JP2886076B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スプールをドラグ作動
状態と自由回転状態に変換できる切換機構を設けた魚釣
用スピニングリールの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】魚釣用スピニングリールのドラグ機構
は、ドラグ調節摘手を回動してドラグ力を徐々に強弱に
調節するように構成されているのが一般的であるが、実
際の魚釣り操作においては、釣糸の切断を防止したり、
かかった魚の口切れを防止したり、魚の喰込みを良くす
る等のためにローター逆転防止装置でローターの逆転を
阻止した状態でスプールをドラグ作動状態からスプール
自由回転状態に切換える操作とか、逆にスプールを自由
回転状態に保持し魚がかかるとスプールをドラグ作動状
態にして釣上げる操作を行なうこと等があり、これらの
魚釣り操作に対応できるようにドラグ機構をドラグ作動
状態とこれを解除してスプールを自由回転状態に瞬時に
切換えることが特開昭６１ー２７４６３８号公報や特開
平２ー４０５号公報等で知られている。

【０００３】またローターの逆転防止装置を解除してロ
ーターを正逆転可能状態のままでハンドルによりロータ
ーを正逆回転させて釣糸を繰出したり、釣糸を捲取った
り、前記スプール自由回転状態で保持している仕掛の位
置を移動するために、前記と同様にローターの逆転防止
装置を解除してハンドルの逆転により、ローターを逆回
転せしめて釣糸を繰出したり、ハンドルの正転によりロ
ーターを正回転せしめて釣糸を捲取ったりする等するロ
ーター逆転釣りも行なわれている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記ロー
ター逆転釣りを行なうには、その都度ローター逆転防止
装置を解除しなければならず、またこのローター逆転釣
り状態からスプール自由回転状態にして魚釣り操作する
場合にもローターの逆転防止装置をローター逆転阻止状
態に切換えなければならず、この操作を忘れるとスプー
ルとローターとが一緒に回転することになり、糸ふけ現
象が発生したり、釣糸の繰出しが円滑にできなくなる問
題点がある。本発明はこれらの釣り方に簡易確実に対応
できるようにした魚釣用スピニングリールを提供するこ
とを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、ハンドルの回転により前後に往復動するス
プール軸の前部にドラグ機構を有するスプールを設け、
前記スプール軸を係止状態と自由回転状態に切換える切
換機構を設けると共にローターの逆転を阻止する逆転防
止装置を設けた魚釣用スピニングリールにおいて、前記
ローターの回転を阻止する第２逆転防止装置を係脱自在
に設けると共に該第２逆転防止装置と前記切換機構とを
第２逆転防止装置がローターの逆転を阻止したとき前記
切換機構がスプール軸を自由回転状態に保持し、第２逆
転防止装置がローターの逆転阻止を解除したとき切換機
構がスプール軸を係止状態に保持するように切換レバー
を有する連動機構で連結したことを特徴とするものであ
り、特に逆転防止装置及び第２逆転防止装置はリール本
体の内外におけるローター回転軸筒上に夫々設けるのが
好ましい。

【０００６】

【作用】本発明は逆転防止装置でローターの逆転を阻止
した状態において、連動機構により第２逆転防止装置が
ローターの逆転阻止を解除せしめると共に切換機構がス
プール軸を係止保持するときはスプール軸の前部に設け
たドラグ機構によりスプールがドラグ作用を行ない、連
動機構を切換えて第２逆転防止装置がローターの逆転を
阻止すると共に切換機構がスプール軸を自由回転状態に
保持するときはスプール軸を逆転させて釣糸を繰出す釣
りを行なうことができる。

【０００７】また逆転防止装置でローターの逆転を可能
にした状態において、連動機構により第２逆転防止装置
がローターの逆転阻止を解除すると共に切換機構がスプ
ール軸を係止保持するときは、ローターは逆転可能とな
ってローター逆転釣りを行なうことができ、この状態か
ら連動機構により第２逆転防止装置でローターの逆転を
阻止するようにすると切換機構はスプール軸を自由回転
状態に保持するように切換えられ、この場合もスプール
軸を逆転させる釣り方が可能になる。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
前端部に摩擦制動部材１及びこれをスプール２に圧接す
る調節摘手３からなるドラグ機構Ａを公知のように設け
たスプール軸４は、リール本体５に軸方向に摺動可能に
かつ回動可能に支持されると共に該スプール軸４は図示
されていないが周知の往復摺動機構が設けられ、ハンド
ル６′を有するハンドル軸６の回動と連動し前後方向に
摺動するように構成されている。

【０００９】またリール本体５内においてスプール軸４
と一体的に回動しかつスプール軸４を摺動可能に嵌挿し
た伝動歯車７は、リール本体５の支持部５′によってス
プール軸方向の位置を規制されると共にスプール軸４の
上側におけるリール本体５の後部には前記伝動歯車７と
噛合する従動歯車８を固着した連動軸９が支持され、該
連動軸９の欠円軸部９′に一体的に係止歯車１０が設け
られており、一方リール本体５には前記係止歯車１０に
係脱自在にかつ発条１１′で係合方向に付勢された切換
部材１１が軸支され、切換部材１１が係止歯車１０に係
脱することによりスプール軸４を係止状態と自由回転状
態に切換え保持できる切換機構Ｂを構成している。

【００１０】また前記ハンドル６′の回転によりハンド
ル軸６を介して回動される駆動歯車１２は公知のごとく
ローター１３を固着したローター回転軸筒１４に形成さ
れたピニオン１５と噛合すると共に前記ローター回転軸
筒１４には逆転防止装置１６及び第２逆転防止装置１７
が夫々係脱自在に設けられている。

【００１１】前記逆転防止装置１６はリール本体５の外
側前部におけるローター回転軸筒１４に固着された逆転
防止爪車１８と該逆転防止爪車１８に係脱自在の係止爪
１９と該係止爪１９を係脱状態に保持するリール本体５
に支持された操作レバー２０とよりなり、前記操作レバ
ー２０先端の切換カム２１によって係止爪１９を逆転防
止爪車１８に係合するとローター１３の逆転を阻止し、
係止爪１９を逆転防止爪車１８から離脱するとローター
１３を逆転を可能にする。

【００１２】また前記第２逆転防止装置１７はリール本
体５内のローター回転軸筒１４に固着された逆転防止歯
車２２と該逆転防止歯車２２に係脱自在の一端に作動突
片２３を有する係合爪２４と、該係合爪２４を係合方向
に付勢する発条２５とより形成され、前記逆転防止装置
１６と同様に係合爪２４の係合時にはローター１３の逆
転を阻止し、離脱時にはローター１３逆転を可能にす
る。

【００１３】しかして前記第２逆転防止装置１７と前記
切換機構Ｂとは切換レバー２７を有する連動機構Ｃで連
動するように構成されている。即ち前記連動機構Ｃは、
リール本体５に軸着されかつ付勢バネ２６で前後方向に
振分け規制される切換レバー２７を設けた作動片２８と
リール本体５に摺動自在に支持された連結杆２９とより
構成され、該連結杆２９の一端は作動片２８に突設され
た突部２８′に軸着されると共に該突部２８′は前記切
換機構Ａの切換部材１１に形成された作動部１１″と係
合し、また連結杆２９の他端に形成された折曲突片２
９′は第２逆転防止装置１７の係合爪２４の作動突片２
３に係合してこれを牽引可能に形成されている。

【００１４】本発明の実施例は上記のように構成されて
いるので、逆転防止装置１６の操作レバー２０で係止爪
１９を逆転防止爪車１８に係合してローターの逆転を阻
止した状態で連動機構Ｃの切換レバー２７を図２のよう
にリール本体５の前方に回動位置せしめるときは作動片
２８は連結杆２９を牽引してその折曲突部２９′が第２
逆転防止装置１７の係合爪２４の作動突片２３を牽引し
て係合爪２４を逆転防止歯車２２より離脱せしめると共
に切換機構Ｂの切換部材１１は発条１１′により係止歯
車１０に付勢係合せしめられてスプール軸４に係止され
るので、スプール軸４は固定状態に保持されスプール２
は摩擦制動部材１によって通常のドラグ制動作用による
魚釣りが可能になる。

【００１５】次いでこの状態から連動機構Ｃの切換レバ
ー２７を図３の後方位置に回動するときは作動片２８の
突部２８′は切換機構Ｂの切換部材１１の作動部１１″
に係合してこれを反時計回り方向に回動して係止歯車１
０から離脱せしめると共に連結杆２９の折曲突部２９′
は係合爪２４の作動突片２３の牽引作用を解除し係合爪
２４は発条２５の付勢力で逆転防止歯車２２に係合し、
ローター１３は逆転防止装置１６及び第２逆転装置１７
の双方で逆転を阻止されながら、スプール軸４はフリー
回転状態となるので、スプール２は自由回転状態に保持
される。

【００１６】また逆転防止装置１６の係止爪１９を操作
レバー２０により図５のように逆転防止爪車１８から離
脱せしめた状態において、連動機構Ｃの切換レバー２７
を図２の前方位置に回動位置せしめると、第２逆転防止
装置１７の係合爪２４は逆転防止歯車２２より離脱し、
スプール軸４は切換機構Ｂの切換部材１１が係止歯車１
０に係合することによりスプール軸４は係止状態に保持
され、ローター１３は正逆転自在状態となりローター逆
転釣りが可能になる。

【００１７】更にこの状態において図３のように切換レ
バー２７を図３の後方位置に回動位置すると第２逆転防
止装置１７の係合爪２４は逆転防止歯車２２に係合し、
ローター１３は逆転が阻止されると共に切換機構Ｂの切
換部材１１は係止歯車１０から離脱してスプール軸４は
自由回転状態に保持される。

【００１８】前記実施例はローターの逆転を阻止する逆
転防止装置１６及び第２逆転防止装置１７を何れもロー
ター回転軸筒１４に設けたが、逆転防止装置１６はハン
ドル軸６に設けることも可能であり、また切換レバーを
有する連動機構には他の同等手段で代替することもでき
るが、前記実施例の摺動可能な連結杆方式が作動が円滑
に行なわれると共に構成も簡易化できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は従来のローターの逆転防止装置
に更にローターに第２逆転防止装置を設けると共に該第
２逆転防止装置とスプール軸をドラグ作動状態と自由回
転状態に切換える切換機構とを連動機構で連結して該連
動機構を第２逆転防止装置がローターの逆転を阻止した
とき前記切換機構がスプール軸を自由回転状態に保持
し、第２逆転防止装置がローターの逆転阻止を解除した
とき、切換機構がスプール軸を係止状態に保持するよう
に構成したので、ローターの逆転防止装置と連動機構の
切換操作により通常のドラグ機構を利用する魚釣り法、
スプールを自由回転状態に保持する釣り方及びローター
を逆転可能状態に保持するローター逆転釣り法を随時使
い分けることができ、幅広い釣り方に対応できると共に
特にスプールの自由回転状態とローターの正逆転自在状
態との変換をその都度ローターの逆転防止装置の切換操
作することなく迅速容易にできるため、これらの切換操
作を連続して行なう魚釣り操作を確実かつ円滑迅速に行
なうことができる。

【００２０】また本発明は逆転防止装置と第２逆転防止
装置とをローター回転軸筒上のリール筐体の内外に設け
ることによって連動機構の設置スペースも充分に確保で
き、リール本体を大型化することなくコンパクトに形成
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一部切欠正面図。

【図２】同要部の作動状態の縦断正面図。

【図３】同要部の作動状態の縦断正面図。

【図４】同逆転防止装置のローターの逆転阻止時の側面
図。

【図５】同逆転防止装置のローターの回転可能時の側面
図。

【符号の説明】

２ スプール ４ スプール軸 ６′ ハンドル １３ ローター １４ ローター回転軸筒 １６ 逆転防止装置 １７ 第２逆転防止装置 Ａ ドラグ機構 Ｂ 切換機構 Ｃ 連動機構

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルの回転により前後に往復動する
   スプール軸の前部にドラグ機構を有するスプールを設
   け、前記スプール軸を係止状態と自由回転状態に切換え
   る切換機構を設けると共にローターの逆転を阻止する逆
   転防止装置を設けた魚釣用スピニングリールにおいて、
   前記ローターの回転を阻止する第２逆転防止装置を係脱
   自在に設けると共に該第２逆転防止装置と前記切換機構
   とを第２逆転防止装置がローターの逆転を阻止したとき
   前記切換機構がスプール軸を自由回転状態に保持し、第
   ２逆転防止装置がローターの逆転阻止を解除したとき切
   換機構がスプール軸を係止状態に保持するように切換レ
   バーを有する連動機構で連結したことを特徴とする魚釣
   用スピニングリール。
2. 【請求項２】 逆転防止装置及び第２逆転防止装置を夫
   々ローター回転軸筒上に形成した請求項１記載の魚釣用
   スピニングリール。