする遺伝子配列の特徴付け
に関する。この発明はさらに、ヒト−レラキシン、プロ
レラキシン及びプレプロレラキシンを製造するための組
換DNA技法に関する。 【0002】発明者等は、オーストラリア特許出願第1
7906/83号(PF5352/82,1982年8月
12日出願)においてヒト−レラキシンをコードする遺
伝子配列の分子クローニング及び特徴について記載し
た。発明者等はここに、ヒト−レラキシンをコードする
第2の遺伝子を見出した。さらに詳しくは、この発明
は、分離されそして精製された(クローン化された)、プ
ロレラキシン、プレプロレラキシン、及びヒト−レラキ
シンのA及び/又はB及び/又はCペプチド鎖をコード
するヒト−遺伝子、該遺伝子の分離及び精製方法、並び
に該遺伝子を宿主細胞に移入してそして該宿主細胞中で
複製せしめる方法に関する。クローン化された遺伝子
は、宿主−発現性の原核性又は真核性遺伝子と融合した
場合、宿主細胞により発現される。従って、この遺伝子
は、治療用ヒト−レラキシンの製造に有用である。 【0003】この発明はさらに、ペプチドたるヒト−レ
ラキシン、プロレラキシン及びプレプロレラキシン、こ
れらの配列を構成する個々のペプチド鎖、並びにこれら
のペプチドの変形に関する。この発明はさらに、個々の
レラキシン鎖及び上記のその変形をコードする変形され
た遺伝子に関する。この明細書において引用した文献は
後にまとめて記載してある。 【0004】 【従来の技術】ヒサウ(Hisaw)(1926)の先駆的な研
究により、哺乳動物のペプチドホルモンであるレラキシ
ンの重要な役割が、その恥骨結合弛緩作用及びその作用
に基づく分娩促進作用により示唆された。レラキシン
は、妊娠中に卵巣の黄体中で合成されここに貯蔵され、
そして分娩に先立って血流中に放出される。卵巣を得る
ことにより、豚[ゼームス(James)等、1977、シュ
ワーベ(Schwabe)等、1977]、ラット[ジョーン(Jo
hn)等、1981]、及びサメ(シュワーベ等、1982)
のレラキシンの分離及びアミノ酸配列の決定が可能とな
った。生物学的に活性なホルモンは、ジスルフィド結合
により結合された2つのペプチド鎖(A鎖及びB鎖)から
成り、このジスルフィド結合は、2つの鎖間結合と1つ
の鎖内結合から成る。従って、この構造はジスルフィド
の配置においてインスリンに非常に類似しており、この
ことからこれらのホルモンの遺伝子は先祖を共通にする
と推定される(ゼームス等、1977、シュワーベ等、
1977)。 【0005】ラットレラキシン及び豚レラキシンのいず
れについてもcDNAクローンの分離に組換DNA技法
が適用された[ハドソン(Hudson)等、1981、ハーレ
イ(Haley)等、1982]。なお、オーストラリア特許
出願第11834/83(PF2696/82)を参照の
こと。アミノ酸配列情報を基礎にして調製された合成1
1連ヌクレオチドが、卵巣組織から誘導された試料集団
(ライブラリー)中のレラキシンcDNAクローンを同定
するためのcDNAプローブを合成するためのプライマ
ーとして使用された。該プローブはレラキシンcDNA
配列に関し非常に濃縮されたものである。レラキシン構
造遺伝子は、全体構造においてプレプロインスリンに類
似する単鎖前駆体、すなわちシグナルペプチド/B鎖/
Cペプチド/A鎖をコードすることが見出された。 【0006】オーストラリア特許出願第17906/8
3号において、発明者等は豚レラキシンのCペプチドを
基礎にするプローブを用いるヒト−ゲノムライブラリー
からのレラキシン遺伝子の選択について記載した。この
研究において「H1」と称するゲノムクローンの同定に成
功し、このクローンからヒト−プレプロレラキシンのコ
ード領域全体の構造が決定された。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記特許
出願において記載した遺伝子構造を確認することを意図
した研究の継続により完成したものである。発明者等
は、C−ペプチド/A−鎖(アミノ酸64−161)をコ
ードする領域の約300ヌクレオチドに対応する、すで
に同定されたヒト−H1−遺伝子のセグメントをプロー
ブとして用いて、妊娠した女性(ヒト)の卵巣組織から得
られたライブラリー中のcDNAクローンを研究した。
陽性のcDNAクローンを分離し、そしてその配列を決
定することにより、このcDNA配列はすでに確立した
配列とは異なり、そして先行する特許出願に記載したプ
レプロレラキシンとは異なるプレプロレラキシンの1つ
をコードすることを明らかにした。 【0008】さらに、発明者等は、発明者等の係属中の
オーストラリア特許出願第17906/83号(PF5
352/82)に記載したヒト−ゲノムライブラリーか
ら、H2遺伝子のエクソン1を含有する組換ファージを
分離した。このエクソン1は、H1−遺伝子のそれと同
様に、シグナルペプチド、B−ペプチド、及びC−ペプ
チドの一部分をコードする領域を含んで成る。 【0009】発明者等が「H2」と称してこの明細書に記
載する遺伝子及び発明者等の出願第17906/83号
に記載されている「H1」遺伝子はいずれもレラキシン様
活性を有するペプチドを発現するから、これらの一方又
は両者はヒトの生殖組織、例えば卵巣及び胎盤、及び/
又は腸、脳及び皮膚を含む他の組織(これらに限定され
ない)中で発現されると信じられる。 【0010】卵巣の黄体、並びに脱落膜組織及び胎盤組
織が、レラキシン関連遺伝子が発現する可能性が最も高
い部位である。しかしながら、多くのペプチドホルモン
が広い範囲に分布していることから考えて、レラキシン
遺伝子が脳及び胃腸管を含む非生殖組織においても発現
する可能性が強い。レラキシンは生長因子としての一般
的性質を有し、そして結合組織の性質を変え、平滑筋の
収縮に影響を与えることができる。発明者等は、この明
細書に記載する遺伝子構造及び特許出願第17906/
83号に記載されている遺伝子構造の両者又は一方が体
内に広く分布しているものと信ずる。発明者等は、これ
らの遺伝子により発現されるレラキシンペプチドが、生
殖中のよく知られているホルモン機能のほかに重要な生
理的役割を演ずることを示唆する。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明においては次の
略号を用いる。 H1 :オーストラリア特許出願第17906/83
に記載されているレラキシン遺伝子であって、ゲノムク
ローンに由来する。 H2 :この明細書に記載されているレラキシン遺伝
子であって、cDNAクローンに由来する。 DNA :デオキシリボ核酸 RNA :リボ核酸 cDNA :相補的(コンプレメンタリー)DNA(mRNA
配列から酵素的に合成される。) mRNA :メッセンジャーRNA A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン U :ウラシル 【0012】DNA中のヌクレオチド配列と蛋白質中の
アミノ酸配列とのコード関係は遺伝コードとして全面的
に知られており、次にこれを示す。 【表1】 第1位 第 2 位 第3位 (5'末端) (3'末端) U C A G Phe Ser Tyr Cys U U Phe Ser Tyr Cys C Leu Ser Stop Stop A Leu Ser Stop Trp G Leu Pro His Arg U C Leu Pro His Arg C Leu Pro Gln Arg A Leu Pro Gln Arg G Ile Thr Asn Ser U A Ile Thr Asn Ser C Ile Thr Lys Arg A Met Thr Lys Arg G Val Ala Asp Gly U G Val Ala Asp Gly C Val Ala Glu Gly A Val Ala Glu Gly G 【0013】上の表中に使用するアミノ酸の略号は次の
意味を有する。 【表2】 フェニルアラニン(Phe) ヒスチジン (His) ロイシン (Leu) グルタミン (Gln) イソロイシン (Ile) アスパラギン (Asn) メチオニン (Met) リジン (Lys) バリン (Val) アスパラギン酸(Asp) セリン (Ser) グルタミン酸 (Glu) プローリン (Pro) システイン (Cys) スレオニン (Thr) トリプトファン(Try) アラニン (Ala) アルギニン (Arg)チロシン (Tyr) グリシン (Gly) 【0014】表中に示した各3文字コードン、例えばA
UG、CAU(デオキシヌクレオチドトリプレット又は
ヌクレオチドトリプレットとしても知られている)は、m
RNAのトリヌクレオチドに対応し、左側に5'末端を
有し、右側に3'末端を有する。文字は、ヌクレオチド
配列を形成するプリン塩基又はピリミジン塩基を示す。
この明細書に記載するすべてのDNA配列は鎖状を成し
ており、その配列はmRNA配列に対応し、但し、ウラ
シル(U)の代わりにチミン(T)を含んでいる。 【0015】この発明を図面と関連させてさらに説明す
る。図1は、pBR322中のcDNAクローン、ゲノム
クローンH11、及びGT10cDNAクローンa〜fに
おける省略された制限地図、及び配列決定方法を示す。
矢印は、末端標識した断片の配列決定の方向を示す(方
法参照)。GT10クローンa〜fは後記のごとくM13
ベンターにサブクローニングすることにより配列決定し
た。ヌクレオチドの番号は開始コドンAUG(1〜3位)
から終結コドン(554〜556位)に向けて付してあ
る。 【0016】図2〜図5はヒト−H2−プレプロレラキ
シン(上)のアミノ酸及びmRNA配列を、対応するH1
の配列(下)と対比したものである。相同性が最大になる
ように重ね合わされており、同一のヌクレオチドには*
印が付されており、同一のアミノ酸は箱で囲んである。
アミノ酸の番号はB−鎖の出発部から付されている(H
2配列は−1から出発し、H1配列は+1から出発す
る)。この位置はB鎖の配列の仮定的な出発部を示すも
のであり、関連する豚及びラットのプレプロレラキシン
構造に対する相同性から単純に導いたものである。Cペ
プチド中の45番目のAlaの下の*印は、両遺伝子のG
/CA間にイントロンが位置することを示している。 【0017】図6および図7は、同一のニトロセルロー
スストリップのラジオオートグラフであり、図6はヒト
−卵巣RNA、図7はH1遺伝子(λH7)又はH2遺伝
子(λGT10−a)に対応するλプラックのナサン(Nor
thern)ゲル泳動を示し、それぞれA:ランダムプライム
600bpH2レラキシンcDNA断片(72〜660)、
B:H2特異的25連(483〜507)、C:H1−特
異的25連(483〜507)、D:H1特異的25連
(248〜272)をハイブリド形成プローブとして使用
したものである。 【0018】図8は、ハイブリド形成プローブとしてp
BR322(図1参照)中のH2cDNAクローンの断片
を使用したヒト卵巣RNAのナサン(Northern)ゲル泳
動の同じニトロセルロースストリップのオートラジオグ
ラフである。 A:コード領域のほとんどに対応する600bp断片(7
2〜660)。 B:5'非翻訳領域(ヌクレオチド30のHinfI部位ま
で)。 C:3'非翻訳領域(ヌクレオチド660のHinfI部位
から)。 D:3'非翻訳領域(ヌクレオチド850のHpaI部位か
ら)。 【0019】図9〜図10は、A鎖及びB鎖のアミノ酸
配列を、2種のヒト−レラキシン、ヒト−インシュリ
ン、及びその他のレラキシン類の間で比較したものであ
る。箱で囲んだ領域は2種のヒト−レラキシン及びその
他のレラキシン類の間で保存されている残基を示す。矢
印は蛋白質が切断される可能性がある部位を示したもの
であり、豚[シュワーベ(Schwabe)等、1977、ゼー
ムス(James)等1977]、ラット[ジョーン(John)等
1981]、サメ[シュワーベ等、1982]、及びツノ
ザメ[シュワーベ等、1983]のレラキシン類のA鎖及
びB鎖のアミノ末端残基の蛋白質配列データにより確認
したものである。 【0020】図2〜図5に示すH2−mRNAの配列は
後記の方法により決定した。比較を容易にするために、
H1配列から誘導されるペプチドについて使用したアミ
ノ酸の番号がこの発明のH2−誘導ペプチドについても
維持されている。H1−プレプロレラキシンの構造は、
豚レラキシン及びラットレラキシンの相同構造と比較す
ることにより、ゲノム配列から導いた。H2−プレプロ
レラキシンの構造は、H1の構造並びに豚レラキシン及
びラットレラキシンの構造と比較比することにより導い
た。A及びBペプチド鎖の構造を、合成、及び子宮収縮
試験において生物学的に活性である物質を生成する鎖連
結(試験管内)により確認した。 【0021】図2〜図5から、この発明の配列と先行発
明のそれが、類似性と共に有為な相違を有することが明
らかである。注目すべき点は次の通りである。 (1) 3つの主要領域におけるアミノ酸の有意な相違;
(a) B鎖のN末端、(b) A鎖のN末端、(c) Cペプ
チドの中間、 (2) B鎖及びCペプチド中の強相同性領域;(a) Val
6〜Ile47の120塩基が同一であり、(b) Phe101〜
Ser132の88〜90塩基が同一である。 従って、2種の遺伝子は非常に類似しているが、H2−
遺伝子がたしかに第2の遺伝子であり、単にH1遺伝子
のポリモープではないことを示すに十分な相違が存在す
る。 【0022】H1−プレプロレラキシンの生体内プロセ
シングの態様は十分には解明されていないが、豚レラキ
シンとの類似性から、シグナルペプチドの切断はAla-1
−Lys1結合において生ずると予想される。同様に、H
1−Cペプチドの切り離しはLeu32−Ser33、及びArg
136−Arg137において生じ、これにより、それぞれ32
残基及び24残基のH1−B鎖及びH1−A鎖が生ずる
と予想される(図2〜図5)。 【0023】H2−プレプロレラキシンにおいてはAla
-1がAspにより置き換えられているので、H1における
−2位に対応するアラニンの後でシグナルペプチドが切
断されると予想される。H2−B鎖/Cペプチド結合の
切断はLeu32の後で生じ33残基を有するH2−B鎖が
遊離することが、他のすべてのプレプロレラキシンとの
類似性から推定される。H2−Cペプチド/A鎖結合の
切断はArg136の後で生じ24残基のH2−A鎖が遊離
することが、ラット−プレプロレラキシンとの類似性か
ら推定される。 【0024】豚レラキシンについての発明者等の研究に
よれば、豚レラキシンB鎖及びA鎖中に、生物学的活性
のために必須のすべての要素を含有するコア−配列が存
在する。ヒト−レラキシン鎖についての発明者等の合成
研究においても同様の結果が得れた。これは、後に詳細
に記載する。 【0025】この発明の1つの観点に従えばヒト−プレ
プロレラキシン発現遺伝子が提供される。特にことわら
ない限り、プレプロレラキシン、プロレラキシン、レラ
キシン、及びシグナルペプチド、Aペプチド、Bペプチ
ド、及びCペプチドのための遺伝子配列、並びにペプチ
ドそれ自体についての以下の記載は、H1に関してでは
なくH2に関する。さらに詳しくは、この発明のこの観
点に従えば、図2〜図5に示す完全mRNA(コードン−
25〜160)配列に対応するコード鎖及び相補鎖を含
んで成る、ヒト−プレプロレラキシンの発現のための二
重鎖DNA断片が提供される。 【0026】この発明はさらに、この明細書に記載する
H2−プレプロレラキシン遺伝子配列の任意のサブユニ
ット、又は該配列もしくはそのサブユニットの同等物を
含む。これらのサブユニットの中には、シグナルペプチ
ド、及びヒト−プレプロレラキシンのH2−A、H2−
B、及びH2−C鎖(図2〜図5)をコードする個々の構
造遺伝子を含む遺伝子、並びにこれらの鎖の任意の組合
わせをコードする遺伝子、例えばH2−A及びH2−B
ペプチド鎖を別個に発現する遺伝子、又は(C鎖と共に)
プロレラキシンとして発現する遺伝子が含まれる。 【0027】この発明の他の観点に従えば、ヒト−プロ
レラキシンを発現する遺伝子が提供される。さらに詳し
くは、この発明の上記の観点に従えば、図2〜図5に示
すmRNA配列の1〜160のコドンに対応するコード
鎖及び相補鎖を含んで成るヒト−プロレラキシンを発現
する二重鎖DNA断片が提供される。 【0028】この発明の他の観点に従えば、ヒト−レラ
キシンのA,B及びC鎖、又はこれらの鎖の2以上の任
意の組合わせを個別に発現する遺伝子、及び任意の断片
又は前記の鎖の断片の組合わせが提供される。さらに詳
しくは、この発明の上記の観点に従えば、図2〜図5に
示すmRNA配列の−1〜32、33〜136、及び1
37〜160のコードに対応するコード配列及び相補配
列を含んで成り、ヒト−レラキシンのA鎖及び/又はB
鎖及び/又はC鎖を個別に発現する二重鎖DNA断片が
提供される。 【0029】上記の遺伝子は、特定されたコドンのほか
に適当な「開始」コドン及び「終結」コドン、すなわち、そ
れぞれAUG及びUGA(図2〜図5における−25及
び161のコドン)を含むであろう。 【0030】当業者はこれらの遺伝子の多形(polymorph
icforms)が存在することを認めるであろう。このような
多形もこの発明に含まれる。 【0031】この発明はさらに、前記の配列、サブユニ
ット又は同等物、及び対応するRNA配列、サブユニッ
ト又は同等物の相補体をも包含する。 【0032】この発明の他の観点に従えば、前記の遺伝
子に対応するデオキシヌクレオチド配列を副で成るDN
A移転ベクターが提供される。 【0033】前記のごとく、遺伝コードは重複性を有す
る。すなわち、あるアミノ酸は複数のコドンによりコー
ドされる。従って、この発明は、図に示したコドンが同
じアミノ酸をコードする他のコドンによって置き換えら
れているデオキシヌクレオチド配列を包含する。 【0034】さらに、すでに記載したごとく、天然レラ
キシンのB鎖及び/又はA鎖構造と構造を異にし、レラ
キシン活性を有するペプチドを製造することができる。
この構造の差異には、天然鎖中の1個又は複数個のアミ
ノ酸の除去及び/又は付加及び/又は置換が含まれる。
従って、この発明はさらに、天然コドンが除去されてお
りそして/又は天然コドンによってコードされるアミノ
酸と異なるアミノ酸をコードするコドンにより置き換え
られておりそして/又は天然配列に追加のコドンが付加
されている前記の遺伝子及びDNA移転ベクターをも包
含する。 【0035】この発明の移転ベクターはさらに、特に、
宿主細胞に移入された場合に自己の複製を保障する遺伝
情報を含有する。この宿主細胞には、例えば原核微生物
の細胞及び真核細胞、例えば細菌、酵母、糸状菌の細
胞、哺乳動物の細胞、及びセルラインが含まれる。 【0036】細菌遺伝学において一般に使用される移転
ベクターの例にはプラスミド及びある種のバクテリオフ
ァージのDNAが含まれる。この発明においてはファー
ジDNA及び細菌プラスミドの両者を使用した。しかし
ながら他のタイプの移転ベクターを使用することができ
ることが理解できよう。このような移転ベクターを形成
し、そしてこれを微生物に導入する一般的な方法はよく
知られている。 【0037】この発明はさらに前記の移転ベクターのい
ずれかにより形質転換された原核細胞及び真核細胞を包
含する。非常に親しまれているエッセリヒア・コリ(Es
cherichia coli)が好ましい微生物の1つであるが、他
の任意の適当な微生物を使用することもできる。 【0038】この発明の他の観点に従えば、ヒト−プレ
プロレラキシンをコードするデオキシヌクレオチド配列
を、制限酵素によって移転ベクターを切断することによ
り調製されたDNA分子と連結することを特徴とする、
ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキシヌクレ
オチド配列を維持しそして複製するために使用するDN
A移転ベクターの製造方法が提供される。 【0039】同様にして、適当なデオキシヌクレオチド
から、ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキシ
ヌクレオチド配列、並びにヒト−レラキシンのA鎖及び
B鎖をコードするデオキシヌクレオチド配列を維持し、
そして複製するために使用するDNA移転ベクターを調
製することができる。 【0040】Aペプチド鎖及びペプチド鎖、並びにプロ
レラキシン及びプレプロレラキシンは、通常の遺伝子発
現方法により、すなわち適切に導入された移転ベクター
を含有する細胞を増殖せしめ、そして該細胞により生産
された目的ペプチドを分離し、そして精製することによ
り製造することができる。 【0041】この発明はさらに、上記の方法により調製
された、ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキ
シヌクレオチドを含んで成る発現移転ベクターにより形
質転換された細胞を培養することを特徴とする、C末端
配列としてヒト−プレプロレラキシンのアミノ酸配列を
含みそしてN末端配列として真核性又は原核性蛋白質の
一部分を含んで成る融合蛋白質の製造方法を包含する。
同様にして、ヒト−プロレラキシン及び/又はヒト−レ
ラキシンのA鎖及び/又はC鎖を含んで成る融合蛋白質
を製造することができる。こうして得られた融合ペプチ
ド生成物は、所望のペプチドが宿主に特異的な原核性又
は真核性蛋白質の一部に連結された融合蛋白質の形で存
在するであろう。このような融合蛋白質も又この発明を
構成する。 【0042】この発明はさらに、前記の方法により調製
された前記のヒト−プロレラキシンをコードするデオキ
シヌクレオチド配列を含んで成る発現移転ベクターによ
り形質転換された細胞を、ヒト−プロレラキシンをコー
ドする前記の配列の発現に適する条件下で培養し、そし
て前記細胞の分解物又は培養液からヒト−プロレラキシ
ンを精製することを特徴とする、Cペプチドにより相互
に分離されたAペプチド及びBペプチドを含んで成るヒ
ト−プロレラキシンの合成方法をも包含する。 【0043】任意の適当な公知の切断法により、融合生
成物から目的ペプチドを回収することができる。 【0044】すでに記載したごとく、コドンの除去/置
換/付加により移転ベクターを変形することができ、こ
のような変形により変形された融合ペプチドが生ずる。
このようにして適当な変形を行うことにより、融合ペプ
チドの切断、例えばB/CもしくはC/A鎖結合部にお
ける切断を促進し、又は次に行う化学的もしくは生物学
的処理の間におけるペプチド鎖の挙動を変えることがで
きる。 【0045】前記のごとく、この発明はさらにヒト−レ
ラキシン、プロレラキシン及びプレプロレラキシンを提
供する。 【0046】レラキシンは、インスリンの製造のために
現在知られている任意の方法により別々のA鎖及びB鎖
を直接結合することにより製造することができる。又、
インスリンの場合と同様に、前記のようにして製造され
たレラキシンのAペプチド及びBペプチド上のスルヒド
リル基を酸化するか、又は他の方法で転換して該Aペプ
チド及びBペプチド間にジスルフィド架橋を形成させ、
そして次にCペプチドを除去することにより、例えばC
ペプチドとA及びBペプチドとの間の結合に特異的な酵
素的加水分解により除去することにより、プロレラキシ
ンからレラキシンを製造することができる。 【0047】従って、この発明はさらに、レラキシンの
A鎖及びB鎖(完全な長さにおいて、又は短縮されたも
しくは変形された形において)を、ヒト−インスリンの
A鎖及びB鎖の結合のために知られている方法によって
結合せしめることから成るヒト−レラキシンの合成方法
を提供する。この方法の1つは、S−スルホン化された
A鎖及びB鎖の混合物を還元し、そして次にこの混合物
を空気中で酸化することから成る。 【0048】発明者等はさらに、A鎖及びB鎖の一方又
は両方がS−スルホ形ではなくS−チオエチル−cys誘
導体の形である場合に上記方法の効率が改良されること
を見出した。 【0049】発明者等は、オーストラリア特許出願第1
5413/83号(PF4385/82)において、生物
学者活性の有意な喪失を伴わないでレラキシンのA鎖及
びB鎖の一方又は両者のアミノ末端及び/又はカルボキ
シ末端を短縮することができ、これにより結合収率を改
良することができることを示した。 【0050】この発明の他の観点に従えば、短縮されそ
して/又は変形された天然Bペプチド鎖及び/又はAペ
プチド鎖により本質上構成されるヒト−レラキシン類似
体が提供される。 【0051】この発明の上記の観点に従えば、短縮され
そして/又は変形されたBペプチド鎖及び/又はAペプ
チド鎖を形成し、そして次に上記の任意の方法によって
前記のペプチド鎖を結合せしめる段階を含んで成るヒト
−レラキシン類似体の製造方法が提供される。 【0052】豚及びヒト−レラキシン(H1)を用いた発
明者等の研究により、レラキシン活性はA(10〜24)
から成る短いA鎖及びB(10〜22)からなる短いB鎖
により生ずることが示された。もっとも、期待される実
際的な最小鎖はA(4〜24)及びB(4〜23)であ
る。ペプチドA(4〜24)−B(1〜25)がレラキシン
活性を有することはすでに知られている。 【0053】一般に、この発明のレラキシン構造(H2)
においては、A鎖はA(1〜24)ないしA(10〜24)
の範囲で変化することができ、B鎖はB(−1〜32)な
いしB(10〜22)の範囲で変化することができる。 【0054】好ましい組合わせは 【化12】 から誘導される。 【0055】この発明におけるB鎖及び/又はA鎖の変
形は、前記の「遺伝的」変形、及びこの発明の結合に先立
つB鎖及び/又はA鎖の化学的変形(完全な長さにおけ
る又は短縮された形における)が含まれる。2つのタイ
プの変形を単独で又は組合わせて用いることができる。 【0056】第1のタイブの変形は、天然の又は短縮さ
れたB鎖及び/又はA鎖における1個又は複数個のアミ
ノ酸の変形に関する。一般にこのような変形にはそれ自
体公知の方法による1個又は複数個のアミノ酸上の活性
基の保護が含まれ、そして所望により、保護基は(変形
された)A鎖およびB鎖の結合の後除去される。このよ
うなタイブの変形の例には、N末端アミノ基を含む遊離
アミノ基のアセチル化、ホルミル化もしくはこれらと同
様の保護、C末端基のアミド化、又はヒドロキシル基も
しくはカルボキシル基のエステル形成が含まれる。ホル
ミル基が容易に除去される保護基の典型例である。 【0057】第2のタイブの変形には、B鎖及び/又は
A鎖中の1個又は複数個の天然アミノ酸の他のアミノ酸
(D−型の天然アミノ酸を含む)による置換が含まれる。
この一般的タイブの変形には又、鎖からの天然アミノ酸
の除去、又は1個又は複数個のアミノ酸の鎖への付加が
含まれる。このような変形の目的は、生成物、すなわち
レラキシンもしくはその類似体の活性を維持しながらA
鎖及びB鎖の結合収率を上昇せしめること、又は所定の
結合収率において生成物の活性を上昇せしめ又は変える
ことにある。このような変化は、レラキシン遮断効果又
はレラキシン拮抗効果を有する合成類似体の製造にも適
用することができよう。 【0058】第1のタイブの変形の特定の例はホルミル
基の付加によるB2のトリプトファン残基の変形であ
る。第2のタイブの変形の特定の例は、B24のメチオ
ニンのノルロイシン(Nle)、バリン(Val)、アラニン
(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)又はホモセリン
(Homo Ser)による置換である。 【0059】上記の観点において、この発明は、この発
明に従って上記のごとく変形された天然の又は短縮され
たB鎖及び/又はA鎖から形成されるヒト−レラキシン
類似体を包含する。 【0060】Aペプチド鎖及びBペプチド鎖、並びにさ
らにプロレラキシン及びプレプロレラキシンは通常の遺
伝子発現法により、すなわち適当に形成された移転ベク
ターを含有する微生物を増殖せしめ、そして該微生物に
より生産された目的ペプチドを分離しそして精製するこ
とにより製造することができる。こうして得られたペプ
チド生成物は、目的ペプチドが原核性蛋白質の一部と連
結されている融合蛋白質の形で存在することができる。 【0061】 【実施例】次に、実験方法及びそれにより得られた結果
を記載することによりこの発明をさらに具体的に説明す
る。方法及び材料 メッセンジャーRNAの分離及びcDNAのクローニン
グ 子宮外妊娠の治療のための外科処置中に得たヒト−卵巣
組織をドライアイス上で急速に凍結し、そしてチルグウ
ィン(Chirgwin)等1979、の方法に従って5Mグア
ニジウムチオシアナート(メルク)中にRNAを分離し
た。ポリ−A+RNAを、ウイッカーズ(Wickers)等、
1978、の方法により、2重鎖DNAに転換し、そし
てホモポリマーG/Cテーリング法によってpBR32
2プラスミドベクター[チャン(Chang)等、1978]に
クローニングし、又はλGT10ベクター[ヒューン(H
uynh)等、1983]を用いるラムダパッキング法により
クローニングした。発明者等の経験においては、pBR
322法による形質転換効率(104の組換体/μgのcD
NA)はラムダ法(106以下の組換体/μgのcDNA)に
比べて低かった。 【0062】ハイブリド形成プローブの調製 子牛胸腺DNAの変性したランダムプライマーを用い
て、種々のDNA断片上でのプライム合成により放射能
標識プローブを調製したハドソン等(1983)、テイラ
ー等(1976)。DNAテンプレート(100〜200n
g)をランダムプライマー(1μg)と共に20μlの水中で
2分間煮沸することにより変性した。50mM Tris−
HCl pH8.0、50mM NaCl、1mM DTT、10
mM MgCl2、5ユニットのE.コリ(E.coli)DNAポ
リメラーゼ1[クルノウ(Klenow)フラグメント]、50
0μMずつのdCTP、dGTP、dTTP、及び0.3μ
Mのα−(32p]−dATP(約3000Ci/ミリモル、ア
マーシャム)を含有する30μlの反応混合物を加えるこ
とにより合成を開始した。37℃にて30分間インキュ
ベートした後、0.3M NaCl、10mM Tris−HC
l、pH8.0、1mM EDTAを含有する緩衝液300
μl中に希釈することにより反応を停止し、そして前記
緩衝液中セファテックスG50のカラム(1cm×5cm)を
通した。放射能標識されたプローブをボイドボリウムに
おけるピーク分画から集め、そしてtRNA(10μg)を
担体として用いて2容量のエタノールにより−20℃に
て2時間沈澱せしめた。 【0063】特異的cDNAクローンの選択 ヒト−卵巣cDNAクローンバンクからレラキシン特異
的配列をスクリーニングするために、すでに同定されて
いるヒト−H1遺伝子のセグメントをプローブとして使
用した。これは、Cペプチド、A鎖のアミノ酸64から
終結コドンまで及び3'非翻訳領域の80塩基をコード
する400ヌクレオチドのセグメントに対応する。pB
R322ライブラリーから1個の陽性cDNAクローン
を分離し、そして配列決定した。λGT10ライブラリ
ーから23の特異的組換体を分離したが、これらの内6
個のみを完全ヌクレオチド配列分析にかけた。 【0064】DNA分析 配列決定の方針及びcDNAクローンの省略された制限
地図を図1に示す。pBR322中の組換プラスミドを
制限酵素HpaII(P)、HinfI(F)又はTaqI(T)を用
いて消化し、そして逆転写酵素及び適当なα−標識デオ
キシヌクレオチドトリホスフェート(HpaII及びTaqI
のためにdCTP、HinfIのためにdATP)を用いて末
端標識した。断片を第2の制限エンドヌクレアーゼによ
り内部的に切断し、そして次に8%ポリアクリルアミド
ゲル上での電気泳動により分離し、そしてマクサム(Ma
xam)及びジルバート(Gilbert)等の化学的分解法(19
77)により配列決定した。λGT10中のcDNAクロ
ーンは、EcoRI制限断片をM13mp9にサブクローニ
ングし、そしてサンガー(Sanger)等(1977)により
記載された方法を用いて配列決定した。 【0065】サザン(Southern)及びナサン(Northern)
ゲル分析 制限エンドヌクレアーゼ切断の後、精製されたゲノムD
NAについてサザン法(1975)により、又は精製され
たRNAについて実施した。プローブとして使用したD
NA断片は、少量のフランク配列を有していたがH1−
ゲノムクローンのエクソンI又はエクソンIIのいずれか
に特異的であった。これらのフラグメントは、エクソン
Iのプローブの場合にはλH7クローンの500bpAlu
I断片を、エクソンIIの場合には400bpのEcoRI−
AvaII断片を、M13mp8にサブクローニングすること
により得た。H2cDNAクローンからのプローブは、
HinfIで消化し、そしてAspIから終結コドンまでの
コード領域及び3'非翻訳領域の110塩基に対応する
300bp二重鎖(図1)を分離するとにより得た。オリゴ
ヌクレオチドプローブは、ビューケージ(Beaucage)及
びカルサース(Caruthers)のホスフィット法により合成
し、そしてγ−32P−ATPによりT4ポリヌクレオチ
ドキナーゼを用いて末端標識した。ハイブリド形成条件
はG+Cの含量を基礎にして計算した。 【0066】H2ゲノムクローンの分離しヌクレオチド
配列分析 ラウン(Lawn)等(1978)のヒト−ゲノムラムダライ
ブラリーをすでに記載されている方法[ハドソン(Hudso
n)等、1983]によりスクリーニングした。但し前記
のように、プローブのためにH1ゲノムクローンのエク
ソンI及びIIに対応するDNA断片の混合物を使用し
た。陽性ファージをl規模の液体培養中に増殖せしめ、
DNAを分離し、そして制限エンドヌクレアーゼで消化
し、そしてエクソンI及びIIのプローブを用いてマッピ
ングした。4kbのEcRI断片が全エクソンIコード領
域を含有していることが見出され、これによりこのクロ
ーンが相同のH1遺伝子構造と区別された。このクロー
ンをM13mp8にサブクローンし、そしてマクサム及び
ジルバートの方法(1977)により配列決定した。Ava
Iにより消化した後、コード領域を包含する断片を末端
ラベルし、そして第2の制限酵素(HpaII又はHinfI)
により内部的に切断し、配列分析に適当な断片を生成せ
しめた。 【0067】cDNAクローンの分離 ヒト−黄体試料を、子宮外妊娠の外科的処置の結果とし
て、又は帝王切開におけるレテクトミー(lutectomy)か
ら得た。1つの黄体から分離したRNAからpBR32
2中にcDNAライブラリーを作成し、約300の特異
的組換体を得た。このライブラリーをH1−cDNAプ
ローブによりスクリーニングすることにより、ヒト−レ
ラキシンIに相同な配列を有する1つの組換体が明らか
になった。このような少量の卵巣組織からさらに多くの
組換体を得るために、λGT10クローニング系(ヒュ
ーン等、1983)を用いてcDNAライブラリーを作成
した。レラキシン特異的プローブを用いてスクリーニン
グした結果、23の特異的なcDNAを同定し、この内
6個を図1に示すように特徴付けた。ヌクレオチド配列
分析により6個のcDNA組換体のすべてが同じレラキ
シン構造遺伝子の断片をコードしていた(図2〜図5)
が、この配列はすでに報告されているゲノムクローン
[ハドソン(Hudson)等、1983]と異なっていた。こ
の新規な配列は、ゲノムDNA中に観察されている第2
のヒト−レラキシン遺伝子(H2)に対応すると予想され
る。驚くべきことに、pBR322及びλGT10中のc
DNAクローンのサイズ(それぞれ、1800bp及び1
900bp)はクローニング操作中に大きな転写生成物が
合成されたことを示すが、cDNAクローンのいずれも
が3'末端にポリアデノシン配列を有していなかった。
これら2つのcDNAクローンは3'末端に重複配列を有
しており、これらが同一のmRNA構造から誘導された
ことが確認された。ポリA−テールが存在しないのは、
クローニング操作中に二重鎖形成転写反応が早く停止し
たためか、S1ヌクレアーゼの過剰な分解のためであろ
う。 【0068】第2の遺伝子に対応するゲノムクローンの
分離 λH7レラキシンクローンのエクソンI又はIIに特異的
な混合プローブを用いることにより、ラウン(Lawn)等
(1978)のヒト−ゲノムライブラリーからの108個
の組換ファージを厳密にスクリーニングして16の陽性
ファージを得た。小規模な制限地図分析により、これら
の組換体ファージの内14個がすでに報告されているH
Iレラキシン遺伝子に対応した[11個がλH7ゲノム
クローンと同じであり、3個がハドソン等(1983)に
よりすでに報告されているようにH1遺伝子の別のゲノ
ムクローンであるλH5と同じである]。しかし、他の
2個の組換体ファージは同じであり、そして図1に示す
H2レラキシン遺伝子に特異的な制限パターンを有して
いた。組換体の比率が異常なのは、もとのゲノムライブ
ラリーにおけるこれらの比率のためか、又は増幅中の選
択的増殖のためである。この新規な組換体ファージ(λ
H11)を、λH7クローンのエクソンI又はIIに対応
する別々のプローブを用いてサザンブロット分析するこ
とによりλH11がエクソンIコード領域のみを含有す
ることが明らかになった。ラウン等(1978)のライブ
ラリー、又は他のライブラリー[R.クラウフォード(C
rawford)、未発表]中でH2−レラキシン遺伝子に対応
する全長ゲノムクローンを見出す試みはまだ成功してい
ない。λH11のレラキシンコード領域のヌクレオチド
配列は図2〜図5に示すcDNAクローン中に観察され
る配列と同じであった。イントロンが、λH7ゲノムク
ローンの場合と全く同じ位置でコード領域を中断してお
り、これらの遺伝子が進化のある時点での遺伝子の二重
化により生じたことが示唆される。 【0069】ナサン(Nouthern)ゲル分析 子宮外妊娠の外科処置中に、又は帝王切開の手術中に異
なる個体から得たヒト−黄体の幾つかの試料からRNA
を分離した。いずれかのレラキシン遺伝子のコード領域
からのプローブを用いるナサンゲル分析により、試験し
た5個のヒト−卵巣RNA試料中に、約1000bp及び
2000bpのサイズの2つの大mRNAが存在すること
が明らかになった(図6および図7)。試験したRNA試
料中に小さい方のmRNAは2〜3倍多く、この結果は
分析においてH1−レラキシンに対応するプローブを用
いるかH2−レラキシンに対応するプローブを用いるか
によって変わらず、この実験条件下では高い交差ハイブ
リド形成が生ずることが示された。これら2種のmRN
AがH1遺伝子及びH2遺伝子のそれぞれの生成物のい
ずれを代表するかを区別するため、2つのレラキシン遺
伝子の間で相同性が最小(60%)の領域(図2〜図5に
おける残基137〜144)にわたるオリゴヌクレオチ
ドプローブを合成した。これらの合成25連ヌクレオチ
ドを、γ−32P−ATPを用いるキナーゼ反応により放
射性標識し、そしてH1遺伝子又はH2遺伝子に特異性
を供することが示される条件下でハイブリド形成プロー
ブとして使用した(図6および図7)。これらの放射能標
識したプローブを用いるナサンゲル分析により、いずれ
のmRNAもH2遺伝子生成物に対応することが明らか
になった。これらの特異的プローブを用いてH1遺伝子
からの転写生成物プローブを用いてH1遺伝子からの転
写生成物を検出することはできなかった。もっとも、低
いレベルの発現(H2レベルの5%未満)を同定すること
は困難である。H2遺伝子からの異なるmRNA転写生
成物を分析するために、2つの大H2cDNAクローン
のセグメントから、コード領域、5'非翻訳領域、及び
3'非翻訳領域に対応する特異的プローブを調製した(図
8)。大きい方のmRNA転写生成物(約2kbの長さ)が選
択的に両cDNAクローン由来の3'非翻訳領域セグメン
ト(終結コドンから約100塩基の位置から)とハイブリ
ド形成した。cDNAクローンのヌクレオチド配列(停止
コドンから140塩基)中にポリアデニル化シグナルが
存在する可能性があり、そしてこの領域は豚−レラキシ
ンポリアデニル化部位に対する相同性を有する。しか
し、短い方のmRNA生成物がこの位置の近くでポリア
デニル化されているか否かの問題は、両mRNAに対応
する全長cDNAクローンが分離され、そして特徴付け
られるまでは解決することができない。H2遺伝子のゲ
ノム配列が不明である限り、2つのmRNA転写生成物
を生成する機構を明らかにすることはできない。コラー
ゲン遺伝子及びβ−ミクログロブリン遺伝子と同様に、
一次RNA転写生成物の切断が他のポリアデニル化部位
において生ずる可能性がある。他方、カルシトニン遺伝
子、生長ホルモン遺伝子及びα−クリスタリン遺伝子に
おいても生ずるような他のスプライシング機構を除外す
ることはできない。 【0070】H2遺伝子によりコードされるプレプロレ
ラキシンの一次構造 ヒト−プレプロレラキシン遺伝子の生体内プロセシング
の態様はまだ十分には理解されておらず、豚−及びラッ
ト−プレプロレラキシンとの類似性(図9〜図10)によ
り推定するほかない。図9〜図10において、H1遺伝
子及びH2遺伝子の予想されるA鎖及びB鎖構造が、他
のレラキシン類及びヒト−インスリンのそれに重ね合わ
せてある。H1におけるシグナルペプチドの切断は、A
la−1、−2もしくは−4などの短い側鎖残基の後で、
又はSer−6の後で生ずると予想されている(ハドソン
等、1983)。Ala−1の後での切断は、豚プレプロ
レラキシン及びヒト−プレプロインスリンとの相同性と
一致する。同様に、H2−シグナルペプチドの切断は、
Ala−4又はSer−6の後で生ずる可能性もあるが、前
記の類似性からAla−2の後で生ずると予想される。ラ
ット−及び豚−プロレラキシンとの類似性により、B鎖
/Cペプチド結合の切断は、H1前駆体及びH2前駆体
のいずれにおいてもLeu32の後で生ずるであろう。し
かしながら、いずれのヒト−レラキシンB鎖も29−3
0位に保存されたジ塩基配列Lys−Argを有し、この配
列が他のプロホルモンたとえばプロインスリンにおける
プロセシング部位であることが知られており、この部位
での切断を除外することはできない。このことを確定す
るためには、妊婦の黄体から分離したレラキシンの直接
アミノ酸配列分析を行うことが必要であろう。ともか
く、H1−B鎖構造の長さは32残基(Lys1〜Leu3
2)でありH2−B鎖のそれは33残基(Asp−1〜Leu
32)である可能性が最も強い。H1−プロレラキシン
のCペプチド/A鎖の切断は、4個の塩基性残基中のA
rg136の後で生ずると予想されている(ハドソン等、
1983)。137−138におけるArg−Proイミド
結合は蛋白質分解に対して耐性を有するからである。H
2−プロレラキシンは同じ4塩基性残基の配列を有し、
そしてArg136の後で同様のプロセシング段階が生
じ、これによりH1及びH2のレラキシンA鎖の長さは
いずれも24残基であろう。 【0071】H2−遺伝子の生物学的活性 合成された豚レラキシンペプチドについての先行する研
究において示されるように、豚−レラキシンA鎖及びB
鎖中には、生物学的活性のために必須の要素であるコア
−配列が存在する。発明者等のH1−レラキシンペプチ
ドについての合成研究により、完全H1−A鎖(Arg1
37〜Cys160)と短縮された形のH1−B鎖(Lys1
〜Ser25)との組み合わせにより製造された物質が生
物学的活性を有することが示された(ハドソン等、19
83)。ペプチド合成を用いるH1−及びH2−遺伝子
構造についての研究により、いずれの遺伝子も、ラット
を用いる子宮収縮測定において生物学的活性を有する形
のレラキシンをコードすることが示された。 【0072】変性させたヒト−レラキシンH2(hRL
X)A(1〜24)−B(−1〜24)の合成 (i) ヒト−レラキシンA鎖、H2−hRLX A(1〜2
4)の合成 前記のcDNAクローンのヌクレオチド配列から推定さ
れたヒト−レラキシンA鎖の1〜24の残基に対応する
アミノ酸配列を、メリフィールド(Merrifield)[例え
ば、バラニー(Barany)G.及びメリフィールドR.B.,
The Peptides,E.Gross及びJ.Meienhofer,アカデ
ミック・プレス,ニューヨーク,1〜284頁,1980
年]により記載された一般的原理による固相法により合
成した。N−α−tert−ブチルオキシカルボニル*−4
−メチルベンジル−L−システイン(*BOCと略す)
を、タム(Tam)等の方法(Synthesis12,955〜95
7,1979年)を用いて、フェニルアセトアミドメチル
(PAM)結合を介して1%架橋ポリエチレン樹脂に、
0.30ミリモル/g樹脂のレベルでカップリングせしめ
た。BOC−L−CYS−PAAM樹脂(8.0g)を、ベ
ックマンモデル990ペプチドシンセタイザーの反応容
器に入れ、そしてそれぞれ適当な保護アミノ酸を段階的
に付加することによって残基23から1までのアミノ酸
配列を組み立てた。各アミノ酸のアミノ末端BOC保護
基は、塩化メチレン中35%トリフルオロ酢酸により3
0分間樹脂を処理し、そして次に、塩化メチレン中5%
ジイソプロビルエチルアミンにより15分間中和するこ
とにより除去した。それぞれの処理の後、塩化メチレン
により樹脂を十分に洗浄した。配列中の次のアミノ酸
(α−アミノ基がBOC基により適当に保護されてお
り、必要により側鎖官能基が適当に保護されている、)
を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用し
ながら樹脂にカップリングせしめた。樹脂を塩化メチレ
ン中アミノ酸と共に10分間撹拌し、その後で塩化メチ
レンに溶解したDCCを導入した。各カップリングのた
めに2.5モル過剰(6.0ミリモル)のアミノ酸及びDC
Cを使用した。1時間撹拌した後、反応混合物から樹脂
のサンブルを取り出し、そしてカイゼル(Kaeser)等の
ニンヒドリン法(Anal.Biochem.,34,595〜59
8,1970年)を用いて遊離アミノ基の存在を試験し
た。ニンヒドリン反応が陰性であってカップリングが完
結したことが示されれば、BOC脱保護、中和及び次の
アミノ酸のカップリングによって反応サイクルを継続し
た。ニンヒドリン試験陽性の場合には追加のアミノ酸及
びDCCを用いてカップリング反応を反復した。 【0073】側鎖官能基を有するアミノ酸は次の保護誘
導体として使用した。すなわち、N−α−BOC−2,
6−ジクロロベンジル−L−チロシン、N−α−BOC
−ξ−クロロベンジルオキシカルボニル−L−リジン、
N−α−BOC−L−セリンO−ベンジルエステル、N
−α−アミルオキシカルボニル−NG−トシル−L−ア
ルギニン、N−α−BOC−L−スレオニンO−ベンジ
ルエーテル、N−α−BOC−S−エチルメルカプト−
L−システイン(A−鎖配列位置15、11及び10の
システイン)である。1〜24ペプチド配列の組立てに
続き、アミノ末端アルギニン上の最後のBOC基を、脱
保護中和サイクルを用いて除去し、そして真空中でペプ
チド樹脂を乾燥した(ペプチド−樹脂の重量13.0g)。
ペプチド−樹脂の一部分(2g)を、アニソール(2ml)の
存在下で0℃にて30分間無水弗化水素(HF)により処
理した。オイルポンプ真空下でHFを急速に除去するこ
とにより、樹脂−ペプチドと弗化水素(HF)との合計接
触時間を最小(70分以下)に保持した。次に、樹脂−ペ
プチドを酢酸エチルにより数回洗浄することにより過剰
のアニソールを除去し、1M酢酸によりペプチドを抽出
し、そして溶液を凍結乾燥した。粗ペプチド(10,1
1及び15位のシステインはなおS−チオエチル誘導体
として保護されている)の収量は392mgであった。粗
ペプチドの最初の精製は0.1M酢酸中のバイオゲルP
10を用いるゲル濾過により行った。分子量約3000
に対応する位置でカラムから溶出した最大ピークを示す
分画を集め、そして凍結乾燥した。このペプチドのサン
プルのアミノ酸分析により、1〜24配列のすべてのア
ミノ酸が正しい比率で存在することが示された。[S−
チオエチルCys10,11,15]−hRLX A(1〜24)ペプ
チドの前記以後の精製は、ウォーターズC−18ボンダ
パックカラムを用いる調製用逆相HPLCにより、0.
1%TFA−水−アセトニトリル溶剤系を用いて行っ
た。ゲル濾過により精製したペプチドのサンプル(80m
g)を、ドゥー(Du)等[Scientia Sinica,10I,84
〜104(1961年)]に記載された方法に従って、亜
硫酸ナトリウム及びナトリウムテトラチオネートの混合
物を用いて(合計反応時間を3時間として)S−スルホン
化した。S−スルホン化中に生成した沈澱を濾過し、そ
して沈澱及び上澄液の両者を4℃にて48時間蒸留水に
対して透析した。透析袋の内容物を凍結乾燥することに
より、上澄液から39.5mg、S−スルホン化反応中に
生じた沈澱から20.3mgのペプチドを得た。「可溶性」
[S−スルホCys10,11,15,24]hRLX A(1〜24)ペ
プチドのサンプルを0.1%TFA−水/アセトニトリ
ル溶媒系を用いて、ウォーターズC−18ボンダパック
カラム上調製用逆相HPLCにより精製した。 【0074】(ii) 短縮されたヒト−レラキシンB−
鎖、H2−hRLX B(−1〜24)の合成 H2−ヒト−レラキシンB−鎖の−1〜24の残基に対
応するアミノ酸配列を前記の方法に従って合成した。こ
の合成は、0.5ミリモルMet/gの負荷量のN−α−te
rt−ブチルオキシカルボニル−L−メチオニン−O−ベ
ンジル−L−セリン−フェニルアセトアミド−メチルポ
リスチレン樹脂6.0gを用いて開始した。A鎖の合成に
おいて使用した側鎖保護基を、B鎖の合成にも使用し
た。これには10及び22位の両システインのS−エチ
ルメルカプト誘導体が含まれる。4及び5位のグルタミ
ン酸残基及び−1位のアスパラギン酸残基はN−α−B
OC−ベンジルエステル誘導体として加えた。18位の
グルタミンはDMF中のN−α−BOC−L−グルタミ
ン−p−ニトロフェニルエステルを用いる活性エステル
法によりカップリングせしめた。2位のトリプトファン
のカップリングの後、トリフルオロ酢酸脱保護剤及びこ
れに次いで用いる塩化メチレン洗浄液に0.1%インド
ールを加えた。アミノ末端アスパラギン酸残基からBO
C基を除去し、真空乾燥した後のペプチド−樹脂の最終
重量は8.5gであった。ペプチド−樹脂の一部(3.5g)
を、アニソール(2ml)の存在下、0℃にて30分間無水
弗化水素で処理し、そしてA鎖について前記した方法を
用いてB鎖ペプチドを分離した。粗[S−チオエチルCy
s10,22] hRLX B(−1〜24)(0.97g)を、1M酢
酸中バイオゲルP10によりゲル濾過し、次いで調製用
HPLCにより処理することにより精製した。ゲル濾過
により精製したペプチドのサンプル(100mg)を、pH
8.3において3時間S−スルホン化し、反応混合物を
濾過し、そして沈澱及び上澄液を蒸留水に対して透析し
た。凍結乾燥後、42.4mgの「可溶性」ペプチド及び5
9.5mgの「不溶性」ペプチドが回収された。S−スルホ
ン化B鎖ペプチドを、C−18逆相カラム及び0.1%
TFA−水−アセトニトリル溶剤系を用いる調製用HP
LCによりさらに精製した。 【0075】(iii) 鎖の結合 合成H2−hRLX A(1〜24)及びH2−hRLX
B(−1〜24)ペプチドをチャンス(Chance)及びホフ
マン(Hoffmann)によりインスリンについて記載された
方法(オーストラリア特許出願 第68844/81号)
を用いて結合せしめた。この方法においては、S−スル
ホン化ペプチドを、A:B=26:1の比率で、ペプチ
ドの濃度をグリシン緩衝液(pH10.5)中10mg/mlと
して混合した。次に、グリシン緩衝液中ジチオスレイト
ールを、各S−スルホ基について合計1.0のスルヒド
リル基が生ずる量において加えた。次に、反応混合物を
開放容器中で24時間撹拌した。発明者等は、この方法
の前記以外の変法として、ペプチド鎖の一方又は好まし
くは両方を、インスリンの場合についてチャンス及びホ
フマンにより記載されたS−スルホ形(前記)ではなくS
−チオエチル−Cys誘導体として使用することにより、
生物学的に活性なレラキシンを生成せしめるための鎖結
合反応を効果的に行うことができることを見出した。S
−チオエチルCysペプチドの使用により、ペプチドをS
−スルホ誘導体に転換するのに必要な反応及び精製段階
が必要でなくなる。発明者等の経験によれば、レラキシ
ンペプチドのS−スルホン化反応にはS−スルホペプチ
ドの精製を困難にする傾向を有する副反応が伴い、これ
により収量が低下する。上記の条件を使用すれば、ウイ
ックビスト(Wiqvist)及びパウル(Paul)(Acta Endoc
rinol.,29,135〜136,1958)のラット子宮収
縮測定における生物学的活性により測定した場合1.5
〜6.0%の鎖結合収率が達成された。 【0076】鎖結合反応例 ヒト−レラキシンH2[S−チオエチルCys10,11,15]A
(1〜24)(乾燥重量4.2mg、アミノ酸分析によるペプ
チド量2.4mg、0.84μモル)を、3mlのプラスチッ
ク製蓋付き遠心チューブ中で500μlの0.1Mグリシ
ン緩衝液(pH10.5)に溶解した。ヒト−レラキシンH
2[S−スルホCys10,11]B(−1〜24)(1.60mg、
アミノ酸分析によるペプチド量1.6mg、0.33μモ
ル)を200μlの0.1Mグリシン緩衝液(pH10.5)
中に溶解し、そしてこれを前記の溶液に加え、そして混
合物を撹拌した。0.1Mグリシン緩衝液(pH10.5)
中に調製したジチオスレイトール(DTT)のストック溶
液(10μl中の0.96μモルDTT)のアリコート(2
3.0μl、2.21μモルDTT)をペプチド溶液に加
え、そして短時間撹拌した後、反応混合物を空気に開放
して4℃にて24時間静置した。次に混合物を遠心分離
し、そして上澄液のアリコートのレラキシン生物学的活
性をラット子宮収縮測定により測定した。反応混合物の
アリコートは、投与量に依存してラットの子宮の自発収
縮を阻害した。75μlのアリコートにより子宮収縮が
完全に阻害され、これは、天然豚−レラキシンA22B
31標準と比較した場合5.3%の鎖結合収率に相当す
る。 【0077】真正のヒト−レラキシンH2;hRLX A
(1〜24)−B(−1〜32)の合成 (i) 全長H2−ヒト−レラキシンB鎖:hRLX B(−
1〜32)の合成 全長H2−ヒト−レラキシンB鎖の残基−1〜+32に
対応するアミノ酸配列を、前記の方法を用いて合成し
た。0.23ミリモル/gのLeuを負荷したN−α−tert
−ブチルオキシカルボニル−L−ロイシンフェニルアセ
タミドメチルポリスチレン樹脂6.4gを用いて開始し
た。A(1〜24)ペプチド及びB(−1〜24)ペプチド
の合成のために使用した側鎖保護基を、全長B鎖合成の
ためにも使用した。これには10位及び22位の両シス
テインのためのS−エチルメルカプト誘導体が含まれ
る。この方法の変法として、27位及び2位の配列にお
けるカップリングのためにBOC−L−トリプトファン
のN−ホルミル誘導体を使用した。鎖形成後のペプチド
−樹脂の最終重量は8.2gであった。ペプチド樹脂の1
部分(4.0g)を、前記の例に記載したようにして無水弗
化水素−アニソールにより処理して、1.50gの粗[S
−チオエチルCys10,22、N−ホルミルTrp2,27]hRL
X B(−1〜32)を得た。粗ペプチドを、0.1M酢
酸中バイオゲルP6によるゲル濾過により精製した。ゲ
ル濾過カラムから溶出する大ピークを、アミノ酸分析に
より特徴付けた。−1〜+32のペプチド配列に一致す
る分析値を有する分画を集め、そして凍結乾燥した。ト
リプトファン残基の脱ホルミル化はペプチド(100mg)
を水酸化ナトリウム溶液(5ml)pH11.5で5分間処理
することにより行った。この間にペプチドが溶液から沈
澱した。この反応混合物を中和してペプチドを溶解し、
0.1M酢酸中バイオゲルP6カラムに直接適用したト
リプトファンからのホルミル基の除去は、300nmにお
けるN−ホルミル吸収の消失と280nmに最大吸収を有
するトリプトファンに特異的なスペクトルの出現をUV
スペクトル分析により追跡することにより監視した。正
しいアミノ酸分析結果を有するカラム溶出分画を集め、
そして凍結乾燥した。調製用HPLCにより[S−チオ
エチルCys10,22]hRLX B(−1〜32)ペプチドを
さらに精製することは、ペプチドがカラムに吸着して減
少するために不成功に終わった。ゲルクロマトグラフィ
ーによって精製したペプチドを、鎖連結実験に直接使用
した。 【0078】(ii) A(1〜24)とB(−1〜32)との
鎖連結:ヒト−レラキシンH2の合成 合成S−スルホン化、及びS−チオエチルH2−ヒト−
レラキシンA(1〜24)ペプチドを、短縮されたB鎖
(−1〜24)と連結させるために前記したのと同じ鎖結
合法を用いて、S−チオエチルH2−ヒトレラキシンB
(−1〜32)とカップリングせしめた。連結混合物のレ
ラキシン生物活性をラット子宮収縮測定法により試験し
た。反応混合物のアリコートは、物質の使用量と関連し
てラット子宮の自発的収縮を阻害した。100μlのア
リコートが子宮の収縮を完全に阻害し、天然の豚レラキ
シンA22B31標準と比較した場合、鎖結合収率3.
0%に相当した。 【0079】参考文献・ Anderson,M.L., Long,J.A.及び Hayashida,T., Immuno
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びヒト−レラキシンをコードする遺伝子配列の特徴付け
に関する。この発明はさらに、ヒト−レラキシン、プロ
レラキシン及びプレプロレラキシンを製造するための組
換DNA技法に関する。 【0002】発明者等は、オーストラリア特許出願第1
7906/83号(PF5352/82,1982年8月
12日出願)においてヒト−レラキシンをコードする遺
伝子配列の分子クローニング及び特徴について記載し
た。発明者等はここに、ヒト−レラキシンをコードする
第2の遺伝子を見出した。さらに詳しくは、この発明
は、分離されそして精製された(クローン化された)、プ
ロレラキシン、プレプロレラキシン、及びヒト−レラキ
シンのA及び/又はB及び/又はCペプチド鎖をコード
するヒト−遺伝子、該遺伝子の分離及び精製方法、並び
に該遺伝子を宿主細胞に移入してそして該宿主細胞中で
複製せしめる方法に関する。クローン化された遺伝子
は、宿主−発現性の原核性又は真核性遺伝子と融合した
場合、宿主細胞により発現される。従って、この遺伝子
は、治療用ヒト−レラキシンの製造に有用である。 【0003】この発明はさらに、ペプチドたるヒト−レ
ラキシン、プロレラキシン及びプレプロレラキシン、こ
れらの配列を構成する個々のペプチド鎖、並びにこれら
のペプチドの変形に関する。この発明はさらに、個々の
レラキシン鎖及び上記のその変形をコードする変形され
た遺伝子に関する。この明細書において引用した文献は
後にまとめて記載してある。 【0004】 【従来の技術】ヒサウ(Hisaw)(1926)の先駆的な研
究により、哺乳動物のペプチドホルモンであるレラキシ
ンの重要な役割が、その恥骨結合弛緩作用及びその作用
に基づく分娩促進作用により示唆された。レラキシン
は、妊娠中に卵巣の黄体中で合成されここに貯蔵され、
そして分娩に先立って血流中に放出される。卵巣を得る
ことにより、豚[ゼームス(James)等、1977、シュ
ワーベ(Schwabe)等、1977]、ラット[ジョーン(Jo
hn)等、1981]、及びサメ(シュワーベ等、1982)
のレラキシンの分離及びアミノ酸配列の決定が可能とな
った。生物学的に活性なホルモンは、ジスルフィド結合
により結合された2つのペプチド鎖(A鎖及びB鎖)から
成り、このジスルフィド結合は、2つの鎖間結合と1つ
の鎖内結合から成る。従って、この構造はジスルフィド
の配置においてインスリンに非常に類似しており、この
ことからこれらのホルモンの遺伝子は先祖を共通にする
と推定される(ゼームス等、1977、シュワーベ等、
1977)。 【0005】ラットレラキシン及び豚レラキシンのいず
れについてもcDNAクローンの分離に組換DNA技法
が適用された[ハドソン(Hudson)等、1981、ハーレ
イ(Haley)等、1982]。なお、オーストラリア特許
出願第11834/83(PF2696/82)を参照の
こと。アミノ酸配列情報を基礎にして調製された合成1
1連ヌクレオチドが、卵巣組織から誘導された試料集団
(ライブラリー)中のレラキシンcDNAクローンを同定
するためのcDNAプローブを合成するためのプライマ
ーとして使用された。該プローブはレラキシンcDNA
配列に関し非常に濃縮されたものである。レラキシン構
造遺伝子は、全体構造においてプレプロインスリンに類
似する単鎖前駆体、すなわちシグナルペプチド/B鎖/
Cペプチド/A鎖をコードすることが見出された。 【0006】オーストラリア特許出願第17906/8
3号において、発明者等は豚レラキシンのCペプチドを
基礎にするプローブを用いるヒト−ゲノムライブラリー
からのレラキシン遺伝子の選択について記載した。この
研究において「H1」と称するゲノムクローンの同定に成
功し、このクローンからヒト−プレプロレラキシンのコ
ード領域全体の構造が決定された。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記特許
出願において記載した遺伝子構造を確認することを意図
した研究の継続により完成したものである。発明者等
は、C−ペプチド/A−鎖(アミノ酸64−161)をコ
ードする領域の約300ヌクレオチドに対応する、すで
に同定されたヒト−H1−遺伝子のセグメントをプロー
ブとして用いて、妊娠した女性(ヒト)の卵巣組織から得
られたライブラリー中のcDNAクローンを研究した。
陽性のcDNAクローンを分離し、そしてその配列を決
定することにより、このcDNA配列はすでに確立した
配列とは異なり、そして先行する特許出願に記載したプ
レプロレラキシンとは異なるプレプロレラキシンの1つ
をコードすることを明らかにした。 【0008】さらに、発明者等は、発明者等の係属中の
オーストラリア特許出願第17906/83号(PF5
352/82)に記載したヒト−ゲノムライブラリーか
ら、H2遺伝子のエクソン1を含有する組換ファージを
分離した。このエクソン1は、H1−遺伝子のそれと同
様に、シグナルペプチド、B−ペプチド、及びC−ペプ
チドの一部分をコードする領域を含んで成る。 【0009】発明者等が「H2」と称してこの明細書に記
載する遺伝子及び発明者等の出願第17906/83号
に記載されている「H1」遺伝子はいずれもレラキシン様
活性を有するペプチドを発現するから、これらの一方又
は両者はヒトの生殖組織、例えば卵巣及び胎盤、及び/
又は腸、脳及び皮膚を含む他の組織(これらに限定され
ない)中で発現されると信じられる。 【0010】卵巣の黄体、並びに脱落膜組織及び胎盤組
織が、レラキシン関連遺伝子が発現する可能性が最も高
い部位である。しかしながら、多くのペプチドホルモン
が広い範囲に分布していることから考えて、レラキシン
遺伝子が脳及び胃腸管を含む非生殖組織においても発現
する可能性が強い。レラキシンは生長因子としての一般
的性質を有し、そして結合組織の性質を変え、平滑筋の
収縮に影響を与えることができる。発明者等は、この明
細書に記載する遺伝子構造及び特許出願第17906/
83号に記載されている遺伝子構造の両者又は一方が体
内に広く分布しているものと信ずる。発明者等は、これ
らの遺伝子により発現されるレラキシンペプチドが、生
殖中のよく知られているホルモン機能のほかに重要な生
理的役割を演ずることを示唆する。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明においては次の
略号を用いる。 H1 :オーストラリア特許出願第17906/83
に記載されているレラキシン遺伝子であって、ゲノムク
ローンに由来する。 H2 :この明細書に記載されているレラキシン遺伝
子であって、cDNAクローンに由来する。 DNA :デオキシリボ核酸 RNA :リボ核酸 cDNA :相補的(コンプレメンタリー)DNA(mRNA
配列から酵素的に合成される。) mRNA :メッセンジャーRNA A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン U :ウラシル 【0012】DNA中のヌクレオチド配列と蛋白質中の
アミノ酸配列とのコード関係は遺伝コードとして全面的
に知られており、次にこれを示す。 【表1】 第1位 第 2 位 第3位 (5'末端) (3'末端) U C A G Phe Ser Tyr Cys U U Phe Ser Tyr Cys C Leu Ser Stop Stop A Leu Ser Stop Trp G Leu Pro His Arg U C Leu Pro His Arg C Leu Pro Gln Arg A Leu Pro Gln Arg G Ile Thr Asn Ser U A Ile Thr Asn Ser C Ile Thr Lys Arg A Met Thr Lys Arg G Val Ala Asp Gly U G Val Ala Asp Gly C Val Ala Glu Gly A Val Ala Glu Gly G 【0013】上の表中に使用するアミノ酸の略号は次の
意味を有する。 【表2】 フェニルアラニン(Phe) ヒスチジン (His) ロイシン (Leu) グルタミン (Gln) イソロイシン (Ile) アスパラギン (Asn) メチオニン (Met) リジン (Lys) バリン (Val) アスパラギン酸(Asp) セリン (Ser) グルタミン酸 (Glu) プローリン (Pro) システイン (Cys) スレオニン (Thr) トリプトファン(Try) アラニン (Ala) アルギニン (Arg)チロシン (Tyr) グリシン (Gly) 【0014】表中に示した各3文字コードン、例えばA
UG、CAU(デオキシヌクレオチドトリプレット又は
ヌクレオチドトリプレットとしても知られている)は、m
RNAのトリヌクレオチドに対応し、左側に5'末端を
有し、右側に3'末端を有する。文字は、ヌクレオチド
配列を形成するプリン塩基又はピリミジン塩基を示す。
この明細書に記載するすべてのDNA配列は鎖状を成し
ており、その配列はmRNA配列に対応し、但し、ウラ
シル(U)の代わりにチミン(T)を含んでいる。 【0015】この発明を図面と関連させてさらに説明す
る。図1は、pBR322中のcDNAクローン、ゲノム
クローンH11、及びGT10cDNAクローンa〜fに
おける省略された制限地図、及び配列決定方法を示す。
矢印は、末端標識した断片の配列決定の方向を示す(方
法参照)。GT10クローンa〜fは後記のごとくM13
ベンターにサブクローニングすることにより配列決定し
た。ヌクレオチドの番号は開始コドンAUG(1〜3位)
から終結コドン(554〜556位)に向けて付してあ
る。 【0016】図2〜図5はヒト−H2−プレプロレラキ
シン(上)のアミノ酸及びmRNA配列を、対応するH1
の配列(下)と対比したものである。相同性が最大になる
ように重ね合わされており、同一のヌクレオチドには*
印が付されており、同一のアミノ酸は箱で囲んである。
アミノ酸の番号はB−鎖の出発部から付されている(H
2配列は−1から出発し、H1配列は+1から出発す
る)。この位置はB鎖の配列の仮定的な出発部を示すも
のであり、関連する豚及びラットのプレプロレラキシン
構造に対する相同性から単純に導いたものである。Cペ
プチド中の45番目のAlaの下の*印は、両遺伝子のG
/CA間にイントロンが位置することを示している。 【0017】図6および図7は、同一のニトロセルロー
スストリップのラジオオートグラフであり、図6はヒト
−卵巣RNA、図7はH1遺伝子(λH7)又はH2遺伝
子(λGT10−a)に対応するλプラックのナサン(Nor
thern)ゲル泳動を示し、それぞれA:ランダムプライム
600bpH2レラキシンcDNA断片(72〜660)、
B:H2特異的25連(483〜507)、C:H1−特
異的25連(483〜507)、D:H1特異的25連
(248〜272)をハイブリド形成プローブとして使用
したものである。 【0018】図8は、ハイブリド形成プローブとしてp
BR322(図1参照)中のH2cDNAクローンの断片
を使用したヒト卵巣RNAのナサン(Northern)ゲル泳
動の同じニトロセルロースストリップのオートラジオグ
ラフである。 A:コード領域のほとんどに対応する600bp断片(7
2〜660)。 B:5'非翻訳領域(ヌクレオチド30のHinfI部位ま
で)。 C:3'非翻訳領域(ヌクレオチド660のHinfI部位
から)。 D:3'非翻訳領域(ヌクレオチド850のHpaI部位か
ら)。 【0019】図9〜図10は、A鎖及びB鎖のアミノ酸
配列を、2種のヒト−レラキシン、ヒト−インシュリ
ン、及びその他のレラキシン類の間で比較したものであ
る。箱で囲んだ領域は2種のヒト−レラキシン及びその
他のレラキシン類の間で保存されている残基を示す。矢
印は蛋白質が切断される可能性がある部位を示したもの
であり、豚[シュワーベ(Schwabe)等、1977、ゼー
ムス(James)等1977]、ラット[ジョーン(John)等
1981]、サメ[シュワーベ等、1982]、及びツノ
ザメ[シュワーベ等、1983]のレラキシン類のA鎖及
びB鎖のアミノ末端残基の蛋白質配列データにより確認
したものである。 【0020】図2〜図5に示すH2−mRNAの配列は
後記の方法により決定した。比較を容易にするために、
H1配列から誘導されるペプチドについて使用したアミ
ノ酸の番号がこの発明のH2−誘導ペプチドについても
維持されている。H1−プレプロレラキシンの構造は、
豚レラキシン及びラットレラキシンの相同構造と比較す
ることにより、ゲノム配列から導いた。H2−プレプロ
レラキシンの構造は、H1の構造並びに豚レラキシン及
びラットレラキシンの構造と比較比することにより導い
た。A及びBペプチド鎖の構造を、合成、及び子宮収縮
試験において生物学的に活性である物質を生成する鎖連
結(試験管内)により確認した。 【0021】図2〜図5から、この発明の配列と先行発
明のそれが、類似性と共に有為な相違を有することが明
らかである。注目すべき点は次の通りである。 (1) 3つの主要領域におけるアミノ酸の有意な相違;
(a) B鎖のN末端、(b) A鎖のN末端、(c) Cペプ
チドの中間、 (2) B鎖及びCペプチド中の強相同性領域;(a) Val
6〜Ile47の120塩基が同一であり、(b) Phe101〜
Ser132の88〜90塩基が同一である。 従って、2種の遺伝子は非常に類似しているが、H2−
遺伝子がたしかに第2の遺伝子であり、単にH1遺伝子
のポリモープではないことを示すに十分な相違が存在す
る。 【0022】H1−プレプロレラキシンの生体内プロセ
シングの態様は十分には解明されていないが、豚レラキ
シンとの類似性から、シグナルペプチドの切断はAla-1
−Lys1結合において生ずると予想される。同様に、H
1−Cペプチドの切り離しはLeu32−Ser33、及びArg
136−Arg137において生じ、これにより、それぞれ32
残基及び24残基のH1−B鎖及びH1−A鎖が生ずる
と予想される(図2〜図5)。 【0023】H2−プレプロレラキシンにおいてはAla
-1がAspにより置き換えられているので、H1における
−2位に対応するアラニンの後でシグナルペプチドが切
断されると予想される。H2−B鎖/Cペプチド結合の
切断はLeu32の後で生じ33残基を有するH2−B鎖が
遊離することが、他のすべてのプレプロレラキシンとの
類似性から推定される。H2−Cペプチド/A鎖結合の
切断はArg136の後で生じ24残基のH2−A鎖が遊離
することが、ラット−プレプロレラキシンとの類似性か
ら推定される。 【0024】豚レラキシンについての発明者等の研究に
よれば、豚レラキシンB鎖及びA鎖中に、生物学的活性
のために必須のすべての要素を含有するコア−配列が存
在する。ヒト−レラキシン鎖についての発明者等の合成
研究においても同様の結果が得れた。これは、後に詳細
に記載する。 【0025】この発明の1つの観点に従えばヒト−プレ
プロレラキシン発現遺伝子が提供される。特にことわら
ない限り、プレプロレラキシン、プロレラキシン、レラ
キシン、及びシグナルペプチド、Aペプチド、Bペプチ
ド、及びCペプチドのための遺伝子配列、並びにペプチ
ドそれ自体についての以下の記載は、H1に関してでは
なくH2に関する。さらに詳しくは、この発明のこの観
点に従えば、図2〜図5に示す完全mRNA(コードン−
25〜160)配列に対応するコード鎖及び相補鎖を含
んで成る、ヒト−プレプロレラキシンの発現のための二
重鎖DNA断片が提供される。 【0026】この発明はさらに、この明細書に記載する
H2−プレプロレラキシン遺伝子配列の任意のサブユニ
ット、又は該配列もしくはそのサブユニットの同等物を
含む。これらのサブユニットの中には、シグナルペプチ
ド、及びヒト−プレプロレラキシンのH2−A、H2−
B、及びH2−C鎖(図2〜図5)をコードする個々の構
造遺伝子を含む遺伝子、並びにこれらの鎖の任意の組合
わせをコードする遺伝子、例えばH2−A及びH2−B
ペプチド鎖を別個に発現する遺伝子、又は(C鎖と共に)
プロレラキシンとして発現する遺伝子が含まれる。 【0027】この発明の他の観点に従えば、ヒト−プロ
レラキシンを発現する遺伝子が提供される。さらに詳し
くは、この発明の上記の観点に従えば、図2〜図5に示
すmRNA配列の1〜160のコドンに対応するコード
鎖及び相補鎖を含んで成るヒト−プロレラキシンを発現
する二重鎖DNA断片が提供される。 【0028】この発明の他の観点に従えば、ヒト−レラ
キシンのA,B及びC鎖、又はこれらの鎖の2以上の任
意の組合わせを個別に発現する遺伝子、及び任意の断片
又は前記の鎖の断片の組合わせが提供される。さらに詳
しくは、この発明の上記の観点に従えば、図2〜図5に
示すmRNA配列の−1〜32、33〜136、及び1
37〜160のコードに対応するコード配列及び相補配
列を含んで成り、ヒト−レラキシンのA鎖及び/又はB
鎖及び/又はC鎖を個別に発現する二重鎖DNA断片が
提供される。 【0029】上記の遺伝子は、特定されたコドンのほか
に適当な「開始」コドン及び「終結」コドン、すなわち、そ
れぞれAUG及びUGA(図2〜図5における−25及
び161のコドン)を含むであろう。 【0030】当業者はこれらの遺伝子の多形(polymorph
icforms)が存在することを認めるであろう。このような
多形もこの発明に含まれる。 【0031】この発明はさらに、前記の配列、サブユニ
ット又は同等物、及び対応するRNA配列、サブユニッ
ト又は同等物の相補体をも包含する。 【0032】この発明の他の観点に従えば、前記の遺伝
子に対応するデオキシヌクレオチド配列を副で成るDN
A移転ベクターが提供される。 【0033】前記のごとく、遺伝コードは重複性を有す
る。すなわち、あるアミノ酸は複数のコドンによりコー
ドされる。従って、この発明は、図に示したコドンが同
じアミノ酸をコードする他のコドンによって置き換えら
れているデオキシヌクレオチド配列を包含する。 【0034】さらに、すでに記載したごとく、天然レラ
キシンのB鎖及び/又はA鎖構造と構造を異にし、レラ
キシン活性を有するペプチドを製造することができる。
この構造の差異には、天然鎖中の1個又は複数個のアミ
ノ酸の除去及び/又は付加及び/又は置換が含まれる。
従って、この発明はさらに、天然コドンが除去されてお
りそして/又は天然コドンによってコードされるアミノ
酸と異なるアミノ酸をコードするコドンにより置き換え
られておりそして/又は天然配列に追加のコドンが付加
されている前記の遺伝子及びDNA移転ベクターをも包
含する。 【0035】この発明の移転ベクターはさらに、特に、
宿主細胞に移入された場合に自己の複製を保障する遺伝
情報を含有する。この宿主細胞には、例えば原核微生物
の細胞及び真核細胞、例えば細菌、酵母、糸状菌の細
胞、哺乳動物の細胞、及びセルラインが含まれる。 【0036】細菌遺伝学において一般に使用される移転
ベクターの例にはプラスミド及びある種のバクテリオフ
ァージのDNAが含まれる。この発明においてはファー
ジDNA及び細菌プラスミドの両者を使用した。しかし
ながら他のタイプの移転ベクターを使用することができ
ることが理解できよう。このような移転ベクターを形成
し、そしてこれを微生物に導入する一般的な方法はよく
知られている。 【0037】この発明はさらに前記の移転ベクターのい
ずれかにより形質転換された原核細胞及び真核細胞を包
含する。非常に親しまれているエッセリヒア・コリ(Es
cherichia coli)が好ましい微生物の1つであるが、他
の任意の適当な微生物を使用することもできる。 【0038】この発明の他の観点に従えば、ヒト−プレ
プロレラキシンをコードするデオキシヌクレオチド配列
を、制限酵素によって移転ベクターを切断することによ
り調製されたDNA分子と連結することを特徴とする、
ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキシヌクレ
オチド配列を維持しそして複製するために使用するDN
A移転ベクターの製造方法が提供される。 【0039】同様にして、適当なデオキシヌクレオチド
から、ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキシ
ヌクレオチド配列、並びにヒト−レラキシンのA鎖及び
B鎖をコードするデオキシヌクレオチド配列を維持し、
そして複製するために使用するDNA移転ベクターを調
製することができる。 【0040】Aペプチド鎖及びペプチド鎖、並びにプロ
レラキシン及びプレプロレラキシンは、通常の遺伝子発
現方法により、すなわち適切に導入された移転ベクター
を含有する細胞を増殖せしめ、そして該細胞により生産
された目的ペプチドを分離し、そして精製することによ
り製造することができる。 【0041】この発明はさらに、上記の方法により調製
された、ヒト−プレプロレラキシンをコードするデオキ
シヌクレオチドを含んで成る発現移転ベクターにより形
質転換された細胞を培養することを特徴とする、C末端
配列としてヒト−プレプロレラキシンのアミノ酸配列を
含みそしてN末端配列として真核性又は原核性蛋白質の
一部分を含んで成る融合蛋白質の製造方法を包含する。
同様にして、ヒト−プロレラキシン及び/又はヒト−レ
ラキシンのA鎖及び/又はC鎖を含んで成る融合蛋白質
を製造することができる。こうして得られた融合ペプチ
ド生成物は、所望のペプチドが宿主に特異的な原核性又
は真核性蛋白質の一部に連結された融合蛋白質の形で存
在するであろう。このような融合蛋白質も又この発明を
構成する。 【0042】この発明はさらに、前記の方法により調製
された前記のヒト−プロレラキシンをコードするデオキ
シヌクレオチド配列を含んで成る発現移転ベクターによ
り形質転換された細胞を、ヒト−プロレラキシンをコー
ドする前記の配列の発現に適する条件下で培養し、そし
て前記細胞の分解物又は培養液からヒト−プロレラキシ
ンを精製することを特徴とする、Cペプチドにより相互
に分離されたAペプチド及びBペプチドを含んで成るヒ
ト−プロレラキシンの合成方法をも包含する。 【0043】任意の適当な公知の切断法により、融合生
成物から目的ペプチドを回収することができる。 【0044】すでに記載したごとく、コドンの除去/置
換/付加により移転ベクターを変形することができ、こ
のような変形により変形された融合ペプチドが生ずる。
このようにして適当な変形を行うことにより、融合ペプ
チドの切断、例えばB/CもしくはC/A鎖結合部にお
ける切断を促進し、又は次に行う化学的もしくは生物学
的処理の間におけるペプチド鎖の挙動を変えることがで
きる。 【0045】前記のごとく、この発明はさらにヒト−レ
ラキシン、プロレラキシン及びプレプロレラキシンを提
供する。 【0046】レラキシンは、インスリンの製造のために
現在知られている任意の方法により別々のA鎖及びB鎖
を直接結合することにより製造することができる。又、
インスリンの場合と同様に、前記のようにして製造され
たレラキシンのAペプチド及びBペプチド上のスルヒド
リル基を酸化するか、又は他の方法で転換して該Aペプ
チド及びBペプチド間にジスルフィド架橋を形成させ、
そして次にCペプチドを除去することにより、例えばC
ペプチドとA及びBペプチドとの間の結合に特異的な酵
素的加水分解により除去することにより、プロレラキシ
ンからレラキシンを製造することができる。 【0047】従って、この発明はさらに、レラキシンの
A鎖及びB鎖(完全な長さにおいて、又は短縮されたも
しくは変形された形において)を、ヒト−インスリンの
A鎖及びB鎖の結合のために知られている方法によって
結合せしめることから成るヒト−レラキシンの合成方法
を提供する。この方法の1つは、S−スルホン化された
A鎖及びB鎖の混合物を還元し、そして次にこの混合物
を空気中で酸化することから成る。 【0048】発明者等はさらに、A鎖及びB鎖の一方又
は両方がS−スルホ形ではなくS−チオエチル−cys誘
導体の形である場合に上記方法の効率が改良されること
を見出した。 【0049】発明者等は、オーストラリア特許出願第1
5413/83号(PF4385/82)において、生物
学者活性の有意な喪失を伴わないでレラキシンのA鎖及
びB鎖の一方又は両者のアミノ末端及び/又はカルボキ
シ末端を短縮することができ、これにより結合収率を改
良することができることを示した。 【0050】この発明の他の観点に従えば、短縮されそ
して/又は変形された天然Bペプチド鎖及び/又はAペ
プチド鎖により本質上構成されるヒト−レラキシン類似
体が提供される。 【0051】この発明の上記の観点に従えば、短縮され
そして/又は変形されたBペプチド鎖及び/又はAペプ
チド鎖を形成し、そして次に上記の任意の方法によって
前記のペプチド鎖を結合せしめる段階を含んで成るヒト
−レラキシン類似体の製造方法が提供される。 【0052】豚及びヒト−レラキシン(H1)を用いた発
明者等の研究により、レラキシン活性はA(10〜24)
から成る短いA鎖及びB(10〜22)からなる短いB鎖
により生ずることが示された。もっとも、期待される実
際的な最小鎖はA(4〜24)及びB(4〜23)であ
る。ペプチドA(4〜24)−B(1〜25)がレラキシン
活性を有することはすでに知られている。 【0053】一般に、この発明のレラキシン構造(H2)
においては、A鎖はA(1〜24)ないしA(10〜24)
の範囲で変化することができ、B鎖はB(−1〜32)な
いしB(10〜22)の範囲で変化することができる。 【0054】好ましい組合わせは 【化12】 から誘導される。 【0055】この発明におけるB鎖及び/又はA鎖の変
形は、前記の「遺伝的」変形、及びこの発明の結合に先立
つB鎖及び/又はA鎖の化学的変形(完全な長さにおけ
る又は短縮された形における)が含まれる。2つのタイ
プの変形を単独で又は組合わせて用いることができる。 【0056】第1のタイブの変形は、天然の又は短縮さ
れたB鎖及び/又はA鎖における1個又は複数個のアミ
ノ酸の変形に関する。一般にこのような変形にはそれ自
体公知の方法による1個又は複数個のアミノ酸上の活性
基の保護が含まれ、そして所望により、保護基は(変形
された)A鎖およびB鎖の結合の後除去される。このよ
うなタイブの変形の例には、N末端アミノ基を含む遊離
アミノ基のアセチル化、ホルミル化もしくはこれらと同
様の保護、C末端基のアミド化、又はヒドロキシル基も
しくはカルボキシル基のエステル形成が含まれる。ホル
ミル基が容易に除去される保護基の典型例である。 【0057】第2のタイブの変形には、B鎖及び/又は
A鎖中の1個又は複数個の天然アミノ酸の他のアミノ酸
(D−型の天然アミノ酸を含む)による置換が含まれる。
この一般的タイブの変形には又、鎖からの天然アミノ酸
の除去、又は1個又は複数個のアミノ酸の鎖への付加が
含まれる。このような変形の目的は、生成物、すなわち
レラキシンもしくはその類似体の活性を維持しながらA
鎖及びB鎖の結合収率を上昇せしめること、又は所定の
結合収率において生成物の活性を上昇せしめ又は変える
ことにある。このような変化は、レラキシン遮断効果又
はレラキシン拮抗効果を有する合成類似体の製造にも適
用することができよう。 【0058】第1のタイブの変形の特定の例はホルミル
基の付加によるB2のトリプトファン残基の変形であ
る。第2のタイブの変形の特定の例は、B24のメチオ
ニンのノルロイシン(Nle)、バリン(Val)、アラニン
(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)又はホモセリン
(Homo Ser)による置換である。 【0059】上記の観点において、この発明は、この発
明に従って上記のごとく変形された天然の又は短縮され
たB鎖及び/又はA鎖から形成されるヒト−レラキシン
類似体を包含する。 【0060】Aペプチド鎖及びBペプチド鎖、並びにさ
らにプロレラキシン及びプレプロレラキシンは通常の遺
伝子発現法により、すなわち適当に形成された移転ベク
ターを含有する微生物を増殖せしめ、そして該微生物に
より生産された目的ペプチドを分離しそして精製するこ
とにより製造することができる。こうして得られたペプ
チド生成物は、目的ペプチドが原核性蛋白質の一部と連
結されている融合蛋白質の形で存在することができる。 【0061】 【実施例】次に、実験方法及びそれにより得られた結果
を記載することによりこの発明をさらに具体的に説明す
る。方法及び材料 メッセンジャーRNAの分離及びcDNAのクローニン
グ 子宮外妊娠の治療のための外科処置中に得たヒト−卵巣
組織をドライアイス上で急速に凍結し、そしてチルグウ
ィン(Chirgwin)等1979、の方法に従って5Mグア
ニジウムチオシアナート(メルク)中にRNAを分離し
た。ポリ−A+RNAを、ウイッカーズ(Wickers)等、
1978、の方法により、2重鎖DNAに転換し、そし
てホモポリマーG/Cテーリング法によってpBR32
2プラスミドベクター[チャン(Chang)等、1978]に
クローニングし、又はλGT10ベクター[ヒューン(H
uynh)等、1983]を用いるラムダパッキング法により
クローニングした。発明者等の経験においては、pBR
322法による形質転換効率(104の組換体/μgのcD
NA)はラムダ法(106以下の組換体/μgのcDNA)に
比べて低かった。 【0062】ハイブリド形成プローブの調製 子牛胸腺DNAの変性したランダムプライマーを用い
て、種々のDNA断片上でのプライム合成により放射能
標識プローブを調製したハドソン等(1983)、テイラ
ー等(1976)。DNAテンプレート(100〜200n
g)をランダムプライマー(1μg)と共に20μlの水中で
2分間煮沸することにより変性した。50mM Tris−
HCl pH8.0、50mM NaCl、1mM DTT、10
mM MgCl2、5ユニットのE.コリ(E.coli)DNAポ
リメラーゼ1[クルノウ(Klenow)フラグメント]、50
0μMずつのdCTP、dGTP、dTTP、及び0.3μ
Mのα−(32p]−dATP(約3000Ci/ミリモル、ア
マーシャム)を含有する30μlの反応混合物を加えるこ
とにより合成を開始した。37℃にて30分間インキュ
ベートした後、0.3M NaCl、10mM Tris−HC
l、pH8.0、1mM EDTAを含有する緩衝液300
μl中に希釈することにより反応を停止し、そして前記
緩衝液中セファテックスG50のカラム(1cm×5cm)を
通した。放射能標識されたプローブをボイドボリウムに
おけるピーク分画から集め、そしてtRNA(10μg)を
担体として用いて2容量のエタノールにより−20℃に
て2時間沈澱せしめた。 【0063】特異的cDNAクローンの選択 ヒト−卵巣cDNAクローンバンクからレラキシン特異
的配列をスクリーニングするために、すでに同定されて
いるヒト−H1遺伝子のセグメントをプローブとして使
用した。これは、Cペプチド、A鎖のアミノ酸64から
終結コドンまで及び3'非翻訳領域の80塩基をコード
する400ヌクレオチドのセグメントに対応する。pB
R322ライブラリーから1個の陽性cDNAクローン
を分離し、そして配列決定した。λGT10ライブラリ
ーから23の特異的組換体を分離したが、これらの内6
個のみを完全ヌクレオチド配列分析にかけた。 【0064】DNA分析 配列決定の方針及びcDNAクローンの省略された制限
地図を図1に示す。pBR322中の組換プラスミドを
制限酵素HpaII(P)、HinfI(F)又はTaqI(T)を用
いて消化し、そして逆転写酵素及び適当なα−標識デオ
キシヌクレオチドトリホスフェート(HpaII及びTaqI
のためにdCTP、HinfIのためにdATP)を用いて末
端標識した。断片を第2の制限エンドヌクレアーゼによ
り内部的に切断し、そして次に8%ポリアクリルアミド
ゲル上での電気泳動により分離し、そしてマクサム(Ma
xam)及びジルバート(Gilbert)等の化学的分解法(19
77)により配列決定した。λGT10中のcDNAクロ
ーンは、EcoRI制限断片をM13mp9にサブクローニ
ングし、そしてサンガー(Sanger)等(1977)により
記載された方法を用いて配列決定した。 【0065】サザン(Southern)及びナサン(Northern)
ゲル分析 制限エンドヌクレアーゼ切断の後、精製されたゲノムD
NAについてサザン法(1975)により、又は精製され
たRNAについて実施した。プローブとして使用したD
NA断片は、少量のフランク配列を有していたがH1−
ゲノムクローンのエクソンI又はエクソンIIのいずれか
に特異的であった。これらのフラグメントは、エクソン
Iのプローブの場合にはλH7クローンの500bpAlu
I断片を、エクソンIIの場合には400bpのEcoRI−
AvaII断片を、M13mp8にサブクローニングすること
により得た。H2cDNAクローンからのプローブは、
HinfIで消化し、そしてAspIから終結コドンまでの
コード領域及び3'非翻訳領域の110塩基に対応する
300bp二重鎖(図1)を分離するとにより得た。オリゴ
ヌクレオチドプローブは、ビューケージ(Beaucage)及
びカルサース(Caruthers)のホスフィット法により合成
し、そしてγ−32P−ATPによりT4ポリヌクレオチ
ドキナーゼを用いて末端標識した。ハイブリド形成条件
はG+Cの含量を基礎にして計算した。 【0066】H2ゲノムクローンの分離しヌクレオチド
配列分析 ラウン(Lawn)等(1978)のヒト−ゲノムラムダライ
ブラリーをすでに記載されている方法[ハドソン(Hudso
n)等、1983]によりスクリーニングした。但し前記
のように、プローブのためにH1ゲノムクローンのエク
ソンI及びIIに対応するDNA断片の混合物を使用し
た。陽性ファージをl規模の液体培養中に増殖せしめ、
DNAを分離し、そして制限エンドヌクレアーゼで消化
し、そしてエクソンI及びIIのプローブを用いてマッピ
ングした。4kbのEcRI断片が全エクソンIコード領
域を含有していることが見出され、これによりこのクロ
ーンが相同のH1遺伝子構造と区別された。このクロー
ンをM13mp8にサブクローンし、そしてマクサム及び
ジルバートの方法(1977)により配列決定した。Ava
Iにより消化した後、コード領域を包含する断片を末端
ラベルし、そして第2の制限酵素(HpaII又はHinfI)
により内部的に切断し、配列分析に適当な断片を生成せ
しめた。 【0067】cDNAクローンの分離 ヒト−黄体試料を、子宮外妊娠の外科的処置の結果とし
て、又は帝王切開におけるレテクトミー(lutectomy)か
ら得た。1つの黄体から分離したRNAからpBR32
2中にcDNAライブラリーを作成し、約300の特異
的組換体を得た。このライブラリーをH1−cDNAプ
ローブによりスクリーニングすることにより、ヒト−レ
ラキシンIに相同な配列を有する1つの組換体が明らか
になった。このような少量の卵巣組織からさらに多くの
組換体を得るために、λGT10クローニング系(ヒュ
ーン等、1983)を用いてcDNAライブラリーを作成
した。レラキシン特異的プローブを用いてスクリーニン
グした結果、23の特異的なcDNAを同定し、この内
6個を図1に示すように特徴付けた。ヌクレオチド配列
分析により6個のcDNA組換体のすべてが同じレラキ
シン構造遺伝子の断片をコードしていた(図2〜図5)
が、この配列はすでに報告されているゲノムクローン
[ハドソン(Hudson)等、1983]と異なっていた。こ
の新規な配列は、ゲノムDNA中に観察されている第2
のヒト−レラキシン遺伝子(H2)に対応すると予想され
る。驚くべきことに、pBR322及びλGT10中のc
DNAクローンのサイズ(それぞれ、1800bp及び1
900bp)はクローニング操作中に大きな転写生成物が
合成されたことを示すが、cDNAクローンのいずれも
が3'末端にポリアデノシン配列を有していなかった。
これら2つのcDNAクローンは3'末端に重複配列を有
しており、これらが同一のmRNA構造から誘導された
ことが確認された。ポリA−テールが存在しないのは、
クローニング操作中に二重鎖形成転写反応が早く停止し
たためか、S1ヌクレアーゼの過剰な分解のためであろ
う。 【0068】第2の遺伝子に対応するゲノムクローンの
分離 λH7レラキシンクローンのエクソンI又はIIに特異的
な混合プローブを用いることにより、ラウン(Lawn)等
(1978)のヒト−ゲノムライブラリーからの108個
の組換ファージを厳密にスクリーニングして16の陽性
ファージを得た。小規模な制限地図分析により、これら
の組換体ファージの内14個がすでに報告されているH
Iレラキシン遺伝子に対応した[11個がλH7ゲノム
クローンと同じであり、3個がハドソン等(1983)に
よりすでに報告されているようにH1遺伝子の別のゲノ
ムクローンであるλH5と同じである]。しかし、他の
2個の組換体ファージは同じであり、そして図1に示す
H2レラキシン遺伝子に特異的な制限パターンを有して
いた。組換体の比率が異常なのは、もとのゲノムライブ
ラリーにおけるこれらの比率のためか、又は増幅中の選
択的増殖のためである。この新規な組換体ファージ(λ
H11)を、λH7クローンのエクソンI又はIIに対応
する別々のプローブを用いてサザンブロット分析するこ
とによりλH11がエクソンIコード領域のみを含有す
ることが明らかになった。ラウン等(1978)のライブ
ラリー、又は他のライブラリー[R.クラウフォード(C
rawford)、未発表]中でH2−レラキシン遺伝子に対応
する全長ゲノムクローンを見出す試みはまだ成功してい
ない。λH11のレラキシンコード領域のヌクレオチド
配列は図2〜図5に示すcDNAクローン中に観察され
る配列と同じであった。イントロンが、λH7ゲノムク
ローンの場合と全く同じ位置でコード領域を中断してお
り、これらの遺伝子が進化のある時点での遺伝子の二重
化により生じたことが示唆される。 【0069】ナサン(Nouthern)ゲル分析 子宮外妊娠の外科処置中に、又は帝王切開の手術中に異
なる個体から得たヒト−黄体の幾つかの試料からRNA
を分離した。いずれかのレラキシン遺伝子のコード領域
からのプローブを用いるナサンゲル分析により、試験し
た5個のヒト−卵巣RNA試料中に、約1000bp及び
2000bpのサイズの2つの大mRNAが存在すること
が明らかになった(図6および図7)。試験したRNA試
料中に小さい方のmRNAは2〜3倍多く、この結果は
分析においてH1−レラキシンに対応するプローブを用
いるかH2−レラキシンに対応するプローブを用いるか
によって変わらず、この実験条件下では高い交差ハイブ
リド形成が生ずることが示された。これら2種のmRN
AがH1遺伝子及びH2遺伝子のそれぞれの生成物のい
ずれを代表するかを区別するため、2つのレラキシン遺
伝子の間で相同性が最小(60%)の領域(図2〜図5に
おける残基137〜144)にわたるオリゴヌクレオチ
ドプローブを合成した。これらの合成25連ヌクレオチ
ドを、γ−32P−ATPを用いるキナーゼ反応により放
射性標識し、そしてH1遺伝子又はH2遺伝子に特異性
を供することが示される条件下でハイブリド形成プロー
ブとして使用した(図6および図7)。これらの放射能標
識したプローブを用いるナサンゲル分析により、いずれ
のmRNAもH2遺伝子生成物に対応することが明らか
になった。これらの特異的プローブを用いてH1遺伝子
からの転写生成物プローブを用いてH1遺伝子からの転
写生成物を検出することはできなかった。もっとも、低
いレベルの発現(H2レベルの5%未満)を同定すること
は困難である。H2遺伝子からの異なるmRNA転写生
成物を分析するために、2つの大H2cDNAクローン
のセグメントから、コード領域、5'非翻訳領域、及び
3'非翻訳領域に対応する特異的プローブを調製した(図
8)。大きい方のmRNA転写生成物(約2kbの長さ)が選
択的に両cDNAクローン由来の3'非翻訳領域セグメン
ト(終結コドンから約100塩基の位置から)とハイブリ
ド形成した。cDNAクローンのヌクレオチド配列(停止
コドンから140塩基)中にポリアデニル化シグナルが
存在する可能性があり、そしてこの領域は豚−レラキシ
ンポリアデニル化部位に対する相同性を有する。しか
し、短い方のmRNA生成物がこの位置の近くでポリア
デニル化されているか否かの問題は、両mRNAに対応
する全長cDNAクローンが分離され、そして特徴付け
られるまでは解決することができない。H2遺伝子のゲ
ノム配列が不明である限り、2つのmRNA転写生成物
を生成する機構を明らかにすることはできない。コラー
ゲン遺伝子及びβ−ミクログロブリン遺伝子と同様に、
一次RNA転写生成物の切断が他のポリアデニル化部位
において生ずる可能性がある。他方、カルシトニン遺伝
子、生長ホルモン遺伝子及びα−クリスタリン遺伝子に
おいても生ずるような他のスプライシング機構を除外す
ることはできない。 【0070】H2遺伝子によりコードされるプレプロレ
ラキシンの一次構造 ヒト−プレプロレラキシン遺伝子の生体内プロセシング
の態様はまだ十分には理解されておらず、豚−及びラッ
ト−プレプロレラキシンとの類似性(図9〜図10)によ
り推定するほかない。図9〜図10において、H1遺伝
子及びH2遺伝子の予想されるA鎖及びB鎖構造が、他
のレラキシン類及びヒト−インスリンのそれに重ね合わ
せてある。H1におけるシグナルペプチドの切断は、A
la−1、−2もしくは−4などの短い側鎖残基の後で、
又はSer−6の後で生ずると予想されている(ハドソン
等、1983)。Ala−1の後での切断は、豚プレプロ
レラキシン及びヒト−プレプロインスリンとの相同性と
一致する。同様に、H2−シグナルペプチドの切断は、
Ala−4又はSer−6の後で生ずる可能性もあるが、前
記の類似性からAla−2の後で生ずると予想される。ラ
ット−及び豚−プロレラキシンとの類似性により、B鎖
/Cペプチド結合の切断は、H1前駆体及びH2前駆体
のいずれにおいてもLeu32の後で生ずるであろう。し
かしながら、いずれのヒト−レラキシンB鎖も29−3
0位に保存されたジ塩基配列Lys−Argを有し、この配
列が他のプロホルモンたとえばプロインスリンにおける
プロセシング部位であることが知られており、この部位
での切断を除外することはできない。このことを確定す
るためには、妊婦の黄体から分離したレラキシンの直接
アミノ酸配列分析を行うことが必要であろう。ともか
く、H1−B鎖構造の長さは32残基(Lys1〜Leu3
2)でありH2−B鎖のそれは33残基(Asp−1〜Leu
32)である可能性が最も強い。H1−プロレラキシン
のCペプチド/A鎖の切断は、4個の塩基性残基中のA
rg136の後で生ずると予想されている(ハドソン等、
1983)。137−138におけるArg−Proイミド
結合は蛋白質分解に対して耐性を有するからである。H
2−プロレラキシンは同じ4塩基性残基の配列を有し、
そしてArg136の後で同様のプロセシング段階が生
じ、これによりH1及びH2のレラキシンA鎖の長さは
いずれも24残基であろう。 【0071】H2−遺伝子の生物学的活性 合成された豚レラキシンペプチドについての先行する研
究において示されるように、豚−レラキシンA鎖及びB
鎖中には、生物学的活性のために必須の要素であるコア
−配列が存在する。発明者等のH1−レラキシンペプチ
ドについての合成研究により、完全H1−A鎖(Arg1
37〜Cys160)と短縮された形のH1−B鎖(Lys1
〜Ser25)との組み合わせにより製造された物質が生
物学的活性を有することが示された(ハドソン等、19
83)。ペプチド合成を用いるH1−及びH2−遺伝子
構造についての研究により、いずれの遺伝子も、ラット
を用いる子宮収縮測定において生物学的活性を有する形
のレラキシンをコードすることが示された。 【0072】変性させたヒト−レラキシンH2(hRL
X)A(1〜24)−B(−1〜24)の合成 (i) ヒト−レラキシンA鎖、H2−hRLX A(1〜2
4)の合成 前記のcDNAクローンのヌクレオチド配列から推定さ
れたヒト−レラキシンA鎖の1〜24の残基に対応する
アミノ酸配列を、メリフィールド(Merrifield)[例え
ば、バラニー(Barany)G.及びメリフィールドR.B.,
The Peptides,E.Gross及びJ.Meienhofer,アカデ
ミック・プレス,ニューヨーク,1〜284頁,1980
年]により記載された一般的原理による固相法により合
成した。N−α−tert−ブチルオキシカルボニル*−4
−メチルベンジル−L−システイン(*BOCと略す)
を、タム(Tam)等の方法(Synthesis12,955〜95
7,1979年)を用いて、フェニルアセトアミドメチル
(PAM)結合を介して1%架橋ポリエチレン樹脂に、
0.30ミリモル/g樹脂のレベルでカップリングせしめ
た。BOC−L−CYS−PAAM樹脂(8.0g)を、ベ
ックマンモデル990ペプチドシンセタイザーの反応容
器に入れ、そしてそれぞれ適当な保護アミノ酸を段階的
に付加することによって残基23から1までのアミノ酸
配列を組み立てた。各アミノ酸のアミノ末端BOC保護
基は、塩化メチレン中35%トリフルオロ酢酸により3
0分間樹脂を処理し、そして次に、塩化メチレン中5%
ジイソプロビルエチルアミンにより15分間中和するこ
とにより除去した。それぞれの処理の後、塩化メチレン
により樹脂を十分に洗浄した。配列中の次のアミノ酸
(α−アミノ基がBOC基により適当に保護されてお
り、必要により側鎖官能基が適当に保護されている、)
を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用し
ながら樹脂にカップリングせしめた。樹脂を塩化メチレ
ン中アミノ酸と共に10分間撹拌し、その後で塩化メチ
レンに溶解したDCCを導入した。各カップリングのた
めに2.5モル過剰(6.0ミリモル)のアミノ酸及びDC
Cを使用した。1時間撹拌した後、反応混合物から樹脂
のサンブルを取り出し、そしてカイゼル(Kaeser)等の
ニンヒドリン法(Anal.Biochem.,34,595〜59
8,1970年)を用いて遊離アミノ基の存在を試験し
た。ニンヒドリン反応が陰性であってカップリングが完
結したことが示されれば、BOC脱保護、中和及び次の
アミノ酸のカップリングによって反応サイクルを継続し
た。ニンヒドリン試験陽性の場合には追加のアミノ酸及
びDCCを用いてカップリング反応を反復した。 【0073】側鎖官能基を有するアミノ酸は次の保護誘
導体として使用した。すなわち、N−α−BOC−2,
6−ジクロロベンジル−L−チロシン、N−α−BOC
−ξ−クロロベンジルオキシカルボニル−L−リジン、
N−α−BOC−L−セリンO−ベンジルエステル、N
−α−アミルオキシカルボニル−NG−トシル−L−ア
ルギニン、N−α−BOC−L−スレオニンO−ベンジ
ルエーテル、N−α−BOC−S−エチルメルカプト−
L−システイン(A−鎖配列位置15、11及び10の
システイン)である。1〜24ペプチド配列の組立てに
続き、アミノ末端アルギニン上の最後のBOC基を、脱
保護中和サイクルを用いて除去し、そして真空中でペプ
チド樹脂を乾燥した(ペプチド−樹脂の重量13.0g)。
ペプチド−樹脂の一部分(2g)を、アニソール(2ml)の
存在下で0℃にて30分間無水弗化水素(HF)により処
理した。オイルポンプ真空下でHFを急速に除去するこ
とにより、樹脂−ペプチドと弗化水素(HF)との合計接
触時間を最小(70分以下)に保持した。次に、樹脂−ペ
プチドを酢酸エチルにより数回洗浄することにより過剰
のアニソールを除去し、1M酢酸によりペプチドを抽出
し、そして溶液を凍結乾燥した。粗ペプチド(10,1
1及び15位のシステインはなおS−チオエチル誘導体
として保護されている)の収量は392mgであった。粗
ペプチドの最初の精製は0.1M酢酸中のバイオゲルP
10を用いるゲル濾過により行った。分子量約3000
に対応する位置でカラムから溶出した最大ピークを示す
分画を集め、そして凍結乾燥した。このペプチドのサン
プルのアミノ酸分析により、1〜24配列のすべてのア
ミノ酸が正しい比率で存在することが示された。[S−
チオエチルCys10,11,15]−hRLX A(1〜24)ペプ
チドの前記以後の精製は、ウォーターズC−18ボンダ
パックカラムを用いる調製用逆相HPLCにより、0.
1%TFA−水−アセトニトリル溶剤系を用いて行っ
た。ゲル濾過により精製したペプチドのサンプル(80m
g)を、ドゥー(Du)等[Scientia Sinica,10I,84
〜104(1961年)]に記載された方法に従って、亜
硫酸ナトリウム及びナトリウムテトラチオネートの混合
物を用いて(合計反応時間を3時間として)S−スルホン
化した。S−スルホン化中に生成した沈澱を濾過し、そ
して沈澱及び上澄液の両者を4℃にて48時間蒸留水に
対して透析した。透析袋の内容物を凍結乾燥することに
より、上澄液から39.5mg、S−スルホン化反応中に
生じた沈澱から20.3mgのペプチドを得た。「可溶性」
[S−スルホCys10,11,15,24]hRLX A(1〜24)ペ
プチドのサンプルを0.1%TFA−水/アセトニトリ
ル溶媒系を用いて、ウォーターズC−18ボンダパック
カラム上調製用逆相HPLCにより精製した。 【0074】(ii) 短縮されたヒト−レラキシンB−
鎖、H2−hRLX B(−1〜24)の合成 H2−ヒト−レラキシンB−鎖の−1〜24の残基に対
応するアミノ酸配列を前記の方法に従って合成した。こ
の合成は、0.5ミリモルMet/gの負荷量のN−α−te
rt−ブチルオキシカルボニル−L−メチオニン−O−ベ
ンジル−L−セリン−フェニルアセトアミド−メチルポ
リスチレン樹脂6.0gを用いて開始した。A鎖の合成に
おいて使用した側鎖保護基を、B鎖の合成にも使用し
た。これには10及び22位の両システインのS−エチ
ルメルカプト誘導体が含まれる。4及び5位のグルタミ
ン酸残基及び−1位のアスパラギン酸残基はN−α−B
OC−ベンジルエステル誘導体として加えた。18位の
グルタミンはDMF中のN−α−BOC−L−グルタミ
ン−p−ニトロフェニルエステルを用いる活性エステル
法によりカップリングせしめた。2位のトリプトファン
のカップリングの後、トリフルオロ酢酸脱保護剤及びこ
れに次いで用いる塩化メチレン洗浄液に0.1%インド
ールを加えた。アミノ末端アスパラギン酸残基からBO
C基を除去し、真空乾燥した後のペプチド−樹脂の最終
重量は8.5gであった。ペプチド−樹脂の一部(3.5g)
を、アニソール(2ml)の存在下、0℃にて30分間無水
弗化水素で処理し、そしてA鎖について前記した方法を
用いてB鎖ペプチドを分離した。粗[S−チオエチルCy
s10,22] hRLX B(−1〜24)(0.97g)を、1M酢
酸中バイオゲルP10によりゲル濾過し、次いで調製用
HPLCにより処理することにより精製した。ゲル濾過
により精製したペプチドのサンプル(100mg)を、pH
8.3において3時間S−スルホン化し、反応混合物を
濾過し、そして沈澱及び上澄液を蒸留水に対して透析し
た。凍結乾燥後、42.4mgの「可溶性」ペプチド及び5
9.5mgの「不溶性」ペプチドが回収された。S−スルホ
ン化B鎖ペプチドを、C−18逆相カラム及び0.1%
TFA−水−アセトニトリル溶剤系を用いる調製用HP
LCによりさらに精製した。 【0075】(iii) 鎖の結合 合成H2−hRLX A(1〜24)及びH2−hRLX
B(−1〜24)ペプチドをチャンス(Chance)及びホフ
マン(Hoffmann)によりインスリンについて記載された
方法(オーストラリア特許出願 第68844/81号)
を用いて結合せしめた。この方法においては、S−スル
ホン化ペプチドを、A:B=26:1の比率で、ペプチ
ドの濃度をグリシン緩衝液(pH10.5)中10mg/mlと
して混合した。次に、グリシン緩衝液中ジチオスレイト
ールを、各S−スルホ基について合計1.0のスルヒド
リル基が生ずる量において加えた。次に、反応混合物を
開放容器中で24時間撹拌した。発明者等は、この方法
の前記以外の変法として、ペプチド鎖の一方又は好まし
くは両方を、インスリンの場合についてチャンス及びホ
フマンにより記載されたS−スルホ形(前記)ではなくS
−チオエチル−Cys誘導体として使用することにより、
生物学的に活性なレラキシンを生成せしめるための鎖結
合反応を効果的に行うことができることを見出した。S
−チオエチルCysペプチドの使用により、ペプチドをS
−スルホ誘導体に転換するのに必要な反応及び精製段階
が必要でなくなる。発明者等の経験によれば、レラキシ
ンペプチドのS−スルホン化反応にはS−スルホペプチ
ドの精製を困難にする傾向を有する副反応が伴い、これ
により収量が低下する。上記の条件を使用すれば、ウイ
ックビスト(Wiqvist)及びパウル(Paul)(Acta Endoc
rinol.,29,135〜136,1958)のラット子宮収
縮測定における生物学的活性により測定した場合1.5
〜6.0%の鎖結合収率が達成された。 【0076】鎖結合反応例 ヒト−レラキシンH2[S−チオエチルCys10,11,15]A
(1〜24)(乾燥重量4.2mg、アミノ酸分析によるペプ
チド量2.4mg、0.84μモル)を、3mlのプラスチッ
ク製蓋付き遠心チューブ中で500μlの0.1Mグリシ
ン緩衝液(pH10.5)に溶解した。ヒト−レラキシンH
2[S−スルホCys10,11]B(−1〜24)(1.60mg、
アミノ酸分析によるペプチド量1.6mg、0.33μモ
ル)を200μlの0.1Mグリシン緩衝液(pH10.5)
中に溶解し、そしてこれを前記の溶液に加え、そして混
合物を撹拌した。0.1Mグリシン緩衝液(pH10.5)
中に調製したジチオスレイトール(DTT)のストック溶
液(10μl中の0.96μモルDTT)のアリコート(2
3.0μl、2.21μモルDTT)をペプチド溶液に加
え、そして短時間撹拌した後、反応混合物を空気に開放
して4℃にて24時間静置した。次に混合物を遠心分離
し、そして上澄液のアリコートのレラキシン生物学的活
性をラット子宮収縮測定により測定した。反応混合物の
アリコートは、投与量に依存してラットの子宮の自発収
縮を阻害した。75μlのアリコートにより子宮収縮が
完全に阻害され、これは、天然豚−レラキシンA22B
31標準と比較した場合5.3%の鎖結合収率に相当す
る。 【0077】真正のヒト−レラキシンH2;hRLX A
(1〜24)−B(−1〜32)の合成 (i) 全長H2−ヒト−レラキシンB鎖:hRLX B(−
1〜32)の合成 全長H2−ヒト−レラキシンB鎖の残基−1〜+32に
対応するアミノ酸配列を、前記の方法を用いて合成し
た。0.23ミリモル/gのLeuを負荷したN−α−tert
−ブチルオキシカルボニル−L−ロイシンフェニルアセ
タミドメチルポリスチレン樹脂6.4gを用いて開始し
た。A(1〜24)ペプチド及びB(−1〜24)ペプチド
の合成のために使用した側鎖保護基を、全長B鎖合成の
ためにも使用した。これには10位及び22位の両シス
テインのためのS−エチルメルカプト誘導体が含まれ
る。この方法の変法として、27位及び2位の配列にお
けるカップリングのためにBOC−L−トリプトファン
のN−ホルミル誘導体を使用した。鎖形成後のペプチド
−樹脂の最終重量は8.2gであった。ペプチド樹脂の1
部分(4.0g)を、前記の例に記載したようにして無水弗
化水素−アニソールにより処理して、1.50gの粗[S
−チオエチルCys10,22、N−ホルミルTrp2,27]hRL
X B(−1〜32)を得た。粗ペプチドを、0.1M酢
酸中バイオゲルP6によるゲル濾過により精製した。ゲ
ル濾過カラムから溶出する大ピークを、アミノ酸分析に
より特徴付けた。−1〜+32のペプチド配列に一致す
る分析値を有する分画を集め、そして凍結乾燥した。ト
リプトファン残基の脱ホルミル化はペプチド(100mg)
を水酸化ナトリウム溶液(5ml)pH11.5で5分間処理
することにより行った。この間にペプチドが溶液から沈
澱した。この反応混合物を中和してペプチドを溶解し、
0.1M酢酸中バイオゲルP6カラムに直接適用したト
リプトファンからのホルミル基の除去は、300nmにお
けるN−ホルミル吸収の消失と280nmに最大吸収を有
するトリプトファンに特異的なスペクトルの出現をUV
スペクトル分析により追跡することにより監視した。正
しいアミノ酸分析結果を有するカラム溶出分画を集め、
そして凍結乾燥した。調製用HPLCにより[S−チオ
エチルCys10,22]hRLX B(−1〜32)ペプチドを
さらに精製することは、ペプチドがカラムに吸着して減
少するために不成功に終わった。ゲルクロマトグラフィ
ーによって精製したペプチドを、鎖連結実験に直接使用
した。 【0078】(ii) A(1〜24)とB(−1〜32)との
鎖連結:ヒト−レラキシンH2の合成 合成S−スルホン化、及びS−チオエチルH2−ヒト−
レラキシンA(1〜24)ペプチドを、短縮されたB鎖
(−1〜24)と連結させるために前記したのと同じ鎖結
合法を用いて、S−チオエチルH2−ヒトレラキシンB
(−1〜32)とカップリングせしめた。連結混合物のレ
ラキシン生物活性をラット子宮収縮測定法により試験し
た。反応混合物のアリコートは、物質の使用量と関連し
てラット子宮の自発的収縮を阻害した。100μlのア
リコートが子宮の収縮を完全に阻害し、天然の豚レラキ
シンA22B31標準と比較した場合、鎖結合収率3.
0%に相当した。 【0079】参考文献・ Anderson,M.L., Long,J.A.及び Hayashida,T., Immuno
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【図面の簡単な説明】
【図1】 クローンの制限地図、及び配列決定の方法を
示す模式図である。 【図2】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その1)。 【図3】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その2)。 【図4】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その3)。 【図5】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その4)。 【図6】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図7】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図8】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図9】 ヒトインスリン及び各種のレラキシンのB鎖
及びA鎖を重ねて表示した配列図である(その1)。 【図10】 ヒトインスリン及び各種のレラキシンのB
鎖及びA鎖を重ねて表示した配列図である(その2)。
示す模式図である。 【図2】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その1)。 【図3】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その2)。 【図4】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その3)。 【図5】 H2及びH1のmRNA鎖及びアミノ酸鎖の
配列を示す配列図である(その4)。 【図6】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図7】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図8】 ハイブリド形成のラジオオートグラムの薄膜
の写真である。 【図9】 ヒトインスリン及び各種のレラキシンのB鎖
及びA鎖を重ねて表示した配列図である(その1)。 【図10】 ヒトインスリン及び各種のレラキシンのB
鎖及びA鎖を重ねて表示した配列図である(その2)。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ヒュー デイビッド ナイアル
オーストラリア国,ビクトリア,エルウ
ッド,ベンディゴ アベニュ3
(72)発明者 ジェオフリー ウィリアム トリガー
オーストラリア国,ビクトリア,ホーソ
ーン,ホーソーン グローブ62
(56)参考文献 特開 昭56−127315(JP,A)
J.CLIN.ENDOCRINO
L.METAB.,Vol.52,
(1981),P.79−85
J.CLIN.ENDOCRINO
L.METAB.,Vol.52,
(1981),P.601−604
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.以下のアミノ酸配列を有するヒトH2-レラキシン
のシグナル鎖、B鎖、C鎖およびA鎖からなる、他のヒ
ト蛋白質を含まない実質的に純粋なヒトH2-プレプロ
レラキシン: 【化1】2.以下のアミノ酸配列を有するヒトH2-レラキシン
のB鎖、C鎖およびA鎖からなる、他のヒト蛋白質を含
まない実質的に純粋なヒトH2-,プロレラキシン: 【化2】3. (a)以下のアミノ酸配列を有するヒトH2-レラキ
シンのA鎖: 【化3】 および、(b)以下のアミノ酸配列を有するヒトH2-レラ
キシンのB鎖: 【化4】からなる、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋なヒ
トH2-レラキシン。 4.以下のアミノ酸配列: 【化5】 を有する、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋な、
ヒトH2-プレプロレラキシンのシグナル鎖。 5.以下のアミノ酸配列: 【化6】 を有する、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋な、
ヒトH2-プレプロレラキシンのA鎖。 6.以下のアミノ酸配列を有するアミノ酸1〜24: 【化7】 のA(1−24)ないしA(5−24)からなる群から選択
される、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋なヒト
H2-レラキシンA鎖。 7.以下のアミノ酸配列: 【化8】 を有する、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋な、
ヒトH2-プレプロレラキシンのB鎖。 8.以下のアミノ酸配列を有するアミノ酸−1〜32: 【化9】のB(−1−32)ないしB(4−23)からなる群から選
択される、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋なヒ
トH2-レラキシンB鎖。 9.以下のアミノ酸配列: 【化10】 を有する、他のヒト蛋白質を含まない実質的に純粋な、
ヒトH2-プレプロレラキシンのC鎖。 10.以下のアミノ酸配列: 【化11】を有する、ヒトH2-プレプロレラキシンのC鎖の誘導
体であって、B/CおよびC/A鎖の連結点での切断お
よびその後のC鎖の切除を容易にするように該連結点が
修飾されたC鎖の誘導体。
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