JP2883762B2 - 有害生物忌避剤 - Google Patents

有害生物忌避剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、それ自体実質的に無臭
の化合物であって、極めて優れた持続効果を有する有害
生物忌避剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】蚊等の
有害生物から身を守るために有害生物忌避剤としてN,
N−ジエチルトルアミドが広く用いられている。また、
p−メンタン−3,8−ジオールにも強い忌避効果があ
ることが知られている(特開昭60−199804号公
報)。
【0003】しかしながら、このN,N−ジエチルトル
アミドは特異な臭いを有していることやp−メンタン−
3,8−ジオールには持続性に欠けるなどの問題があ
る。このために新規な有害生物忌避剤の開発が望まれて
いた。本発明の目的は、優れた有害生物忌避効果を有
し、不快臭の無い有害生物忌避剤を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み有害生物忌避剤として強い効果を有し、且つ特異
な臭いを有しない新しい有害生物忌避剤を開発すべく鋭
意研究した結果、特定化合物が優れた有害生物忌避効果
とその効果の持続性を有することを見出した。即ち、本
発明は下記一般構造式化2で表される2−ヒドロキシメ
チル−シクロペンタノール誘導体を含有することを特徴
とする有害生物忌避剤に関する。
【化2】 (但し、Rは炭素数1から12の直鎖または側鎖状飽和
炭化水素である。)
【0005】以下、本発明の構成の詳細について説明す
る。本発明の2−ヒドロキシメチル−シクロペンタノー
ル誘導体である2−ヒドロキシメチル−2−アルキル−
シクロペンタノールを製造する方法としては、シクロペ
ンタノンより既知の方法により得られる2−エトキシカ
ルボニルシクロペンタノンをアルキルブロマイドと反応
させ、2−エトキシカルボニル−2−アルキル−シクロ
ペンタノンを得た後、水素化ホウ素リチウムを用いて還
元することにより得ることができる(オーガニック シ
ンセシス(Organic Synthesis)、第
47巻、20頁、1967年)。
【0006】この方法を用いて合成中間体として2−ヒ
ドロキシ−2−ノニル−シクロペンタノールを単離した
報告はあるが、本化合物の有害生物忌避効果に関する記
載は全く無い(ケミカル ファ−ムセウチカル ブレタ
ン(Chem.Pharm.Bull )、3047頁、第29巻、19
81年)。
【0007】本合成方法により2−ヒドロキシメチル−
シクロペンタノール誘導体は臭いもほとんどない無色透
明色の油状物で得られる。 得られた2−ヒドロキシメ
チル−シクロペンタノール誘導体が蚊などの有害生物に
対し強い忌避効果に優れるという特徴を見出し本発明を
完成した。
【0008】本発明の2−ヒドロキシメチル−シクロペ
ンタノール誘導体とは、2−ヒドロキシメチル−2−メ
チル−シクロペンタノール、2−ヒドロキシメチル−2
−エチル−シクロペンタノール、2−ヒドロキシメチル
−2−プロピル−シクロペンタノール、2−ヒドロキシ
メチル−2−イソプロピル−シクロペンタノール、2−
ヒドロキシメチル−2−ブチル−シクロペンタノール、
2−ヒドロキシメチル−2−ヘキシル−シクロペンタノ
ール、2−ヒドロキシメチル−2−オクチル−シクロペ
ンタノール、2−ヒドロキシメチル−2−デシル−シク
ロペンタノール、2−ヒドロキシメチル−2−ドデシル
−シクロペンタノール等の2−ヒドロキシメチル−シク
ロペンタノールの2位に炭素数1から12までの飽和の
直鎖または側鎖状アルキル基の付加した化合物を示す。
化合物の揮発性を考えると2位のアルキル基としては炭
素数1から8程度が好ましいが、それ以上でも構わな
い。
【0009】本発明の化合物を有効成分として、通常用
いられるところの化粧料、医薬品の基剤(ベース)に配
合することによって、種々の剤型の有害生物忌避剤を得
ることが可能である。また、本発明の化合物の含有量
は、製剤形態、使用方法、その他の条件によって異なる
が、一般的にはその配合量は0.1%から90%であ
り、特に3%から20%が好ましい。
【0010】本発明の化合物は、ヒトスジシマカ等の
蚊、ヤスデ、ヨトウムシ、ナメクジ等の有害生物に使用
される。
【0011】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。尚、以下における%表示は、特に指定しな
い限り重量%を意味する。
【0012】実施例1 20gの2−エトキシカルボニル−シクロペンタノンを
15mlのジメチルホルムアミドに溶解撹拌した。6g
の水素化ナトリウムを200mlのジメチルホルムアミ
ドに分散した溶液を先の2−エトキシカルボニルーシク
ロペンタノン溶液に徐々に滴下した。水素化ナトリウム
溶液の添加終了後、反応溶液を窒素気流下室温にて2時
間撹拌を行った。更に25gの臭化オクタンを15ml
のジメチルホルムアミドに溶解した溶液を反応溶液中に
滴下した。 滴下終了後、100℃まで昇温し2時間撹
拌を行った。反応溶液を冷却した後、冷氷水中に注入し
100mlのジエチルエーテルを用いて抽出を2度行っ
た。
【0013】このジエチルエーテル層を無水炭酸ナトリ
ウムにて乾燥後、ジエチルエーテルを除去することによ
り、2−エトキシカルボニル−2−オクチル−シクロペ
ンタノンの粗反応生成物を得た。この粗反応生成物を2
0mlのテトラヒドロフランに溶解した。2gの水素化
ホウ素リチウムを80mlのテトラヒドロフランに分散
した溶液を先の2−エトキシカルボニル−2−オクチル
−シクロペンタノン溶液を氷冷撹拌下に滴下し4時間撹
拌を続けた。 50mlの酢酸エチルと100mlの蒸
留水を加えた後、10%硫酸水溶液を反応溶液がpH2
になるまで添加した。 反応溶液を50mlのジエチル
エーテルを用いて抽出を2度行った。
【0014】ジエチルエーテル層を無水炭酸ナトリウム
にて乾燥後、ジエチルエーテルを除去することにより、
2−ヒドロキシメチル−2−オクチル−シクロペンタノ
ンの粗反応生成物を得た。 この粗反応生成物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホル
ム/メタノール=97/3)にて生成することにより淡
黄色油状物として18.9g(収率64.7%)の2−
ヒドロキシメチル−2−オクチル−シクロペンタノール
を得た。 IR測定における3370cm-1に強い水酸
基の吸収とマススペクトル測定において親ピーク−18
(M−H2O)を認めた。また元素分析においてはC=
73.37%、H=12.45%の実測値(C,Hの理
論値はC=73.13%、H=12.35%)を得たこ
とから確認した。
【0015】実施例2 実施例1で用いた25gの臭化オクタンを12gの臭化
エチルに変え、同様の処理を行い、淡黄色油状物として
12.4g(収率67%)の2−ヒドロキシメチル−2
−エチル−シクロペンタノールを得た。構造確認は、実
施例1と同様に行なった結果、構造を指示する結果を得
た。また元素分析においてはC=66.50%、H=1
1.32%の実測値(C,Hの理論値はC=66.63
%、H=11.18%)を得たことから確認した。
【0016】実施例3 実施例1で用いた25gの臭化オクタンを15gの臭化
イソプロピルに変え、同様の処理を行い、淡黄色油状物
として12.8g(収率63%)の2−ヒドロキシメチ
ル−2−イソプロピル−シクロペンタノールを得た。構
造確認は、実施例1と同様に行った結果、構造を指示す
る結果を得た。また元素分析においてはC=68.11
%、H=11.60%の実測値(C,Hの理論値はC=
68.31%、H=11.46%)を得たことから確認
した。
【0017】実施例4 実施例1で用いた25gの臭化オクタンを15gの臭化
ウンデシルに変え、同様の処理を行い、淡黄色油状物と
して24.0g(収率66%)の2−ヒドロキシメチル
−2−ウンデシル−シクロペンタノールを得た。構造確
認は、実施例1と同様に行った結果、構造を指示する結
果を得た。また元素分析においてはC=76.02%、
H=12.81%の実測値(C,Hの理論値はC=7
6.00%、H=12.76%)を得たことから確認し
た。
【0018】以下に本発明の応用例を示す。 応用例1から4及び比較例1(リペルローション) 下記表1の処方に従って、応用例1から4及び比較例1
のリペルローションを調製し、下記有害生物忌避試験を
実施した。なお、N,N−ジエチルトルアミドは従来よ
り有害生物忌避剤として用いられているものである。
【0019】
【表1】
【0020】有害生物忌避効果およびその効果持続性の
験方法は下記の通りである。 (1)ヒトスジシマカ成虫に対する吸血忌避試験方法ヒトスジシ マカの成虫に対する忌避効果を調べるために
以下の試験を室温30℃、湿度70%の恒温室において
行った。左右の前腕に各試験試料を10ml塗布した
後、羽化後5〜7日経過したヒトスジシマカの成虫の雌
雄50匹づつが入った袋状した20cm×15cmの金
網にそれぞれの腕を15分間差入れ吸血の時間を与え
た。この施行を30分、1時間,2時間,4時間,6時
間後に行い、吸血の時間内の吸血の跡の数を求め、下記
式から忌避率を算出した。
【数1】
【0021】 (2)結果 前記応用例1から4及び比較例1について、前記ヒトス
ジシマカ成虫に対する吸血忌避試験を行い、応用例1
ら4と比較例1を比較した。その結果を表2に示した。
表2から明かなごとく、本発明の2−ヒドロキシメチル
−2−エチル−シクロペンタノール、2−ヒドロキシメ
チル−2−オクチル−シクロペンタノール、2−ヒドロ
キシメチル−2−イソプロピル−シクロペンタノール及
び2−ヒドロキシメチル−2−ウンデシル−シクロペン
タノールは優れた有害生物忌避効果としかも優れた持続
性を有していた。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上記載のごとく、本発明に係る2−ヒ
ドロキシメチル−シクロペンタノール誘導体は、無臭の
化合物であり、且つ有害生物に対して持続的な忌避効果
を有する優れた有害生物忌避剤として提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Synthetic Communi cations,1989,19(5−6), p.737−744 Chem.Pharm.Bull., 1988,36(11),p.4337−4344 Bill.Soc.Chim.F r.,1975,(1−2,Pt.2), p.257−260 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 31/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般構造式で表される2−ヒドロキ
    シメチル−シクロペンタノール誘導体を含有することを
    特徴とする有害生物忌避剤。 【化1】 (但し、Rは炭素数1から12の直鎖または側鎖状飽和
    炭化水素である。)
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ES2928940T3 (es) * 2012-05-02 2022-11-23 Bedoukian Res Inc Control y repelencia de mosquitos

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Bill.Soc.Chim.Fr.,1975,(1−2,Pt.2),p.257−260
Chem.Pharm.Bull.,1988,36(11),p.4337−4344
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