JP2886060B2 - 魚釣用スピニングリールにおけるドラグ装置 - Google Patents

魚釣用スピニングリールにおけるドラグ装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は魚釣用スピニングリール
におけるスプールに制動力を付与するドラグ機構の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣用スピニングリールのドラグ機構
は、ドラグ調節摘手を回動してドラグ力を徐々に強弱に
調節するように構成されているのが一般的であるが、実
際の魚釣り操作においては、釣糸の切断を防止したり、
かかった魚の口切れを防止したり、魚の喰込みを良くす
る等のためにスプールをドラグ作動状態から直ちにスプ
ール自由回転状態に切換える操作とか、スプールを自由
回転状態に保持し魚がかかるとスプールをドラグ作動状
態にして釣上げる操作を行なう場合等がある。そこでこ
れらの魚釣り操作に対応できるようにドラグ機構をドラ
グ作動状態とこれを解除してスプールを自由回転状態に
切換えることが特開昭61ー274638号公報や特開
平2ー405号公報等で知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の方
式は、スプール軸の後部にドラグ機構を作動状態と非作
動状態に切換える機構を設けているために、スプールの
前後ストロークを制約してリール本体の長さが長くなる
と共にスプール軸上にスプール摺動機構、スプール制動
機構及びその切換機構が集約されるため構成が複雑とな
ってリール製造時の組込み操作、使用中のメンテナンス
が面倒で、しかもリール全体のバランスも崩れる等の問
題点がある。本発明はこのような問題点を改善して、リ
ール本体内の限られたスペースを有効に利用すると共に
構成の簡易化を図るようにした魚釣用スピニングリール
のドラグ装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、ハンドル軸の回動と連動して前後に往復動
するスプール軸の前部にスプールを設け、該スプールの
回動を制動するドラグ機構を備えた魚釣用スピニングリ
ールにおいて、前記スプール軸と歯車機構を介して回動
される連動軸を平行にリール本体内に支持すると共に該
連動軸上に前記スプールをドラグ作動状態と自由回転状
態に切換可能の切換手段を設け、さらにスプール自由回
転状態にある前記切換手段をハンドル軸の回動と連動し
てドラグ作動状態に復帰せしめる復帰機構を設けた設け
たものである。
【0005】前記ドラグ機構を連動軸の後部に設けた場
合には切換手段でドラグ機構と連動軸とを係脱自在に形
成し、ドラグ機構をスプール軸の前部に設ける場合には
連動軸と一体回転する係止歯車に切換手段を係脱自在に
形成する。またスプール軸トラバースカム軸で前後に
往復動せしめると共に該トラバースカム軸と連動軸とを
スプール軸の下側と上側に振分け配置するときはリール
全体をバランス良くコンパクトに形成できる。
【0006】
【作用】切換手段により連動軸をドラグ機構と係合する
か又は連動軸を係止するときにはスプールはドラグ作動
状態になり、切換手段により連動軸とドラグ機構を分離
するか又は連動軸を回動可能にするときは、スプールは
自由回転状態となる。またこのスプール自由回転状態に
おいてハンドル軸を回動すると復帰機構は切換手段をド
ラグ状態の位置に復帰せしめてスプールはドラグ作動状
態となる。
【0007】
【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
図示されていない先端部にスプールを固着したスプール
軸1はリール本体2に前後動自在かつ回動可能に支持さ
れると共に該スプール軸1の下側におけるリール本体1
には公知のようにハンドル軸3に設けた駆動歯車4によ
り連動されるトラバースカム軸5が支持され、該トラバ
ースカム軸5のカム溝5′に係合爪6′を介して係合し
た摺動子6の上部に固定される係止板6″でスプール軸
1の後端に摺動子6を回動可能に支持すると共に該摺動
子6を前記スプール軸1と一体的に前後動するように係
合されている。リール本体2内においてスプール軸1と
一体的に回動しかつスプール軸1を摺動可能に嵌挿した
伝動歯車7はリール本体との支持部2′・2′によって
スプール軸方向の位置を規制されると共にスプール軸1
の上側におけるリール本体2の後部には前記伝動歯車7
と噛合する従動歯車8を固着した連動軸9が支持され、
該連動軸9の後端部には摩擦制動部材10を嵌着した制
動筒11が嵌装され、該制動筒11の前部に形成された
係止部11′には連動軸9の欠円部9′に軸方向自在に
回り止め嵌合された係合筒12の係合部12′が係脱自
在に形成されている。
【0008】また前記係合筒12にはリール本体2に付
勢バネ13で前後振分け規制された操作レバー14によ
って前後動する作動部材15が設けられると共に該作動
部材15の前部は前記従動歯車8の後側におけるリール
本体2の支持部16内に前後動可能に支持されており、
更に前記摩擦制動部材10はリール本体2の後部に形成
された筒部2″に進退自在に設けられた筒状の調節摘手
17で圧接自在に構成されている。
【0009】また前記作動部材15の後端部にはその前
進位置のスプール自由回転状態において駆動歯車4に設
けた復帰突起18が当接するカム状の復帰衝接部19が
設けられ、ハンドルの巻取方向の回転により駆動歯車4
が回動すると前記復帰突起18が復帰衝接部19を介し
て作動部材15をデットポイント作用する前記付勢バネ
13の付勢力に抗して後方に摺動できるように構成され
ている。
【0010】従って操作レバー14によって作動部材1
5を前方に移動すると、係合筒12の係合部12′は制
動筒11の係止部11′から脱れ連動軸9は回動自在に
なるので、伝動歯車7、従動歯車8を介してスプール軸
1が回転可能になるが、操作レバー14によって作動部
材15を介して係合筒12を後方に移動してその係合部
12′を制動筒11の係止部11′に係合すると、連動
軸9は制動筒11と一体となるので摩擦制動部材10に
よってその回動を制動されることになるので、伝動歯車
7及び従動歯車8で連動されるスプール軸1もその回動
が摩擦制動部材10で制動されることになり前記摩擦制
動部材10の制動力を調節摘手17で調整することによ
ってスプール軸1の制動力は調節することができる。
【0011】しかしてスプール軸1を回転状態からドラ
グ制動状態に復帰させるには前記操作レバー14の切換
えでも可能であるが、ハンドル軸3によって駆動歯車4
を回動するとその復帰突起18は作動部材15のカム状
の復帰衝接部19に衝接して作動部材15を後方に移動
して係合筒12を制動筒11に係合せしめスプール軸1
を再びドラグ制動状態に自動復帰させることができる。
【0012】前記実施例は所謂リヤードラグ方式におけ
る実施例であるが、次にスプール軸の先端部においてス
プールとの間に摩擦制動部材を設ける所謂フロントドラ
グ方式の実施例について説明すると、前端部に摩擦制動
部材10及びこれをスプール20に圧接する調節摘手1
7を公知のように設けたスプール軸1はリール本体2に
軸方向に摺動可能にかつ回動可能に支持されると共に該
スプール軸1の下側におけるリール本体2内にはハンド
ル軸3に設けた駆動歯車4で連動されるトラバースカム
軸5が支持され、該トラバースカム軸5のカム溝5′に
係合爪6′を介して係合した摺動子6の上部に固定され
る係止板6″でスプール軸1の後端に摺動子6を回動可
能に支持すると共に該摺動子6を前記スプール軸1と一
体的に前後動するように係合されている。
【0013】またリール本体2内においてスプール軸1
と一体に回転しかつスプール軸1を摺動可能に嵌挿した
伝動歯車7は、リール本体2の支持部2′によってスプ
ール軸方向の位置を規制されると共にスプール軸1の上
側におけるリール本体2の後部には前記伝動歯車7と噛
合する従動歯車8を固着した連動軸9が支持され、該連
動軸9の欠円軸部9′に一体的に係止歯車21が設けら
れている。一方リール本体2には付勢バネ13で前後に
振分け規制される操作レバー14が設けられ、該操作レ
バー14によって作動される作動部材15が前記係止歯
車21に係脱自在に形成されると共に前記連動軸9の欠
円軸部9′の後端部はリール本体2の後部に形成された
筒部2″に突出し、該突出部には弱摩擦制動部材22が
嵌着され、前記筒部2″に進退自在に設けられた調整摘
み23の進退で弱摩擦制動部材22によって連動軸9を
弱制動できるように構成されており、前記実施例と同様
に駆動歯車4には復帰突起18が、作動部材15に復帰
突起18が衝接する復帰衝接が夫々設けられている。
【0014】従って操作レバー14によって作動部材1
5を係止歯車21に係止状態に保持すると、連動軸9の
回動が阻止されることによりスプール軸1も伝動歯車7
及び従動歯車8を介して回動が阻止されるので、スプー
ル20は摩擦制動部材11によって通常のフロントドラ
グ方式のドラグ制動作用が行なわれるが、操作レバー1
4によって作動部材15を係止歯車21から離間させる
と、スプール軸1は自由回転可能状態になるものであ
り、この場合においてスプール軸1の回転は調節摘み2
3の調節による弱摩擦制動部材22によってスプール軸
1の自由回転を微制動することができるものであり、こ
のスプール軸1の自由回転状態においてハンドル軸3を
回転すると駆動軸4に設けた復帰突起18が作動部材1
5の復帰衝接部19に衝接して作動部材15を係止歯車
21に係合せしめスプール軸1を再びドラグ作動状態に
自動復帰させるものである。
【0015】図9に示す実施例は前記連動軸9をトラバ
ースカム軸5の下方に配置したものであり、図10は、
伝動歯車7と従動歯車8との間に中間歯車7′を介在さ
せた実施例であり、軸方向に長く形成した中間歯車7′
をスプール軸1の後端に固着した伝動歯車7に噛合させ
ると共に従動歯車8を連動軸9において係止歯車21よ
り後方に設けたものである。
【0016】また図11は図10の実施例において従動
歯車8を連動軸9上を軸方向に移動可能に回り止め嵌合
し、スプール軸1の後端部に固着した伝動歯車7の両側
に固定した係止板8′で前記従動歯車8の両側を支持し
た実施例であり、更に図12の実施例は図11の実施例
における伝動歯車8を軸方向にスプール軸1のストロー
クに相当する長さに形成したものである。なおこれらの
リヤードラグ方式においてもハンドル軸3の回転によ
り、復帰機構である駆動歯車4に設けた復帰突起18が
作動部材15の復帰衝接部19に衝接して作動部材15
を係止歯車21に自動的に係合復帰させることができる
ものである。
【0017】
【発明の効果】本発明はハンドルの回動と連動して前後
に往復動するスプール軸の前部にスプールを設け、該ス
プールの回動を制動するドラグ機構を備えた魚釣用スピ
ニングリールにおいて、ドラグ機構をスプールのドラグ
作動状態と自由回転状態に切換える切換手段をスプール
軸と歯車機構で連結された連動軸上に設けると共に前記
切換手段には前記スプール自由状態にある切換手段をハ
ンドル軸の回動と連動してドラグ作動状態に復帰せしめ
る復帰機構を設けたので、スプール軸自体の後部に切換
手段が組込まれることによる構成の複雑化を簡易化して
リール本体の長さ方向が大きくなることを防止してスプ
ールの前後動ストロークを充分に長く保持でき、リール
本体のコンパクト化を図り、リール本体を有効に利用で
きると共にスプール自由回転状態からドラグ作動状態へ
の復帰は釣糸を捲取るハンドル軸の回動操作で自動的か
つ連続して迅速に行うことができるので魚釣り操作を円
滑かつ容易に行うことができる
【0018】また本発明はスプール軸の上下側に連動軸
及びトラバースカム軸を振分け配置することにより、リ
ール全体を一層上下方向にもコンパクトにかつバランス
良く形成できると共に製造組立時の切換機構、摺動機構
の組込作業及び保守管理も容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部の縦断正面図。
【図2】図1A−A線断面図。
【図3】図1の要部の一部切欠正面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】本発明の第2実施例の一部切欠正面図。
【図6】図5C−C線断面図。
【図7】図5D−D線断面図。
【図8】図5の側面図。
【図9】本発明の第3実施例の縦断正面図。
【図10】本発明の第4実施例の縦断正面図。
【図11】本発明の第5実施例の縦断正面図。
【図12】本発明の第6実施例の縦断正面図。
【符号の説明】
1 スプール軸 2 リール本体 3 ハンドル軸 4 駆動歯車 5 トラバースカム軸 6 摺動子 7 伝動歯車 8 従動歯車 9 連動軸 10 摩擦制動部材 11 制動筒 12 係合筒 14 操作レバー 15 作動部材 18 復帰突起 19 復帰衝接部 20 スプール 21 係止歯車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01K 89/027

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハンドル軸の回動と連動して前後に往復
    動するスプール軸の前部にスプールを設け、該スプール
    の回動を制動するドラグ機構を備えた魚釣用スピニング
    リールにおいて、前記スプール軸と歯車機構を介して回
    動される連動軸を平行にリール本体内に支持すると共に
    該連動軸上に前記スプールをドラグ作動状態と自由回転
    状態に切換可能の切換手段を設け、さらにスプール自由
    回転状態にある前記切換手段をハンドル軸の回動と連動
    してドラグ作動状態に復帰せしめる復帰機構を設けた
    釣用スピニングリールにおけるドラグ装置。
  2. 【請求項2】 スプールの回動を制動するドラグ機構を
    連動軸の後部に設け、前記ドラグ機構と連動軸とを切換
    手段で係脱自在に形成した請求項1記載の魚釣用スピニ
    ングリールにおけるドラグ装置。
  3. 【請求項3】 スプールの回動を制動するドラグ機構を
    スプール軸の前部に設け、連動軸上に設けた一体回転す
    る係止歯車に切換手段を係脱自在に設けた請求項1記載
    の魚釣用スピニングリールにおけるドラグ装置。
  4. 【請求項4】 スプール軸を前後に往復動させる摺動手
    段がトラバースカム軸で構成され、該トラバースカム軸
    と連動軸とをスプール軸の下側と上側に夫々振分け配置
    した請求項1乃至3何れかに記載の魚釣用スピニングリ
    ールにおけるドラグ装置。
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