JP2883825B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP2883825B2
JP2883825B2 JP29628894A JP29628894A JP2883825B2 JP 2883825 B2 JP2883825 B2 JP 2883825B2 JP 29628894 A JP29628894 A JP 29628894A JP 29628894 A JP29628894 A JP 29628894A JP 2883825 B2 JP2883825 B2 JP 2883825B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッドに関するもの
であり、特にVTR用磁気ヘッドに用いて好適な磁気ヘ
ッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、ビデオテープレコーダ(以下、V
TRという)は、画像圧縮技術や磁気記録技術の進歩に
よりディジタル化が始まり、民生機器への普及も現実的
になってきた。
【0003】ディジタルVTRの磁気記録では、高転送
レー卜要求によるヘッドに対するテープの高速摺動性と
信号の広帯域化が必要となり、磁気ヘッドは、高周波で
の出力対ノイズ特性(以下、C/N特性という)をいか
に稼ぐかが課題となる。
【0004】これらの特性を満たす磁気ヘッドとして、
まず主要部を図11に示す磁気ヘッド100が考えられ
る。この図11に示される磁気ヘッド100は、ハード
ディスクドライブ用に実用化されている薄膜磁気ヘッド
(以下、TFHという)であり、不図示の基板上に、下
部磁性膜101、薄膜コイル102、上部磁性膜104
およびターミナル106が不図示の絶縁膜を介して積層
されて構成されている。なお、下部磁性膜101と上部
磁性膜104の間には磁気ギャップGが形成されてい
る。
【0005】このようなTFH100は、磁路が短く、
またインダクタンスが低く押さえられるため、C/N特
性は良いと言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録媒
体の高速な摺動による摩耗に対し、十分なギャップデプ
スDが確保できない問題があり、仮にギャップデプスD
を深くしても、上部および下部磁性膜101,104の
断面積が小さいことで、記録時の磁気飽和の問題が生ず
る。
【0007】また、従来のアナログVTRでは、メタル
テープ対応で摺動特性に優れた図12に示す磁気ヘッド
110が主流となっている。この磁気ヘッド110は、
一般に、MIG(Metal In Gap)ヘッドと呼ばれてお
り、一対のコアハーフ111のそれぞれの磁気ギャップ
形成面に高飽和磁束密度金属磁性膜112が形成され、
磁気ギャップGを介して突合わされて構成されている。
このMIGヘッド110は、ギャップデプスDを大きく
でき、記録時の磁気飽和の問題も生じないが、ディジタ
ルVTR用の磁気ヘッドとして高周波の信号に対応すべ
く磁路の小型化を考えた場合、実用的な巻線材の直径を
考慮すると巻線窓64の大きさ(X×Y)は最低0.2
5×0.25mm2程度以上のサイズは必要となり、前
述したTFH100並に小型化することは明らかに困難
である。
【0008】上記課題を考慮して、本発明は、記録時の
磁気飽和の問題を解決するとともに、磁路を小型化した
C/N特性の良い磁気ヘッドを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明によれば、磁気ギャップを有する磁性体から
なる第1のコアと、磁性体からなる第2のコアとで閉磁
路を構成し、この閉磁路にコイルを巻回してなる磁気ヘ
ッドにおいて、前記第2のコアの本体は、非磁性基板の
成膜溝に成膜された断面形状がほぼV字状の高飽和磁束
密度金属磁性膜からなり、前記コイルは、前記磁性膜と
第1のコアとの磁路接続部の周囲に導電性金属膜からな
る薄膜コイルとして形成された構成を採用した。
【0010】
【作用】このような構成によれば、薄膜コイルは薄膜形
成法により極めて小型に形成でき、高飽和磁束密度金属
磁性膜からなる第2のコア本体は磁路の長さ及び断面積
を小さくできるので、第1のコアを薄くすることによ
り、磁路全体を小型化できる。
【0011】また、前記磁性膜の第1のコアとの磁路接
続部は、前記非磁性基板に形成された一対の第1の規制
溝により磁路の幅が規制され、前記第1の規制溝に交差
するように非磁性基板に形成された一対の第2の規制溝
により磁路の厚さが規制されるようにすることで、前記
磁性膜の磁路接続部の幅と厚さを規制し、磁路接続面の
面積を規制できる。
【0012】また、前記断面形状が略V字状の磁性膜の
第1のコアとの磁路接続面に対する傾斜角(非磁性基板
の成膜溝の傾斜角)は前記磁路接続面近傍で20〜60
゜の範囲とすることにより、磁性膜の成膜を適当に行な
えるとともに、薄膜コイルのスペースを確保できる。
【0013】また、前記磁性膜は中間絶縁膜を介して複
数層積層することにより、渦電流損失を改善できる。
【0014】また、前記薄膜コイルの端部は、前記非磁
性基板の第1の規制溝の内側面に形成された導電膜に接
続され、この導電膜を介して外部と接続されることによ
り、コイルの引出線の接続を容易かつ自由に行なえる。
【0015】また、前記磁性膜の第1のコアとの磁路接
続面は2面あり、それぞれの面積が1×10-2mm2
下であるものとすれば、薄膜コイルの長さを短くして抵
抗分を小さくできるとともに、磁路のインダクタンスも
小さくできる。
【0016】また、前記薄膜コイルは、前記第1のコア
と前記磁性膜との2つの磁路接続面の両方に巻回される
バランス巻構造に形成されたものとすれば、巻数の割に
コイルの長さを短くできる。
【0017】また、前記第1のコアの厚さが0.2mm
以下であるものとすれば、磁路を小型化できる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0019】[第1実施例]図1は本発明の第1の実施
例を示す磁気ヘッドの斜視図である。本実施例の磁気ヘ
ッド10は、磁気ギャップGを有する摺動面を有する上
部コア(第1のコア)12と、非磁性基板18に下部コ
ア(第2のコア)の本体としての断面形状が略V字状の
高飽和磁束密度金属磁性膜(以下、単に磁性膜という)
60を成膜してなる下部コア14とで閉磁路を形成して
おり、この閉磁路に巻回されるように、導電性金属膜か
らなる薄膜コイル13が上部コア12と磁性膜(下部コ
ア本体)60の2つの磁路接続部のそれぞれの周囲に形
成されている。
【0020】上部コア12は、Mn−Znフェライトか
らなるコアハーフ12A,12Bと、コアハーフ12
A,12Bのギャップ形成面にそれぞれ積層されたセン
ダスト、パーマロイ等の高飽和磁束密度金属磁性膜(以
下、単に磁性膜という)16と、これらコアハーフ12
A,12Bを、磁性膜16同士を対向して接合するガラ
ス45′とを有するMIG構造となっている。
【0021】なお、磁性膜16,16の間には磁気ギャ
ップGが形成されている。上部コア12の厚さHは、厚
すぎると下部コア14とで形成される磁路が大きくなる
ので、H=0.2mm以下に抑えることが好ましい。上
部コア12のトラック幅の規制方法は、従来のMIGヘ
ッドと同様に行うことができる。
【0022】図1に示した実施例では、磁気ギャップG
と平行な磁性膜16を有する、いわゆる平行MIGタイ
プを示しており、傾斜面を有するトラック規制溝により
トラック幅を規制されている。その他、図2(a)、
(b)、(c)に示すMIGタイプの磁気ヘッドにも本
発明を適用可能である。図2(a)に示す磁気ヘッドも
平行MIGタイプであり、トラック規制溝によりコアハ
ーフ21A,21Bに形成された一方の傾斜面21aに
連続した磁性膜16を有している。図2(b)に示す磁
気ヘッドは、磁気ギャップGが磁気ギャップGと非平行
な磁性膜16によって形成されているMIGタイプであ
る。図2(c)に示す磁気ヘッドは、磁気ギャップGの
両側のみに磁性膜16を持つ平行MIGタイプである。
【0023】図1に戻り、下部コア14は、磁性膜60
の磁路を短く、かつ断面積を小さくするため、非磁性基
板18上に形成された磁性膜60の磁路の幅(磁気ヘッ
ド10に対する媒体摺動方向における長さ)と厚さ(媒
体摺動方向に対して直交する方向における長さ)を規制
する2対の規制溝19A,19B、20A,20Bが非
磁性基板18に形成されている。この規制溝19A,1
9B、20A,20Bに関しては、後の製造工程の説明
にて詳述する。ここで、磁路を形成するために下部コア
14の本体である磁性膜60に形成される上部コア12
との磁路接続面(後述の磁路接続部30b,30cの上
面)は、2面あるが、それぞれの面積を大きくすると比
抵抗の大きい薄膜コイル13の長さが長くなることによ
り抵抗分が増加し、また磁路の断面積が増すことにより
インダクタンスも増加するため、それぞれの面積を0.
1×0.1=1×10-2mm2以下に押さえる必要があ
る。また、逆に小さくしすぎると磁束密度が高くなるた
め磁気飽和の影響が大きくなる。この影響が及ばないよ
うにするためには、磁路接続面の面積は、0.02×
0.02=4×10-4mm2以上が必要である。
【0024】薄膜コイル13のヘッド10外部への引き
出しは、下部コア14の磁路幅を規制する規制溝19
A,19B内側面に導電膜からなる引出線25を設ける
ことで行われ、コイル接続点13A,13Bで薄膜コイ
ル13と引出線25とが直接接続されている。
【0025】この薄膜コイル13と引出線25との接続
に関して、詳細には後の製造方法で述べるが、下部コア
14に薄膜コイル10を形成する際に自動的に行われ、
薄膜コイル13のヘッド10外部への引き出しを簡略化
することができる。この構造により、薄膜コイル13の
引出線25は、下部コア14の側面に導かれるため、規
制溝19A,19Bの形状を工夫すれば、比較的自由な
場所から引き出しが可能である。
【0026】次に本実施例の磁気ヘッドの製造方法を説
明する。まず、図3(a)〜(i)及び図4(a)〜
(f)を用いて下部コア14の製造方法について説明す
る。
【0027】まず、図3(a)に示すチタン酸カルシウ
ム(Ti−Ca系セラミック)、酸化物ガラス、チタニ
ア(TiO2)、アルミナ(Al23)等からなる非磁
性基板30の表面を平面研磨する。
【0028】次に、図3(b)のように、先述の下部コ
ア本体である磁性膜60を形成するための成膜溝30A
を非磁性基板30の表面に研削加工により複数本平行に
形成する。成膜溝30Aは対称なV字状の断面形状をし
ており、その傾斜角(磁性膜60の上部コア12との磁
路接続面に対する傾斜角となる)θは薄膜コイル作製に
必要なスペースと次工程での磁性膜成膜の入射角に係わ
るもので、20〜60゜の範囲で設定するのがよい。
【0029】次に、非磁性基板30の表面全面にスパッ
ター等の真空成膜技術によりCr、Ti、Pt等の下地
膜を形成した後、図3(c)のようにセンダストやパー
マロイ等の高飽和磁束密度合金からなる磁性膜60を所
定の厚さに成膜する。磁性膜60は複数層を積層するこ
とで渦電流損失が改善できるので、図3(d)の様にS
iO2、Cr23、Al23等の中間絶縁膜61を介し
て複数層を積層することが望ましい。
【0030】次に、図3(e)に示すように、下部コア
14の磁路幅を規制する溝19A,19Bを平行に複数
本入れる。ただし、加工上は規制溝19A,19Bが1
本の溝として研削加工により形成される。
【0031】次に、図3(f)の要部断面図に示すよう
に、非磁性基板30の表面にSiO2,Cr23、Ti
2等からなる絶縁膜31を真空成膜技術で形成し、さ
らに、この絶緑膜31上にメッキに必要なCr等の下地
膜32を真空成膜技術で形成する。続いて下地膜32上
にCu、Ni、Au等からなる導電膜33をメッキによ
り数μmの厚さで形成する。この導電膜33は、ヘッド
10の完成時に薄膜コイル13の引出線25(図1参
照)となるもので、抵抗値が好ましくは1Ω以下になる
よう厚さを設定する。さらに、メッキ後は、導電膜33
が酸化しないように、導電膜33の表面にSiO2,C
23、TiO2等からなる保護膜34を真空成膜技術
等で形成する。この工程において導電膜33は、3〜1
0μm程度必要であること、成膜時間を短縮したいこと
から、メッキによって形成したが、スパッタリング、蒸
着等の真空成膜方法で形成しても構わない。
【0032】次に、図3(g)に示すように、磁路の厚
さを規制する規制溝20A,20Bを複数本平行に、か
つ規制溝19A,19Bに対して直交させて形成する。
なお、規制溝20A,20Bを90°+θの角度で規制
溝19A,19Bに対して交差させて形成することによ
り、アジマス角θで磁気ギャップGを形成することがで
きる。この規制溝20A,20Bは、加工上は1本の溝
として研削加工により形成される。
【0033】次に、図3(h)に示すように、ガラス棒
36を加工した溝19A,19Bの上にセットして加熱
し、非磁性基板30上に加工した溝19A,19B,2
0A,20B,30Aすべてをガラスで埋め込む。ここ
で使用するガラス捧36は、後の上部コア12の接合を
考えると、高融点ガラスの使用が望ましい。
【0034】次に、図3(i)に示すように、非磁性基
板30の表面の不要なガラス36′を平面研削にて除去
する。これにより、詳しくは図4(b)に示すように、
磁性膜60の上部コア12と磁気的に接続される2つの
磁路接続部30b,30cおよび導電膜33が露出す
る。
【0035】次に、薄膜コイル13を形成するために、
ガラス36′の表面に不図示のフォトレジストを塗布
し、薄膜コイル13のパターン(図4(a)参照)を露
光後、フォトレジストの部分を除去し、さらに、露光さ
れた部分をイオンミリングにより加工し、図4(a),
(b)に示すように、ガラス36′表面上に渦巻き状の
コイルパターンの凹み37を形成する。凹み37の深さ
は4〜5μm程度である。薄膜コイル13のパターン
は、表面に露出する磁性膜60の2つの磁路接続部30
b,30cのそれぞれに巻回されるバランス巻形状であ
り、凹み37の両端37a,37bは、磁路接続部30
b,30cに隣接する導電膜33の露出部と重なってい
る。これにより、薄膜コイル13を凹み37内に形成し
た際に、薄膜コイル13と導電膜33が自動的に接続さ
れる。
【0036】次に、図4(c)に示すように、渦巻き状
の凹み37にCu、Au等の導電性に優れた金属膜38
が埋め込まれるように、導電性金属膜38を6μm程度
の厚さでメッキにて成膜する。この場合も、真空薄膜形
成技術で成膜を行っても構わない。
【0037】次に、図4(e)に示すように、凹み37
より上側の金属膜38の不要な部分を研磨加工により除
去し、その後、SiO2,Cr23等からなる絶緑膜3
9を1μm以下の厚さで真空成膜技術により形成する。
絶縁膜39を1μm以下の厚さで形成するのは、上部コ
ア12と接合して磁気ヘッド10を構成した際に、磁気
特性に影響を与えないためである。ここまでの工程で図
4(d)に示すような薄膜コイル13のパターンが形成
され、導電膜33とのコイル接続点13A,13Bを経
て簡単に端子(引出線25)が引き出される。
【0038】そして、非磁性基板30を図4(f)に示
す破線の切断線に沿って切断することにより、下部コア
のブロック40が得られる。
【0039】次に、上部コア12の製造方法を図5
(a)〜(f)を用いて説明する。ここで説明する製造
方法は、従来のMIGヘッドの製造方法に基本的に準ず
るが、摺動部の部分だけを取り出せば良いので、従来と
同じ大きさのフェライト材からの取り個数は増える。
【0040】まず、図5(a)に示すように、フェライ
ト材42の表面を平面研磨する。
【0041】そして、図5(b)に示すように、ギャッ
プデプスを規制する台形状の規制溝43を複数本平行に
フェライト材42に形成する。
【0042】さらに、図5(c)に示すように、フェラ
イト材42の表面に、規制溝43に対して垂直方向にト
ラック幅を規制する規制溝44を等間隔で平行に形成す
る。
【0043】次に、図5(d)に示すように、フェライ
ト材42の表面上に、真空成膜技術により拡散防止膜と
なる不図示の下地膜を成膜した後に、センダスト、パー
マロイ等の磁性膜16を成膜する。
【0044】そして、SiO2等の不図示のギャップ材
を表面に形成した後に、図5(e)に示すように、反対
側に同様に加工されたフェライト材42′を突き合わ
せ、ガラス棒45を用いて溶着にて突き合わせ接合を行
なう。
【0045】その後、図5(f)に示すように、破線で
示した切断線に沿って切断し、A,B,Cで示すような
上部コアのブロック46を取り出す。
【0046】以上、図3,図4,図5を用いて説明した
工程により得られた下部コアのブロック40および上部
コアのブロック46を図6に示すように加工すること
で、磁気ヘッド10が得られる。
【0047】すなわち、図6(a)に示す工程では、下
部コアブロック40の接合面に低融点ガラス48を真空
成膜技術により成膜し、両ブロック40,46を位置合
わせした後、加熱接合する。他の接合手段としては、耐
環境性が満足されれば樹脂接着を行ったり、両ブロック
接合面に金属膜を付着させ低温接合する方法も有効であ
る。
【0048】その後、図6(b)に示すように、上部コ
アブロック46の摺動面46a側に円筒研削を行い、そ
の次に、破線の切断線に沿って切断を行えば、図1に示
す磁気ヘッド10が得られる。
【0049】なお、磁気ヘッド10のヘッドベースへの
組立工程の説明は省略するが、図7に示すように、ヘッ
ドベース50に取り付けられた磁気ヘッド10における
プリント基板52への端子引き出しは、Auワイヤー5
4を用いたワイヤーボンディング等で、磁気ヘッド10
の側面に露出する引出線(導電膜)25とプリント基板
52上の端子52aとが接続されることにより行われ
る。
【0050】図9に、以上のようにして構成した磁気ヘ
ッド10の磁路を示す。この図9により、磁路接続部3
0b,30cを介して接続されている上部コア12と下
部コア本体である磁性膜60に流れる主磁束流70の磁
路が非常に短くなっていることが理解できる。したがっ
て、磁路を小型化したC/N特性の良い磁気ヘッドを供
給することが可能となる。
【0051】また、磁気ヘッド10は、上部コア12と
下部コア14とに分けて構成し、下部コア14の上部コ
ア12との接合面に薄膜形成法により形成した薄膜コイ
ル13を設けるようにしたので、コイルと引出線の接続
を容易にし、磁路を小型化したC/N特性の良い磁気ヘ
ッドの生産性を高めることができる。
【0052】また、上記実施例においては、薄膜コイル
13は、形成される位置決めを確実にしかも容易にする
ため、下部コア14のガラス36′上に形成したが、上
部コア12側に形成して、下部コア14と接合すること
も可能である。
【0053】以上のような本実施例の磁気ヘッド10の
特性と、従来例で説明したMIGタイプの磁気ヘッドと
の比較を行ったデータを下記の表1に示す。機械特性
は、トラック幅を14μm、ギャップ幅を0.2μm、
ギャップデプスを12μmに設定して行った。磁性膜1
6,60,112は、両者ともセンダストを使用した。
また、出力測定は、記録媒体として保持力HC=160
0Oeの蒸着テープを用い、媒体相対速度を10.2m
/s,周波数を21MHzとして行った。
【0054】
【表1】
【0055】コイルの巻数は、インダクタンスを同じ
0.45μH程度にするために、従来のMIGヘッドで
は14ターンに対し、上記実施例の構成では6ターン余
分に巻くことができ、明らかに低インダクタンスとなっ
ている。直流(DC)抵抗は薄膜コイルの採用で大きく
なるものの影響はほとんどなく、C/N特性は、2.8
dB向上した。この結果の差は、両者の摺動部が同じ構
造をしていることから、コイルの薄膜化と下部コアの磁
路の小型化の効果として評価できる。
【0056】[他の実施例]次に、他の実施例を図8
(a)〜(e)により説明する。
【0057】まず、上記実施例では、下部コア本体であ
る磁性膜60の断面形状、つまり成膜溝30Aの断面形
状はV字状としたが、厳密なV字状でなくてもよく、図
8(a)に示す傾斜角θが磁路接続面に接する部分より
20μm以下の範囲で20〜60°の範囲に入っていれ
ば、磁性膜60の底部(成膜溝30Aの底部)の形状は
図8(a),(b)に示すように平面でもよく、緩やか
な円弧形状でも良い。
【0058】さらに、他の実施例として、図8(c)に
示す構成は、非磁性基板18の形状が、図1に示す実施
例の構成のように逆T字状ではなく、磁路幅のまま下端
まで延ばしたI字状に形成されている。このように構成
することで、薄膜コイル13の引出部25を下部コア1
4の底面14aに露出させることも可能である。
【0059】また、図8(d)に示すように、薄膜コイ
ル13の引出線(導電膜)25の厚さを厚くしたり、図
8(e)に示すように、引出線25に導電性のある金属
ワイヤー62等を接触させてガラス36′内に埋め込む
ことで、端子の引き出しを容易にすることも可能であ
る。
【0060】また、図9に、上記実施例の構成における
磁路を示す。この図9により、磁路接続部30b,30
cを介して接続されている上部コア12と下部コア本体
である磁性膜60とにおいて主磁束流70が流れる磁路
が非常に短くなっていることが理解できる。したがっ
て、磁路を小型化したC/N特性の良い磁気ヘッドを供
給することが可能となる。なお、図9に72で示す漏れ
磁束流の回り込みによりインダクタンスの増加や再生効
率低下の影響が考えられる場合は、図10に示すよう
に、上部コア12におけるコアハーフ12A,12Bが
接合されて形成される長さWを下部コア14の磁路幅L
とほぼ同じにすることで改善できる。この場合、コアハ
ーフ12A,12Bの媒体摺動方向における両端部に
は、非磁性材であるセラミック74を接合して設けるの
がよい。このセラミック74にはAl23,TiO2
Ca−Ti系セラミック等を用いるのが良い。セラミッ
ク74は摩耗を考慮して設けたものであるが、ガラスに
ても実施可能である。
【0061】以上説明した実施例によれば、薄膜コイル
13は薄膜形成法により極めて小型に形成でき、下部コ
ア14の本体である磁性膜60は磁路の長さ及び断面積
を小さくできるので、上部コア12の厚さを薄くするこ
とにより、磁気ヘッド10全体の磁路を小型化すること
ができる。
【0062】また、薄膜コイル13の引き出しは、下部
コア14の磁性膜60の磁路の幅を規制する溝19A,
19Bが形成された部分に引出線25(導電膜33)を
形成しておくことで、薄膜コイル13形成時に容易に引
出線25(導電膜33)と薄膜コイル13の接続が行わ
れるので、生産性に優れている。従来の薄膜ヘッドで
は、下部磁性膜、薄膜コイル、ターミナル、上部磁性膜
等と複数の層で構成され、薄膜コイル形成の部分だけ見
ても多くの工程を有するが、本実施例における薄膜コイ
ル13の層は、ターミナル形成が不要なために一層で形
成でき、明らかに生産性が高い。
【0063】また、端子の取り出しは、下部コア14側
面あるいは底面に露出する引出線25の断面を利用し
て、プリント基板52に設けられた端子52aに接続さ
れるが、下部コア14の磁路幅を規制する溝19A,1
9Bの形状を工夫すれば、導電膜の引き出しは自由に対
応できる。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、磁気ギャップを有する磁性体からなる第1の
コアと、磁性体からなる第2のコアとで閉磁路を構成
し、この閉磁路にコイルを巻回してなる磁気ヘッドにお
いて、前記第2のコアの本体は、非磁性基板の成膜溝に
成膜された断面形状がほぼV字状の高飽和磁束密度金属
磁性膜からなり、前記コイルは、前記磁性膜と第1のコ
アとの磁路接続部の周囲に導電性金属膜からなる薄膜コ
イルとして形成された構成を採用したので、磁路を小型
化してC/N特性が良く、生産性も高い優れた磁気ヘッ
ドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの一実施例の構造を示す斜
視図である。
【図2】それぞれ本発明の磁気ヘッドに適用できるMI
Gタイプの磁気ギャップ形成部の例を示す上面図であ
る。
【図3】図1の磁気ヘッドの下部コアの製造工程を示す
説明図である。
【図4】同じく下部コアの製造工程を示す説明図であ
る。
【図5】図1に示す磁気ヘッドの上部コアの製造工程を
示す説明図である。
【図6】上部コアブロックと下部コアブロックから磁気
ヘッドを得る工程の説明図である。
【図7】実施例の磁気ヘッドをプリント基板に形成され
た端子に接続した状態を示す平面図である。
【図8】それぞれ本発明の磁気ヘッドの他の実施例を示
す説明図である。
【図9】実施例の磁気ヘッドにおける磁路を示す説明図
である。
【図10】本発明の磁気ヘッドの更に他の実施例を示す
斜視図である。
【図11】従来の磁気ヘッドの一例を示す斜視図であ
る。
【図12】従来の磁気ヘッドの他の例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド 12 上部コア 13 薄膜コイル 14 下部コア 16,60 磁性膜 18 非磁性基板 19A,19B,20A,20B 規制溝 25 引出線(導電膜) 30A 成膜溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−147619(JP,A) 特開 昭55−132520(JP,A) 特開 平6−274826(JP,A) 特開 昭62−66410(JP,A) 特開 昭57−111820(JP,A) 特開 平5−28416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/127 - 5/17

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ギャップを有する磁性体からなる第
    1のコアと、磁性体からなる第2のコアとで閉磁路を構
    成し、この閉磁路にコイルを巻回してなる磁気ヘッドに
    おいて、 前記第2のコアの本体は、非磁性基板の成膜溝に成膜さ
    れた断面形状がほぼV字状の高飽和磁束密度金属磁性膜
    からなり、 前記コイルは、前記磁性膜と第1のコアとの磁路接続部
    の周囲に導電性金属膜からなる薄膜コイルとして形成さ
    れたことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁性膜の第1のコアとの磁路接続部
    は、前記非磁性基板に形成された一対の第1の規制溝に
    より磁路の幅が規制され、前記第1の規制溝に交差する
    ように非磁性基板に形成された一対の第2の規制溝によ
    り磁路の厚さが規制されることを特徴とする請求項1に
    記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記断面形状が略V字状の磁性膜の第1
    のコアとの磁路接続面に対する傾斜角が前記磁路接続面
    近傍で20〜60゜の範囲にあることを特徴とする請求
    項1または2に記載の磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記磁性膜は中間絶縁膜を介して複数層
    積層されたことを特徴とする請求項1から3までのいず
    れか1項に記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記薄膜コイルの端部は、前記非磁性基
    板の第1の規制溝の内側面に形成された導電膜に接続さ
    れ、この導電膜を介して外部と接続されることを特徴と
    する請求項2に記載の磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記磁性膜の第1のコアとの磁路接続面
    は2面あり、それぞれの面積が1×10-2mm2以下で
    あることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1
    項に記載の磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記薄膜コイルは、前記第1のコアと前
    記磁性膜との2つの磁路接続面の両方に巻回されるバラ
    ンス巻構造に形成されたことを特徴とする請求項1から
    6までのいずれか1項に記載の磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第1のコアの厚さが0.2mm以下
    であることを特徴とする請求項1から7までのいずれか
    1項に記載の磁気ヘッド。
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