JP2884878B2 - 共振器 - Google Patents

共振器

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JP2884878B2
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原 正 広 笠
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は共振器に関し、特にた
とえば、携帯用無線機などに用いられる数MHz〜数G
Hzの周波数域で用いられる共振器に関する。
【0002】
【従来の技術】図10はこの発明の背景となる従来の共
振器の一例を示す分解斜視図である。共振器1は、2つ
の誘電体層2を含む。2つの誘電体層2の間には、コイ
ル電極3が形成される。コイル電極3は、ループ状の一
部が切り離された形状に形成されている。コイル電極3
の一端から、誘電体層2の端部に延びるようにして、ア
ース端子4が形成される。このアース端子4と間隔を隔
てて、取出端子5が形成される。
【0003】2つの誘電体層2を介して、コイル電極3
と対向するように、2つのアース電極6が形成される。
アース電極6は、面状に形成される。これらのアース電
極6にもアース端子4が形成され、コイル電極3のアー
ス端子4と接続される。さらに、これらのアース電極6
上には、保護層7が形成される。この共振器1は、スト
リップライン共振器と同様の働きをする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな共振器では、コイル電極の長さや太さ、各電極間の
距離などによって共振周波数が決定されるため、一旦共
振器を作製すると、共振周波数の調整ができなかった。
そのため、各電極の寸法などが微妙に狂うと、それだけ
で共振周波数が所定の値からずれてしまい、不良品とな
る。
【0005】それゆえに、この発明の主たる目的は、共
振周波数を調整することができる共振器を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、誘電体層
と、誘電体層の一方主面側に形成されるループの一部の
形状のコイル電極と、誘電体層の他方主面側に形成され
るアース電極と、コイル電極とアース電極とを接続する
ためにコイル電極およびアース電極から引き出されるア
ース端子と、アース端子と間隔を隔ててコイル電極から
引き出される取出端子とを含む共振器であって、アース
電極はループ状を成すとともに、コイル電極のアース端
子接続部分に近い端部を始端とし、コイル電極のアース
端子接続部分から遠い開放端部を終端としたとき、ルー
プ状のアース電極内において、コイル電極の始端と終端
との間において始端側に対向する位置に、帯状のトリミ
ング電極を有することを特徴とする、共振器である。
【0007】
【作用】トリミング電極を切断することによって、アー
ス電極の電磁シールド効果が変化する。それによって、
共振器の磁界成分が変化し、共振周波数が変化する。
【0008】
【発明の効果】この発明によれば、トリミング電極を切
断することによって、共振器の共振周波数を変化させる
ことができる。しかも、切断するトリミング電極の数を
多くすれば、それに応じて共振周波数も変化する。した
がって、所定の共振周波数からずれた共振器でも、調整
することによって、所定の共振周波数にすることができ
る。したがって、共振器を製造するときに、不良品を減
らすことができる。
【0009】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳
細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【実施例】図1はこの発明の一実施例を示す斜視図であ
り、図2はその分解斜視図である。共振器10は第1の
誘電体層12を含む。第1の誘電体層12の一方主面側
には、コイル電極14が形成される。コイル電極14
は、ループの一部を切断した形状に形成される。コイル
電極14の長さLは、波長をλ,第1の誘電体層12の
誘電率をεとしたとき、次式で表される値に設定され
る。
【0011】
【数1】
【0012】コイル電極14の一端から第1の誘電体層
12の端部に引き出されるように、アース端子16が形
成される。さらに、アース端子16から間隔を隔てて、
コイル電極14から誘電体層12の端部に引き出される
ように、取出端子18が形成される。
【0013】第1の誘電体層12の他方主面側には、面
状の第1のアース電極20が形成される。第1のアース
電極20は、その外形寸法がコイル電極14の外形寸法
より大きくなるように形成される。そして、コイル電極
14と第1のアース電極20は、第1の誘電体層12を
挟んで、互いに対向するように形成される。第1のアー
ス電極20からは、第1の誘電体層12の端部に向かっ
て延びるようにしてアース端子22が形成される。この
アース端子22は、コイル電極14のアース端子16に
対向する位置に形成される。さらに、この第1のアース
電極20には、保護層24が被覆される。
【0014】また、コイル電極14を挟んで、第1の誘
電体層12の反対側には、第2の誘電体層26が形成さ
れる。第2の誘電体層26は、第1の誘電体層12と同
じ材料で同じ大きさに形成される。この第2の誘電体層
26上には、ループ状の第2のアース電極28が形成さ
れる。第2のアース電極28の外形寸法は、第1のアー
ス電極20の外形寸法と同じになるように形成される。
第2のアース電極28の内側には、複数のトリミング電
極30が形成される。トリミング電極30は、第2の誘
電体層26の幅方向に延びる帯状に形成される。そし
て、それぞれのトリミング電極30は、互いに平行にな
るように形成され、その両端は第2のアース電極28に
接続される。コイル電極14のアース端子16接続部分
に近い端部を始端とし、コイル電極14のアース端子1
6接続部分から遠い開放端部を終端としたとき、トリミ
ング電極30はコイル電極14の始端と終端との間にお
いて始端側に対向する位置に形成される。第2のアース
電極28からは、第2の誘電体層26の端部に延びるよ
うにして、アース端子32が形成される。このアース端
子32は、コイル電極14のアース端子16に対向する
位置に形成される。さらに、第2のアース電極28およ
びトリミング電極30を保護するための保護層34が形
成される。
【0015】コイル電極14のアース端子16,第1の
アース電極20のアース端子22および第2のアース電
極28のアース端子32は、外部アース電極36で接続
される。外部アース電極36は、第1の誘電体層12,
第2の誘電体層26および保護層24,34の端部に形
成される。さらに、第1の誘電体層12,第2の誘電体
層26および保護層24,34の端部には、外部取出電
極38が形成される。外部取出電極38は、コイル電極
14から延びる取出端子18に接続される。
【0016】このような共振器10を作製するには、図
3に示すように、複数の誘電体材料で形成されたセラミ
ックグリーンシート50が準備される。1枚のシート5
0上に、たとえば銅ペーストなどを用いて、コイル電極
用パターン52が形成される。コイル電極用パターン5
2は、ループの一部を切断した形状に形成される。さら
に、コイル電極用パターン52からシート50の端部に
延びるように、アース端子用パターン54および取出端
子用パターン56が形成される。
【0017】別のシート50上には、第1のアース電極
用パターン58が形成される。第1のアース電極用パタ
ーン58は、シート50上に面状に形成される。そし
て、第1のアース電極用パターン58からシート50の
端部に延びるアース端子用パターン54が形成される。
さらに、別のシート50上には、第2のアース電極用パ
ターン60およびトリミング電極用パターン62が形成
される。トリミング電極用パターン62は、第2のアー
ス電極用パターン60内において、平行する複数の帯状
に形成される。第2のアース電極用パターン60から
も、シート50の端部に延びるようにアース端子用パタ
ーン54が形成される。
【0018】各電極パターンが形成されたシート50間
には、誘電体層12,26の厚みが得られるように、複
数のシート50が挟み込まれる。さらに、第2のアース
電極用パターン60が形成されたシート50上にも、シ
ート50が載置される。これらのシート50が積層さ
れ、圧着されて成形体が形成される。さらに、得られた
成形体の端部に、銅ペースト等を用いて、外部アース電
極用パターンおよび外部取出電極用パターンが形成され
る。外部アース電極用パターンはアース端子用パターン
54に接続するように形成され、外部取出電極用パター
ンは取出端子用パターン56に接続するように形成され
る。この成形体を焼成することにより、共振器10が得
られる。なお、成形体の外表面に形成する各電極用パタ
ーンは、成形体の焼成後に形成してもよい。
【0019】この共振器10では、コイル電極14が第
1のアース電極20および第2のアース電極28に接続
されており、コイル電極14の長さが数1に示す長さL
に設定されているため、1/4波長のストリップライン
誘電体共振器として働く。また、第1のアース電極20
および第2のアース電極28が電磁シールドの役目を果
たす。したがって、この共振器10は、図4の等価回路
に示すような、インダクタンスとキャパシタンスとを有
する共振器となる。
【0020】この共振器10の共振周波数を調整するに
は、図5に示すように、トリミング電極30が、たとえ
ばレーザトリミングなどの方法で切断される。トリミン
グ電極30が切断されると、磁界成分のシールド効果が
小さくなる。このことは、共振器10の磁界成分が大き
くなることと等価であり、共振器10の共振周波数が低
くなる。さらに、切断するトリミング電極30の本数を
増やせば、共振周波数の変化も大きくなる。このことに
ついて、(1)トリミング電極30を切断しない場合、
(2)トリミング電極30を1本切断した場合、(3)
トリミング電極30を2本切断した場合、および(4)
トリミング電極30を3本切断した場合の共振周波数の
変化の一例を図6に示す。図6からわかるように、トリ
ミング電極30の切断本数を増やすことによって、共振
周波数が低くなっていることがわかる。このように、こ
の共振器10では、レーザトリミングなどの方法で、簡
単に共振周波数の調整をすることができる。
【0021】このような共振器10では、コイル電極1
4の長さや太さなどの寸法、およびアース端子16と取
出電極18との間隔など、微妙な差で共振周波数にばら
つきが生じる。このような場合、トリミング電極30を
トリミングすることによって、共振周波数を所定の値に
設定することができ、製造時における不良品の数を減少
させることができる。
【0022】なお、図7に示すように、コイル電極14
の始端側および終端側の両方に、トリミング電極30を
形成してもよい。このようなトリミング電極30を形成
した場合、コイル電極14の始端側のトリミング電極3
0を切断すると、主として図4に示す等価回路のインダ
クタンス成分が変わって共振周波数が変化するが、終端
側のトリミング電極30を切断すると、主としてキャパ
シタンス成分が変わって共振周波数が変化する。したが
って、図7に示すようなトリミング電極30を形成すれ
ば、インダクタンス成分およびキャパシタンス成分の両
方を調整することができる。さらに、トリミング電極3
0はアース電極20,28のいずれに形成してもよい。
【0023】図8は、この発明の共振器を応用したフィ
ルタの一例を示す分解斜視図である。このフィルタ10
0では、第1の誘電体層12の一方主面側に2つのコイ
ル電極14が形成される。これらのコイル電極14は、
互いに対称となるように形成される。したがって、2つ
のコイル電極14のアース端子16は、互いに隣接する
ように形成される。また、2つのコイル電極14の取出
端子18は、2つのアース端子16を挟んで、対称な位
置に形成される。
【0024】また、第1の誘電体層12の他方主面側に
は、第1のアース電極20が形成される。この第1のア
ース電極20にも、2つのアース端子22が形成され
る。さらに、第2の誘電体層26上には、第2のアース
電極28が形成される。そして、第2のアース電極28
の両端部に、トリミング電極30が形成される。この第
2のアース電極28にも、2つのアース端子32が形成
される。そして、第1のアース電極20および第2のア
ース電極28を覆うようにして、保護層24,34が形
成される。
【0025】このようなフィルタ100では、2つの共
振器が電磁結合している。したがって、トリミング電極
を切断することによって、各共振器の共振周波数が変化
し、フィルタの特性を調整することができる。つまり、
フィルタの中心周波数は、各共振器の共振周波数によっ
て決定されるものであるため、各共振器の共振周波数を
調整することによって、フィルタの中心周波数を調整す
ることができる。
【0026】このことについて、(1)トリミング電極
30を切断しない場合、(2)トリミング電極30を1
本切断した場合、(3)トリミング電極30を2本切断
した場合、および(4)トリミング電極30を3本切断
した場合のフィルタ100の中心周波数の変化の一例を
図9に示す。図9からわかるように、トリミング電極3
0の切断本数を増やすことによって、フィルタ100の
中心周波数が低くなっていることがわかる。
【0027】このように、この発明の共振器10では、
トリミング電極30を切断することによって、共振周波
数を調整することができる。したがって、共振器の量産
工程で生じる共振周波数のばらつきを減らすことがで
き、不良品を少なくすることができる。しかも、トリミ
ング電極30の切断は、たとえばレーザトリミングなど
によって簡単に行うことができ、加工時間も短くするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す共振器の分解斜視図である。
【図3】図1に示す共振器を製造する一工程を示す分解
斜視図である。
【図4】図1に示す共振器の等価回路図である。
【図5】図1に示す共振器の共振周波数を調整するため
にトリミング電極を切断した状態を示す平面図である。
【図6】図1に示す共振器のトリミング電極を切断した
ときの共振周波数の変化を示すグラフである。
【図7】この発明の共振器のトリミング電極の他の例を
示す平面図である。
【図8】 この発明の共振器を電磁結合させて形成したフ
ィルタの一例を示す分解斜視図である。
【図9】 図8 に示すフィルタのトリミング電極を切断し
たときの中心周波数の変化を示すグラフである。
【図10】 この発明の背景となる従来の共振器の一例を
示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 共振器 12 第1の誘電体層 14 コイル電極 16 アース端子 18 取出端子 20 第1のアース電極 22 アース端子 26 第2の誘電体層 28 第2のアース電極 30 トリミング電極 32 アース端子
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−11002(JP,A) 実開 昭57−53701(JP,U) 実開 昭61−119406(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01P 1/20 - 1/219 H01P 7/00 - 7/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体層、前記誘電体層の一方主面側に
    形成されるループの一部の形状のコイル電極、 前記誘電体層の他方主面側に形成されるアース電極、 前記コイル電極と前記アース電極とを接続するために前
    記コイル電極および前記アース電極から引き出されるア
    ース端子、および 前記アース端子と間隔を隔てて前記コイル電極から引き
    出される取出端子を含む共振器であって、 前記アース電極はループ状を成すとともに、前記コイル
    電極の前記アース端子接続部分に近い端部を始端とし、
    前記コイル電極の前記アース端子接続部分から遠い開放
    端部を終端としたとき、前記ループ状のアース電極内に
    おいて、前記コイル電極の始端と終端との間において始
    端側に対向する位置に、帯状のトリミング電極を有する
    ことを特徴とする、 共振器。
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