JP2887401B2 - ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル樹脂組成物

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JP2887401B2 JP8504390A JP8504390A JP2887401B2 JP 2887401 B2 JP2887401 B2 JP 2887401B2 JP 8504390 A JP8504390 A JP 8504390A JP 8504390 A JP8504390 A JP 8504390A JP 2887401 B2 JP2887401 B2 JP 2887401B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性、剛性、寸法安定性及び外観の優れ
た新規なポリフェニレンエーテル樹脂組成物に関するも
のである。
更に詳しくは、本発明は、ポリフェニレンエーテル鎖
の末端を、6−クロマン骨格などの環化末端基を特定量
有した新規なポリフェニレンエーテル樹脂と無機充填剤
とからなる組成物に関するものである。
(従来の技術および課題) ポリフェニレンエーテル樹脂は、機械的強度、電気的
特性、耐熱性等の優れた熱可塑性樹脂として知られてい
るが、溶融粘度が高く、成形加工性に劣るとの欠点を有
してる。このポリフェニレンエーテル樹脂に、より高い
剛性等を求めるため無機充填剤を配合すると溶融粘度が
さらに高くなり、流動性が悪くなり、容易に成形できな
い。そのため、成形時に樹脂温度を上げると熱酸化劣化
を受け易いという問題点も有している。
この加工性を改良する手法として、米国特許第3,383,
435号明細書にはスチレン系重合体をブレンドすること
が示されている。
また、特開昭53−84049号公報には可塑剤を添加する
ことが示されているが、これらは、いずれもポリフェニ
レンエーテルの耐熱性及び機械的特性を損ない、また、
可塑剤は、充填剤と樹脂の密着を阻害し、表面特性を悪
くする傾向がある。
(課題を解決するための手段) このような状況下にあって、本発明者らは、先に検討
の結果、ポリフェニレンエーテル樹脂の末端構造を、い
わゆる6−クロマン骨格とし、環化した場合、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂は溶融成形時の安定性が極めて高
く、熱酸化劣化の原因となる下記(e)式に代表され
る、 (式中、R1〜R5は、夫々独立に、水素、アルキル基、置
換アルキル基、ハロゲン基、アリール基又は置換アリー
ル基である。) の部分構造がポリフェニレンエーテル鎖中に殆ど生成
しないということを見出した。
なお、「6−クロマン骨格又は基」の用語は、非置換
または置換された6−クロマンを意味する。
この特定のポリフェニレンエーテル樹脂と無機充填剤
とを併用すると、成形加工時の流動性及び熱安定性に優
れ、高い剛性及び寸法安定性を示し、しかも優れた表面
外観が得られることを見出し、本発明に至ったものであ
る。
すなわち、本発明は; (i)下記一般式(a)で表される環化末端基を、樹脂
を構成するフェニレンエーテルユニットの100個に対し
て平均0.01個以上含有し、数平均分子量が1,000〜100,0
00の範囲にあることを特徴とする、ポリフェニレンエー
テル樹脂100重量部に、 (式中、R1〜R5は、夫々独立に、水素、アルキル基、置
換アルキル基、ハロゲン基、アリール基又は置換アリー
ル基であり、R6〜R9は、夫々独立に水素、アルキル基、
置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、ハ
ロゲン基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
基、N−ラクタム基、カルボン酸基、カルボン酸無水物
基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、ニト
リル基、アシロキシ基又はアシル基である。
なお、R6とR7、R8とR9は、夫々独立に結合してスピロ
環状構造のリングを形成していてもよい。) (ii)無機充填剤1〜150重量部を配合した、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂組成物である。
更に、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂は、前記
一般式(a)で表される環化末端基を、樹脂を構成する
フェニレンエーテルユニットの100個に対して平均0.01
個以上含有する必要がある。
エンジニアリング樹脂として用いる程度の平均分子量
(約10,000〜30,000)の場合、環化末端基はフェニレン
エーテルユニットの100個に対して平均0.15個以上が好
ましい。さらに好ましくは、平均0.2個以上である。
その上限は特になく、多ければ多いほど耐熱酸化劣化
の点で好ましい。また、末端基の全てが一般式(a)の
構造である樹脂は、エンジニアリング樹脂用に最も好ま
しく使用できる。
このポリフェニレンエーテル樹脂は、その末端基を除
き、繰返し単位として一般に で表されるフェニレンエーテルユニットを含有するもの
と定義され、特に限定はない。その代表的な例は、下記
式(b); (式中、R1〜R5は、夫々独立に、水素、アルキル基、置
換アルキル基、ハロゲン基、アリール基又は置換アリー
ル基から選ばれる。) で示されるフェニレンエーテルユニットの少なくとも1
種から構成される。更に、以下の式(h)、(i)、
(j)のモノマーユニット等を含んでもよい。
(式中、R、R′は夫々独立に(C1〜C20)アルキル
基、(C1〜C20)ヒドロキシアルキル基、(C2〜C22)ア
ルコキシアルキル基、(C3〜C22)アシロキシアルキル
基又は(C4〜C20)ポリアルキレンエーテル基であ
る。) (式中、Rは(C1〜C20)アルキル基、(C1〜C20)ヒド
ロキシアルキル基、(C2〜C22)アルコキシアルキル
基、(C3〜C22)アシロキシアルキル基又は(C4〜C20
ポリアルキレンエーテル基である。) 下記の多価エーテルユニット; このようなポリフェニレンエーテル樹脂の基本骨格と
してのポリフェニレンエーテル重合体を工業的に有利な
フェノール類の酸化カップリング重合で製造する場合に
は、R1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n
−ブチルなとの低級アルキル基またはフェニル、ナフチ
ルなどが好ましく、R2〜R5は水素または低級アルキル基
が好ましい。
最も好ましい組合せとしては、R1がメチル基またはフ
ェニル基であり且つR2〜R5が水素の場合、R1とR2がメチ
ル基であり且つR3〜R5が水素の場合である。特に、R1
メチル基であり、R2〜R5が水素であって、このフェニレ
ンエーテルユニットが全ユニットに対して90〜100%で
あることが好ましい。
これらの条件を満たす最も好ましいR1〜R5を有するフ
ェニレンエーテルユニットに対応するモノマーとして
は、(i)2,6−ジメチルフェノール、(ii)2−メチ
ル−6−フェニルフェノール、(iii)2,3,6−トリメチ
ルフェノール等が挙げられる。モノマー(i)又はモノ
マー(ii)のホモポリマー、或いはモノマー(i)とモ
ノマー(ii)及び/又はモノマー(iii)とのコポリマ
ーが本発明の樹脂基本骨格としてのポリフェニレンエー
テル重合体として好ましく用いられる。
また、本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂中
には、熱安定性を改善するという趣旨を反しない限り、
従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよい
ことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユ
ニットを部分構造として含んでもかまわない。少量共存
させることが提案されているものの例としては、特願昭
63−12698号及び特開昭63−301222号公報に記載されて
いる、2−(ジアルキルアミノメチル)6−メチルフェ
ニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−
フェニルアミノメチル)6−メチルフェニレンエーテル
ユニット等が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェ
ノキノン等が少量結合したものも含まれる。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の分子量
としは、数平均分子量で1,000〜100,000である。その好
ましい範囲は、約6,000〜60,000である。特に、エンジ
ニアリング樹脂の用途として好ましいのは、約10,000〜
30,000のものである。
なお、本発明の数平均分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレンの検量
線を用いて求めたポリスチレン換算の数平均分子量であ
る。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の環化末
端基(a)において、 R1〜R5は、夫々独立に、水素、アルキル基、置換アル
キル基、ハロゲン基、アリール基又は置換アリール基で
ある。
R6〜R9は、夫々独立に、水素、アルキル基、置換アル
キル基、アルケニル基、置換アルケニル基、ハロゲン
基、アリール基、置換アリル基、アルコキシ基、N−ラ
クタム基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボ
ン酸エステル基、カルボン酸アミド基、ニトリル基、ア
シル基またはアシロキシ基である。なお、R6、R7、R8
びR9は夫々独立に、その末端がフリーであるか或いはR6
とR7、R8とR9は夫々独立に結合してスピロ環状構造のよ
うなリングを形成していてもよい。
R1〜R5の前記定義において、アルキル基は炭素数1〜
20、好ましくは炭素数1〜10のアルキルである。置換ア
ルキルの置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハ
ロゲン;ヒドロキシル基;アミノ基;低級アルコキシ基
を挙げることができる。アリールは炭素数6〜20のアリ
ールである。置換アリールの置換基としては、低級アル
キル基;フッ素、塩素、臭素などのハロゲン;ヒドロキ
シル基;アミノ基;低級アルコキシ基を挙げることがで
きる。
R6〜R9の定義において、アルキル基は炭素数1〜20、
好ましくは1〜10のアルキルであり、更に好ましくは低
級アルキルである。置換アルキルの置換基としては、フ
ッ素、塩素、臭素などのハロゲン;ヒドロキシル基;ア
ミノ基;低級アルコキシ基などを挙げることができる。
アルケニルは、エチレニル、3−プロペニルのような低
級アルケニルが好ましい。置換アルケニルの代表例は、
1−ヒドトキシ−3−プロペニルである。アリールは炭
素6〜20のアリールである。置換アリールの置換基とし
ては、低級アルキル基;低級アルコキシ基;フッ素、塩
素、臭素などのハロゲン;ヒドロキシル基;アミノ基;
アミノメチル基のようなアミノアルキル基を挙げること
ができる。
アリール基は、広義の芳香環基の意味であり、狭義の
アリールに加えてピリジル基、トリアジル基などの複素
芳香環基も含まれる。N−ラクタムの代表例は、N−2
−ピロリドニル、N−ε−カプロラクタモイルなどであ
る。カルボン酸アミドの代表例としては、カルボモイ
ル、フェニルカルバモイル、セリルなどが挙げられる。
カルボン酸無水物の好ましい例は、アセトキシカルボニ
ル、ベンゾイロキシカルボニルである。カルボン酸エス
テルの代表例には、メトキシカルボニル、エトキシカル
ボニル、アリロキシカルボニルなどがある。アシル基の
代表例はアセチル、ベンゾイルなどがあり、アシロキシ
の好ましい例は、アセトキシ、ベンゾイロキシなどであ
る。
R6〜R9は、その2〜3個が、特に3個が水素であるこ
とが安定性の面で好ましい。この際、他の基は、アリー
ル基、置換アリール基、カルボン酸基、カルボン酸無水
物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、ニ
トリル基、N−ラクタム基から選ぶこと好ましい。特
に、R8及びR9の少なくとも1つがアリール基又は置換ア
リール基である場合が、熱酸化劣化に対する安定性と後
述する製法の観点から好ましい。
R6〜R9の定義におけるアリールまたは置換アリール基
の代表例としては、フェニル、トリル、クロロフェニ
ル、ナフチル、4−ピリジル、3,5−ジアミノ−(s)
−トリアジル基等である。
このような環化末端基を構造及び結合量は、核磁気共
鳴スペクトルを用いて測定することができる。
この安定化ポリフェニレンエーテル樹脂は、以下のよ
うにして製造することができる。
すなわち、一般式(c); (式中、R1〜R5は(a)式で定義したものと同じであ
り、R10、R11は、それぞれ独立に水素、アルキル基、置
換アルキル基を表すが、同時に水素であることはな
い。) で表される末端基を有するポリフェニレンエーテル重
合体を一般式(d); (式中、R6〜R9は(a)式で定義したものと同じであ
る。) で表される炭素−炭素二重結合を有する化合物(以
下、不飽和化合物という)とラジカル重合開始剤不存在
下に、ポリフェニレンエーテル重合体のガラス転移温度
以上の温度迄加熱することによって、安定化ポリフェニ
レンエーテル樹脂が製造できる。
前記(c)式のR10、R11におけるアルキル基、置換ア
ルキル基は、好ましくは(C1〜C20)アルキル基、(C1
〜C20)ヒドロキシアルキル基、(C2〜C22)アルコキシ
アルキル基、(C3〜C22)アシロキシアルキル基又は(C
4〜C20)ポリアルキレンエーテル基である。
このような末端基(c)を持ったポリフェニレンエー
テルは、水酸基のオルト位に少なくとも一つのベンジル
位水素を有するフェノール化合物を一級または二級アミ
ンを含んだ触媒の存在下に酸化カップリング重合又は共
重合して得られる(たとえば、米国特許第4,788,277号
明細書)。
この場合、得られるポリマーは、一般式(c)で表さ
れる末端基を有するポリフェニレンエーテルと、ベンジ
ル位に一級又は二級アミンの結合していない末端構造を
有するポリフェニレンエーテルとの混合物として得られ
るが、本発明においては、これを分離することなく用い
うる。前者と後者の使用割合は特に限定されないが、前
者の末端基数/後者の末端基数の比で示せば、好ましく
は0.4以上、特に好ましくは0.9以上である。
本発明における一般式(c)で表される末端基を有す
るポリフェニレンエーテルと一般式(d)で表される不
飽和化合物との反応使用量は、好ましくは、一般式
(c)で表される末端基を有するポリフェニレンエーテ
ルに対して、一般式(d)の不飽和化合物を2〜50当量
程度用いればよい。
この安定化ポリフェニレンエーテル樹脂を製造する場
合に用いる不飽和化合物(d)の具体例としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、メチルス
チレン、スチルベン、ケイ皮アルコール、ベンザルアセ
トン、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸ニトリル、4−ビニル
ピリジン、2−ビニル−3,5−ジアミノ−(s)−トリ
アジン等が挙げられる。
不飽和化合物(d)として、芳香環を含まないものを
用いることもできる。そのような不飽和化合物(d)の
具体例としては、アクリル酸;アクリル酸のメチル、エ
チル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、2
−エチルヘキシル、オクチル、イソデシル、ラウリル、
ラウリル−トリデシル、トリデシル、セチル−ステアリ
ル、ステアリル、シクロヘキシル、ベンジルエステル等
のアクリル酸エステル類;アクリルアミド、アクリロニ
トリル、メタクリル酸;メタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−
エチルヘキシル、オクチル、イソデシル、ラウリル、ラ
ウリル−トリデシル、トリデシル、セチル−ステアリ
ル、ステアリル、シクロヘキシル、ベンジルエステル等
のメタクリル酸エステル類;メタクリルアミド、メタク
リロニトリル、イタコン酸;イタコン酸のジメチル、ジ
エチル、ジブチル、ジ−2−エチルヘキシル、ジノリ
ル、ジオクチルエステル等のイタコン酸ジエステル類;
イタコン酸のモノメチル、モノエチル、モノブチル、モ
ノ−2−エチルヘキシル、モノノリル、モノオクチルエ
ステル等のイタコン酸のモノエステル類:イタコン酸無
水物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられ
る。
なお、本発明に用いるポリフェニレンエーテル樹脂の
製造にあたっては、ポリフェニレンエーテル系重合体を
180℃以上のガラス転移温度以上に加熱する前に、不飽
和化合物(d)と機械的に混合しておくのが好ましい。
混合の方法は得に限定されないが、ヘンシェルミキサ
ー等によってドライブレンドする方法、溶融ブレンドの
後乾燥させる方法、不飽和化合物(d)をポリフェニレ
ンエーテルは溶融しないが不飽和化合物(d)は溶解す
る、例えばメタノールやペンタン等のような溶媒に溶解
させて、粉末状の末端基(c)を有するポリフェニレン
エーテル系重合体に含浸させた後、溶媒を乾燥除去する
方法等が挙げられる。
以上のようにして機械的に混合されたポリフェニレン
エーテル系重合体と不飽和化合物(d)は、次いでポリ
フェニレンエーテル系重合体のガラス転移温度(約208
℃)以上に加熱溶融される。
好ましい温度範囲は、ガラス転移温度の20〜150℃上
であり、さらに好ましくは、50〜120℃上である。加熱
する時間は、温度との関係で一概にはいえないが、望ま
れる反応が完了するのに十分の時間加熱すればよい。一
般には、約1分〜1時間程度であり、数分程度が好まし
い。余り長くしても意味がない。
環化末端基(a)の生成する反応は、通常ガラス転移
温度以上では十分速いので、不必要に過剰な熱をかけな
いほうがよい。また、加熱は、前述の通り、ラジカル重
合開始剤の不存在下で行う必要がある。反応雰囲気を窒
素ガス雰囲気などにするのが好ましい。
本発明に用いる無機充填剤としては、形状について特
に規定されるものでなく、配合後のポリマー物性の剛
性、衝撃強度、寸法安定性、成形性、耐熱酸化劣化性、
外観等の総合バランスから最適なものを選択することが
可能である。
このような無機質充填剤としては、周期律表第I族〜
第VII族中の金属原子(例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、C
a、Zn、Ba、Ti)またケイ素の単体、酸化物、水酸化
物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩;これらの化
合物のいくつかが存在する各種粘土鉱物;その他があ
り、具体的には、例えば酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸
カルシウム(重質、軽質、膠質)、硫酸バリウム、硫酸
カルシウム、硫酸ソーダ、亜硫酸カルシウム、ケイ酸カ
ルシウム、タルク、カオリン、マイカ、チタン酸カリウ
ム、クレー、ウオラストナイト、ガラスビーズ、ガラス
粉末、けい砂、けい石、石英粉、シラス、けいそう土、
ホワイトカーボン、鉄粉、アルミニウム粉等を挙げるこ
とができる。
これらは、複数種併用しても差し支えない。
これらの無機質充填剤は、無処理のまま用いてもよい
が、高級脂肪酸又はそのエステル、塩等の誘導体(例え
ば、ステアリン酸、オレイン酸、パリミチン酸、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステア
リン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリン
酸エチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレ
イン酸カルシウム、オレイン酸アミド、オレイン酸エチ
ルエステル、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸ア
ミド、パルミチン酸エチルエステル等);シランカップ
リング剤(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメト
キシシラン等);チタンカップリング剤(例えば、イソ
プロピルトリイソスチアロイルチタネート、イソプロピ
ルトリラウリルミリスチルチタネート、イソプロピルト
リイソステアロイルジメタクリルチタネート、イソプロ
ピルトリジイソオクチルフォスフェートチタネート等)
などの表面改質剤で被覆処理を施した無機充填剤でもよ
い。
無機充填剤の好ましい他の表面改質方法は、不飽和有
機酸またはそのエステル(例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等)や、これらの重合体の存在下で無機充
填剤を粉砕して、無機充填剤の表面に重合体を付着させ
る、いわゆるメカノケミカル的手法で無機充填剤の表面
を改質する方法である。
本発明に用いるポリフェニレンエーテルと無機充填剤
のブレンドの量比は、前者100重量部に対して、後者が
1〜150重量部であるが、好ましくは前者100重量部に対
して、後者が5〜50重量部である。
このような組成物比は、環化末端基を含む安定化ポリ
フェニレンエーテル樹脂を製造する際に同時に、又は製
造後にブレンドし、押出造粒する方法で行える。
この組成物には、その特徴を損なわない範囲でビニル
芳香族系樹脂を加えても良い。
このビニル芳香族系樹脂としては、スチレンの単独重
合体の他、相溶性を損なわない範囲で他のエチレン性不
飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。
具体的なコモノマーの例としては、α−メチルスチレ
ン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
酸エステル類、メタクリル酸エステル類、無水マレイン
酸、N−アルキルマレイミド類、N−アリールマレイミ
ド類、ビニルオキサゾリン等がある。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、この
他にガラス繊維、カーボン繊維、その他の各種の安定
剤、難燃剤、顔料などを公知の方法により適宜添加して
用いることができる。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、各種
成分をブレンドし、必要に応じて押出造粒した後、射出
成形、押出成形などの常法の成形手段により成形して耐
熱性、剛性、表面外観、寸法安定性などに優れた成形品
となしうる。
従って、この組成物は、このように優れた物性を有す
るので、これを利用した各種エンジニアプラスチック用
製品として、種々の成形品に利用できる。
(実施例) 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、
本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、各測定は以下の条件によって行った。
ポリマーの粘土は、0.5%クロロホルム溶液を30℃
の条件下でウベローデ粘度管を用いて測定し、ηsp/cで
表す。
1H−核磁気共鳴スペクトルは日本電子(株)製のGX
−270でCOCl2を溶媒として測定し、テトラメチルシラン
を基準として用いる。
メルトフローレート; 280℃、10kg荷重で測定する。
熱変形温度; ASTM D−648に準拠し、加重18.6kg/cm2で測定す
る。
引張強度; ASTM D−648に準拠する。
曲げ弾性率; ASTM D−790に準拠する。
線膨張係数; 樹脂の流動方向と流動方向に対して直角方向のそれぞ
れの線膨張係数をASTM D−696に準拠して測定した。
成形品の外観; 成形品の表面に充填剤の浮き上がりがあるか否かを目
視により評価し、 浮き上がりのないもの:○、 浮き上がりのあるもの:×、 とした。
実施例1 (1) 原料のポリフェニレンエーテルは、米国特許4,
788,277号明細書(特願昭62−77570号)に記載されてい
る方法に従って、ジブチルアミンの存在下に、2,6−キ
シレノールを酸化カップリング重合して製造する。
得られるポリフェニレンエーテルの粘度は0.545であ
り、ガラス転移温度は約208℃である。1H−核磁気共鳴
スペクトルで分析した結果、(r)式; の末端基が、主な繰り返し単位であるフェニレンエーテ
ルユニット100個につき、0.32個存在することが確認さ
れる。
また、遊離のフェノール性水酸基の量は、主な繰り返
し単位(q)の100個につき、0.34個存在することが確
認される。
(2) このポリフェニレンエーテルの100重量部に対
してスチレン10重量部と50%重量粒子径5μのタルク10
重量部を添加して、ヘンシェルミキサーで均一にブレン
ドした後、スクリューの直径が30mmφの二軸押出機(池
貝鉄工(株)製PCM−30)中300℃で溶融混練し、水槽を
通してペレット化する。
得られたペレットについてメルトフローレートを測定
する。
(3) また、このペレットを10%トルエン溶液とし
て、孔径0.5μのメンブランフイルターを用いて無機充
填剤を濾別した。そして、濾液にトルエンと同量のメタ
ノールを加えて、ポリマーを再び沈澱させて回収し、14
5℃で1時間乾燥させる。
乾燥させたポリマーを1H−核磁気共鳴スペクトルで分
析した結果、(j)式; の末端基が、主な繰り返し単位(q)の100個につ
き、0.25個存在することが、5.02ppmのシグナルの面積
値から確認された。
(4) 次いで、このペレットを射出成形機(東芝機械
(株)製1S80EPN)下330℃の条件で成形し、試験片とす
る。
その試験片について、熱変形温度、引張強度、曲げ弾
性率、線膨張係数を測定し、成形品の外観を評価した。
実施例2 実施例1の(2)の工程において、タルクの代わり
に、粒子径1.4μの焼成カオリン(林化成(株)製サラ
ントンNo・1)10重量部を用いたこと以外は、実施例1
と同様の操作を行った。
また、ポリマー中の(j)式で表される末端基は、主
な繰り返し単位(q)の100個につき0.25個であった。
比較例1 実施例1の(2)の工程において、スチレンを使用し
なかったことと、(3)の工程を行わなかったこと以外
は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例2 比較例1のタルクの代わりに、焼成カオリン(林化成
製サラントンNo・1)10重量部を用いたこと以外は、比
較例1と同様の操作を行った。
実施例と比較例の結果を表1に示した。
(発明の効果) 本発明においては、改質された安定化ポリフェニレン
エーテルと無機充填剤をブレンドすることにより、優れ
た剛性、寸法安定性のみならず、優れた成形性、耐熱酸
化劣化性を兼ね備えた樹脂組成物が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)下記一般式(a)で表される環化末
    端基を、樹脂を構成するフェニレンエーテルユニットの
    100個に対して平均0.01個以上含有し、数平均分子量が
    1,000〜100,000の範囲にあることを特徴とする、ポリフ
    ェニレンエーテル樹脂100重量部に、 (式中、R1〜R5は、夫々独立に、水素、アルキル基、置
    換アルキル基、ハロゲン基、アリール基又は置換アリー
    ル基であり、R6〜R9は、夫々独立に水素、アルキル基、
    置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、ハ
    ロゲン基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ
    基、N−ラクタム基、カルボキシ酸基、カルボン酸無水
    物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、ニ
    トリル基、アシロキシ基又はアシル基である。 なお、R6とR7、R8とR9は、夫々独立に結合してスピロ環
    状構造のリングを形成していてもよい。) (ii)無機充填剤1〜150重量部を配合したことを特徴
    とする、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
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