JP2888910B2 - 光信号の読み取り方法及びこれに使用するスイッチ素子アレイ - Google Patents

光信号の読み取り方法及びこれに使用するスイッチ素子アレイ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光信号を光学的または電気的に読み取る光
信号の読み取り方法及びこれに使用するスイッチ素子ア
レイに関し、特に、光の時系列情報を並列情報に変換す
るシリアル・パラレル変換機能、光メモリの機能、遅延
機能等を実現できる光信号の読み取り方法及び光信号
(光情報)の書き込みおよび保持を実現できるスイッチ
素子アレイに関する。
〔従来の技術〕
従来、発光素子の代表的なものとして発光ダイオード
(LED)及びレーザダイオード(LD)が知られている。
LEDは化合物半導体(GaAs、GaP、GaAlAs等)のPN接合
またはPIN接合を形成し、これに順方向電圧を加えるこ
とにより接合内部にキャリアを注入し、その再結合の過
程で生じる発光現象を利用するものである。
またLDはこのLED内部に導波路を設けた構造となって
いる。あるしきい電流以上の電流を流すと注入される電
子−正孔対が増加し反転分布状態となり、誘導放射によ
る光子の増倍(利得)が発生し、へき開面などを利用し
た平行な反射鏡により発生した光が再び活性層に帰還さ
れてレーザ発振が起こる。そして導波路の端面からレー
ザ光が出射されていくものである。
これらLED、LDと同じ発光メカニズムを有する発光素
子として発光機能を有する負性抵抗素子(発光サイリス
タ、レーザサイリスタ等)も知られている。発光サイリ
スタは先に述べたような化合物半導体でPNPN構造を作る
ものであり、シリコンではサイリスタとして実用化され
ている。これらについては、例えば青木昌治編著「発光
ダイオード」工業調査会、167〜169頁に記載されてい
る。この発光機能を有する負性抵抗素子(ここでは発光
サイリスタと呼ぶ)の基本構造はN形GaAs基板上にPNPN
構造を形成したもので、サイリスタと全く同じ構造であ
る。電流−電圧特性もサイリスタと全く同じS字形負性
抵抗の特性を示す。
この発光サイリスタは、3つの端子を持つため、3端
子サイリスタとも呼ばれている。そして、この発光サイ
リスタのゲートはオン電圧を制御する働きを有し、オン
電圧はゲート電圧に拡散電位を加えた電圧となる。また
オンした後、ゲート電圧はカソード電圧とほぼ一致する
ようになる。カソードが接地されていればゲートはほぼ
零ボルトとなる。また、この発光サイリスタは外部から
光を入射することにより、そのしきい電圧が低下するこ
とが知られている。
さらに、この発光サイリスタの中に導波路を設けLDと
全く同じ原理でレーザサイリスタを形成することもでき
る。(Appl.Phys.Lett.54(4),p329−331(1989)) これらの様な発光素子、特にLEDは化合物半導体基板
上に多数作成され、切断されて一つづつの発光素子とし
てパッケージングされ販売されている。また密着形イメ
ージセンサ用及びプリンタ用光源としてのLEDは一つの
チップ上に複数のLEDを並べたLEDアレイとして販売され
ている。
以上に述べた発光素子の中で、発光サイリスタは、光
を入力することによってオン状態へのしきい電圧が変化
するという現象を利用されて、発光メモリ素子としての
応用が考えられている。その例として面入出力光電融合
形光機能素子(VSTEP:Vertical to surface transmissi
on electrophotonic device)が知られている。これに
ついては、例えば笠原健一著「光演算用機能デバイス」
光学第18巻第7号330〜336頁に記載されている。
第22図はPNPN構造のサイリスタを用いたpnpn−VSTEP
の断面構造と電流−電圧(I−V)特性を示す図であ
る。モレキュラ・ビーム・エピタキシ(MBE)法を用
い、半絶縁性のGaAs基板上に順にn−GaAs、n−Al0.4G
a0.6As、n−GaAs(d=1μm、n=1017cm-3)、p−
GaAs(d=5nm、p=1019cm-3)、p−Al0.4Ga0.6As、
p−GaAsの層がそれぞれ形成されている。第22図におけ
るpゲート、nゲートは消去時、即ちスイッチオフ時に
デバイス内部の過剰キャリアを引き出す機能を有し、ス
イッチオフを高速化する役目を果たす。
第23図は第22図に示すpnpn−VSTEPを駆動させるため
に用いる基本的な信号のタイミングを示すタイミング図
である。タイミングは光書き込み、記憶保持、光読み出
し、消去の4つのモードから成る。光書き込み時には、
第22図(a)に示すアノードに正のバイアス電圧を加え
た状態で光信号を入力させる。つまり光書き込み時に
は、正のバイアス電圧をしきい電圧Vs以下に設定し、p
ゲート及びNゲートに光を入射させて、アノードとカソ
ードとの間をスイッチオンさせる。記憶保持時ではバイ
アス電圧を零ボルト近くまで下げ、正のリフレッシュパ
ルスを印加する。そして、光読み出し時に再び正のバイ
アス電圧を加える。消去時には負のバイアス電圧を加え
る。
以上の説明は1ビットについてであるが、実際には第
22図に示す素子が2次元的に配列されて、光並列演算や
ニューラルネットワークに用いられる基本的デバイスに
なる。既に、これらの素子を32×32個集積した1024ビッ
トのVSTEPの試作が報告されている。
なお、上記した発光機能を有する負性抵抗素子のアレ
イを順次駆動するために光走査を行なう装置が、例えは
特公昭52−40837号公報等に開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術のVSTEPは、光信号を書き込まれたビッ
ト(情報)がオン状態となり、このオン状態を保持する
のが基本的機能である。従って、書き込まれた信号を処
理することについて配慮がされておらず、VSTEPのみで
は書き込まれた信号を処理することが不可能であった。
本願の発明における光信号の読み取り方法は、書き込
まれた情報を時間的または空間的に処理すること(つま
り、ある種の演算を行なうこと)を可能ならしめること
を目的とする。
また、本願の発明におけるスイッチ素子アレイは、上
記光信号の読み取り方法を効果的に実施できるスイッチ
素子アレイを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本願の発明における光信
号の読み取り方法は、光によってしきい電圧もしくはし
きい電流を外部から制御可能な複数の発光素子が1次元
または2次元的に配列された発光素子アレイと、前記発
光素子の発光状態を前記発光素子アレイ内の隣接する他
の前記発光素子へ順次転送するためのクロックラインと
を有する発光装置において、(a).この発光装置の外
部から、前記発光素子アレイの一部の前記発光素子に光
信号を入射させて、その発光素子を発光状態とし、
(b).前記クロックラインに転送クロックを印加する
ことにより発光状態を前記発光素子アレイの他の前記発
光素子に転送し、(c).転送先の前記発光素子の発光
状態に基づいて光信号を光学的または電気的に読み取る
ようにしたものである。
本願の発明における光信号の読み取り方法に適用可能
な前記発光装置は、好ましい実施態様によれば、
(d).しきい電圧もしくはしきい電流を外部から制御
可能な複数の前記発光素子が1次元または2次元的に配
列され、互いに近傍に位置する前記発光素子が光学的手
段で接続されるか、または互いに近傍に位置する前記発
光素子のしきい電圧もしくはしきい電流を制御するため
の制御電極が互いに電気的手段にて接続されており、か
つ各々の前記発光素子に外部から電圧もしくは電流を印
加させる前記クロックラインが接続された前記発光素子
アレイを有するように構成するか、または、(e).し
きい電圧もしくはしきい電流を外部から制御可能な複数
のスイッチ素子が1次元または2次元的に配列され、互
いに近傍に位置する前記スイッチ素子が光学的手段で接
続されるか、または互いに近傍に位置する前記スイッチ
素子のしきい電圧もしくはしきい電流を制御するための
制御電極が互いに電気的手段にて接続されており、かつ
各々の前記スイッチ素子に外部から電圧もしくは電流を
印加させる前記クロックラインが接続されたスイッチ素
子アレイと、しきい電圧もしくはしきい電流を外部から
制御可能な制御電極を有する複数の前記発光素子が配列
され、各々の前記発光素子に電気的手段を介して電源が
接続された前記発光素子アレイとを有し、この発光素子
アレイの各々の前記発光素子の前記制御電極と前記スイ
ッチ素子の前記制御電極とが電気的手段にて接続される
ように構成する。
さらに好ましい実施態様によれば、前記発光素子アレ
イの最後の前記発光素子と最初の前記発光素子とのしき
い電圧もしくはしきい電流を制御するための前記制御電
極が互いに電気的手段および/または光学的手段によっ
て接続されるように構成し、前記発光素子の発光状態が
順次転送された後、再び最後の前記発光素子から最初の
前記発光素子に転送されるように構成する。
なお、後述の実施例において、発光サイリスタは発光
素子であるとともにスイッチ素子である。ここでは、発
光サイリスタの発光機能を使用する必要がない場合につ
いて、すなわち、シリコン等の非発光サイリスタに置換
可能である場合について、特にスイッチ素子と呼ぶこと
にする。
本願の発明における光信号の読み取り方法は、従来技
術のVSTEPにおける書き込まれた光信号に対する処理機
能がないという問題点を解消するためになされたもので
あって、その主旨は各発光素子を1つの独立した発光サ
イリスタとして構成するのではなく、互いに電気的およ
び/または光学的に相互作用が行なわれるように構成
し、発光素子に書き込まれたオン状態を隣接する発光素
子に順次移動させ、オン状態の移動により種々の機能を
発揮せしめるものである。
また、上記目的を達成するために、本願の発明におけ
るスイッチ素子アレイは、(a).しきい電圧もしくは
しきい電流を外部から制御可能な複数のスイッチ素子が
1次元または2次元的に配列されており、(b).各々
の前記スイッチ素子のしきい電圧もしくはしきい電流を
制御するための制御電極が互いに接続されているスイッ
チ素子アレイにおいて、(c).前記スイッチ素子の前
記制御電極間における電気的な結合を外部から制御する
ための切り替え手段を備える。
なお、本願の発明のスイッチ素子アレイにおいて、好
ましい実施態様によれば、前記切り替え手段は、前記制
御電極に直接的または間接的に接続されたダイオードを
備え、更に好ましい実施態様によれば、前記スイッチ素
子は発光サイリスタである。
〔作用〕
本願の発明における光信号の読み取り方法によれば、
発光素子アレイに入射した光情報が順次に転送されると
いう基本的な機能を有し、従って光信号のディレイライ
ンとして働く。また光情報は配列された発光素子の方向
に流れていくので、時系列情報を並列情報に変換するシ
リアル・パラレル変換器としての機能を持つ。これは簡
単には画像の移動器である。さらに、書き込まれた光情
報を一定の期間保持するので光メモリの機能をも有す
る。
また、本願の発明のスイッチ素子アレイによれば、ス
イッチ素子の制御電極間における電気的な結合の切り替
えを外部から制御して、光情報の書き込み時にはスイッ
チ素子の光感度を高くするという機能を有する。
〔実施例〕
以下、本願の発明の実施例を図面を用いて説明する。
〈実施例1〉 まず、本願の発明における光信号の読み取り方法の第
1の実施例に適用する発光装置の構造および製造工程を
説明する。
第4図は発光装置の平面図、第5図は第4図のY−
Y′間の断面図をそれぞれ示している。
第4図および第5図に示す様に、接地されたN形半導
体基板(N形GaAs基板)1上にN形半導体層(N形GaAs
層)24、P形半導体層(P形GaAs層)23、N形半導体層
(N形GaAs層)22、P形半導体層(P形GaAs層)21の各
層を順次形成する。そして、ホトリソグラフィ及びエッ
チング等により分離溝50を形成し、これにより単体の発
光サイリスタT(−2)〜T(1)に分離する(単体の
発光サイリスタT(−2)〜T(1)は発光素子アレイ
の一部を代表する)。
次に、P形GaAs層21の一部を除去し分離溝51を形成
し、発光サイリスタT(−2)〜T(1)と結合用ダイ
オードDI-2〜DI1との間の分離を行なう。そして、P形G
aAs層21などの上を絶縁膜30で全体的に被覆し、抵抗63
を設け、さらに絶縁膜31で被覆する。この後に、絶縁膜
30および絶縁膜31にコンタクト孔C1を設ける。そして、
金属薄膜配線で電極40、41、42および、クロックライン
CL1、CL2として機能する電極を形成する。ここで、転送
クロックφ1、φ2がそれぞれ供給される上記クロックラ
インCL1、CL2はそれぞれ1素子おきに発光サイリスタに
接続されている。
次に、第1図は、本願の発明における方法の第1の実
施例を説明するための、上記構造の発光素子アレイに対
応する等価回路図を示している。
第1図において、各発光サイリスタT(0)〜T
(5)は、各結合用ダイオードDI0〜DI5により、それぞ
れ電気的に結合されている。また、各発光サイリスタT
(0)〜T(5)のアノードは、アノード負荷抵抗RA0
〜RA5を介してクロックラインCL1、CL2に接続されてい
る。また、ゲートはゲート負荷抵抗RL0〜RL5を介して電
源ラインへ接続されている。
アノード負荷抵抗RA0〜RA5およびゲート負荷抵抗RL0
〜RL5は、それぞれ第4図および第5図に示す抵抗63で
構成されている。ゲート負荷抵抗RL0〜RL5は、ゲートに
印加される電源電圧VGKによる発光サイリスタの発光状
態(オン状態)の電流量を制限する。同様にアノード負
荷抵抗RA0〜RA5は、オン状態のアノード電流を制限す
る。発光サイリスタT(0)にはスタートパネルφ
sが、発光サイリスタT(1)〜T(5)には転送クロ
ックφ1、φ2のどちらかが印加可能である。
次に、第1図の発光サイリスタT(0)に光信号が供
給される場合を考える。
今、光が入力されず、発光サイリスタT(0)がオフ
状態のままでいる場合の発光サイリスタT(0)のアノ
ード電圧−アノード電流特性を第2図に示す。ここで実
線は光のない状態での特性を示している。オン電圧VON
は、おおよそGaAsのPN接合の拡散電位Vdifと電源電圧V
GKとの和 VON≒VGK+Vdif ……(1) で与えられる。
第2図において、ホールド電圧V 、ホールド電流Ih
は、オン状態領域と負性抵抗領域との切り替え点の値に
相当する。ここで、光が供給されると発光サイリスタT
(0)の内部でキャリアが生成されるため、オン電圧V
ONは式(1)で与えられる電圧より低くなる。この場合
の特性を第2図に破線で示す。この時のオン電圧を
VON′とすると、第1図に示すスタートパネルφsのハイ
レベルの電圧VMは、VON′とVONとの中間に設定される。
このことにより、T(0)は光が供給されるとオンし、
光が供給されなければオフ状態のままである。即ち、光
の検知機能をT(0)にもたせることが可能となる。
第3図は、第1図に示す等価回路に印加する転送クロ
ックφ1、φ2、スタートパネルφsのタイミング及びオ
ン状態(発光状態)の転送の様子を示している。
第3図においては発光サイリスタT(0)に光信号L
inを入射する。発光サイリスタT(0)〜T(5)の右
に示す波形はこれらの発光サイリスタからの出射光を表
し、ハイレベルでは光出射、即ちオン状態であることを
表す。なお、t0〜t10は時刻である。
動作を説明すると、パルスφsのハイレベルの電圧VM
を上記にて説明したVON′とVONとの中間に設定すること
により、光信号が入射すると発光サイリスタはオンする
ようになる。従って、発光サイリスタT(0)がオン状
態となるタイミングは光信号Linとパルスφsとのアンド
(AND)となり、発光サイリスタT(0)の波形に示さ
れるように時刻t0〜t1、t2〜t3、t6〜t7の間でオンとな
る。このような発光サイリスタT(0)のオン状態は、
順次に発光サイリスタT(1)、T(2)、……、T
(5)と転送されていく。
本実施例ではパルスφsの波形は転送クロックφ2の波
形とほぼ等しく設定してあるが、パルスφsのハイレベ
ル期間と転送クロックφ1のハイレベル期間とはわずか
に重なっている方が動作上安定である。もちろんかなり
重複させてもよい。また転送クロックφ1と転送クロッ
クφ2の重なりは最小にしておく必要がある。もし十分
な時間で転送クロックφ1と転送クロックφ2とが同時に
ハイレベルであるとすると、スタートビットの発光サイ
リスタT(0)のオン状態が全ビットに伝達され、全て
がオンしてしまう可能性があるからである。
但し、この制限は3相以上の転送クロックを用いるこ
とにより回避される。また転送クロックφ1、φ2のハイ
レベルの電圧の幅が均等であるかのように図示している
が、これは必ずしも均等である必要はなく用途によって
自由に設定できる。
さて、本実施例の機能は、スタートビットの発光サイ
リスタT(0)に入射する時系列的な光情報をスタート
パネルφsでサンプリングして取り込むもので、その光
情報を順次転送していくことである。
発光サイリスタT(1)、T(2)、……の発光信号
を見るとサンプリングされた光情報がそのまま受け継が
れ、タイミングが1区間だけ遅れていることが分かる。
従って、この実施例は光信号のディレイラインとして働
くことが分かる。また転送クロックを調整することによ
り遅延時間も調整できる。
発光サイリスタの数を多く並べることにより、サンプ
リングされた光情報が第1図の右方向に流れていくの
で、時系列情報を並列情報に変換するシリアル・パラレ
ル変換器としての機能、及び光メモリの機能を有する。
また、このようなデバイスを製作する際、一般にGaAs
に代表される直接遷移型の半導体が使用される。この場
合、自ら発光した光で自らに情報を書き込む際、感度が
非常に低いという問題を有する。これを避けるため、発
光サイリスタT(0)に使用する半導体の材質をその他
のデバイスの材料よりバンドギャップの狭い材料を使用
することによってスタートビットの感度を向上させるこ
とも可能である。
さらに、本実施例では受光する部分として発光サイリ
スタをそのまま用いた例を示しているが、必ずしもこれ
に限られたものではなく、受光量に応じて抵抗値が変化
する抵抗(例えば非晶質Si、CdS等)またはフォトダイ
オードを用いてもよい。これらを使用したスタートビッ
トを第6図に示す。
第6図(a)は受光量に応じて抵抗値が変化する抵抗
を使用した場合を示している。非晶質Si、CdS等の抵抗R
Pは、一般に、光によって発生したキャリアのため抵抗
値が低下するものが多い。光が入射されない状態で抵抗
RP>>抵抗RL1に設定しておく。この場合、発光サイリ
スタT(1)のゲート電圧は電源電圧VGKにほぼ等しく
なり、転送可能な転送クロックφ1、φ2のハイレベルの
電圧の範囲では発光サイリスタT(1)はオンしない。
光が入射すると抵抗RP<<抵抗RL1となるように設定し
ておくと、発光サイリスタT(1)のゲート電圧は零ボ
ルト近くとなり、発光サイリスタT(1)がオンするこ
とになる。これによって転送をスタートさせることがで
きる。
第6図(b)はフォトダイオードを使用した場合を示
している。光が入射しない状態ではフォトダイオードPD
は逆バイアスであり、電流は流れず、ゲートの電位は電
源電圧VGKとなる。光が入射すると受光量に依存して光
電流がPDに流れ、ゲートの電位が低下する。従って、こ
の例でも転送をスタートさせることができる。
また、上記実施例では転送クロックとして、φ1、φ2
の2相を想定したが、より安定な転送動作を求める場合
にはこれを3相以上に増加させてもよい。
また本実施例では発光サイリスタの構造を最も簡単な
場合について示したが、発光効率を上げるために、例え
ばダブルヘテロ構造の様なより複雑な構造、層構成を導
入してもよい。
また、ここではPNPN構造のサイリスタを例に説明した
が、ゲートの電位を検知し、しきい電圧が低下し、これ
を利用して転送動作を行なわせるという構成は、PNPN構
造のみに限られず、その機能が達成できる素子であれば
特に限定されない。例えば、PNPNの4層構造ではなく、
6層以上の構造でも同様な効果を期待でき、全く同様な
自己走査機能を達成することが可能である。さらには静
電誘導(SI)サイリスタまたは電界制御サイリスタ(FC
T)と呼ばれるサイリスタを用いても全く同様である。
また、上記実施例においては、転送方向の発光サイリ
スタのゲート電圧を低下させる手段として、電気的手段
を用いている。しかし、第7図および第8図に示すよう
な、各発光サイリスタを光学的に結合させ、受光による
しきい電圧もしくはしきい電流の低下を利用しても転送
を実施できる。なお、第7図および第8図中のL0、L1
光を示すものである。また、CL3は転送クロックφ3を供
給されるクロックラインである。
また、電気的接続手段としては、第9図および第10図
に示すような抵抗R1であっても、上記のようなダイオー
ド、トランジスタ等の一方向性を有する素子等の手段で
あってもよい。上記のように、ダイオード等の一方向性
素子を用いると、2相の転送クロックを用いて自己走査
でき、双方向性素子では3相の転送クロックを用いて自
己走査できる。
また、上記実施例においては、ゲート負荷抵抗RL0〜R
L5およびアノード負荷抵抗RA0〜RA5として薄膜状の抵抗
63を用いているが、これは別の層を用いてもよい。例え
ば発光サイリスタ(発光素子)のP形半導体層23または
N形半導体層22を用いてもよく、あるいは別の抵抗領域
を設けてこれを用いてもよい。
また、上記実施例においては隣接する発光サイリスタ
を各々光学的または電気的に接続しているが、隣接する
発光サイリスタを接続する必要はなく、1つおきに接続
する等適当に変形させることも可能である。
〈実施例2〉 本願の発明における光信号の読み取り方法の第2の実
施例を説明するための図を第11図に示す。なお、第1の
実施例は1次元方向に発光サイリスタを並べたものであ
ったが、本実施例ではこれを複数並べ2次元的に配列し
たものである。
発光サイリスタ(発光素子)の符号はT(i、j)で
表され、iは行番号、jは列番号を表す。行番号iが零
のビットはスタートビットを表し、アノード負荷抵抗は
RAで表す。第11図では特に図示しないが発光サイリスタ
T(i、j)とT(i+1、j)とはダイオード等によ
って接続されており、ゲート負荷抵抗RLによって電源電
圧VGKの直流電源と接続されている。即ち、第1図に示
した構成で各行が形成されている。
次に、第11図の動作を説明する。
パルスφsと転送クロックφ1、φ2のタイミングは第
3図と同じであるとする。今、パルスφsがハイレベル
となって発光サイリスタT(0,j)に光信号が書き込ま
れたとする。この光信号は転送クロックφ1、φ2によっ
て順次右方向に転送されていく。
機能としては第1の実施例において記載したディレイ
ライン、シリアル・パラレル変換器、光メモリ等の機能
を2次元に拡大し、より多くの情報を並列に処理しよう
というものである。
第12図は具体的な一構成例を示している。この第12図
は第11図に示した2次元に配列された発光素子アレイAL
Yに対し、光ファイバLFを接続したものである。入力光
(光情報)Ls(1)〜Ls(4)は4ビットの光入力情報
であり、出力光L0(i,1)〜L0(i,4)は本実施例におけ
る発光素子アレイALYにより出力される光出力情報であ
る。この光出力情報は光入力情報に対して時間的に遅れ
ている。
本構成の機能として、入力された4ビットの光入力情
報Ls(1)〜Ls(4)はスタートパルスφsによってサ
ンプリングされ、スタートビットの発光サイリスタにオ
ン状態として書き込まれる。このオン状態は転送クロッ
クによって順次に第12図の下方向に転送されていく。第
12図で出力光は転送クロックφ2に同期して取り出され
る。これはスタートパルスφsの書き込みタイミングと
同じタイミングで出力されるため、書き込み光(光情
報)と出力光との同期ずれがなくなるためである。
なお、同期の問題がなければ、転送クロックφ1のタ
イミングで光出力を取り出すことも可能である。用途に
よってはこのタイミングを混在させてもよい。
さて、第12図において、出力光L0(1,1)〜L0(1,4)
はサンプリング区間にして1区間遅れた出力であり、出
力光L0(2,1)〜L0(2,4)は2区間遅れ、出力光L0(3,
1)〜L0(3,4)は3区間遅れの出力となる。例えば出力
光L0(1,1)〜L0(1,4)と出力光L0(2,1)〜L0(2,4)
とを比較することにより、光情報の変化を検出すること
ができ、ALYは多機能を有する光メモリとして動作す
る。
〈実施例3〉 第1の実施例および第2の実施例は光を検知するスタ
ートビットを設け、そこに光信号(光情報)を書き込
み、その後に光信号を順次転送させていくものである。
本実施例は特にスタートビットを設けず、全ビットが光
を検知できるという機能を活かして、任意のビットに光
信号の書き込みを行なえるように構成したものである。
第13図に、本願の発明における光信号の読み取り方法
の第3の実施例に関する、駆動パルスのタイミング図を
示す。具体的な発光素子アレイに対応する等価回路の構
成は、第1図の発光サイリスタ(発光素子)T(0)を
削除した場合を想定している。デバイスに入射する光信
号Linは転送クロックφ1、φ2により転送される。この
光信号Linは第13図に示すタイミングで入射するが、入
射ビットは発光サイリスタ(発光素子)T(1)、T
(3)、T(7)の3ビットであるとする。
第13図において、時刻t0〜t2の期間で転送クロックφ
1の電圧が高く設定されている。従って、転送クロック
φ1のハイレベルの電圧VMを第1の実施例にて説明した
電圧VON′とVONとの中間に設定することにより、転送ク
ロックφ1が印加される全てのビットに光信号の書き込
みが可能となる。時刻t0〜t2の期間内に書き込まれた光
信号Linの光によって発光サイリスタT(1)、T
(3)、T(7)の3ビットがオンする。これは第13図
中のハッチングで示されている。
この書き込みが終了した後、次の転送クロックφ2
よりこれらのオン状態が順次転送されて行く。この動作
原理は第1の実施例と全く同一である。
本実施例の機能としては、例えば光入力情報が4ビッ
トであるとして、発光サイリスタT(1)、T(3)、
T(5)、T(7)の4ビットに入射するように構成す
る。第13図の例では2進法で1101という数値であるが、
時刻t3〜t4の間では0110、時刻t5〜t6の間では0011とな
っている。即ち2進法の桁落ちを行なっていることにな
る。これは逆に考えると、桁上げを行なえることを意味
する。
〈実施例4〉 第14図に、本願の発明における光信号の読み取り方法
の第4の実施例における等価回路図を示す。第14図は第
1図と基本的には構成がほぼ同じであるが、最終ビット
である発光サイリスタ(発光素子)T(8)のゲートが
結合用ダイオードDI8を介して発光サイリスタT(1)
のゲートに接続されている点で特に相違している。従っ
て、この等価回路では発光サイリスタのオン状態は転送
クロックによってこの発光素子アレイの中を回り続ける
ことになる。
今、第13図で示したようなタイミングでこの発光素子
アレイを駆動したとすると、発光サイリスタT(1)〜
T(7)の発光状態は第13図のように消えて失われてい
くのではなく、順番に回転する。これは4ビットの光情
報で考えると2進法で1101であったものが1110となり、
0111なり、そして1011となる。このような演算は論理回
路を形成していくために重要な基本機能であり、光を用
いた計算、論理の構成に大きく寄与することが可能であ
る。
なお、本実施例では4ビットの例を示しているが、こ
れは8ビット、16ビット、32ビット等であっても問題な
く動作する。
〈実施例5〉 第15図、第16図、第17図に本願の発明における光信号
の読み取り方法の第5の実施例を説明するための構成図
を示す。
第15図は発光サイリスタ(発光素子)の配列の様子を
表し、第16図は第15図の破線枠内の拡大詳細図を示して
いる。第17図は第16図のY−Y′に沿う部分の断面構造
概略図である。
本実施例における構造は基本的には第11図で説明した
構成(電位結合が1方向に行なわれている場合)に対
し、電位結合を2方向(X方向とY方向)に行なったも
のである。第15図において、転送クロックφ1、φ2が供
給されるクロックラインCL1、CL2は横方向(X方向)に
配線され、転送クロックφ3、φ4が供給されるクロック
ラインCL3、CL4は縦方向(Y方向)に配線されている。
そして、クロックラインCL1 CL2及びCL3 CL4はそれぞ
れ1ビットおきにアノードに接続されている。
なお、第15図では図示を簡単にするためにアノード負
荷抵抗RAを省略している。
第16図に記載されている4ビットの発光サイリスタT
の各アノード21に、転送クロックφ1〜φ4のクロックラ
インCL1〜CL4がアノード負荷抵抗RAを介して接続されて
いる。各々の発光サイリスタTは2つの結合用ダイオー
ドDIを備え、これらのアノード21は隣接する右及び下の
発光サイリスタTのゲート22に接続されている。また各
発光サイリスタTのゲート22はゲート負荷抵抗RLを介し
て電源電圧VGKの直流電源に接続されている。
第17図に示す様に接地されたN形GaAs基板1上にN形
半導体層24、P形半導体層23,N形半導体層22、P形半導
体層21の各層が形成されている。そしてホトリソグラフ
ィ及びエッチング等により、分離溝50が形成され、単体
の発光サイリスタに分離されている。P形半導体層21は
この発光サイリスタTのアノードであり、また結合用ダ
イオードDIのアノードでもある。
発光サイリスタTのアノード21はアノード負荷抵抗RA
を介してクロックラインCL1、CL3に接続され、ダイオー
ドDIのアノード21は隣接する発光サイリスタTのゲート
22に接続されている。また、各発光サイリスタTのゲー
ト22はゲート負荷抵抗RLを介して電源電圧VGKの直流電
源に接続されている。なお、N形GaAs基板1はカソード
となっている。
次に、第16図を用いて動作を説明する。
まず、左上の発光サイリスタが転送クロックφ1を印
加されて光入射によりオン可能な状態であるとする。即
ち、φ1の電圧はVON′とVONとの中間の電圧VMであると
する。そして、光信号(光情報)が入射すると左上の発
光サイリスタがオンする。この次のパルスのタイミング
でφ4がハイレベルになればオン状態は左上から右上の
発光サイリスタTに移動する。次に、φ2がハイレベル
となれば右上から右下の発光サイリスタTにオン状態が
移動する。
このようにして本実施例によれば、転送クロックφ1
〜φ4を任意に組み合わせることで光信号によって書き
込まれたオン状態(発光状態)を右側及び下側に自由に
移動させることができる。
以上述べた第5の実施例の応用例を第18図に示す。こ
れは16×16のマトリックスを形成したものである。今、
転送クロックφ1、φ2の電圧がVON′とVONとの中間の電
圧VMに設定されたとする。そして英字「A」の文字を光
入力する。この結果、文字に相当する部分の発光サイリ
スタ(発光素子)Tがオン状態となる。転送クロックφ
1〜φ4を適切に加えることによって、オン状態を右方
向、下方向またはその組み合わせた方向へ自由に移動さ
せることができる。
本実施例において第4の実施例で示したように第18図
の右端、下端のゲートをダイオードを介して左端、上端
に接続するように設定すると、移動後にまた最初の位置
へ戻らせることが可能となる。また情報の移動を右方向
または下方向のどちらか1つに行なえばよい場合には転
送クロックは2相でよく、またゲートの結合方向も1方
向でよい。また転送クロックφ1〜φ4の供給の方法は第
14図に限られるものではない。
本実施例においてダイオード結合方式と呼ぶ構成を採
用しているが、結合方式はこれに限られず、先に説明し
た光結合方式、抵抗結合方式であってもかまわない。
例示したダイオード結合方式は電位結合を1方向のみ
に伝達する機能を持っており、このため画像の移動が1
方向になってしまうという問題点を有している。これに
対し、光結合方式、抵抗結合方式は電位結合が双方向で
あり、このため画像の移動が双方向で可能となる。
本実施例では自然発光を用いたモードのデバイスにつ
いて例示しているが、これらに限られず、誘導放出のモ
ード、即ちレーザであっても全く問題なく動作する。
また、このようなデバイスを製作する際、一般にGaA
s、InPに代表される直接遷移型の半導体が使用される。
この場合、自ら発光した光の波長で自らに情報を書き込
む際、感度が非常に低いという問題を有する。これを避
けるため、例えば、転送クロックφ1、φ2が供給される
クロックラインCL1、CL2に接続されている素子の半導体
の材質は、その他のデバイスの材料よりバンドギャップ
の狭い材料を使用してもよい。これによって発光した波
長での感度を向上させることも可能である。
さらに転送クロックφ1、φ2が供給される素子に第6
図で示したような受光量に応じて抵抗値が変化する抵
抗、フォトダイオードを設け、この構造によって転送の
スタートを行なっても、以上に示してきた実施例と全く
同じ機能を実現できる。
次に、上述した2次元の光情報の書き込み及び演算機
能に関する実施例のうち、光情報の書き込みに関する第
5の実施例の趣旨は、発光サイリスタ(スイッチ素子)
を2次元的に配置し、このスイッチ素子アレイ上に、光
によって光情報を書き込むというものであった。第15図
に示す2次元に配列されたスイッチ素子アレイの等価回
路を第19図に示す。
第19図においては、スイッチ素子である発光サイリス
タT(i,j)を2次元に配置し、結合用ダイオードDIを介し
て電位結合を2方向(x方向とy方向)に行なってい
る。転送クロックφ1、φ2がそれぞれ供給されるクロッ
クラインCL1、CL2は横方向(X方向)に配線され、転送
クロックφ3、φ4がそれぞれ供給されるクロックライン
CL3、CL4は縦方向(Y方向)に配線されている。
そして、それぞれのクロックラインCL1、CL2及びC
L3、CL4は1ビットおきにアノード負荷抵抗RAを介して
発光サイリスタのアノードと接続されている。また、RL
はゲート負荷抵抗である。各発光サイリスタのカソード
は接地されており、VGKはゲートに印加される電源電圧
である。なお、この第19図における動作は第15図、第16
図により第5の実施例で説明したとおりである。
しかしながら、第5の実施例の構成の場合、発光サイ
リスタのゲートが抵抗とダイオードとからなるネットワ
ークに接続されているため、光照射時の電荷蓄積が起こ
りにくく、光感度が低くなってしまうという問題点があ
る。
〈実施例6〉 次に、第5の実施例における問題点である光感度の低
下を改善した第6の実施例について説明する。
第20図に本願の発明におけるスイッチ素子アレイの一
実施例の等価回路図を示す。ここでは、説明を簡単にす
るために発光サイリスタを直線状に配置し、ゲート間を
ダイオードで結合した構造のものを示す。
第20図において、T(0)〜T(5)はそれぞれ発光
サイリスタを表し、D10〜D15は各発光サイリスタT
(0)〜T(5)の間の結合を行なう結合用ダイオード
をそれぞれ表す。RL0〜RL5はそれぞれゲート負荷抵抗で
ある。そして、ゲート負荷抵抗RL0〜RL5に直列に接続さ
れているDL0〜DL5は、それぞれ書き込み許可/書き込み
禁止を区別するための選択用ダイオードである。
また、RA0〜RA5はそれぞれアノード負荷抵抗であっ
て、オン状態の電流量を制限する働きを有する。各発光
サイリスタT(0)〜T(5)のカソードは接地されて
いる。また、VGKはゲートに印加される電源電圧であ
る。φ1、φ2はそれぞれ転送クロックである。そして、
CL1はクロックφ1を供給されるクロックラインであり、
CL2はクロックφ2を供給されるクロックラインである。
第21図に第20図の等価回路を半導体基板上に形成した
場合の断面構造概略図を示す。N型半導体基板1上にエ
ピタキシャル成長でN形半導体層24、P形半導体層23、
N形半導体層22、P形半導体層21が順次形成されてい
る。そして、ホトリソグラフィ及びエッチング等により
分離溝50が形成されている。N形半導体基板1は発光サ
イリスタTのカソードとなり、N形半導体層22がゲート
となり、P形半導体層21が発光サイリスタTのアノード
となる。
本実施例ではアノード21が3つできることになる。第
1番目は発光サイリスタTのアノードであり、第2番目
は結合用ダイオードD1のアノードである。そして、第3
番目は書き込み許可/書き込み禁止の選択用ダイオード
DLのアノードである。結合用ダイオードD1の端子は隣接
する発光サイリスタTのゲートに接続され、選択用ダイ
オードDLの端子はゲート負荷抵抗RLを介して電源電圧V
GKの直流電源に接続されている。そして、発光サイリス
タTのアノードはアノード負荷抵抗RAを介して転送クロ
ックφ1、φ2のクロックラインCL1、CL2のいずれかに接
続されている。
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、転送クロックφ1のクロックラインCL1に接続さ
れている発光サイリスタTへの、光情報の光書き込みを
行なう場合について説明する。この場合には、各端子の
電位関係は次のように設定されている。転送クロックφ
1は光照射時のオン電圧VON′と光無照射時のオン電圧V
ONとの中間の電圧VMに設定される。また、転送クロック
φ2は零ボルトに設定される。また、電源電圧VGKは零ボ
ルト以下であって、例えば負の電圧に設定される。
この場合、発光サイリスタTのゲート電圧VGは電圧VM
と零ボルトとの間にあると考えられる。ところが、電圧
VGKは零ボルト以下であるから、選択用ダイオードDL1
DL5は逆バイアスとなる。従って、ゲートは電圧VGKの直
流電源から電気的に切り離される。このため、光照射に
よって発生した電荷はほとんどゲートを通して流れない
ので、少ない光量での光書き込みが可能になる。
次に、書き込み許可状態から書き込み禁止状態への切
り替えについて説明する。この場合、転送クロック
φ1、φ2の電圧は、光書き込み時と同じ状態に保つ。一
方、電圧VGKをVMまで引き上げる。この電圧VGKの切り替
えは、発光サイリスタTのオン状態に影響を与えずに行
なうことができる。このことによって、選択用ダイオー
ドDL1〜DL5は順バイアスとなり、VGKからゲートへ電流
を流すことができるようになる。このため、この状態に
あるときに光を照射しても、電荷の蓄積は起こりにく
く、光感度は低い。
さらに、書き込み禁止時のオン状態の転送について説
明する。今、発光サイリスタT(1)がオン状態にある
場合、発光サイリスタT(1)のゲート電圧VGは素子構
造によって決まり、ほぼPN接合の拡散電位Vdif程度の電
圧になる。また、発光サイリスタT(2)のゲート電圧
VGはT(1)のゲート電圧VGよりもD11の拡散電位分だ
け高く、2Vdif程度の電圧になる。
さらに、T(3)以降のゲート電圧VGも、結合用ダイ
オードDIの拡散電位分だけで決まることとなり、選択用
ダイオードDLは、ゲート電圧VGの決定に影響を与えな
い。このため、転送クロックφ2のクロックラインCL2
クロックを供給することで、第5の実施例と同様に転送
動作を行なわせることができる。
本実施例では、発光サイリスタTを1次元に配列し、
ゲート間を結合用ダイオードDIで接続した場合について
説明したが、2次元または3次元に配列してもよい。ま
た、結合用ダイオードDIだけでなく抵抗などによってゲ
ート間を接続してもよい。また、基板としてP型の半導
体を用いてもよい。さらに、光書き込み許可時の電圧V
GKは、選択用ダイオードDLが逆バイアスになるように選
べば、必ずしも負の電圧である必要はない。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本願の発明における光信号の読み
取り方法によれば、光の情報を発光素子アレイに発光状
態として書き込み、発光状態を転送させることにより、
書き込まれた情報を時間的または空間的に処理する、つ
まりある種の演算を行なうことが可能になる。このこと
により、光ディレイライン、発光メモリ素子、シリアル
・パラレル変換器、画像の移動器等が構成でき、かつ情
報の書き込みを光で行なうことができる。
従って、光を用いた情報処理の機能拡大に大きく寄与
することができる。
また、本願の発明におけるスイッチ素子アレイによれ
ば、光書き込み時には高い光感度を有し、かつ書き込み
時以外は低い光感度を有し、上記光信号の読み取り方法
を効果的に実施できるスイッチ素子アレイを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1の実施例に用いた発光素子アレイの等価回
路図、第2図は第1の実施例のスタートビットの動作説
明図、第3図は第1の実施例の動作を説明するための駆
動波形図、第4図及び第5図はそれぞれ第1の実施例に
用いた発光素子アレイの平面図及び断面図、第6図はス
タートビットの別の構成図である。第7図及び第8図は
それぞれ本願の発明に使用しうる別の発光素子アレイの
構造例の等価回路図及び概略構造断面図、第9図及び第
10図はそれぞれ本願の発明に使用しうるさらに別の発光
素子アレイの構造例の等価回路図及び概略構造断面図、
第11図は第2の実施例に用いた発光装置の概略平面構成
図、第12図は第2の実施例の応用図、第13図は第3の実
施例の動作を説明するための駆動波形図、第14図は第4
の実施例の等価回路図、第15図は第5の実施例の平面構
成概略図、第16図は第15図の一部分の拡大詳細図、第17
図は第16図の断面構造概略図、第18図は第5の実施例の
応用図、第19図は第15図に示す2次元に配列されたスイ
ッチ素子アレイの等価回路を示す回路図、第20図は本願
の発明におけるスイッチ素子アレイの一実施例を示す等
価回路図、第21図は第20図に示すスイッチ素子アレイの
一実施例を半導体上に形成した場合の断面構造概略図、
第22図はpnpn−VSTEPの断面構造とI−V特性図、第23
図はタイミング図である。 なお、図面に用いた符号において、 1……N形半導体基板(カソード) 21……P形半導体層(アノード) 22……N形半導体層(ゲート) 23……P形半導体層 24……N形半導体層 40〜42……電極 T(−2)〜T(8),T(i,j),T……発光サイリスタ CL1、CL3……クロックライン φ1、φ2……転送クロック DI0〜DI8,DI……結合用ダイオード DL0〜DL5,DL……選択用ダイオード ALY……発光素子アレイ である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−96291(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 27/10 H01L 27/15 H01L 33/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光によってしきい電圧もしくはしきい電流
    を外部から制御可能な複数の発光素子が1次元または2
    次元的に配列された発光素子アレイと、前記発光素子の
    発光状態を前記発光素子アレイ内の隣接する他の前記発
    光素子へ順次転送するためのクロックラインとを有する
    発光装置において、 この発光装置の外部から、前記発光素子アレイの一部の
    前記発光素子に光信号を入射させて、その発光素子を発
    光状態とし、 前記クロックラインに転送クロックを印加することによ
    り発光状態を前記発光素子アレイの他の前記発光素子に
    転送し、 転送先の前記発光素子の発光状態に基づいて光信号を光
    学的または電気的に読み取ることを特徴とする光信号の
    読み取り方法。
  2. 【請求項2】前記発光装置は、 しきい電圧もしくはしきい電流を外部から制御可能な複
    数の前記発光素子が1次元または2次元的に配列され、
    互いに近傍に位置する前記発光素子が光学的手段で接続
    されるか、または互いに近傍に位置する前記発光素子の
    しきい電圧もしくはしきい電流を制御するための制御電
    極が互いに電気的手段にて接続されており、かつ各々の
    前記発光素子に外部から電圧もしくは電流を印加させる
    前記クロックラインが接続された前記発光素子アレイを
    有するように構成するか、または、 しきい電圧もしくはしきい電流を外部から制御可能な複
    数のスイッチ素子が1次元または2次元的に配列され、
    互いに近傍に位置する前記スイッチ素子が光学的手段で
    接続されるか、または互いに近傍に位置する前記スイッ
    チ素子のしきい電圧もしくはしきい電流を制御するため
    の制御電極が互いに電気的手段にて接続されており、か
    つ各々の前記スイッチ素子に外部から電圧もしくは電流
    を印加させる前記クロックラインが接続されたスイッチ
    素子アレイと、しきい電圧もしくはしきい電流を外部か
    ら制御可能な制御電極を有する複数の前記発光素子が配
    列され、各々の前記発光素子に電気的手段を介して電源
    が接続された前記発光素子アレイとを有し、この発光素
    子アレイの各々の前記発光素子の前記制御電極と前記ス
    イッチ素子の前記制御電極とが電気的手段にて接続され
    るように構成する ことを特徴とする請求項1記載の光信号の読み取り方
    法。
  3. 【請求項3】しきい電圧もしくはしきい電流を外部から
    制御可能な複数のスイッチ素子が1次元または2次元的
    に配列されており、 各々の前記スイッチ素子のしきい電圧もしくはしきい電
    流を制御するための制御電極が互いに接続されているス
    イッチ素子アレイにおいて、 前記スイッチ素子の前記制御電極間における電気的な結
    合を外部から制御するための切り替え手段を備えること
    を特徴とするスイッチ素子アレイ。
  4. 【請求項4】前記切り替え手段は、前記制御電極に直接
    的または間接的に接続されたダイオードを備えることを
    特徴とする請求項3記載のスイッチ素子アレイ。
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