JP2889595B2 - 酸化物超電導体膜の電極形成方法 - Google Patents
酸化物超電導体膜の電極形成方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は酸化物超電導体膜の電極形成方法に関する。
(ロ)従来の技術 高臨界温度を有する酸化物超電導体の発見以来、超電
導膜を備えた超電導デバイスの開発が進められている。
導膜を備えた超電導デバイスの開発が進められている。
超電導体の特徴を利用するには、超電導体と電極リー
ドとの接合部における接合抵抗率を可及的に小さくする
ことが望まれる。従来、酸化物超電導体バルクの電極形
成についての研究報告[“CONTACT FORMATION TO Y1
Ba2Cu3O7−δ CERAMICS"(FEDHiTcSc−ED WORKSHO
P、June2−4、1988、PP205〜208]がなされているが、
超電導膜の電極形成については、研究途上にある。
ドとの接合部における接合抵抗率を可及的に小さくする
ことが望まれる。従来、酸化物超電導体バルクの電極形
成についての研究報告[“CONTACT FORMATION TO Y1
Ba2Cu3O7−δ CERAMICS"(FEDHiTcSc−ED WORKSHO
P、June2−4、1988、PP205〜208]がなされているが、
超電導膜の電極形成については、研究途上にある。
上記研究報告等により、超電導体バルクに金属蒸着膜
を形成し、この蒸着膜に金属線をハンダ接合する方法
や、超電導体バルクに金属線を直接超音波溶着するもの
が知られている。
を形成し、この蒸着膜に金属線をハンダ接合する方法
や、超電導体バルクに金属線を直接超音波溶着するもの
が知られている。
(ハ)発明が解決しようとする課題 従来の超電導体への金属線の超音波溶着法において
も、接合抵抗率は高々10-8Ω・cm2程度であり、実用上
これより低い抵抗率で超電導体膜に電極を設けることが
望まれる。
も、接合抵抗率は高々10-8Ω・cm2程度であり、実用上
これより低い抵抗率で超電導体膜に電極を設けることが
望まれる。
(ニ)課題を解決するための手段 本発明は、基板上に酸化物超電導体ペーストを塗布
し、乾燥する工程と、 乾燥した前記超電導体塗布膜の電極形成部位に銀酸化
物よりなる常伝導金属粉末のペーストを塗布し、乾燥す
る工程と、 前記超電導体塗布膜と前記常伝導金属塗布膜を、前記
常伝導金属の融点近傍の温度で焼成する工程と、 よりなることを特徴とする。
し、乾燥する工程と、 乾燥した前記超電導体塗布膜の電極形成部位に銀酸化
物よりなる常伝導金属粉末のペーストを塗布し、乾燥す
る工程と、 前記超電導体塗布膜と前記常伝導金属塗布膜を、前記
常伝導金属の融点近傍の温度で焼成する工程と、 よりなることを特徴とする。
(ホ)作用 酸化物超電導体ペーストを基板上に塗布して乾燥した
超電導体塗布膜上の電極形成部位に常電導(常伝導)金
属粉末ペーストを塗布・乾燥させることにより、常電導
金属粉末が電極形成部位に均一に分散させることにな
る。
超電導体塗布膜上の電極形成部位に常電導(常伝導)金
属粉末ペーストを塗布・乾燥させることにより、常電導
金属粉末が電極形成部位に均一に分散させることにな
る。
ついで、両塗布膜を常電導金属の融点近傍の温度で焼
成することにより、超電導体塗布膜内では超電導粒子が
結晶成長すると共に常電導金属粉末塗布膜内では銀酸化
物粉末の焼結が生ずると共に超電導体膜との界面で一部
の銀が超電導体内に拡散していき、電極における接合抵
抗率が小さくなる。
成することにより、超電導体塗布膜内では超電導粒子が
結晶成長すると共に常電導金属粉末塗布膜内では銀酸化
物粉末の焼結が生ずると共に超電導体膜との界面で一部
の銀が超電導体内に拡散していき、電極における接合抵
抗率が小さくなる。
(ヘ)実施例 本発明の一実施例を図面に基いて説明する。
第1図は電極形成工程図である。同図(A)は基板1
上に酸化物超電導体ペーストを塗布して乾燥して超電導
体塗布膜2を形成した状態を示す。基板1としてYSZ
(イットリアで安定化したジルコニア)基板を用いた
が、ジルコニア、アルミナ、MgO、SrTiO3基板等を用い
てもよい。
上に酸化物超電導体ペーストを塗布して乾燥して超電導
体塗布膜2を形成した状態を示す。基板1としてYSZ
(イットリアで安定化したジルコニア)基板を用いた
が、ジルコニア、アルミナ、MgO、SrTiO3基板等を用い
てもよい。
酸化物超電導体ペーストに用いる超電導体粉末とし
て、実施例では酸化物超電導体の代表であるYBaCuO系の
ものを用い、共沈法で作製した超電導体を粉砕したもの
を用いた。
て、実施例では酸化物超電導体の代表であるYBaCuO系の
ものを用い、共沈法で作製した超電導体を粉砕したもの
を用いた。
即ち、硝酸イットリウムY(NO3)3・3.5H2Oと、硝
酸バリウムBa(NO3)2と、硝酸銅Cu(NO3)2・3H2Oを
夫々水に溶かしてY、Ba、Cuがモル比で1:2:3になるよ
うに混合する。
酸バリウムBa(NO3)2と、硝酸銅Cu(NO3)2・3H2Oを
夫々水に溶かしてY、Ba、Cuがモル比で1:2:3になるよ
うに混合する。
ついで、蓚酸H2C2O4・2H2OをBa元素2モルに対し7モ
ル加えてアンモニア水でpH調整を行ないpH=4〜7と
し、蓚酸塩として共沈させる。
ル加えてアンモニア水でpH調整を行ないpH=4〜7と
し、蓚酸塩として共沈させる。
沈殿物をろ過し水洗した後、十分乾燥し、空気中にお
いて930℃で3時間仮焼成する。
いて930℃で3時間仮焼成する。
このようにして得たYBa2Cu3O7−δの超電導塊を乳鉢
で粉砕後、さらにボールミルで粉砕した。粉砕後の超電
導体粉末の平均粒径は1μmであった。
で粉砕後、さらにボールミルで粉砕した。粉砕後の超電
導体粉末の平均粒径は1μmであった。
この超電導体粉末100部に対し、有機溶剤としてのト
ルエン30部を添加し、ペイントシェーカーで0.3時間混
合し、超電導体ペーストを作製した。このペーストの粘
度は1000cpsであった。
ルエン30部を添加し、ペイントシェーカーで0.3時間混
合し、超電導体ペーストを作製した。このペーストの粘
度は1000cpsであった。
この超電導体ペーストを25mm角×0.5mm厚の基板1上
にスクリーン印刷により長さ15mm×幅5mm×厚み50μm
の形状に塗布した。尚、塗布厚は1mm以下が望ましい。
にスクリーン印刷により長さ15mm×幅5mm×厚み50μm
の形状に塗布した。尚、塗布厚は1mm以下が望ましい。
超電導体ペーストを塗布した基板1を電気炉に入れ、
200℃で2時間乾燥して、超電導体塗布膜2を形成し
た。
200℃で2時間乾燥して、超電導体塗布膜2を形成し
た。
次に、この超電導体塗布膜1の電極形成部位に、銀酸
化物よりなる常電導金属粉末のペーストを塗布・乾燥し
て第1図(B)に示す如く、常電導金属塗布膜3を形成
した。
化物よりなる常電導金属粉末のペーストを塗布・乾燥し
て第1図(B)に示す如く、常電導金属塗布膜3を形成
した。
常電導金属粉末のペーストを、平均粒径100μmのAgO
粉末100部にトルエン30部を添加し、ペイントシェーカ
ーで0.3時間混合してAgO粉末の平均粒径が10μm以下の
ものからなるように作製した。
粉末100部にトルエン30部を添加し、ペイントシェーカ
ーで0.3時間混合してAgO粉末の平均粒径が10μm以下の
ものからなるように作製した。
このようにして得たペーストを超電導体塗布膜2の電
極形成部位に80μm厚となるように塗布し、基板1を電
気炉に入れ、200℃で2時間乾燥して常電導金属塗布膜
3を形成した。
極形成部位に80μm厚となるように塗布し、基板1を電
気炉に入れ、200℃で2時間乾燥して常電導金属塗布膜
3を形成した。
続いて、電気炉を用いて、930℃、10時間酸素雰囲気
中で焼成して、第1図(C)に示すように超電導体膜4
及び電極5を形成した。この電極に0.5mm径の銅線リー
ド6をハンダ7付けした。
中で焼成して、第1図(C)に示すように超電導体膜4
及び電極5を形成した。この電極に0.5mm径の銅線リー
ド6をハンダ7付けした。
第2図は比較サンプルの電極形成工程図である。
この比較サンプルを次のように形成した。即ち、実施
例と同じ基板1上に、実施例と同じ条件で超電導体ペー
ストを塗布し、乾燥した後、電気炉を用いて、930℃で1
0時間、酸素雰囲気中で焼成して第2図(A)に示すよ
うに、超電導体膜8を予め形成する。
例と同じ基板1上に、実施例と同じ条件で超電導体ペー
ストを塗布し、乾燥した後、電気炉を用いて、930℃で1
0時間、酸素雰囲気中で焼成して第2図(A)に示すよ
うに、超電導体膜8を予め形成する。
この超電導体膜8の電極形成部位に、真空蒸着装置を
用いて、同図(B)に示すように、純度99.9%のAg層よ
りなる電極9を蒸着により形成した。この電極の蒸着厚
は1μmであり、この電極に0.5mm径の銅線リード6を
ハンダ7付けした。
用いて、同図(B)に示すように、純度99.9%のAg層よ
りなる電極9を蒸着により形成した。この電極の蒸着厚
は1μmであり、この電極に0.5mm径の銅線リード6を
ハンダ7付けした。
実施例で得たものと比較サンプルにおける超電導体膜
と電極との界面における接合抵抗率を3端子法で測定し
たところ、実施例では2.5×10-9Ω・cm2であるに対し、
比較サンプルでは7.5×10-4Ω・cm2であった。
と電極との界面における接合抵抗率を3端子法で測定し
たところ、実施例では2.5×10-9Ω・cm2であるに対し、
比較サンプルでは7.5×10-4Ω・cm2であった。
この測定結果から、実施例による電極形成方法による
と、10-9Ω・cm2の極めて低い接合抵抗率を有する電極
接合が可能となる。
と、10-9Ω・cm2の極めて低い接合抵抗率を有する電極
接合が可能となる。
尚、実施例では、超電導体としてYBaCuO系のものを用
いたが、LnBaCuO系(Lnは1種以上の希土類元素)、BiS
rCaCuO系、TlBaCaCuO系その他の系のものを使用するこ
とができる。
いたが、LnBaCuO系(Lnは1種以上の希土類元素)、BiS
rCaCuO系、TlBaCaCuO系その他の系のものを使用するこ
とができる。
また、実施例では超電導体を共沈法により形成した
が、粉末固相法等の他の方法で得るようにしてもよい。
が、粉末固相法等の他の方法で得るようにしてもよい。
(ト)発明の効果 本発明によれば、酸化物超電導体膜の電極形成部位
に、銀酸化物よりなる常伝導金属粉末のペーストを塗布
・乾燥した後、前記常伝導金属の融点近傍の温度で焼成
するため、常伝導金属により電極を形成すると共に、こ
の電極を構成する銀が超伝導体膜との界面で超電導体内
に拡散し、超電導体膜と電極との間の接合抵抗率が低い
電極を形成することができる。しかも銀酸化物は銀など
の金属非酸化物に比べ、酸化物超電導体から酸素を奪っ
て酸化物超電導体の特性を劣化させる恐れがないので、
その工業的価値は極めて大きい。
に、銀酸化物よりなる常伝導金属粉末のペーストを塗布
・乾燥した後、前記常伝導金属の融点近傍の温度で焼成
するため、常伝導金属により電極を形成すると共に、こ
の電極を構成する銀が超伝導体膜との界面で超電導体内
に拡散し、超電導体膜と電極との間の接合抵抗率が低い
電極を形成することができる。しかも銀酸化物は銀など
の金属非酸化物に比べ、酸化物超電導体から酸素を奪っ
て酸化物超電導体の特性を劣化させる恐れがないので、
その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例における電極形成工程図であ
り、(A)は超電導体塗布膜形成時、(B)は常電導金
属塗布膜形成時、(C)は電極形成時を示す。第2図は
比較サンプルにおける電極形成工程図であり、(A)は
超電導体膜形成時、(B)は電極形成時を示す。 1……基板、2……超電導体塗布膜、3……常電導金属
塗布膜、4……超電導体、5……電極、6……リード。
り、(A)は超電導体塗布膜形成時、(B)は常電導金
属塗布膜形成時、(C)は電極形成時を示す。第2図は
比較サンプルにおける電極形成工程図であり、(A)は
超電導体膜形成時、(B)は電極形成時を示す。 1……基板、2……超電導体塗布膜、3……常電導金属
塗布膜、4……超電導体、5……電極、6……リード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/00 H01L 39/02 H01L 39/24 H01L 39/22 H01L 39/12
Claims (1)
- 【請求項1】基板上に酸化物超電導体ペーストを塗布
し、乾燥する工程と、 乾燥した前記超電導体塗布膜の電極形成部位に銀酸化物
よりなる常伝導金属粉末のペーストを塗布し、乾燥する
工程と、 前記超電導体塗布膜と前記常伝導金属塗布膜を、前記常
伝導金属の融点近傍の温度で焼成する工程と、 よりなる酸化物超電導体膜の電極形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1177452A JP2889595B2 (ja) | 1989-07-10 | 1989-07-10 | 酸化物超電導体膜の電極形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1177452A JP2889595B2 (ja) | 1989-07-10 | 1989-07-10 | 酸化物超電導体膜の電極形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0341782A JPH0341782A (ja) | 1991-02-22 |
JP2889595B2 true JP2889595B2 (ja) | 1999-05-10 |
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ID=16031196
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1177452A Expired - Fee Related JP2889595B2 (ja) | 1989-07-10 | 1989-07-10 | 酸化物超電導体膜の電極形成方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2889595B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
CN114121694A (zh) * | 2021-11-19 | 2022-03-01 | 深圳市鼎华芯泰科技有限公司 | 一种改善ic封装密封性的封装方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0697625B2 (ja) * | 1987-07-29 | 1994-11-30 | 株式会社日立製作所 | 酸化物超電導体への電極端子接合方法 |
JPH0196989A (ja) * | 1987-10-09 | 1989-04-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導回路基板およびその作製方法 |
JPH01133317A (ja) * | 1987-11-18 | 1989-05-25 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 回路基板の製造方法 |
JPH01270582A (ja) * | 1988-04-22 | 1989-10-27 | Mitsubishi Metal Corp | セラミックス超電導体の導電体接合膜 |
JPH01292871A (ja) * | 1988-05-20 | 1989-11-27 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電極層付酸化物超電導成形体の製造方法 |
JP2748412B2 (ja) * | 1988-07-04 | 1998-05-06 | 三菱マテリアル株式会社 | セラミックス超電導体の導電体接合膜形成法 |
-
1989
- 1989-07-10 JP JP1177452A patent/JP2889595B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0341782A (ja) | 1991-02-22 |
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